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[40561] 極悪世紀エヴァンゲリオン 俺の名を言ってみろっ(北斗の拳クロス、ジャギシンジ)
Name: まーさ◆674153c6 ID:c5a8007c
Date: 2014/10/09 20:51
20XX年、人類はセカンドインパクトの災害に見舞われた。
人々の生命は奪われ、親を失った孤児と住む場所を失った難民が巷にあふれ、飢餓と貧困に治安は悪化の一途を辿っていった。
だが、人類は決して懲りることもなく、お互いを警戒し、争っていた。悲しい時代だった。あまりにも悲しい時代だった……

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最初にミサトの鼻を突いたのはアルコールの匂いだった。
鋲付きのレザージャケットから覗き見えるのは、隆々とした筋肉に覆われた上半身だ。
その筋肉に覆われた胸板と腹部には、まるで北斗七星のような傷跡が見えた。
革張りのソファーにふんぞり返った鉄仮面の男が、握りしめたジャックダニエルを煽りながら唇を歪める。値踏みするような視線を向けて。
「それでこの俺に何をしてほしいってんだ、姉ちゃんよ」
男の態度と口調は明らかに人を小馬鹿にしていた。
「……シンジ君よね?」
途端に男の隣に座っていたもう一人の男が笑い始める。
「ジャギよ、久しぶりに自分の名前を聞いた気分はどうだ?」
「うるせえぞッ、テメエは黙ってろ、アミバッ!」
なおもケタケタと笑いながらアミバと呼ばれた男がソファーから立ち上がり、ミサトに近づいた。
「それで女、ジャギ、いや、シンジに手助けをしてほしいという話だが、何か土産はあるのか?
まさか手土産もなしに助けを求めるような振る舞いはすまいな?」
生憎とミサトは土産など持ってはいなかった。
「今は何も持ってないわ……でも、助けてくれるなら報酬を払うわよ、ネルフがね」
ミサトが気丈に振る舞って見せる。ここで少しでも怯めば相手に付け込まれそうだからだ。
「話を聞かせてもらおうか。ああ、それとよ、姉ちゃん……俺の名はジャギだ」
男がソファーから立ち上がった。
「もう一度言うぜ、俺はシンジじゃねえ、その名はとっくに捨てちまったよ」
ジャギがジャックダニエルを空にし終えると同時にけたたましいサイレンが鳴り響いた。

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見たわす限り、瓦礫の山だ。倒壊したコンクリートに押しつぶされた通行人の亡骸がそこかしこに転がっている。
「まるで人がゴミのようだな、ジャギよ」
アミバが潰れた死体を一瞥しながら、つまらなそうにジャギに問いかけた。
「へへ、逃げ足が遅い奴、鈍くせえ奴から先にくたばっていくのさ」
コンクリートの粉っぽい煙に混ざって、辺りには血の匂いが漂っていた。くたばりぞこないが苦痛に呻き声をあげている。
「それで姉ちゃんよ、あとどれくらいでジオフロントに着くんだ?」
スクラップ化したアルピーヌの前に立ち尽くすミサトにジャギが声をかけた。
「車かバイクがあれば、あと十五分掛からずにつくんだけど……」
「それなら丁度いいのがあるぜ。そこにバイクが落ちてやがる」
道路の真ん中に倒れた大型バイクを指差し、ジャギはわらった。老人を下敷きにしたバイクを指差して、愉快そうにわらっていた。

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物心ついた時には、ジャギは明けても暮れても血の滲むような修行に不乱し続けた。それがシンジの……ジャギの人生だった。
両親は幼いジャギを捨て、山門に置き去りにした。そこをリュウケンに拾われたのだ。
そして、リュウケンは拾った幼子にそれまでのシンジという名を捨てさせ、ジャギという名を与えた。
ジャギは邪鬼に通じる。邪悪なる鬼。成長するにつれてジャギの心はねじ曲がり、歪んでいった。
誰からも愛されず、誰からも顧みられることなく育ったジャギは人の愛や温もりを味わったことがない。
人を愛する事もなければ人に愛されたことも無いジャギの精神はどこまでも冷たく薄暗い。
嫉妬、劣等感、憎悪、渇望。ジャギの心を満たすのはドロドロとした滓のような負の感情だけだ。
だからジャギは、血の滲む包帯に覆われた痛々しい姿の少女を目の前にしても何も感じることはなかった。

(なんだ、この陰気くせえのは?)
ジャギの頭に浮かんだのはそれくらいのものだ。強い奴が生き残り、弱い奴は死ぬ。
大怪我を負ったのはそいつが弱いか間抜けだからであり、弱い奴はさっさとくたばりゃいい。それがジャギの考えだ。
弱肉強食。それがジャギの掟だ。
向こう側のモニタースクリーンでは実の父親であるゲンドウが大声で何かをわめき散らしている。

