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[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました】【マブラヴ X ARIEL】【完結】外伝その他おまけ更新中
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:35
S-1 戦艦オルクス艦橋

「最終進路調整完了、タッチダウンまで後10秒です。」

超空間航法中のゲドー社A級戦艦オルクスの第一主艦橋にオペレータの柔らかな声が流れた。

「しけた星だな」

最新版の分厚い銀河ローカル観光ガイドをめくっていた艦長のアバルト・ハウザーが手を止めた。

「たったの半ページ、星系全部でも1ページも使ってない。」

「載っているだけマシな方でしょう。」

参謀副官のデモの場の応答は、いつもながらに冷たい。

「マシとはいえ50年以上前のデータだぞこんなものあってもなくても同じではないか」

「目標ポイントにタッチダウンします。」

S-2 北米防空司令部 司令室

アメリカ合衆国コロラド・スプリングスにそびえる、海抜2850メートルのシャイアン山の
岩盤をそのままくりぬいて作られた、巨大な防空基地が存在する。

北米防空司令部、NORAD ベータとの全面戦争を想定し、アメリカ以外の国全てが滅んでも
ベータとの戦争を続行するために機能するこの基地は、1973年の中国新疆ウイグル自治区喀什
にBETAの着陸ユニットが降下した際以来の最大の騒ぎを起こしていた。

「衛星軌道上に全長十キロの物体が突然出現しただと!?」

北米防空司令部司令長官、国連宇宙軍大将ジョージ・マッキンタイヤーは、最初の報告を受けて
以来、もう何度目になるかわからないほど同じ叫びを繰り返していた。

「そんなことがありうるはずがない、喀什に降りたベータの着陸ユニットですら、1kmも
 ないのだぞ、そんなものあるはずがない!!」
 
地球に降下するベータの着陸ユニットに先制核攻撃を行うためにNORADでは、地球上全ての
衛星軌道上及び月軌道までの物体と100m以上の地球と軌道が重なる物体を常時監視していた。

深宇宙探知追跡システムと呼ばれるこの探査システムのうち、衛星軌道上に向けられた大型の
レーダの幾つかが、その異常をNORADに伝えてきたのはつい5分ほど前、グリニッジ標準時で
深夜11時過ぎ、現地であるコロラド・スプリングスではまだ午後3時をわずかに上回った
ところだった。

「すでに各所のレーダーがその存在を確認しております。」

伝令の報告を訊くまでもなく、マッキンタイヤー将軍は、各地のレーダ群からくるデータが
その存在の実在を示していることがわかっていた。

指令センター中央の大型ディスプレイには集められた情報が集積され表示されていた。

「長形10km、短形1.8lm 推定重量 8億トン以上だと・・・」

将軍は、完璧な空調がなされているはずの司令室で汗を拭った。

「あんなものが降下してきたらもう終わりだ」


S-3 横浜基地 副司令私室

「緊急のこととはいえ、早朝早くに女性の私室に勝手に入って申し訳ない。」

どう聞いても申し訳ない感じが一切しない口調で突然鎧課長が部屋に入ってきた。

「要件を言いなさい!」

「つい先程全長10kmほどの巨大な物体が軌道上に出現してきたそうです。」

横浜の魔女と言われる香月副司令ですら絶望に潰されそうになっていた。

以下続かないかも



[38623] 【一発ネタのつづき】【オルクスは来る世界を間違えました2】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:40
S-4 地球周回軌道上 再突入型駆逐艦マザーグース1

「アクイラ1よりマザーグースへ降下開始時間を過ぎたがどうなってるんだ。」

「防空司令部より緊急指令があり軌道降下訓練は中止、各機モードをJIVESから実戦モードに切り替え
 実弾を装填し待機せよとのこと」

「マザーグース、何か地上の戦線に異常があったのか?」

「解らないわ、待機としか命令が来てない。今追加の命令が届いた!何これ?」

「どこの地獄への招待状が届いたんだ、カシュガルにでも行けって命令でもでたのかい?」

「こちらアクイラ2、早く命令を教えてくれ、怖くてチビリそうだよマザー」

「マンマより各機へ新しい作戦計画書を転送します。あとアクイラ2へ強化装備に
たっぷりちびっとけ多い日も安心よ。」

小隊の各機に転送される計画書

「アクイラ1よりマザーグースへ今日は4/1か?この計画書通りに本当に実行するのか?」

「ええ最優先命令だそうよ。」

「アクイラ2よりマザーへ、いくら軌道上だからってこんな無茶ありかい?」

「しょうがないじゃない、この艦には直接の武装もないし、航行に必要な計測機器以外
 ないんだから。とりあえず手順を念のため説明するわね。」

マザーグースからアクイラ小隊へ説明が始まる。

「アクイラ小隊各機は、リエントリーシェルを放棄し、マザーグース1の翼上部に移動
 各パイロットは、与圧服に着替え緊急減圧を行い、各機をワイヤーで固定しその後、
 この船の武装と観測機材の代わりにします。準備完了後、目的の宙域に全力で移動し
 強行偵察を行います。」
 
「一体何の強行偵察をしようとするんだ?」

「命令書にもないし知らないわ?お星様でも落ちてくるんじゃない?地上でもレーザー級
 がでてからほとんど飛ばなくなったブラックバードを飛ばすみたい。振り落とされない
 ようにしっかり捕まっててね」
 
S-5 ホワイトハウス

ワシントンDC 午後5時過ぎ、
これからパーティというところへ、現在進行中の対ベータ戦略に最高度の問題が発生した
と防空司令部からのホットラインで連絡が来た。

「軌道上に全長10kmの未確認物体だと?観測機器の故障ではないのか?」

「大統領閣下、これは故障ではありません。現在最も近くにいる再突入型駆逐艦を
 強行偵察に向かわせていますので、おそらくもうわずかの時間で鮮明な画像データを
 入手できると思います。」


S-6 オルクス 第一会議室。

「デモノバ、この星はどうなってるんだ?」

「どうとはどういった意味でしょうか?」

「自滅係数が100を超えるような戦力を持ってる割に、なんで宇宙害虫にやられているんだ。」

「さあ?自滅係数と言っても文明レベルによって戦力比は違いますからなんとも。」

「この星の事前調査はどこの会社がやったのだ?杜撰すぎるぞ」

「記録ではゼネラル・オプチカリクス渉外事業部回収課デネブの支店が紛失機材の回収がてらに
 50年ほど前に行った記録がありますが、その時点ではいなかったのでしょう。」
 
「まあいい、それで宇宙害虫の種類は特定できたのか?」

「はい艦長、お喜び下さい。これは駆除に助成金の出るタイプの害虫です。」

「助成金が出るだと?」

「はい、先史文明の負の遺産だそうで、ほおって置くと開発可能惑星を破壊してしまい
 その生計の資産価値を激減させるため即時駆除対象だそうです。ただし1つだけ問題が・・・」
 
「問題とは何だ? 一見弱そうだか駆除できないほど強いのか?」

「助成金の対象は帝国の版図に限るとの条件が・・・」

「この星の侵略を終わらせんと駆除してもお金にならんのか?」

「はいそうです。ただこのまま放置すれば星もふくめこの星系の資産価値はどんどん下がり報奨金も下がります。」

「先にある程度間引くのではいけないのか?」

「一応先史文明の遺産らしく、攻撃を繰り返すとそれに対して対抗手段を得て処分が大変
 になるそうで」
 
「降下兵では相手にならなくなるのか?」

「いえ、巧妙に隠れるようになってしまって駆除が大変になり駆除のコストを考えると、
 星ごと潰すしかなくなるそうです。」

「それでは最短で侵略を終わらせるしかないではないか!」

「艦長、そこで問題が・・・」

「この程度の星、全力で侵略すればどうにでもなるだろう。」

「報奨金が問題なのです。この星の侵略権を落とすためにかけたコストを考えると
 期間ぎりぎりまで引っ張って報奨金をもらわないと赤字になりますな」

「害虫駆除で助成金が降りるのではないのか?」

「この手の助成金は、申請して降りるまで数年かかる場合が多いのでそれを待っているとゲドー社が
 倒産してしまいます。」

「時間をかければ、報奨金が下がるし、時間をかけなければ一時金を考えても赤字とはどうすれば・・・」


以下続くかどうかはわかりません。



[38623] 【一発ネタのつづきのつづき】【オルクスは来る世界を間違えました3】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:42
S-7 オルクス経理部

焦燥した顔でハウザー艦長が入ってくる。
「経理部長、再試算はもう終わったか?」

焦燥した顔でシモーヌが返答する。
「かんちょう~もうダメです。」

「どのぐらい資産価値が減ったんだ?」

「侵略権落札時の半分以下です。」

「最速で侵略を終わらせた時に出る一時報奨金を入れても難しいか?」

試算表を写したディスプレイを艦長に見える方向に回しながら
シモーヌが言う。

「害虫駆除の助成金がすぐに降りればいいんですが、かなりしつこい害虫だそうで、
 過去の例から申請後、確認のため最低5年間は待たされるそうです。
 その手形を割って充足に回したとしても一時報奨金を入れて当初の80%にしか
 なりません。」
 
「では、ぎりぎりまでねばった場合はどうか?」

画面を操作して別の試算表を表示させながら返答する。

「過去の例から、資産価値がどのぐらい下がるか検討したんですが、
 限度ぎりぎりまで引き伸ばすと最悪資産価値が当初の20%になります。」
 
「採算分岐点は何%なんだ?」

「85%です。もうだめです倒産して、会社がバラバラにされて人材市場で
 みんな売られちゃう。」
 
「落ち着けシモーヌまだ倒産したわけではない。」

「でも艦長もうどうすれば?」

「どうにかするしかあるまい。そうだシモーヌ、仮にこれ以上資産価値が
 落ちなかったとして、ぎりぎりまで粘って害虫駆除の助成金を貰ったらどうだ?」

再度試算を出し直す経理部長。

「その場合だとギリギリ86%でなんとかなるんですが・・・」

「それしかあるまい、何とか資産価値を下げずにぎりぎりまで伸ばす方法を検討する。」

「そんな奇跡みたいなことできるんですか?

「倒産を回避するにはやるしかない。」


S-8 NORAD 国連宇宙軍防空司令部司令室

「いま映像が来ました。」

司令部の大型ディスプレイに映るのはベータのような生物系の特徴を持つ物体ではなく
明らかに、人為的な手により作られた巨大構造物。
将軍は何ともなしにつぶやく。

「ベータではないのか?」

オペレータから報告が上がる。

「センサーによる計測結果が来ました。ほとんどの成分は不明なのですが、
 明らかに生物ではなく人為的な構造物です。」 

「今なにか光らなかったか?」

参謀の一人が言葉に発した瞬間、巨大構造物から何かが出て来てしているのが見て取れた。

「最大望遠で写せ!!」

人のシルエットの似た機械でも生物でもないようなたとえるならば悪魔のような
何かが発進している。

「もしかしてベータはこれの前哨部隊なのか?」

オペレータから報告が上がる
「強行偵察に向かった駆逐艦との通信途絶!!」

司令室は重い沈黙に包まれた。




[38623] 【本当に一発ネタだったの?】【オルクスは来る世界を間違えました その4】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/02 23:58
S-9 戦艦オルクス艦橋

