色欲のルルーシュ~プロローグ~ 『バカ が 生まれた 日』
Cの世界1日目
ゼロ・レクイエムを成就した後、再び意識を取り戻した俺が存在したのは、Cの世界だった。
まず目にしたのは、ロロ、シャーリー、ユフィと言った、もう会えないだろうと思っていた人達。
俺がしてきた仕打ちを咎めるでもなく、労いの言葉を掛けてくれる三人に思わず目頭が熱くなる。
抱えきれない罪を犯しながら死んだ俺に与えられたのが、こんなにも優しい世界で良いのかと思いもしたが、それでも胸が暖かくなるのは止められなかった。
その後、それぞれに感謝や謝意を告げながら、現世での溝を埋めていき、Cの世界での基本的な過ごし方などを教わる。
なんでも特にやる事もないそうなので、日がな一日、下界(?)を観察して過ごしたり、親しい人達で茶会を楽しんだり、まったりと過ごすそうだ。
遺してきたスザク達に申し訳ないと思わないでもないが、いまは先達の言に従いCの世界を満喫してみようと思う。
Cの世界2日目~
あれから、俺も少しずつCの世界での過ごし方に慣れてきた。
書庫で読書に興じたり、シャーリー達と戯れたりと、反逆していた頃から見れば考えられない、穏やかな時間を過ごしている。
その間、前皇帝の父シャルル、母マリアンヌ、義兄クロヴィス、V.V.、そしてマオなどとも顔を会わせたが、基本、俺の復讐の餌食になった連中の為、死後も相容れる事はなかった。
両親には「ぶゥるわァァ!」と吼えられるか、「そんな子に育てたつもりはないわ!」と泣き叫ばれ、V.V.には「呪われた皇子めっ!」と罵られ、クロヴィスには話す間もなく逃げられ、マオは「しーつーしーつー」煩くて会話できない。
それ以外にも、俺のせいで死んだ人、俺が殺した人がそれなりにいて、この程度が自身への罰になるとも思わないが、中々に肩身の狭い思いもしたりしている。
確かに、死んだところで恨みが消える訳もないだろう。
そう考えるとシャーリー達三人の与えてくれる慈悲の心のなんと有り難い事か。
感謝してもし足りない。
Cの世界30日目~
と、日数を書いて見たものの、時間の概念がないらしいこの世界では、あくまで体感的なものに過ぎない。
この位になると、Cの世界に完全に順応してしまい、逆に退屈を覚えるようになった。
そうした時の対処方として真っ先に挙げられるのが、下界の観察だろう。
大切な人達を遺してきた世界が気にならない筈もなく、暇さえあれば下界に目をやる日々だ。
世界のこれからの行く末も気にならないではないが、観察対象としては、やはりナナリー、C.C.、スザク、カレンやナナリー、ジェレミア、そしてナナリーといった個人に気が向いてしまう。
どうやら、こちらとあちらでは時の流れも違うらしく、俺の死を悼んでくれていた人達も、もう随分と前から気丈に前を向き歩きだしている。
ブリタニアの代表として起つ事を決めたらしいナナリーにも、ゼロとなったスザクがついているし、俺はここから安心してナナリーの、そして世界の行く末を見守ろう。
Cの世界90日目位~
寂しい。
近頃よくそう思うようになった。
もちろん、今の現状に不満はない。
シャーリーも、ユフィも、ロロも、皆が皆、俺の荒んだ心を様々な方法で癒してくれる。
俺が寂しさを感じるのは、もっと別の事柄。
有り体に言えば、そう下界の事だ。
あぁ、ナナリー。まさかお前とスザクが付き合い始めるなんて…。
本当なら二人を祝福してやりたい。
俺がいない以上、ナナリーを任せられるのはスザクしかいない。
スザクにだってナナリーの優しさは救いに感じる事だろう。
だが、なんだ。この疎外感は?
