<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[39922] 模型少女ガンダムビルドファイターズINNOCENT(BF×なのはINNOCENT)
Name: プロト・セブン◆1866fe9e ID:399247ba
Date: 2014/06/14 22:33
『プラフスキー粒子』

10年前に開発されたこの粒子は、ガンプラの素材になっているプラスチックにのみ反応する性質がある。高濃度のプラフスキー粒子を流動的に操作する事で普段は動かないガンプラに命が吹き込まれるのだ。更に粒子変容によってビーム砲や爆発のエフェクトが加えられ、その臨場感はリアルのそれに匹敵する。この粒子により実現した『ガンプラバトル』は今や世界的に大人気となっていた。
そして、日本ではもう一つ新たなゲームが誕生していた。その名は『ブレイブデュエル』。グランツ・フローリアン博士を中心に地方都市の研究者達が開発した体感型のシミュレーションゲームである。
ガンプラバトルに夢中な少年『イオリ・セイ』と『レイジ』。そして、ブレイブデュエルに夢中な少女『高町なのは』。彼らが出会い、互いが夢中なゲームに興味を持つ事になる。



『ガンダムビルドファイターズ』と『魔法少女リリカルなのはINNOCENT』のクロスオーバーです。
騎士誠一郎さんという方との合作で、設定が彼、文章が私という分担になっています。
また、pixivとマルチ投稿しております。

なお、この作品にはBFとなのは以外にもストライクウィッチーズやブレイクブレイド、スーパーロボット大戦、インフィニット・ストラトスなどの作品のキャラも登場します。





[39922] 第一話 ブレイブデュエル
Name: プロト・セブン◆1866fe9e ID:399247ba
Date: 2014/06/18 09:16
ある日の事、レイジはイオリ家のリビングでテレビを見ていた。

「なあ、セイ。」

「どうしたの、レイジ?」

「今宣伝してるアレ、何だ?」

「え?」

レイジに言われ、テレビに視線を移すセイ。すると、テレビではあるCMが流れていた。

「ああ。これは『ブレイブデュエル』のCMだね。」

「ブレイブデュエル?何だそりゃ?」

「最近、新しく出来たゲームだよ。僕のクラスにも何人かやってる人が居るんだ。」

「へえ。どういう奴なんだ?」

「ガンプラバトルとは違ってバーチャルリアリティーで自分の分身をコントロールして対戦するんだって。」

「自分の分身をコントロール?バーチャルリアリティーってのはよくわかんねえが、面白そうだな。」

レイジはすっかり興味深々だ。

「何処に行ったらやれるんだ、それ?」

「ええと・・・確かこの近くなら『ホビーショップT&H』って言う所で出来るって聞いたけど。」

「よし!なら早速行くぞ!!セイ、案内してくれ。」

「え!今から!?」

「善は急げって言うだろ!」

こうして、二人はホビーショップT&Hへと行く事になった。




あれから暫くして、二人はホビーショップT&Hのビルの前に到着した。

「セイんちとは比べ物にもならないくらいデカイ店だな・・・」

思わず、レイジが言葉をもらす。

「どうせうちの店は小さいですよ。」

「いや悪い悪い。」

それを聞いたセイが拗ねてしまい、慌ててレイジが謝る。そこへ・・・

「お兄さん達。うちの店に何か用かな?」

金髪の髪をツインテールにした小学校低学年くらいの女の子がやって来た。

「ん?誰だ、お前?」

「あれ?そのエプロンって・・・」

いきなり声を掛けて来た少女を怪訝に思うレイジ。一方、セイは彼女が身につけているエプロンにホビーショップT&Hのロゴが描かれている事に気付いた。

「もしかして、このお店の子?」

「そう。ホビーショップT&Hの看板娘の一人『アリシア・テスタロッサ』だよ。よろしくね。」

「なんだ。この店の奴だったのか。俺はレイジだよろしくな。」

「僕はセイ。イオリ・セイ。」

アリシアの自己紹介を聞いて、レイジとセイも名乗り返す。

「改めてお兄さん達。うちの店に何の用?」

「ちょっとブレイブデュエルっつうのをやってみたくてな。」

アリシアに質問にレイジが答えた。

「それなら案内するよ。ついて来て。」

そして、セイとレイジはアリシアに案内され、ホビーショップT&Hの建物に入って行った。




「これがブレイブデュエルの装置だよ。」

「おお!!!」

「凄く大規模な装置だ。」

ブレイブデュエルの会場へと案内された二人は、ブレイブデュエルの装置を見て感嘆の声をもらした。
ガンプラバトル世界大会会場ドームにある大型バトルシステムと同等の大きさの立体映像発生装置があり、その上では立体映像のキャラクターが剣や銃、さらには杖や変わった形の手袋などを使って戦っていた。立体映像発生装置の両脇では、筒状の装置に入ったプレイヤーらしき人々が宙に浮きながら身体を動かしていた。よく見ると、プレイヤーの動きは立体映像のキャラクターの動きと連動している。

「めちゃくちゃ面白そうじゃねえか!」

レイジはすっかり興奮ぎみだ。一方、セイはあるプレイヤーに気づく。

「ねえ、アリシアちゃん。あそこで戦っているガンダムデスサイズみたいな武器で戦っているのって、君のお姉さんか何か?」

「ん?どいつだ?」

セイの言葉にアリシアだけでなく、レイジも反応する。

「ほら、あそこで鎌を持って戦っている子。」

セイがそう言いながら指差す先をレイジは見た。そこでは刃の部分がビームで構成されている鎌を手に持つアリシアを成長させたような感じの少女が戦っていた。対戦相手はハルバードを手にした大柄な男だが、それを相手に引かないどころか、むしろ押している。

「確かに、アリシアに似てんな。にしても、あいつ強えじゃねえか。」

「そりゃあ、フェイトはうちのエースで、ロケテスト全国2位の実力者だからね。」

レイジが感想を言うと、アリシアが自慢げに答えた。

「ゲームとはいえ、大人の男の人相手に圧倒するなんて。凄いね、君のお姉さんは。」

今度はセイがアリシアに言う。すると、彼女は少し落ち込みながら答えた。

「私の方がお姉ちゃんなんだけど・・・」

「えっ!?」

「おいおい。何言ってんだ?どう見てもお前の方がちっこいだろうが。」

「何それ!もっとオブラートに包んだ言い方は出来ないの!!」

失礼な事を言うレイジに噛み付くアリシア。するとその時、今行われていたバトルに決着が着いた。結果はフェイトの居るチームの勝利である。

「お、あいつら勝ったぞ。」

レイジが感想をもらす。すると、筐体から出て来たフェイトとチームメイト達が三人の下へやって来た。

「どうしたの、アリシア?お客さんと喧嘩してたみたいだけど。」

「この人に失礼な事言われたの!」

フェイトが聞くと、アリシアはレイジを指差しながら答えた。

「いや、だってどう見てもお前の方が・・・」

「ちょっとレイジ!」

それに対し、レイジはまたしても失礼な事を言おうとするが、セイに注意される。

「ごめんね、レイジが失礼な事を言って。」

「むう・・・まあ、本人も謝ってくれるのなら許すけど・・・」

セイに代わりに謝罪され、視線をレイジへと移すアリシア。そこでレイジは・・・

「なあ、あいつがお前の妹じゃなくて姉っつうのは本当なのか?」

「そう・・・ですけど・・・」

フェイトに事実確認をしていた。

「ちょっと!何やってるの!!」

「いやあ、お前の方が姉っていうのがどうしても信じられなくってさ。でもまあ、こいつもお前の方が姉っつってるし本当なんだな。悪かった。」

「むっ・・・まあ、謝ってくれたんだし、許してあげる。」

どうにか二人の喧嘩は収まり、セイとフェイト達はホッとするのであった。

「とりあえず。あのブレイブデュエルのやり方を教えてくれねえか?」

「分かった。着いて来て。」

二人はアリシアに受け付けのような場所に案内された。アリシアはそこに居る女性店員に声を掛ける。

「エイミィ〜。新しいプレイヤーが二人来たよ。」

「そうなの?じゃあ、これを渡さないとね。」

エイミィと呼ばれた店員はセイとレイジにある物を渡した。

「これは?」

セイがそう尋ねると、エイミィが説明した。

「ブレイブデュエルの必需品だよ。まず小さい方がブレイブデュエルのプレイヤーの証の『データカートリッジ』。データを記録するための大事な物だよ。大きい方は『ブレイブホルダー』。カードデッキを保存するためのケースだよ。」

「カードデッキ?何だそりゃ?」

レイジが首を傾げる。

「それは、この先に着いて来れば分かるよ。エイミィ後は任せておいてね!」

「一人で大丈夫?」

「うん。もう大丈夫だよ!」

アリシアはセイ達を別の場所へと案内しようとする。が、一度立ち止まった。

「っと。その前にお代を頂戴しないとね。」

「そう言や、そうだな。」




データカートリッジとブレイブホルダーの代金を支払った後、セイとレイジはアリシア達に案内され。プレイ用の筐体とは別の装置の前に来た。

「何だこりゃ?」

「夢のスーパーマシン『カードローダー』だよ。レイジ、セイ。ここにデータカートリッジを入れて。」

「ああ。」

「こんな感じでいいのかな?」

アリシアに言われた通り、二人はカートリッジを装置にはめ込む。

「その次は身長、体重、年齢、性別を入力して。その後写真を撮影。」

さらに、アリシアの指示に従うと、カメラのフラッシュが輝き、一枚のカードが出て来た。

「凄え!俺のカードが出て来たぞ!!」

「僕のもだ!!」

自分の描かれたカードが出て来た事に驚くレイジとセイ。そんな二人に対し、アリシアは説明を続ける。

「それはパーソナルカードって言って、一番の基礎になるカードだよ。ブレイブデュエルではカードの強さが自分の操るキャラクター『アバター』の性能に関わって来るんだ。」

「この『N+』ってのは何だ?」

レイジがカードの右下にあるマークについて質問した。

「それがカードの強さを示す『カードランク』だよ。カードランクには下から順にN、N+、R、R+の四段階があるんだ。その上に幻のカードがあるらしいんだけど、まだ持ってる人は見た事が無いんだよね。」

「幻のカードか。ワクワクすんな。」

「あと、Nのカードはコレクション用で、戦えるのはN+からなんだ。ほら。このカード、手に武器を持ってるでしょう?これがバトルで使えるカードの証なの。」

「本当だ!」

カードの中のレイジはパチンコを、セイは双槍を手にしていた。

「って、何でセイが槍なのに俺はパチンコなんだよ。」

一見弱そうな武器を見て不満そうにするレイジ。すると、アリシアが説明した。

「ただのパチンコだと思って侮らない方がいいよ。ブレイブデュエルに出て来る武器は見た目からは想像出来ない力を秘めた物だってあるんだから。」

「これがか?」

レイジは疑わしげにカードを見る。

「本当だって。じゃあ、早速筐体の方に・・・」

そうやって、アリシアがまた二人を案内しようとした時だった。

「アリシア、フェイト。ちょっとこっちを手伝ってくれる?」

アリシアとフェイトを呼ぶ女性の声がした。

「はーい。ごめん。お母さんが呼んでるから私とフェイトはこれで。」

「おいおい。客放ったらかしかよ?」

「本当にごめん!後はなのはちゃん達に聞いて。行くよ、フェイト!」

「あ!待ってよ、アリシア!!」

文句を言うレイジと呼び止めるセイを他所に離れて行くアリシアとフェイト。仕方なく、セイとレイジは残った三人に頼む事にした。

「まあ、しょうがねえか。頼むぜ、ええと・・・」

「私、なのはです。高町なのは。」

「アリサ・バニングスよ。」

「月村すずかです。」

「僕はセイ。イオリ・セイ。」

「俺はレイジだ。よろしくな!」

こうして自己紹介を終える五人。すると、セイがアリサを見ながら考え出した。

「バニングスか・・・」

「何?あたしの苗字がどうかしたの?」

「いや。最後の一文字がなかったら、『0083』の『サウス・バニング大尉』と同じ苗字だったのになあって・・・」

「誰よそれ?」

セイの言っている事の意味が分からず困惑するアリサ。すると、レイジが呆れながら言った。

「別に気にしなくていいぞ。」

「そう・・・」

「と、とりあえず!ブレイブシミュレーターの方に行きましょう!!」

そして、五人はなのはを先頭にブレイブデュエルの筐体へと向かった。




なのは達に案内されたセイとレイジは筒状のカプセル型の筐体の中に入った。なのは達も立体映像発生装置を挟んで反対側の筐体に入っている。

「はい。ここからの案内は私エイミィさんがいたします!」

いつも間にか、装置のコントロール席らしき所にはエイミィが座っていた。

「それじゃあ、ブレイブシミュレータースイッチオン!!」

エイミィが装置を起動させると、なんとセイとレイジの身体が筐体の中で浮かび上がったのである。

「すげえ!身体が浮いたぞ!!」

「こ、これがガンダムのキャラクター達が宇宙(そら)で過ごしている無重力!」

初めて体験する無重力に大興奮の二人。

「でも、本当に凄いのはここからだよ。レイジくん。『五人プレイ』で『フリートレーニング』後は・・・最初だから『雲海ステージ』がいいかな。この三つをウィンドウに入力してみて。」

「おうよ!」

早速、エイミィに言われた通りに入力していくレイジ。

「もう終わったぞ〜。」

「それじゃ、ブレイブホルダーを胸の前で掲げてコールして。」

「よし!セイ、そっちの準備はいいか?」

「もちろんだよ!」

二人はブレイブホルダーを掲げて叫んだ。

「「ブレイブデュエル、スタンバイ!!!」」

『プレイヤースキャン。開始します。』

すると、システム音声が流れ、二人の視界が光に包まれた。

「わあっ!?」

「何だこりゃ!?」

思わず目をつむる二人。やがて、光が収まり、二人が目を開けるとそこは雲の上だった。

「ええ!?何これ!?」

「凄えぜセイ!俺たち空飛んでんぞ!!!」

セイが混乱する一方、レイジはかなり楽しんでいる。すると、そこにエイミィからの通信が届いた。

「どう?これこそが今話題の体感シミュレーション、『ブレイブデュエル』だよ!レイジくん達の視点・感覚は今シミュレーター中央の『アリーナ』に居る『アバター』と完全にリンクしているんだ。」