焦燥した顔のハウザー艦長が環境に入ってくる。

「艦長、お忙しいところおよびしてすいません。」

「デモノバ要件はなんなんだ?」

「現地勢力と思われる宇宙船が接近しておりました。」

「それは確か慣性制御ももたんようなレベルの文明だったな」

「はい、ごく原始的な核分裂レベルの転換炉しか持たない文明です。」

「それならほおっておいてもいいのではないか?」

「ところが問題が・・・」

「問題とは何だ、その程度の文明レベルなら降下兵に傷ひとつ付けれんだろうに・・・
 まて、おりましただと?」

「はい先ほど現地の情報収集用に展開したステルス観測衛星にぶつかりました。」

「それで衛星の損害は?」

「衝撃で一時データ通信が乱れましたがその程度です。」

「なら問題はないではないか」

「いえその後が問題でして、推力を失ったようで今の軌道だと現地勢力最大の
 都市に衝突します。」
 
「大至急回収しろ!!」


S-10 NORAD 国連宇宙軍防空司令部司令室

沈痛な面持ちで参謀が報告を始める。

「駆逐艦の撃沈とその残骸が、謎の巨大物体に回収されたことを確認しました。」

こちらも焦燥しきった面持ちの将軍が参謀に訊く。

「攻撃を受け、撃沈されたことは理解しているが、どんな攻撃を受けたのか?」

「直前までのデータリンクにはそれらしい情報は何もなく、全くの不明です。」

「レーザー級のレーザーにやられたのではないのか?」

「レーザ級ーのレーザーであれば初期照射があるのですが今回はこれを検知しておりません。」

「それで、これに対しての対抗策はないのか?」

「どういった攻撃か不明のために対向する手段はありません。」

「手段がないでは済まない、せめてどういった攻撃か至急調査をするように。
 現時点で何か追加の情報はないのか?」

参謀が手元で操作を行い、大気のゆらぎのせいか輪郭が若干ぼやけた映像が
正面のディスプレイに映し出される。

「現時点では、地上からの光学観測結果しかないのですが複数の小型物体を放出している
 と言った情報しかありません。」

「小型機の動きは?」

「現在残っている大型都市上空で何かをしているのはわかるのですが、それ以上は・・・」

「憶測でいい現時点でのあの物体は何だと思う?」

「先制攻撃を仕掛けてきたところからすると、こちらに友好的な可能性は非常に低く、
 敵性勢力であることは間違いないです。ただベータとの関連性はまだ不明ですが、
 放出された小型物体が、機械ではなく生体のような形状の為、関連性は非常に高い
 ものと推測されます。」
 
「ベータの関連勢力、それも上位の可能性が高いということか?」

「はい現時点では最もその可能性が高いものと思われます。」

「大統領に報告にいかねばならない。すべての可能性を洗い出し大至急報告書に
 まとめるように」



[38623] 【なぜか続いた一発ネタのつづきなのです】【オルクスは来る世界を間違えました5】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:45
S-11 オルクス 第一会議室

経理部と作戦部の人員が死屍累々となっているなか会議が始まる。

「デモノバ、侵略関連の帝国法に抵触する部分はないんだな」

「はい艦長、かなりグレーゾーンになりますが違法な部分はありません。」

「シモーヌ、この計画に基づいた場合の最終試算結果は?」

「採算分岐点、ぎりぎりの85.2%の収益が確保できる予定です。」

「それでは本作戦の最終確認を行う。デモノバ説明を頼む。」

「はい艦長。」

「まず本作戦の骨子になる部分ですが、現地勢力へのテコ入れと、
 武装制限による宇宙害虫の適応を抑えることになります。」

「まずテコ入れですが、現地勢力が宇宙害虫の巣に進行する際や
 大規模侵攻阻止作戦時にこちらも合わせて進行を行い、現地勢力と
 交戦を行いその際に、たまたま宇宙害虫の間引きを行います。
 さらにその際にはエネルギー兵装は、使用を禁止し、原始的質量兵器
 による格闘戦を行います。これにより宇宙害虫の隠蔽能力の獲得を
 できるかぎり遅らせます。」

「単独で間引きをしたらまずいんだったな?」

「はい、単独で間引き作戦を実行していた場合、高確率で現地勢力が降伏してくるかと」

「現地勢力が降伏すると、その時点で侵略業務が終了だったな。」

「はい、通常このような複数の勢力が混ざった惑星の場合、統一政権が無いため、
 受理可能な降伏宣言が来ることまずないのですが、このような状況下ですので。」
 
「それは理解した。軍事的支援はこれで何とか行うとして、引き続き技術的な支援に
 ついて説明を進めてくれ。」
 
「はい艦長、現時点の現地勢力の能力では、先ほど上げた軍事的支援だけでは、
 惑星の資産価値の維持が非常に難しいものと思われます。
 一番の問題は、なぜあるのかは不明なのですが、重力異常を起こす重力爆弾を
 現地勢力が保持し、侵攻作戦の切り札としている件です。」
 
「それは、報告書で読んだが、この現地勢力は馬鹿なのか?」

「さあ?そこはわかりかねますが、それを使わさせないことが最大の課題である
 ことは間違いないです。そこで、軍事支援の際にスクラップからでっち上げた
 現地勢力に渡っても支障がない程度の降下兵等を作成し、作戦終了後故障のため
 廃棄することで、技術的な支援とすることを検討しています。」
 
「その方法で帝国外への技術供与禁止規定に抵触しないんだな?」

「はい、戦闘時に故障した機体を破棄することはよくありますし、転換炉、
 慣性制御、超光速機関などの特定指定技術さえ渡さなければお目こぼし
 いただけるレベルかと」
 
「それで提供する技術はどの程度を想定しているんだ?」

「主に光学兵器対策のコーティング技術を考えております。」

「その根拠は?」

「現地勢力は、光学兵器対策が甘いらしく、航空支援なしの地上進行作戦や損耗を
 無視した軌道降下作戦を行っているようで、そのため宇宙害虫の光学兵器が
 きかない重力爆弾を切り札としているためです。」
 
「なるほど、光学兵器さえ無効になれば、航空支援ができるから損耗を抑えられるか
 分かった。続けてくれ」
 
「提供方法としては、降下兵に原始的な対光学兵器コーティングを行った盾と
 補修用のスプレーを持たせることにしています。」
 
「完成品と原材料を渡すんだな」

「はい、これにより現地の重力兵器を好んで使用する勢力を抑えられ、その使用を
 抑えられるものと分析しています。」
 
「それにより現地勢力が、害虫駆除に成功する可能性はないのか?」

「現時点での分析結果では、かなり疲弊しているため、いくつかの巣を破壊できる程度が
 限界かと」
 
「分かった。つまりまとめると、現地勢力に降伏させないように、なおかつ現地勢力が
 資産価値をこれ以上下げないように支援すると。」
 
「はい艦長その通りです。」

「本当にこれは帝国法に抵触しないのか?」

「はい、何度も作戦部で検討しましたが大丈夫です。」

「経理部に確認する。この作戦は長期計画での資金繰りは大丈夫なのは分かったが、
 短期的には大丈夫なのか?」
 
「短期的にはかなり厳しい部分がありますが、何とかします。」

「よし分かった。ゲドー社の存亡は本作戦の成否にかかっている。
 全員大変だと思うがよろしく頼む。」




[38623] 【一発ネタ 第一回sage進行やめてみました記念】【オルクスは来る世界を間違えました6】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:48
S-12 横浜基地副司令室

部屋にはそこら中にプリントアウトされた紙が舞い散り、竜巻の被害にあったかのような
副司令室に一人の怪しい男が侵入してきた。

「香月副司令、お忙しいところをすいません。おっとこれは竜巻の被害にでもあわれましたかな?」

充血し真っ赤な目をした香月指令は、投げやりな感じで返答した。

「そうよそれが何か?」

「この部屋だけの局地的な竜巻とは大変ですな」

「もうどうでもいいわ。鎧課長、要件は何?」

「例の巨大物体について意見を聞いて来いとのお話がありまして」

「例のアレね、もう考えるだけ馬鹿馬鹿しいわ」

「アレはどういう物だと分析されていますかな?」

「間違いなく敵性勢力、それも今まで見たベータとはレベルが違う何かね。」

「レベルが違うとは、なにか根拠が?」

「巨大物体から放出された小型機の軌道がすべてよ」

「軌道ですか?」

「いいわ説明してあげる。もう何をしても無駄で時間はたっぷり有るから」

そう言って手元にあったキーボードを操作し、小型機の通った軌道を
壁面のディスプレイに表示する。

「いい?問題なのはこことここよ?光学観測だけだから100%じゃないけど、
 質量、熱量ともに変化なしに鋭角で軌道を変えてるのよ」
 
「それが何を意味するのですかな?」

「この敵はこのサイズのものですら、慣性制御ができるのか、それとも信じられない
 ぐらい強力な重力制御ができるのが間違いないわ。つまり敵は物理法則を書き換える
 ことができるの」
 
「物理法則の書き換えですか?」

「そうよ、それから推測されることは、巨大物体が突然現れたのは昔のSFにでもでてくる
 ワープでもやったのね」
 
「ワープですか?」

「そうよ!、今まで戦ってきたベータは、何とかこちらの科学技術で実現不可能でも
 方法だけは想像できるレベルだったのに今度のやつらは、どうやってるの想像でき
 ないほどの技術の格差があるのよ!!」
 
「副司令はこれがベータと関係が有ると思いますか?」

「ないと考える方がおかしいんじゃない?たぶんベータはこの巨大物体の先行部隊じゃない?」

「根拠は有るのですか?」

「ないわ、もうこうなってくるとSF作家でも呼んできて話を聞いたほうが良いレベルよ」
 
「それはどういう意味ですかな?」

「昔暇つぶしに読んだSFにこんなものが有るのよ、ナノマシンをいろんな方向に打ち出して、
 運よく星に辿り着いたら前線基地を自動で作り、本隊に連絡をとり、本隊が攻めてくるって話」
 
「それが現実になったと?」

「たぶんそれが一番近い状況じゃない?」

「それで対応策は?」

「ないわ?レベルの低いベータ相手にすら負けてるのに、その上位の存在に勝てるわけがないわ、
 もし対話できる存在なら何らかのアクションが有るだろうにそれもない。
 つまりは、人類はもうおしまいなのよ、アハハ・・・・・・」
 
香月副司令は壊れたように笑い続けた



[38623] 【一発ネタ sage進行じゃないとなんか怖いなぁ僕悪い子じゃないよ】【オルクスは来る世界を間違えました7】修正版
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:51
S-14 オルクス医務室

あまり顔色の良くないハウザー艦長が、医務室に薬を求めてやってくる。

「船医長、すまんまた胃薬と強壮剤をもらえないか?」

「艦長、短期決戦ならともかく、船医長として胃薬は処方できても、
 強壮剤は処方できません、それより短期間でいいのでお休みを取られて下さい。」
 
「そうはいってもだな」

「どうもこうもありません。全艦戦闘態勢でない限り、艦長に対してもドクターストップ
 をかけて拘束する権利も有るんですよ!」

「分かった分かった善処するから胃薬だけで処方を頼む。」

「本当におねがいしますよ。そうだ艦長、この間回収した現地の宇宙船と降下兵のパイロットは
 どうなさいますか?」
 
「そういえば忘れていたが、鹵獲したんだったな」

「ええ、現在どうするか決まってないということと、損傷がひどかったので、凍結処理をして
 現状維持のまま保護しているのですが・・・」
 
「そうだな、せっかく助けたのにそのまま見殺しにするのも気分が悪いから、治療を行った上で
 再度凍結処理をしておいてもらえるか?」
 
「治療後、現地に返すのではなく、凍結処理ですか?」

「今こちらの情報を現地に渡すわけにはいけないからな」

「占領後に返還ですか?」

「そうだな多分そういうことになるだろう」


S-15 NORAD作戦会議室

喧々囂々と秩序なく時間だけが過ぎて言っている会議室。

「降下ユニット対策用の軌道核弾頭を束にしてぶつけてはどうか?」

「あの小型機の防空網を抜けてか?」

「なら大量にデブリを作って、ヤツの軌道上に流すというのは?」

「相手は、自由に軌道を帰れるようなやつなんだぞ!!避けられて終わりだ。
 それにそんなもんばらまいたらこちらの駆逐艦も打ち上げれなくなるぞ!!」
 
「今あるG弾をすべてぶつけるのはどうか?」

「それしかないか?ただどうやって当てるんだ?」

「戦術機を改造して、特攻させるしかないのでは?」

「そんな重い物背負ったやつを突っ込ましたってタダの的だろ」

「じゃあどうするんだ?現在使える再突入駆逐艦全てを特攻用のミサイル替わりにでもするか」

「この間の戦闘記録を見てないのか!!」

「そうだオルタネイティブ5計画で作っている宇宙船はどうか?」

「アレをどうするんだ?」

「時間はかかるが、アレは準光速まで加速できるんだろ?全力で加速させた上でぶつける。
 それならうまくやれば小惑星を消し飛ばすぐらいの威力があるぞ!!」
 
「避けられたらどうするんだ、そもそもぶつける軌道をとったらそのまま破片が、地球に
 落ちてきて終わりだぞ」

「こうなったらあれが最後の希望だぞ!!何を考えてるんだ!!」

「そうだこういった時にこそ横浜の魔女を利用しようではないか?」

「どういうことだ?」

「このまま何もせずに手をこまねいているわけにはいかんし、現時点では勝てない可能性が
 高い。負け戦をしてアメリカの威信を傷つけるわけにはいかん。」
 
「失敗しても横浜基地と日本帝国に責任を、成功したら国連軍に栄光をということだな?」

「そうだそれがいい」

「ただそれだけでは、横浜の魔女もうんとは言うまい何か方策はないか?」

「あれはどうだ?HI-MAERF計画で開発途中で頓挫したあのパイロット殺しの戦略航空機動要塞
 以前からアレをよこせと言って来ていたんだから、アレをやるからってことで」
 