「臆病者はさっさと帰るがいいっ!」
「ジャギよ、あの趣味の悪いサングラスをかけた髭面の親父がお前に向かって何かを喚いているぞ。怒鳴っているのは女に振られた八つ当たりかな」
ニヤニヤしながらアミバがジャギを横目で見る。
「ああ、多分酒の飲みすぎか、ドラッグの打ち過ぎで頭がおかしくなってんだろうよ。だからあんなだせえサングラスをかけてられんだぜ」
ジャギとアミバの言い草に職員の何人かが唖然とし、あるいは必死で笑いを堪えた。
「なっ、キサマらッ!」
「おい、オッサンよ、人にもの頼むときゃ、頼み方ってのがあんだろうがよ。俺たちゃテメエの子分でもなんでもねえんだぞっ」

「その通りっ、どうやらお前は何か焦っているようだが、となるとよほど重大なことなのだろう。
そしてその問題を解決するには俺達の力が必要だということだ」
ゲンドウが再び怒鳴り散らした。
「おいっ、誰がそこの民間人をネルフの中に入れたのだ!」
ゲンドウがアミバに向かって指差しながらミサトを問い詰める。
「あ、いえ、これはその、行きがかり上やむを得ず……」
「オッサンよ、俺にあのわけわかんねえエヴァとかってのに乗ってほしかったらよ、頭を下げなよ。
そうだなあ、ジャギ様、どうかこの私に力をお貸しくださいって頼むなら乗ってやらなくもねえぞ」
ゲンドウが身を乗り出して叫んだ。
「ふ、ふざけるなっ!」
「ジャギよ、どうやらあのサングラスは俺達に用はないらしいぞ。こんな場所にいても面白くもないし、バーに戻るとするか」
「ああ、そうすっか。俺もまだ飲み足りねえしよ」
ジャギとアミバが踵を返すと慌ててゲンドウが食い下がってくる。
「わ、わかったっ、頼む、どうか我々ネルフに力を貸してくれっ」

「ふん、最初からそういや良いんだよ、アホが」
ジャギがモニター越しにゲンドウに向かって唾を吐きかけた。
「ふはははっ、そうだ、俺達に媚びろ、跪け、助けてほしければなぁっ」
アミバの哄笑が延々とフロント内で木霊を上げ続けた。

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ジャギの放った一撃が使途のコアを打ち砕いた。呆気ないと言えば呆気ない勝負だった。
だが、それは使途が弱いからではない。ジャギは曲がりなりにもかつては北斗神拳の伝承者候補の一人だった。
「へ、動かなくなったな。このデカブツ、くたばったか?」
パターン青消滅、使途を撃破しましたという職員の声がジャギの耳に届く。
エヴァから降機したジャギがモニター越しに映るゲンドウに向かって手を突き出して催促した。
「これで仕事は片付いたか。それじゃあ、俺たちゃとっとと帰らせてもらうぜ。腹が減ってしょうがねえんだ。
さっさと報酬をよこしやがれ」
「その事だが、今後についての話がある」
ゲンドウがジャギを見下ろしながら静かに呟いた。



[40561] ふたりの悪党
Name: まーさ◆674153c6 ID:c5a8007c
Date: 2014/10/06 02:28
暗い迷宮をひたすらさまよい続ける。誰もいない迷宮を必死で彷徨い続ける。身を裂くような冷たい風が吹き荒れながらジャギを責め立てた。
そこではっと目を覚ます。いつもの悪夢だ。いつも見るジャギの悪夢だ。脂汗で濡れた首筋を手の甲で拭った。
ベッドから上体を起こし、鏡を見つめる。酷い顔だった。醜悪な化け物面だ。
ケンシロウ、かつての末弟に秘孔を貫かれたジャギの相貌は見るもおぞましい姿へと変貌した。
右の頭部から頬にかけて瘤の盛り上がったその顔は四谷怪談のお岩を彷彿とさせるだろう。
(へ、こんな化け物面じゃ誰も近づいてくるわけがねえよな……ま、俺にはお似合いの面か……)
リュウケンが愛情を注いだのはケンシロウだった。そして畏怖したのがラオウであり、期待をかけたのがトキだった。
それに比べて自分はどうだ。最初から何も顧みられることはなかった。
理由は分かっている。明らかに他の三兄弟と比べて劣っていたからだ。認めたくはなかった。
だが、認めざるを得なかった。結局の所、ジャギは他の三兄弟の咬ませ犬でしかなかったのだ。
ヘルメットを被り、寝室を出る。リビングルームのソファーではミサトが静かな寝息を立てていた。