「ホントだ!風を感じる!!」

慣れて来たのか、セイもこの空間を楽しめるようになって来た。すると、そこへなのは達がやって来る。

「セイさん、レイジさん。どうですか、ブレイブデュエルは?」

なのはが二人に話し掛けた。

「凄いよこれ!ってあれ?」

「お前ら、どうしたんだその格好?」

見ると、なのは達は何やらコスチュームを身に纏っていた。

「これは防具を纏っているタイプのN+のカードを使っているからなんです。」

「へえ、そいつは凄いな。何処で貰えるんだ?」

すずかの説明を聞いてレイジが聞いた。すると、アリサがそれに答える。

「そのためにはまずここから出ないといけないわよ。でも、今はまずこのゲームの基本動作を覚えましょう。」

「そうだね。どうすればいいの?」

セイがそう聞くと、なのはが二人の持つ武器を指差しながら言った。

「その子達が教えてくれるよ。」

「え?」

その言葉に二人が首を傾げた時だった。

『初めましてセイさん。』

『これからよろしく頼むぜ、レイジ。』

なんと、二人の持つ武器が喋ったのである。

「えっ!?何これ!?」

「武器が喋ったぞ!?」

突然の事に驚くセイとレイジ。そんな二人にすずかとアリサが笑いながら順番に説明する。

「その子達はブレイブデュエルのアバターの武器の『デバイス』って言って、デュエリストつまりプレイヤーのパートナーなんです。」

「多分、まだ名前は無いだろうから、付けてあげなさいよ。」

「名前かあ・・・」

「どんなのにすっかなあ・・・」

名前を一生懸命考える二人。すると、セイが先に思いついた。

「よし!君の名前はオーディーンだ!」

『ありがとうございます。セイさん、これからどうぞよろしくお願いします。プレイヤーデータをリセットしない限り、私は貴方と共に居ましょう。』

「ちょっと大袈裟だね。レイジ。君の方はどう?」

「まだ考え中だ。」

セイが相棒の名前を決めた一方で、レイジは未だに悩んでいた。だが、直ぐに思いつく。

「よし!お前の名前はカブトだ!!」

『カブト?パチンコなのに兜とはちょっと変な気もするが、悪く無いな!』

こうして、二人のデバイスの名前は決まったのであった。

『では、早速基本動作をレクチャーします。』

『ちゃんと着いて来いよ。』

そして、基本動作の説明が始まった。

『まずは飛行です。飛びたい方向に意識を集中して下さい。』

「う〜ん・・・ちょっと難しそうだなあ・・・」

セイはオーディーンに言われた通りにしてみるが、苦戦していた。そんな中、レイジの様子が気になり、声をかけてみる。

「レイジ。そっちはどう?」

「ひゃっほう!!!」

すると、なんとレイジは既に自由に空を飛び回っていたのだ。

「ええ!!もう!?どうやったのさ!!!」

「別に?ただ、ビルドストライクが飛んでんのをイメージしながたやったら上手く行ったんだ。」

「そうか!その手があったね!!」

レイジのアドバイスの通り、セイもスタービルドストライクの動きをイメージしてみる。すると、今度は自由に飛び回る事が出来た。

「凄い!僕飛んでるよ!!」

「なあ、カブト。戦う時はどうすりゃいいんだ?」

『対戦の基本は〈アタック〉〈シールド〉〈シュート〉の三つだ!試しにやってみろ!』

「よおし!」

カブトに言われた通り、早速レイジは〈アタック〉を行おうとする。

「セイ!試しにそっちに攻撃すっから、そっちも避けるなり反撃するなりして来ていいぞ!」

「OK!いつでもいいよ!!」

互いに構えるセイとレイジ。まず、レイジが動いた。

「行け!!!」

レイジはカブトのゴムの部分を引っ張り、赤い魔力弾を飛ばした。セイはそれを回避する。

「今度はこっちの番だよ!」

次に、セイはオーディーンを双槍からバズーカへと変形させた。

「シュート!!!」

バズーカから放たれた青い魔力弾はレイジへと一直線に向かう。彼はそれを紙一重で避けた。

「武器が変形した!?」

『変形するデバイスなんて結構居るぞ。これくらいで驚いてちゃあ、この先やって行けねえぜ!』

驚愕するレイジに対し、カブトが言った。

「そう言うお前は変形とか出来ねえのか?」

『悪いが、俺にはそう言うのは無い。』

「無いのかよ!!」

『だがその分、俺にはスペシャルな機能が着いている。』

「スペシャルな機能?」

『ああ、それはだな・・・』

カブトからそのスペシャルな機能とやらを教えられるレイジ。すると、先程まで不満そうだった彼の顔は笑顔になった。

「そいつは凄えじゃねえか!」

『だろ?』

「早速、そいつを使ってバトルしてみるか。」

そう言ってレイジはなのは達の方を見た。

「なあ。早速俺とセイのチームとお前らとでバトルしてみようぜ!」

「えっ!?でも、レイジさん達は初心者なのに三対二になっちゃいますよ?」

なのはが心配そうに言う。だが、レイジは自信満々でこう答えた。

「別にそれで構わねえぜ。それに、勝つのは俺たちだ。」

「へえ。言ってくれるじゃない。なら、相手になってあげるわ!!」

すると、負けず嫌いなアリサが真っ先に食いついた。

「ごめんね、レイジが。」

そんな二人の様子を見ながら、セイがなのはとすずかに謝る。

「いいですよ別に。」

「それより、本当に三対二で大丈夫なんですか?」

すずかが心配そうに言う。すると、セイはこう答えた。

「僕はともかく、レイジは大丈夫だと思うよ。」




一方、レイジとアリサは先にバトルを始めていた。

「食らいなさい!!!」

アリサが剣型デバイス『フレイムアイズ』を振るうと、刀身からムチのようにしなる炎の斬撃が放たれた。レイジはそれを紙一重で回避する。

「炎か・・・なら、弱点は水だな!!」

レイジはカブトで青い魔力弾を三発同時に発射する。

(さっきと色が違う?でも!!)

レイジの魔力の色が変わった事に一瞬首を傾げるアリサだったが直ぐに思考を入れ替える。そして、フレイムアイズの刀身に炎を纏わせ撃ち落とそうとした。だが、刀身が魔力弾に触れた瞬間、炎が消えてしまった。

「これってまさか、水の属性の魔力弾!?」

「それだけじゃねえぜ!!スキルカード・クラスターボム!!」

アリサが驚く最中、レイジは今度は先程よりは少し大き目の黄色い魔力弾を一発だけ発射した。

「一発だけ撃っても当たらないわよ!!」

直様、その射線上から退避するアリサ。だが、なんと魔力弾は途中で無数の小さな魔力弾へと分裂した。

「うそ!?」

アリサはとっさにシールドを展開する。無数の魔力弾はシールドに着弾した。そこで彼女は魔力弾が電撃を纏っている事に気付いた。

「これって、電撃属性?でもさっきの魔力弾は水属性だったのに・・・」

『そう。これがこの俺カブトの能力。発射する魔力弾に様々な属性を付与する機能だ!!』

アリサが驚愕する最中、カブトがレイジの手の中で自慢げに言った。




一方、セイはなのはと戦っていた。すずかは空中戦が得意でないアリサの援護に行っている。

「ディバインシューター!!」

なのはが誘導弾を発射した。セイはそれを初心者とは思えない軌道で回避して行く。

「凄いですねセイさん。」

「飛ぶイメージはしっかり固まっているからね!!」

セイはレイジの操縦するスタービルドストライクの空中戦での動きをイメージしながら動いていた。イメージが固まっているからこそ出来る動きである。

「でも、油断は禁物ですよ!」

なのはは避けられたディバインシューターをさらに操作し、再びセイの方に向けた。

「まだ着いて来る・・・それなら!!」

すると、セイは何と雲の中に飛び込んだのである。

「雲の中に!?どこ!?」

慌ててターゲットを探すなのは。すると、セイはなのはの後ろから飛び出して来た。

「スキルカード・ライトニングランス!!」

さらに、スキルカードをスラッシュし、技を発動させる。セイが双槍形態のオーディーンを突き出すと、光線が放たれた。

「きゃああああ!!」

なのははそれに反応出来ず直撃を受けてしまう。

「あ!なのはちゃん大丈夫!?」

「な、何とか・・・」

ついやり過ぎてしまったかと思っうセイであったが、撃墜まではいって無いようだった。

「良かった。まだ続けられる?」

「もちろんです!」

こう見えて負けず嫌いななのはは再び自身のデバイス『レイジングハート』を構えるのであった。




レイジの方に戻ってみると、アリサの側にすずかが合流していた。

「今度こそ当てるわよ!」

「遅え!!」

アリサは斬りかかるが、レイジはそれを安安と回避する。攻撃を当て損ねたアリサはすずかの作った氷の足場の上に着地した。

「くっ・・・ちょこまかと・・・」

「つうかさ、お前飛べないのかよ。」

「浮かぶだけならまだしも!人間が空をスイスイ飛べる訳無いじゃない!!」

「頭固えなあ。」

アリサの言い分に呆れるレイジであった。

「でも、飛べなくても高くジャンプする事は出来るわ!!」

そう言って足場からジャンプし、再びレイジに斬りかかるアリサ。レイジはまたそれを回避すると、カブトに赤い魔力弾を装填し、アリサに向かって発射した。だが、それは彼女に当たらず、追い抜くように飛んで行く。

「何処狙ってんのよ!」

振り返りながらレイジに向かって叫ぶアリサ。だが、レイジは笑みを浮かべる。

「俺が狙ったのはお前じゃねえ。その先にあるもんだ!」

「え?まさか!?」

アリサが視線を前に戻した直後。これから彼女が着地する氷の足場に魔力弾が着弾し、溶けた。どうやら魔力弾には炎の属性が追加されていたようだ。

「あわわわ!止まらない!!」

「アリサちゃん!!」

着地する足場が無くなり、そのまま止まれなくなってしまうアリサだったが、すずかがシールドで受け止めた。

「大丈夫?」

「いたた・・・サンキュー、すずか。」

何とか止まったアリサは宙に浮き、再びレイジを見る。

「やってくれたわね!今度こそ当ててやるんだから!!」

「面白れえ。ならやってみな!!」




再び、なのはとセイの戦い。

「スキルカード・ディバインバスター!!」

「くっ・・・」

セイがなのはの砲撃を回避しようとしたが、完全には避け切れず掠ってしまった。

「凄い砲撃だ・・・ちょっと掠っただけなのに、かなりのダメージだ。」

遠距離は不利と感じたセイは接近戦に持ち込もうと突撃する。

「ディバインシューター!!」

すると、なのははそうはさせじと誘導弾を発射した。避けてもまだ追いかけてくる事が分かっていたセイはそれを回避ではなく迎撃で対応する。

「行けえ!!!」

ディバインシューターを全て切り裂いたセイはなのはの懐に飛び込む。そして、オーディーンを振るった。だが・・・

ガキンッ

なんと、オーディーンはレイジングハートで受け止められてしまったのだ。

「え!?」

セイが驚愕する中、なのははレイジングハートを振るい、セイを弾き飛ばして距離をとった。

(この子、もしかして接近戦も強い?)

セイは警戒しながらオーディーンを構えた。

「強いですね、セイさん。」

「なのはちゃんこそ。僕より先にブレイブデュエルをやっているだけあって、本当に凄いよ。」

「私なんて、まだまだルーキーですよ。」

「それでも、僕らよりは先輩でしょ?」




あれから五人はプレイ可能時間限界まで戦い、いや遊び続けた。

「いやあ、楽しかった〜。」

筐体から出たレイジが背伸びしながら言った。セイも感想をもらす。

「ガンプラバトルとはまた違った楽しさがあるね。」

「あれ?セイさんとレイジさんはガンプラバトルをやっているんですか?」

それを聞いたなのはが聞いた。

「そうだぜ。お前らはやって無いのか?」

「私はちょっと・・・」

「ガンプラ作るのって難しそうだし。」

レイジの言葉を聞いて、そう答えるなのはとアリサ。すると、セイが言った。

「そんな事は無いよ!ガンプラはプラモ初心者でも作り易いからさ!何なら、僕が作り方を教えるよ!!」

「ええと・・・どうしよう、アリサちゃん、すずかちゃん?」

「あたし達に聞かれても・・・」

「うん・・・」

興奮ぎみなセイに困惑するなのは達。すると、今度はレイジが三人に言った。

「まあ、騙されたと思って試してみろよ。ガンプラはバトルするのも作るのも、ブレイブデュエルとは違った面白さがあるぜ。」

「じゃあ、ちょっとだけなら・・・」

「まあ、新しい事に挑戦するのは悪い事じゃ無いわね。」

「機械いじりとはどう違うのかな?」

「よし!じゃあ早速僕の家の店に来てよ!!」

こうして、セイとレイジはなのは達を引き連れ、イオリ模型店まで戻る事になった。



続く




[39922] 第二話 ガンプラバトル
Name: プロト・セブン◆1866fe9e ID:399247ba
Date: 2014/06/18 09:17

前回のあらすじ

今流行りの最新体感シミュレーションゲーム『ブレイブデュエル』をやりに『ホビーショップT&H』に来たセイとレイジ。そこで彼らは五人の少女『高町なのは』『アリサ・バニングス』『月村すずか』『フェイト・テスタロッサ』そして『アリシア・テスタロッサ』と出会った。そして、なのはとアリサそしてすずかとブレイブデュエルを楽しんだセイとレイジは、今度は彼女達に『ガンプラバトル』を教える事になったのであった。





「あの、フェイトちゃんとアリシアちゃんも誘っていいですか?」

イオリ模型店に向かう事が決まった後、なのはがセイに聞いた。

「もちろんだよ!」

当然、セイは二つ返事で了承する。すると、レイジが注意するように言った。

「いいのか、セイ?あの店の製作室ってあんまり広く無いから、あんまり大人数で行くとすし詰め状態になるぞ。」

「大丈夫!どうにかなるって!」

そして、フェイトとアリシアも誘う事が決定したのだが・・・

「ごめんね。店の手伝いがあるから、一緒には行けないんだ。」

「私も〜。」

残念ながら、二人は一緒に行けなかった。

「店の手伝いならしょうがないね。また今度でいいからうちの店に来てよ。」

「はい。その時はよろしくお願いします。」

そして約束をした後、セイ達はイオリ模型店へ向かうのであった。




「おかえりなさい。セイ、レイジくん。」

イオリ模型店に着いたセイ達。それを出迎えたのはセイの母親『イオリ・リン子』だった。

「ただいま、母さん。」

「ねえ、その新しいゲームはどうだった?」

「すげえ楽しかったぜ。」

リン子が聞くとレイジが満足そうに答えた。すると、リン子がなのは達に気付いた。

「二人とも、その子達は?」

「お客さんだよ。」

「なのはとアリサ、それにすずかだ。」

「高町なのはです。よろしくお願いします。」

「アリサ・バニングスよ。」

「月村すずかです。」

セイとレイジが紹介すると、三人はそれぞれ自己紹介をする。

「可愛らしいお客さんね。私はイオリ・リン子。セイのママよ。ここに来たって事は、ガンプラバトルをしに?」

「そう。僕が作り方を教えて。」

「俺がバトルの仕方を教えるんだ。」

リン子がなのは達に聞くと、セイとレイジが代わりに答えた。

「じゃあ、三人とも。早速ガンプラを選んで。」

「「「はーい!」」」

セイに言われ、なのは達はガンプラを選び始めた。

「って言っても、数が多過ぎてどれにしようか悩んじゃうわね。」

様々な種類のあるガンプラにアリサは迷ってしまう。そんな中、あるガンプラが目に止まった。

「これは・・・」

それは、様々な重火器を装備した赤い重武装型のガンプラだった。アリサはそれを手に取る。

「アリサちゃんはそれにするの?」

すると、セイが話しかけてきた。

「ええ、気に入ったわ。これってどう言うガンプラなの。」

アリサがそう答え質問する。すると、セイは目を輝かせながら説明を始めた。

「それは『ガンダムアストレアタイプF』。『機動戦士ガンダム00』の公式外伝『機動戦士ガンダム00F』に登場する機体で、私設武装組織『ソレスタルビーイング』のサポート組織『フェレシュテ』の所有する第二世代モビルスーツなんだ。一応ガンダムタイプの機体だけど、表向きにはガンダムはソレスタルビーイング本隊の四機しか無い事になっているから、この機体はガンダムである事を隠す為に顔に仮面が着けてあるのが特徴なんだ。この機体のバリエーションにはエクシアの予備パーツを使用して改修した『タイプF2』とイノベイターが造った擬似太陽炉搭載のレプリカをフェレシュテから脱走したガンダムマイスター『フォン・スパーク』がレストアして放棄されたソレスタルビーイングの基地や地球連邦軍の基地から強奪した武装で重武装化したタイプがあって、このキットはその両方が再現出来るんだ!」

「分かった分かった!分かったから!!」

完全に自分の世界に入りながら解説をするセイをアリサは慌てて止めた。

「ええと、すずかはもう決まったの?」

そして、話を逸らすようにすずかに話しかける。

「うん。もう決まったよ。」

すずかが選んだのは、頭部に着いた縦長の白いセンサーと背中の大型ビーム砲が特徴的な紅いガンプラだった。

「それは『セイバーガンダム』だね。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するザフトが開発したセカンドステージシリーズの一機。最大の特徴は双胴の戦闘機型のモビルアーマーへの変形機構と、アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲を始めとした強力なビーム兵器を多数搭載している事で、それにより機動性と火力を両立しているんだ!」