「そうだそうしよう!!どうせゴミだ予備パーツも含め全部くれてやれ!!」

「現在オルタネイティブ5計画のための宇宙船は何機、いやそれを使って何人脱出できる?」

「確かまだ数千人レベルだったはずだがどうするんだ?」

「勝ち目のない戦いなのは間違いない、それでオルタネイティブ5計画をそのまま実行しても、
 軌道上にあんなものが有る限りそのままでは脱出できない。」
 
「まさか?」

「そうだ、横浜の魔女をアレにぶつけている間に、それをおとりとして我々のような人類復興に
 必要な優秀な人材を乗せれるだけ乗せてオルタネイティブ5計画を実行するのだ!」

「相手が追っかけれないように、こちらの出発と同時に現在有るG弾を全て奴の真下で爆発させ
 砕いた地殻をそのままぶつけるのはどうだ?」

「それはいい目眩ましと攻撃になるな!」

「苦渋の選択だが人類存続のためには仕方がないな」
 
「それではあれを横浜の魔女に送る準備をして、耐えられないほどの苦渋の選択だが我々は、
 脱出の準備をしないといかんな?」

「情報漏えいとパニックが起こるとまずいので、今の一般人も含むリストは破棄して新しい
 リストにしないとな。」

「その際、漏洩防止のため、身内が多くなるがしょうがないな」

「そうだなそれはしょうがないことだ」

「それでは本会議はこれで終了するものとする。皆の健闘を祈る。」



[38623] 【一発ネタ age進行って書くと某ゲームメーカ名のようにも聞こえるな】【オルクスは来る世界を間違えました8】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:53
S-16 ソ連宇宙軍 秘匿作戦司令室

焦燥した面持ちの男たちが暗い部屋の中にいる。

「誰だ!ベータではないから対話が可能かもしれないと言い出した奴は!!」

「ベータ相手では対話は無理でも思考は読めたのに、今度は思考すら読め
 なかったというではないか」

「それでどうするんだ!!」

「AL4に移行時に残った人材は一人しかいなかったと言っていた嘘が、横浜の
 魔女にバレたぞ!」
 
「我々が独断でやっていたことにするしかあるまい。」

「そうだな・・・これ以上ソ連の威信を傷つけるわけにはいかん」

「ソ連の栄光のため皆死んでもらえるか?」

「そうだなしょうがない」

「我らがソ連に栄光あれ!!」


S-17 国連軍横浜基地 副司令室

胡散臭い男が持ってきた書類を読みつつ、昨日と違って落ち着いた雰囲気の
香月副司令が言う。

「ソ連も馬鹿なことをしたものね。」

ソ連は、AL3計画の失敗で傷ついた威信を回復させるべく、
対話作戦を他の国の承認を受けずに行った結果、
残っていた貴重なESP能力者の大半を失ってしまった。

「暴走した者は全て処刑した。残っているESP能力者は全てそちらに送る
 なんてただのトカゲの尻尾きりじゃない」

「アメリカも例のものを送るから、AL4の成果をいまだせとか
 何か裏があるわね。何かその辺りあなたなら知ってるんじゃないの?」

アメリカからは、以前要求していた機材と資材がほぼそのまますべて、
及びアルフレッド・ウォーケン少佐率いるF-22一個大隊と、選抜された
一般兵で構成される2個大隊とそれを軌道上に送るための軌道往還機等、
ありえないレベルの戦力が送られてきていた。

「さあ例のリストに乗っている人の一部が消息不明になったとは聞きますが。」

「私を囮として不完全でもAL5計画を実行する気なのかしらね?
 馬鹿よね、超光速を物にしているような相手が見逃してくれるわけが
 ないじゃない」

「現時点でのAL5計画は無理ですか?」

「無理よ無理、こちらは準光速までしか出せないのに、相手は超光速が可能なのよ
 ベータ相手なら追いつかれないかもしれないけど、すぐ追いつかれて終了よ。」
 
「可能性があるならやんごとなき立場の方だけでも何とかと思いましたが、
 工作を行うだけ無駄ですな」
 
「そうね、まあこれだけの戦力があっても強行偵察ができるかどうかなんだから」

「反攻作戦ではないのですかな?」

「たぶん相手にさえしてもらえないわ、無駄なのはわかってるけどここまで来たら
 腹をくくって出来るだけのことをするだけよ!」



[38623] 【一発ネタ ネタ切れ】【オルクスは来る世界を間違えました9】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:56
S-18 国連軍横浜基地 ブリーフィングルーム

国連軍、帝国軍、米軍の精鋭が集まり最終ブリーフィングが始まる。

「国連軍横浜基地副司令の香月です。いまから作戦の最終ブリーフィングを始めます。
 その前に司令より訓示があるそうです。」
 
「国連軍横浜基地指令のパウル・ラダビノッドだ。成功の確率が限りなく低くほぼ生還の
 可能性はない絶望的なこの作戦に参加を志願してもらいありがたく思う。
 色々言いたいことは有るのだが、うまく言葉に出来ない。
 諸君にこんな無謀な作戦しか用意できなかった我等を許すな
 諸君を戦場に送り出す我等の無能を許すな
 願わくば、諸君の挺身が、人類存続の礎とならん事を 」
 
参加している全ての人が一斉に立ち敬礼で返答を返す。

「指令ありがとうございました。それでまず本作戦の概略を説明します。」

香月博士の後にある大型ディスプレイに、謎の大型物体の近隣の軌道図が表示される。

「本来ならNeed to Knowが原則なのですが、本作戦の目的のため全ての人員に
 今回情報の開示を行います。」
 
「まず今回の作戦は、極論を言えば損害は一切無視して私と彼女達を敵大型物体に
 送り込むことを目的とします。彼女らはオルタネイティヴ3でつくられた人口
 エスパーです。」

「私と彼女らが中に侵入して、敵のシステムに侵入して情報の奪取もしくは、
 中に有る何かとの対話を行うことが最終目的です。」

「ここまでで質問はある?」

「米軍のウォーケン少佐だ。情報の奪取及び対話ということだがそれが可能なのか?」

「そうね、隠していてもしょうがないから開示するけど、すでにソ連により対話が
 可能かどうかの調査のため、彼女らの仲間をぶつけて見たそうよ、その結果
 対話どころか思考も読めなかったみたい。」
 
「それでは本作戦の意味は無いのではないか!」

「そうね、現時点では不可能という可能性が高いわね、でも全く勝算がないわけ
 でもないの。彼女らの中には、機械の微弱な電磁波ですら情報として見える能力
 がある子がいるの、それが一切情報を見えないということは、何らかの方法で
 防壁を張っている可能性があるの。」

「中に入れば防壁を敗れる可能性があるのか?」

「竹の花が咲く確率ぐらいね、でも今ある可能性の中では一番マシなのよ。
 何もせずに死ぬより、一番マシな確率にかけるのはいけないこと?」

「可能性が0ではないなら構わない。それしかないならそれを行うのが軍人という
 ものだからな」
 
「概略は、ここまでとして詳細は副官から説明してもらうわね。イリーナ後はお願い。」

「ご紹介に頂いた国連軍横浜基地のイリーナ中尉です。それでは詳細の説明に入ります。」

後ろのディスプレイの地球よりの軌道に、配置図が表示される。

「まず第一陣に配置された各中隊ごとに一機ずつ能力者を載せた複座型戦術機を配置します。」

各中隊の配置図中央に赤い点が追加される。

「各中隊は、その一機を死守して第二陣到着までにできうる限り敵巨大物体に接近します。
 その際、能力者が負傷したとしても、死なない限りは作戦を続行します。」
 
「念のためもう一度言います。足がなくなろうと腕がなくなろうと、下半身がまるごと
 なくなろうと能力者が生きてるようであれば作戦続行です。」

第一陣より大規模な第二陣が画面上に表示される。

「第二陣は、敵大規模物体へ突入用の破砕孔をつくるための突貫部隊です。」

「中央に戦略級戦術機 スサノヲを配置し、これを持って破砕孔を作る予定です。
 この機体にはラザフォード場を利用した障壁が常時展開されるため、半径500m
 以内に近づくと戦術機が即時粉砕されます。ただこの障壁にも限度があるため
 できうる限り接近する物体を排除することと、突入軌道確保のため本機に搭載
 された荷電粒子砲を発射する際には、障壁が解除されるためその際には、
 例え機体を盾にしてでも防衛してもらいます。」
 
「スサノヲが敵巨大物体に接触した時点で、スサノヲに搭載された動力炉を暴走させ
 爆破します。その際の破壊力は推定でテラトン単位になります。」

ディスプレイに爆発による影響予想範囲が表示される。

「破砕孔が出来次第、第一陣の部隊がそこから進行します。なお第一陣がバラバラに
 進行する理由として、このスサノヲの爆発により第二陣の生存がほぼ絶望的なこと、
 それと同時にばらばらで進行することで確率論的に誰か一人でも侵入するためです。」

「そして第三陣が進行します。この第三陣には当基地の副司令が乗った駆逐艦も
 含みます。第三陣は第一陣の陽動、第二陣のスサノヲの爆破により比較的高確率で
 敵母艦への進行が可能と思われます。」
 
「侵攻後、集めた情報はその場にいる全ての戦術機に配信され、能力者を伴った部隊、
 及び第三陣で突入した副司令を含む部隊からの信号が途絶次第、手段を選ばす地球へ
 通信可能な場所まで移動し、少しでも多くの情報を地上に送ります。
 その際、成否確認や、救出の必要はありません。」
 
「繰り返します。対話が成功するのがベストですが、不可能な場合、その時点で
 最重要なのは情報を持ち帰ることです。以上です。」

「イリーナありがとう。 副官から説明があったと思うけど、対話ができなければ
 次善の策として、敵の技術情報を少しでも持ち帰るのが人類存続のために必要な
 ことよそのためには、手段を選んでいるわけにはいけないからその辺は理解してね。」



S-19 副司令室

「まりも、無理やり現場復帰させた上に生存確率が限りなく低いこの作戦に巻き込んでごめんね。」

「私は軍人だから命令があればしょうがないからいいのでもあなたまで行く必要はないんじゃない。」

「しょうがないのよ、対話だけなら能力者を送るだけで済むけど、対話出来ない時には
 少しでも多くの情報を持って帰らないといけないの。そしてこの作戦に次はないのだから
 一番可能性が高い人間をベットするのは当然よ。」
 
「本当にほかにいないの?」

「いたら私の仕事も楽になったでしょうね。」




[38623] 【一発ネタ 】【オルクスは来る世界を間違えました10】【SAN値を犠牲にフラグを一個消滅 】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/03 23:57
S-20 オルクス会議室

「デモノバこれは、一体どうすればいいと思う?」

「艦長これは想定外ですな」

「本艦に向かって撃ってくるのはまだわかる。だが自分らの住んでる星を
 壊して逃げるというのは・・・」
 
「現在予算不足のため、現地支部を置かずに電子化された情報の取得しか
 行っておりませんので、作成自体はわかってもその意図まではわかりませんな」
 
「解らないでは困る。だから現地支部が必要といったのに全く経理部ときたら・・・」

「とにかくこれはどうなされますか?」

「どうもこうもあるまい、環境を汚染される前に強襲をかけて回収だ!!
 都合がいいことにほぼ一箇所に集めてくれてる分手間はかかるまい。
 ただ、現地勢力には、極力損害を出すな。」

「それはまあ既定路線ですので構いませんが、こちらに攻めてくる
 勢力に関してはどうなされますか?」
 
「ある程度近づいてきた時点で、軌道を変えてランデブー不可能にするだけでいいだろう。
 慣性制御ももたんで反動推進のみの船相手ならそれで十分だ。
 そうだなついでだ、ラグランジュポイントから逃げる現地の船があるのだったな。」