決して、スザクが積極的にナナリーを口説いている現場を目撃したからではない筈だ。
あまつさえ、その時にスザクが口にした「僕がルルーシュを忘れさせてあげるよ」と言う言葉に、この裏切りの騎士が!なんて思ったりもしてない。
しかし、スザク。俺にはどうしても、お前が生きて罰をうけ続ける人間の顔をしている様には見えないんだ。
…いや、俺は既に退場した人間。もはや何も言うまい。
ナナリーが幸せであってくれさえすれば、俺は、………ナナリー、グスッ。
Cの世界120日目位~
これが俺に与えられた罰なのだろうか?
先日、ついにナナリーの純潔が散らされた。
ナナリーとスザクが付き合いだして以来、二人の動向だけを観察し続けていた俺は、その光景をアリーナ席でまざまざと見せつけられた様なものだ。
ナナリーを相手にハッスルするスザクの勇姿は、この俺を以てしても流石は、我が最強の騎士ナイト・オブ・ゼロだと、唸らざるを得ないものだった
スザクめ!初心なナナリーを相手取りながらお得意の回転まで駆使するとは、なんと容赦のない男だッ!
実戦経験なく死んだ俺にできた事は、スザクのアレを見て、ふん、所詮イレブンか。と蔑むことで自分を慰める事だけ。
フッ、一時は世界制覇をも成したこの俺が、堕ちたものだ。
しかし、頬を上気させたナナリーのなんと愛らしいことか!
何故、相手が俺じゃな―――ハッ!何を考えているんだ、俺は…。
ナナリーはあくまでも妹。妹なんだ。
………ハァハァ、ナナリー。
Cの世界150日目位~
鬱だ。
毎晩毎晩、ナナリー相手にゼロの仮面を脱ぎ捨てビーストモードにチェンジするスザク。
あまりに辛い現実を直視できなかった俺は、下界の観察を止めた。
別にナナリー達を見なければ良いとも思ったが、他に目を向けてみても、カレンにジノ、ミレイにリヴァル、ジェレミアにアーニャetc…、えぇい、どいつもこいつも!
まぁ、良い。
俺はピーピングなんてもとから趣味じゃなかったんだ。
…C.C.、やはり俺の共犯者はお前だけだ。
Cの世界160日目位~
絶賛引き篭り中。
王の力は俺を孤独にすると言う言葉は、強ち間違っていなかった様だぞ、C.C.。
シャーリー達が俺の調子を察して、懸命に励ましてくれるものの、いまの俺にはそれに応える気力すら湧かない。
あぁ、ナナリー。
Cの世界162日目位~
Cの世界の片隅で膝を抱え失意に沈む俺は、ふと人の気配を感じて顔をあげる。
シャーリーか。こんな俺なんかにいつもいつも構ってくれるなんて、君は本当に優しいんだな。
でも俺は大丈夫だ。この絶望からだっていつかきっと立ち直ってみせる。
え?「ルルが好き」だって?
止してくれ、俺は君に想ってもらえる様な男じゃない。
それでも、シャーリーは俺を抱き締めて優しい言葉を投げ掛けてくれる。
シャーリー、本当に止めてくれ。こんな時に優しくされたら、俺は…。
「私じゃダメ?」なんて、決してそんな事はないんだ。ただ俺は。
狼狽える俺に「私はずっとルルの傍にいるよ」なんて言ってくれるシャーリー。
俺は、おれは…。
トドメはシャーリーからの口づけだった。
呆然とする俺に頬を染めて「ルルにならいいよ」なんて。
………シャ、シャーリィーーーッ!!
Cの世界200日目位~
シャーリーと関係をもった俺は、ものの見事にシャーリーに溺れた。
下界のスザクすら足元に及ばない程に日夜フルスロットルな日々を送り続け、気付けばこんなにも期間が経過していた。
しかし、こんなにも素晴らしいものだったとは!
