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[37219] 【ネタ】ビビッドレッドオペレーションの最終決戦がこんなだったらいいなあと妄想した話
Name: 葉川柚介◆9ddbfd91 ID:2ffe867f
Date: 2013/04/07 20:53
※注意事項

・タイトル通りの代物です
・ビビオペ最終話を見ていた方が楽しいかもですが、まあ最終決戦だ、と思っていただければ通じます
・原作は映像もあってもっと派手です。気になったならばぜひご視聴を
・「やるんならもっと早くやれよニコニコ動画でももう見れねーよ」とか言わない
・尻はない

 こんな物でも見てやろうという皆様の慈悲に感謝しつつ、献上いたします。




 全世界のエネルギーのうち、95%を賄う夢のエネルギー機関、示現エンジン。人類に平和をもたらした不世出の発明が今、史上最大の危機にさらされている。

「示現エネルギー異常流出反応! 示現コアに外部より強制介入! エネルギーが吸い取られています!」
「供給率50%に低下。世界中で壊滅的なエネルギー不足です!」

 これまでも幾度となく示現エンジンを狙って侵攻してきた謎の敵<アローン>。目的も出自も全てが不明とされていたこの侵略者たちはしかし、その全てが一色あかねをはじめとする少女たちの手によって撃退されてきた。

 だが今は違う。
 悠々と示現エンジンの上に浮かぶ、黒の堕天使。6枚の羽を広げ、一つ目で世界を睥睨する悪魔のようなアローンが無慈悲に君臨している。
 オペレーターからの報告は今まさに示現エンジンがあの悪魔の手中に落ちつつあることを告げてくるばかり。示現エンジンは今や紛れもなく世界を支える根幹なのだ。そのエネルギーを吸い取られてしまえば比喩ではなく、この世界は破滅する。

「地球が……静止する」

 もとは国防軍のパイロットで、最近ではあかねたちの監督官となり、ついでに彼女らの学園で体育教師もしている天城みずはは、指令室で絶望的なこの状況を前に思わずつぶやいた。
 パレットスーツを装着するあかねたちでも、もちろん国防軍の戦力でもかなわないだろう巨大な悪魔。人類にもはや為す術はない。ついに戦艦や戦闘機といった兵器へのエネルギー供給まで途絶え機能を停止し始めた今、その言葉が確かな現実になろうとしていた。


 しかし、まだ希望はある。
 絶望をはねのける勇気がある。
 堕天使型のアローンに向かって飛んでいく、4つの光だ。


「行くよ、みんな! 作戦通りに!」
「うん、あかねちゃん!」
「作戦って言っても、ここに来るまでに考えたものだけどね」
「それでも、無いよりはまし。それに、私たちならきっとできる!」

 一色あかね、二葉あおい、三枝わかば、四宮ひまわり。パレットスーツに身を包んだ彼女らは、アローンの内に捕らわれた友、黒騎れいを救うため、世界を滅ぼさんとする悪魔に立ち向かう。


――ふん、下等生物が。身の程を知りなさい!

 あかね達の接近に気付いたアローンは彼女たちが近づくのをよしとしない。これまで国防軍の兵器をことごとく薙ぎ払ってきたビームを、示現エンジンを掌握したことでさらなるエネルギーを込めて放った。
 空を裂く、毒々しい色をした破壊の閃光。いかにパレットスーツがあるとはいえ、エネルギーの供給源である示現エンジンを押えられていては長く戦えるはずもなく、あんなものを受け止めている余裕もない。散開して回避し、しかし彼女らは散開して回避した後、またすぐに一つ所に集まった。

 あかねの祖父、示現エンジンとパレットスーツを開発した一色健次郎はあのアローンに勝てる可能性をゼロだと言った。この世界の滅びはもはや運命なのだろうと。
 だが彼女たちは自分たちの勝利を信じている。これまでも、わずかな希望に命を懸けて、この世界を守るために戦ってきたのだ。自分たちの中にある勇気を。友を想う心の強さをかけて。
 絶望的な状況の中でも、彼女たちは今なお信じている。
 運命は変えられる。一人では無理でも、ともに戦う仲間がいれば。

 だから、彼女らは道中ずっと考えた。強大なアローンを相手に勝利を収め、大切な友達を救う方法を。一人では絶対に無理だ。二人でもきっと勝てないだろう。それは間違いない。

「それじゃあ、いくよ!」

 ゆえに、その方法は。

「究極合体!」
「ドッキング!」
「オペレーション!」

『ビビッドレインボー!!!』

 全ての力を一つに合わせる、この時だけのとっておきだ。


――なんですって!?

