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[40812] ユーノ系短編集
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2015/01/16 21:34
始めまして
この作品は色んな所に散らしてた自作ssをマルチ投稿したものになります。
今はあんまり余所では活動していません。
現在は今まで作った物ばかりですがこれから先何かしら作品思い付けばこちらに投稿すると思いますのでよろしくお願いします。

其々の話は注釈が無い限りパラレルっています、繋がってません
後作者はvivid以降読んでないのでぶっちゃけヴィヴィオのキャラが良く分かりませんしその辺りからのキャラは出ません



[40812] なのはさんに掃除させ隊(上) なのは編
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/19 04:14

※当作品のなのはは興奮すると突発的に語尾に『なの』が付きますが仕様ですのでご了承ください。
※当作品のなのはさんとユーノくんは妙な性癖を持っていますがご了承ください。
※当作品は無駄に長いので途中で読むの止めても良いです。
※ギャグやりたかったのかシリアスやりたかったのかイチャイチャやりたかったのか解らないのも…この俺だ!




なのは編、開始


「うぅー、まさかここまでとは」
彼に借りたジャージを着て、とりあえず見つけた掃除機を持って、その掃除機を拭いた雑巾を片手に溜息をつく
Q.ここはどこ?
A.ユーノくんの家の居間
Q.何故そこに?
A.休みなので遊びに来たら急に彼に仕事が入って留守中に掃除を買って出た、帰宅は夜になるそうだ…ひょっとしてお泊り!?

うん、状況整理終了そして覚悟完了
ともかく私の目の前には色々とごちゃごちゃした部屋が広がっている
本を愛する彼らしく書物の類は一切落ちて居ないのだが、服、ズボン、シャツ、タオル、お菓子の袋、結構いろいろな物が床に落ちている
テーブルの上には何かの包装紙、読み終わった新聞などが雑多に置かれていた
床は一見綺麗だけど隅っこの方やTVの上とかには埃がたまっている
ちょっと幻滅だ

「レイジングハート、ユーノくんって昔もこうだったの?」
<基本的に大切な物以外は雑でしたね、その分大切な物はきちんとしまうのですが…厳重に保管しすぎてどこに仕舞ったか忘れるくらいに>
「にゃはは…はぁ」
その大切な物である考古学関連の物が置いて有る倉庫の様な部屋と書斎には入らないように言われた
そもそも彼が鍵を持ち歩いているので入りたくても入れないのだが



彼の家に入るのはこれが初めてという訳ではない、が、連絡無しで急に押しかけたのは今日が初めてだった
来るのは3か月ぶり位だ、大抵は外で待ち合わせをしてぶらぶらして終わるから
しかしいつもは私が来る前にこの部屋をピカピカにしてたんだろうか
…ちょっと喜んでしまう私が居る

とりあえずそれぞれの場所の掃除にかける時間を決める為色々見て回る事にした
酷い所は入念にしなければならないのでこれは大切な事だ
決して居間の掃除を後回しにしたい訳じゃない、ないったらない
「まずはお風呂なの!」




作戦1:お風呂場を見てみよう!~なのはの覚醒(間違った目覚め)そして絶望~

はじめて入る彼の家の浴室、少しドキドキする
脱衣所の籠にはさっき出かける前まで身に着けていたであろうTシャツと下着が入っている
ズボンが無いという事はひょっとして寝る時は履かないのだろうか、少し意外だった
私と彼はまだ友達だ、下着なんて見た事は無かった。恥ずかしくてあんまり直視できない
しかしちょっとした悪戯心が沸いて籠に入っているTシャツを持ち上げて顔の前まで持ってくる
ごくり、と唾を呑みこみ、私はそれをしっかりと抱きしめた
「…ユーノくんの匂いだぁ」
抱きしめられている、そんな感覚を覚えるほどに彼の匂いが広がる
一度吸うと胸が暖かく、二度吸うと頬が熱く、三度吸うと全身沸騰しそうになった
「あ…これ…すごい、駄目なのに…止まんないよ…」
ふかふかふか、もふもふもふ、ぽふぽふぽふ
何度も何度も顔をそれに擦り付けながら楽しむ
Tシャツでこれなのだ、下着になんて手を出したらどうなるか解らない
だからこれに自分を擦り付ける、踏み越えてしまわないように、強く、強く

<マスター、お楽しみのところ非常に申し訳ないのですが、既にそれを始めてから5分経過しています>
しばらくそうやっているとレイジングハートから声がかかった
「にゃっ!?」
慌ててTシャツから顔を離す
それと同時に我に返る
<流石にいきなりシャツニーはどうかと、恋心を自覚してしまったマスターそれも思春期もとい発情期真っ只中なので仕方ないのかもしれませんが>
「しゃ、しゃつにぃ?発情期!?」
何その単語!?
「うぅ、でも確かに変態さんみたいだよね」
<はい、モロに>
「…御免なさいユーノくん」
Tシャツを洗濯機に放りこんで神に祈るように手を組み目を瞑る
まぶたの裏のユーノくんは「僕は気にしないよなのは」と微笑んでくれた
私頑張るの

脱衣籠と居間に有った衣類を全て洗濯機に入れて浴室に入る
寝室?それはメインディッシュなの
「全然使ってないのかな?」
浴槽には目立った汚れは無かった
基本的にはシャワーだけの様だ
「…!?」
と、お風呂場を見回して私は驚くべき事実を発見してしまった
「 リ ン ス が な い ! ! ? 」
落ち着くの、クールになるの高町なのは!
ユーノくんのあんな良い香りのさらさらヘアーがリンス無しで保てるとはとても…
ふと嫌な予感がして、洗面所を見てみた
小さい櫛と髭そりが置いてあるだけでドライヤーすらなかった

女の子としてヘアケアの自信を失くし、トリートメントの必要性に疑問を感じながら
私はシャンプーの名前を携帯のメモ帳に打ち込んで掃除を始めた
後でレイジングハートに聞いた話だとその時の私の眼には一切の光が無かったという




作戦2:トイレを掃除しよう!~何故トイレを語らせたのか正直筆者も解らん~


「おじゃましまーす、おじゃまならかえるのー、はーい」
<…(そんな微妙なネタでは世界は取れませんよマスター)>
そんな事を言いながらトイレに入る
トイレは何度か借りた事が有る、それでも最初の内は変に緊張してしまった
音は聞こえてないか、とか、嫌な匂い残しちゃわないか、とか
ユーノくんの家のトイレは広くて快適、寒い時のヒーター付き、ウォシュレット完備の素敵トイレだ
このウォシュレットが優れ物で、その…ごにょごにょ…が終わった後にボタンを押すと消臭の魔法をかけてくれるのだ
…態々最初トイレ借りる時に横で丁寧に教えて貰った時は物凄く恥ずかしかった
でも私の恥ずかしそうな顔に気付いて慌てたユーノくんが可愛かったから良し

さて、肝心の御掃除状況ですがー
「…問題ないの、何の匂いもしないの」
鼻をひくひくさせて判断する
とりあえずトイレットペーパーを入れ替えられるように一個予備をセット
「おじゃましましたー」
<(…匂いで判断…!?)>



作戦3:台所回りを見てみよう~デバイスに捧げる鎮魂歌~
                   ↓
                   ↓
「れれれ冷蔵庫ー、君の中には夢が一杯ー、ケーキにお肉にお魚にー、ジュースも入って素敵なのー♪」
のんびりと脊髄歌を歌いながら台所まで歩く
そして目的物を発見
さながら業務用の大きな冷蔵庫
「はぁ…やっぱ素敵だよねユーノくんの冷蔵庫」
そう、ユーノくんの冷蔵庫はとても大きい
どれ位大きいかというと「駄目、こんな大きいの入らないよぉ」って玄関扉が言っちゃうほど大きいのでばらばらにして中で組み立てた位
そしてユーノくんはここ数年通販に嵌ってるのでこの大きなジュエルボックスには色々珍しいおやつやジュースが入っている
今日はユーノくんに「入ってる物は好きに食べてていいからね」と許可を得たので少し楽しみ
「将来管理局をやめて翠屋を継ぐ事になった時の為に見聞は広げなきゃいけないの!」
ビシっとポーズを決める
ちなみにユーノくん曰く遺跡発掘の時は一気に食料などを買うのでこんなに大きい冷蔵庫が必要らしい
<でも私は解ってる、この冷蔵庫はいつか私とユーノくんとその子供たちが使う為にこんなに大きいんだって>
「…何言ってるのレイジングハート」
<冷蔵庫の中に入ってるケーキが美味しすぎてもう食べられないデブゥ>
「ぶん投げるよレイジングハート」
<すみませんマスター、冷蔵庫に興奮するマスターが余りにも気持ち悪…冷蔵庫に嫉妬したので盛り下げようと>
「ふぅん」
とりあえず使う予定のない冷凍庫を開けて中を一瞥する、きちんと整理されているので掃除の必要もなさそうだ
良く解らない顔みたいなのが四方面に描いてあるお菓子達の真ん中にレイジングハートを入れて冷凍庫を閉めた
          (ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)о<マスター!?(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)

そして冷蔵庫を開ける
中には色々見た事無いお菓子や良く解らない瓶詰め食品、調味料等が並んでいた
「はぁ~♪」
つい幸せな溜息が洩れる、さっすがユーノくん、色んな所から通販カタログ取り寄せてるだけあって幅が広い
と、真ん中に最近管理局で噂になっているお菓子を見つけた
「わぁ、これスマートブレイン社のフォトンブラッドチョコだー。ガイアメモリウエハースアクセルも有るー」
フォトンブラッドチョコは激苦、アクセルメモリウエハースは激辛なのだ、品薄ですぐ売り切れる
怖いもの見たさで
「よし、お掃除頑張ってユーノくんに褒めて貰いながら食べよっ!一人じゃどうなるか解らないし!!」

私は冷蔵庫を閉めて横の洗い場を見た
ここはきちんとしているみたいで台所自体は片付いているがさっき出かけ前に使っていたであろう物が蛇口の下に置いてある
「…ユーノくんの使ったフォーク」
私はそこに有るフォークを手に取って見つめる
お皿に残っている物を見てみるに食べていたのはスパゲッティの様な物らしい
つまりこれでくるっ、ちゅるんとやっていたわけだ
「……流石にこれは駄目だよね」
そう言って私はフォークを元に戻す
………戻した横には、何かを飲んでいたのだろう、コップとストローが有った
「…喉、乾いたの」


作戦4:居間を掃除しよう!~フルスロットルビフォーアフター~

ジュースを飲んだ私は居間に向かった、居間の…じゃなかった、今の私は元気百倍なの
飲んだジュースがペットボトル入りの栄養ドリンク系統だっただけで何も疾しい事は無いの
「よしっ!」
お菓子の袋等目立ったごみをごみ袋に入れて行く
新聞は何か情報収集をしていたのかもしれない為一纏めにして隅に
いろんな場所から発掘したリモコンも一か所にまとめる、どうやら妖怪リモコン隠しはミッドチルダでも活動中のようだ
まさか食べ終わったお菓子の箱の中にリモコンが入ってるなんてびっくり、危うく捨てる所だった
「ふーんふふーん♪」
ゴミを拾い終わった後は壁やテレビの埃を払い掃除機をかける
と、纏めて落ちているユーノくんの毛が目に入る
それを見て私は偶然聞いてしまった空戦魔導師の人達の会話を思い出した

隊長「おいお前ら、今度の任務は厄介だぞ?ちゃんと『お守り』用意しとけよ!」
部下A「お守り?」
部下B「なんですそれ?」
隊長「なっ…ったく、最近の若者はこんな知識もねーのか…おい、お前彼女居んのか?」
部下A「えっ、はっ、はい」
隊長「んじゃ下の毛貰って来い。」
部下A「へっ…?えええーっ!?」
隊長「お前は」
部下B「いや、俺は先日別れまして」
隊長「そうか、なら今すぐ聖王教会行って普通に買って来い」
部下B「はいっ!」
部下A「俺は!?」
隊長「土下座してでも良いから彼女から貰って来い!絶対だ!!…悲しい思いさせたくねえならな」
部下A「隊長…」
隊長「けっ、俺らしくもねえ顔見せちまったい…良いか、愛する人間の一部貰って行くんだ、気張れよ」
部下A「…はいっ!!」

とまあこんな寒い小話
「…むぅ」
落ちている毛を見てみる
「……あ、駄目だ、これ本当私変な人だ」
今度はすぐに我に返った
「貰うのは恋人になってからじゃないと」
そう、大切なのは二人の関係なのだ

掃除を続ける事2時間半、
押し寄せる大海嘯の様な徹底的な匠の技によって汚れていたリビングも更地の様にピッカピカ
傾斜の急な階段がバケットホイールエクスカベーターになるくらい驚きのビフォーアフターなの
これを見ればきっとユーノくんだって
「うわぁ、本当ピカピカになってる!ありがとうなのは!」
「えへへ、ユーノくんの為に頑張ったよ!」
「…あ、少し汚れちゃってるね、久しぶりに一緒にお風呂入ろう。今度は僕が君をピカピカにしてあげるよ」
「じゃ、じゃあお願いしようかな」
こうなるに決まってるの
「あ、でもその為には汚れとかないと」
悩む、まあ既に借りたジャージは埃っぽかったりするので大丈夫だろうけど
…と、汚れたジャージを見て気付いたがこれでは寝室を掃除しようとしても寝室が汚れてしまう
少し悩んで思いついた

ジャージを脱いで私服になる
    ↓
  寝室探険
    ↓
リビングに戻って汚れたジャージに着替える
    ↓
ユーノくん帰宅
    ↓
計画通り……!!