綺麗な横顔だった。年相応の色気がある。
(しかしよ、無防備な女だな、こいつもよ。まるで襲ってくれって言ってるようなもんじゃねえか、この俺によ)
普段のジャギなら無防備なミサトをさっさと手籠めにして犯していただろう。だが、今はそんな気も起こらない。
原因はわかっている。あのエヴァとかいうわけのわからぬでかい乗り物のせいだ。
最初に乗った時は使途との戦いに集中していたせいでわからなかった。
だが、何度か搭乗している内にある奇妙な感覚を覚えたのだ。それは温もりだった。かつてジャギが渇望し、必死で求めていた温もりだ。
それはまるで母親の羊水の中でまどろむようなそんな不思議な感覚だった。
親からもリュウケンからも見捨てられ、末弟から己の顔すら奪われたこのどうしようもない悪党は、しかし、生まれて初めて安らぎというものを感じていた。
ジャギが最も恐れているのは、エヴァに乗り続けることによって自分が変わっていってしまうのではないかという事だ。
もしもこのまま乗り続ければ腑抜けになるかもしれない。それだけは絶対に嫌だった。
(この俺から牙を抜いたらいったい何が残るっていうんだよ。あのエヴァとかってのに骨抜きにされちまって、悪党じゃなくなったら、
それはもう俺じゃねえ。ただの醜い面したガラクタじゃねえかよ……)

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見慣れたネオンと光景、SMバー、ナイトクラブ、立ちんぼ、ポーカー屋、キャバレー、ヘルス、歓楽街の嗅ぎ慣れた匂い。
ジャギは飲み屋のバウンサー(用心棒)で飯を食っていた。寝る場所はそこらの公園だったり、閉店した喫茶店の中だったり、
そうやって気ままに暮らしていた。正真正銘の根無し草の生活だ。ジャギが馴染みの飲み屋に入り、ウォッカを注文する。
このバーを訪れるとジャギはいつもウォッカを頼んだ。特に気に入ってるのがズブロッカだ。
バイソングラスの細い茎の浸かったこの酒は甘みがあってうまい。
いつものように一瓶を空にし、金を払って店を出る。当分の間はあのミサトという女のマンションに厄介になろうと考えていた。
なんだかんだいっても雨風凌げる寝床があるのはいいことだ。
ゲンドウはエヴァのパイロットになれと迫った。ジャギは最初に突っぱねた。パイロットになれば金と寝床を提供すると言われた。
横からアミバがいくら出すかを尋ね、値を吊り上げていくとゲンドウは顔をしかめながらも渋々承知した。
承知するべきだったのか。
「俺にはわからねえや」



[40561] ふたりの悪党2
Name: まーさ◆674153c6 ID:3f1a4af9
Date: 2014/10/07 00:50
「なあ、アミバよ。オメエに渡したあのオレンジジュースみてえな液体、やっぱりやべえ薬でも混ざってたか?」
「LCLのことか。それなら怪しい成分は何も検出されなかったが」
「ふーん」
まだ納得できぬと言いたげにジャギが顎を撫でた。
「まあ、お前の気持ちもわからんでもない。検出の難しい新種のドラッグ成分か、あるいはあのインター・フェイス・ヘッドセットとかいう器材に何か仕掛けがあるかもしれん」
「……やっぱりそうか。どうもおかしいと思ったぜ。あいつを頭に取り付けて、あのデカブツに乗り込むと妙な気分になりやがるからな」
アミバがブランデーを注いだブラックコーヒーを啜りながら、薄く笑みを浮かべた。何か考えがあるとでもいいたげに。

「A10神経は別名ドーパミン神経とも呼ばれていてな。人間の脳領域である快感報酬に関連する脳領域、
これらをまとめて内側前脳快感回路というが、この部分を刺激するとドーパミンが分泌されるのはわかっている。
コカイン、メタンフェタミン、ヘロイン、アルコール、ニコチン、これらの成分は内側前脳快感回路に影響を与え、ドーパミンの分泌を促す事で知られていてな。
これが繰り返されると依存症になるわけだ。アル中やジャンキーは依存症患者の典型だな。
だからこそカルト教団はドラッグを使って、信者を依存させ、洗脳を施すわけだ。うまいものだよ」