 空に響き渡るアローンの驚愕の声。
 ビビッドシステムは元々、ビビッドレッドたるあかねをベースに各パレットスーツを合体させることで真価を発揮するものとして設計されていた。しかしそれはあくまでも二身合体。二人分の力を一つに合わせることしかできないはずだった。
 だがそれだけではあのアローンに勝てない。そこで彼女らが選んだのが、この作戦。

「ビビッドレインボー! オペレーション!!」

 4人全員の、合体だ。


 現れたのは鮮やかな戦士。
 赤の髪、青の上衣、緑の帯に黄のスカート。そして七色にきらめく瞳。4人それぞれの色と力と思いを乗せた、最強の存在だった。
 空にたたずむ少女の姿は美しくも圧倒的で、静かにアローンを見据えているだけにもかかわらず、巨大なエネルギーを感じさせる神のごとき威容を示す。

『――2人分の合体パワーで足りなければ、4人全員を合体、ね』
『――ほんとバカだよね、あかねは』
『――ちょ、ちょっと二人とも……』
『うん! みんなの命は、希望は! このビビッドレインボーで必ず救って見せるから!』
――くうっ……! 小癪なまねを!

 突如現れた、これまで見たこともない姿、ビビッドレインボー。アローンが即座に反撃に出たのは、当人こそ認めないだろうが紛れもなく彼女を恐れたからだ。再びエネルギーを充填し、放たれる強大なビーム。先ほど以上の威力を秘め、それでいてチャージ時間が短いのは示現エンジンをより制御下に置きつつある何よりの証。

 ビビッドレインボーは動かない。ただ右手を掲げるそれだけで眼前にビビッドコライダーが展開され、圧倒的なエネルギーによる防御力場によってアローンのビームを真正面からはじき散らした。

――バカな!?
『ビビッドエンジン、セーフティ解除!』

 ビビッドコライダーの機構が変形する。防御に使っていた力場を攻撃用に変換。シリンダーを回転させ、アローンのビームを凌駕するエネルギーを一気に解放する。

『ビビッドコライダー! ファイナルオペレーーション!』
――おのれ! よくも私の体に傷を!

 直撃したかに見えたビームはしかし、アローンの羽に防がれていた。それでも羽はこの一撃でボロボロになり、当初の目的の一つである羽の排除へ一歩近づいた。

 だがビビッドレインボーも全く影響がないわけではない。ビビッドコライダーは過剰なエネルギーを注ぎ込まれたことで損傷が激しく、ビビッドイエローから供給されるエネルギーも空に近い。

 ひまわりは誰よりビビッドシステムへの理解が深い。そのため、この作戦を立案した当初から、こうなってしまえば自分が残っていることに益はないとわかっていた。だから彼女は、仲間に後を託す。

『次はわかばの番だよ。ビビッドイエロー、合体解除!』
『ひまわりちゃん!?』

 イエローからの合体解除。ビビッドレインボーからイエローの意匠が消えるとともに空間へ姿を現したひまわりは一瞬の滞空の後、幾分ゆっくりと、しかし浮上することもできず眼下の海へと落ちていく。これで、ビビッドレインボーにかかる負荷はない。残った力の全てを使うことができるだろう。

――ほう……ちょうどいい!
「……げ」
『っ! 危ない、ひまわりちゃん!』

 しかし、アローンに見つかった。もはやひまわりに抵抗の力はなく、倒すのはたやすい。力はいらない。ただ細く鋭いビームで穿てばそれだけで殺せる。にたりと一つ目をゆがめたアローンは、ビビッドレインボーですら追いつけないほどの速さで、エネルギーをためることすらせずにビームを放つ。
 その軌道は紛れもなくイエローを狙っている。胸を穿ち心臓を焼き、命を奪うには十分な殺傷力を秘めた破壊の光。ビビッドレインボーは間に合わない。ひまわりにはもはや避ける力が残っていない。ひまわりを救える者は誰もいないのだ。

 彼女たちの中には。

『――つかまりなさい、四宮さん!』
「!? せ、先生! 捕まれって無茶なああああ!?」

 光条が薙いだ空間にひまわりの体はすでにない。
 ビームが届く寸前に、ひまわりの体を奪い去ったものがいるからだ。

 どこからともなく、あるいはパレットスーツ以上の速度でこの空域に侵入し、正確にひまわりの落下軌道に合わせて飛翔した銀色の流星。国防軍のF-22ラプター、そしてその操縦者であるみずはだ。垂直尾翼にひっかかったひまわりが、風に踊らされながら辛うじてしがみついてドップラー効果で悲鳴を長々と伸ばしている