「完璧なの、これで寝室満喫とユーノくんとのお風呂タイムは揺るがないの!なーのなのなのなのなの!!」
とりあえず予定調和的にこの高笑いはやっておく
なんか失敗フラグ立った気がするけどきっと気のせいなの




作戦5:寝室~CQCの基本を思い出して~

「『こちらなのーク、寝室に潜入した、大佐、指示をくれ』」
扉を開けて中腰で中に入りレイジングハートに念話を飛ばす
<寒いですマスター、それとお菓子の顔が凄く怖いです、もうしませんから出して下さい>
反省してるので寝室での任務が終わったら出してあげよう

「わぁ…」
初めて入る寝室はとてもユーノくんらしい部屋で、そしてこの家の中で一番彼の匂いがした
隅に有る大きなベッドに座って周りを見渡す
どの本棚に入っている本も綺麗に整頓されていて埃も被って居ない、どうやら掃除の必要はなさそう
とりあえずカーテンを開けて窓を拭き拭き、置いてあった洋服を洗濯機まで持っていく
床に落ちたごみを軽く拾い掃除機をかけて、寝室の掃除は速やかに終わった
あとは、ベッドをどうするかだ
どうすると言っても匂いを嗅ぐ嗅がないじゃない、それは決定事項だから悩む必要はない
「洗濯した方が良いのかなぁ、ベッドカバーと枕カバー」
腕を組んで悩む、さすがにこの問題をどうにかしないと落ち着いてお昼寝も出来ない
…でも今日帰ってくるのなら洗濯しちゃってたら寝にくくて困るよね、私は腕枕で良いけど
「うん、やめとこう」

私は彼のベッドに飛び込んで掛け布団を被った、今度こそ本当に、全身を彼に包まれているみたい
いつも彼の顔が乗ってるに違いない枕を顔の前に持って来てぎゅうっとする
そしてそのままころころと転がる
「…ふぁぁ…ちょっと、休憩…」
さっきみたいな興奮ではなく、安らぎを感じて私はつい目を瞑ってしまった




[40812] なのはさんに掃除させ隊(中) ユーノ+α編
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/19 04:27

ユーノ編 始まり




「はいどうも、みなさんおなじみ、健脚師匠八神はやてと!」
「管理局の雷ひよこ、フェイト・T・ハラオウン!」
「たった一つの命を捨てて、生まれ変わった普通の設定、釘宮ボイスで皆を萌やす、私がやらねば誰がやる。アリサ・ロー…バニングスよ」
「こっちに来て良かったのかな?月村すずかです」
「別に何も変な事しないと思うんだけどなぁ…ユーノ・スクライアの5人でお送りする」
「題して!『なのはちゃんは見た!ベッドの下に潜む少年の性の目覚め!』や!」
「いやそんなんじゃないから」

―この番組は、時空管理局本局・翠屋の提供で、お送りします


ここは狭い場所だった
具体的にどこかと言われれば僕の家の近くに止まっているワゴンの中
目の前にはいくつかのモニターが有り、それは僕の家の各部屋の状況を映し出している


「もー、両手に華なんやで?経緯はともかく暗い顔せんと喜ぶべきやろユーノくん?」
はやては上目づかいをしながら僕の腕を抱き寄せる
「違うよ、これは四面楚歌って言うんだよ」
僕は彼女の胸から腕を抜いて溜息をつく、まったく、そう言う事を簡単にやるのはどうかと思う
「それは考え方次第じゃないかな?」
すると今度は僕の隣(僕を挟んではやての向かい)に居たフェイトが笑いながら言った
「だって逃げ場すらないじゃないか…はぁ、ごめんねなのはって痛い痛い何するのさアリサ!」
「何被害者面してるんだか、なのはの気持ちを知りたいって言ったのはアンタでしょうが」
そう言いながらアリサは僕の首を後ろからぐいっと押しこむ
痛い痛い本当に痛い
「まぁまぁアリサちゃん、私達も楽しんでるのは否定できないんだし、どうせユーノくん逃げられないんだから」
そしてすずかはその隣で笑いながら止めを刺してくれた

何故僕達がこんな所でこんな事をやって居るのか
それは簡単、この留守番自体が仕込みだからだ
発端は勿論
「そう、最初は偶然やった…冬のある日、私は峠を攻める為車いすで外出してたんや」
いきなり思い出話を始めたこの人だ
「…うん、突っ込まないよ」
「そしてちょっと腹ごしらえにと寄った街中で見たのはイチャイチャしとるカップルやった、まぁここではNとYとしとこう」
「…うん、話の流れ的に僕達だよね」
多分僕の突っ込みは黙殺されるだろう
「まあ寒い日やったからなぁ、Nは少しぶるるっと震えた訳や、そしてそのNに優しく自分の巻いてたマフラーをYが巻いてあげた」
案の定だった、そしてはやては(無駄に)遠い目をしながら語りを続ける
「そしてYは『少し飲みものでも買ってくるでぇゴワス、ここで待っといて下さい、ケキャキャキャキャ!』言うてNをベンチに座らせて歩いて行った
 あ、プライバシー保護の為一部台詞は脚色してあるから安心してな?」
「お気遣いどうも」
「どういたしまして。というわけでここで問題や!Yが立ち去った後Nは何をしてたでしょう!!(ドンッ)あぐっ!?」
いきなり彼女が立ち上がり叫んだ、車内の為天井で頭を打ってすぐに元よりも小さくなったが
随分下の方に行った彼女の頭を撫でてやりながら今後の展開を見守る
もう何したって僕の思い通りに話は進まないだろうから

「はい!」(ピヨピヨ)
何時の間にやら妙なスイッチを持っていたフェイトが元気良く返事をしながら押した、スイッチからひよこの鳴き声が響く
「…あかん、めっちゃ痛い…ユーノくん、私頭割れてへん?中から変な物生まれそうになってへん?」
しかしはやては俯いたままガン無視だ、涙目になっている
「大丈夫じゃないかな、多分、で、何かなフェイト」
面倒くさいので自分で話を進める、答えを知ってるのははやてだけなので僕には正解かどうか判断できないが
「えっとね、NとYどっちが男の人?」
回答じゃなくて質問!?
「さっきの流れで解るでしょ!?」
「解んないよ!脚色してるんだから本当はゴワスって言ってないかもしれないし!」
うわーい全開だこの子
「いや確かにそれは言ってないけど!」
「ほら、じゃあYの方が女の人かもしれない!で、どうなのはやて?」
後ろを見てみる
はやては真剣に頭を抱えていた。恐らく二つの意味で
「あー…Nが女、Yは女に近いけど男、やね」
「やめてよそう言う変な風に解釈されそうな事言うの」
「何だかユーノみたいな人だね」
「やめてよそう言う天然で心抉りに来るの」

「はい(山が呼ぶ、空が呼ぶ、何かが遠く待っているとー)…ウチに熊犬は居ないわよ、絶・天狼抜刀牙も無理」
次にボタンを押したのはアリサだった、今度は良く解らない歌が流れる
「はいアリサちゃん!」
「飛んできた内角低めのボールをバックスクリーンに叩きこんだ」
何の話!?
「惜しい!」
「…ちっ」
はやての答えに舌打ちするとアリサは不満げに外を見た、その頬は赤く染まっている
そして一言
「・・・・・・ツッコミなさいよ」
ですよねー
ちなみにはやてはその言葉を聞きながらすごくにやにやしていた

「はい(あっ、恭也、駄目だってば!すずかに聞こえちゃ…あんっ)何このボタン!?」
「視聴者サービスや!意味なく半端なエロボイス挟むのがサービスになるんか神経逆撫でするんかは神のみぞ知るやけど」
…いきなり聞こえた艶やかな声に反応しそうになる股間の卑猥なティンカーベルを鋼鉄の意思で抑え込む
「え、えーと。ああもう、何考えてたか忘れちゃった…」
「んじゃ回答権ボッシュートやね、ユーノくんはどない?」
はやてがこちらを向いて聞いてくる

「(…確かあの時は…)寝ちゃった、とか?」
自分の記憶を頼りに回答する、あの後なのはをおぶって高町家まで連れて行って色々冷やかされた
「あー、正解といえば正解なんやけどね、実はその前にもう一個Nがやった事が有ったんよ」
「え?」
「気になるやろ?…で、私の予想なんやけど、多分Nはある特定の物が好きなんやと思うねん、やから…」
それを確かめてみたい、そうはやては言った、妙に真剣な顔で




裏・作戦1

僕は、今自分の見ている物が信じられなかった
なのはが僕のTシャツに顔を押し付けて、精一杯匂いを嗅いでいる
顔は耳まで真っ赤になって、体中を震わせながら必死に
「…なのは、凄いね」
「何時の間にこんな風に…何したのよユーノ!」
フェイトは顔を真っ赤にして、アリサが何か叫んで居るが僕の耳には何も入って来ない
「…んー、やっぱりなー」
「はやてちゃん?」
「さっきの問題の答え、それがこれや…まぁ、ユーノくんの匂いやね」
そう言うと、はやては画面の中のなのはを指さす
「ユーノくんが見えんくなってからマフラー握ってくんくんくんくん」
…気付かなかった
「それで満足したんかまた巻きなおしてすっごい安らかな顔で就寝や。物凄い早技やった…というかユーノくんが戻ってくるの遅すぎや」
「だってなのはがチェリオ飲みたいって言うから」
結構街中を走りまわったのだ

画面の中のなのははレイジングハートに何か指摘され慌てている
音声は拾えない為何を話しているのかは解らない

と、なのはが浴室に入った
もし服を脱ぎだしては困るからと僕はアイマスクを着けられる
「 リ ン ス が な い ! ? 」
「「「「!?」」」」
しばらくすると訳の解らない叫び声が聞こえた
と同時に周りの空気が震える
「ユーノ、本当なの?」
「へ?う、うん、いつもシャンプーでさらーっと。シャンプー切れた時はボディーソープ」
詰め寄ったアリサに対しての僕の一言で周りの空気が凍った
次の瞬間

「ひゃっ!?な、なにするのさみんな!」
急に至る所の髪を触られる、前髪横髪後ろ髪、かき分けかき上げ撫で絡められ
合間合間に聞こえてくる「嘘やん…」とか「何で…」とかの呟きが凄く怖い
「ちょっ、何でこんな目にー!」
抵抗するが女の子達相手に本気で腕を振る訳にもいかず結局為すがまま
アイマスクがずれてしまった頃にはなのははもう浴室に映って居なかった

