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[38323] ニャンターニャンター【H×H(オリ男主転生)】
Name: カルカッタ◆b263fcab ID:58fa2f72
Date: 2013/08/24 11:26
初投稿でぐだぐだな点も多いかと思いますが楽しんで
書いていくのでよかったら見てってください!

主人公が事故に遭い何かに転生することで物語が始まります。
原作沿いではありませんが話が進んでいってキャラにあったり
沿うこともある…かもは作りながら考えます。

多少のグロありシリアスありです。
ストックが少ないので投稿速度は遅いかもしれません。



[38323] にゃんて日だ!
Name: カルカッタ◆b263fcab ID:ace499a9
Date: 2013/08/24 11:29



「プップー!!」
遠くでクラクションが聞こえる
遠くに聞こえるはずなのに俺の目の前にはトラックが迫っている
手から缶コーヒーが零れ落ちる
全てがスローモーションに見える
この速度なら走れば避けられるじゃないか
そんな思いとは裏腹に体がぴくりとも動かない
「……死にたくないな」
俺はぽつりとつぶやいた

鈍い衝撃が走る
痛みなんて感じなかった
目の前に夕焼けが広がったと思えば一気に黒幕が降ろされた


俺は闇の中にいた
(ここはどこだ…確かトラックにひかれて…死んだ?はは、そんなまさか)
「そのまさかだよん」
「あれ、俺声に出したっけ…」
「君のことなら何でも分かるよん!ボクは神だからねぇ~」
「…俺は…死んだのか?」
姿は見えないが陽気なしゃべり方から生意気なガキを想像した
「そうだよ、君は死んだの!それからボクは君より年上だから」
…どうやら頭の中が覗かれているようだ
「ここはどこだ?」
「う~ん死後の世界ってやつ?ってそんなことより君にチャンスを与えよ~う!」
「まずお前はどこにいるだよ!」
「…ボク最近タイクツなんだよねぇ、だからボクを楽しませてよ!」
(無視かよ…)
「訳がわからねぇよ!なんで俺は死んだのに生きてるんだ?あっ携帯はどこだ、母親に連絡させてくれ!」
「うるさいよ、君は死んだんだ。君の魂はボクのものだよ?黙って言うことを聞かないと一生閉じこめるぞクズが」
瞬間意識が遠のいてゆく
体が無くなっていくような感覚は恐怖そのものだった
怒らせてしまったのか
「す、すいません…」
「うん、よろしい♪それで君はどんな体が好み?君には今からボクが今最高にハマってる漫画に転生してもらいます!頑張って貰うし一応リクエスト受け付けるよん」
「俺が転生する体ってことですか?」
「そうだよ早く決めろここに来るまでで何行使ったと思ってんだ」
何行の部分はよく意味が分からないが転生するならイケメンがいいに決まってる
「そうだな…目は蒼で!髪は薄い茶色で猫っ毛体は高身長で細マッチョ!それから声は低音のかっこいい声で…とびきりのイケメンがいいです!」
(あ、これ調子乗りすぎたか?)
「いいよん!望み通りに叶えてあげる!それじゃさっさと行ってきなさぁあい!ボクを楽しませてねぇ~」
(今ので良かったのかよ!)
また意識が遠のいていく
(…そういやどこに転生されるんだ)
「どっどこ…」
そこで意識は途切れた


トクン…トクン…
小さな鼓動が聞こえる
生暖かいがどこか安心感の溢れる物体に包み込まれている
(布団の中みたいだ…ここは…夢なのか?さっきのも全部…夢?)
だが目を開けようとしても開かない
すると体が急に何かに引っぱられた
固いものの間を通り抜けようとしている
(この感じ覚えてる…そうだ母親のおなかの中だ…そうか)
さっきまでのは夢ではなかったのだ
先程から聞こえる鼓動は己のものだったようだ
(俺は…本当に転生したのか)
目の前が明るくなる
俺は肺が苦しくなって思いっきり産声をあげた

