第10話
たった一つの命を捨てて
生まれか変わった幽霊の身体
うちは兄弟の対決を阻止して砕く
私がやらねば誰がやる
某新造人間のキャッチフレーズもどきで前回気合をいれたばっかりだったのに!?
自分まだ死んでいないかもってどないな事やねん!!
思わず似非関西弁になってしまったが・・・
落ち着け・・・もちつけ・・・私
そうだ、良くこういう場合には素数を数えると落ち着くっていうなあ・・・
・・・素数ってなんだっけ?
・・・3と3の倍数で馬鹿になって落ち着こう。1、2、さ~ん、4、5、ろっく~ってそんなことしている場合じゃないか・・・。
とりあえず情況を整理しよう情況を。
一つ、今の私は動物と一部妖怪(大蛇丸)には見えるが人間には見えない状態である。
一つ、今の私は物体をすり抜ける事が出来る。物体に触れない。ただし気合を入れると葉っぱを揺らすぐらい程度で動かす事が出来る。
一つ、今の私は空が飛べる。
以上のことから私は自分が幽霊みたいなものになったと結論づける。
それで自分は死んだとスッカリ思い込んでいたんだけど、家に帰ってみると私こと月守ウサギは明らかに生きていて部屋でレース編みなんぞしている。
ここで混乱・・・
今の幽霊の私は月守ウサギで無かったら、一体なんなんだ?
そういえば幽霊のような状態になった原因というか其のあたりの記憶が無かったんだっけ?
ストーキングに夢中で深く考えて無かったよ。
その辺に何か現在の情況の鍵があるかも知れない。
考え込む前に目の前の生身の自分から離れておこう。
万が一幽霊の自分がドッペルゲンガーで生身の私がそれを見たから、今死んで幽霊になっているなんて事だったら嫌だしね。
考えられる可能性としては・・・
その1、赤ん坊からスタートするから気がつかなかったけど、実は転生トリップではなく憑依トリップだった。
そして何かの拍子で本来の月守ウサギの身体から私の霊が追い出された。
その2、私はドッペルゲンガー・・・何らかの原因で魂が身体から出てしまい、生身の私がこの姿を見たら死んでしまう。
その3、多次元宇宙論・・・NARUTOのいくつもの可能性により分岐した並行世界の一つに魂だけ迷い込んでしまった。
先ほど見た生身の私は並行世界の月守ウザギであり幽霊の月守ウサギとは関係ない。
その4、この時間軸から先、未来で死んだ私の魂が時間を遡ってしまった。
あれ?この場合もドッペルゲンガーになるのかな?
その5、実はこれ全部夢。
そうすると私はどんな状態で夢を見ているのかが気になる。
・・・ココまで考えた時点で頭割れそうだ・・・。
助けてハウル!!いやこの場合クレストマンシー!!
3回名前呼ぶからさぁ~!!
1は生身の月守ウザギがレース編みをしている事から可能性は薄いと考えよう。
レース編みは前々世の私の趣味だったりする。
意外と簡単な上に不器用な私でも乙女ぶりっ子でき、しかも材料はすべて100円ショップで揃うお手軽さが気に入っている。
どのように憑依していたかは分からないが、本来の月守ウサギの趣味も同じになっているとは考えにくい。
しかも生身の月守ウサギが方眼編みで編んでいた模様はイタチの万華鏡写輪眼模様という我ながら・・・なんとも言えないものだった。
こんな模様編むイタイ子は私だけだよ・・・多分。
そこで残る可能性は2,3,4,5の説だ。
しかも穴だらけの推論で当てにならない・・・マジ助けてください。
クレストマンシー!!ピカール艦長でも構いませんから!!
とにかく幽霊になった経緯が分からないとなんとも言えんなぁ~。
とりあえず生身の自分を見ていれば何か思い出すかなぁ~。
でも、生身の私に幽霊の私を見られて、もし幽霊の私がドッペルゲンガーだったら・・・それ即生身の私の死亡フラグだ。
ということは・・・自分で自分をストーキングしなくてはいけないということですか?
それって・・・不毛の極地じゃない?
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜
幽霊改めドッペルゲンガー主人公です。
クレストマンシーは『ハウルの動く城』の著者の人気シリーズから。