「はやて、ちょっとリンディさんに頼んでこっちのシャンプー持ち帰れる様にして貰って」
「私もお願い」
「了解や…」
「ユーノ、今度私の髪洗って」
目の据わった4人の発言を聞き流して僕は別のモニターを見る事にした


裏・作戦3(2はすでに終了)

見てみると、なのはは台所に居るようだった
楽しそうに冷蔵庫を眺めている、僕はこんななのはが大好きです
「冷蔵庫でかっ!一人暮らしやろ?!」
「色々と要るんだよ、スクライアから食べ物送られてきたり学会の知り合いから食べ物送られてきたり逆に送る物を保存したり」
実際結構大変なのだ、住み始めた当初は最低限2・3食分の材料入るだけの物で良いと考えていたのに
「あと通販って凄いよね、論文とか仕事に追われててもご当地銘菓が手に入るんだよ」
ちなみに通販をよく利用している理由は色々な人との会話のネタにしやすいから、という部分も有る
「えー、私はやっぱりその場で見て買いたいなぁ」
「フェイトそんな暇を君の兄がくれないんだ」
「ごめん」

「あれ?」
アリサの言葉で思わずモニターを見てみると妙に笑顔ななのはがレイジングハートを冷凍庫に入れていた
何してるんだろう
「!?ゆ、ユーノくん、さっき一瞬変なのが見えたんだけど、顔みたいな」
「この前街で見かけて衝動買いしちゃった、食べる?」
「要らない!」
「「「???」」」
何だ残念、結構可愛かったのに、すずかには受けなかったかあ

視線をすずかからまたモニターに戻す
なのはは冷蔵庫を開けて目を輝かせている
あれは多分チョコとウェハースを見たんだろう、前に食べたいなぁ、ってぼそっと言ってたし
しかし扉を閉めて次の掃除に移ろうとする
「おぉー、なのはちゃんよく我慢したな、何も食べんかったで」
「そんなペットの犬じゃないんだから…いやアルフが冷蔵庫の物勝手に食べるって言いたい訳じゃないよ?」
フェイトが居もしないアルフに言い訳をする
とか何とかやってる内になのはは洗い場の方へ

(※ここから先はどれが誰の発言なのか想像しながらお楽しみください)
「……」
「……」
「……」
「……」
僕が使ってたフォークをじっと見つめるなのはをじっと見つめる四人

「…ふぅ」
「…ちっ」
「…ほっ」
「……」
僕が使ってたフォークを何処か残念に元に戻したなのはを見つめる四人

「…!!」
「っしゃあ!!」
「あわわ…」
「……」
僕が使ってたストローとコップを見つけたなのはを見つめる四人

「…小学校の高学年男子みたいよね、なのは」
「ちゃんと見とったユーノくん?」
「なのはったら…」
「ふふっ…」
「……」
色々有って真っ赤になって何も言えない僕を見てにやにやする4人と僕



裏・作戦4

なのはが居間に移動した
物凄い手際の良さでてきぱきと落ちているごみ等を片づけていく
新聞紙も捨てずに隅にまとめてくれてありがたい
「しっかし汚い部屋ねー、ちゃんと掃除してるの?」
「最近ずっと仕事きつくて寝る為だけに帰ってたから…」
「あー…ご愁傷さま」
アリサと話していると、なのはがお菓子の箱からリモコンを見つけた
「あっ」
「ん?」
やばい、あのリモコンDVDプレイヤーの奴だ…しかも今その中に入ってるのは…
なのはがじろじろとリモコンを見る
押そうか押すまいか迷ってる顔だ
押すな押すな押すな押すな押すな押すな押すな押すな押すな押すな
僕の意思が通じたのかなのははそのリモコンを予め一か所にまとめていた場所に置いてくれた
「どうしたのユーノ?凄い汗かいてるけど」
と、横に居たフェイトが僕の顔を覗き込んできていた
「な、なんでもないよ!?それよりなのはを!」
「きゃっ!」
慌てて僕はフェイトの頭を掴みモニターの方を向かせた
「…まぁ、お年頃やしなぁ?」
「ばれなくて良かったわね」
「年上系とかだったらアウトだったね、色々と」
事情が解ってしまったのか、3人はにやにやしてる

「もう、酷いよユーノ」
「ごめん」
首を触って調子を確かめているフェイトに謝る
画面の中のなのはは妙に静かだ
腕を組んでうんうんと唸っている
しかし突然


「完璧なの、これで寝室満喫とユーノくんとのお風呂タイムは揺るがないの!なーのなのなのなのなの!!」

なんて笑い声が聞こえて来た
次の瞬間なのはは僕が貸したジャージを脱ぎ捨て、寝室への扉に向かって行った

「…………お風呂、入った方が良いのかな」
俯いてぼそっと呟く…聞いていなければ絶対一緒に入る事は無かっただろう
でも僕は今日一日でなのはの僕への想いを知った
一般的には引くであろう行動を見ても全然引かないほど彼女が好きな自分も知った
今なら僕は迷わずに彼女に好きだと告げられるだろう
「あー、流石にカメラは外しといてな?その…独り身には中々辛いし」
僕の言葉を受けてはやてが気拙そうに言ってくる、率先して覗くとばかり思ってたから結構意外だった
「…でもなのはの着替えとかどうするんだろうね?ほら下着とか」
「……良いじゃない、裸で寝れば」
「もう、アリサちゃんったら…ユーノくん、優しくしてあげてね?」
素朴な疑問に過激に返し逸らしながらも拍車をかける
見事な連携で僕はあっと言う間に真っ赤になってしまった



裏・作戦5


モニターの中のなのはは僕の枕を抱きしめてすやすやと眠っていた
フェイトが車の外に出て、笑う
「行ってらっしゃい、未来の恋人さん」
「…有難う」
同じく笑ってフェイトに応えて外に出る
後は家に帰ってなのはと色々話そう、これまでの事、今日の事、これからの事
歩きだす前に僕は振り向いた
「本当にありがとうはやて、今日が無かったら、僕はこれから先ずっとなのはを傷付けてたかもしれない、知らない内に」
「…ん、幸せにしたってな」
「というか不幸にしたら酷いわよ?」
「何かあったらいつでも相談に乗るから」
「解った、本当にありがとうみんな」
一礼して、家に向かう





横・作戦5


ユーノくんが私達に礼をして家に帰って行く
彼が角を曲がると同時に、抑えていた涙が零れた
すずかちゃんが私を抱きしめてくれる
アリサちゃんも、無言で私の頭を撫でてくれる
フェイトちゃんは、入って来て私の手を握ってくれる

あの冬の日から胸に掛ってたもやもやは、やっと晴れた

好きになったのがいつかは、はっきりとは覚えてへん
同じ本を二人で読んだ時、頬が偶然触れ合ってしまった
そして彼の暖かさ、男の子という物をきちんと意識してしまった
そんな些細なきっかけ
でもそれから徐々に徐々に、ユーノくんを目で追う様になっとった
恋心というには幼い、けど友達でいる事が嬉しくない
そんな微妙な気持ち

恋心に育つまで待つ、そんな余裕は無かった
何故ならユーノくんにはなのはちゃんがおった
片思いなら付け入る隙は有った
せやけどあの冬の日の幸せそうななのはちゃんを見て、これは勝てんと解ってしもうた
想いの強さでも、想われ方でも
解ったのに、納得したのに、もやもやし続ける気持ちを抱いて今日まで過ごした

でも、それも今日で終わり
好きな人の幸せの為に努力出来た
嬉しい終わり

さぁ後は

「カラオケでもいこか!」
「…付き合ってあげるわよ!」
「うんっ!」
「じゃあ、地球に帰ろうか」
「そういえば、NとYってなのはとユーノだったんだね」
「……え?それを今更ここで言うん?」


今夜を、これからの日々を楽しもう、あの二人に負けないくらい



※ワゴンは直後に甘味めぐりを終了したリンディさんとそれに付き合わされてたレティ提督が回収しました。



[40812] なのはさんに掃除させ隊(下)それぞれのラスト
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/19 04:29
ユーノ編 ラスト




鍵を開け、家に足を踏み入れる
心臓は早鐘を打ち続け、息する事も辛い位だ

居間に続くドアを開ける
出かける前に汚かった部屋は今はピカピカで眩しい
浴室に向かい冷水で顔を洗って気合を入れる
嫌な汗、というか変な汗を大量にかいたので本当はシャワーも浴びたいが着替えは寝室だ、やめておこう

寝室へと続く扉の前に立って目を瞑る

想われてるなんて思ってなかった
なのはは僕の前では全然あんな素振りを見せなかったから
ひょっとしたら出来なかったのかもしれない、嫌われるのが怖くて
…確かになのは以外の人間がああいう事をしていたら僕は嫌悪していただろうと思う
どれだけ親しくても、だ
でも、なのはに対しては違った、自分でも驚くほどに
必死に僕の匂いを確かめる彼女を堪らなく愛しいと思った

「だから、もう少し踏み込んでみようと思う」

目を開く、ドアノブに手をかける
勢いよくドアを引き中に足を踏み入れようとして

出て来たなのはに押し倒された






なのは編 ラスト


「むにゃ?」
玄関扉の開く音で目を覚ます
しまった、ユーノくんが帰って来てしまった
とりあえず抱きしめていた枕を(名残惜しいが)元の位置に戻し立ち上がる
「うぅ、どうしよう」
今からリビングに行ってジャージを着てお風呂イベントへ進めるかどうかを考える
「無理だよぉ」
きっとこのままだとユーノくんは私にご飯をご馳走してくれたあと
「あ、なのは、もうこんな時間だから帰らないと、家まで送るよ。今日は本当にありがとう」
って感じで私を家に送り届けてくれるだろう
困った
一緒にお風呂入ろう!なんて事は恥ずかしくて言える訳がない
お互いあの頃とは違うのだ、それにはしたない女の子だとは思われたくない
「……諦めようかな」
今日一日、たっぷり過ぎる程ユーノくん分は補給出来た
もう十分だ
「良し…!」
そうと決まれば元気よくお帰りなさいを言って一緒にご飯作って楽しもう
私は扉に駆けよりドアノブに手をかけようとして

そのドアが引かれた
「わわっ」
転びそうになるのをつま先で一回ぴょん、と前に跳んで耐える
しかし止まれない、目の前にはユーノくんが居る
私は思わず彼に向かって手を伸ばしてそのまま一緒に倒れてしまった

ぽすん、と頭が彼の胸に収まる
「お、お帰りなさい、ユーノくん」
恥ずかしいけど余りの心地よさに動く事が出来ずに、言葉だけを発する
彼はどう思ってるんだろうか、この体勢
どいてと言われたらすごく悲しい、重いなんて言われたら泣いてしまうかもしれない
「…ただいま、お疲れ様。なのは」
でもユーノくんは、重いともどいてともいわず抱きしめてくれた
「え?えぇっ!?」
「嫌かな?」
彼の言葉に胸にうずめたままの頭をぶるぶる横に振る
ドキドキが止まらない、Tシャツよりも、枕よりもずっと強い彼の匂いがここに有る
「……あの、さ」
しばらくして彼がポツリとつぶやいた、抱きしめたまま
「う、うん」
真剣な口調につい身体が硬くなる
「凄く怒られるかもしれないし、嫌われるかもしれないから言うの怖いんだけど聞いてくれるかな」
おかしなことを言う、私が嫌いになんてなる訳ないのに
「何?」
つい笑顔が浮かんで軽く言い返してしまった
彼の唇を見つめる
それがゆっくりと開いて