すずかの持って来たガンプラを見たとたん、セイはまたしても目を輝かせながら解説を始めた。ひとまず、アリサは彼を無視する事にした。

「じゃあ、後決めて無いのはなのはだけね。」

「なのはならあそこに居るぞ。」

レイジがそう言いながらショーケースの方を指差した。そこではなのはが並ぶ商品見本を眺めている。

「どうしたの、なのは?」

「あ、アリサちゃん。実は、ここのガンプラが凄く綺麗だなって思って・・・」

何をしているのかアリサが尋ねると、なのははそう答えた。すると、レイジが言った。

「それ作ったの全部セイだぞ。」

「えっ!セイさんが!?」

「すごーい!!」

感心しながら再びガンプラを眺めるなのはとアリサ。すると、すずかがある物に気付いた。

「あれ?あそこにあるのって、トロフィーですか。」

「そうだよ。見てみる?」

すずかが聞くと、セイは二つのトロフィーをすずか達に見える位置まで下ろした。

「ええと・・・『第二回ガンプラバトル世界大会準優勝』!?」

「これってセイさんのですか!?」

トロフィーの正体にすずかは驚く。そして、なのはがセイに聞いた。

「そうじゃなくて父さんのだよ。」

「へえ、セイさんのパパが・・・」

「セイさんもガンプラバトルは強いんですか?」

アリサが感心しているとすずかがセイに聞いた。

「いやその、作るのは得意なんだけど、バトルはちょっと苦手で。」

「そうなんですか?」

「うん。今年の世界大会には僕の作ったガンプラをレイジに操縦してもらって出場したんだ。」

「えっ!それっていいんですか!?」

「別にルール違反じゃないし、僕達以外にもそう言うチームは居たよ。」

驚くなのはにセイはそう説明する。そこへ、さらにレイジが言葉を付け足した。

「それに、セイがガンプラを作るのが上手い一方で、俺はガンプラ作りについてはからっきしだからな。」

「つまり、お互いの得意な所で協力し合っているって事ですか?」

「「そう言う事(だ)!!!」」

なのはの解釈をセイとレイジは肯定する。

「それよりなのは。まだガンプラは選んで無いの?」

「あ、ごめん!ええと・・・」

アリサに指摘され、なのはは再びショーケースを眺める。すると、一体のガンプラが目に入った。

「セイさん。あのガンプラはありますか?」

「『ガンダムAGE-1 ノーマル』だね。直ぐ持って来るよ!」

直様、セイは商品棚から箱を持って来た。

「何だ?この妙にデコの広いガンプラは?」

ガンプラの箱に描かれたイラストを見てレイジが言った。

「ガンダムAGE-1 ノーマルだよ。『機動戦士ガンダムAGE』のフリット編の主役機さ。当時は正体不明だった敵『UE』に対抗するために地球連邦軍がMS職人で主人公の『フリット・アスノ』の協力の下開発したモビルスーツなんだ。最大の特徴は戦闘データを蓄積する事により新たな装備や強化パーツを生み出す『AGEシステム』を搭載している事で、その事から『進化するガンダム』って呼ばれているんだ。これは流石にガンプラには再現されていないけど、もう一つの特徴『ウェア換装システム』は再現されているよ。これは手足のパーツを交換する事で機体の特性を変更出来るシステムなんだ。このノーマルはその基本形態なんだけど特徴が無い訳じゃないよ。この機体に装備されている専用のビームライフル『ドッズライフル』はビームをドリル回転させながら撃ち出す事で威力を大幅に上げていて、強固な装甲でも撃ち抜くことが可能なんだ!あと、これはAGEのキット全般に言える事だけど、可動範囲が広いからそのまま組み立てるだけでもガンプラバトルで高い運動性を発揮出来るんだ!!」

「分かった分かった!もういいって!!」

再び、自分の世界に入ってしまったセイをレイジが慌てて止めた。

「ごめんごめん。じゃあ、会計を済ませたら早速組み立ててみよう。もちろん、やり方は僕が教えるし、道具はちゃんと貸すよ。」

「よおし!カッコ良く作るわよ!!」

「上手く出来るかなあ?」

「ちゃんと教えてくれるみたいだし、大丈夫だと思うよ。」

こうして、なのは達のガンプラ製作がスタートした。





ガンプラを買ったなのは達はセイに案内され、イオリ模型店の製作室に居た。三人には現在、それぞれニッパーと紙ヤスリが渡されている。

「それじゃあ、始めるよ。まずはガンプラの箱を開けて、中にある組み立て説明書を出して。」

セイに言われた通り、なのは達はガンプラの箱の中から説明書を取り出す。

「それじゃあ、説明書をしっかりと熟読して。じっくりと、それでいてなるべく早く!」

セイの指示通り、なのは達は説明書を熟読した。

「次に、説明書に記載されている部品がちゃんと入っているか確かめて。ポリキャップや付属のシールも忘れないようにね。」

「色んな色の部品がいっぱいあるね。」

「あれ?すずかのだけ少し部品が少ないような気がするんだけど。」

「よく気付いたね。実は、セイバーは他の二つに比べると古いキットなんだ。この中で一番新しいのはなのはちゃんのAGE-1 ノーマルだね。」

アリサの着眼点をセイは褒めた。

「それじゃあ、説明書の組み立ての手順、一番から作り始めて。でも、ニッパーの扱いには細心の注意を払わないといけないよ。ゲートの部分は長めに切り、はみ出た部分はもう一度切る二度切りが効果的なんだ。」

セイのアドバイス通り、なのは達は注意深くパーツをランナーから切り出す。

「パーツを切り取ったら説明書通りに組み立てて。でも、ポリキャップの入れ忘れに注意しないといけないよ。」

そうセイが言った時だった。

「あっ!?」

早速、アリサがポリキャップを入れ忘れてしまった。

「やっちゃった・・・」

「大丈夫。そう言う時はこの『セパレーター』を使えばいいんだよ。」

そう言ってセイはセパレーターを部品の合わせ目に差し込む。すると、部品が分離した。

「凄い!」

「後は、ここにちゃんとポリキャップをはめてまた組み立てればOKだよ。」

そして、ガンプラ製作はどんどん進んで行った。

「シールは貼り直しをすると粘着力が弱まるから、なるべく慎重に一発で貼らないといけないよ。あと、シールを貼った後に綿棒とかで抑えると、よりしっかりと貼り付くようになるんだ。」

セイの言う通り、なのは達は注意深くシールを貼って行った。

「組み立てながらガンプラの可動域を確認するとガンプラの構造を深く理解する事が出来るからガンプラバトルをより有利に進められるよ。」

「ちょっと!なんでなのはのガンプラだけそんなに肘が曲がるのよ!!私とすずかのは90度しか曲がらないのに!!」

「さっきも言ったけど、AGE-1はこの中では一番新しいキットだからね。」

文句を言うアリサをセイは慌ててなだめた。そんなトラブルがいくつかありつつも、なのは達のガンプラは完成する。

「完成!」

「いい出来ね。」

「上手に出来て良かった。」

ガンプラの完成に喜ぶなのは達。すると、セイが彼女達に言った。

「皆頑張ったね。折角だから、そのガンプラに少し手を加えてみようか。マーカーでスミ入れしてつや消しスプレーを吹くだけで見栄えが段違いにかわるんだよ。」

「そうなの!じゃあ、それもやっちゃいましょう!!」

それを聞いたアリサはすっかりやる気だ。

「それじゃあ、スミ入れにはこの『スミ入れマーカー』を使って。」

そして、セイは数色のスミ入れマーカーを渡す。

「あれ?何色かあるけど・・・」

「スミ入れは基本的には黒を使うんだけど、塗る場所の色に合わせた色を使うことでより完成度が上がるんだ。」

「そうなんだ・・・まあ、あたしは黒にしておこうかしら。」

「私も。」

ひとまず、アリサとなのははスタンダードな黒を選ぶ。一方、すずかはと言うと・・・

「私は色に合わせてみようかな。セイさん。どれがいいか教えてくれますか?」

「もちろんいいよ。」

機体の色に合わせた色でスミ入れする事にした。やがてスミ入れが終わり、つや消しスプレーも吹き終え、ガンプラが完成した。

「すごーい!!かっこいい!!」

「ほんの少し手を加えただけでこんなに変わるなんて。」

「さっきまでとはまるで別物みたい!」

完成したガンプラを見て、なのは達はそれぞれに感想をもらす。

「ガンプラは手を加えれば加えるほど、それに答えてくれるんだ。カラーリングや武装の変更、機体の改造。創意工夫はまさに無限大だ。それがガンプラの楽しさであり、奥深さでもあるんだよ。」

「よーし!!早速バトルを始めましょう!!!」

「負けないよ!」

「私も!!」

なのは達は完全にやる気満々だ。

「それじゃあ、バトルシステムのある部屋に案内するから、ついて来て。」

そして、セイの案内でバトルシステムのある部屋に向かうのであった。





「待っていたぜ。」

バトルシステムのある部屋では、レイジが待ち構えていた。

「ここからは俺が教えるぜ。」

「レイジさんが手に持っているガンプラって、セイさんが作ったんですか?」

レイジの手に持つガンプラを見てなのはが聞いた。

「その通り!僕がガンプラバトル選手権用に作ったガンプラ『ビルドストライク』をさらにレイジ専用に改修した『ビルドストライク・フルパッケージ』さ!!」

すると、セイが自慢げに機体の説明をする。

「それじゃあ、早速バトルを始めるぜ!」

『ビギニング、プラフスキーパーティクルディスパーサル。』

レイジがそう言うと、バトルシステムから光る粒子が散布された。

『プラフスキー粒子』

10年前に開発されたこの粒子は、ガンプラの素材になっているプラスチックにのみ反応する性質がある。高濃度のプラフスキー粒子を流動的に操作する事で普段は動かないガンプラに命が吹き込まれるのだ。更に粒子変容によってビーム砲や爆発のエフェクトが加えられ、その臨場感はリアルのそれに匹敵する。

『フィールド4、タウン。』

そして、バトルシステム上にミニチュアの市街地が展開される。

『プリーズ、セットユアーガンプラ。』

システムが促すと、レイジとなのは達は自身のガンプラをバトルシステムにセットした。そこで、セイはなのはのAGE-1がライフルとシールドを左右逆に装備している事に気付く。

「あれ?なのはちゃんはライフルとシールドを逆にしてみたの?」

「はい。私は左利きですから、それに合わせて。いけなかったですか?」

「そんな事は無いよ。ガンプラはどんな発想で作ってもいいからね。」

不安そうに言うなのはにセイは笑顔で言った。

「にしても、武器を左右逆にするだけで大分印象が変わるわね。」

アリサがなのはのAGE-1を見ながら感想を言う。すると、セイがそれに答えた。

「そう!それもまたガンプラの面白い所なんだ!他にも、カラーリングや一部パーツの変更をしても印象は大分変わるよ。」

「おーい。まだバトルは始めねえのか?」

そんな中、レイジが待ちくたびれたかのように言った。

「そうだね。じゃあ、始めようか。」

「「「はい!」」」

セイの言葉とともになのは達は操縦桿を握る。すると、ガンプラの目が光り起動した。

『バトルスタート』

「レイジ、ビルドストライクガンダム。行くぜ!!」

「高町なのは。ガンダムAGE-1ノーマル。行きます!!」

「アリサ・バニングス。ガンダムアストレアタイプF。出るわよ!!」

「月村すずか。セイバーガンダム。行きます!!」

そして、四人のガンプラはカタパルトから出撃した。そして、そのまま空中戦が始まる。かと思われたが・・・

「あれ?」

なんと、なのはのAGE-1のみ高度が下がり始めたのだ。

「ど、どうなってるの!?」

訳が分からず操縦桿をガチャガチャと動かすなのは。だが、AGE-1はそのまま地面に墜落してしまった。それを見たセイが彼女に謝罪しながら説明する。

「ごめんなのはちゃん。言い忘れてたけど、AGE-1にはアストレアやセイバーとは違って飛行能力は無いんだ。」

「ええ!そんなぁ・・・」

「何か、あたしとなのはの立ち位置がブレイブデュエルとは逆になっちゃったわね。」

落胆するなのはを見てアリサが言った。

「あの、何とかならないんですか?」

一方、すずかは何か対策が無いのかをセイに聞いた。

「もちろん、飛べないガンプラで空中戦をやる方法はいくらでもあるよ。サブフライトシステムなどと言ったサポートメカを使う手も有るし、いっその事空中戦が出来るよう改造してしまう手も有るんだ。他にも、機動戦士ガンダムの作中でアムロ・レイがやっていたみたいにジャンプした後、空中で姿勢制御しながら戦うって言う方法もあるけど、これは難しいかな。」

「空中で姿勢制御・・・」

「さっきも言ったけど、それは高等技術だからね。まずは基本操作の練習をしないと。」

飛ぶ事に貪欲ななのはに対し注意するセイであった。

「そんじゃ、始めるぞ。」

そして、レイジによるガンプラバトル講座が始まった。





「こんな感じだ。大体分かったか?」

「いや、あんたの教えたのって基本操作以外のテクニックは殆ど勘とかばっかじゃない!!」

アリサの言う通り、レイジはテクニックを見せはするのだが、方法は殆ど勘だと答えていた。それでも、セイがある程度補足をしたので何とかなのは達にも理解出来たが。

「仕方ねえだろ。俺は殆ど勘で動かしてんだから。」

「そんなので大丈夫なの?」

レイジの才能にアリサは呆れるばかりであった。

「それより、折角だから最後に一発バトルしていかないか?」

「そうだね。チーム分けはどうしようかな?」

レイジの提案を聞いてチームの組み合わせを考えるなのは。すると、レイジが言った。

「別に、お前ら全員でかかって来ても構わねえぞ。」

「ええ!?でもそれじゃあ、三対一になっちゃいますよ。」

「大丈夫だって。それに、勝つのは俺だからな。」

心配するすずかを他所に自身満々なレイジ。すると、負けず嫌いなアリサの闘争心に火が着いた。

「また言ってくれるじゃない。なら、今度こそその天狗鼻をへし折ってやるわ!!」

「やれるもんならやってみな!!」

そして、バトルがスタートした。

「まずはあたしから行くわよ!それ!!」

まず、アリサのアストレアが全武装の一斉射撃を行う。レイジはそれを安安と回避した。

「闇雲に撃ってるだけじゃ当たらねえぞ!!」

「くそっ!」

「アリサちゃん!ここは任せて!!」

攻撃が当たらなかった事にアリサが悔しがっていると、すずかのセイバーが前に出た。

「変形すれば、スピードはこっちの方が!!」

そして、セイバーをMAに変形させレイジに戦いを挑む。

「当たって!!」

すずかはビルドストライクに向かってアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲を発射した。レイジはそれを回避し、すずかの視界から消える。

「えっ!何処!?」

「すずかちゃん!後ろ!!」

その時、なのはが叫んだ。すずかが慌ててセイバーを変形させ、振り向かせる。だが、そこでは既にビルドストライクがビームライフルを構えていた。

(っ!やられる!?)

「すずか!!」

そこへ、弾切れになった武装をパージしたアリサのアストレアがGNビームピストルにる援護射撃を行う。レイジは攻撃を中断し、それを回避した。

「ありがとう、アリサちゃん。」

「どういたしまして。さあ、あいつの天狗鼻をへし折るわよ!!」

そう言ってアリサはアストレアの右腕に装備されたプロトGNソードを展開した。そして、ビルドストライクに突撃する。

「すずか!なのは!援護よろしく!!!」

「任せて!」

「飛べない分はそっちで頑張るよ!!」

アリサの指示通り、すずかとなのはは高威力のビーム兵器で援護射撃を行う。レイジがそれを回避している間、アリサはアストレアを一気に突撃させた。そして、プロトGNソードを振り下ろす。

「貰った!!」

「まだまだ!!」

だが、レイジはライフルを投げ捨て、代わりにビームサーベルを引き抜いた。そして、アリサの一撃をそれで受け止める。そのまま鍔迫り合いになるが、徐々にビルドストライクの方が押し始めた。

「ぐっ・・・何てパワーなの・・・レイジの操縦する腕も凄いけど、ガンプラ自体の性能も桁違いじゃない!」

レイジとビルドストライクの強さに思わず言葉をもらすアリサ。そして、ついにアストレアは弾き飛ばされてしまう。

「キャア!」

「アリサちゃん!!」

直様、なのはがアリサを援護するためにドッズライフルを撃った。レイジはそれをチョバムシールドで防御する。ドッズライフルのビームはその装甲をいくらかは削るが、貫く事は出来なかった。

「嘘!?」

なのははセイからドッズライフルは強固な装甲も撃ち抜くと聞いていたので、この光景が信じられなかった。

「これがガンプラの完成度の差って奴か・・・面白いわね!!」

その時、いつの間にか態勢を立て直したアリサのアストレアが再びプロトGNソードを構えて突撃した。

「さあ!もう一度勝負よ!!」

「望む所だ!!」

そして、このまま2機は再び刃を切り結ぶ。かと思われた。だが・・・

「かかったわね!!」

なんと、アストレアが急降下し、その後ろからアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲を脇の下から展開したセイバーが現れた。

「何!?」

「これなら!!」

そのまま、すずかは引き金を引く。だが、レイジはそれすらも紙一重で回避した。

「これも避けるの?でも、まだその先があるわ!!」

アリサがそう叫んだ時だった。いつの間にかジャンプして空中に居たAGE-1がドッズライフルをビルドストライクに向けていたのは。

「今度こそ!!」

絶対に当てるという意気込みと共に引き金を引くなのは。レイジはそれをチョバムシールドで防御する。だが、既に攻撃を受けて損傷していたシールドにはそれを受け止め切れず、砕けてしまった。

「やったな!」

直様、レイジはビルドブースターのビームキャノンで反撃する。その片方はAGE-1のシールドを弾き飛ばし、もう片方はドッズライフルを破壊した。AGE-1はそのままバランスを崩し、墜落して行く。