シャーリーと過ごす日々は、確実に俺を立ち直らせてくれた。
今ならナナリーとスザクの仲睦まじい様も、口の端から血を滲ませる程度で眺める事ができる。
横で穏やかな寝息をたてるシャーリーを見ながら強く思う。
これが想いの力ッ!
シャーリー、君はなんて凄いんだ。
今まで気付けなかった俺はなんてバカなんだろう。
C.C.。お前が「童貞坊や」と俺を罵った理由が良く分かったよ。
童貞が世界制覇なんて、鼻で笑われても仕方なかったな。
おっと、シャーリーが目を覚ました様だ。
フハハハ、ヤる事もできたし、今回はここまでにしておこう。
Cの世界212日目位~
昼間からシャーリーと励む。
涙目で抱きつかれ、耳元で「ルルゥ」とか言うのは反則だ。
ダメだ、このシャーリー可愛い過ぎる。はやくなんとかしないと…。
そう思った直後、俺達が行為中の部屋に入ってくる人影が三つ。
ロロとユフィは、まぁ分かるとしても、か、母さん!
いつもは「親不孝者!」とか言って近づいても来ない癖に、何故こんな時に限って!?
顔を真っ赤にして固まる俺達四人を尻目に、「あらあら、やっぱり父子よねぇ」って、動じないにも程がある。
いいから、早く出ていってくれ!
Cの世界215日目位~
この前の事があってから、俺もシャーリーも流石に色々と控えている。
控えてはいるが、情事を目撃されてしまった気まずさは如何ともし難く、ユフィとロロを交えた四人でいる時に微妙な空気が漂う様になってしまった。
そんな不和を少しでも解消すべく、俺はユフィと散歩しながら語らっていた筈…だったのだが、何故俺はユフィに押し倒されているんだ?
知っている。このユフィの上気した様な瞳を俺は知っている。
これは、ベッドの中でのシャーリーと同種の!
マズい!三日間にも及ぶシャーリー断ちの影響で、俺も興奮してきてしまっている!
どうにかこの場を切り抜けなければ、シャーリーにだって申し訳が立たないじゃないか!
ユフィ、待つんだッ。君を嫌っている訳じゃない。ただ俺達は半分とは言え血の繋がった兄妹………、「関係ありません」だと?バカな事を言うな!それが罷り通ってしまったら、俺はなんの為にナナリーを諦め、って違う!そ、そうだ、君はスザクの事を想っ…ン?
ユフィが指差したのは下界…のスザクとナナリー。
スザクめッ、またしてもナナリーに手を!
のべつ幕無し求められて困惑しているナナリーが分からないのか、あの性獣!
いやいや違う。ユフィ、スザクに対して言いたい事は大体理解したが、それとこれとは…。
「昔、わたくしをお嫁さんにしてくれると言ったのは嘘だったのですか?」って、そんな子供の時の話を…、だから、ユフィの事は好きだ!でもそれは、ま、待ってくれ、俺にはシャーリーが………。
こうして、俺は一つの禁忌を犯してしまった。
初めてで野外とは、なんて恐ろしいお姫様だ。
同時に、俺の中での兄妹愛に関する自制の枷が緩む音も聞こえてきたが、全力を以て無視した。
内容については、………流石俺の初恋の人、とだけ言っておこう。
シャーリー、すまない。………グスッ。
Cの世界216日目位~
ユフィに襲われた日から、俺は非常に危険な綱渡りをしている。
シャーリーにバレない様にユフィと、ユフィにバレない様にシャーリーと。
いや、ユフィはシャーリーとの関係を知った上で関係を結んだのだが、それでも気を使うのは確かだ。
ロロも交えた四人で茶会を開いた時などは、どうにかこうにか話がそっちに行かない様に、策を巡らしている。
まったく、ゼロとして活動していた時以上の仮面生活だ。
しかし、近頃はシャーリーとユフィだけでなくロロまでもが俺を見る目が怪しい。
たまに「兄さんが望むなら僕だって…」とか、言ってくるのは本当に止めてくれないだろうか。
女の良さを知ってしまったいまの俺、いや、そうでない時からもだが、男を相手に突っ込むのも突っ込まれるのも、俺は絶対に御免だ。
あぁ、ロロ。そんなに切なそうな視線を寄越さないでくれ。
今となってはお前も俺の大事な弟だが、それでも、兄弟愛で性別を超える事は出来ないんだ。
せめてお前が女だったなら、病んだ一途さと言い、命懸けの献身と言い、ナナリーには及ばずとも匹敵し得る潜在妹力を持った逸材だったろうに!