「今日の事、全部見てた」



すぐに頭が真っ白になった
「なのはが僕のTシャツの匂い嗅いで興奮してる所とか」
その言葉にはどんな感情が籠って居るんだろう
身体が震える、目には涙がすぐに浮かんできた
嫌われた、絶対に嫌われた
今すぐここから逃げ出したいのに、彼の腕がそれを許してくれない
「小躍りしながら冷蔵庫に駆けよって行く所とか」
酷く吐き気がする
今日の楽しい思い出が全部自分への嫌悪へと変わる
「ごめんなさい…」
「僕の使ったストローでジュース飲み始める所とか」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
「僕とのお風呂タイムとかいった後高笑いする所とか」
「やめて!もうしないから!!お願い、離して!」
せめて今は見逃して欲しい、ここから逃がして欲しい
このままでは壊れてしまう
しかし背中に回っていた彼の手は今しっかりと私の後頭部を抱え込んでいて逃げられない
涙と身体の震えが止まらない
「その後僕の寝室で枕抱いて眠り出す所も」
「…あ、あぁ…」
歯ががちがちと言って何か話す事も出来なくなった
身体に力が入らない
「全部見てたんだ」
きっと、次に来るのは彼からの拒絶の言葉
そう思って私は眼をぎゅっと瞑った


「………」
それから何十秒だっただろう、彼は何も言わない
先程からうんうん唸っては何かを決めかねてるみたいだ
だけど逃がす気は無いらしく抱えた頭を離してはくれない
「…よしっ!」
意を決した言葉、私も思わず身構える

次の瞬間、唇に柔らかい感触が有った
「んんっ!?」
目を開く、すぐ前に彼の顔
キスされてる…
身構えていた身体からまた力が抜けた
唇が離れて、彼の眼も開く
そして優しく笑う
「口で言っても駄目だって思ったから。…大丈夫、嫌じゃなかったよ、なのは」

また涙が零れた、今度は嬉し涙
少し今までより強めに彼の胸に頭を押し付ける
「先に告白してから、全部見てたって言ってよぉ…凄く、凄く怖かった!!」
怒った風に叫ぶけど、頬の緩みが治らない
「あーそれはほら。君のああいう行動見たんだしさ、先に僕も嫌われそうな事は言っとくべきかなって。良い趣味じゃないでしょやっぱり」
…こういう所は本当にずるいと思う
そんな事言われたら嫌いにもなれないし怒る事も
「はやて達にも見られたし」
「へ?…………………馬鹿ーーーーーーーーー!!!!」
出来た、すぐ怒れた
今彼は何といった?見られた?誰に?はやてちゃん?…達、達ぃ!?
「ほ、ほほほほ、ほ、ほ、他に誰が見てたの?」
こうなると誰に見られてたか解らない
良くてフェイトちゃん、悪くてユーノくんとの共通の知り合い全員というのもあり得る
「フェイトとアリサとすずか、なのはが来てる事自体はリンディさんとレティ提督もご存知だよ」
「えーと、ねぇ、ユーノくん全部見てたっていうのは本当に全部?」
「脱衣所と浴室と台所と居間と寝室」
「…にゃー」
猫みたいな声を出す、それが精いっぱいだった
一気に全身の力が抜けて私の全てをユーノくんに投げだし身体の上でうにうに動く
「な、なのは?」
「『もう何だか喋りたくないよユーノくん、酷いよ…私学校で何言われるか解んないよ…』」
怒ると言うよりも、悲しむと言うよりも、単純に凄く疲れた
口を動かすのが面倒なので念話で彼と会話する
「…僕も結構きつかったよ?なのはがああいう事してるのを皆と一緒にっ!?な?なおは?」
彼の頬っぺたを摘まんで引っ張って喋らせないようにする
その事は今言われたくない
例え嫌じゃないと言ってくれても、やっぱり駄目だったと思う
「………ごめんね、変な事して」
もう一度、きちんと謝った。その場から逃げる為のその場しのぎじゃ無くきちんとした心の底からの謝罪だ
「んー、まぁ、可愛かったし良いかな、辛かったのは周囲の眼くらいだよ?」
なのにユーノくんはそんな事を言いながら私のサイドポニーに固めた髪を撫でる
しばらく撫でられていると急にユーノくんが動き出した
「さて…告白もした事だし大事な恋人のお願いでも叶えようかな」
恋人、何気なく言われたその言葉に顔が赤くなる
ユーノくんはするりと私の下を抜け出すと、まだだらけた状態の私をひっくり返して抱き上げた
お姫様だっこだぁ
「え、えーと、何、するの?」
「お風呂」
緊張して聞いた私の顔を見ながら楽しそうにユーノくんが言う
「…なーのなのなのなのなの」
「やめてー!!」
更に楽しそうに言葉を続けられて彼の腕の中でじたじた動く
何であんな訳の解らない高笑いしちゃったんだろう
「今まではなのはの気持ち解らなかったから僕我慢してたんだ、色々」
私をお風呂に運びながら、逃がすつもりはないといった感じでしっかりと抱きながら彼は言う
嬉しかった、そんな風に考えていてくれた事が
好きでいてくれて、それでも気遣っていてくれた事が
…まあ、こっちとしては大分前からバッチ来いだったんだけど
「でも、もうそういう我慢は要らないのかな」
彼が私に聞く、今までに見た事のないくらい、男というより…雄の入った顔で
私は
「……うん、しなくて良いよ。私もユーノくんも、全力全開で…愛し合お?」
しっかり答えて、彼にキスをした


翌朝

……くんかくんか
くんかくんか
良い匂い
「ふにゅ」
目を開くとそこにあるのは彼の顔
とはいえ少し距離が有る
私の頭は器用にも彼の手首に乗ってるからだ
「わーい」
ころころと身体に向かって回転して背中から彼に優しくぶつかる
解いた髪が彼の寝息で揺れる
「んぅ?」
顔に当たる髪がくすぐったかったのかユーノくんが目を覚ます
「…おはよー。なのは」
甘えてるだけだと言う事が解って居るんだろう、何してるの?とかは聞いてこないで挨拶だけして私の首に顔をうずめ、舐める
「ひゃっ!?…もー、エッチだよねユーノくんは」
昨日体中を舐められた事を思い出す
私が匂いを嗅ぐのが好きなのに対して、彼は舐めるのが好きらしい
フェレットになってた頃の反動かもしれない、と本人は言っていたがあの楽しそうな表情を見る限り真性だと思う
うん、色んな所の匂い嗅いだ私の言える事じゃないけど
「うん、エッチで良いよー、エッチなりのやり方で愛させて貰うからー……って言いたいけど今日は辛いよね?」
そう言いながら私のお腹を撫でてくれる、ついでに耳の裏を舐める
「にゃっ…う、うん、まだちょっとじんじんして辛いかも、って耳舐めないでー!」
「ごちそうさま。…じゃー起きようか、ちょっと大切な事忘れてるなぁって思ってた所だし」
彼がお腹にやってた手で私の髪を一撫でしてから身体を起こす
それに促されるように私も起こす、ついでに身体を彼の見てるのと同じ方向に向ける
ベッドの上で裸の私達が寄り添い合う
「大切な事?」
上目遣いで彼の顔を見る
「うん…結構」
彼は気まずそうな顔で頬を指先で軽く掻く
「私とこうしてる時間よりも?」
「…あぁー、どうだろ、早くしないと大変かもしれないし」
「むぅ」
焦らせようと思って言った事を普通に返される
それに何やら酷い事を言われた
「レイジングハートー、ユーノくんが虐めるー」
傷心の私は自分の相棒に声をかけようとして
「…………」
無言のユーノくん
「………」
無言の私、嫌な汗がだらだら出てくる
「…気付いた?」
「わぁぁぁあああ!!ごめんねレイジングハート!!」
彼の質問に弾かれるように私は冷蔵庫へ向かう
とは言え身体が痛くて上手く走れないので競歩の様な感じだ
すると
「よいしょっと」
後ろから歩いて来てた彼に抱きあげられる
彼は少し私を責めるような目をしていた
「で、何であんな事したの?」
そして少し怒ってます、といった顔で聞く
可愛い
「…えっとね、レイジングハートが」
私は昨日レイジングハートに言われた事を全部話した

「あはは…もう食べられないデブゥは酷いね…」
「でしょー?」
話終わる頃には冷蔵庫の前に着いていて、私はユーノくんの腕から降りて冷凍庫を開ける
手に取ったレイジングハートはとてもひんやりしていて気持ち良かった
「…でもさ」
「ん?」
手の平で真っ青になっているレイジングハートを転がし温めていると声がかかった
振り向いた先に有ったのは照れ臭そうな優しい笑顔
そして
「本当に使おうね、子供たちと一緒に」
こんな事を言ってくれた
「………うんっ!!」
その言葉が嬉しくて、私は彼に飛び付いた
「ユーノくん、大好きだよっ!」




[40812] な掃隊 その後
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/19 04:33
おまけ

『裸』

「ユーノくん、キスマーク付け過ぎ!私明日プールあるんだよ!?」
「ごめんごめん、なのはが美味しすぎて」
「…もー、変態だよねユーノくんって」
「うん、なのはもね。何で僕が帰ってくる度に脱衣所か寝室に居るの?」


『彼女の変化』

「行くよレイジングハート!…って何これー!!」
展開した彼女のバリアジャケットとデバイス、それは以前と様変わりしていた
何が違うってまずデザインが違う、ふかふかモコモコしてなんとも暖かそうだ
しかもレイジングハートが今までと違い冷たく青い光を放っている。
「レ、レイジングハート!どうしたのこれ!」
<違います、マスター>
「え?」
<私の名前は…冷ジングハートです>
「…何も変わってないよ?」
<あの一晩で学習したのです、寒さに適応できる私、デビュー!>

その後、彼女はただの砲撃魔導師から、凍結魔法も利用できる砲撃魔導師となり、戦闘の幅が一気に広がったという



『髪の毛』

「あかん…何やってもこのシャンプーだけではユーノくんみたいな素敵ヘアーにならへん…」
「そうよね、やっぱり何か特別な…そういえばなのは、最近髪綺麗ね?」
「えへへー、実はユーノくんに洗って貰ってるんだよー♪ユーノくん昔から小さい子の世話とかしてたらしくてすっごく優しく洗ってくれるの!
 その手先はまさに絶妙としか言えなくて、指はすぐに痒いところを刺激してくれるし最高なの!でも、あんまり気持ち良すぎてすぐ眠くなっちゃってね?
 本当はお風呂からあがってからもその…色々したいんだけど出来なくて…あ、ドライヤーは無かったんじゃなくてね、洗面所備え付けなの!
 やってみたらすっごく爽快でー!」
「ストップ・そしてご馳走様」
「えー!!」
「…髪、洗って貰いたいなぁ」
「絶対駄目!」


『ある学校での一幕』


「ねぇなのは、ユーノとはどうなったの?」
「えへへー、順調だよー」
「匂いフェチは治ったん?」
「…………」
「なのは?」
「運動した後のタオルとか、良いよ」



『お守り』


「あれ?なのはちゃん、その袋何?」
「これ?えっとね、ユーノくんがくれたお守り!」
「あ、そうなんや、ずっと気になっとったんよ…効果の程は?」
「んー、効いてるんじゃないかな、私大きな怪我もないし…毛を持ってるのに怪我ないって言うのも変な話だよね。良い事だけど」
「「???」」



『チョコ・ウエハース』

「当商品が馬鹿みたいに苦いのも乾巧ってヤツの仕業なんだ…?」
「味も何もかも…振りきるぜっ!!…腹痛がお前の、ゴールだ」(パクッ)
「商品として駄目じゃないかな…ってもう食べたの?」
「私に質問するな!!」



『すとらいかーず』

「あの人が、伝説の芳香剤、ユーノ先生!ちょっと行ってくるねティア!」
「ちょっスバル!?」
「あれ君どうしたのってうわぁっ!?」
「すー…はー…これがなのはさんを虜にしたという…人呼んでユーノフレグランス」
「(…何でいきなり押し倒されて匂い嗅がれてるんだろう)ってなのは!?」
「…スバル、本気で頭冷やそうか」
<一晩氷漬けになってれば、貴女もアイスバルとして生まれ変われますよ>