「はい、ラグランジュポイントから星系外に逃げようとしている船があります。」

「まずないと思うが、辺境に来るような物好きな海賊とかにかち合って拿捕されても困る。」
 
「艦長そこまで考えなくてもいいのでは?」

「そうならいいのだが、何故か嫌な予感がする。そういえばなぜ銀河商人ではなく
 海賊が来ると思ったんだろう?」

「まあ捕まえるのにそんなに手間はかかりませんのでいいのですが、捕まえた後は
 どうなされますか?」

「自分の星を破壊するようなバカ者どもの相手をする気はない、船ごと凍結処理をして
 下層デッキの開いてるところに突っ込んどけ」


S-21 国連軍横浜基地 打ち上げ施設

いつもの飄々とした感じではなく珍しく焦ったような顔をした鎧課長が部屋に
駆け込んできた。

「香月副指令、至急作戦の一時中断を!!」

「なに?もう作戦は進行中なのよ」

「AL5計画の脱出宇宙船の発進と連動で地上で同時にG弾での爆破計画があったのですが、」

「それが何?奴らの考えそうなことだけど、この作戦が成功すればいいだけの
 ことじゃない。失敗したらもう終わりなんだからどちらにせよ同じでしょ?」
 
「いえ、あったのですが、例の物体、今回の作戦からはエクストラベータと呼称するの
 でしたかな。それから小型の物体がいきなり集積地に襲撃をかけてきたそうで、
 現時点で地球上に有るG弾ほぼすべてが奪われました。」

「G弾が全て奪われたの?」

「ええその上、ラグランジュポイントで発進準備中だった脱出宇宙船もエクストラベータ
 に鹵獲されたそうです。」

「それで米軍の被害は?」

「不思議なことに現時点でわかっている限り軽症者だけで、あとは格納施設の壁が壊れた
 だけだそうです。」

「こちらは相手されずに、G弾のみを奪っていったのね。」

「ええ、一直線でそこに有るのを知っているがごとくG弾を回収していったそうです。
 その際、戦術機が、36mmに至っては数えきれないレベル、120mmも数百発レベルで
 着弾させているのにもかかわらず、何もなかったように・・・」

「まずいわね、こちらの情報が奪われてるのね。」

「ええですので、一時中断をするようにと・・・」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました11】【経済侵略始めました。】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/04 00:00
S-22 国連軍横浜基地 副司令室

うず高く紙の書類が積まれている机に、香月副司令はいた。

「これはたいへんですな。」

なんの脈絡もなく突然鎧課長が部屋に入ってきた。

「いい加減ノックぐらいしてくださらない?」

「まあまあ正規で入ると色々あるので」

「で何?お使いでもしに来たの?」

「ええまあやんごとなき方より現状を聞いてくるようにとお願いされまして」

「あなたもあの後のことはいたんだから知ってるんでしょ?」

「ええそれはもう。」

「こっちが相手の軌道に合わせて打ち上げようとする度に軌道を変えられて
 再計算のしなおし、最後に冗談で紙とペンでやりとりしてみたら
 相手は対応しなかった。つまりこちらの通信網は完全に奴らに掌握されて
 しまっているってことね」

「だからこの部屋が紙で埋もれているんでしたな。」

「国連軍全体は無理だから横浜基地だけだけど一定の効果はあったわ。
 まあでもこれだと大規模反攻作戦は当面無理ね。」
 
「どのぐらいかかります?」

「反攻作戦に参加する人間全てが手動で軌道計算する能力がいるのよ
 それも機械式計算機と紙とペンだけでね。いつまでかかるか見当もつかないわ。
 当面ここは国連軍横浜学校ってことね。」
 
「間に合うんですか?」

「間に合わせるしないわ。意外と教師に向いてる人間もいたし、
 最小限度の人員が用意出来たら・・・」


S-23 オルクス経理部

「シモーヌすまん。何とか予算を出してくれないか。ここで手をこまねいていると
 ゲドー社は倒産するしかないのだ。」
 
「ないものは逆さに振ってもでません。それだけの予算を出したらそれだけで
 倒産してしまいます。」
 
「といってもだな、現地に諜報部の人間を送るんだ、できうる限りのバックアップ
 をしてやりたいではないか」
 
「そう言われても困ります。ないものはないんです。うちの金庫見てみます?
 もう金融機関からの借款契約書しか入ってないんですよ。」

「そこをなんとか頼む。シモーヌ君だけが頼りなんだ。」

「それでは、艦長昨日より作成していたこの計画書にサインをお願いできますか?」

「この計画書? 経理部でなにか作っていたのか?」

「現在回転資金底をついた状態のオルクスの経営を少しでもマシにするための計画です。」

渡された計画書を見てなんでも見間違いではないか確認する。ハウザー艦長・

「な・・・なんだと」

「現在の地元勢力の戦力を考えると、当艦の戦力は過剰すぎますので戦力の半分を
 貸し出して、運転資金を調達する作戦です。」
 
「それは、たしかにそうなんだが・・・」

「後もう一つの条件付きで、現地支部のための予算をなんとかしますわ。」


S-24 国連軍横浜基地 臨時民間売店

4個大隊もの追加の兵力を抱え、横浜基地の食堂やPXだけでは食事等の
提供ができないため、民間の業者を迎え入れ臨時の売店を追加していた。

そこに香月副指令がわざわざ直接訪れていた。

「私にも一つもらえるかしら」

「はい、オルクス食堂特製弁当1個ですね。400円になります。」

日本人ではなく、大陸系それもインド系の血を引いていてそうな
少女といえる女の子が、売店でお弁当を売っていた。

「うちの食堂の料理も美味しいけど、あなたのとこのお店の弁当は食べた後
 疲れが取れるぐらいなにか美味しいのよね。」
 
「あ・・ありがとうございます。」

「合成食材でも、味とこの量を確保するの大変だと思うけど
 よく維持出来てるわね。」
 
事実他の民間業者も食堂やお弁当の販売をおこなっていたが、横浜基地の
食堂に比べ味が落ちたり、販売数が非常に不安定な中、このオルクス屋だけは
疲れが取れる気がするくらいの圧倒的な味と品質と他の店と比べることが出来
ないぐらい安定した量の提供を行っていた。

「問題は、直接の対面販売のみで取り置きや代理購入がダメなことね。」

「すいません。うちの上のものの方針で、直接食べる御客さんの顔をみて
 販売しろということなので・・・」

「まあそれはわかるわ、うちの食堂の責任者も同じようなことをいいそうだもの。
 これからもがんばってね。」
 
「はいありがとうございます。」


S-25 オルクス艦長室

「デモノバ、地上支部はこんなことでいいのか?」

「艦長、経理部の出した制限付きの支部作成計画は大当たりなのでは?」

経理部では、地上支部作成の初期資金は何とか融通するがその後の維持のための
経費は直接現地で調達するように制限付きの承認とその際の作成プランを提示していた。
それが、地上支部兼オルクス管内の廃棄食材を利用した合成食材弁当屋オルクス食堂である。

「相手の基地内に自然に潜入するプランとしては悪くないのはわかる。ただなんだ、
 なんで諜報部の人間じゃなくて、主計課の人員を追加して商売を拡大せねばならんのだ」
 
「艦長、儲かるからでは?」

「これは帝国法的には問題ないのか?」

「一般的な食材、それも賞味期限ぎりぎりのものを合成機にかけて作成したものですので、
 技術提供には当たらないかと、それと物資提供ではなく商売ですので、これも立派な
 経済侵略作戦として認められる範囲かと・・・」
 
「言い方が悪いが残飯を加工した弁当がなんでこれだけ売れるのだ?」

「現地ではすでに天然食材が貴重であり、うちの合成食材レベルにすら達しないような
 重金属に汚染された粗悪な合成食材を使っていますからな」
 
「まあもうそのへんは、おいといて、それで諜報の進捗はどうなっているのだ?」
 
「現在、オルクス屋の出店している、横浜基地において圧倒的なシェアを誇り、かなりの
 上層部の人間まで購入しにくるため、噂を集めることで一定の成果を上げております。」
 
「そんなもので大丈夫なのか?」

「物資の動向と合わせれば、断片的な情報でも十分相手の行動を予測可能ですので。」

「それで現状は?」

「予想通りこちらの電子機器へのハッキングによる情報収集対策で、原始的な筆記用具と
 手動の計算機のみで作戦を実行しようと計画しているそうです。」
 
「軌道計算を手動で行うのか、懐かしいな士官学校時代によく教官に怒られたものだ。」

「現在そのための大規模な教育施設を作成し、人員を更に増強しているため、まだまだ
 これから販売数は伸びる予定です。」

「いやだから諜報作戦の方の進捗をだな・・・」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました12】【過去最大の死亡フラグ発生】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/06 20:22
S-26 ゲドー社諜報部地上支部兼オルクス食堂

定時の報告の際に、前回依頼していた増員について
人事部からではなく経理部からの返答が来る。

「現在、現地通貨のほうが回転資金として多いので、
 雑用レベルであれば、現地の人員を雇って下さい。」
 
「え?そんな・・・」

「敵地である地上勤務の場合、規定により割り増しの賃金が必要な
 ため、オルクス内の人員の配置転換は経理部権限で却下させて
 頂きました。」

「情報漏えい対策とかどうするんですか?あと情報収集とか」

「売り子だけであれば雇っても問題ないでしょう。」

「売り子やってる時の雑談とかからも、情報収集してるんですよ?」

「その辺は、今後の販売計画のための情報収集とかで毎日聴きこみ
 調査でも行って下さい。」「
 
「それより現地のお酒が以外と好評で、オルクス内だけでなく、
 外部販売も検討していますので、もう少し販売数を増やすように」


S-27 白由希女子学園高校 進路指導室前

「このお仕事なんていいんじゃない?」

「由貴、この間まで士官学校に進むって言ってなかった?」

「このお仕事を逃してはいけない気がするの。」

「なんで?」

「まず、このご時世で合成食品メインとはいえ、今まで無名だった
 お弁当屋が急にシェアを伸ばしてきてるのはおかしくない?」
 
「別に?どこがおかしいの?」

「合成食材とはいえ、これだけの規模になると調達すれば結構大変よ。
 市場に影響なく独自で仕入れる事ができるってことは、すごく
 ビッグビジネスの予感がしない?」
 
「言われてみればそうだけど・・・」

「とりあえずバイト募集ってことだけど3人で応募しない?」

「私はいいけど、和美はどうする。」

「うんいいよ」

「じゃあ決定ね。」


S-27 ゲドー社諜報部地上支部兼オルクス食堂

大量に届いたバイトの履歴書

「これ全部見ないといけないのかな?」

たまたま目についた履歴書を見てみる。

「西島由貴・岸田和美・香月英美か、親御さんは、民間の食品関係勤務に
 帝国軍人か、ちょうど日本帝国軍の方にも販売を依頼されていたし、
 人数もいいからこの人達にお願いしようかな?」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました13】【やばい収集がつかない】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/04 00:04
S-28 ゲドー社諜報部地上支部兼オルクス食堂

「お疲れ様です。ナミ店長、今日の分   完売しました。」

「西島さんたちもお疲れ様です。」

「そういえばナミ店長、それでお聞きしたことが有るんですが?」

「なんですか?」

「ここってどこから食料仕入れてるんですか?結構御客さんにも聞かれて
 答えられなくって。」

「えっと、私だけの判断では教えられないんですよ。でも安全な食材を使っていること
 だけは保証できます。」

「どこで加工してるとかもですか?」

「ええそれもダメなんです。」

「どうすれば教えてもらえるようになるんですか?」

「正社員になったらたぶん・・・」

「バイトから正社員になれますか?」

「ちょっと上のものに聞かないと・・・」

「進路の一つとして考えたいので、上の人をご紹介頂けますか?」

「えっと・・・」

「ぜひお願いしますね。」

「あとお弁当を販売している時に聞いたんですが、なんか軍人向けの再教育機関を
 帝国軍の方でも作るそうで、今販売している駐屯地でも人員が増えるみたいです。
 それで、お弁当の販売数をもっと増やしてくれないかということで。」