「にゃ~」
(…え?)
何かザラザラしたものが俺の体をなめている(これって…これって)
「にゃぁぁぁああああああああ(猫ぉぉぉおおおおおおおお)!!!!」





俺は今小さい脳味噌をフル稼働している
いや、馬鹿とかそういう訳じゃなくてほんとに小さいんだ
…とりあえず体なめるの止めてくれ
「にゃっにゃぁ(くっくすぐったいよ)!」


俺はあの訳の分からんカミとか言う奴に転生させられた
そのとき俺は確かにイケメンになりたいって言ったはずだ…なんで猫
(「目は蒼で!髪は薄い茶色で猫っ毛…」)
嫌な単語が出てきたな
よしもういちど回想しよう
(「そうだな…目は蒼で!髪は薄い茶色で猫っ毛…」)
猫っ毛…猫…ネコ…cat
「にゃぁああ!!(…これだぁぁあああああ!!)」

絶対これだあいつ馬鹿だよ!何が神だよ!
どうせ地震がいつ起こるか聞いたって
「ワッカンナイネェ」
とかそういうこと言う程度の神だよあいつ!ふっざけんなよ何で猫にされなきゃいけねーんだよ!!俺のハーレムライフの夢がぁぁああ!…何の漫画か知らんけど。

ザラザラザラザラザラザラ
「…にゃむにゃむにゃ(いつまでなめんだよ)!」

というかいつの間にか目が開くようになっていた
母親…母猫は青い目をしていた
俺の体は薄い茶色、ところどころに黒い斑点がある
先ほどから聞こえる己の声はまだ声帯がしっかりしてないのか低くはない
高身長イケメン…かは分からない

だがこれで確定しただろう
俺は猫として転生させられた
最悪だ

「…にゃぁぁ(死にてぇ)」
俺はぽつりとつぶやいた



[38323] にゃんくるな…いわけねぇぇ!
Name: カルカッタ◆b263fcab ID:ace499a9
Date: 2013/08/24 11:31
…仕方がない
「状況を楽しめ」
これがうちの家訓だった
そういって親父は借金を俺らに押しつけたんだっけな…借金取りに追われる状況を楽しむなんてキチガイかマゾにしかできないだろう
とりあえず!

「にゃお~ん(お母さん?)」

「にゃぁあ!」

「…にゃお~~ん(お母様?)」

「にゃぁにゃあ」

「……にゃお~~~ん(母上様!)」

「にゃあにゃあにゃ!!」

…何で分かんないのぉぉおお!!
普通こういう状況ってあれじゃん!
なんか猫に生まれたからには猫同士意志疎通できますみたいな
あっあれか!もしかして俺は生まれたばかりの赤ん坊から言語が分からないみたいな…うんそれだな人間でも一緒だしな
…でも困ったこれじゃ全然楽しめないヨ!

とまぁ考えてるうちにおなか減ってきましたね
食べ物なんてどこにあるんだ
…お母さん寝ころびだしたぞ
めっちゃこっち見てるぞ 
…乳を飲めと
そういえば俺の他にも赤ん坊はいるのか
気付かなかったな…あ、みんな飲んでる
…うまそ…いやいや乳を飲むなんてそんな…まぁ死ぬのは嫌だな、うん飲もう

「にゃぁ(うまい)」

普通にうまかった
なんか濃い味で栄養満点って感じだ!
オラ力がみなぎってきたぞ!

とまぁ眠気が襲ってくるわけでして俺は母親の暖かい温もりに包まれてすやすやと眠りについた


(ん…ここどこだ…あー俺寝てたのか)
体を起こすと四つん這いになる
(夢オチじゃねぇのか…)
あたりを見渡すとさっきまで母猫と
兄弟と寝ていた草の上だった
が違うことが一つ

…みんながいないぃぃいいいいい!!