「なのはちゃん!!」

すると、MA形態のセイバーがそれを受け止めた。

「ありがとう、すずかちゃん。」

「このまま行くよ!!」

「うん!」

そのまま、なのははAGE-1をセイバーの上で立ち上がらさせ、腰のビームサーベルを引き抜いた。

「レイジさん。行きます!!」

「おうよ!受けて立つぜ!!!」

そして、互いに突撃しすれ違った。その際、AGE-1のサーベルが弾き飛ばされ、地面に突き刺さった。だが次の瞬間、ビルドストライクの右肩のスラスターが下へとずり落ちた。見ると、いつの間にかAGE-1は右手にもビームサーベルを抜いていた。

(やっぱりだ・・・なのはちゃん。射撃も上手いけど、接近戦も同じくらいに上手・・・いや、それ以上かもしれない。)

なのはの技術を見て、セイが心の中で感想を言った。

「やるな、なのは。」

「レイジさんの方が凄いですよ。」

互いに互いを称え合うレイジとなのは。すると、そこへアリサのアストレアがやって来た。

「ちょっと!私も忘れ無いでよね!!」

「そうだったな。さあ、バトルを続けるぜ!!」





「いやあ、戦った戦った。」

ガンプラバトルを目一杯楽しんだ四人はイオリ家に上がり、ジュースを飲みながら一休みしていた。

「結局勝てなかった・・・」

「すみません。わざわざ上がらせてもらった上、飲み物まで・・・」

「別に構わないわよ。」

アリサが悔しがる中、すずかがリン子にお礼を言っていた。その時、セイが三人に聞いた。

「三人とも。ガンプラバトルはどうだった?」

「凄く楽しかったです!!」

「ガンプラを作るのは大変だったけど、その分完成した時の達成感が凄かったわね。」

「ブレイブデュエルとは違って、バーチャルじゃない所も凄いですね。」

それぞれに感想を言うなのは、アリサ、すずか。すると、レイジがある事を思い出した。

「そう言や、お前らみたいにブレイブデュエルで恰好いい服を着る方法をまだ教えてもらって無かったな。」

「それなら、またホビーショップT&Hに来た時に教えてあげるわ。今日はもう遅いから、明日はどう?」

すると、アリサがそう提案した。

「そいつはいいな。じゃあ、明日行くから、その時は説明よろしくな。」

「ええ。それと、今度来る時はガンプラを持って来てちょうだい。」

「ガンプラ?何でだ?」

「それは、明日来れば分かるわよ。」



続く





[39922] 第三話 ダークマテリアルズ
Name: プロト・セブン◆1866fe9e ID:399247ba
Date: 2014/06/18 09:17
前回のあらすじ

なのは達にブレイブデュエルについて教えてもらった代わりにガンプラバトルについて教えたセイとレイジは、翌日ホビーショップT&Hに来るよう誘われた。その際、ガンプラを持って来るよう言われたが、一体どういう事なのだろうか。





「よお!約束通り来たぞ!!」

セイと一緒にホビーショップT&Hにやって来たレイジは、なのは達を見つけると、早速声を掛けた。

「こんにちは、セイさん。レイジさん。」

「今日は誘ってくれてありがとう。」

挨拶をしてくれたなのはにセイが礼を言う。すると、今度はフェイトがセイとレイジに言った。

「あの、昨日はお誘いに乗る事が出来なくてすみませんでした。」

「別にいいよ。お店の手伝いだったんだからしょうがないし。」

「そうさ。気にする事はねえよ。また今度来ればいいだけの事だからな。」

「はい。」

「それじゃあ、早速二名様をご案内しまーす!」

そして、セイはアリシアを先頭とする一行に案内され、T&Hのビルの五階の部屋に到着した。

「ここは『コミュルーム』。BDのシミュレーターの順番待ちの間の暇を潰すための場所だよ。」

「お!飯も食えるみたいだな!!」

アリシアが説明する中、レイジは軽食を注文出来るカウンターがある事に気付く。

「そうだよ。当店自慢のシェフが軽い食事なら何でも作ってくれるよ。その中でもカレーは『ある人のレシピ』を元にこだわりある逸品に仕上がっているんだ。」

「よし、じゃあ早速・・・」

「って、まだ説明の途中だよ!!」

カウンターに注文しに行こうとするレイジをアリシアが慌てて止めた。

「そう言や、まだ恰好いい服を着たカードを手に入れる方法をまだ教えてもらって無かったな。」

「それはこれから教えるよ。ほら、あそこにシミュレータールームにもあったカードローダーがあるでしょ?」

「本当だ。」

アリシアの指差す方向にセイ達が視線を向けると、確かにそこにはカードローダーがあった。

「実は、一日一枚誰でも新しいカードが貰えるんだ。」

「本当か!?」

「随分と太っ腹だね。」

アリシアの説明にレイジとセイは驚く。

「よし。セイ、早速貰いに行こうぜ。」

「そうだね。」

そして、二人は早速カードローダーからカードを一枚引いた。その結果は・・・

「よっしゃ!恰好いいコスチュームの俺のカードが当たったぜ!!」

「僕もだよ!」

二人とも、無事にバリアジャケットを纏った『ノーマルプラス』のカードを手に入れる事が出来た。

「よし。それじゃあ、早速試してみようぜ!」

「でも、今から行っても順番待ちじゃないのかな?」

やる気満々なレイジに対しセイが言った。

「ふっふっふ。」

すると、アリシアが部屋にある円卓の一つの前に立ち、不敵に笑った。

「そこで活躍するのがこのテーブルさんです?」

「え?」

「どう言う意味だそりゃ?」

「まあ見てて。ポチッとな。」

セイとレイジが首を傾げる中、アリシアはテーブルに着いたフタを開け、その中にあるボタンを押す。すると、テーブルが変形した。

「これこそ卓上でもBDを楽しめちゃう簡易シミュレーター!その名も『エンタークン』!!」

「そのまんまじゃねえか。」

安直なネーミングにレイジがツッコミを入れた。

「本体に比べると小さいけど、これでも立派にBDをあそべるんだ。」

「そこのスロットにブレイブホルダーをセットするだけで起動出来るよ。」

「ここだな。」

「よいしょ。」

フェイトとアリシアの説明通り、レイジとセイはブレイブホルダーをエンタークンにセットした。すると、エンタークンが光り起動する。

「小さいアバターがエンタークン上に出て来たら準備OK。コンソールを手に置いて次はコールだよ。」

アリシアがさらに解説を続けた。

「よっしゃ!行くぜ、セイ!!」

「こっちはいつでもOKだよ。」

「そんじゃ・・・」

「「リアライズアップ!!」」

そして、二人のブレイブデュエルがスタートした。

「これが俺のコスチュームか。」

レイジのアバターが纏う衣装は彼のイメージカラーである赤を基調とした弓術師風のデザインとなっていた。

「武器にも合ってるし、凄く恰好いいよ!」

一方、セイの衣装は機械的な青い騎士甲冑であった。

「レイジさんもセイさんも恰好いいですよ!!」

二人のバリアジャケットを見て感想をもらすなのは。その時・・・

「う〜ん。恰好いいけど、やっぱボクのが一番だね。」

近くの席に座ってカレーを食べている少女がそんな事を言った。

「何だと!?」

直様、その言葉に反応してその少女の方を向くレイジ。そして、彼女の姿を見て彼は驚愕する。なんと、その少女の容姿は髪や瞳の色を除けばフェイトと瓜二つだったからだ。

「レヴィ!どうしてここに!?」

すると、フェイトが彼女に聞いた。

「我らもおるぞ。」

すると、軽食コーナーの方からそれぞれラーメンとチャーハンを持った二人の少女がやって来た。

「ディアーチェとシュテルまで!?」

「なあ、フェイト、アリシア。あそこでカレー食ってる奴ってお前らの姉妹か何かか?」

レイジがテスタロッサ姉妹に聞いた。

「そうじゃないよ。あの子はレヴィ。インダストリー所属のデュエリストなの。」

「インダストリー?何だそりゃ?」

「BDを開発した所だよ。あそこに居るディアーチェとシュテルもそうで、シュテルに至ってはBDのロケテスト一位なの。」

「ロケテスト一位!?そうか、あいつが・・・」

レイジはシュテルを見ながら闘志を燃やした。

「それで、シュテル達は今日は何の用で来たの?」

なのはがそう聞くと、ディアーチェが答えた。

「なに。風の噂で凄まじい腕のルーキーが現れたと聞いたのでな。どのような奴かを見に来たのだ。」

「凄まじい腕のルーキー?」

「そうです。未だ未熟とはいえ、あのなのは達を相手に互角以上の戦いを繰り広げたと聞きましたので。」

すずかが首を傾げると、シュテルが答えた。

「話によれば、パチンコで戦う風変わりな弓兵と、双槍使いの騎士と聞いたが・・・丁度そこに居るな。」

セイとレイジのアバターを見ながらディアーチェが言った。

「貴様らか。噂になっておったのは。」

「どうやら、そうみてえだな。」

ディアーチェの問いにレイジはそう答える。

「そうか。ならば、その力を見せてもらおうか。」

「やり合おうってのか?いいぜ、その話乗った!!」

「ちょっとレイジ!?」

勝手に話を進めるレイジにセイが抗議する。その時、アリシアが言った。

「それじゃあ、今度は私とフェイトと一緒にチームを組んでみない?」

「ん?アリシア、お前もBDやるのか?」

「そうだよ。」

「ほお、ちびひよこも来るか。面白い。纏めて粉砕してくれるわ!!」

「へっ!やれるもんならやってみな!!」

こうして、ディアーチェ率いる『ダークマテリアルズ』とセイとレイジ、そしてテスタロッサ姉妹の混合チームのデュエルが始まる事となった。





「皆さんこんにちは。実況担当の当店店長のプレシア・テスタロッサです。今回のイベントデュエルは当店の看板娘アリシアとフェイト、そして期待の新人セイとレイジのチームとダークマテリアルズの対戦となっております!」

シミュレータールームの実況席に座る女性が高々と宣言した。

「ねえ、アリシアちゃん、フェイトちゃん。あの実況席に居る女の人って・・・」

「そう。私たちのお母さんだよ。」

セイの質問にアリシアが答えた。

「って言うか、随分と派手なイベントになってんな・・・」

レイジの言うとおり、BDシミュレーターの周りには多くの観客が集まっていた。すると、彼のその言葉にアリシアが答える。

「うちではこう言うイベントデュエルはよくやってるよ。」

「ま、観客は多い方が盛り上がるからいいけどな!」

やる気満々なレイジ。すると、プレシアがルール説明を始めた。

「今回の種目は『スカイドッジ』。各チームコート内に三人の『アタッカー』。コート外に『バックス』を配置して始まります。コートは自陣と敵陣で範囲が決まっていますが、上のほうには自由に飛び回って構いません。これがこのデュエルの醍醐味ですね。」

「つまり、飛行有りのドッジボールって事?」

「そう言う事♪」

セイが自身の解釈を言うと、アリシアがそれを肯定した。

「さあ、ここからは初めてやる二人の為に実演しながら説明するよ。」

そう言ってアリシアがプレシアから説明を引き継ごうとした時だった。

「だが、その前にだ。」

まだバリアジャケットを身に纏っていないダークマテリアルズがカードを掲げた。

「行くよ、カードスラッシュ!雷纏(らいてん)!!」

「獄装(ごくそう)!!!」

「炎着(えんちゃく)!」

そして、派手な演出と共にそれぞれのバリアジャケットを身に纏う。

「こっちも負けてられないね!ミラクルチェーンジ!!!」

すると、それを見たアリシアもまた派手な演出と共に変身した。

「へえ。バトル中に変身する事も出来るんだ。」

「何か、あっちの方が恰好いいな。ん?」

彼女達の変身シーンを見てそれぞれの反応をするセイとレイジ。すると、レイジがダークマテリアルズのプレイヤーデータを見てある事に気付いた。

「何だありゃ?名前とは別に何か書いてあるぞ。」

「本当だ。」

それぞれ、レヴィには『レヴィ・ザ・スラッシャー』と言うプレイヤーネームと共に『雷刃の襲撃者』と言う名前が、ディアーチェには『ロード・ディアーチェ』と言うプレイヤーネームと共に『闇統べる王』と言う名前が、そしてシュテルには『シュテル・ザ・デストラクター』と言うプレイヤーネームと共に『星光の殲滅者』と言う名前が記載されていた。
すると、アリシアがそれについて説明する。

「あれは『通り名』だよ。全国ランカーの証って所かな。」

「全国ランカーの証・・・」

アリシアの言葉をセイは重く噛み締める。その時、レイジがある事に気付いた。

「そう言や今気付いたけどさ。シュテルとレヴィの衣装ってなのはとフェイトの色違いだよな。」

彼の言うとおり、シュテルのバリアジャケットはなのはの色違いで、レヴィのはスカートが省略されていると言う違いはあるものの、フェイトとほぼ同じであった。

「そうだよ。なのはとシュテル。それにフェイトとレヴィのバリアジャケットは同じタイプなんだ。」

そこで、アリシアが解説をする。

「でもよ、レヴィのはフェイトのと少し形が違うのは何でだ?」

「それは『オリジナルアレンジ』を加えているからなんだ。」

「オリジナルアレンジ?」

「そう。バリアジャケットは時間さえかければ誰でも出来るよ。簡単って訳じゃ無いけど。」

「バリアジャケットの改造かあ・・・」

すると、セイが何やら考えを浮かべ始めた。そんな彼にレイジが注意する。

「なあ、セイ。バリアジャケットをガンプラみたいに改造したいのは分かるけどな。これからバトルなんだからそれに集中しろよ。」

「ごめんごめん。」

「それじゃあ、ルール説明に戻るよ。」

そう言うと、アリシアはコートに転がっている一つのボールを手にとった。

「競技にはこの『ボールスフィア』と言う球を使い、自分のコートから敵に向かって投げ合います。フェイト。ここからは実演しながらやるから手伝って。」

「分かったよ、アリシア。」

フェイトはアリシアから少し離れた場所についた。

「ゲームの始まりはサーブから!」

そう言ってアリシアはフェイトに向かってボールをサーブする。フェイトが飛んで来たボールに向かって手を伸ばすと、手に『CATCH』と書かれたシールドが展開され、ボールが受け止めるられた。

「ボールに反応して手を前に出せば『グラブシールド』が出現し、『キャッチ』と判定されます。」

「片手でも上手くやれば取れるけど、油断すると落とすから注意だよ。」

実演中のアリシアに代わり、シュテルとレヴィが解説をした。そこへ実演を終えたアリシアが続ける。

「敵がボールを取り損ねると自陣に一点。この時、ボールがそのままコートから出ると三点入るよ。もちろん、普通のドッジボールと同じようにボールに当たったらバックスに下がるからね。」

「でも、最初からバックスの場合はこのタイミングで『バック』のコールをする事で『アタッカー』になれるよ。」

さらにフェイトが付け足した。

「15点の先取、もしくは敵コール内の先取が0になった時点で自軍の勝利だ。あと、ボールの投げ返しは捕球した者のみの権利になるから覚えておけ。」

そこへディアーチェが次の説明をする。すると、アリシアが付け足すように言った。

「因みに、キャッチや打ち返しの時はデバイスを使ってもいいんだよ。デバイスでの打ち返しはボールを受け止めて投げ返したのと同じ扱いだから安心してね。」

「なるほどな。」

「次は投げ方だけど。フェイトよろしく。」

「うん。任せて。」

ここで、解説はボールを持っているフェイトに移った。

「それとフェイト。ボールを投げるのにマントは邪魔だと思うから・・・」

「分かってるよ。」

アリシアにそう言われた途端、フェイトが光り出した。そして、光が収まると、フェイトのバリアジャケットのデザインが変わっていた。マントは外され、レオタード状だったスーツの下半身部分がスパッツのような形状に変化している。