「それは、ちょっと上に聞かないとわからないんですが、どのくらいですか?」

「駐屯地で売りきれなくても、今口コミで近隣住人にも売れているので、
 最低でも2倍、できれば3倍、増やせられるだけお願いしたいです。」
 
「うーん たぶん大丈夫だと思いますけど、ちょっと相談してみますね。
 他に何か聞いたことはありますか?」

「なんか提出書類が全部手書きになったせいで、残業が増えて大変だ~とか
 そのぐらいですね。」
 
 
S-29 通勤電車 車内

「やっぱりこのバイトは大当たりね。」

「由貴なんでこのバイト当たりなの?確かに割はいいけど」

「おかしいと思わない?」

「何が?」

「今日聞いたわよね。納入するお弁当の数を倍以上に増やしてもらうようにお願いって言ったのに
 たぶん大丈夫だと思うけど相談してみるって・・・」

「それがなにかおかしいの?」

「今帝国軍の駐屯地で私達が売ってるのが600個よね。普通その出荷数を倍にして欲しいって
 言ったら、加工場や、食品の調達がすごく大変よね。」
 
「うんたしかにそうね。」

「即答はしなかったけどたぶん大丈夫って言ってたわよね。」

「確かにそう言ってわよね。」

「調べてみたんだけど、このへんの食品関連の相場は下がってるのよね。」

「相場が下がる?」

「そう、配給分以外で自由になる食料なんていまどき限られてるの、それなのに大規模な仕入れを
 やるんなら、他にしわ寄せが来て最低でも現状維持か相場が上がるのが普通なのにそれがないの」
 
「それはどういう意味があるの?」

「それはまだ解らないわ。例えば大資本が遠いところから調達してるかもしれないし、
 でも輸送コストを考えればそれは難しいからなにか秘密が有るのは間違いないわ」
 
「秘密って?」

「相場が下がるってことは、市場に供給されている食料が増えたってことだから、
 なにか新しい供給元や新しい合成方法でも見つけたんじゃないかと思うんだけど」
 
 

S-30 ゲドー社諜報部地上支部兼オルクス食堂

「今日は、由貴さん達痛いところ聞いてきて困ったなぁ。でも売上も伸ばしてくれてるし・・」

「あっ・・・申請の結果が帰ってきた。えっと現地のお酒が好評のため、オルクスのPXだけ
 でなく外部委託販売も検討中のため、できる限り仕入れのための現地通貨を調達のこと
 そのためなら供給量は増やします?」

「私って、何をしにこの星ににきてるんだろ?」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました14】【もう終わってしまった。】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/04 00:06
S-31 オルクス食堂配送トラック内

「由貴、本当にやるの?」

「これだけ調べてわからないんだから、こうなったら虎穴に入らずんば虎児を得ずよ」

「あっ動きだした。これどこに行くのかな?」

「それを調べるためでしょ。」

「あれ?動いてるけど全然揺れなくなった。」

「高速道路にでものったのかな?」


S-32 オルクス艦内 第一会議室

胃を抑えながら艦長が、真っ青な顔のナミに聞く。

「現地人のバイトがなんでうちの船まで乗ってくるんだ?
 いくらトラックの中とはいえIDチェックで引っかかるだろう。」

「すいません艦長、お店のロック解除用に渡したカードなんですけど、
 ゲドー社の正規のバイト扱いの登録になってまして。」
 
「その結果がこれか。」

部屋の片隅では、現地で雇ったアルバイトの三人娘が、デモノバと歓談をしている。

「なるほどそう言う訳だったんですね。教えてくださってありがとうございます。
 デモノバ参謀」

「この侵略が終わった後、正規にゲドー社の社員になりませんか?」

「進路の一つとして考えておきます。」

「由貴、大丈夫なの?」

「大丈夫よ、この人達は侵略者だけど、ちゃんとお話ができて取引ができるのよ。」

「あーおじいちゃんで電話しないと心配してるかも」

「和美そういう状況でないでしょう!!」

由貴は、デモノバ参謀に頭を下げるとハウザー艦長の前まであるいてきた。

「すいません、ハウザー艦長、この度は申し訳ありませんでした。ゲドー社の方針について
 理解したんですが、私達は協力できると思うのですが?」
 
「現地の原住民が協力?」

「ゲドー社は、期限いっぱいまで侵略行為を続けたい。ただし地球がベータに乗っ取られてもいけないし
 ベータを滅ぼしきってもまずい。これ以上現地勢力が疲弊してもいけないってことなんですよね?」
 
「まあそうだが、現地人で長期休暇中の学生にすぎないお前たちに何ができるんだ?」

「それは方法次第です。」

「もうバレたと思うが、今降伏宣言を出させればそれだけで地球は助かるんだぞ?全くメリットがないではないか」

「メリットは有りますよ。だって協力すればベータとの戦いで困ることもないし、滅ぶこともないんでしょ?
 今のままならいつの日かベータに負けるのはわかってるんだから。それに・・・」

「それになんだ?」

 「例えば、話を聞いている限りだと侵略後の開発については、侵略を行った会社の方針が
 一番優先されるんでしょう?ならもう結果の見えた対ベータ戦より先のことを考えるほうが
 地球全体にとってもいいのでは?」
 
「・・・」

「例えば、侵略後ゲドー社が倒産してその後開発に入る会社がまともな会社とは限らないんでしょ」

「わかった私の負けだ。そうだなゲドー社が倒産したあとに入る開発会社がまともとは限らない。」

「ならベストよりベターな選択をするのが一番ですよね。」

「だがお前たちに何ができる。」

「何ができるじゃなくて何をするかですわ。」


S-33 国連軍 横浜基地 オルクス食堂臨時売店

「いらっしゃいませーどのお弁当にされますか?」

「あら担当の子変わったの?」

「はい、今冬休中でバイトで入っている学生の西島由貴です。」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました15】【誰か止めて下さい。】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/04 00:07
S-34 国連軍 横浜基地 応接室

香月副司令と西島由貴が机を挟んでお弁当を食べていた。

「本当によろしかったのですか?」

「もう処理しても処理しても、仕事が終わらないし、色々あって息抜きがてら、
 素人から見た別の視点ってのも聞いてみたくなったのよね。」

「何を聞きたいのですか?」

「そうねぇ、あなた今のベータとの戦いをどう思う?」

「私は軍人じゃないので・・・」

「いいのよ本音を言っても。」

「本当にいいのですか? それなら言わさせてもらえば、もうベータとの戦いは
 外的要因でもない限り、いつ負けるかというところだとも思います。」

「やっぱりそう思うわよね。」

「勝つ為には外から何かを呼ばないといけないと思います。」

「外からね・・・」

「ところでこんなお伽話はどうですか?」

「お伽話?」

「イナゴがいっぱいやってきて困っていた村に、その村を占領しようと帝国の騎士が
 やってきた。でも国もとの命令で、まだ占領は出来ず、すぐ助けてあげることは出来ない。
 色々手をつくして、イナゴがこれ以上のさばらないように、こっそりと力を貸して
 時期が来たらその村を帝国の領土に迎え入れイナゴを駆除し村は、帝国の一つとなり、
 その庇護下で幸せになりました。」

「なにそれ?」

「お伽話ですよ。そう今の求められているようなね。」

「何を言っているの?」

「だからベータとの戦いのことです。」

「あなた頭は大丈夫?」

「大丈夫です、そろそろですね。今空を見るときれいな花火が見えると思います。」

突然ドアが開かれる。

「副司令すいません。 例の物体が!!」


S-35 オルクス 主艦橋

「シモーヌ本当良かったのか?」

「べつに礼砲モードで打つぐらいでしたら、通常出力の余剰で打てますし、
 たったこれだけで話がうまく進むんならいいですわ。」
 
「いや原住民の言うことを信用してよかったのかなと・・・」

「でも艦長は信用したから礼砲とは言え打ち合わせ通りに打ったのでしょ?
 私達クルー一同は、艦長の判断を信頼していますから」
 
 オルクスから打たれてた礼砲は、空を切り裂く一条の光となって
 極東地区全域で観測されていた。
 



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました16】【暴走中】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/08 05:19
S-36 国連軍 横浜基地 副司令室。

副司令室の前には物々しい格好をしたMPが複数立っていた。
副司令室の中には香月副司令と西島由貴が机を挟んで座っている。
先ほどと違うのは、お弁当がないのと、由貴の真横に一緒にバイトを
していた二人、そして副司令の横に女性とがいることだ。

「あなたは一体何者?」

「私はただの高校生です。」

机をたたき叫ぶ副司令

「冗談はいいかげんにしなさい。ESP能力者それともなに?新種のベータ」

「先ほどからの検査結果でそんなことないのはわかっていると思いますけど」

「じゃあなんで一般に公開されてもない新種のベータの行動がわかるの!!」

「ただの高校生ですけど、ちょっとだけ事情通なだけです。」

「そんなわけないじゃない、正体を言いなさい。」

「先ほどのお伽話覚えていますか?」

「それが何?あの世迷い言がどうしたとでも言うの!!」

「あれが真実だとしたらどうしますか?」

「そんなわけないじゃないベータは人類と相容れない敵よ!!」

「だからいま来ているのがベータでなければ?」

「そんなわけ・・・・」

「心当たりはないですか? 新型と言ってる存在が、人類を滅ぼすならどのぐらいで
 終わると思います。一瞬で終わりです。」
 
「・・・」

「でもそうしない、それには訳があると思いません?」

「ならどうして?」

「私もちょっと事情通なだけで全てを知っているわけではありません。ただキッカケには
 なれると思います。地球の命運をいくらで買いますか?」
 
「何を言っているの?」

「私は、働いた分だけの報酬でいいです。後はお任せします。」

「もし本当だとしたら大変な名誉よ、何だって手に入る権力が手に入るのよ?」

「そんなものは要りません。ただの女子高生ですから。」

「由貴ちゃんそれ言いたかっただけでしょ」


S-38 ゲドー社諜報部地上支部兼オルクス食堂 通信室

古い建物の2階にその部屋はあった。4畳半の狭い部屋の壁面一面に
何に使うのかわからないような機械とディスプレイがところ狭しと並んでいた。
その狭い部屋に、ナミと香月副司令がいた。

「狭いところですいません」

「いいわよ、それでここで上と話ができるの?」

「はいちょっとお待ちください。オルクス、こちら諜報部への八番 ナミです。」

壁面のディスプレイが付いたと思うと、猫耳をしたオペレータが映る。

「こちらオルクス、おつかれさまです。例の件ですね。すぐに会議室につなぎます。」

少しノイズが画面に走ったかと思うと、ディスプレイには少し開けた会議室と、
美形の男が映る。

「こちらゲドー社A級戦艦オルクス艦長 ソノート卿ハウザー伯爵家第一長子アバルト・ハウザーだ」

「私は、国連軍横浜基地 副司令 兼 オルタナティブ4計画 担当 香月夕呼です。」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました17】【完結までもう一息】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/08 10:46
S-39 ゲドー社諜報部地上支部兼オルクス食堂 通信室

スッキリしたような感じのハウザー艦長に対し香月副司令は
青いを通り越し土気色の顔色をしていた。

「つまりあなた達が来てからの行動すべてが無駄だったのね。」

「まあ極論を言えばそうなる。」

「それでこの間の女子高生が言っていたことは本当なの?」

「そうだな、降伏後の話であればそうだ。降伏した星系と
 取引を行い、開発を行う会社は星の数ほど有る。
 当然その中には、一方的な搾取を行うところもあれば、
 良心的なところもある。そして、それを選択する権利は、
 侵略を完了した会社にある。」
 
「つまりあなた達次第では、ひどい未来が待っていると・・・」

「そうだな、今地球にすぐに降参されると、当社は倒産する。そうすれば
 ハイエナのような業者が買い取り、そういったことも十分考えうる。」
 
「心情的に理解したくないけどあなた達が、銀河帝国という巨大な国家の
 中で侵略行為を営利目的でやっているので理解できない話ではないわね。」
 
「まあお互い、踊らされているコマにすぎん。」

「それで取引の話にうつるけど、地球は壊れすぎて資産価値が低くく、
 これ以上汚染や破壊してほしくない。その上で、助成金の関係で
 ベータの駆除は、降伏宣言後にしたいと。」
 
「そうだ虫のいいはなしではあるがな」

「それを守る限りは、ベータの間引きにも協力するけれど、
 侵略の振りはしないといけないから、何度か地球を襲うと」
 
「そうだな、襲わなければ、帝国に提出する侵略報告書のノルマが達成できない。」

「なんかベータを相手にする方が、気が楽な気もするわね。」

「まあそれは、形式上しょうがない。できる限り人員には傷を付けん。
 人員も征服完了後の査定対象なので、これ以上人口が減るとまずい。」

「死人が出ない、八百長試合ね。」

「ただこのことは、占領後漏洩するといささか問題も有るため、できるかぎり
 知る人間は減らしてほしい。」

「つまりできれば私だけが知っていて、八百長試合を興行しろと」

「そうだなそれができれば一番いいが・・・」

「ところで対ベータはどうするの?うちの科学力ではもう限界が来てるんだけど」

「そうだな、今度行う侵略行動の際に、ここの技術力でも解析可能な程度の対レーザ
 コーティングを施した盾と、補修用の再コ―ティングスプレーを戦闘中に
 間違って落としていってしまう予定だ。」
 