『先生、どうして!?』
『――はーっはっはっは、わしのおかげじゃよ!』
『おじいちゃん!?』

 驚くあかね達の前に展開されるディスプレイ。そこに表示されるのは、凄まじい勢いでキーボードを叩いて荒ぶるカワウソのぬいぐるみ。誰あろうあかねの祖父、健次郎の仮の姿である。

『――こんなこともあろうかと! 何かで示現エンジンのエネルギーが使えなくなる可能性を考えて、国防軍の兵器の一部は示現エンジンに頼らない通常動力に換装しておいたのじゃ! ……こうなってなお、わしらは世界の命運をお前たちに託すしかない。すまん。その代りわしらにできることはなんでもやる。……頼んだぞ』
『――フォローはこちらでするわ。だからあなたたちはあのアローンを倒して……黒騎さんを必ず助け出しなさい!』
『……はいっ!』


『ビビッドブレード!』
――おのれおのれおのれええええ!

 後顧の憂いはなくなった。次なる力、ビビッドグリーンの装備たるビビッドブレードを展開し、ビビッドレインボーは足元の海面を裂いて空を駆ける。
 ビビッドグリーンは装備の性質上高速戦闘に強い。防御手段を持たない変わりにブレードはあらゆる敵を切り裂く鋭さを持っている。アローンが全方位を埋め尽くさんばかりのビームを放ってきても、その力を宿した今のレインボーには届かない。
 なにより、今のアローンはあかね達のみに集中しているわけにはいかなくなっている。

『――女の子たちは撃つな、ブレイクしろ!』
『――言われなくてもわかってますよ、カラス落とせばいいだけなんでしょう、楽な仕事です!』
――ええい、うっとうしい!

 アローンの周囲を飛び回る戦闘機たちがその理由だ。みずはの機体と同じく通常動力に換装された戦闘機がスクランブル発進し、この空域に到達。あかね達を援護するためアローンへと立ち向かっている。
 ビビッドシステム以外の武装ではSGE爆弾並みの火力がなければ有効なダメージを与えることはできないが、それでもさきほどビビッドコライダーがダメージを与えた部位に絶えずミサイルを、機銃を浴びせ、機体を危険にさらすような機動で敵の視界を遮って邪魔をする。彼らもまた、一緒に戦ってくれているのだ。

――虫けらどもがああ!
『――こちらは任せて、君たちはアローンを! 今日は私の誕生日でな、勝利をプレゼントしてくれ』
『オメガ11、イジェークト!』
『……はい、任せてください!』

 さっそくひとり撃墜されたような気もするが、まあ彼なら死にはしないだろう。
パイロットたちの激励に背中を押され、瞬間移動にすら見えるほどの高速移動を繰り返して光の網目をかいくぐり、瞬く間に間合いへ踏み込んだ。

『ファイナルオペレーション!』
――バカな!?

 一直線に伸びる緑の剣閃。それはアローンの傷ついた羽のことごとくを切り裂いた。

『後は任せたわよ。ビビッドグリーン、合体解除!』
『……ありがとう、わかばちゃん!』

 爆裂する光の中から、合体を解除したわかばが落ちていく。すぐさま駆けつけたみずはのラプターが回収してその空域を離れたことで、すでに攻撃能力を失いつつあるアローンは彼女らを追うことができない。

――どこです、どこに行ったのです!?

 それどころか、既に戦力たり得ないわかばとひまわりを気にしている余裕などない。この場には、まだあと二人いる。

『ビビッド、ハンマアアアアアアア!』
――上ですか!

 ぎょろりと天を睨む一眼。禍々しいその瞳が映したのは、巨大なハンマーを振りかぶる長髪の女性、ビビッドブルー。わかばが合体解除してすぐに上昇し、超重量のハンマーの威力を最大限発揮できる位置を取った。
 太陽を背負い、友を救うという決意を秘めたその一撃に、砕けぬ物などありはしない。

『ファイナルオペレエエエエエエション!!』
――わざわざ私の中に飛び込もうというのですか、黒騎れいを助けるために! なんと愚かな……!