『その後』


「ヴィヴィオ、冷蔵庫から白菜だして」
「はーい!」
なのはママに言われて大きな冷蔵庫の野菜室を開ける
「ねぇなのはママ?本当にこの冷蔵庫大きいね」
「ふふっ、そうだね」
私の言葉になのはママは楽しそうに笑った
「…?でもどうして一人暮らしなのにユーノパパはこんな大きい冷蔵庫使ってたの?」
「きっとね、いつかこうやって必要になる時の為に買ったの。ヴィヴィオも、この子も、皆で幸せになる時の為に」
ママは大きくなってきたお腹を撫でる、その顔はとても優しい
「そっか、せんけーのめいが有ったんだねー。はい白菜」
「ありがと、何処でそんな難しい言葉覚えたの?」
「ユーノパパの部屋の本で読んだ」
と、言ってからしまったと思った
見る見るうちにママの顔が般若に近づいていく
「ヴィヴィオ、勝手にユーノくんの部屋入ったら駄目って言ったよね?」
「うぅー、だって一杯面白い本あるんだもん」
「それでもだ―め、無断で人のお部屋に入っちゃいけません、ていていっ」
ピシピシッと頭を軽く二回はたかれた
「むぅー。ママだってパパが発掘でずっと居ない時はお部屋入ってクンクンしてるのに、ずるいよ」
「な、なんでそれを!?」
何でと言われても、帰ってくる度親の悩ましい声を聞かせられる身にもなって欲しい
はやてさんが言うにはかれこれ10年程このテンションらしいので心底凄いと思う
「あ、あれはね、お掃除してる私の役得…じゃなくて、労働に支払われる正当な対価というか」
「だったらヴィヴィオがパパの部屋掃除するー」
「それは駄目、絶対駄目」
なのはママは意地悪だ
こうなったら意地でも

「ただいまー」
と、意気込んだ所でパパが帰って来た
「おかえりー」
扉の向こうの玄関に声をかけてなのはママの方を見るともう居なかった、私の後ろでドアの閉まる音
「お帰りユーノくーん!」
嬉しそうなママの声、きっと今頃首筋に顔をうずめてくんくんしてるに違いない、日課だし
パパは良い匂いだけど私じゃさすがにあそこまでやろうとは思わない
きっとなのはママ用の誘引物質が出てるんだと元機動六課、現なのは・スクライアを眺める会では注目されている
「…ふぅ」
ママの代わりに料理を進める、今日のご飯は白菜と椎茸と鶏肉の和風スパゲティだ

「ただいま、ヴィヴィオ」
私の頭をやっと玄関から出て来たパパが撫でる、上着は手に持って、服は肌蹴そうになっている
「お帰り、お疲れ様」
「あはは…」
笑ってふらふらと寝室に向かう、着替えるのだろう
「ふぅー、元気でたの!どんどんお料理するよー!サラダも追加しちゃおう」
そして玄関から凄くテンションの高くなったママが入ってくる、首筋にキスマーク
楽しそうに冷蔵庫を開けて次々と食材を取り出す
「れれれ冷蔵庫ー、君の中には夢が一杯ー、お野菜お肉にお魚にー、お酒も入って素敵なのー♪」
しかも妙な歌を歌いながらだ

「ん?楽しそうだね、ヴィヴィオ」
材料を取り出し終わったママが私に笑いかける
気付けば頬が緩んでいた
「うんっ、すっごく楽しい!」
素直な気持ちをママに伝える

ちょっとおかしなママだけど、ちょっとエッチなパパだけど
そんな二人の娘だから、私はとても幸せなのだ





『その後のその後』


「ねえ、ユーノくん。この子の名前考えてくれた?」
すっかり大きくなったお腹を撫でながらベッドに座った彼女が聞いてくる
「うーん、どうにか性別ごと30個までには絞れたんだけどね」
正直に答える、何せ名前というのは大切なものなのだ、じっくり考えてあげたい
10個まで絞れたらなのはと話し合って決める心算でいる
極力僕に決めて欲しい、と彼女が言っていたから
「もー、早くしてあげてね?産まれて来たのに呼んであげられないなんて事になったら嫌だよ?お父さん」
「解ってるよ、お母さん」
呼んでいた本を閉じ、スタンドの電気を消して彼女の横に座る
彼女はすぐに僕の方に寄り添い、匂いを嗅ぎ始めた
「…ふふっ」
「どうしたの?なのは」
「この子が生まれて来て私がこんな事してたら、この子も真似しちゃうかな?」
「あー…」
僕は少し考える
「ヴィヴィオは大丈夫だったし、多分大丈夫じゃないかな?」
「そっか…なら安心かな」
彼女はそのまま目を瞑る
くんくんと鳴らしていた鼻がすぅ…すぅ…とペースを落としていく
「安心?」
彼女の髪を撫でながら聞いてみる
「うん…だって、取られちゃうの嫌だから…」
彼女は眠たそうな声でそう言った
本当、幾つになっても甘えん坊で、可愛くてしょうがない
「…大丈夫だよ」
僕は強い声で言い返す、少し身体を離しながら
「んっ…何で離れるの?」
「だってこうしないと」
キスが出来ない、という前に口付ける
「ん……」
「『君から僕を奪える人なんて、絶対居ないから』」
口付たまま念話で話す
「ん…♪」
安心したような声を塞がれたままであげてなのはの身体から力が抜けた
眠ってしまったようだ
「ぷはっ…寝付きが良いのは相変わらずだなぁ」
笑いながら彼女に掛け布団をかけて、腕枕をする
「お休み、なのは」
僕も目を瞑って身体を弛緩させる
明日もきっと色々有るけれど、彼女の為、ヴィヴィオの為、お腹の中の子供の為にも、頑張ろう
僕が汗をかけば、それだけなのはも喜ぶんだから



[40812] な掃隊について
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/19 04:40
思い付きとテンションって怖いですよね…当時40分でこれ書けたのに今や…
とりあえず「ユーノ君」より「ユーノくん」の方が1.2倍は呼び方として可愛いという私信に則ってみた作品です。
続きも書こうかと思いますがこの二人の子供のハイブリッド変態スキルがちょっと怖くて無理



[40812] 君の罪、二人の罪
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/19 04:41
side Y

ここは、黒一色の街だった
黒い壁、黒い床、黒い衣服に身を包む人たち
身を隠すには絶好の場所

今日も僕は、彼女達の待つ家に帰る

指名手配犯、高町なのは、それとその娘、高町ヴィヴィオの待つ家に

「なのはー、ヴィヴィオー、ただいまー。ケーキ買って来たよー、餡子どっさり乗ってる奴」
「お帰りなさいユーノくん、私にする?ヴィヴィオにする?そ・れ・と・も」
「お風呂沸いてるかなヴィヴィオ?」
「うんっ!一緒に入ろー?」
「あはは、そうだね、偶には良いかも」
玄関でくねくねしてるなのはを無視してヴィヴィオに手を引かれリビングへ
「なのは、君も一緒に入る?」
「うんっ!!」
とりあえず振り向いてフォローしてみると飛び付いてきた
慣れない街で不安だったのかもしれない、気付かなかった自分を恥じて彼女の髪をわしわしと撫でてやる
「ん~」
気持ち良さそうに目を細めてなのはは僕に身体を預ける
「ヴィヴィオ、お風呂の用意頼めるかな?3人分」
「了解!」
だだだーっと走って行くヴィヴィオを見てからなのはを抱き上げてソファーに向かう
なのはは僕の首に腕を絡めてのんびりお姫様気分の様だ

ソファーになのはを座らせて今日調べた事を話す
これは世界を飛ぶ度に繰り返している事
いざとなったらフェレットになって逃げられる僕が街の事を調査する
調べる事は街の人口・世界の地理・管理局側の動向・就けそうな職・流行している特殊な病等など
この間はなのはも真剣な顔をして聞いてくれる
そしていつも
「いつもごめんね、ユーノ君」
と、切なそうな顔で報告の時間を締めくくるのだ

僕達がこの生活を初めて、もう4ヶ月程になるだろうか
事の発端は、なのはの上官の死亡事故だった
なのははその罪を押し付けられて、僕の所に逃げ込んできた
あの時のなのはの必死な顔は今でも忘れられない
「私が犯罪者として捕まったらヴィヴィオもどうなるか」
そして彼女は顔を涙で歪めて僕に言って来た、助けてと
僕は二つ返事で了承して口座から全額引き落としヴィヴィオを迎えに行って旅に出た

管理局からはフェイト・はやて・他エース多数が僕達の捜索に駆り出されているらしい
理由はなのはの事件も有るのだけど、ヴィヴィオと僕という存在のせいも大きい
ヴィヴィオはJS事件で利用された聖王だし
僕は情報部である無限書庫のトップだったのだから当然と言えば当然だ
僕達は誰にも助けを請わず、逃げ続け、旅を続けている

「お風呂の準備できたよー!」
なのはの謝罪の言葉に対して抱きしめる事で答えていた僕達にヴィヴィオの声がかかる
とりあえず今日は汗を流してゆっくり寝よう

一つ、なのはに言わなければいけない事も有るし


side N

ここは、黒一色の街だった
黒い壁、黒い床、黒い衣服に身を包む人たち
身を隠すには絶好の場所
私の罪を、私の心を表すかのような、真っ黒い場所

今日も私は、外を見ながら彼の帰りを待つ

私とヴィヴィオを護ってくれる、大好きなあの人、ユーノ・スクライアを

「なのはー、ヴィヴィオー、ただいまー。ケーキ買って来たよー、餡子どっさり乗ってる奴」
彼が帰って来た、私はいつもの様に急いで迎えに行く、ケーキ♪ケーキ♪…餡子?ケー……キ……?
「お帰りなさいユーノくん、私にする?ヴィヴィオにする?そ・れ・と・も」
少し恥ずかしい台詞をくねくねしながら言ってみる、彼は笑ってくれるだろうか
この逃亡生活、彼は悩み続けているのか、あまり笑ってくれない
「お風呂沸いてるかなヴィヴィオ?」
「うんっ!一緒に入ろー?」
「あはは、そうだね、偶には良いかも」
そして何時も笑わすのはヴィヴィオなのだ、今日のは突っ込み待ちのネタだったのに最後まで聞いてくれなかった。酷い
玄関でくねくねしてる私を無視してヴィヴィオに手を引かれリビングへ行こうとする
ふと、彼が遠くに行ってしまう気がして、凄く怖くなった
「なのは、君も一緒に入る?」
しかし、彼の次の一言でそれは吹っ飛んだ
笑顔で、私の名前を呼んで、手を伸ばしてくれる
「うんっ!!」
思わず私は抱きついて居た
彼の胸に頬や髪をこすりつけ自分の匂いを付ける
とりあえず振り向いてフォローしてみると飛び付いてきた
「ん~」
髪を撫でる彼の手が気持ちよくて、思わず猫の様な声を上げてしまう、でもやめられない
「ヴィヴィオ、お風呂の用意頼めるかな?3人分」
「了解!」
ぼーっとしながら彼とヴィヴィオの会話を聞いているとふわっと身体が持ち上げられた
彼の顔が近付く、私は彼の首に手を回してキスする瞬間を伺う
しかし彼は下を向く事無くソファーへと歩きだしてしまった

彼の隣に座って調べて来てくれた事を聞く
何時管理局に見つかるか解らない状況で、彼は率先して動いてくれる
とても頼もしい、でも申し訳ない
だから私は
「いつもごめんね、ユーノくん」
と言って、報告会を締める
そしてそんな私を彼は優しく抱きしめてくれる

私は、彼に言っていない事が有る
私の上官の死は、事故ではなく、実際に私が起こした物だという事
その上官は、前々から私と関係を持とうとしていた
ある事無い事脅して、私を従えようとしていた
しかしあの日、友達を犯罪者の集まりと罵られ
私の中の何かが切れてしまった
思わず突き出した腕はその男をよろけさせ、転んで机で頭を打って死んでしまった
私はそこから逃げ出した
自分のした事が罪だと解っていても