母猫が子猫を育児放棄することはよくあることだ
(いやいやいやでもこれは俺一人…一匹を捨てていくことなんてあるだろうか…いやいやいや捨てていくとか有り得ない
きっとこれはあれだ寝てたから起こすのかんいそうとかそういう感じのあれだ!)
俺は待っていた
母猫と兄弟が餌を捕まえて帰ってくるのを


七時間くらい待っただろうか…
夕焼けが目にしみる
(お腹が減ったな)
このまま死ぬのかと言った不安が心に宿ってきた
(転生して一日目で死ぬとかギャグじゃねぇか…まぁこのまま死んでも)
その時だった
俺の体は何かに捉えられた
後に分かったことだが物音も気配もしなかったのはこの人物が念能力者で絶をしていたからだ
(…手だ人間の手だ)
顔を上げると満点の笑顔で微笑む少じ…おじいさんがいた
それが俺とフルールの初めての出会いだった




俺が拾われてから半年が経った
俺はもう立派に育った
人間年齢なら10歳と言うところだろうか
毛艶もばっちりすらっと伸びたしっぽに手足も長い
まさに高身長イケメン…なのか?
あと俺の目はオッドアイというやつだった
蒼と赤
初めて己の姿を鏡で見たときは驚いて静止してしまった
その姿を見てフルールは白い髭を掻きながら笑っていたものだ
きっとカミとかいうやつが
「こっちのがかっこいいんじゃねん?」
とか思ってオッドアイにしたのだろう
猫だから全て関係ないのだが。

ここに来て分かったことはもう一つ
ここはハンターハンターの世界だということだ
街の看板を見てすぐに分かった
死ぬ前ハンターハンターが好きだったからだ
全巻持っていたしもし俺がハンターハンターの世界に行ったらと念能力まで考えていたほどだ
念能力も…猫だから関係ないのだが。



俺は始めこそフルールを警戒していたがすぐに良い人だと野生の勘?が反応した
俺のことを心から可愛がってくれるし美味しいご飯も毎日用意してくれる
そしてホープという名前をくれた
希望という意味だそうだ
フルールに家族はいないらしい
その年で……孤独死は確実だろう
仕事があっても夜には必ず帰ってくる
たまに二日くらいいないが食べ物はちゃんと用意してある
休みの日は俺を膝に乗せながらの読書がお好きなようだ
たまには一緒に散歩もする
フルールは若い子のお尻に弱いということも知った
俺が遊びに行った日、街を仕切るボス猫に喧嘩を売られた 
…ひどくやられてしまった
何せ喧嘩は初めてだったのだ
いつもはその日のうちに帰るのだがボロボロになった体で帰った日は出てから三日後だった
フルールは目をまっかに腫らしその大きな体を震わせて俺を抱き締めてきた
…心配しすぎだ、これが美少女なら俺のテンションはマックスだったはずなのに
その日から俺は売られた喧嘩は買わないことにした
半年間の付き合いだが俺はフルールが相当大好きなようだ 
たった一人の家族だった


今、目の前にフルールが倒れている
真っ赤な海に沈んでいる
フルールの目にも夕焼けが見えているのだろうか



話は少し前に遡る


俺は物音に目を覚ました
小さな体を起こして音がする玄関へと向かう玄関を覗いたとたん体が動かなくなった
心なしか息が苦しい

目の前に映るのはフルールともう一人の
男の姿だった
フードを被っているのかよく見えないが
そう若くは無いだろう
しかしフルールと比べればだいぶ若いはずだ二人は戦っていた
いつものゆったりとしたフルールからは想像できないくらい俊敏とした動きだ
たまに目で追えない…というか消えているときもあった
男は短刀を武器にしているようだ
切りつけたものはその部分がどろっと溶けて…いる?いや、腐っているのだろうか
フルールはそれを避けている
が時々手をどこかにかざす
すると男の目の前に物が現れる
タンス、時計、花瓶
まるでイリュージョンを見ているかのようだ俺はこれの正体を知っている
念だ
二人は念能力者なのだ
念能力者同士の戦いに少し興奮をおぼえてしまう
物を召還し男が破壊した時にはフルールは男の背後に周り蹴りを入れる
俺の目の前を男が吹っ飛んで行く
玄関はめちゃくちゃな状態だがフルールの方が優勢に見えた
男がすぐに起き上がったその時には男の目の前にフルールはいた
男はフルールの首をめがけて短刀を振りかざす
が手を抑えられた
男のフードが落ちる
顔の半分には痣がある
「誰の刺客だっ」
「…」
「答えないならば…」
フルールが手をかざす、キッチンの方向だ
男の頬を包丁がかすって床に突き刺さる
「次は本当に頭を突き刺す」
ピリピリと殺気を感じる
「…」
「仕方ない」
フルールが手をかざそうとしたとき
…フルールの肩を刀が貫通した
何が起きたのだろう
フルールの肩はみるみるうちに腐敗し血が流れ落ちていく
そしてそのまま…倒れた
「…俺の刀は伸びるよ」