 直撃の瞬間、空が震えた。
 超重ハンマーが生み出した衝撃はアローン胸部中枢を粉々に粉砕し、内部を露出させたのだ。

『愚かなんかじゃない! 行って、あかねちゃん! ビビッドブルー、合体解除!』
「うん、行ってくる! 必ず助けるよ、れいちゃん!」

 そしてあかねは全ての合体を解除し、その中へ迷わず飛び込んでいく。
 かけがえのない友である、れいを助けるために。


 れいは立ち上がる。アローンの中、自分を捕える鳥かごのような空間の中で。それまでへたり込んでいたのが嘘だったかのごとく、希望に導かれて。
 手を伸ばすのは外の様子を映していた球体。あかねたちが自分を助けるため必死に戦ってくれていた姿を見せていたもの。アローンはおそらく、あかねたちを倒す姿を見せてより一層絶望させようとしていたのだろう。だがあかねたちはその野望を打ち砕き、ついでにアローン本体もうち砕き、ここへと来てくれた。
 一度は裏切ってしまった友情を今更取り戻したいなどと、いったいどの口が言えるだろう。怖くても、不安でも、今のれいにそんなことを言う資格はもはやない。

 しかし、それでも。もう一度だけ、チャンスがこの手に舞い降りるなら。。

「れいちゃあああああああん!」

 球体を砕いて現れるあかね。自分を見てくれる、必死に手を伸ばしてくれる、友達だった少女。

 もしまた手を伸ばしてくれるならば。

「――あかねえええええええええええええ!!」

 今度はこの手を、絶対に離さない。


「ああっ!」
「あれは!」
「……あかねちゃん、れいちゃん」

 アローンの胸部から天へと向かって一直線に赤い光が伸びる。これまでアローンがまき散らした破壊の力とは異なる優しい光。みずはの操るラプターの背にしがみついたあおいたちは、その光の中で手を取り合うあかねとれいの姿を見た。
 二人の顔に浮かぶのは、笑顔。しっかりと手を取り合い、微笑みを交わし、真の友情を手に入れたのだ。

 そして、あかねがれいの額にそっと口付ける。
 親愛の証。そして、ビビッドシステムの力を最大限に引き出す決意である。


 ついに姿を現した、ビビッドシステムの番外。健次郎が作り上げたものではない。あかねとれいの友情が編み上げた赤のドレスを身に纏い、大きな翼をその背に広げ、放つは宇宙創成の光。示現エンジンの限界すら越えたその名は。


『ビビッドレッド! オペレーション!!』


――バカな、人間ごときが、どうしてこんな力を!?
『これが、友情の力だ!』

「なんだかわからないけど、すごい説得力……!」
「あの、ひまわりちゃん? なんでそんなに嬉しそうなの?」

 説明になっているのかいないのか。いずれにせよアローンにもレッドの身に秘められたビビッドレインボー以上のエネルギーは感じられているのだろう。怯えるように身を震わせて、示現エンジンから更なるエネルギーを吸い上げる。宇宙を崩壊させうるほどの力だ。

『……ッ!』
――逃げられませんよ! お前たちは、この宇宙ごと消えてなくなるのです!

 翼を打ってまっすぐに空を駆けあがるビビッドレッド。空力を超越した飛行能力はどこまでもその身を上昇させ、ついに成層圏へとたどり着く。地上に余波をまき散らすことなく全力を出し切れる、虚空まで。
 ビビッドエンジン、マックスフルパワー。

『宇宙キターーーーーー!』

 ……別のエネルギーを込めている気もするが、気にしてはいけない。

 ビビッドレッドは他の形態と違って武装を持たない。彼女の武器はただ一つ、世界を救う決意を込めた、握り拳である。
 来た道を逆戻りするように、ビビッドレッドは地上へ向かう。途中を遮る雲を吹き散らし、右手から赤々と莫大なエネルギーを迸らせながら、アローンへ向かって一直線に。

――人間があああああああああ!

 アローンの迎撃の方が早い。避けようもなく、ビビッドレッドを襲う極太のビームが放たれる。しかし、ビビッドレッドは恐れない。

『くらえ、この友情!』

 ビームに向かって突き出したのは彼女自慢の右拳。形を持たない光線だ、などという理屈はもはや通じない。この拳の行くところ、砕けぬ物などありはしないという確信がビビッドレッドを動かして、激突する。

「あかねちゃん……」

 あおいたちは固唾を飲んで見守っている。SGE爆弾がアローンに直撃したときに迫るほどの巨大な爆発の中、肉眼では見えないほど遠くに確かに友達が今もいてくれるのだと信じて。
 そしてその信頼は。

『ビビッド! パァァァアアアアアアンチッ!!』

 正しく、報われる。

 爆炎を切り裂く真っ赤な閃光。いささかも歪むことなく空に引かれた直線は遮るものなどないとばかりにアローンの本体、巨大な眼球へと飛び。

『ファイナル! オペレエエエエエエション!!』
――バカなああああああああああ!?

 その拳ひとつで、砕いてみせたのだった。


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