ユーノくんの長い金髪に指を絡め遊ぶ
彼は腕の上に有る私の顔を見て微笑んでいる
騙されている事も知らずに、何処までも優しく
撫で撫でして欲しいけど、逆の腕はヴィヴィオの枕になっているから諦める
「…ねぇ、なのは」
彼が真剣な顔で私に何かを話そうとする
「何?」
私は覚悟した、彼の眼は、何かを知ってしまった目だったから
しかし
「……君が何を隠していても、僕は君を護るよ」
彼の言葉は、私の予想とは全然違う物で
「え?」
私は思わず聞き返そうとした
「…お休み」
しかし彼は何も言わずに目を瞑り
「ちょっユーんんっ!?」
何かを言おうとした私は抱き寄せられて唇を唇で塞がれる
酸素が無くなって行く苦しさの中で、私の眼から涙がこぼれた
それはきっと、喜びの涙だった




side ****

僕の名前は****、高町なのは、ユーノ・スクライアの捕縛を命じられた者だ
今日街中で、対象の一人を見つけた
黒い衣服に身を包んでいるが、リンカーコアの魔力パターンを見ればそれが本人だと解る
僕がこの任務に当てられたのはこの能力のおかげだ

僕は一つの案を思いついた
上の人間が言うには、彼は高町なのはに騙され利用されているらしい
ならば事情を話せば協力して貰えるのではないか、そう思った

「ユーノ・スクライアさんですね?」
路地裏に入っていく彼の後を追い、行き止まりに着いた所で話しかける
「…管理局か」
彼の言葉は冷たい、完全な拒絶だった
「貴方に知って頂きたい事が有ります」
だけど僕は恐れない、何せ僕は正義なのだ
僕の今から言う事を聞けば、きっと彼も僕に力を貸してくれる

数分後、僕の話を聞いた彼は酷く悩んでいたようだった
信じたくない様だったが、僕の出したデータはそれを全て裏付ける事が出来る
高町なのはの殺人の証拠
「そう、貴方は騙されていたんですよ」
頭を抑えて悩む彼に告げる、残酷な真実を
「…今、この世界に居る管理局員は君だけかい?」
しかし、泣くでもなく、彼は僕に質問をしてきた
凄い人だ、こんな状況でこちらの情報を聞いて、協力体制を整えようとするなんて
「はい!何せこの世界は辺境にも程が有る為、自分以外誰も来ない予定でした!」
「そっか、報告はまだなんだったね?」
冷たい目で彼が呟く
次の瞬間、僕の首には鎖が巻き付いていた
「…えっ?」
「都合良く改変された真実なのか、これが本当の真実なのか解らないけどさ、僕はなのはを護らせて貰うよ」
「な、んで」
「仮にこれが真実でも、それをするに足る理由が有ったんだと僕は信じる。何時か話してくれる事もね」
次の瞬間、僕の首はきゅっとしまり、僕は意識を失う
最後に僕の眼に映ったのは
「…これで、僕も殺人犯だ」
妙にうれしそうな顔の、彼の姿だった




お・ま・け(はぁと)

「お帰りなさいユーノくん、私にする?ヴィヴィオにする?そ・れ・と・も」

→なのは

「今日はなのはな気分かな」
「…えっ?」
「どうしたの?誘っといてそれは無いんじゃないかな」
「ユーノくん、駄目、ヴィヴィオが見てる…」
「じゃあお風呂に行こうか…たっぷりご馳走になるよ、なのは」
「…お行儀よく、お願いします」

→ヴィヴィオ


「んー、偶にはヴィヴィオで」
「ユーノくん、ヴィヴィオと何するつもりかな?」(ガシャン)
「君が言ったんでしょ!?」
「冗談に決まってるのー!!ユーノくんの幼児愛者ー!ポニテー!私の嫁-!」(ズドドドドドド)
「ごめんなさーい!!って嫁ぇえええええ!?」

「…ヴィヴィオは何時でもいいよ、ユーノくん…」




[40812] 逃亡者と追跡者(R-15)
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2015/01/11 20:09



※これはなのはとユーノのssですが正直なのはさんが酷い事になってます
 そういうのがOKな方だけ読んで下さい






ある日の夜の事でした
アホ毛とポ二テが素敵な男性、ユーノ・スクライアが、就寝前にと読みだした本を読み終えました頃
親友の一人娘からテレフォンが来ました
その内容は「なのはママが顔真っ赤にして倒れちゃった!助けてユーノくん!!」との事
滅茶苦茶にテンパッているようで救急車を呼ぶようにと諭してみてもなのはママなのはママと泣くばかり
これは拙いと転移魔法(禁止?非常事態だ見逃せ!)で御自宅に向かってみるとあら大変、玄関で本当に倒れていました
しかし顔は幸せそうなので不思議に思ったユーノ君
彼女の口に顔を近づけて呼吸を確認しますと
「……酒臭っ」
一言言って離れてしまいました
そう、彼女は見事に酔い潰れていたのです
「ユーノくん、なのはママ大丈夫?」
と目を泣き腫らした娘に問われ
「大丈夫だよ、少し楽し過ぎたんだね。……まぁ、これはお説教かな。出来る自信ないけど」
と、少し怖い顔で返し、お姫様だっこの形に彼女(この場合、玄関で酔い潰れている方を指す)を抱き上げて寝室へ運びます

さて、この様な形で始まった今回のお話
微妙な話になる気もしますが、どうぞお楽しみください


『逃げた自分と、追ってた彼女』


「…ん、これで大丈夫」
なのはをベッドに寝かせてほっと一息
全く良い顔で眠ってくれている
「凄く心配したんだよ?」
彼女の頬を少し強めに引っ張るとむずがゆそうな顔をした
くっ、この程度じゃダメージにすらなりやしない
「ユーノくん…」
と、寝室のドアに立っていたヴィヴィオが不安そうにこちらを見上げる
とりあえず髪を撫でて、なのははもう大丈夫だという事を伝えた
「一人で寝れるかな?」
「えー」
「うん、じゃあ寝るまで一緒に居るよ」
そのまま手を繋いで別室に
なのはの横は酒臭いから子供には良くないのだ。たとえヴィヴィオが良いと言っても駄目なのだ


――1時間後
ヴィヴィオが寝付いたのを見計らってリビングに戻ると、寝室のドアが開く音がした
「あれー?ユーノくんどうしたの?」
少しふらふらとしたなのはだった

 ごまかす
→正直に言う
 抱きしめる

「選択肢要らないと思うけど、やましいことしてる訳でも無し」
一番下は漏れなく死ぬ、以前クロノに酒飲まされてやってしまった時にそのままスープレックス喰らったから解る
「???」
「あ、ごめん、こっちの話。えーとね、君が酔い潰れてたのを見たヴィヴィオが心配して電話かけて来てこうなった。以上」
「え?あ、あー。にゃ、にゃはは、ごめんねユーノくん」
まったくだ、こっちがどれだけ心配したと
「…ひょっとして、本気で怒っちゃってる、かな?」
不安そうになのはが聞いてくる、気付かず怖い顔してたらしい
「いや、別になのはの楽しみに口を挟むつもりはないよ。ただ親をやってるんだから気を付けてあげて欲しい、かな」
親の居ない僕が言うのもなんだけどね(笑)
「重い、重いよユーノくん。その発言(笑)でごまかせないよ」
「心読まない、でもね、そんな僕が思うくらい今日のなのはは駄目だったって事、ヴィヴィオなんて左目真っ赤になってたんだから」
「うん…うん?」
「まぁ解ってるだろうからもうこれ以上は言わない。…さてと、僕はもう帰るよ、気付けば日付変わってるし」
と言って玄関に向かおうとするとなのはに服の裾を摘ままれた
なんだろうと思って振り向くと必殺の上目遣い、酒のせいか頬もまだ少し赤い
そんな顔で
「少し、お話したいな」
なんでぼそっと言われれば流されるしかないでしょう!?




『ちな☆みに』
別にちなちゃんとかみにちゃんとか言うオリキャラが出る訳でもなく何故なのはが倒れたかの話
三日前
「今度久し振りに揃って2連休暇やー!すずかちゃんとアリサちゃんもお休みやってー!地球でお酒飲み行こう!」
「ユーノくんも誘って良い?」
「んー、流石に酔っ払ってもうたらユーノくん『に』何するか解らんよ?」
「やめとく」
             ↓
飲み会当日
「乾杯ー!いやー久し振りよねみんなで集まるの」
「そうだね、みんなそれぞれ忙しいから」
「(…なのは、ヴィヴィオは良かったの?)」
「(うん、私はあんまり飲まないつもり、それにあの子も一人で結構頑張れるから)」
「(そっか)」
「(うん、あ、でも寂しかったらユーノくん呼んじゃったりして…って)あれ?」
「んー?あにひゅたりであいほんたくほなんへしへんのよー?ひょれよりもっほのみなひゃい」(んー?何二人でアイコンタクトなんて以下略
「「あっという間に出来上がってらっしゃる――――!?」」
「アリサちゃんお酒弱いから」
「止めようよ!?というかはやては!?」
「店長さん、この天ぷら、中々の腕前で」
「当然だ…ふん、見事な骨の取り具合、それに箸捌き、君こそ中々の腕前」
「若輩者なれど、食べ物への感謝の心は一人前と思うております」
「ふん…気に入った、ウチに来て娘をファックしていい」
「戯れなれば、乳だけで」
「なんか言ってるー!?というかこの店長おかしいよ!?」
「冗談に決まってるだろう」
「この娘純粋なんですよー」
「ぐぬぬ…」
「ところで良いのか、相方酷い事になってるぞ」
「…へ?」
「ありさひゃん、すひょっふ、ひゃめひゃっては、ほっぺ、ほっふぇがにょびひゃう」(アリサちゃん、ストップ、駄目だってば、ほっぺ、ほっぺが以下略
「あいかわりゃずよくのびりゅひょっぺだことー」(あいかわらずよくのびるほっぺ以下略
「なのはー!?」

この後、フェイトがアリサを引きはがし二人で飲み始め、なのははすずかと思い出話に花を咲かせた
しばらくするとまたアリサが暴走しなのはに飲ませ始めたのですずかがアリサを昏倒させて連れ帰り、フェイトもなんだかんだで酔っ払いハラオウン家に
気付いたら始まってたはやてと店長の料理談義が終わりそうにない為放置し、なのはは一人自宅に戻ってきたのだ
しかしなのはも相当酔いが回っておりドアをくぐった所で「ただい…ギブアップ」
となったのである、合掌



―――場所は戻ってなのはの家

「うん、なのはが凄く大変だったって事は解った」
「ありがと…うぅーまだ何だかほっぺた変な感じがするよー」
…それは僕が引っ張ったせいなんだろうけど黙っておこう、ごめんアリサ
今はなのはの部屋のベッドの上に二人並んで座っている、眠気は無いのかなのはは凄く楽しそうに話してくれた
結果は酔っ払ってダウンだったけどやっぱり楽しかったんだろう
「もー、ちゃんと聞いてるー?」
「聞いてる聞いてる」
なのはを見て呆けていたのがばれていたらしい
「じゃあ私が言ってた事言ってみて」
「え、えーと」
「…もう」
なのはは頬を膨らませてそっぽ向いてしまった
仕草が子供っぽくなってる気がするのはやはりまだ酔いが残ってるからなんだろうか
「ごめん、今度はちゃんと聞くからさ」
立ちあがってなのはの顔が向いてる所に座りなおして謝る
「…本当?」
「うん」
「あのね、やっぱりユーノくんとも一緒にお酒飲みたかったなぁって」
頬を更に赤く染めたなのはが照れたように話す
「あー、そういえば一緒に飲んだ事無かったっけ」
「そうだよー、フェイトちゃんとは飲んだんだよね?」
むーとした顔で睨みつけてくる、はて、僕は地雷を踏んだんだろうか
「クロノも居たけどね」
「それでもだよ」
怖い、なんか空気が怖い
どう返答しようか迷ってる内に
「ん、決めた。今から飲もう」
なのはがこんな事を言い出した
「へ?」
いやいやいや、と止める間もなくなのはに肩を押さえられて目をじっと見つめられる
「ユーノくん明日休みでしょ?休みだよね、休もう!」
「休みだよ」
うん、本当は論文とかあったけど、無理
だって
「うん、良かった」
こんな楽しそうななのはに、僕が勝てる訳無いんだから