俺はフルールにかけよった
ひどい臭いだ
血と肉が腐る臭い
だが鼻を曲げるような臭いなど気にならなかった
俺はまだ綺麗なフルールの顔をなめる
フルールはザラザラした舌の感触が好きらしくなめると喜んでいたものだ
「ほ…ホープ…」
顔は微笑んでいる
なんでこんなときに笑っているんだ…
止めてくれ…死なないでくれ
フルールは俺に触れようと必死に手を動かそうとするが思うように手が動かないらしい
俺は必死に頬ずりをする
「猫…殺しとくか」
男が近寄ってくる気配がするがどうでもいい最期までフルールと一緒にいたいんだ
男が刀を俺に向けようとした

その時フルールが俺に触れた
瞬間体が光に包まれた
最期に見えたのは「生きてくれ」と微かに動いたフルールの唇だった




目が覚めるとそこは俺が拾われた草むらだった
前と違うことは俺の体が成長していることと毛に血が付いていることだ
俺は泣いていた
猫も泣けるのか
「生きてくれ」
フルールの笑顔を、温もりを思い出す
フルールがいなきゃ生きていても楽しくない
でも…それがフルールの願いなら…
俺は立ち上がる
とすぐに倒れた
体がとてもだるい
よく見ると体の周りを何かがふよふよと浮いている
……精孔が…開いた。



[38323] にゃんとか…なった?
Name: カルカッタ◆b263fcab ID:d18bee77
Date: 2013/08/24 22:15
さっきから体のだるさが増してくる

あ、確かオーラが出尽くす=死ぬなんだっけな
…やべぇな

俺は必死に纏をしようとした
がこれがなかなかできない
体に張り付くようなイメージはさきほどからしているのだが
オーラは放出する一方だ

そろそろやばいかも
目の前がぼやけてきた
もっとイメージを強くする
ただそれだけのことに全神経を集中させた

よし…少し落ち着いてきた
人間、死ぬ気になれば何でもできる
いや、猫だった
それに実際死にかけてる
纏は一応できるようになったはずだ
気を抜くとゆるゆるとオーラが抜けていく気がするが死ぬことはないだろう

俺は復讐を心に誓った
フルールを、俺から家族を奪った痣男に
復讐をする
そのためにはこの力が必要だ
俺はこれから強くなるんだ…


てか猫も念が使えるのか?
確か原作じゃピトーって猫っぽいやつがいたけど
あいつはキメラアントだし…
でもまぁ全ての生命体には生命力(オーラ)
があるんだから使えてもおかしくはないよなまぁまずは修行に励むべきだよな…修行と言えばえっと点だっけ?
ん、あれは念に目覚めさせるためのやつじゃなかったっけ
半年経つと漫画の内容もうろ覚えになってきたな…
えーとまず基礎体力作りか?
腕立て腹筋だっけな、あとトンネル掘ったり…寝るときは頭の上に石ぶらさげて
「って人間用トレーニングじゃねぇか!
猫の立場はどうなんだよっ!草走り回ればいいのか?
俺と師匠は!?猫に念教えてくれる奴いるのか!?
猫用トレーニング…原作にある訳ねぇか、ピトーはどうだっけ
ってあいつも人間の形してんだよな…せこいわ!」
※日本語ですが実際は猫語です
ふと周りを見ると三匹の猫が恐怖の色を浮かべた瞳で俺を見ている
騒ぎすぎたみたいだ
「うるさくして悪かったな…」
俺が近づくと三匹は逃げてしまった
猫にも嫌われるのか俺は…
あ、血が付いてるんだった