「あら、素晴らしい落とし物ね。」

「それといま倉庫のそこをあさって、あの害虫向けの忌避剤を探している。
 それも落としてしまうかもな。」



S-40 国連軍 横浜基地 副司令室

そこには、ミイラの用に枯れ果てた香月副司令の姿があった。

「香月副指令、素晴らしい成果ですな。」

いつもの様に怪しい男、もとい鎧課長が入ってきた。

「そう良かったわね。」

「対ベータ用の防諜装置をこの短期間で作るとはさすがですな」

「たまたま、AL4のために研究していた結果が使えることがわかったのよ」

そう言いながら、香月副司令は、懐から出した胃薬をボリボリと砕きながら飲む。

「絶望と言われた、新型ベータを地上に釣りだし撃退するとは、
 アメリカを含め、各国から賞賛の声が止まりませんな」
 
「ええ・・そうね」

「新型ベータとの戦いで新たな素材を発見研究し、レーザ級から空を取り戻した
 ことに至っては、まさに奇跡!!」
 
「ええ・・」

引き出しから新しい胃薬の瓶を取り出し飲み物のように一気に流しこむ。

「更には、ベータが忌避する物質を発見し、ベータを一定区画に押仕込めたことに関しては
 奇跡を超えた奇跡です。まさに人類の救世主・・・・ 香月副司令?」
 
香月副司令は、吐血し自分で吐いた血の海に顔を埋めた。






[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました18】【戦力比が・・・】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/09 04:26
S-41 国連総会会場

「それでは、横浜基地 香月副司令よりAL4計画において重大な発表があるそうです。」

「ありがとうございます。それではまずAL4計画が完遂したことをまずご報告いたします。」

会場が一気にどよめき始める。

「皆さん静粛に!!」

「その結果判明したことですが、ベータとその後やってきた物体は無関係です。」

その瞬間会場の空気が凍りついた。

「理解し難いでしょうが事実です。」

「なにか証拠でもあるのか!」
「そんなわけはない」
「じゃあ今までなんで戦っていたのだ!」

「報告を続けますのでお静かにお願いします。AL4計画の成果として、
 後から来た勢力そう銀河帝国との交渉のためのチャンネルの開設に成功しました。」

「銀河帝国だと?SF映画の見過ぎでは?」
「冗談がお上手ですね。」
「今日は4/1かな」

「これにはれっきとした根拠と証拠があります。それではハウザー艦長お願いします。」

会議場に設置されたスクリーンに男が映る。

「私は、A級戦艦オルクス艦長 ソノート卿ハウザー伯爵家第一長子アバルト・ハウザーだ
 銀河帝国の名のもとに惑星地球を侵略している。」
 
「これは映画かな?いつ公開になるんだ?」
「これは冗談にしてもひどい。」
「ここは、娯楽映画の線の場所ではないぞ香月副司令!!」

「ハウザー艦長申し訳ないのですが、現実を理解させてあげて頂けませんでしょうか?」

「解った。予定通り礼砲を発射せよ!」

「皆様、窓の外をご覧いただけますか?」

そこには以前アジアに現れてものと同じ空を切り裂く一条の光が見えた。

「これは現実なのか?」
「何かのトリックでは?」
「ベータと内通したのか?」

「ハウザー艦長ありがとうございました。それで話を勧めさせていただきます。
 現状ベータとの戦いは硬直状態になっていることは皆さんご存知のとおりです。
 はっきり言わさせていただきます。このままでは人類はいずれ負けます。」

香月副司令の言葉は、会場すべての人間を驚愕させた。

「我々は勝ち目のない戦いを挑んで、滅ぼされるわけにいきません。ですので、
 銀河帝国に降伏しましょう。」


「貴様は地球を売るつもりか!!」
「救世主ではなく売女が!!」

会場は混乱の極地に達した。

「静粛にお願いします。それではみなさんお聞きします。あなた方の抱える軍人、参謀
 、軍事顧問の中で、これから先人類が、彼らとベータどちらでも構いません勝てる
 プランを提示したものはいますか?」
 
「それは・・・」

「話を続けます。私は、極秘裏に、銀河帝国のこちら方面の侵略を行っているオルクスに対し
 観戦武官を派遣する交渉を行いました。その調査結果が今お手元の資料になります。」

そう言うと、各国の代表に資料が配られる。

「超光速、慣性制御? 物質のエネルギー変換を行う転換炉を戦術機クラスの機体に装備?
 戦術機とのエネルギー出力とくらべ少なく見積もっても10の8乗以上?戦艦との出力比は・・・」
 
「おそらく、各国の科学者もある程度の想定を行ってきたと思いますが、はっきり言って
 戦力比は、比べるだけ馬鹿馬鹿しい物になります。」
 
「それでも君のところの部隊は、地上に奴らを引き釣りだし撃退していたではないか!!」
「そうだ、つまりこの戦力比の調査結果は欺瞞だ!!」

「たぶんそういうことを皆様おっしゃられると思い、オルクスのハウザー艦長にお聞きした結果
 ある意味最悪の結果をお聞きしました。本格的な侵攻はまだ開始しておらず、倉庫内の
 スクラップで作ったおもちゃで乗組員が悪ふざけをし申し訳ないと・・・」
 
「おもちゃだと?」
「我が国の戦術機が全滅した相手が?」
「馬鹿な!!」

「そうですね。今回派遣した観戦武官から直接報告を行ってもらいましょう。その方が現実を直視できる
 と思いますのでそれでは、白銀 武特務中尉、鑑 純夏特務少尉 説明を、そうそう遅れましたが、
 鑑 純夏特務少尉は、AL4計画で提言していた00ユニットであったものでもあります。」

 まるで幽鬼のような青年と、生気に満ち溢れた少女が壇上に立つ。

「00ユニット?例の耐ベータ用の諜報用の機械が彼女か?」
「なんと自然な」
「ロボットと聞いていたが、まるでそうは見えん」

「勘違いされているようなので補足しますが彼女は、00ユニットであったものであって、00ユニット
 ではありません。これは私の恥にもなることですが、00ユニットになった彼女の状態があまりにも
 見ていられない程ひどいということで、銀河帝国側で再生処置を受け復活したのが彼女です。
 それでは、始めてもらえる?」

「私は先ほど香月副司令にご紹介いただいた、白銀 武特務中尉です。」
「私は、鑑 純夏特務少尉です。」

「それでは、報告をあげさせていただきます。まず観戦武官として銀河帝国の戦艦オルクスに派遣された
 我々はまず、オリオン腕方面に派遣されている部隊に・・・」




[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました19】【完結】【あの子が大切なモノを奪っていきました。それは・・・
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/09 09:06
S-42 国連総会会場

観戦武官に行った青年からの報告は恐るべきものだった。
数万光年単位を簡単に行き来する船。
惑星どころか恒星ですら一撃で粉砕するようなミサイル。
そしてそれらを山のように積んだ幾千もの戦闘艦同士の艦隊戦。
数億に渡る星を支配する強大な銀河帝国の勢力。

「これらは向こうの虚偽ではないのか?洗脳などの可能性はないのか?」

「そうおっしゃると思い、改竄が非常に困難なアナログ式のカメラや、
 その他こちら側で用意可能なあらゆる媒体を彼らに持たせ記録させ
 それを分析した結果です。電子化された記録でよろしければ後ほど
 お渡ししますので、各国でご検討下さい。」
 
アメリカの代表が意を決したように発言する。
「とりあえず、これが事実としてベータとは何なのだ!」

「ベータですか?彼らの言うところの先史文明が作成し壊れ暴走した全自動
 惑星開拓装置だそうです。」
 
「全自動惑星開拓装置だと?」

「ええ、制御不能で、勝手に暴走しているものなので、最初からコンタクト不能で、
 すでに管理者も滅んでいないそうです。」

「我々は、土木機械に踏み潰される虫ということか?」

「ええそうなります。なお帝国では星を痛める害虫扱いだそうで帝国に加入した場合、
 帝国の力で即時駆除されるそうです。」

「つまり降伏したらベータは帝国側で何とかしてくれるということか?」

「ええそういうことです。なお各国の代表の方は、帝国に降伏するという意味を勘違いされて
 いるようなのでハウザー艦長より降伏の条件とその後について説明していただきます。」
 
「それでは降伏について説明する、統一政権があればその、ない場合はその惑星の国家の過半数の
 承認をもって降伏宣言を受理することになる。」
 
「その後、恒星間航路用のステーションが軌道上におかれ、帝国との航路が開き、帝国からの
 人員が来たり、逆に帝国へ移動や商取引が可能になる。
 そして超光速航法や、慣性制御などの技術情報についても順次制限が解除される。」

「なお現地国家はそのまま帝国の一部となり、基本的に惑星内の運営に関しては帝国は一切関与しない。
 帝国が関与するのは、基本的に恒星間をまたぐ商取引や犯罪、恒星系の外に出る場合のみだ。」
 
アメリカ代表が呆気にとられて聞く。
「それだけなのか?何かを収めなければならないとか強制移住させるとか、奴隷にするとか、
 食料にするとか、狩りの獲物にするとか、生体部品に加工されるとか、絶滅させられるとか
 そういった条件はないのか?」

「銀河帝国を一体どんなところだと・・・まあいい基本的に帝国は現地国家内の運営に関しては一切関与しない、
 しいて言えば帝国の看板を掲げるそれが条件になる。」

「帝国の看板を掲げるだけでその他のデメリットはないのか?」

「帝国内の他の国家や企業との取引が始まることそれがメリットでもありデメリットでもある。
 詳しくは、降伏勧告書として提示を行うためそれを見てもらいたい。」
 
 
 
S-43 国連軍 横浜基地 副司令室

「先生ようやく終わったんですよね。」

「ええ、これでおわりね。まあどんな馬鹿な国家も帝国の看板を掲げるだけで地球にない物資
 技術その他を商取引で得られる事が可能になって、なおかつベータもいなくなるのよ
 降伏しないほうがおかしいわ。」
 
「でも商取引なんて可能なんですか?一方的に搾取されるんじゃあ?例えばマンハッタン島のような・・・」

「たぶんそんなことにはならないんじゃない?地球人類でもしたたかな子もいるしね」

「ゲドー社の親会社に就職したってあの子ですか?」

「ええ私のいとこなんだけど、ハウザー艦長のお姉さんに気に入られたみたいで、
 その縁でスカウトされて先日聞いた話だと、地球の再開発計画がそこでの最初の
 お仕事になるそうよ。」

「それじゃあ帝国に降参じゃなくて、あの子に地球は降参なんですね。」

「そうね、あの子が一番いいところも持って行ったのね、でもあの子がいないとお互い
 勘違いでどうなっていたことのか、どこがただの元女子高生なんだか」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました 外伝1】【武ちゃんの受難】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/09 07:39
外伝その一「武ちゃんの受難」