―――2時間後

僕となのははベッドでもつれ合っていた
別に色っぽいシーンじゃない、組み敷かれているだけだ
具体的に言うと僕はうつ伏せでなのはは僕の背中に乗り右腕を捻って持ち上げ左腕を左足で挟みこんでいる
「ねえ、ユーノくん」
冷え切ったなのはの声、ちなみに上はブラだけになっている
「は、はい」
その下の僕の情けない声
「私ってそんなに魅力ないかな?」
「い、いや凄く魅力的だよ!」
「ふーん」
事の起こりはこうだ、お酒を呑み始めて色々楽しく話していると急になのはがもじもじしはじめた
何か有ったのかと思っていると急に服を脱ぎだして押し倒されて
流石に理性に負けそうだったので「駄目だ!」と言って押し返した後気付いたらこうなっていた、これは男としてどうなんだろう
どうしようかと悩んでいると、突然頭に水滴が落ちて来た
「…なのは?」
首だけを上に向かせると、なのはが泣いていた
少し泣いた後になのははゆっくりと口を開いた
「だったら、なんで何にもしてくれないの?」
…聞いてしまった、絶対に聞きたくなかった言葉を
それでも、それを聞いても
「今のなのはとやったら、絶対に後悔するから」
結局僕はこうやって逃げる。嫌だから、どんな形であれ、例えなのはが望んだとしても、なのはの身体を傷つけるのは
なのはの事故の後、傷付いたなのはを見てから僕は家で吐いた
なのはの傷その物のせいじゃない、僕が巻き込んで彼女がこうなってしまったという罪悪感で、だ
あの日から僕は、なのはから逃げ続けた。自分がもうあんな思いをしない為に
欲しいという気持ちに蓋をして、ぬるい関係で居続けた
「嘘だよ」
でも、どうやら僕の逃げはとっくにばれてしまっていたらしい
「嘘じゃないよ」
言い繕ってみても、これが無駄だという事は解ってる
「だって今日だけじゃないもん、ユーノくんが私に反応してくれなかったの」
予想通り、なのはははっきりとこう言い放ってくれた
「……」
僕は答えられない
「証拠も、見せようか?」
しかしなのはは攻め立てる
「まずはこの時」
と、いきなりレイジングハートをいじったかと思うと空中に映像が
「これは確かなのはのリハビリが終わって初めて出かけた時の」
「うん」
画面には僕の上にまたがるなのは
「この時私はまだ本調子じゃないので転んだと言いましたが実は本調子でした」
「えー!?」
「まぁまぁ、次にこの時」
「えーと、あ、無限書庫になのはが仕事手伝いに来た時の」
「わざわざ新しく買った大人っぽいパンツをちら見せしてたのにユーノくんは注意すらしませんでした」
「うん、気付いてた…気付いてたけどね確かに」
昔やってたように他の人間の視界から身体使ってなのはのパンツ隠すのに精一杯だった
「次にこれ」
「あー、一緒にお化け屋敷に行った時の、そういえばなのはやたら腕組んできたような」
「実はノーブラでした」
「はぁ!?…いや、確かにそういえば」
「うん、BJの要領で作ってたのをお化け屋敷の中でだけ解除してたの、でも気付いてたでしょ?」
「……そりゃ、ね」
言えるか

更にその後もなのはからの追及は続き
自然と僕は土下座していた
「このときも!」
増えて行くモニター
「このときも!」
情けない僕
「このときも!」
怒るなのは
「このときも!!」
モニターが9個になった時にふと思った
うん、ロックマン9の最後だこれ
つまりそろそろEDに
「ならないからね」
「…はい」

「別にね、ユーノくんの事責めてるんじゃないの。でも…いい加減はっきり振って欲しいなぁって」
全ての映像を消して、なのははこっちを向かずに話す
「……」
僕は何も言えない
「辛くないって言ったらウソになるけど、言っちゃった以上、このままの方が辛いんだ」
なのはの身体が震えてるのが目に見えて解る
「なのは」
僕は嫌になった
「うん」
今までのなのはとの時間が
「ごめん」
だから謝った
「…………うん」
なのはを辛くしない為に
「今まで、ごめん」
なのはだけを辛くさせない為に
「…え?ってきゃあっ!?」
なのはの腕を掴んでこっちを向かせて抱き寄せる
「好きだよ、ずっと前から。」
そして目を白黒させているなのはを見つめてしっかりと告げた
「ホントに?」
「うん」
「だったら何で」
「怖かったから、なのはを傷つけるのが」
「意味、解んないよぅ」
僕の胸に顔を寄せてなのはが涙を拭く、ぐりぐりと甘えるように
「解らなくても良いよ、僕が馬鹿だっただけだから」
そんななのはをしっかりと抱きしめる
しばらくそうした後、なのはが改めて僕を見た
もう涙はすっかり消えて、でも潤んだままの目で恥ずかしそうに口を開いて
そして
「私に、傷を付けてくれますか?」
こう言った
僕は答える
「…僕で良ければ。って痛い!?何で抓るのさ!」
「なんとなく」
少しむくれている、成程、言い方が拙かったらしい
しかし全く言葉が思い浮かばない、だって頭ふわふわしてるし、お酒と恥ずかしさで
だから
「…言葉が思い浮かばないから、態度で示すよ」
押し倒してみる事にした
「……ずるい」
言葉でそう言いながらも笑顔のなのはに口付ける
長い夜が始まった






――エロ展開とか書けないので朝ー

朝になった
僕のリリカル棒をなのはのリリカルな所に突っ込んでリリカルな事をしていたせいか凄く身体が疲れている
なのはにリリカル液を何回出したのかすら覚えていないから、相当ヒートアップした状態で寝たんじゃないだろうか
「んー…んぅ?」
僕の腕の上で寝ていた裸のなのはが目を覚ます
目をぱちくり
「え…?あ、夢じゃなくて、ホントに?本当にユーノくん!?」
そんな事を言いながら頬っぺたを引っ張る、僕の
「痛い痛い、夢でも無くて魔法でも無くて生ユーノだよ!」
「夢じゃ、無かったんだ」
「君が僕の夢の中のなのはじゃ無ければ」
そういってお返しになのはの頬っぺたを引っ張る
「私も生なのはだってば!」
「うん、それなら夢じゃない。僕が君を好きって言った事も、それからの事も全部夢じゃない」
腕の中に居るなのはを抱きしめる
なのはも僕に抱きついてきた
「みんなに、報告しないと」
なのはが言う
「そうだね、最初は誰かな」
僕が言う
「ヴィヴィオが良いと思うな」
ヴィヴィオが言う
「うん、ちゃんとヴィヴィオに説明しないと………」
そこまで言った後、なのはの眼が僕の後ろをガン見して止まる
僕も恐る恐る振り向くと、そこには
「おはよう、なのはママ。おはよう、ユーノ『パパ』!」
満面の笑みを浮かべたヴィヴィオが居た

本当、大変なのはこれからの方らしい
でも今は現実逃避したい
「なのは、これは夢って事にしないかな?」
「うん、賛成」
「あー!駄目だよ二人とも!娘としてきちんと…『お話聞かせて?』リビングで待ってるねー!」
この娘怖い…!!
とりあえず聖王からは逃げられないようだ
「「はい…」」

ヴィヴィオが部屋から出た後、僕となのはは、顔を見合せて笑った
「パパ」
「何、ママ?」
「幸せにしてね?娘も私も」
「解ったよ、もう逃げない、なのはからも、自分からも」
なのはの額に口付る、すぐになのはの唇が頬に当たった
「やっと叶った、私の初恋。もう逃がさないからね」
お互いそこまで言って気恥ずかしくなる
「二人ともまだ―!?」
御立腹なお姫様の声で弾かれるようにベッドを出て服を着る
さて、どう説明しようか
そしてどのタイミングでお風呂に入ろうか
そんな他愛のない事を考えながら、一足先にリビングに向かった










お・ま・け



→ごまかす
 正直に言う
 抱きしめる

「実は、ジュエルシードの反応がまた…」
「本当!?急がないと、行こうユーノくん!」
魔法少女リリカルなのはⅡに御期待下さい


→ごまかす
 正直に言う
 抱きしめる

「ヴィヴィオ可愛いよはぁはぁ」
「頭冷やしても足りないよね?」
ユーノ・スクライア先生の次回作に御期待下さい



 ごまかす
 正直に言う
→抱きしめる


「なのはっ!」
「ゆ、ユーノくん!」
「…あれ?今日はスープレックス無し?」
「だって、腕ごと抱きしめられたら後ろに回れない…じゃなくて二人きりだから」
「なのは…」
「ユーノくん…」

以下略







おまけⅡ

「と、言う訳でヴィヴィオがユーノくんをお家に呼んだ次の朝に、ユーノくんはユーノパパになったの」
「へー、つか姉ちゃん」
「なあに勇波」
「リリカルリリカル言ってるとこって何書いてあんの?」
「子供は知っちゃ駄目」
「んだよーまた子供扱いかよー。良いよ父さんに聞くから」
「駄目」
「なんで」
「今そのリリカルな事の真っ最中だから駄目」
「調度良いじゃん」
「絶対駄目」
「だからなんで!」
「私ね、妹も欲しいんだ」
「…意味わかんねー」



[40812] 結婚前の話
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2014/12/20 00:14



小さい頃友達になってから、ずっと側でなのはを見ていた
「なのは、いよいよだね」
「うん…やっぱり少し緊張しちゃうなぁ」
「それはそうだよ…ちょっと羨ましいかな、やっぱり」
「……私も、本当にこんな風になれるなんて思って無かった」

これからはその役目は私からまた彼に戻る
「んー、ずっと見てた私達からすれば遅いくらいなんだけどね」
「それはやてちゃんにも、ヴィータちゃんにもヴィヴィオにまで言われちゃった」

少し寂しいけどそれ以上に嬉しいと思える
「うん、てっきり付き合ってると思ってたからね私達、何だかんだで皆に隠して」
「隠さないよぉ、大体その、気持ちを自覚したのもつい最近だったりするし…」
「あ、聞いて無かったんだけど結局どっちから告白したの?」
「え、えーと、言ったのはユーノくんからなんだけど」
「うん」
「先にお酒に負けて押し倒したのが私です」

思わず顔を背けて笑いだしてしまった
「わ、笑わないでよぉ。あ、それとこんな話するのフェイトちゃんにだけなんだからね!?誰にも言っちゃやだよ?」
「う、うん、解ってる。…で、でも押し倒すって…さすがなのはだね」
笑いを堪えるのに必死で上手く話せない
何せ本人が気付かないでも周りは知っていたのだ、なのはがずっとユーノを見てた事に
何年前からか会うたびに頬を赤らめるようになって、その変化に驚いた
しかしそれ以上の進展は無くてやきもきしていたのだがまさかこんな形で解決するとは

「あー、結婚式前に良い話聞いちゃったー。」
「うぅ、結婚式前に弱み握られちゃった…」
思わず声をそろえてこんな事を言ってしまい顔を合せて笑う

「でもフェイトちゃん、私達が結婚したからって遊びに来なくなったりしちゃ駄目だからね?」
「新婚夫婦の愛の巣に一人で遊びに来るのって結構寂しいと思うんだけど」
「だーめ、フェイトちゃんも一人だと無茶しがちなんだから偶には顔見せに来なさい。それにヴィヴィオのママなんだから」
「はーい」
「よろしい」
そろそろ良い時間だし彼も来る頃だろう
そう思い立ち上がる
「帰るの?」
「うん、やっぱりユーノが来たら当てられちゃいそうだからね」
「もー、だから人前でそんなにイチャイチャしないってば」
「ふーん、人前じゃなきゃしてるんだ」
「うー、フェイトちゃんが意地悪だよー」
思わずテーブルにうなだれるなのはを見てから部屋を出る
「じゃあ、今度会う時は結婚式だね」
「うん、ちゃんと来てね?」
「当り前じゃない、スピーチ楽しみにしてて」
そう言って手をひらひら振って家を出た

家の外にはユーノが立っていた
どうやら私が帰るのを待ってくれて居たみたいだ
それが優しさなのか単に女性二人の間に入る勇気が無かったのかどっちなのかは分からないけど
「久し振り、フェイト」
「うん、久し振りだね」
「なのはまだ起きてる?」
「…んー、ちょっといじめちゃったから早くしないとふて寝しちゃうかもしれない」
「一体何したのさ…」
「まあ女同士の話と言うか、ねぇ、早くしないとって言っといて何だけどちょっと時間良いかな?」
「うん、大丈夫だよ」