「服が変わった!?」

「そう言う機能もあるの!?」

それを見て、レイジとセイは驚く。

「よおし!僕も!!」

すると、フェイトに触発されたのか、レヴィもフェイトと同じようにバリアジャケットを変化させた。

「それじゃあレイジさん。そっちに投げますから受け止めて下さい。」

「いいけど、そこから狙えるのか?」

現在フェイトが立っている位置からレイジの居る所の間にはセイが立っていた。普通ならここはセイに渡すべきだろう。

「大丈夫です。セイさん、危ないから動かないで下さいね。」

だが、フェイトはそう言ってボールを投げた。

「こうやって投げた後、魔力を込めれば・・・」

すると、ボールはセイの目の前で曲がり、レイジの所へ向かった。

「おっと!?」

予想外の動きをしたボールにレイジは少し反応が遅れるが、何とかキャッチに成功する。。

「へえ。こんな事も出来るのか。面白れえな。」

「要領は誘導弾と同じだからイメージの正確さとタイミングが重要だよ。」

「『魔力』を込めれば威力と速度が上がるけど、『限界値』があるから注意してね。」

レイジがワクワクする中、フェイトとアリシアが解説を続けた。

「説明は以上。二人とも分かった?」

「バッチリだ!」

「僕も。でも、さっきの説明からして、このゲームは五人でやるみたいだけど、僕たちは四人しか居ないよ。」

「大丈夫!」

セイが心配する最中、アリシアはもう一枚自分のカードを取り出した。

「カードスラッシュ!!」

そして、そのカードをコールする。すると、デフォルメされたアリシアが出て来た。

「何だこりゃ?」

「『フレンドNPC』だよ。チーム戦で人数が足りない時に手持ちのカードから好きな子をNPCとして呼ぶ事が出来るんだ。向こうも使っているよ。」

セイとレイジがダークマテリアルズの方に視線を向けると、そこにはシュテル達三人以外にもデフォルメされたディアーチェとレヴィの姿があった。

「それじゃあ、まずはアタッカーとバックスに分かれようか。」





あの後、セイ達のチームがセイ。レイジ、、アリシアがアタッカー、フェイトとフレンドNPCがバックスとなり、ダークマテリアルズはシュテル達三人がアタッカー、フレンドNPCがバックスとなった。

「コイントスの結果、ダークマテリアルズの先制でスタートします。」

実況のプレシアがそう言うと、レヴィがボールを構えた。

「レイジ。相手はBDを開発したインダストリー所属のチームだよ。きっとBDを知り尽くししているハズだ。」

「なら、尚更燃えるってんだ!」

注意するセイに対しレイジは闘志を燃やしながら言った。

「そんじゃ、行くぞ!滅殺!!零七七式、真・雷光サァーブ!!!」

そして、レヴィは雷を纏うサーブを放つ。が、誰にも当たらず、そのまま後ろの壁に激突した。

「ありゃ。当たんなかった。」

「な、何なの今の!?」

とんでも無いサーブにセイは思わず叫ぶ。

「面白れえ。次は絶対取ってやるぜ!!」

一方、レイジはさらに闘志を燃やしていた。

「混成チームは誰も捕球出来なかったので再度ダークマテリアルズのサーブです。サーブは順番制まので次はシュテルです。」

実況のプレシアがそう言うと、今度はシュテルがボールを手に取る。

「では、参ります。」

すると、シュテルはボールに炎を纏わせた。

(属性込みに収束・・・シュテル、本気だね。)

「さあ!受け止めてやるぜ!!」

アリシアが分析する中、レイジが前に出た。そして、そのまま両手で捕球しようとする。

「ぐう!なんつうパワーだ!?」

だが、レイジはじりじりと後ろに押され始めた。そして、とうとう押し負けてしまい、後ろに吹き飛ばされてしまう。

「レイジ選手!豪炎球の前に吹き飛ばされてしまいました!選手がコート外に出てしまった場合も3失点と同じ扱いになってしまいます。」

すると、実況席にいたプレシアが言った。

「なら、出る訳にはいかねえな!!!」

それを聞いたレイジは空中で一回転すると、コート上に着地。ラインギリギリで止まった。

「セイ!ボールを頼む!!」

「分かった!」

レイジに言われ、セイは飛び上がりボールをキャッチした。

(イメージするんだ。投げた後のボールの軌道を!)

セイはイメージをより正確にするためにある動きを思い浮かべた。

(父さんの・・・そして、レイジのガンプラバトルでのマニューバを!!)

「行けえええええええ!!!」

そして、イメージが固まった所でボールをシュテルに向かって投げた。

「良い球ですね。でも!」

それをシュテルはキャッチしようとする。だがその直前、セイはある動きをイメージした。それは、ビームサーベルを抜いて振り下ろすビルドストライクだった。それにより、ボールは一度上に上がり、上からシュテルを強襲する。予想外の動きをしたボールに対し、シュテルは弾くのが精一杯だった。

「レヴィ!」

「任せて!!」

すかさず、レヴィがそれをカバーする。

「奴め。見た目こそ軟そうだが、意外とやりおるな。」

「そうだね。」

ディアーチェがセイを評価していると、レヴィもそれに同意した。

「じゃあ、また行くよ!!!」

レヴィはボールに魔力を込めて投げる。

「今度は受け止めてやるぜ!!」

すると、カブトを構えたレイジが前に出た。

「パチンコでどうやって打ち返すのかな?」

「こうすんだよ!!」

馬鹿にするように笑うレヴィに対し、レイジはなんとカブトのゴム部分でボールを受け止めた。ゴムはそのままボールの進む力で引っ張られる。レイジはカブトがボールに持って行かれないよう、グリップをしっかりと握った。そして、ついにゴムが限界まで引っ張られる。

「こいつを・・・食らえ!!!」

そして、ボールをレヴィに向かって発射した。

「速いね。でも、ボクの方が速いよ!!」

だが、レヴィはそれをあっさりと回避する。

「まだだ!!」

すかさず、レイジはボールの軌道を曲げて再びレヴィに向ける。

「まだ甘いよ!!」

しかし、それも回避されてしまう。

「なら、もっと飛ばして行くぜ!!」

レイジはガンプラバトル世界大会イタリア代表の『リカルド・フェリーニ』との特訓を思い出しながらボールに魔力を込めた。それにより、ボールはさらに加速する。

「やるね。じゃあ、ボクも凄いのやっちゃうかな?」

その時、レヴィの姿が消えた。

「何処に!?」

「ここだよ〜♪」

「この!!」

再びレイジはレヴィの方にボールを向けたが、またしても回避される。

「何だあの動きは!全く動きを目で追えない!?」

レヴィの速さに思わずセイが叫んだ。すると、アリシアが解説をする。

「あれはスキル『ストライプムーブ』。あの状態のレヴィはシュテルでも捉えるのは難しいらしいよ。」

「全国一位でも!?」

「でも、今問題なのはレイジさんだよ。レヴィに追いつこうとどんどんボールに魔力を込めているからいずれは・・・」

レヴィがそう言った時だった。

「何だ?何か力が抜けて来たぞ。」

レイジの力が弱まって来た。その時、プレシアが実況する。

「レイジ選手の魔力ゲージがどんどん下がって行きます!魔力はいわば『精神力』なので、このままいけば気絶状態になってしまいます。」

それを聞いたセイが叫んだ。

「レイジ!闇雲にやっちゃダメだ!!」

「じゃあ、どうしろってんだ!!」

「一直線に狙うんじゃなくてフェイントを混ぜるんだ!」

「フェイントか・・・やってみるぜ!」

レイジは残り少ない魔力を振り絞ってボールをコントロールする。

「何度やっても同じ事だよ!」

それをレヴィはあっさりと回避しようとする。だがその直前、ボールの進む向きが急激に変わった。

「いっけええええええええ!!!」

そのまま、ボールはレヴィに直進する。

「嘘!?」

回避行動中でレヴィは身動きが取れない。結果、ボールは彼女にクリーンヒットした。

「どんなもんだ!」





「なのはの『アクセルシュート』は避けたレヴィに当てる何てとんでもない奴ね。」

観客と共に試合を見ているアリサが言った。すると、なのはがそれについて説明する。

「きっと、あれはフェイントを使ったからだね。」

「フェイント?」

「私の時はボールを曲げた後にレヴィちゃんに避けられちゃったけど、レイジさんは避けた後に曲げていたから当てられたんだと思う。」

「なのはちゃん、詳しいね。」

「『剣術』で使う駆け引きとして一応教えてもらったから。」

すずかの言葉に対し、そう答えるなのはであった。





再び、コート内に居るレイジ達。

「どんなもんだ!」

レイジは自慢げにそう叫ぶ。一方、ダークマテリアルズの方はと言うと

「まさかレヴィがやられるとはな。」

「ごめんね、王様、シュテるん。」

「気にしないで下さい、レヴィ。」

「うん。とりあえず、バックスに回るね。」

そしてレヴィがバックスにまわった後、シュテルがディアーチェに言った。

「ここからは少し本気を出した方がよろしいようですね。」

「そうであろうな。さあ、覚悟せい、塵芥。」

そして、シュテルは静かな闘志を燃やし、ディアーチェは獰猛な笑みを浮かべた。

「向こうは少し本気を出すみたいだね。注意した方がいいよ。」

「上等じゃねえか。」

二人の様子を見たアリシアが注意するが、レイジはその方が燃え上がると言わんばかりに答える。
その時、プレシアの実況が入った。

「ここでダークマテリアルズは『バック権』を使い、フレンドNPCがアタッカーになるようです。」

見ると、レヴィがバックスにまわった代わりに、コート内にディアーチェをデフォルメしたようなフレンドNPCが入って来ていた。

「ここでそのバック権について説明しましょう。バック権とはバックスが二名以上居る時はバックスの一人がアタッカーになる事が出来る権利の事です。これは各チーム二回まで使用可能となっています。また、バックスがアタッカーを撃破した場合もアタッカーになる事は出来ます。この際バック権は消費しませんが、ストックは出来ないのでご注意ください。」

「なるほど。わざわざ二回しか使えねえもんをここで使ったって事は、向こうはそれだけ本気って訳か。そんじゃあ、行くぜ!!」

サーブ担当のレイジがボールを構えながら言った。

「でもレイジ。さっき大分魔力を消費したのに大丈夫なの?」

「大丈夫だ!任せておけ!!!」

セイが心配する最中、レイジはサーブを繰り出した。だが・・・

「ありゃ?」

魔力が殆ど残っていなかったのか、かなりのヘロヘロサーブであった。それはあっさりとフレンドNPCのディアーチェ、通称『王ちゃま』に受け止められる。

「あ、あんなちっこいのに受け止められた!?」

「だから言ったのに・・・」

衝撃を受けるレイジにセイが呆れながら言った。そんな中、王ちゃまはニヤリと笑うとレイジに向かってボールを投げる。当然、レイジは避けようとするが魔力切れで動けず、そのまま食らってしまった。

「くっそ〜!」

レイジは悔しそうにバックスにまわった。





その後、フェイトがバック権を使いアタッカーとなり、試合はどんどん進んで行った。そして、得点は混成チーム12点、ダークマテリアルズ14点となりマッチポイントとなる。コート内のアタッカーは混成チームがセイとフェイト。ダークマテリアルズがシュテルとディアーチェだ。

「大分追い詰められたな・・・」

バックスに居るレイジが悔しそうな様子だ。すると、同じくバックスに居るアリシアが彼に言った。

「そろそろ魔力も回復しただろうし、バック権を使って前にでたらどうかな?」

「そうだけどな。あと一回しか出来ないだろ?」

「あれ?レイジさんはアタッカーになってもここから逆転する自信は無いの?」

アリシアのその言葉を聞いてレイジはカチンと来た。

「んな訳無いだろうが!!」

「なら、バック権を使って。でもその代わり・・・」

「分かってる。逆転勝利を決めてやるぜ!!!」

そして、レイジはバック権の使用を宣言しようとするが・・・

「その前に一つアドバイス。ブレイブデュエルのスキルはイメージしだいで初期スキルでも凄い技に変化するんだよ。」

「イメージか・・・まあ、やってみるぜ。」

そして、レイジはバック権を使用し、前に出た。

「さあ、こっからが本番だ!!」

「ほお、随分な自信ではないか・・・シュテル。」

「承知しております。」

ディアーチェに言われ、サーブ担当のシュテルがボールを構えた。

「さあ、来い!今度こそお前の球を受け止めてやるぜ!!」

「中々の闘志です。では、それに私も闘志を燃やし答えましょう。」

その時、シュテルの足に炎の翼が展開された。そして、ボールを上に打ち上げ、彼女自信もスカートを少し上げると飛び上がる。

「あの技は!?」

その時、レヴィが叫んだ。

「星光烈蹴拳!!!」

そして、レヴィが技名を叫ぶと共にシュテルがボールを蹴り、豪炎球を放った。

「よおし!行くぜ!!」

それに対し、レイジはレヴィの球を打ち返した時と同じようにカブトを構える。その時、カブトが叫んだ。

『ダメだレイジ!ありゃ威力が高すぎて俺じゃ受け止められねえ!!』

「なら、僕達に任せて!!」

すると、オーディーンを構えたセイが前に出た。

「スキルカード・クロスブレイド!!!」

そして、スキルカードをコール。オーディーンをXを描くように振るい、衝撃波を発生させボールにぶつけた。

「甘いですね。その程度では私の闘志の篭ったその球は止められませんよ。」

「止められなくても、ある程度勢いを殺す事は出来る!レイジ!!」

「おう!!!」

セイが叫ぶと、今度はレイジがボールの前に出た。

『これなら何とか受け止められるぜ!!』

「よっしゃあ!!!」

レイジはそのままカブトのゴム部分でボールを受け止めた。だが、ボールは未だに燃え続けている。

「あちちち!?」

「例え勢いは殺せても、その炎だけは簡単に消し去る事は出来ません。」

そう宣言するシュテル。だが、レイジはニヤリと笑うとこう言った。

「でもよ。火は水で消えるぜ!カブト、水属性を付加だ!!」

『おう!任せておけ!!』

カブトはボールに水の属性を付加し、炎を消した。その様子をシュテルは信じる事が出来なかった。

「馬鹿な!?」

「さあ、お返しするぜ!!」

レイジはシュテルに狙いを定めると、イメージを練り始めた。

(ただ撃つだけじゃあいつに受け止められちまう。何か強いイメージは・・・そうだ!!)

ここで、レイジはセイがガンダムAGE-1の解説をしていた時に言っていた言葉を思い出す。

『ドッズライフルはビームをドリル回転させながら撃ち出す事で威力を大幅に上げていて、強固な装甲でも撃ち抜くことが可能なんだ!』

(ドリル回転・・・周りながら進んで行くイメージを・・・)

レイジはイメージを浮かべる。すると、ボールがカブトにセットされた状態で高速回転し始めた。

「いっけえええええええ!!『ドッズシューター』!!!」

そして、ドリル回転するボールをシュテルに向かって打ち出しだ。

(これは・・・)

シュテルは全面に巨大なシールドを展開するが、ジリジリと押される。そして、ついにシールドが砕け散り、爆煙が上がる。

「どうだ?」

一応、手応えを感じたレイジはセイ達と共に煙が晴れるのを待った。そして、そこから出て来たのは・・・未だ健在のシュテルであった。

「まさか、あれに耐えやがったのか!?」

驚愕するレイジ。だが、それにシュテルはこう答える。

「いえ、私の負けです。」

やがて煙が全て晴れたシュテルの足が見えた。なんと、彼女はコートの外に出てしまっていたのである。

「シュテル選手、コートアウト。混成チームの勝利です!」

「よっしゃああああ!!!」

「やったね、レイジ!」

そして、実況が混成チームの勝利を伝え、レイジ達は歓喜に包まれた。

「レイジ、セイ。」

そこへ、シュテルがやって来た。

「見事な連携でした。私が一人で放った球では勝てないのも納得です。」

「そんな大袈裟な。」

「まあ、俺たちは前から二人で戦ってたからな。」

シュテルの言葉にセイが謙遜するのに対し、レイジは自慢げな様子だ。そんな中、シュテルはレイジの言ったある言葉が引っかかった。

「『前から』とはどう言う意味ですか?」

「俺とセイは一緒にガンプラバトルをやってんだ。」

「僕がガンプラを作って、レイジがそれを操縦しているんだ。」

「お前も一回やってみたらどうだ?」

「ガンプラバトルですか。確かに、新たな楽しみが増えると言うのはいいかもしれませんね。」

「その時はイオリ模型店をよろしくね。」

ちゃっかり、自分の店の宣伝をするセイであった。

「はい。また今度、お邪魔させて頂きます。」

そして、シュテルはセイとレイジの二人と握手を交わすのであった。





「凄かったですよ!セイさん!レイジさん!!」

セイとレイジが筐体から出ると、早速なのは達がやって来た。

「まあ、俺にかかればこんなもんだな。」

自慢げに答えるレイジ。その時、セイが彼女達に聞いた。

「そう言えば、昨日ガンプラを持って来るように言ってたけど、何で?」

「ああ、それ?ちゃんと持って来た?」

「もちろん。」

アリサに聞かれ、セイはケースからビルドストライクを取り出す。

「それじゃあ、ついて来て。」

すると、なのは達はセイとレイジを何処かに案内した。




セイとレイジが案内されたのは、ホビーショップT&Hのとあるフロアだった。

「ここって、ガンプラコーナー?」

フロア内を見たセイが聞いた。すると、いつの間にか現れたアリシアがそれに答える。

「そうだよ。まあ、品揃えは流石に専門店には敵わないけどね。」

「でも、ガンプラを売っているって事はまさか・・・」

「そうだよ。ついて来て。」

アリシアに案内され、セイ達は商品棚の向こうにある開けたスペースに出た。

「これは!?」

そこにあったのは、イオリ模型店にある物よりも大型なガンプラバトルのバトルシステムであった。



続く




[39922] 第四話 AGE狩り
Name: プロト・セブン◆1866fe9e ID:399247ba
Date: 2014/06/18 09:18

前回のあらすじ

再びホビーショップT&Hにやって来たセイとレイジはT&Hの看板娘アリシアとフェイトと共にブレイブデュエルロケテスト全国一位のシュテルが所属するチーム『ダークマテリアルズ』と試合をする事になり、見事勝利した。その後、二人はなのは達にT&Hの別のフロアに案内される。そして、そこにあったのは・・・ガンプラバトル用のバトルシステムであった。