S-1 オルクス 主艦橋



突然ブリッジ全体に警告音が鳴り響く

「艦長、地上に時空乱流の発生を確認、なにか生物が出てきます。」

「どこだ?」

「国連軍横浜基地周辺です。」

「それでどこからの漂流者か?」

「かなり世界線の近い世界からの漂流者のようです。」

「解った。ナミ経由で香月副司令に連絡してやれ、近い世界からの漂流者が来訪したと。」


S-2 国連軍軍横浜基地 正門前

「あれ?なんか違う気がする、まあ三回目の世界だからな今度こそ全員救ってやる。」

守衛のところに男は歩いて行くと門に立っている衛兵に対しこういった。

「すいません、香月副司令に用件があるのですが」

「お前は誰だ管姓名を名乗れ!!」

「すいませんそれは名乗れないんですよ、逃げも隠れもしませんから、
 第四と第五とシリンダーの件で用があると伝えてもらえませんか」

「一体何だそれは!!」

「そう言ってもれればわかると思います。」

彼を捕まえようとした時、もう一人の衛兵が止める。

「まて、副司令から、発言の怪しい人物が来たら通すようにとのお達しがあったのを
 忘れたか」


S-3 国連軍横浜基地 副司令室

そこには先ほどの男といつもどおり顔色の悪いミイラのような香月副指令の姿があった。

「なるほど、平行世界ではそうなってたのね。」

「平行世界?先生も一緒にこの世界に来たんじゃないのか?」

「私は、この世界にうまれてココで育った人間よ」

「じゃあなんで俺の言うことを信じるんだ?」

「だって平行世界からの客人が来るのは聞いてたからよ」

「誰から?誰か俺と同じように並行世界から来た奴がいるのか?」

「いないわよ」

「じゃあどうやって?」

「だから平行世界からの訪問者が来ることは観測されてたの。」

「じゃあもう先生は因果律量子論を完成させたのか?」

「あの古臭いやつ?もうとっくに捨てたけど」

「え?」

「だって因果律量子論が完成しないと、00ユニットが出来ないしAL4計画が・・・」

「そうか言ってなかったわね。無駄骨ご苦労様。この世界はとっくに救われてるのよ。」

「・・・」

「どこから話せばいいのかしら?そうねあなたはこの世界とは切り離された存在だし、
 バックも何もなし、理想的ね。」
 
「何が理想的?」

「私だけ重荷を背負ってるのは嫌だったのよね。あなたなら私が否定したら、何を言っても
 無駄だからちょうどいいわ。」

「どういうことなんです。先生」

「長い話になるわよ」

香月博士は不敵な笑みを浮かべた。


その日以来、香月副司令の顔色はどんどん良くなり、それに比例するように
横に立つようになった青年の顔色がどんどん悪くなっていった。
周りの者は、香月副司令の負担が減ったことを喜び、その青年に同情した、
一体どんな過酷な任務を行っているのだろう。それは誰も知らない。
いやもしかすると、いつの間にか彼の横に立っていた少女はなにか知って
いるのかもしれない。

「武ちゃんの浮気者~~ ドリルミルキ―ファントム!!」



[38623] 【一発ネタ】【オルクスは来る世界を間違えました 外伝2】【AL5計画推進派の受難】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/09 23:35
おまけAL5計画推進派の受難

S-1 オルクス主艦橋

「デモノバ、これでこの星系を離れる準備は完了なのか?」

「はい艦長そのはずですがなにか?」

「なにか忘れているような気もするが・・・」

「各種帝国法に基づく手続きや書類の調印は全て完了しておりますが?」

「そうだ、太陽系外まで脱出しようとしてたので拿捕した船は?」

「そういえば、そんなものもありましたな。」

「ありましたなではない、どうする?」

「どうするも何も返却するしか・・・」


S-2 国連軍横浜基地副司令室 兼 対銀河帝国交渉準備室室長

執務を行っていた香月副司令に通信が入る。

「こちらオルクス艦長 ハウザーだ。香月女史ちょっとよろしいかな?」

「はい香月です。ハウザー艦長出発前の最後のご挨拶ですか?」

「それがこちらの手違いで、地球を脱出しようとしていた船を拿捕していたんだが、
 デッキの底に置いていたせいで完全に忘れ去ってしまっていた。
 凍結処理をしてるので、拿捕時点のままなのだが、そちらに返却しようと思ってな。」

見る見る顔が青くなる香月副司令

「AL5計画推進派の船を拿捕してるの忘れていたので返却する?
 いらないんで処分してもらえないでしょうか?」
 
「さすがにもう帝国臣民扱いになるので処理は出来ないのだが」

「それでは・・・」


S-3 数万年後の地球

「ここはどこだ?」

「ここは、地球です。遠い昔のご先祖様。記録が残ってないのではっきり
 しないのですが、あなた方は地球が銀河帝国に加入する前後、そうですね
 今から約数万年前ほどに船ごと凍結処理を受けそのままお眠りになられて
 いたのです。」

「冗談はよせ!」

「冗談ではないですよ。そうですね今の地球をご覧になりますか?」

そう行って窓を開けた先には、赤道上に複数の軌道エレベータが立ち
それらをつなぐオービタルリング オービタルリングに併設された
多くの船が行き交う軌道港など、辺境でも屈指の発展を遂げた
惑星があった。

「これが地球?」

「はい核恒星系ほどとは言いませんが、辺境でも屈指の商業惑星地球です。」

「ベータはどうなったんだ!我が祖国アメリカは?」

「ベータ?何のことでしょうか? アメリカですか?もしかして名前からする
 大昔にあったという古代大陸アメリカにでもあった都市国家ですか?」
 
「古代大陸にあった都市だと馬鹿なことをいえ、地球を代表する国家だぞ
 そもそも古代大陸とはなんだ」

「そう言われましても、その頃の記録は殆ど残ってないんですよ。後古代大陸は
 古代大陸ですよ。数万年前に火山の噴火で沈んだ。」

「記録がない?それにアメリカ大陸が沈んだ?」

「ええ数万年前の事の上、加入前後のドタバタの時期の話なのでそれ以降のように
 長期保存可能な媒体での記録が殆ど無いのと、その大陸が火山の噴火でなくなった際の
 ドタバタでその大陸に関する情報はかなり散失したので・・・
 そうだ調印式でよければ銀河帝国側のアーカイブに残っていますがご覧になられますか?」
 
「調印式?なんだそれは?」

「地球が銀河帝国に加入した記念すべき日の記録ですよ、あーこれだ」

そこには、香月副司令が、ハウザー艦長と最後の書類に調印をする姿が写っていた。

「横浜の魔女!?」

「え?これは、初代地球連邦大統領の香月夕呼 様ですが?」

「初代大統領だと?」

「ええ、この方と、この方の姪御さんである香月英美 様が、銀河辺境の奇跡とも
 言われる大躍進の原動力となり、今の繁栄の基礎を作られました。
 お二人の出身地にちなんで、ジャパンの奇跡ともいわれていますね。」
 
「ジャパンの奇跡?」

「ええそうです。地球を代表する巨大国家だったそうですよ。そういえばアメリカというのは
 どんな都市国家だったんですか?」
 
「・・・」



[38623] 【一発ネタ】【ベータは来る世界を間違えました】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/09/30 10:03
【一発ネタ】【ベータは来る世界を間違えました】


衛星軌道上 戦艦オルクス艦橋

「太陽系外縁部に配置した無人哨戒機軍の一部が音信不通だと」

勤務終了後の時間に第一艦橋に呼び出されたハウザー艦長は、私服のままドアから
飛び込んできた。

「どういうわけだ?」

「どうもこうも突然音信不通になったのです。」

副長席のデモノバはディスプレイから顔を逸らさず答えた。

「現在、ブースター付きの哨戒機の緊急発進を検討しておりましたのですが」

「かんちょお これはどういうことですか」

経理部長のシモーヌが金切り声を上げながら飛び込んできた。

「いやまだ何もわかってないのだが」

「ご安心下さい経理部長、今回通信途絶になった無人哨戒機は、すでにスクラップに
 なったものをニコイチサンコイチして作ったもので、すでに減価償却ずみのものです。」

「おいただでさえフレグランスやゲルニクスなどの会社艦隊が攻めてきているというのに
 外縁部の哨戒機がスクラップなのか?」
 
「はい、それが何か?」

「スクラップとはいえ動くものなら資産なのですから大事にしてもらわないと・・・
 そうじゃなくて緊急出動の書類が回ってきたのですがこの内容はいったい
 どういうことなんですか?
 緊急用の超光速ブースターがいくらすると思っているんですか!」
 
「いや何が起こっているのか調べんことには・・・」

「予算には限度があるんです。1ダースもの哨戒機を送るなんて作戦、経理部として
 認められません。」

「艦長、冥王星近隣を定期パトロール中のウイバーより内惑星軌道に侵入しようとして
 きている所属不明の小型物体を確認したとの緊急報告が上がってきました。」

「データ収集が可能か確認しろ!」

「パイロットからの続報が来ました生物系の反応の有る物体とのことで光速の数%程度の
 低速で侵入してきている模様です。」

「速度を上げる兆候はないのか」

「現在の観測結果からは、加速用のブースター等は見受けられないとのこと、エネルギー
 反応もごく軽微なもので、慣性制御に関しても行っている形跡はないとのことです。」
 
「艦長、外縁部の無人哨戒機軍が音信普通になった原因が特定できました。」

デモノバが相変わらずディスプレイから顔を逸らさずに報告を上げる。

「原因は今確認している不明物体と関係があるのか!」

「いえありません。先ほど音信不通になった哨戒機群の一部が復旧したようで、自己診断
 走らせた結果からすると単純に故障したようです。」

「故障?」

「はい故障です。さすがにサンコイチは無理があったようで・・・」

「まったく人騒がせな・・・」

「艦長、パイロットより追加報告が上がってきました。」

「それで報告の内容は?」

「かなり古いものですがデータベースに登録があったようで、先史文明の遺産の一つで
 自己増殖型の作業機械だそうです。」
 
「先史文明というとバーサーカの仲間か?」

「いえそんなたちの悪いものではなく、駆逐艦しかないような田舎の交通艦隊でも
 演習のついでに駆除できる程度のものだそうです。」
 
「その程度でもかってに仕事場を荒らされてはかなわん。そういえばゲルニクス社製の
 新型機の完熟訓練がまだだったな?」
 
「はいちょうどこの後、完熟訓練及び動作試験を予定しています。」

「ついでだ訓練と試験がてらに駆除しておくように」

かくして太陽系に進行しようとしてきていたベータは宇宙の藻屑と消えた。

がんばれオルクス、負けるなハウザー、ベータは一匹見ると一万匹はいるぞ
オルクスの予算が尽きるその日まで後XX日。



副題【エリアルの世界にベータが来た場合】完



[38623] 【一発ネタ 】【オルクスは来る世界を間違えました IF SCEBAIがある場合  01】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/10 11:37
IF S-1  帝都城 次期主力戦術機についての検討会議

戦術機の開発に関しては、多大なる時間と予算がかかるため、
ようやく配備の始まった武御雷の次の戦術機の開発についての
第二回目の検討会議が始まっていた。
一回目の会議との違いは、民間人であるSCEBAIの岸田博士が出席した
ことであるが、会議はその当初から波乱含みの展開を始める。

「今回次期戦術機として提案するのは、レーザー核融合炉を装備し、
 我が国の持てる最新技術を全て投入し全く新たしいコンセプトの
 戦術機です。」
 
SCEBAI、すなわち科学、エレクトロニクス、生化学、阻止航空宇宙技術
交渉の所長であり、香月博士と並ぶとも言われる。日本が生んだ最後の
マッドサイエンティストと呼ばれる岸田博士が概要説明を始めなり、
帝国軍陸軍が演説を遮った。

「そんな夢物語のような話は無視して、武御雷の継戦能力強化を!!」

「いや次こそは海中進行対策の海中用戦術機を!!」

てんでかってなこと言い出した幕僚長を前にして岸田博士は大きく机を叩いた。

「静まらんかこの軍国中年ども!!」

「説明を続けさせていただきます。この戦術機は、武御雷や海神をわずか1機種で
 兼用するというコンセプトをもとに開発されました。」

「武御雷と海神では用途も必要とされるスペックも全く違うのだぞ!!」

「そりゃぁ大胆だ」「大胆とというより無茶」「絵に描いた餅では」
「そんな技術帝国はもとより米国ですら無理だろう」

「色々言いたいことはあるとお見ますが、説明を続けます。全領域要撃/支援兵器
 設計最大速度 水平飛行時マッハ2.4 地上走行時時速300km以上 出力150万kwのトカマク型レーザー核融合炉を
 装備しております。」
 
「レーザー核融合だと、ここはそんな夢物語を聞く場所ではない!!」

「ちなみにこれが1/144のスケールモデルです。」

岸田博士は懐から30cmほどの人形を出してテーブルの上おいた。

居並ぶ幕僚たちは、あまりの奇抜なデザインの新兵器に皆割れを失った。

「な・・何かね?この機械で来た人形は?」

「ココはおもちゃの品評会ではないぞ!!」

「実物は、身長40m 自重600トンになります。女性型ロボットというのは、数千種類のコンピュータシュミレーション
 によリ選ばれたものです。もしお望みならこのデザインについての講義をしてもよろしいが?」

