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[40344] 怨敵(コードギアス 亡国のアキト 読み切り)
Name: クライス◆63e4338a ID:4c04a1e1
Date: 2014/08/16 02:40
・ジュリアス=ルルーシュ前提です。
・反逆のルルーシュと亡国のアキトを2章まで観ていることを前提に書いてます。
・矛盾とかあってもオール無視します。




[40344] 怨敵(コードギアス 亡国のアキト 読み切り)
Name: クライス◆63e4338a ID:4c04a1e1
Date: 2014/08/16 02:36
神聖ブリタニア帝国ヨーロッパ方面軍(通称ユーロ・ブリタニア)
ユーロ・ブリタニアは主に欧州にルーツを持つ貴族達が多く所属している。
というのもユーロピア共和国連合(通称E.U.)との戦争を始めた大義名分が「父祖の地を取り戻す」というものだからだ。
故に欧州の地を奪えばそのままその土地はユーロ・ブリタニアの貴族が治めることになる。
無論、本国に税金を納めたりせねばならぬが本国で傍流扱いであった彼らには自分の領地というのは実に魅力的であった。
その為、ユーロ・ブリタニアの士気は高くE.U.を圧倒しているのが現状である。

「……」

そんなユーロ・ブリタニアが仮の宮廷として利用しているエカテリーナ宮殿。
既に東欧の殆どを支配下に置いている今となっては本国のペンドラゴン宮殿に匹敵する重要性を持っている。
そんな宮殿を歩く少年が一人。
その男は酷く場違いな少年であった。
なぜなら少年は名誉ブリタニア人の騎士だったからである。
本来であれば名誉ブリタニア人がこの宮殿を歩くなどブリタニアの常識的にありえない。
しかし誰もそれを声を大にして批判しようとはしない。
なぜならば彼は皇帝直属の騎士ナイトオブラウンズの一人だからだ。
彼を敵に回すという事は即ち世界の三分の一を支配する皇帝に弓引くに等しい行為だからだ。
ラウンズに匹敵する各を有するユーロ・ブリタニアの四大騎士団のひとつを東洋の血が流れている者が率いている前例がいる為、心情的にも咎めようとする者は少ないのだ。
ある意味、ブリタニアの国是である『弱肉強食』の良い面が珍しく全面に押し出されている形だ。
その少年の名は枢木スザク。
日本国最後の首相の息子であり、今はナイトオブセブンの称号を持つ人物だ。
スザクは暫く自分が護衛している軍師の部屋に入るのを少し躊躇ったが、決意して扉を開けた。

「遅かったなスザク」

黒色の高価な服を着て、左目に眼帯を着けている妖しい魅力を放つ少年が偉そうにソファに座っていた。
この少年の名はジュリアス・キングスレイ。
皇帝の勅命を受け、ユーロピア戦線の作戦計画を担う軍師である。

「申し訳ありません」

スザクは目を逸らしながら言った。
ジュリアスは自分ですら気づいていない秘密をスザクは知っていた。
彼の本当の名前はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという。
ブリタニアの第11皇子であり、スザクにとって初めてできた友達。
……ゼロという仮面を被り、旧日本――エリア11でブリタニアに反旗を翻した男。
そしてスザクが敬愛した主君に虐殺皇女の汚名を着せ、彼女を撃ち殺した憎むべき男。
決して赦すことができない男であるが、スザクには彼の命令に従わねばならなかった。
何故なら彼は皇帝によって記憶を書き換えられてE.U.に対する軍師として活用されていたからだ。
亡き主君の為にもスザクには皇帝の決定に逆らうことはできなかった。

「まぁいい」

ジュリアスはそう言うとスザクに向かいのソファを勧めた。
スザクは勧められたソファに目を逸らしながら座るとジュリアスが話し出した。

「さて、今回のランスロットの活躍は見事だった。
おかげでE.U.側は相当混乱しているだろうな」

誉め言葉ではあったがジュリアスは何処かいらついているように言った。
スザクが怪訝に思って目を戻すとジュリアスは何処か遠いところをみながら言った。

「スザク。E.U.の対応をどう思う」
「酷い」

スザクの返答は短かったが様々な意味を持っていた。
というのもまともに戦っているのは戦場になっている自治州直轄の軍だけで、他はスザクが攻撃をかけると早々に撤退を決め込んだからだ。
殿である旧日本人だけで構成された外人部隊だけを残して――