俺は念の修行に励んだ
もちろん飲まず食わずの訳にはいかない
たまに街に出かけると魚屋へ向かった
猫=お魚くわえたどら猫だ
店の近くによると猫除けのペットボトルがいくつも置いてあった
俺以外の猫も考えることは同じなようだ
あと猫除けにペットボトルは無意味だということがこの世界では知られていないのだろう
俺はゆっくりと店に近づくと粋の良さそうな魚を目で選別する
狙いを決めると臨戦態勢に入る
二メートルほど一気にジャンプすると魚をくわえてダッシュす…生ぐさいなまったく
店主が後ろで何かを叫んでいる
と、隣のアスファルトがかけて飛び散った
「銃持ってんのかよ!!」
この世界は思った以上に物騒なようだ

魚は始めこそ皮の付いたそのままを食べることに
抵抗があったが食べたらくせになる美味しさだった
たまに店頭に並ぶ味付けされた焼き魚を盗んだことも
あったがしょっぱすぎて食べれたものではなかった
猫の味覚になってるんだろう…
嬉しいような悲しいような、いや悲しいに決まってる

猫の体は思った以上に使いやすかった
跳躍力は飛びすぎてこけそうになるほどだし
どこかの家に忍び込んだのが家主にばれてベランダから
逃げたときは10メートルほどの高さを落下したのに
体をひねって綺麗に着地することができた
衝撃も何もなかった
…肉球ってすごい!
ただ俺の走る速さはほかの猫と比べても相当速いようだ
何度か縄張りに足を踏み入れて襲われそうになったが
走って逃げる俺に追いつけるやつは見たことがない
疲労感も感じないのは念のおかげだろう

盗みをして念の修行をして一ヶ月は過ぎただろう
念の修行は全てイメージだった
原作を振り絞るようにして思い出したのは念の四体行のこと
修行内容は自分で考えた
俺は念の四体行はほぼ完璧になっていた
唯一発がまだ不安定だが他の三つは楽にこなすことができる

今思えば俺がフルールと痣男の戦闘に立ち会いながらも
意識を失わなわずにいられたのは念の素質があったからかもしれない
カミのいたずらというやつか…いやなんか言ってから恥ずかしい

絶ができるようになったことは大きな収穫だった
気配がバレないから盗みがとても楽になったのだ
念で噛む力を強化してたまには俺より大きな魚を盗むこともあった
ビバ念ライフだ

俺がカレイ…いやヒラメか?をくわえて寝床である草むらへ帰る途中
路地裏で猫の声が聞こえた
「にゃあにゃあっにゃぉお!」
「にゃっにゃぁあ」
あの…俺はいつになったら猫語が分かるのでしょうか
いや、まじで!始めの頃はおかしいなくらいだったけど
これだけ成長してもなんで分かんないんですか!

路地裏に入っていくといつだか見た顔が揃っていた
血に塗れた俺を見て逃げていった三匹の猫だ
白と黒と三毛
白猫は足に怪我をしている
どうやら魚屋の店主に撃たれたようだ
三毛がつぶやいた
「にゃあ~」
…さっぱり分からない。



[38323] 別視点
Name: カルカッタ◆b263fcab ID:d18bee77
Date: 2013/08/24 21:35
〈三毛猫視点〉

僕たちはいつものように草むらへと向かっていた
ここはボクたちの秘密基地だ
草をどけて土を掘る
そこにお魚の骨とかどんぐりとか隠すのが最近の僕たちの趣味なのだ
草むらにつくといつもとは違う雰囲気がした
何だか空気が重い…前に廃病院に探検に
行ったときみたいなどんよりと重い空気が漂ってる

僕は足が震えていた
すごく近付きたくない
でもダースは俺らの縄張りを汚されていることに我慢ならなかったみたい
一人で正体を突き止めようと進んで行っちゃった
仕方なく僕とミーナも後ろについて行く