博士は出席した幕僚たちを見回しながら話を続けた。

「外部兵装としては、120mm3連装機関砲、300ミリロングレンジライフル、いかなる種類のミサイルも
 搭載可能で必要とあれば、爆弾や魚雷も10トン単位で積み込むことが出来ます。
 その他に内蔵兵器として大気圏内で射程60kmを誇るX線レーザ砲を装備し、電子機器は、各パルスによる電磁シャワー
 の影響まで考慮して主要部分には光電子システムを併用、同時に装甲はキロトン級の核爆弾や、S11の直撃に耐え
 重レーザー級のレーザ照射に対しても短時間であれば耐え、単独でのハイブ侵攻も可能です。これなら陸海全ての
 どんな要求にも不足はないはずですが」

幕僚の一人が半ば呆れた顔をして聞く

「性能的には問題はないと言うのはよく解ったが問題は予算だ。いったいくら掛かるんだ。ここは夢物語をする場所ではないぞ」

「とりあえず実戦テスト用に量産プロトタイプを作るとして、開発研究費を含めてそうですな」

白衣の内側からPDAを出し操作した。

「ほぼ原子力空母10隻分の建造費に相当します。」

オブザーバとして参加していた大蔵省の次官が椅子ごと倒れた。
幕僚の一人は口から泡を飛ばしながら叫ぶ。

「原子力空母10隻分だと米軍にすらそんな予算はないのに、ただの1機の兵器にそんな予算はかけれるか
 そもそもそんな夢物語が実現できるわけがない。SCEBAIの人間は夢と現実それと費用対効果という文字も知らんのか!!」
 
「中止ですか」

「当たり前だ却下だ却下」

「実は、実験試作1号機は完成しており最終調整段階なのですが・・・」

倒れていた大蔵次官が痙攣を起こし始める。」

「完成している?」

「原子力空母10隻分の予算を使って?」

「そんな夢物語のような機体が」

博士は頷いた。



[38623] 【一発ネタ続かないはず。】【気象精霊は来る世界を間違えました】【マブラヴx気象精霊】【加筆あり】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2013/10/10 14:07
~1~ 地球

「あれ?ここ地球だよね!?」

精霊世界と地上世界は、亜空間の壁という障壁に隔てられている。
精霊力の強い精霊は自力で、弱い精霊は浮舟と呼ばれる船でその障壁を
超えて世界を渡っていた。

「ミリイそのはずよぉ、でもおかしいわねねぇ地形の形も違うしぃ、
 生物の数もすくないわよねぇ。」
 
「これが地球だとするとおかしいわよ、もしかして来るときにあった
 亜空間の引っ掛かりのせいで違うところに来たんじゃあ?」

いつのまにか雲の上にティーセットを並べユメミは、お茶を始めていた。

「こういうときはぁ、一緒にお茶を飲んで落ち着きましょ」

出されたお茶をやんわりと断りながらミリイは言う。

「そういう場合ではないでしょ、ここの座標は記録できる?」

ユメミは携帯計算機を取り出し、何やら計算を行っている。

「一応ここの座標はぁ押さえたわよぉ~」

「じゃあできるだけ観測してから一度本部に帰りましょう」

「えー面倒だからすぐ帰ろうよぉ~」

「だ~め、さあ始めましょう」


~2~ 気象室本部

「イツミさ~ん大変です。非常事態です。」

気象室本部に辿り着いたミリィは東亜支局のフロアに駆け込みながら言った。

「ミリィ もしかしてあなたもなの?」

「あなたもってイツミさんもしかして?」

「ええたぶん同じことだと思うけど、地球に行こうとした精霊の一部が別の
 地球に行ってしまったみたい。」

「他にもあの地球にいった精霊がいるんですか?」

「ええそうよ」

「だからぁ急がなくてもいいんじゃないって言ったのにぃ」

急いできたせいか、肩で息をしながらユメミが言う。

「さっき万魔殿から緊急非常事態宣言が出たのよ、これはどうも数十億年に
 一度の問題らしいわ。」

「緊急非常事態宣言ですか?」

「ええ、ああ今丁度亜空間メールで速報が届いたわ、平行世界の地球で、空間破砕兵器が
 乱用され、空間が歪んで亜空間でつながっちゃったってことらしいわ、でもまだこれは
 最悪の事態ではないみたい。」
 
「これで最悪じゃないんですか?」

「どうもこれからが問題らしいわ、一度壁に穴が相手つながった世界同士は因果を共有
 するらしくて、そこの人類が滅ぶとこちらの人類も滅ぶみたい。」
 
「それは大変どころか、すごく致命的な問題ですよね。」

「ミリィ、こういう時には宴会が一番よぉ~」


~3~ 気象室本部 東亜支局のフロア

「でたぞでたぞー」

キャサリン・コブライナは、いつになく興奮していた。それもそのはず、
先ほど気象室所属の全員に配布された命令書は下記のものであった。

災害発生命令

関係者各位殿
万魔殿霊魂運命監察室室長代行 パティ・ラーディア

平行地球よりの因果流入による監視個体の大量死を防ぐため、
現地に発生した害虫を駆除するため大規模災害の発生を命令
します。なお当該地区では重力異常が発生しているところが
多く、そのため異常気象が起こっても、現地個体に不自然に
認識されないため、害虫駆除のための災害については、地殻
を破壊しない限り一切無制限とします。

罹災時期 現時点より開始
罹災地区 平行地球全土
罹災規模 無制限(地殻を割らない程度)


「ユメミ、キャサリン女史すごく張り切ってるし、これは大変なことになりそうね。」

「そうねぇ~お酒足りるかなぁ~」

「宴会のお知らせじゃないのよ」

「え~ だってこれってぇ~ 万魔殿お墨付きのぉゲーム大会でしょぉ」

「ゲームじゃないって」

「もうこのゲームで勝つのは誰かぁ~って賭けもはじまってるよぉ~
 だからぁゲーム観戦の宴会を開かないとぉ~」

以下続かない。



[38623] 【一発ネタ続いちゃった】【気象精霊は来る世界を間違えました2】【こっそり追加3香月先生頑張って生きろ】
Name: bok◆27c604c1 ID:fa87219a
Date: 2014/11/02 23:54
速報版 後日追記予定

~3~ 佐渡ヶ島上空 第一宴会場

かつては緑におおわれ、多くの生物が住んでいた島、佐渡ヶ島。
今は無残にも緑は剥がされ、むき出しの大地になり、
害虫以外の生物全てが死に絶えていた。

「ミリイ・オレアノ・ヤクモより全部隊に連絡、現在より作戦を開始するわ、
 各部隊は、準備状況の報告を教えてちょうだい」
 
「こちら日本海上空の対粉塵沈下処理部隊、台風は現在890ヘクトパスカルの勢力で
 雨雲を引き連れそちらに毎時60kmで進行中。もう少しで佐渡ヶ島を勢力圏内に入れます。」

「現在の風速と雨量のデータをちょうだい。」

「現在最大瞬間風速60m、雨量は毎時200mmの豪雨です。詳しいデータは端末に送ります。」

「ユメミ、データは届いた?」

「届いたよぉ、これをもとに軌道の最終調整を行うね。」

「こちら軌道上の攻撃用隕石管理部隊、現在該当地域用に直径10mクラスの隕石を10個
 確保済み、いつでも降下軌道に投入可能です。」
 
「了解、最終軌道が決まり次第連絡するね。」

「こちら佐渡ヶ島地下の火山管理部隊、現在害虫の巣の直下にて噴火の準備を進行中、
 いつでも噴火が可能です。」
 
「ユメミ計算は終わった?」

「もうちょっとまってぇ、よし終わったよぉ~」

「それじゃあ、上に計算結果を送って~」

「こちら攻撃用隕石管理部隊、計算結果に基づき第一発目の隕石を今から落下軌道に乗せます。
 よしのったわ。」
 
 ほぼその報告と同時に南南西の空から隕石が降下を始める。
 
「ユメミ、最終の誤差どれ位になってる?」

「えっとぉ今のところ、誤差10mくらいだよぉ」

落ちてきている隕石を見ながら錫杖を振るう。

「ならいくわよ 最終加速 衝撃の2.4 X 10の13乗ジューーーーーーール」

錫杖から放たれた霊光に押され隕石は秒速60kmから秒速80kmまで加速し、ハイブに直撃した。
その衝撃波は、佐渡ヶ島全域に広がり佐渡ヶ島地表にいた害虫は粉砕されるか彼方まで吹き飛ばされれ、
隕石は、ハイブの約1/4までを一気に吹き飛ばす。

「ユメミ、粉塵の状態はどう?」

「えっとぉ、予定より少ないぐらいだよぉこれなら今の雨で十分洗い流せるよぉ」

「なら粉塵による気温低下はあんまり気にしなくてもいいわね。じゃあ続けていくよ。」

「こちら軌道上部隊。後何個行きますか?」

「それでは、時間差で2個お願い。」

「了解です。それではいきますね。」

しばらくすると、同じく南南西の方角より隕石が一個落ちてくる。

「撃滅の3.9 X 10の15乗ジューーーーーーール」

今度はハイブから害虫の放つレーザーが隕石を落とそうと飛んでくるが、
選びぬかれた恒星の中心核のかけらで出来ている隕石は、その程度の熱量
では表面が少し溶けるぐらいでほとんど影響を受けない、霊光に押された
隕石は先程より大きく加速され、ハイブの3/5までを吹き飛ばす。
そして続けて落ちてくる隕石

「とどめよ、抹殺の9.7 X 10の19乗ジューーーーーーール」

最後の隕石は、今まで以上に加速されハイブの深層を打ち抜き岩盤まで到達する。

「火山部隊、穴埋めのための噴火をお願い。」

そのままでは、隕石で削られ重量が減り日本海プレートにかかる重量バランス変動で
地震が起こるため、直下で噴火を起こし穴埋めと生き残った害虫を一気に殲滅する。

「これでここの害虫駆除は、完了ね。ユメミ害虫の状態はどう?」

「うんほとんど駆除できたよぉ」

「あと粉塵の状態はどう?」

「そっちも大丈夫だよぉ~だから宴会をはじめましょうよぉ~」

「もうユメミほかのところがまだなんだから」

「えー」

「もう一箇所の東亜支局担当で一番大きなカシュガルの害虫の巣のところに応援に行くわよ」

「あそこはぁキャサリンさんが張り切ってやってるんだからぁだいじょうぶだよぉ」

「だからやり過ぎないようにいくのさあ行くわよ」

~4~ 国連軍 横浜基地

大規模な台風対策のため、準備をしていた国連軍基地は、
混沌な状態になっていた。

「一体何が起こったの?」

大型台風が来たと思ったら、ハイブに隕石が連続で落ちて大穴が空いたと思ったら
火山が噴火して穴が埋まってこれで混乱しない人間は誰もいないだろう。

「香月副司令、これがAL4計画の成果ですか?因果律量子論でしたか、こんな奇跡のような事象を引き寄せるとは」

「ありのままに話すわ!
 『私は、諜報用コンピュータのための理論として因果律量子論を提唱していたのに、奇跡を呼び寄せる理論と認識されていた。』
 な・・・何を言っているのかわからないと思うけど、私も何がどうなってるのかわからない。
 頭がどうにかなりそうだわ。因果導体とか因果律量子論とかそんなちゃちなものじゃ絶対ないわ。
 もっと恐ろしい物を味わってるのよ・・・は・ははは・・・はははははははははははは・・・・・」

「香月副司令? 副司令ーー!!」

壊れた機械のように香月副司令は笑い続けた。




~5~ カシュガル上空

「ユメミにミリイまで来たのか?ココはアタイだけで十分なのに」

「まあまあ、キャサリンさんはどうやって駆除のほうやるんですか?隕石使います?」

「そんなんじゃ面白く無いから別のをやるぞ」

「別のって・・・」

「いいから見ていろ行くぞー決壊の5.2の10の8乗ジューーーール」

その瞬間、イシク・クルからカシュガルへの地下水路が完成し、
先に大雨で極限まで増水した水が一気にカシュガルを湖とかえる。

「それでカシュガルじゃなくてキリギスで雨を降らせてたんですね。でもあの害虫は水に沈めただけでは
 だめなんじゃ?」

「それはこれからだ、行くぞ 
 雷鳴の7.5の10の12乗ジューーーール  
 雷光の8.1の10の13乗ジューーーール    
 轟雷の2.1の10の14乗ジューーーール
 神鳴の1.3の10の29乗ジューーーール」

キャサリンの右手から放たれた霊光により次々と雷雲より雷が落ちていく。
水に浸かった害虫は、感電しどんどん黒焦げになっていく。

「まだまだまだ~~~♪」

「ミリイ、こうなったら誰もキャサリンさん止めれないから宴会始めましょうよぉ~」






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