「ここにもバトルシステムがあったんだ。」

「そりゃあ、ガンプラバトルは世界的に大人気だからね。うちにも当然置いてあるよ。」

セイが驚いていると、アリシアが説明した。すると、なのはが彼女に聞いた。

「あれ?アリシアちゃん、フェイトちゃんは?」

「フェイトはお店の手伝いだよ。」

「そうなんだ・・・」

アリシアの答えを聞いて、少し残念そうにするなのは。すると、アリサが彼女をからかう。

「やっぱ、なのはは愛しの王子様が居ないとさみしいのかしら?」

「にゃっ!?ア、アリサちゃん!何言ってるの!!」

顔を真っ赤にしながら叫ぶなのは。

「何言ってんだ?フェイトは女だから王子様じゃなくてお姫様だろ?」

そんな二人のやり取りを見ながら、不思議そうに言うレイジ。するとそこへ・・・

「おや?セイ君とレイジ君もここに来たようだな。」

一人の男性がセイ達に声を掛けて来た。

「ラルさん!?」

「どうしてこんなトコに居んだ?」

「知り合いですか?」

何やら、男性の事を知っている様子の二人になのはが聞いた。

「この人はラルさん。うちの店の常連なんだ。」

「そうなんですか。初めまして、高町なのはです。なのはって読んでください。」

「アリサ・バニングスです。」

「月村すずかです。よろしくお願いします。」

「うむ。礼儀正しいお嬢さん達だ。」

ちゃんと挨拶をするなのは達にラルさんは感心している様子だ。

「リンディさんやテスタロッサ家の皆さんから聞いた通りだな。」

「あれ?ラルさんってリンディさんやフェイトちゃん達と知り合いなんですか?」

ラルさんの言葉を聞いて、なのはが尋ねた。すると、彼に代わってアリシアがそれに答える。

「まあ、ラルさんはこの店によく来るからね。すっかり知り合いだよ。」

「そうなんだ。でも、何で?」

不思議に思いながらそう言うセイ。それに対し、ラルさんはこう答える。

「ここのビルダーの作るガンプラはどれも想像力が豊かで、素晴らしい作品が多くてな。見ていて楽しいのだよ。」

ラルさんは現在行われているバトルを指さした。

「これが!ホーミングショットランサーだ!!!」

「アイスシールドビット、展開!!!」

そこではビギナ・ギナをビギナ・ロナ風に改造したガンプラが複数のショットランサーをまるでビットのようにコントロールし、それをケルディムガンダムの改造ガンプラがシールドビットの表面から発生させられる氷の盾で防いでいた。

「あんな発想があるなんて!凄いガンプラだ!!」

「きっと、ブレイブデュエルで想像力が鍛えられているからだね。」

セイが驚愕する中、アリシアが推測した。その時、レイジがなのは達に聞いた。

「で、俺たちをここに呼んだって事はバトルがしたいって事か?」

「もちろんよ!こっちの方がバトルシステムは大きいし、もっと凄い戦いが出来るに違いないわ!!」

そうやってアリサは興奮しながら言うが・・・

「どうせうちの店は狭いですよ。」

それを聞いたセイが拗ねてしまった。

「いや、別にそんな積もりで言った訳じゃ!?」

慌てて謝ろうとするアリサ。すると、ラルさんが言った。

「君たちもガンプラバトルをするのか。どれ、少し君たちの作品を見せてはくれないか?」

「いいですよ。」

早速、なのは達はそれぞれ自分のガンプラを取り出す。

「うむ。多少荒削りな所があるものの良い出来だ。」

「ありがとうございます。」

「それじゃあ、早速ガンプラバトルを始めましょう!」

「セイさんも元気出してください。」

そして、ガンプラバトルを始めようとした時だった。

「大変よ!!!」

突然、プレシアがこちらに向かって走って来た。何やら慌てた様子の彼女にラルさんが尋ねる。

「プレシアさん。どうかしましたかな?」

「奴が来たわ!!」

「奴というと、まさか!?」

ラルさんがそう叫んだ時だった。

「そうよ、そのまさかよ!!」

バトルルームに一人の男が現れた。服装は赤いタンクトップにダボダボのズボンで、赤い髪を無造作に伸ばしヒゲも生やしていた。
その男を見た瞬間、ラルさんが叫ぶ。

「なのは君!今直ぐガンプラを隠すんだ!!」

「え?」

なのははラルさんの言葉の意味が分からず、困惑して固まってしまう。その時、男がなのはが手に持つAGE-1に気付いた。

「何だぁ?まだAGEなんざ使う奴がここには居やがったのか。」

そして、なのはへと近付いて行く。

「よおよお、嬢ちゃん。AGEなんざ使うたあ、てめえはガンプラバトルっつうモンが分かってんのか?」

そして、なのはに顔を近付けてメンチを切る。すると、ラルさんが彼女を庇うよう間に入った。

「それくらいにしておけ。相手は子供だ。」

「おやあ?ラル大尉。あの『青い巨星』と呼ばれたあんたが何で何度もAGEなんざ使う奴を庇うんですかねえ。」

「ラルさん。知り合いなんですか?」

男の事を知っている様子のラルさんにセイが聞いた。

「この男は『アリ・サダオ』。この店を縄張りの一つにしている『AGE狩りのサダ』と呼ばれている男だ。」

「AGE狩りだって!?」

「セイ、知ってるのか?」

何やら、驚いている様子のセイにレイジが聞いた。

「いや、ただ本当にそう言う事をする人が居るだなんて・・・」

「はあ?そいつは一体どう言う意味だ?」

「なのはちゃんの持っているガンダムAGE-1が登場する作品『機動戦士ガンダムAGE』は親子三世代に渡る物語なんだけど、それを他のガンダムシリーズの作品と同じ4クールで放送したからストーリーが駆け足で質の悪い物になってしまったんだ。だから正直、僕もあの作品はちょっと・・・」

「ほお。そこのガキは良く分かってんじゃねえか。」

セイの言葉を聞いたサダオが言った。

「AGEっつうのはガンダムシリーズの面汚しもいい所だ!!さっき言てったストーリーもそうだが、キャラとメカのデザインもヒデエったらありゃしねえ!!だから、そんなモンをガンプラバトルに持ち込んで他の名作の機体と共演させようなんざ反吐が出る!!だから、二度とんなこたぁ考えねえよう、バトルで叩き潰して回ってんだ!!!」

「ふざけないで!!!」

その時、なのはが叫んだ。

「好きとか嫌いとか、そう言うのは人それぞれでしょう!!なのに、あなたは自分一人の好みで勝手な事を!!!」

「おいおい。嬢ちゃんはAGEを見た事が無えのか?」

「無いよ!!」

「だからそんな事が言えんだよ!!」

「ムカつく奴ね!!なのは!私も一緒に戦うわ!!!」

「私も!!」

サダオを身勝手さに、アリサとすずかも立ち上がった。

「別に構わねえぜ。」

それに対し、サダオは文句を言わなかった。

「じゃあ、早速始めましょう!!」

そして、なのはチーム対サダオによるガンプラバトルが開始される事となった。





「しっかし、意外だな。」

なのは達がバトルの準備をする中、セイやアリシアそれにラルさんと一緒に観戦にまわったレイジが言った。

「意外ってどう言う意味さ?」

「いや。なのはって大人しそうだったからさ、あんな風に言い返すのは意外だったんだよ。」

セイの質問にそう答えるレイジ。すると、アリシアが言った。

「なのははああ見えて結構芯がしっかりした子だからね。」

「なるほどな。おっと、もう始まるみたいだぜ。」

『ビギニング、プラフスキーパーティクルディスパーサル。』

バトルシステムがプラフスキー粒子を放出し、バトルフィールドが形成された。

『フィールド6・スペース』

今回のステージは、無数のデブリの浮かぶ暗礁宙域だった。

『プリーズ、セットユアガンプラ』

システム音声がそう言うと、なのは達はもちろん、サダオもガンプラをセットした。それを見たレイジがセイに聞く。

「おいセイ。何だ、あの妙に手足の長いガンプラは?」

「アルケーガンダムだ。イノベイターが開発したガンダムスローネシリーズの後継機。でも、素の状態じゃなくて、幾つか手が加えられてる。」

セイの言う通り、サダオのアルケーは腰にエクシアのGNロングブレードとショートブレードを、肩にはスローネのビームサーベルを装備していた。

「アリ・サダオ。アルケーガンダムセブンズソード、出るぜ!!!」

最初にサダオが出撃した。それに続いてなのは達も出撃する。

「高町なのは。ガンダムAGE-1ノーマル、行きます!!」

「アリサ・バニングス。ガンダムアストレア・タイプF、出るわよ!!」

「月村すずか。セイバーガンダム、行きます!!」

そして、そのままサダオのアルケーと接敵する。すると、アルケーが先に仕掛けて来た。

「行けよぉ!ファングゥ!!!」

腰のコンテナからファングを射出するアルケー。だが、ファングは何故かAGE-1には見向きもせず、アストレアとセイバーに向かって行った。

「何よ!まずはあたし達からって訳!!」

アリサはそう言うと、アストレアの両腕に装備されたGNランチャーとNGNバズーカでファングを撃ち落そうとする。すずかのセイバーもビームライフルで応戦した。だが、ファングはそれを全てくぐり抜け、二機の手足に突き刺さる。そして、そのまま近くにあったデブリに縫い止めた。

「何よこれ!?」

「まさか、最初からこれが狙いで・・・」

「そう言うこった!!」

アリサが困惑し、すずかが推測をすつ中、サダオが答えた。

「さあ、これで邪魔者はもう居ねえ。このままAGEの機体を使う愚かさっつうもんを分からせてやるよ!!」

そして、アルケーはGNバスターソードを構えAGE-1に突撃した。

「私は、負けない!!」

それに対し、なのはのAGE-1はドッズライフルを撃ち、迎え撃つ。だが、放たれたビームはバスターソードで弾かれてしまった。

「嘘!?」

「やはり、ガンプラの出来とバトルの経験の差が!」

それを見たなのはとラルさんが叫ぶ。すると、アルケーは一気にAGE-1の懐に飛び込み、GNバスターソードを振るってドッズライフルを破壊する。だが、なのはは直様ビームサーベルを抜き、接近戦に移行した。大ぶりなバスターソードに比べて、ビームサーベルは小回りが利くのでなのはが有利になる。

「案外やるじゃねえか。なら、こいつはどうだ!!」

すると、アルケーは足で蹴りの構えを見せた。それを見たセイが叫ぶ。

「気を着けてなのはちゃん!アルケーガンダムの爪先にはビームサーベルが内蔵されているんだ!!」

「ところがぎっちょん!!」

だが、セイの言葉に反してアルケーの爪先からは実体剣の刃が飛び出した。

「どう言う事だ?普通、実体剣よりもビームの方が強力じゃないのか?」

それを見たレイジが不思議そうに言う。ガンダムについて殆ど詳しく無い彼でもそれくらいの事は分かっていた。すると、そんな彼にラルさんが言う。

「確かに、一般的にはそうだ。だが、あの刃は足に収納するためかなり短くなっている。つまり、取り回しはこちらの方が上だ!!」

「ちょいさぁ!!!」

アルケーは爪先のブレードを蹴りと共に連続で突き出す。なのははそれを捌き切れず、シールドでそれを防御した。だが、あっという間にシールドは穴だらけにされてしまう。

「どう言う事だ!?幾らガンプラの出来に差があるからって・・・」

アルケーの爪先のナイフの切れ味を不信に思うセイ。その時、彼の耳にキィーーンと言う甲高い音が聞こえた。

「この音は・・・まさか、ソニックブレイド!?」

「何だそれ?」

「刀身を高周波振動させる事で切れ味を増幅させているブレードの事だよ。」

セイがそうやってレイジに説明している間にAGE-1のシールドは使い物にならなくなってしまった。

「そぉら!こいつで終めえだ!!」

トドメと言わんばかりに、アルケーはGNバスターソードを振るう。AGE-1は右手にもビームサーベルを引き抜き、二本のサーベルをクロスさせて受け止めるがパワー負けしてしまい、吹き飛ばれてしまう。だが、直ぐに態勢を立て直し、再びアルケーに突撃した。

「そこっ!」

そして、左のビームサーベルを振るう。だが・・・

「甘めえぜ!!」

アルケーは左手でGNショートブレードを引き抜くと同時に振るい、AGE-1の左手首を切り落とす。

「そんな!?」

「こいつで終ぇだ!!!」

なのはが驚愕する中、アルケーはAGE-1を蹴り飛ばし一度距離を離す。そして、GNショートブレードをAGE-1に向かって投げた。GNショートブレードはそのままAGE-1の右胸に刺さる。すると、機体の機能が停止した。

「そんな!動いて!!動いてよ!!!」

なのはは必死に操縦桿を動かすが全く反応を示さない。

「まだ終わりじゃねえぜ!行けよぉ!ファングゥ!!!」

動けないAGE-1に対し、サダオは予備のファングを射出。それでAGE-1の両足と両腕を完全に破壊した。

「ああ!?」

「これで分かっただろうが!AGEなんざ使う事がどれだけバカな事かっつうモンをよお!!」

なのはが悲鳴を上げる中、アルケーはGNバスターソードを右腕にマウントすると、GNロングブレードをAGE-1の左胸に突き刺した。

「AGEを見てねえとか、んなモン言い訳にすらならねえ!!!」

次に、アルケーは両肩のビームサーベルを引き抜き、AGE-1の両肩に突き刺す。

「むしろ、見ていねえからいい加減に選んでそいつを作ったんじゃねえのか!?」

さらに、アルケーは両足のソニックブレイドを分離させ手に持つと、AGE-1の両脇腹に突き刺した。

「そんな奴がガンプラバトルをしようなんざ、ちゃんちゃらおかしいってもんだ!!!」

そして、トドメと言わんばかりにGNバスターソードを振り上げる。だがその時、一筋のビームがアルケーとAGE-1の間の空間を貫いた。

「何だ!?」

ビームの飛来して来た方向を見るサダオ。そこから現れたのはなんと、セイとレイジのビルドストライクガンダムであった。

「てめえは・・・どう言う積もりだ!てめえもAGEがクソだっつう事は分かってんだろうが!!!」

怒りと共にセイに向かってそう叫ぶサダオ。すると、セイはこう答えた。

「確かに、僕もAGEのストーリーの酷さには目を覆いたくなる時はあるさ。」

「だったらよぉ!!」

「でも!!だからと言ってAGEのガンプラを・・・それを組み立てた人が込めた想いまで否定していい事にはならないんだ!!!」

「てめえ!!」

アルケーはGNバスターソードをライフルモードにし、ビルドストライクに向かってビームを放つ。だが、レイジの操縦するビルドストライクはそれをヒラリと躱した。

「俺はセイとは違ってガンプラについてはからっきしだ。だから、何でてめえがなのはのガンプラを嫌うのかさっぱり分からねえ。けどな、そんな俺でもてめえの方が悪党だって事は分かんだよ!!!」