そう考えるとなんて惜しいヤツだ、ロロ。
いかん、シャーリーが呼んでる。
Cの世界229日目位~
今日も今日とて俺は腰を振る。
たった今シャーリー相手に3Rを終え、これから4Rに…、と言うところで、俺達のいる部屋のドアが勢いよく開いた。
またこのパターンか、って、ユフィ!?
待て、待ってくれ。違…くはないんだが、えぇい、何も思い浮かばない!
突発的なアクシデントに弱いという俺のウィークポイントは、死んでも治ってないらしい。
ここから話に聞く修羅場が展開するのかと、半ば諦めに近い覚悟を決めた俺の前で、ユフィが服を脱ぎ始める。
「どういうコト?」とシャーリーに訊かれるが、いや、俺にも状況が…。
って、ユフィ。「わたくしも混ぜてください」って、お前は何を言ってるんだ。
いや待て。シャーリーも「負けませんから」じゃないだろう。火花を散らすな!
怖いから二人して獰猛な笑みを浮かべないでくれ。
く、来るなァ!
結局、4Rは2vs1の変則マッチに移行したあげく、俺のTKO敗けにて幕を閉じる事となった。
シャーリー、ユフィ。君たちはそれで良いのか?
Cの世界241日目位~
女は魔物だ。
あれ以降、シャーリーもユフィも積極性を増してしまった。
来る日も来る日も愛欲に埋もれる日々に、俺自身も性格的にはっちゃけてきている気がしてならない。
と言うか、Cの世界に来てからナニしかしてない気が…。
これで良いのかと思わないでもないが、彼女達の甘い誘惑に抗えないのも、また事実。
まさに、朝も夜も恋い焦がれて、と言うヤツだ。
悪逆皇帝と畏れられたこの俺が、これ程までに堕落するとは!
あぁ、また彼女達が呼んでいる。
ん?今日も三人で、か。
ふ、フハハハッ!いいだろう、ヤッてやろうじゃないか!
いまイクよ、俺は流れ星ッ!
…ロロ。お前は来なくて良い。
Cの世界245日目位~
この頃は、ほぼ2vs1の戦局が続いている。
戦いは行方知らずどころではなく、敗けっぱなしだ。
圧倒的な戦力差。
しかし、このままで終わらせる気は俺には更々ない。
俺のプライドに賭けて、今度こそ二人同時に満足させてみせる!
その為には、まずはスタミナ、そして知識とテクニックを身につける事が急務か。
…知識とテクニックは癪ではあるがヤツに教えを請うとして、スタミナは、…む、ロロ良いところに来てくれた。体力作りのトレーニングに付き合ってくれ。
って、なんだその残念そうな顔は。
「そっちか」って、お前はどっちを期待していたと言うんだ。
Cの世界259日目位~
「よぉく来たぬァ、むぅす子よォ」とか、いま俺の前で声を張り上げている巨漢は、認めたくはないが俺の遺伝子提供者の片割れである元皇帝シャルル・ジ・ブリタニア、その人だ。
そう、俺は現在ロロとの体力トレーニングと平行して、この男にアッチ方面の教えを受けているのだ。
何故父とも認めぬ輩に下げたくもない頭を下げてまで、教えを請うかだって?