「つまりネルフは何らかの形で俺に洗脳を仕掛けてるってわけか」
「証拠はないが、そう思っていた方がいいだろうな。
ルイジアナ州のニューオーリンズにあるチューレーン大学に精神医学神経学部を作ったロバート・ガルブレイス・ヒース博士は中隔(ちゅうかく)や視床(ししょう)
側坐核(そくざかく)といった快感を司る脳部位に電極を埋め込んで刺激を与えればどうなるかを研究していてな。
複数の患者を使って、実際に実験したのだ」

「人体実験か」
ジャギが身を乗り出し、テーブルに前のめりになると、アミバに話の続きを急かした。
「ああ、そうだ。そして、この実験でわかったのは人間は中隔を刺激され続けると圧倒的な幸福感に包まれるという事だ。
飯も食わず、水も飲まず、どんな痛みも餓死すら恐れぬほどな。結局の所、全ての幸福は脳の生みだす幻想ということだ」

「なるほどな」
ジャギは疑り深い。生い立ちが生い立ちなだけに猜疑心が人一倍強いのだ。
エヴァに搭乗する度に安堵感などというわけのわからぬ感覚に囚われるのだから、ジャギに疑うなという方が土台無理な話だった。

「あるいはあのエヴァとかいう怪物に搭乗する際の副作用かもしれんが。あれのパイロットは誰でもなれるわけではなさそうだからな。
今の所、あの使徒とかいう化け物が再び現れれば、まともに相手が出来るのはお前だけだ。用済みにでもならない限り、お前を廃人にするような真似はせんだろう」
アミバが空になったカップを持ち上げ、バーのマスターにコーヒーのおかわりを催促する。

「おもしれえじゃねえか。それなら俺達も俺達で連中の弱みを探りながら、せいぜい、用済みになるまでおこぼれに預かるとしようぜ。
所でアミバよ、おめえ、ネルフのジオフロントにいた赤木とかっていう金髪の姉ちゃんと最近仲良くしてるらしいが、もう食っちまったのかよ?」
アミバが唇の右端を持ち上げながらジャギの質問に答えてやった。
「ジャギよ、あの女はいいぞ、知性もあれば顔も良いし、何より肉感的だ。俺との相性も良い。会話も話題も肉体的な関係もな。
所でお前のほうはどうなんだ。あのミサトという女、お前の事だから既に手を出しているんだろう。
同じ屋根の下で暮らしているんだ、そうならない方が不思議だが」

ジャギがアミバに向かって頭を振って見せる。
「いや、まだだ。エヴァに乗るようになってから何だか気が乗らねえんだよ。普段の俺だったらさっさと手出してモノにしちまうんだがな」
「ほう、珍しい事もあるもんだな。やはりあのエヴァの影響かもしれんぞ、それは」

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コンフォート17のエントランスに佇み、ジャギはタバコを吹かした。半ばほど吸ってから地面に投げ捨てる。
エレベーターに乗って通路を出るとミサトから借りている自室に引っ込んだ。
ベッドに体を横たえ、飲みかけのバーボンの瓶を掴む。このままエヴァに乗り続ける事で自分が自分で無くなっていくのが酷く不安だった。
(俺はクズの悪党でどうしようもねえろくでなしだ。ケダモノとして生きてきたこの俺に人間らしい心や安らぎなんざ必要ねえんだよ……
第一よ、今更そんなもん与えられてどうしようってんだ。俺は腑抜けになるのはまっぴらごめんだぜっ!)
自室の天井を見上げながらシミを眺めた。苦々しい感情がこみ上げてくる。それからジャギはこれまでの己の行いを振り返りながら自問しつづけた

(……そうだよな。俺はやっぱり俺だよ。三つ子の魂百までっていうしよ。どうしようもねえ悪たれのろくでなしだ。
俺はよ、やっぱり俺でしかねんだよな……このジャギ様はよ、どんな悪辣、非道な真似も顔色一つ変えずにやってきたんだ。
あのわけわかんねえのに乗ってから妙な気分を起こしちまったがよ、だからといって、俺は俺だよ)
ジャギがバーボンの中身を一息に飲み干すと壁に向かって瓶を叩きつけた。ガラスが砕け散り、壁がへこむ。
ベッドから降りるとバッグの中に隠し持っていたショットガンを取り出し、弾を詰め込んだ。
「へへ、久しぶりにヤクザでも狩って遊ぶとするか」
ジャギはまだ気づいてはいなかった。己の心に生じた変化を。そして、北斗と南斗の歴史が再び動き始めている事を。