そして、レイジのその言葉と共にビームライフルを発射する。アルケーはそれを左腕のシールドで防ごうとするが、シールドごと腕を貫かれてしまった。

「何!?なんつう威力してんだこいつは!?」

「さあ、これでトドメだ!!!」

サダオがライフルの威力に驚愕する中、再びレイジがビームライフルを撃ち、アルケーの胴を貫いた。

『バトル・デンディド。』

「嘘だろ・・・」

「これで分かったか、サダ。」

信じられないといった感じの表情をするサダオにラルさんが言った。だが、サダオは直ぐに言い返す。

「うるせえ!これはあのガキのガンプラがストライクの改造機だったからだ!!AGEのガンプラだったら絶対に俺が勝っていたにちげぇねえ!!!」

「まだ分からんのか。その考えが間違いだと言う事が。」

「てめえ!!」

ラルさんの言葉に逆上したサダオは彼に殴りかかろうとする。

「ラルさん!!」

「この野郎!!」

それを見たセイが叫び、レイジが飛び出そうとする。その時・・・

「止めて下さい!!」

突然バトルルームに現れたフェイトが叫んだ。

「もし店内で暴れるのなら、今後当店には出入り禁止とさせてもらいます。」

「ちっ・・・」

そう言われたサダオは仕方なく拳を収める。そして、黙ってバトルルームを後にした。





「フェイト!流石は私の娘よ!!頑張ったわ!!!」

「母さん・・・」

サダオが立ち去った後、フェイトの勇姿を見たプレシアが喜びと共に抱きついた。抱きつかれているフェイトの方はかなり恥ずかしそうである。

「フェイトちゃん!!」

すると、なのは達はフェイトに駆け寄った。プレシアは慌ててフェイトを離し、姿勢を正す。

「来てくれたんだね。」

「うん。母さんからなのはがあの人に絡まれてるってメールが届いたから、急いで来たんだ。結局、間に合わなかったみたいだけど。」

そう言って、フェイトはバトルシステムの上に横たわるボロボロのガンダムAGE-1ノーマルを見た。

「そんな事無いよ。あそこでフェイトちゃんが来なかったらラルさん、怪我してたかもしれないんだから。」

「開幕と同時に身動き出来なくなった私たちよりはずっと役に立っていたわ。」

すると、すずかとアリサがフェイトを励ます。そんな中、なのははフェイトがAGE-1を見た時からバトルシステムの上で横たわる自分達のガンプラと、立ち続けるビルドストライクを見ていた。そして、心を決めた彼女はセイとレイジに切り出す。

「セイさん、レイジさん。私にもっとガンプラについてもっと色々教えて下さい!!」

「え?」

いきなりそんな事を言われ、セイは一瞬困惑する。だが、なのはの意図を読む事が出来たレイジは彼女にこう語りかけた。

「そんなに、負けんのは悔しかったか?」

「はい。でも、何よりも悔しかったのは私のガンプラが馬鹿にされたことです。」

「ちょっと!それはなのはのせいじゃ無いでしょう!!」

なのはの言葉にそう言うアリサ。すると、彼女はこう答えた。

「確かにそうだけど、私はそうじゃないって言う事を言葉でもバトルでも示す事は出来なかった。だから、今度は自身を持って自分のガンプラが自慢出来るようになりたいんです!!!」

「そこまで言われちゃあ断れねえな。だろ、セイ?」

「そうだね。」

なのはの想いを聞いて、レイジはもちろんセイも彼女の依頼を受ける事になった。

「なら、私たちにも教えてちょうだい。」

「今回のバトルで悔しい思いをしたのは、なのはちゃんだけじゃ無いんだよ。」

すると、アリサとすずかの二人も名乗り出る。

「もちろん!」

「お前らの面倒もちゃんと見てやるぜ!」

当然、セイとレイジはこれも受け入れる。すると、今度はラルさんが言った。

「ならば、君たちが色々学んだ後にその力を示す舞台も必要だろう。」

そして、一枚の広告を取り出す。セイ達はその内容に目を通した。

「何々・・・ガンプラバトル選手権世界大会団体戦部門?」

「その通り。去年から新たに設置された部門で、個人戦部門とは時期をずらして開始される。ゆえに、今からでもエントリーは可能だ。」

「なら丁度いいわね!エントリーしましょう!!」

アリサはすっかりやる気満々だ。一方、すずかは大会の要項をしっかりと読んでいる。

「参加するには四人でチームを作る必要があるって書いてあるよ。」

「なら、フェイトちゃんも参加しよう!!」

すると、それを聞いたなのはがフェイトを誘った。

「なら、フェイトにもガンプラについて教えねえとな。」

「まずは、基本工作からだね。」

さらに、レイジとセイもやる気満々である。だが、フェイトはこう答えた。

「ええと・・・私もう自分のガンプラを持っているんだけど。」

「そうなんだ。じゃあ、今直ぐにでもガンプラバトルに参加できね・・・って!?」

「「「「「ええええええええええええええええ!!?」」」」」



続く




[39922] 第五話 地区予選、開幕
Name: プロト・セブン◆1866fe9e ID:399247ba
Date: 2014/07/06 13:45
前回のあらすじ

ホビーショップT&Hのバトルシステムでガンプラバトルをしようとしていたセイ達。
そこへ『AGE狩りのサダ』の異名を持つAGEアンチビルダー『アリ・サダオ』が現れ、ガンダムAGE-1ノーマルを使用するなのはにバトルを仕掛ける。ガンプラの出来とバトルの経験の差のせいで一方的に叩きのめされるなのはであったが、セイとレイジのビルドストライクの介入でサダオのガンプラは撃破される。
敗北の悔しさを知ったなのははアリサとすずかと共にセイとレイジにガンプラについてさらに深く教えてもらう事になった。
その時、ラルさんが腕を上げた彼女達がその成果を見せる舞台としてガンプラバトル選手権世界大会団体戦部門を紹介した。チームの参加人数は四人となっているのでフェイトも誘うなのは達。だが、なんと彼女はもう既にガンプラを持っていると答えるのであった。





「フェイトちゃん!本当なの!?」

なのはがフェイトに詰め寄った。

「そうだけど、正確にはちょっと違うかな。」

「どう言う意味よ。」

フェイトの言葉の意味が分からず、アリサが尋ねる。すると、アリシアが代わりに答えた。

「それは、そのガンプラはフェイトが私と一緒に作ったからなんだよ。今から持ってくるから少し待ってて。」

そして、アリシアはガンプラ売り場に飾られている商品見本の一つを持って来た。

「これが私達テスタロッサ姉妹のガンプラ、ガンダムハルートだよ。」

それは『劇場版機動戦士ガンダム00』に登場する機体『ガンダムハルート』であった。しかし、カラーリングはフェイトのイメージカラーである黒と金色を基調とした物に変えられている。

「これは・・・凄い完成度だ!!」

早速、ガンプラバカのセイが食いついた。

「塗装も凄いけど、合わせ目消しもしっかりしてある。」

「でしょう?」

ハルートの出来に感心するセイに自慢げに答えるアリシア。

「でも意外ね。フェイトとアリシアがガンプラをやっていただなんて。」

「元々、ガンプラバトル自体は母さんもやっていたから、私も興味があったんだ。だけど、難しそうだったから中々手を出せなかったんだ。」

「でもある日、変なお客さんが来て、私たちにガンプラの作り方を教えてくれたんだ。」

アリサが不思議そうに言うと、フェイトとアリシアはそう答える。

「変なお客さん?」

「そう。普段は穏やかなんだけど、ガンプラの事になると凄くスパルタになるんだ。」

「それで、その時これを貰ったんだよ。」

なのはの言葉にそう答えると、フェイトとアリシアはそれぞれ一つのニッパーを取り出した。

「それって!?」

それを見たセイは思わず叫ぶ。

「どうした、セイ?」

「ううん。何でも無いよ。」

そんな彼の様子を見てレイジが聞いて来るが、セイは何でも無いように振舞った。

「それより、プレシアさんもガンプラバトルをしていたんですね。」

そして、話を逸らすかのようにプレシアに話を振る。

「そうね。ここにある商品見本の半分くらいは私が作った物なの。」

「それだけじゃ無いよ!お母さんはなんと第四回ガンプラバトル選手権世界大会に出たんだから!!」

「世界大会に!?」

アリシアの言葉を聞いて、セイは驚愕する。

「ええ。だから、アリシアとフェイトがガンプラに興味を持ってくれた事はとても嬉しかったわ。本当は“私が”初めてのガンプラ作りを教えたかったのだけれど。」

そう言ってプレシアは何やら暗いオーラを浮かべた。それを見たフェイトが慌ててフォローするように言う。

「で、でも。その後母さんに教えてもらって、ハルートをこんな風にさらに上の完成度に仕上げる事が出来たんだ。」

「なるほどな。で、バトルをした事はあんのか?」

「お客さんやはやてと何回かした事があるよ。」

レイジの質問にアリシアが答える。

「はやて?」

「誰だそれ?」

初めて聞く名前にセイとレイジは首を傾げる。すると、アリサとすずかが説明をした。

「『八神堂』って言うここ意外にブレイブデュエルが置いてあるお店の一つの店長なの。」

「私たちと同い年なのに、大学を飛び級で卒業したスーパー小学生なんだ。」

「何それ!?」

はやての持つ信じられない経歴に驚愕するセイ。その時、レイジが言った。

「それより、なのは達のガンプラの修理と改造はどうすんだ?」

「そうだね。今からやると遅くなりそうだから、明日うちの店に来てよ。」

セイがそう答えると、この場はひとまずお開きとなった。





翌日。なのは、アリサ、すずかの三人はイオリ模型店に集まった。

「「「こんにちは!!!」」」

「いらっしゃい、三人とも。」

元気良く挨拶する三人をセイは笑顔で出迎えた。

「あれ?レイジさんは居ないんですか?」

すると、なのはがレイジが居ない事に気付く。

「レイジなら、今日も何処かをブラブラしてるよ。」

「今日も?」

「そう。実はかなり神出鬼没でさ。」

そう、セイは呆れながら言うのであった。




所変わってここはイオリ模型店のある住宅街の道路。ここで、一人の少女がイオリ模型店に向かっていた。
彼女の名は『コウサカ・チナ』。セイの通う中学校のクラスの委員長で、セイに想いを寄せる少女だ。そんな彼女は今、以前イオリ模型店で買ったガンプラを手にしていた。これは別に返品しに行くのでは無い。セイに作り方を教えてもらい、甘いひと時を過ごすためだ。
そして、チナはついにイオリ模型店の前に到着するが・・・

「え・・・」

ガラス製の扉の向こうでは、セイが三人の小学生の女の子(しかも美少女揃い)と楽しそうに喋っているのが見えた。それを見たチナは店の前で立ち止まった。その時の彼女の表情は、眼鏡に光が反射してよく見えない。

「よっ。何してんだ?」

すると、そこへレイジがやって来た。だが、チナはそれを無視して立ち去ってしまう。

「何だ?セイに会いに来たんじゃねえのか?」

そんな彼女の様子を不思議に思うレイジであった。




「それじゃあ。早速ガンプラの出来をグレードアップさせるテクニックを教えるよ。」

「「「はーい!!」」」

工作室に入ったセイ達は、早速ガンプラの改造について教え始める。

「まずは『合わせ目消し』からだね。」

「合わせ目消し?」

「文字通り。ガンプラの部品と部品の合わせ目を消す事だよ。最近のガンプラは合わせ目をモールドと重ねる事で目立たなくしているけど、全部って言う訳じゃないんだ。やり方は、合わせ目の部分を接着剤で着けて、乾いてからヤスリがけをするんだよ。」

「結構簡単そうね。」

余裕そうに言うアリサ。すると、セイはそんな彼女に注意する。

「確かに、簡単そうだけど結構根気のいる作業だよ。特にヤスリがけの所がね。」

「そうなの?」

アリサはあまりピンと来ないようだ。そんな中、セイはさらに説明を続ける。

「それと、もう一つ必要な作業が『後ハメ加工』だね。合わせ目消しで部分を接着した後、部品をはめ込む事が出来るよう、部品をはめ込む穴の一部をカットしてCの字型にするんだ。」

「そんな事しなくても、最初からはめて接着すればいいんじゃないですか?」

今度はなのはが質問した。それに対し、セイはこう答える。

「そう思うかもしれないけど、塗装する時の事を考えると部品ごとに塗れた方が塗りやすいからね。この一手間が必要なんだ。」

「なるほど。分かりました。」

「それじゃあ、早速始めようか。」

そして、なのは達のガンプラの修理兼改造がスタートした。





そして、およそ一時間後。

「やっと終わった・・・」

後ハメ加工と接着作業を終えたアリサがため息をつきながら言った。他の二人もかなり疲れている様子である。すると、セイがこう進言した。

「それじゃあ、接着剤が乾くまで時間がかかるから、その間にどんなカラーリングに塗装するか考えようか。」

「そうですね。」

「でも、そんな直ぐにいいのは思い浮かばないなわね。」

「うん。」

だが、そんな直ぐにアイデアは思い浮かばないようであった。

「なら、店にある他のガンプラを参考にしてみるといいよ。」

「確かに・・・何かいいアイデアが浮かびそうですね。」

「なら、早速行きましょう!」

「いいのがあるかな?」

そして、四人は製作室から出て店内に戻って行った。




店内に戻ったなのは達は商品棚に並んだガンプラの数々を眺める。

「あれ?これって・・・」

すると、アリサが一つのガンプラに目を付けた。

「ビルドストライクに似ているわね。」

それは、ビルドストライクによく似たピンクと赤を基調としたカラーリングのガンプラだった。

「それは『ストライクルージュ』だね。」

その時、突然セイが現れて説明を始める。

「ビルドストライクの元に使った機体『ストライクガンダム』の予備パーツから組み上げられた機体で、最大の特徴はパワーエクステンダーと言う大容量バッテリーを装備した事で機体出力と稼働時間の向上に成功している事なんだ。」

「そ、そうなの・・・」

相変わらず、アリサはセイのガンダムバカっぷりに圧倒されるばかりである。

「でも、これって中々いい色ね。」

「じゃあ、そのカラーリングにしてみる?」

「そうね。そうするわ!」

こうして、アリサは自分のアストレアFをストライクルージュカラーにする事を決めた。
一方、すずかはと言うと・・・

「このガンダム、ちょっと他のと違うね。」

ショーケースに並べられた商品見本のうち一つを眺めていた。そのガンプラはガンダムタイプで、主役機らしくトリコロールで塗られているが、他のガンダムなら青く塗られている部分が黒で塗られてていた。

「その機体はガンダムDX(ダブルエックス)だね。」

すると、またしてもセイが突然現れ、解説を始めた。

「『機動新世紀ガンダムX』の物語後半における主役機で、最大の特徴は最大出力で撃てばコロニーを破壊する事も可能なツインサテライトキャノンを装備している事だね。さらに、冷却システムに改良が加えられているから、連射も可能なんだ。」

「そ、そうなんですか・・・」

すずかは再びガンダムDXを見た。背中に二つの砲門を折りたたみ、その横に翼を生やすという構造はセイバーガンダムに酷似している。

「決めました。私、この色にします。」

「うん。好きにしていいよ。後はなのはちゃんだけだね。」

そう言ってセイはなのはを探す。すると、彼女はあるガンプラを手にとって見ていた。

「なのははその色にするの?」

アリサがなのはのガンプラを覗き込んだ。なのはが手に持つガンプラは、四つある目が特徴のグレーの機体だった。名前は『ジンクス』と書かれている。

「随分と地味な色にするのね。」

「そうじゃないよ。私が興味を持ったのは武器の方。」

「武器?」

「ほら、この説明の所を読んでみて。」

なのはに箱を手渡されたアリサは、側面の説明を読んでみた。それによれば、この機体のライフルはバレルとスコープを外付けして射程距離を伸ばすことが出来るようだった。

「そう言えば、AGE-1のライフルも銃身を外す事が出来たわね。」

「そう。だから、これをくっつけたら強くなるかなって思ったんだけど。」

「いいアイデアだね!!」

早速、セイが話に介入した。

「ちょっと改造は必要だけど、そう言うのは僕が教えるからやってみようよ!!」

「ありがとうございます!」

「それよりなのは。カラーリングの方はどうするのよ?」

セイに礼を言うなのはであったが、アリサの言葉で本題を思い出す。

「それじゃあ、もうちょっと見て回ろうかな。」

そして、なのはは再び店内を歩き回った。やがて、彼女は店の角にたどり着く。そこには戦車や戦闘機等のガンプラ以外のプラモデルが置いてあった。

「ここって、ガンプラ以外も置いてあったんだ。」

早速、そこの商品を見回すなのは。すると、一体のロボットのプラモが目に入った。

「これは・・・」

それは、背中に赤い飛行ユニットを装備した黄色と白で塗られたロボットだった。箱には『ランスロット・エアーキャバリー』と言う名前が書かれている。

「なのはちゃんはその色にするの?」

すると、そこへセイがやって来た。

「いえ。そうじゃなくて、この背中についてるのが気になって・・・」

「そう言えば、なのはちゃんはAGE-1が飛べないのを気にしてたね。うーん・・・別にガンプラ以外のプラモデルの部品を組み込んでも大丈夫だけど、そのままじゃちょっと・・・まあ、改造すれば大丈夫かな。」