俺には、この男に頭を下げる事よりも、シャーリー達に連敗続きな現状の方が我慢できないからに決まっている。
何より勝利を掴みとる為には、この男の教えは必要不可欠。
何せ、百八人もの妻を娶り、バカみたいに子供を産ませた性豪だ。
事、性の方面にかけて教授されるにあたって、この男以上の人材はいる筈もない。
「先日むぅあで生むぅすめだった者ォ、たぁかだかふぅたりすぅら満足にゥ相手できぬとわぁ、ぬぅあんたる脆弱さァ」と言われた時には、この世界でも反逆してやろうかとも思ったが、成る程、確かにコイツの教えは為になる。
KO続きだった対シャーリー、ユフィ戦線で判定にまで勝負の行方を持ち込める様になったのは、間違いなくシャルルから受けた教えのお陰だろう。
思えば、当時まだ童貞だった俺が、よくこの英傑に打ち勝てたものだ。
今のままでは、もう一度勝てる気がしない。
フッ、認めたくはないが、流石は我が父上と言う事なんだろうな。
物思いに耽る俺に、横で沈黙を保っていた母が声を掛けてきた。
え、「これからシャルルと一戦交えるけど、参考までに見ていく?」だって?
だ れ が 見 る か !
Cの世界275日目位~
俺は猿じゃない。その筈だ。
猿と言われる程に盛っていないし、猿とは比べるべくもない学習能力だってある。
証拠に、いま父から伝授されている最中の『ブリタニアン性術』も、後は奥義の習得を残すのみとなっているしな。
そのお陰か、シャーリー達をまとめて相手にした時も、少しずつだが白星も増えてきている。
愛とは限りなく与えるもの、を一つのスタンスにしている俺にとって、情事の後の彼女達の満足しきった寝顔を眺めるのは、この上無い至福でもある。
だから、決して肉欲に溺れているわけではない。
だから俺は、断じて猿なんかじゃない。
言うなれば、そうッ!これは俺の矜恃をも賭けた人としての闘いなんだ!
…それにしてもナイト・オブ・トゥエルブ、確かモナ、いやモニカと言ったか。
あまり面識は無いが、中々に美人だと思うんだが、どうだろう?
Cの世界296日目位~
日夜続くシャーリー達との戦いと、過酷な特訓。
その甲斐もあってか、ネックであったスタミナ不足も、僅かにではあるが解消されつつある。
そんな中で得られた久しぶりの休養日に惰眠を貪って体力回復を図っていた時にそれは起こった。
夜半、気配を感じて目を覚まして見れば、そこには布団越しに俺に覆い被さる弟の姿。
慌てて身を起こし問い質してみれば、「夜這いにきたんだ」とか、はにかむ様に告げるロロ。
可愛い気に言えば許されるとでも思っているのか!?俺は男はノーサンキューだとアレほど…、何?「兄さんは嘘吐きだから」だと?何を都合の良い解釈をしようとしているんだ、お前は!
もう嘘は吐かないよッ!お前にだけは………、ってなにぃ!?何故今まで眼の前にいたお前が、後ろから俺のズボンを下ろして!そ、そうか、絶対停止のギアス。
まさか、死後の世界でもギアスを行使できるとは…って、そうじゃない!やめろ、それ以上ズボンを下ろすな!何がしたいんだお前は!?
「だって兄さん言ってたじゃないか。『ヤッて良いのは、ヤられる覚悟のあるヤツだけだ』って」って、バカか、お前は!?
俺の理念を勝手に改悪するんじゃない!
何が「さぁ、兄さん」だ!止めろ、近付くんじゃない!く、来るな!
ヤ メ ロ(ギアス発動)
ハァ、ハァ、なんとか助かったか。
「わかったよ、兄さん」と言って部屋から出ていくロロを尻目に、安堵の溜め息を漏らす。
ギアスが無ければ危なかった。
ロロめ、なんて恐ろしいヤツだ。
これからは少し付き合い方を変える必要性があるな。
あぁ、それにしても折角の休息時間が…。
Cの世界315日目位~
ついに、ついに奥義を習得し、父から免許皆伝を言い渡される。永かった。
ありがとうございます。父上、母上。
さぁ、帰ってさそっくシャーリー、ユフィを悦ばすとしよう!