[40561] ふたりの悪党3
Name: まーさ◆674153c6 ID:3f1a4af9
Date: 2014/10/08 01:17
「おい、糞ヒゲ野郎っ、小遣いよこせよおおおォっ」
今日も今日とて開口一番のセリフがこれである。ジャギの性根が性根だからしかたがない。
何せ生まれついてのゴロツキ、悪党、ろくでなし、知ってる語彙の半分は脅し文句、もう半分は罵倒の台詞、
自己の欲望には恐ろしく忠実で、我慢や遠慮という言葉を知らぬ男である。
つまりは根っからのチンピラヤクザという事だ。
ジャギがゲンドウの顔の辺りに手を突き出し、さっさとよこせと言いたげで手を何度も開けては開くを繰り返す。
指令室に漂うゲンドウの静寂、そんな事はお構いなしといわんばかりによこせ、よこせと催促するジャギの声。
「……」
そんな親子のやり取りを気まずいといいたげな表情で眺める冬月と、愉快だといわんばかりにニヤついているアミバの姿が見えた。
「ああ、何黙ってんだよ、俺様に小遣いぐれえよこしやがれっ、この糞グラサンっ、ぶっ殺すぞォっっ!」

「その、シンジ君、いくらなんでも父親に向かってその言葉は……」
台詞が終わる前にジャギが冬月に向かって振り向く。
「なんだ、白髪のジジイがよ、横から口挟むんじゃねえぞ。それともオメエが俺に銭くれんのかよ。それと俺はシンジじゃねえ、ジャギ様だっ
何度もいわせんじゃねえっ、それとよ君をつけるんじゃねえよっ、このアホンダラっ、脳味噌ボケてやがんのかぁぁっ!」
ジャギは冬月を睨みつけながら、なおもゲンドウに金をせびりつづけた。
(これが天才碇ユイ君の忘れ形見なのか……一体このゴロツキのどこにユイ君の面影が……)
苦々しい表情を顔に張り付かせながら、ゲンドウが財布から抜き取った札束をジャギの目前に差し出した。

「へへ、そうだよ、そうやって素直に小遣いよこしゃよかったんだよ、このダボがっ」
ジャギがゲンドウの手から金をもぎ取るように奪う。
不快だといいたげなゲンドウとは裏腹にジャギは気分がいいと言わんばかりに札束を数えはじめた。
「おい、アミバっ、この金でナイトクラブいくぞっ」
「ふふ、ナイトクラブか。悪くないな」
万事が万事この調子である。たかり、せびり、カツアゲはジャギの十八番(おはこ)だ。

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「おう、そこのボケダワシっ、邪魔だっ、さっさとどきやがれっ」
保安部の職員に対して平然と罵り、
「給料泥棒、さぼってんじゃねえぞっ、この間抜け野郎っ」
作戦部の職員を怒鳴りつけ、ジオフロント内を意気揚々と闊歩するその姿は、みかじめ料をせしめて回る札付きのゴロツキヤクザといった風情だ。
そんなジャギの友人であるアミバもまた、職員から嫌われていた。なんせ、ジャギに負けず劣らず、この男も恐ろしく口が悪い。
おまけに相手の気にしている部分をえぐるような辛辣なセリフを吐くので、むしろジャギよりも性質が悪かった。
だが、誰もこの二人に文句をつける者はいない。
恐ろしいということもあるが、何よりも職員の眼から見て、彼らの実力は一般人の想像しうる範囲を超えていたからだ。

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「それにしても本当に凄いわね。彼って。まさにスーパーマン、いえ、モンスターそのものよ。これを学会に発表すれば、とんでもない騒ぎが起こるでしょうね。
本当に人間なのかしら。何度読み返しても信じられないわ」
ジャギの検査結果を眺めつつ、赤木リツコは頭を振った。全く信じられないデータが次々に出てくる。
最初はデータ解析用のコンピューターが壊れたのかと思ったほどだ。だが、コンピューターにはどこも異常は見当たらなかった。
リツコはジャギが、バイオ兵器としてどこかの組織が秘密裏に開発した人造人間ではないかと疑っていた。
「それでどうなのミサト。彼とはうまくいってるの?」
「まあ、それなりにね。といってもお互い余り干渉しないって感じよ。帰ってきたらさっさと自分の部屋に籠るか、そうじゃなきゃ歓楽街で遊び回ってるかよ」
「なるほどね。ところでミサト、彼の素顔を見た事はある?」
「いいえ、ないわ。でも、何か自分の顔に対して酷いコンプレックスを持ってるみたいだったわ。一度だけ、仮面を取って見せてくれないってお願いしたら、
物凄い目で睨まれたわ」
「ふうん、一体彼に何があったのかしらね。あの性格もそうだけど、どうすればあんな具合に歪むのかしら」
「リツコ、私はカウンセラーじゃないから何もわからないわ。でも、一緒に住んでて見てるとただのゴロツキにも見えないのよね。
時折、本当に時折だけど物凄く思いつめた目を見せる時があるわ」
「本当に何があったのかしらね」

