俺がテレビを見ながら貧乏臭く茶をすすっていると店の方から母さんの声がした。とぎれとぎれに聞こえて内容はよく入ってこないが、その文中に「結弦」という単語が出てきた。
結弦が来たのか?なんでまた連絡も寄越さずに。
結弦「よ、石田、」居間にのこのこと入ってきたのは一眼レフを首に下げた赤いパーカーの少女、結弦だ。
石田「どうしたんだよ結弦。なんかあるからメールの一つぐらいしろよな。」はっきり言って結弦が来たことに不満を感じたりとかそういうことは全くない。ただもう住んでる同然の結弦だとしても「連絡」はしてほしい。俺が気づかないで風呂から出たままタオルも巻かずに出てきたらどうすんだよ。銭湯以来そんなトラブルはなくしてほしい。ほんとにそういうこと合っちゃうかもだから。
石田「で、何なんだ?用があるんだろ?」
結弦「用ならおばさんに言っといた、」結弦はそれだけ言って俺の家の冷蔵庫を開け何かを探す。
結弦「冷蔵庫開けるねー」許可なしかよ。お前の場合言っても言わなくても変わらねぇ。
結弦は麦茶の入れ物とコップを持って俺の向かいに座る。
石田「お、おい、結局何なんだよ、俺には教えられねぇっつーのか?」別にそんなことじゃねぇよ、とでも内心思ってるような顔を浮かべて「しばらく泊まる」とだけ発した。
それは突然な事だった。