ロロはこっち来んな。
Cの世界343日目位~
もはやシャーリー、ユフィのタッグも俺の敵ではなくなった。
そんな訳で、何回戦目かの後、限界を超え眠りに着いた二人を起こさぬ様に気をつけながら、余裕の出来た俺は、再び下界の観察をする様になった。
さて、女を知った上で観察し直すと、色々と見えてくるものがある。
主だって言うなら、空に俺を思い浮かべて寂しそうに微笑み語りかけるC.C.とか、紅蓮のキーを大切そうに握りしめるカレンとか、写真に写る俺を涙目でみる会長とか、切な気に「お兄様」なんて呟いてくれるナナリーとか、だ。
正直、勿体無く思い始めてしまう。
今思えば、誰も彼も俺に気があったぽく思えなくもないし、ナナリーが俺の最期に叫んだ言葉なんて、「愛しています!お兄さまっ!!」だ。
…俺はあのまま悪逆皇帝続けても良かったかもしれない。
と言うか、なんで潔く死んだんだ。俺の愚か者め!
はぁ、止めよう。余りに醜すぎる未練だし、それこそ今更だ。
そもそもCの世界に来なければ、シャーリー達と愛し合う事も出来なかったし、ブリタニアン性術を極める事もなかったんだ。
俺は今、満足しているさ。後悔は無い。
…あぁ、でも、此処に来なければ、ロロに貞操を狙われる事もなかったし、ナナリーがスザクの餌食になる事もなかったな。
………怪我の功名と言うべきか、ロロのお陰でまだギアスを使える事も解ったし、もう一度『神』とやらにやり直しさせてくれとでも頼んでみるか。
どうせダメ元だ。眠りに着く前にやってみるか。
???
そうして眠りから意識を戻した俺、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは今ここに立っている。
何処とも判断のつかない廃墟。
目の前には、ブリタニア軍人の死体がいくつか。
まさか、まさかここは!
辺りを探れば、すぐ傍らには倒れ伏した拘束着のC.C.。
俺は確信する。
やはりここはシンジュク・ゲットー。
そして、いまこの時は、俺の反逆の開始時点だ。
思えば、俺はCの世界にいた時からずっと願っていたのかも知れない。
C.C.はいい女、カレンもいい女、そしてナナリーは究極。
俺が未来に遺してきてしまったのは、どいつもこいつもいい女ばかりだ。
全く手を出せない状況に苛々して、でも死んでいると言う理由で彼女達を諦める事も出来なくて。
だけど手に入れた。やり直しの機会を。
だから…!
プロローグおわり
あとがき
連休中、その他の掲示板をお借りして書いてる話の息抜きに書いてたら、先に出来ちゃってた作品。
Cの世界とか認識を確実に間違ってます。
これは死後、色欲に目覚めて間違った方向に吹っ切れちゃったルルーシュが、物語の始まりに戻って、間違った方向に頑張る日々を、半ば日記形式で綴った馬鹿話です。
たぶん、正史をなぞりつつ、機会があれば手当たり次第に女性をオトしにかかるんだと思います。
そんな中、何故か妹化したロロに狂喜したり、当然の如く男のままのカノンさんに落胆したりしながら、最終的には、色欲皇帝ルルーシュの女性関係にキレたナナリーとダモクレスで激突。
「お兄様の罪はわたしが断ちます!」
「くっ、ナナリーの愛を取り戻すには、もはやゼロ・レクイエムしかッ!!」
え、それなんてRe:?って感じなんじゃないかと。
とか言いつつ、プロローグだけしか考えてないんで、続くかどうかは読んでくれた人の反響次第と言うことで。
最後にこんな拙い馬鹿話につき合って下さった方に感謝して、締めとさせて頂きます。