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ナイトクラブで酒とドラッグをキメ、頭と尻の軽そうな女を何人か引っ掛けた。それからいつものようにミサトのマンションへと舞い戻る。
この繰り返しだ。ある意味では酷く単調ともいえる生活だった。
(……つまんねえな。どいつもこいつも似たような連中ばっかでよ、いくら抱いてもさっぱり面白くねえや)
ジャギがソファーにどっかりと腰を下ろす。このソファーは普段は酔ったミサトがベッド代わりにしているものだ。
ジャギは無造作に転がったビールの空き缶や空き瓶を爪先でコツンと蹴った。
それからテーブルの上に置かれたミサトのタバコを一本抜き出し、口に咥える。タバコに火をつけると、ゆっくりとくゆらせながらソファーにもたれかかった。
(人間なんざ生まれる時も死ぬ時もやっぱり一人だよな。いくらどう足掻いた所で人間なんざ孤独な存在でしかねえんだ。
へへ……だからよ、俺は俺のやりたいように生きるだけさ)

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ジャギが第七ケージに赴くとひとりの少女がポツンと佇んでいた。何の感情の起伏も見せない蒼い髪の少女だ。
これまでに何度か顔合わせはしたことがある。だが、お互いに喋ったことはなかった。
(確か綾波レイとかいう女だったな。相変わらず辛気くせえ奴だぜ。顔は良いんだがな。しかしよ、まるで人形だな。一体何が楽しくて生きてんだ、こいつ?)
「おい、おめえ、そんなとこで何やってんだよ」
「別に何も……」
こっちを振り返った少女の表情はやはり何も変わらない。一般人であればジャギの風体や雰囲気に恐れや嫌悪感を示すのが普通なのだが。
(こいつもネルフから何かおかしなことされてんのか。洗脳かマインドコントロールで感情を失っちまったとかよ)
「おい、おめえ、この前あの腐れボケと一緒にレストランで飯食ってたよな。あのアホンダラ、テメエの事じっと見つめてたがよ、
テメエ、あのバカのなんだ。愛人かなんかか?」
「……腐れボケって?」
「腐れボケの間抜けっつったらあのゲンドウの便所ダワシの事に決まってんだろうが。オメエ、相当抜けてるな」
散々な言い草だった。それでもレイは怒る気配を見せない。
「まあ、いいや。オメエ暇か。なら俺に付き合えよ」



[40561] その名はジャギ
Name: まーさ◆674153c6 ID:3f1a4af9
Date: 2014/10/10 00:57
 カワサキのZZR1400、総排気量は1352CC、エンジンは4ストローク並列4気筒で最高時速は瞬間で323キロを叩きだす。
 レイはジャギの背中に子供のようにしがみつきながら、ただ、じっとしていた。ZZR1400のマフラーからあがる排気煙がレイの鼻腔を撫でる。
 「オメエ、確かレイっていったな。オメエ、なんでエヴァのパイロットなんざやってんだ?」
 「……乗れって命じられたから」
 「へえ、命令されたからあんな怪物に乗ったっていうのか。テメエの命すら危ういってのによ」
 「……」
 「へ、まるで人形だな。オメエ、自分の意思ってのがねえのか?」
 「……わからないわ」
 「ふうん、テメエ、親はいるのかよ」
 「私に親なんていない……」
 (俺と同じ親なしってわけか。こいつはおあつらえ向きだぜ)
 対照的な二人だった。ただ、ゲンドウに言われるがままに動くレイと、己の欲望と感情にのみ生きるジャギ。
 左にカーブするとジャギがバイクをスローダウンさせた。バイクを止めるとレイに降りろと命じる。
 レイは言われるがままにバイクからそっと降りた。
 「こっちだ。ついてきな」

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 激しいビブラートがレイの鼓膜を弄した。狭いステージから響くエレキギターの激しいサウンドとリズム。
 フロアの中央では、半裸になった男女の群れが激しい動きを見せながら踊り狂っていた。
 長い髪を振り乱し、腰をくねらせながらジャギの目前で淫らなリズムを取る女達。
 男達がジャギに向かって愛想笑いを浮かべた。
 「どうだ、楽しいだろう?」
 隣に座らせたレイに向かってジャギが問いかける。静かに目を伏せたまま、レイは何も答えなかった。
 「は、相変わらず陰気くせえな。まあ、いいさ。その内楽しくなってくるはずだぜ、こいつを飲めばな」
 ジャギがグラスに注がれたドラッグ入りのミルクをレイに飲むように促した。
 「酒は飲めないだろう。だが、こいつなら飲めるはずだぜ」
 ジャギから受け取ったミルクを数秒ほど眺めてから、グラスに口をつけるレイ。仮面の下でジャギは唇を歪ませた。