二人で少し歩いて近くの公園に行く
「そういえばユーノと二人きりってあんまり無かったかもね」
「そうかもしれない、大抵はなのはかアルフが居たから」
「…なのはに誤解されちゃうかな?」
「だ、大丈夫だと思いたいかな」
「やっぱり怖いんだ」
「そりゃね、嫌われるのも傷つけるのも嫌だし」
「うん、同感」
「それで、何か話があるんでしょ?」

むぅ、そんなに話を急がなくてもいいと思う
と思った物のつい笑みが浮かぶ
「なのはの事心配なんだ」
「まぁ、うん、恥ずかしながら」
「うんうん、良い事良い事」
「……ひょっとしてなのはもこんな感じでいじめた?」
「そこに気付くとは…」
「はいはい」
「ノリが悪いよユーノ」
「疲れてるんだよ、ちょっとした通り魔にも会ったし」
「通り魔?」

物騒な単語に思わず顔を顰める、見た所怪我はなさそうだが確かに髪が乱れている
こう見えて人前で話す事が多いユーノは普段から身だしなみには気を使っているとアルフに聞いて居た
「ほらなのはの部下のスバルって子。『なのはさんを護れるかどうか試させて貰います!』っていきなり仕事帰りに模擬戦挑まれて」
「…まったく、スバルってば。今度ティアナに叱って貰わないと」
「いや彼女がなのはの事想ってくれてるのは文字通り痛いほど解ったから良いよ、どうにか認めて貰えたし」
「勝ったの?」
「まさか、フェレットになって逃げ回ったり偶には熱血気味に真っ向から結界で受け止めたりはしたけど」
「最後は?」
「いやーディバインバスターって誰が使っても怖いよねー。破られないまでもどっちも魔力切れちゃって」
「あ、耐えきったんだ」
「どうにかね、って僕の話は良いってば」
「ああうん、でももうスバルがやってくれたなら良いかな」
「それって…勘弁してよ」

実は明日辺り空き時間にユーノと決闘をしようと思いその約束をしようとしてたんだけどもう必要無さそうだ
「じゃ、私からは質問だけ。……なのはを、幸せに出来ますか?」
「…勿論だよ。なのはと、ヴィヴィオと、これから出来るかも知れない命と一緒に世界一幸せになってみせる」
そう言い切ったユーノの瞳には迷いが無かった
自分を、そしてなのはとヴィヴィオを信じてるのが良く分かった
「大きく出たね」
「そうでもないよ、なのはもその気になればきっとすぐだ。だってなのはだからね」
「そうかも、なのはだし」

うん、満足。
「良し、合格!それでは新婦の所にどうぞ新郎さん」
「はい、有難う御座います。……あ、そうだ」
「ん?」
「僕となのはが結婚したからって遠慮せず遊びに来てよ?」
若干心配そうに言って来るユーノの顔とその言葉で思わず吹き出してしまう
「何さ」
「それ、さっきなのはにも同じ事言われた」
「当然だよ。僕もなのはも君の事は親友だと思ってるんだしフェイトもヴィヴィオのお母さんなんだから」
「うん、ありがと」

少し浮かんで来た涙を見られない様に彼の後ろに回って背中を押す
「ほら、もう良いから。なのはの所に」
「う、うん、じゃあ今度は結婚式でね。スピーチ楽しみにしてるから」
「任せて」

……彼を見送ってから一人で夜の街を歩く、今頃はなのはがユーノに遅い!とか聞いてよフェイトちゃんがーとか言ってる頃だろう
それにしても、二人の結婚が決まってから私は要らない悩みを抱えていたらしい
どうやら、なのはを隣りから見る役目が消えるのでは無く、これからはなのはとユーノとヴィヴィオを見るのに変わるだけの様だ
家に行く前よりも、軽くなった足取りで帰路に着く










おまけ

帰宅後
「ただいまー…なのは?」
「あうー、ユーノくん、フェイトちゃんが私に意地悪するのー」
「一体なんて言われたの?」
「ずーっと私達が人前でもいちゃいちゃしてるーみたいな事。私達そんなに恥ずかしい事してないのに」
「…じゃあ開き直っちゃえば良いんじゃないかな」
「ふぇっ!?」
「フェイトがそう言う風に言うんだからイチャイチャしちゃえば良いんだよ」
「……さっすがユーノくん!解りやすい!」
「取り敢えずはあれだよね、お帰りなさいと行ってきますのキスとか」
「膝枕して耳掃除とかもやってみたいな」
「フェイトのリアクション楽しみだね」
「攻めてる時は強いけど受けに回ると急に弱いからねフェイトちゃん」


この後自分の迂闊な発言が元で、二人の結婚後遊びに来た(来させられた)フェイトは毎回砂糖を吐く羽目になるのだがそれはまた別の話



[40812] それはまた別の話【新作】
Name: 爬虫類の人◆91308f2a ID:9bd71326
Date: 2015/01/16 21:36
※この話は、『結婚前の話』の続きになります


「はい、ユーノ君、あーん」
「あーん…うん、なのはの料理はいつも最高だね。じゃあ僕からもお返しに、あーん」
「あーん♪」
辛い…『からい』じゃなくて『つらい』
『甘い』のが『辛い』
今は食事中、なのはの手料理をいただきながら夫婦の会話を見せつけられている
「ねーえユーノ君?ご飯終わったら一緒にお風呂入ろうかー?」
「そうだね、一杯なのはの体を磨かせてもらうよ、君は僕の大事な大事な宝石だからね」
「うん、よろしくお願いします。貴方の為に私を誰よりキレイで居させてね?大好きな旦那様」
横を見るとヴィヴィオがげんなりした顔をしている
そして恨むようなジト目でこちらを見てくる。…そしてその眼は雄弁に語るのだ『よくも余計な事を言ってくれた…』と
ごめんねヴィヴィオ、駄目なフェイトママでごめん。迂闊なフェイトママでごめん。
「だから今日はもう、帰るね?」
「待ってフェイトさん!一人にしないで!」
「ヴィヴィオなら大丈夫、もう私の所からは卒業したから、だから帰るね?」
ほらなのはが結婚してからママ呼びでもなくなったし、強くなった強くなった。もうこの子は一人でも大丈夫だ
そう思い立ち上がろうとすると視線を感じる
ヴィヴィオではなく、向かいに座っていたなのはからだ
「あれ?どうしたのフェイトちゃん?明日は休みだって言ってたし泊まっていくんだよね?」
にこにこと笑っている
あくまでもにこにこと笑っている
悪魔でも顔は笑っている
ああ…世界は本当にこんなはずじゃない事ばっかりだね、クロノ…



『それはまた別の話』



事の発端は2か月ほど前、なのはとユーノ、二人が結婚する少し前の夜に遡る。
その日私は少しなのはを弄った、ユーノが来たら当てられる、とかそんな言葉で。
その時なのはは言っていた、人前ではイチャイチャしてないと。(まあ私から見てれば当時でも割としてた)
言っていたのに…なんでこうなったのだろう。きっと私が当てられるとか言ったから開き直ったのだろう。
今の二人はあの頃よりも数段、人前で惚気るようになっていた
「あー、お風呂気持ちよかったー♪」
「そうだねー♪」
湯上りに髪を梳き合う、向かい合って何度もキスをしながら
…あれれー?お風呂に入る前はなのはの首筋にキスマークなかったはずだよー?
前言撤回、人前でもそうでなくてもあの頃より数段やばい事になっていた
毎日一緒に居るヴィヴィオ曰く「私空気だけで太る」
偶に遊びに来るヴィータ曰く「時々いっそ殺してくれ、って思う」
なのはが弁当を運んできたりする無限書庫の司書曰く「無限書庫勤務者の中でカップルが増えました」
そして桃子さん曰く「なのはの弟か妹が出来たの」
「いや待って!?特に最後待って!?」
自分の回想に思わず自分で突っ込んだ
なんでこんな事になってしまったんだろう…ごめんねヴィヴィオ
「だからやっぱり…かえr」
「帰らないでってば!特に今日は酷いのー!」
うん、多分それ私が居るからだよ。
「毎日毎日甘々なの!過ぎるの!パパとママが仲良いのは良いけど!私も別にハブにされたりしてないけど!でも今日は酷いの!フェイトさん来るからって!」
「どこがいつもより酷いの?」
「二人とも今日半径70cm以上離れてない!」
「それは酷い」
お風呂はともかくトイレとかどうしてたんだろう…駄目だね、多分いうと藪蛇だよねこれ
「こらヴィヴィオー、ご近所に迷惑だから静かにしなさい。後お風呂入っちゃって、あんまり夜更かしはダメだからね」
母親としてはまともだなぁ…ユーノに髪や身体を触られて時々喘いでいなければ
「フェイトも泊まるのならお風呂どうぞ、着替えは…置いてあるよね」
置いて有っちゃうんだよねー、なんで回収しとかなかったかなー私
ユーノも友人としてまともな気遣いだよね、うん、時々なのはの足をさわさわしたりしてなければ
ヴィヴィオからは見えない角度でやる当たりそれこっちには見せつけてるんだよね?
「じゃあヴィヴィオ、一緒にお風呂入ろうか」
「うん!長湯しよう長湯!」
もう帰れなさそうだし諦める、お風呂入ってさっさと寝る。


「ふぃー」
「はふぅー」
お互いの体を洗って湯船に浸かりほっと一息。日々の疲れから解放される至福の時間だ
「ごめんねフェイトさん、我がまま言っちゃって」
私の足の間に座ってるヴィヴィオはちょっと申し訳なさそう、いい子だなあ
「ううん、良いの。私だってなのはとユーノとヴィヴィオと居るのが嫌な訳じゃないし…発端は私だし」
そう、嫌じゃない。確かに甘々ではあるがここに来るのは嫌ではない。帰りたい気持ちも確かにありはするけれど。
だってここはごろごろしてテレビ見ててもなのはがご飯作ってくれるし、暇だとユーノが遊んでくれるし。
「でも二人の甘々は酷いね、辛くないのヴィヴィオ?」
「二人が離れてどっちかが私と居る時は私に物凄く絡んできて…あのテンションで絡んできて、どっちかと言うとそっちの方が…」
買い物行けば着せ替え人形だよ、とヴィヴィオ…あの二人娘大好きすぎる…
「フェイトさんいる時は甘さ酷いけど、フェイトさんいない時もちょっと軽いだけで酷いのは酷いんだよねー」
お風呂の中にヴィヴィオがぶくぶくと沈んでいく、甘いのは良いんだけどエロいのはしてないんだろうか
流石にそのあたり娘の為にわきまえてると信じたい、聞くの怖い、聞かない
「多分あれ、最初こそ私に見せつける為だったけど、その内楽しくなっちゃったんだろうね」
「ねー」
二人の全く裏の無いあの笑顔を思い出す、さっき私を引き留める時はちょっとデビルスマイル出てたけど、いちゃついてる時はそうじゃない
出会ってから自覚するまでの数年、その時間の勿体なさを埋めるように、あの二人はお互いに恋焦がれている、結婚する前よりも多分
しかしあそこまで幸せそうにされると
「私も結婚、したいなぁ」
「フェイトさんと同じなんだろうね、無限書庫でカップル増えた理由も」


お風呂から上がりヴィヴィオと並んで牛乳をクピクピと飲む、なのはとユーノは見当たらない
「もう寝室かな?」
ヴィヴィオが言う、多分眠ってると思って
まあ寝てはいるんだろうけど確かに…いつか娘に今やってる事の物音が聞こえない事を祈るばかりだ
「そうだね、私たちも部屋行って寝ようか」
「一緒に寝ようよー、私パパとママの昔の話聞きたい」
あのイチャイチャ見たうえでこれとかこの娘もあの二人大好きすぎる…
まあ、仕方ないか。なのはとユーノだし
私は諦めて、寝室へと赴いた



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