「酷いか。確かにな」

ジュリアスはそう言って深く頷いた。

「E.U.について戦っているイレヴン達は何のために戦っているんだろうな?」

イレヴン――ブリタニアでは日本人のことはそう呼ばれていた。
いや、E.U.でもブリタニアの臣民即ち敵性国民と断定されてその蔑称と呼ばれている。

「何のため?」
「ああ。エリア11で騒ぎおこした……黒の騎士団だったか?
あれに参加して我らがブリタニアに戦ったのはわかる。
しかしこのE.U.との戦いにイレヴンは本来関係ないだろう。
にも関わらず、なぜあいつらは戦っているのだろうな」

ジュリアスは心底不思議そうな顔で言った。

「なにせE.U.の戦い方は幼稚なんて次元ではない。
我が軍の侵攻に纏まって抵抗することもなくその地の自治州の軍任せ。
たまに他の自治州の軍が纏まってきたと思ったら少し危険に晒されるだけで逃げる。
その尻拭いをイレヴンの部隊に任せてな。いったいなにがしたいんだか」

E.U.の戦い方に対するジュリアスの偽らざる評価だった。
亡きミカエル騎士団前総帥ミケーレ・マンフレディがE.U.を『目先の利益しか目に入らぬ愚民の集まり』と評したがまったくその通りだとジュリアスは思った。
大局的に物事を見れるならE.U.の領土が既に半分近く奪われている現状でも大規模に軍を動かしてはならない理由がない。
それどころか未だにパリの四十人議会が危機感を全くと言っていいほど抱いていないなどジュリアスには滑稽にしか思えない。

「そんなことをなぜ自分に聞かせる?」
「いや、なに。
ラウンズとはいえ、君は名誉ブリタニア人。それも元イレヴンだ。
つまり普通なら軍人になってまでブリタニアに尽くす理由はないだろう。
参考として聞いておきたいのだが、君は何のために軍人になり、本来イレヴンには関係ないこの戦いになぜ参戦している?」

ジュリアスの問いにスザクは答えるか迷った。
しかしスザクは目の前の男はルルーシュではないと必死に思い込み答えた。

「軍に入って、ブリタニアを中から変えたいと思ったからです。
それが一番日本人――いやイレヴン達がするべきです。
正しいやり方で手に入れたものじゃないと価値がない。
間違ったやり方で手に入れたものなんか意味がない」

ジュリアスは豆鉄砲を喰らったような顔をした。

「……因みにどうすればそれが叶うのか方法は考えてるんだろうな?」
「自分がナイトオブワンになれればいいと」
「ナイトオブワンに、帝国最強の騎士に名誉が?夢物語も甚だしい」
「それでもやりもしない奴が言う資格はありません!
現に名誉は尉官にすらなれないといわれていたのに自分はラウンズにまで出世しました!!」

スザクの強い口調でそう言い放った。
確かにスザクは名誉ブリタニア人としては……いや、ブリタニア軍全体でみても異例の早さで出世している。

「それでナイトオブワンになって封土としてエリア11を貰うつもりか?」
「ええ」

スザクの返答にジュリアスは疲れた顔をした。
目の前のこいつはそうとうなバカだと理解したからだ。

「覚悟はあるのか?」
「何の覚悟だ?」
「エリア11――いや、日本の為にブリタニアに従う覚悟だ」

スザクは少し驚いた。
ルルーシュならばともかくジュリアスは帝国の軍師。
そのジュリアスがエリア11のことを日本と呼ぶなど下手に勘繰られることを恐れて言わないはずだ。
一瞬ルルーシュとしての記憶が戻ったのかとスザクは勘繰ったが、ジュリアスは怪訝な顔をするのみ。

「どうした?」
「なんでもありません。覚悟ならできてます」
「……その結果、他国を滅ぼし第二、第三の日本を作り上げようともか?」
「……軍人は上の命令に従うものです」

スザクの答えにジュリアスは大きくため息をついた。

「成程。じゃあもう下がっていい」

そう言われてスザクは足早に部屋を出た。
怨敵を前にして自分の中にある憎悪を抑えるのは凄まじい疲労だからだ。
ジュリアスはスザクが出て行ってから机の上に置いてあったワインをあけて、直接飲んだ。

「あんなバカがいることはブリタニアとって良い事の筈だ。
なのになぜこんなに腹が立つんだ。クソッ!!」

ジュリアスは苛立ちを誤魔化そうと酒を飲み続けたが、気を失うまで苛立ちが治めることはなかった。


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