 (へへ、ゲンドウよ。テメエの大事なお人形は俺の懐の中だぜ)
 レイが喉を鳴らしてミルクを飲んでいく。唇の端からこぼれたミルクの滴がレイの顎から白い首筋へと流れていく。
 ひどくエロティックだ。無垢のエロスだ。
 (やっぱり俺は俺でしかねえや。親からも世間からも見捨てられたただのゴロツキよ。しかしよ、見れば見るほど良い女じゃねえか。
  身体は細すぎて俺好みじゃねえが、あと二、三年もすりゃ、肉付きも良くなるはずだぜ)
 頬を赤く火照らせるレイ、少女の毛穴からは滲んだ汗の香りがした。双眸を潤ませながら、レイがジャギの肩にもたれかかる。
 「どうやら気に入ったようだな。いいだろう。好きなだけ飲ませてやるよ。お前も欲望のままに生きるんだ。
  なあ、楽しくやろうぜ。やっぱりテメエの人生なんだしよ、人間、素直に生きるのが、本能のままに生きるのが一番ってもんさ。そうだろう?」
 ジャギがレイの耳元で囁きながら、少女の腰の辺りに手を回す。ほっそりとした腰だ。少しでも力を入れれば折れてしまいそうな。
 「さあ、踊ろうぜ。俺と一緒に踊り明かすんだよ。たらふくドラッグをキメながらなあぁ。何も怖がるこたあねえんだ。お前の知らねえ快楽って奴を教えてやるよ。
 この俺がな」
 
 レイを無理やり立ち上がらせ、ジャギを脱力した少女の身体を揺らす。
 「さあ、踊るんだよ。快楽に身を任せながらなあぁ」
 ジャギの言葉に反応するかのように身体を動かすレイ。夢遊病患者のように身体を揺らすその姿はどこか危うくたどたどしい。
 「そうだ、それでいいんだ」
 フロアの熱気がふたりを包み込んだ。激しい轟音がレイの子宮を揺さぶる。真っ赤な舌先を突き出し、ジャギがレイの瞼の上を舐めあげる。
 (ゲンドウよォ、テメエのお人形は今日から俺達と同じケダモノに生まれ変わるんだぜ。残念だったなあ、
 俺はよ、俺を捨てたテメエとユイのことがよ……心の底から大嫌いだったぜえぇぇっ、ああっ、なんで死んじまったんだよっ、お袋よォっ、
 俺がテメエをぶっ殺せねえじゃねえかよっ、こんなクソみてえな世の中に俺を生みだしやがってよォォっ
 テメエだけさっさと死んじまって楽しようなんざ、虫が良すぎるんだよおおおォっ、俺はよォ、テメエらの吐き出した汚物よォっ
 その汚物を産んだテメエらは汚物以下じゃねえかよォォッ!……ふん、まあ、いいさ)
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 手足を投げ出したまま、椅子に腰掛かるジャギの姿。投げやりな姿勢、いつもの態度。そんなジャギにミサトは気にした様子を見せることなく質問を続ける。
 「それであなたは今までどうやって生活してきたの。いくら調べてもあなたの過去のデータが見つからないのよね」
 「知るかよ。知りたきゃ勝手に調べろ」
 いくらジャギに尋ねたところで、この男は何も答えようとはしない。ミサトは無駄だと知りつつも質問を続けた。
 「それにあなた、あの時の使徒との戦いぶりや訓練のデータ、まるで人間じゃないわ。リツコも言ってたけど、人の範疇からはずれてるって」
 「俺をそこらの人間と一緒にすんじゃねえ」
 「それにその胸の傷、銃弾か何かで撃たれたような……」
 「さっきからごちゃごちゃうるせえぞ」
 不意にジャギが身を乗り出し、ミサトを正面から見据える。

 「そういえばよ、さっきリツコっていったよな。あの姉ちゃん、ゲンドウと出来てるみてえだが、どうなんだ?」
 「今してる話とは関係ないわ」
 「いいや、関係あるね。俺の事が知りてえなら、もっと俺と仲良くならねえといけねえぜ。だったらよ、そっちの話も聞かせてくれよ」
 「でも、プライベートな話だし……」
 ミサトが言葉を濁すと、待ってましたとばかりにジャギが付け入る。
 「ハア?プライベートだあ?じゃあよ、なんでテメエは俺の過去の話をほじくりだそうとしてんだよ?」
 ジャギの言葉にミサトが押し黙り、頭を下げる。
 「ごめんなさい、もう、あなたの過去の話は聞かないわ……」
 「ふん、そうさ、それでいいんだよ」
 再びジャギは椅子にもたれかかった。