そう結論付けるセイ。その時、店内に来客があった。

「セイ君、居るかしら?」

やって来たのは一人の女性だった。美人な上、コートを着ている上からでもハッキリと分かるほどスタイルが良い。

「あ!ミホシさん!!」

すると、セイが彼女に駆け寄って行った。

「今日も来てくれたんですね。」

「そうよ。何か新作は入ったかしら?」

「それなら・・・あ!なのはちゃん達はちょっと待ってて。」

「はい。分かりました。」

ミホシと呼ばれた女性を案内するセイを見ながら大人しく待つなのは達。すると、アリサが言った。

「あの人、何なのかしら?まさか、セイさんのカノジョとか!?あんな美人の年上お姉さんとか、隅に置けないわね。」

「そうかな?」

「ただの常連のお客さんじゃないのかな?」

ニヤニヤと笑うアリサ。だが、なのはとすずかの反応は冷ややかであった。





そして、ガンプラバトル選手権世界大会団体戦部門の一回戦が行われる日。その会場にはガンプラを完成させ、大会に参加するなのは達はもちろん、観客席にはその応援に来た彼女達の家族も居た。

「こうやって顔を合わせるのは久しぶりね。」

そうプレシアがなのはの兄『高町恭也』に話しかける。

「確かに、第四回ガンプラバトル世界大会の時以来だな。なのはかたあんたの名前を聞いた時は驚いたぞ。」

「私も、すずかから聞いた時は驚いたわ。」

すずかの姉『月村忍』も会話に参加する。

「おやおや。皆さんお揃いで。」

すると、そこへ茶髪のディアーチェによく似た少女が赤毛の髪を三つ編みのお下げにした少女を連れてやって来た。

「あら?はやてにヴィータ、あなたも来たのね。」

そう言ってプレシアが手で二人を隣の席に誘う。
彼女達はそれぞれ茶髪の方が『八神はやて』、赤毛の方は『八神ヴィータ』だ。はやては以前フェイトが言っていた八神堂の店主で、ヴィータはそのはやての妹にあたりブレイブデュエルのロケテスト全国6位の実力者でもある。

「はやては世界大会には出ないのかしら?」

「私はいいんです。こういう大きな大会は。」

プレシアの質問にはやてがそう答えた時だった。

『間も無く、一回戦第三試合を開始します。』

なのは達のチームが出る試合の開始アナウンスが入った。

『対戦チームは、まず〈T&Hエレメンツ〉』

アナウンスにチーム名を呼ばれると、なのは達が会場に入場した。

「こっちのチーム名もブレイブデュエルと同じ名前にしたんやね。」

アナウンスを聞いたはやてが言った。そして、次にT&Hエレメンツの対戦相手の名が告げられる。

『そして、〈チーム・ブラックフォレスト〉です。』

すると、そのチームが入って来る入口にスポットライトが当てられた。そして、そこから軍服のような服をきた四人の少女が現れる。それと同時に、観客席の一部に陣取る集団が歓声を上げた。

「何だありゃ?」

「あれは茨城県の大洗町を拠点に活動するご当地ガンプラアイドルグループ〈チーム・ブラックフォレスト〉やね。」

ヴィータが首を傾げる中、はやてが説明をした。

「全員がアニメ『ガールズ&パンツァー』の黒森峰女学園の制服を着込んでいて、フォレスト1から4までのコールサインをそのまま芸名に使っているわ。」

「彼女達のガンプラはミリタリーテイスト溢れる出来栄え。その上、バトルにおけるチームワークも抜群だ。」

さらに、プレシアと恭也が詳しい解説をする。

「いきなりの強敵ね。大丈夫かしら?」

そして、それを聞いた忍が心配そうに言うのであった。




『ビギニング、プラフスキーパーティクルディスパーサル。』

一方、会場ではバトルシステムが機動し、プラフスキー粒子を放出。バトルフィールドを形成する。
展開されたのは所々に山や森のある平原だった。団体戦部門のバトルシステムは参加する人数が多い事から個人戦部門に比べて大型の物語使用されている。

『プリーズ、セットユアガンプラ。』

システム音声に従い、なのは達は自身のガンプラをセットする。
フェイトのガンプラは以前なのは達に見せた黒いガンダムハルートで、フェイトが機体制御をアリシアが火器管制を担当する。
すずかのセイバーはそれぞれカラーリングがガンダムDXの物に変更されている。
アリサのアストレアはカラーリングがストライクルージュの物に変更された他、マスクが外されガンダムフェイスが露出しており、頭部アンテナがF2仕様となっていた。
そして、なのはのガンプラはカラーリングこそそのままだが、装備に大幅な改造が施されていた。まず、左手に装備するドッズライフルが銃身をジンクスのロングバレルライフルを加工した物に交換された『ロングドッズライフル』となっており、背部にはアニメ『コードギアス』に登場したフロートシステムを参考にした飛行ユニット『エアリアルフロータ』が装備されていた。
セットされたガンプラ達は目が光り、機動する。

『バトルスタート』

そして、システム音声がそう告げるとなのは達は操縦桿を握る。

「フェイト・テスタロッサ」

「アリシア・テスタロッサ!」

「ガンダムハルート」

「行きます!!」

「月村すずか。セイバーガンダム、行きます!!」

「アリサ・バニングス。ガンダムアストレアタイプF、出るわよ!!」

「高町なのは。ガンダムAGE-1、行きます!!」

出撃する四機のガンプラ。今回AGE-1は飛行ユニットを装備しているので、以前のように落下したりはしない。

「さあて、敵は何処かしら?」

「前から来る!」

アリサがアストレアの首を動かし周囲を見渡していると、フェイトが叫んだ。見ると、そこには四機のガンプラが地上を駆け抜けていた。

「あれがチーム・ブラックフォレストのガンプラ・・・」

「凄まじい完成度だ。」

観客席に居るプレシアと恭也が言う。
チーム・ブラックフォレストのガンプラ『アーミーバクゥ』は『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場したザフト軍の四足獣型地上用MS『バクゥ』の改造機だ。全機がミリタリーカラーで塗装されており、足回りにはウェザリングが施されている。主翼は左側に1から4の機体番号が、右側にはチームのエンブレムである中央に『Brack Forest』と書かれた黒い十字架が描かれている。武装は機体上部のウェポンターミナルにフォレスト1が大口径榴弾砲、2と4は125ミリ突撃砲、3は2連速射砲を装備。さらにフォレスト3のみ機体の両脇に対空ミサイルを装備しており、全機共通で頭部に本来のビームサーベルの代わりにアーミーナイフを装備している。

「敵は陸戦タイプばっかりね。なら、上から爆撃して一気にやっちゃいましょう!!」

早速、アリサが全武装をチーム・ブラックフォレストに向かって発射した。

「全機散会。直後、フォレスト3は対空攻撃。」

「「「了解!!」」」

すると、フォレスト1が指示を出す。仲間達はそれに従い散会、アリサの攻撃を回避すると、フォレスト3が対空ミサイルを発射した。

「何よ!それくらい!!」

アストレアはそれを腕のGNバルカンで撃ち落とす。セイバーも頭部のバルカン砲で迎撃した。一方でAGE-1とハルートは撃ち落とすのではなく回避する。その時、無数の銃弾がAGE-1とハルートを襲った。

「何!?」

AGE-1はそれをシールドで防御し、ハルートは変形しながら回避する。下を見ると、フォレスト2と4のバクゥが125ミリ突撃砲をAGE-1とハルートに向けていた。

「きゃあっ!?」

その時、通信越しにアリサの悲鳴が聞こえた。見ると、アストレアが右手に装備したプロトGNランチャーが破壊され、フォレスト1のバクゥの榴弾砲からは硝煙が上がっていた。

「少し上に逸れたか。」

フォレスト1が呟いた。

「やはり、空中の敵を狙うのは少し難しいな。だが、それならば地上に引きずり落とすだけだ。」

そして、フォレスト1は仲間に次の指示を出すのであった。




「アリサちゃん!大丈夫!?」

「大丈夫、武器をやられただけよ。」

すずかの通信にそう答えるアリサ。その時、アリシアから通信が入った。

「二人とも!後ろから一機来たよ!!」

「え!?」

即座に振り向く2機。だが、既に迫っていた敵機、フォレスト3のバクゥの二連速射砲が火を噴いた。セイバーはとっさにシールドで防御したためそれを防ぐ事が出来たが、アストレアは左腕のNGNバズーカを破壊されてしまった。

「なっ!?」

「二機同時に攻撃!?」

「連装砲っていうのはこう使う物よ。」

驚愕する二人に対し、フォレスト3はそう言う。

「すずかちゃん!後ろ!!」

すると、今度はなのはからの通信がすずかに届いた。その直後、フォレスト1のバクゥの榴弾砲が火を噴き、セイバーの背中に砲弾が当たる。だが、すずかは多少遅れたもののなのはの声に反応したため直撃とはならず、左側のアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲に当たった。だが、それにより左の主翼とメインスラスターも破壊され、飛行不能となってしまう。

「すずか!」

直様、落下して行くセイバーをアストレアがキャッチした。フォレスト1はそこへ二人纏めて追い打ちをかけようと榴弾砲を向ける。だがその時、フォレスト2から通信が入った。

「隊長!避けて下さい!!」

それを聞いたフォレスト1は攻撃を中止し、機体を移動させる。すると、先ほどまで彼女のバクゥの居た場所にビームが着弾した。直ぐにフォレスト1飛来して来た方向を見る。

「あの距離からだと!?」

ビームを撃ってきたのはなんと、テスタロッサ姉妹と共にフォレスト2、4と戦っているなのはのAGE-1だった。その証拠に、その左手に握られるロングドッズライフルの銃口からは煙が上がっている。

「しかもフォレスト2とフォレスト4と戦いながら撃ったと言うのか・・・」

なのははフォレスト1に攻撃を回避されたものの、アリサ達への追撃をキャンセル出来たのを確認すると、再びテスタロッサ姉妹と共にフォレスト2、4との戦闘に戻って行った。

「いかん!奴らは!?」

ここで、フォレスト1はアリサとすずかの事を思い出し、視線を戻す。だが、アストレアとセイバーの姿はもう無かった。

「フォレスト3!奴らは!?」

「あちらの森の中に入って行きました。」




森の中。ここでは破損したセイバーとそれを運んできたアストレアが潜んでいた。

「とっさに隠れたけど参ったわね。」

アリサが少し焦りながら言った。
すずかのセイバーは飛ぶ事が出来なくなっただけで地上戦は可能だ。だが、地上戦は向こうが得意とする分野。正直言って不利だ。
この場合、冷静に考えればアリサは足手まといなすずかをここに置いて行くべきなのだろうが、彼女にそんな事は出来ない。

「アリサちゃん。私を森の中に置いて先に出て。」

「な、何言ってるのよすずか!!」

すずかの言葉に対し、アリサは信じられないと言った感じで言った。

「仲間を置き去りになんて出来ないでしょう!!」

「お、落ち着いて、アリサちゃん。別に私を見捨てろって言ってる訳じゃないんだよ。」

「じゃあ、どう言う意味なのよ。」

「それはね・・・」




その頃、フォレスト1とフォレスト3は森の前まで来ていた。

「隊長。森の中に入らないのですか?」

「向こうの二機のうち片方はまだ飛行可能なハズだ。視界の悪い森の中では上から奇襲されるリスクがある。」

フォレスト3の質問にフォレスト1がそう答えた時だった。アストレアが森の中から上へと飛び出したのは。

「しびれを切らして出て来たな。フォレスト3、確実に落とすぞ!」

「了解!!」

直様、それぞれの武装の照準をアストレアに合わせ攻撃するフォレスト1とフォレスト3。アリサはそれを回避しながらすずかの考えた“作戦”を実行すべく動いていた。

「さあ、こっちに来なさい!!」

アストレアは両手にGNビームピストルを構えて撃つ。

「その程度の攻撃!!」

フォレスト1とフォレスト3はそれを容易くかわす。だが、それはアリサの計算通りだ。

(もうすぐ予定ポイントね・・・)

攻撃で二人を誘導して行く。そして・・・

「今よ!すずか!!」

アリサが通信で合図を送った。すると、森の中から強力なビームが飛び出した。それはフォレスト3の機体の胴体を貫き、フォレスト1の機体の前後の右脚を破壊する。

「何だ!?」

フォレスト1はバクゥの首を動かし、ビームの飛来した方向を見る。その先には森の奥で右側のみ残ったアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲を構えるセイバーの姿があった。

「まさか、我々を誘導して!?」

すずかの策を知り、叫ぶフォレスト1。そう、すずかは姿を確認出来ない森の奥から攻撃すると言う、一見単純そうに見えるがかなり大変だ。何故なら、向こうがこちらが見えないのと同時にこちらも向こうが見えない。だから、相手をすずかが銃口を向けている方向に敵を誘導し、ちょうど射線上に来たタイミングで引き金を引かなければならない。ゆえに、誘導役と射撃役の息が合ってなければ実現出来ない。

「だが、まだ私は戦え無い訳では無い!!」

フォレスト1は最後の抵抗として榴弾砲をセイバーへと向けた。だが、発射する前にアストレアのプロトGNソードで砲身を切り落とされる。

「隊長!?」

「そんな、隊長が!?」

それを見たフォレスト2とフォレスト4が叫ぶ。

「隙あり!!」

その時、アリシアがハルートのGNシザービットを射出した。

「シザービット!?」

「これも再現してあるのか!?」

ハルートのキットはシザービットまでは再現されていない。つまり、フェイトとアリシアの工作技術がそれだけ高いと言う事だろう。
フォレスト2とフォレスト4は何とかそれをギリギリで回避して行く。そして、突撃砲の照準をハルート本体に向けた。

「フェイト。回避運動よろしく。」

「分かってるよ、アリシア。」

だが、ハルートは機体の操縦と火器管制が別なので、シザービットに複雑な動きをさせたまま高速移動する。

「今だよ、なのは!!」

「うん!!」

そして、フェイトが叫ぶとシザービットで足止めされているバクゥ二機に向かってなのはがロングドッズライフルの引き金を引いた。

『バトル、エンディド』

『一回戦第三試合の勝者は、T&Hエレメンツです!』

そして、システム音声がバトルの終了を伝え、アナウンスがT&Hの勝利を伝えた。





「一回戦突破おめでとう、なのは。」

「ありがとう、お兄ちゃん。」

一回戦を突破したT&Hエレメンツ。そんな彼女達をその家族らは労うのであった。

「それじゃあ、今からセイさんとレイジの試合を見に行きましょう。」

「そうだね。」

アリサがそう提案すると、すずかもそれに賛成する。

「大変!もう試合始まっちゃってるよ!!」

その時、時計を確認したアリシアが叫んだ。

「大変!!」

「早く行かないと!!」

それを聞いたなのは達は、直様セイとレイジの試合が行われている会場に向かった。




「まだ試合やってるよ!」

「間に合った!!」

会場に到着したなのは達。だが、会場のスクリーンに映されたのは右腕の肘から下と片足を失ったビルドストライクの姿であった。

「ちょっと!負けてるじゃない!!」

「相手は!?」

それを見たアリサが叫び、フェイトが相手の方を見る。
ビルドストライクの対戦相手はピンクを基調としたオリジナルカラーに塗装されたガーベラテトラだった。ガーベラテトラは片足を破壊されたせいで身動きの取れないビルドストライクに対し、ビームマシンガンや腕のバルカンの射撃を浴びせていた。ビルドストライクはシールドで防御するが、破壊されてしまう。それを見たガーベラテトラはトドメを刺すべく、ビームサーベルを引き抜き、ビルドストライクに突撃した。

「セイさん!レイジさん!!」

それを見たなのはが思わず叫ぶ。だがその時、ビルドストライクのバックパックが分離し飛び上がり、本体は地面に倒れた。それによりビームサーベルを回避する。分離したバックパックは上昇しながら変形。二門のビーム砲を備えた青い戦闘機へと変形する。

「バックパックが変形した!?」

「ファイター・・・いや。」

「ブースターね。」

それを見たなのは達子供組が驚愕する中、恭也やプレシアと言った大人組が冷静に分析する。
戦闘機はまずビームを放ちガーベラテトラの両足を破壊。そして、上空に上がると真下へ降下しながらガーベラテトラの頭部と胴体をビームで撃ち抜いた。

『バトル、エンディド』

そして、システム音声がバトルの終了を知らせる。だが、T&Hエレメンツの面々はセイとレイジが勝った事に対する喜びよりもビルドストライクのバックパック『ビルドブースター』のギミックに対する驚きの方が大きかった。

「あれが、セイさんのガンプラ・・・」

「地区予選とはいえ、世界大会を勝ち抜くにはあれぐらいの改造はしないといけないのね。」

「私たちも、色を変えたりしただけで満足してちゃダメだね。」

「なら、次の試合までに私たちのガンプラを思いっきり改造しないと!」

「そうだね、アリシア。」

こうして、T&Hエレメンツは一回戦を突破したのも束の間。ガンプラのさらなる強化に挑むのであった。


続く



感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.14976000785828