それはべっとりと血に塗れていた
色素の薄い茶色の毛は赤がよく映えている
同じ猫のはずなのに…いやこれは何かが違う
僕たちと同じ仲間じゃない
野生の勘が警鐘を鳴らしている
ニゲロ
でも僕の足は動かない
それどころかそいつに釘付けになってしった
そいつが泣いていたからだ
綺麗な蒼と赤の色をしている
左右の目の色が違う猫は見たことがあるけど
こんな目は初めてだった
まるで悲しみと情熱が互いに燃え上がっているよう

突然そいつは叫びだした
にゃぁおおおおー!
…え、何語ですか
確かに似た言葉で喋っているけどさっぱり分からない
なんだかやばい奴かも
ダースが隣で毛を逆立てている
そいつがこっちを見た
二色の目が揺れる
っこっちに来る!
僕たちは逃げ出していた


ダースは見逃してやったんだとか言ってたけど瞳孔は大きく開かれてた
みんな怖かったんだ…あれ何。


僕たちはあの日から二度と草むらに行くことはなかった
路地裏のゴミ箱の上が新しい基地だ
今日はそこで魚をどう奪うか作戦を立てていた
いつもはそれぞれが好きなときに魚を取りに行っていたんだけど
二週間くらい前から魚屋が大きな音のする恐ろしい物を持つようになった
そいつに攻撃されて死んだ仲間もいるらしい
ダースは自分の目で見たらしい
黒くて大きな塊から何かが飛び出て当たった物はみんな砕け散るらしい
僕とミーナは怖くてネズミやゴミ箱にはいってる生ゴミを食べていた
正直おいしくない
生臭いし干からびている
ダースがとってくる魚は三匹だと全然足りなくて
一日に二、三匹の小魚をみんなで分け合った
そんな生活が一週間続いた
気付けばみんなガリガリになっていた

そろそろ我慢ができない
そこで僕たちは三匹で魚を奪う作戦を立てることにしたのだ
作戦はこうだ
まず一匹がわざと派手に盗みをしようとする店主が怒って
黒いのをもって追いかけ始めたところを隠れていた
二匹が出てきて魚を奪う作戦だ
これならいつもの倍の魚が食べられる!
でも一つある問題は誰がおとりをやるかってこと
「……俺がやろう」
やっぱりだ
ダースが名乗りでる
ダースはいつも僕たちを守ってくれる
お腹が減って死にそうだった僕とミーナに
三分の一も食べていない自分の魚を与えてくれた
本当に…お兄ちゃんみたいだ
僕はいつも迷惑をかけてばかりだ…今も…僕はそれを
黙って受け止めようとしている
「私がやる」
!?
ミーナが名乗り出た
「なっできるわけねぇだろ!」
ダースが叫んだ
「ダースはいつも私たちを守ってくれた!私に恩返しさせて…
体も一番小さいし黒い何かが当たる範囲も狭い、それに足に自信もあるのよ!」
ミーナは確かに足が速い
でもミーナは僕と同い年の女の子だ
女の子にこんな危険な役は…
「本当に…大丈夫なのか?」
ダースが不安の色を浮かべてミーナに問いかける
「うん!任せてよ!」
ミーナは…自信たっぷりに見えた
でも僕は気付いていた
ミーナは不安なときしっぽの先を少し丸める癖がある
「…気をつけてね」
僕は知らないフリをした
僕は…サイテイだ


ミーナの悲鳴が聞こえる
頭がどうかなりそうだ
作戦は失敗した
ミーナは怪我をしてもなお必死に走っている
ダースは店主の顔を引っかいている
僕は…黙ってそれを見ている

店主がひるんで僕たち三匹はどうにか逃げ切ることができた
ミーナはひどく衰弱している
お腹もペコペコのはずなのにこの致命傷は…スベテボクノセイダ

頭がグルグル回る
「しっかりしろ!」
ダースか言う
「しっしなないで…」
僕は何でシナナイデなんて言ってるんだろう
そんなことをいう資格なんて無いのに

物音がした
後ろを振り向くと二色の色をした瞳が揺れている
…あいつだ
誰でもいい、今はどうでもいいんだ
僕はタスケテとつぶやいた


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