[40561] その名はジャギ2
Name: まーさ◆674153c6 ID:3f1a4af9
Date: 2014/10/11 00:34
 液晶ディスプレイが垂れ流すテレビ番組──どれもこれも似たり寄ったりの内容だ。ジャギの胸板に頬を寄せるレイ。
 レイは静かにジャギの鼓動に耳を澄ませた。力強い脈動、ドクンっ、ドクンっ、ビートを刻むジャギの心臓。
 少女はすでにゲンドウの手で女にされていた。だが、それだけだ。ゲンドウはレイの処女を散らしても少女にオーガズムを与える事はできなかった。
 今は違う。レイは陶酔の味を知った。ジャギの手によって。激しいリズムとともに踊り狂い、レイはフロアを飛び回った。
 それまで埋もれていた感情を現すかのごとく。筋肉の鎧に覆われたジャギの引き締まった肉体はゲンドウの身体とは大違いだった。
 ゲンドウの身体は中年相応の衰えを見せており、貧弱だった。腹周りには脂肪がつき、その癖、腕と脚は細かった。
 ジャギの肉体は違った。まるで鋼のように熱く硬かった。六つに割れた腹筋に熱い胸板。いくつものワイヤーを束ねたような強靭な肢体。
 雄々しくみなぎっている。あの晩、レイは生まれて初めて、滾るような熱い姫クルミの喜びに包まれた。
 ジャギがリモコンのスイッチを押して、テレビの電源を切った。

 「は、あいかわらずくだらねえ番組ばっかだな」
 「そうね……」
 ジャギの言葉に同意するレイ。
 「へへ、レイ、お前も言うようになったじゃねえか」
 レイのセリフにジャギが皮肉そうに笑みを浮かべた。
 「ねえ、ジャギ、私、あなたの顔が見たい……」
 途端にジャギが難色を示し、レイの言葉を突っぱねる。
 自分を睨みつけるジャギにレイはわかったわとだけ、静かに言い、それ以上は何もいわなかった。
 レイがジャギの両眼を見返し、それならキスをしてと囁いた。ジャギは黙ってレイの頬に触れた。ジャギとレイが互いの唇を重ね合わせる。
 口づけしながら、ジャギはエヴァに搭乗した時のような、あの不思議な感覚を覚えた。何やら懐かしいような、それでいて物悲しくなるような感覚だ。
 唇を離し、ジャギが顎をしゃくった。
 「腹減ったな。レイ、飯でも食いにいこうぜ」
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「死ねええっ!」
 レザージャケットに身を包んだパンクファッションの男達が敵対するグループに向かって怒鳴り散らしながら次々に銃弾とクロスボーの矢を放ち、火炎瓶を投げつける。
 「くそおっ、ジャッカルのグループかっ!」
 モヒカンヘアの大男が忌々しげに吐き捨てた。肌が露出した頭部の脇には、ジードのメンバーを意味するZのタトゥーの文字が見えた。
 「おい、例のもん用意しろっ」
 隣にいたドレッドヘアの若者が脇に抱えたケースを素早く開け、何丁かの短機関銃を取り出す。
 若者から手渡された二丁のMP5を構えるとモヒカンヘアの大男が猛然と反撃に出た。
 現在の第三新東京市では、ジャッカルとジードが互いの縄張り争いを繰り広げていた。血で血を洗う激しい抗争だ。
 「ジャッカルのクソ共がぁっ、このシマは俺達ジードのもんだっ!
 ジャッカルのグループの何人かが、銃弾の雨に血と内臓をばらまきながら吹っ飛んだ。

 「蜂の巣にしてやるぜっ!」
 その光景を遠巻きに眺めていたジャッカルが縄で連ねた手榴弾を取り出し、ピンを引き抜く。
 「こいつは弾丸の礼だっ、受け取れっ、ジードの雑魚どもがぁっ!」
 そう叫ぶと同時にジャッカルが相手に向かって投げつける。炸裂する手榴弾の爆音、舞い上がる砂塵、
 手榴弾の破片を浴びるジードのメンバー達。何人かが手榴弾の洗礼を受け、ミンチ状に千切れ飛んだ。

 「へへ、派手にやってんじゃねえか。俺も混ぜろよ」
 二つのグループの抗争を静観していたジャギが、ジードとジャッカルの間に割って入る。


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