小ネタ *多少どころではなく志貴のキャラが壊れているので注意してください。
*残虐な表現もあるので苦手な方はご遠慮下さい。
前書き
感想板で七夜を倒すなのはが見たいと言うものを見て妄想してしまったネタです。
時系列はStS以降で志貴となのはが敵対しています。
あくまでネタなので本編には関係してくることは無い(はず)です。完全な別物として読んでください。
ここはある研究所、かつてジェイル・スカリエッティ提唱したプロジェクトF.A,T.E、その研究をしていた場所であったはずだ。
しかし、今この場所に立ち込めているのは薬品の臭いではなく血の臭い。辺りにはかつては人であったであろう手足が散乱している。あまりにもばらばらになっているため元々何人いたのかは定かではないが周辺が血だまりになっている所を見るとその数は少なくとも二桁は下らないのであろうが…
そんな現場に真っ白いバリアジャケットに身を包んだ少女と女性の丁度中間くらいの年齢の女が舞い降りた。
「遅かった…またなの? 志貴君…」
その女、高町なのはは子の惨劇を作り出した人間に心当たりがあるかのように呟く。
数瞬その場で黙祷を捧げると更に奥に進む。まるで奥にその犯人がいるといわんばかりに確信に満ちた足取りである。
研究所の最奥、そこにただ一人佇んでいる存在があった。暗がりでその顔ははっきりとは見えないが蒼く輝く眼光に手に持った液体が滴っている刃物がやけに浮かび上がって見えた。
「…志貴君…ううん、連続殺人犯七夜志貴、時空管理局です。武装を解除して大人しく投降してください。」
「…なのはか…なあ、何故君に従う必要がある? こいつらはクローンを作り出し薬品を投与し切り刻んだ。被験者として生み出された子供が泣き叫んでもな。俺はそいつらがやってきたようにそいつら自身を刻んでやっただけだ。これ以上の悲劇を防ぎつつ、俺の中にある殺人衝動を抑えることが出来る。一石二鳥じゃないか、わざわざお前達が俺のことで悩む必要も無い。」
「それでもっ! 殺すのはいけないことだよ…十年間抑えてきた衝動が志貴君を苦しめてるのは知ってる。でもっ!」
なのはの言葉に志貴は肩を竦ませ、ため息をついた。
「ふう、またそれか、厄介だね、なのはのその性格は。」
「志貴君!」
その昔のような行為になのはは顔を輝かせる。だが、続く志貴の言葉は辛辣だった。
「なのは、君の存在は俺を惑わせる。在ってはならないんだそんな存在は。」
「え…?」
志貴はその蒼い眼に狂気を滲ませながら続ける。
「管理局のエース・オブ・エース。その屈託の無い笑顔。スバルでなくとも君に出会えば誰もが思うさ、君のようになりたいと、君のようでありたいと!」
「そ、そんなこと…」
「故にこそ君は俺を惑わせる。俺には許せないんだ、君と言う存在が!」
はき捨てるように言うと志貴は手に持っている血まみれの短刀を構える。それに反応してなのはも反射的にではあるがレイジングハートを構える。
なのはは志貴の狂気と言葉に当てられつつも頭を振り決意を秘めた眼を向ける。
「そんな…それでもっ! そんな評判が私の全てじゃないよ!」
言いながらなのはは周囲にシューターを展開する。しかし、志貴はそんななのはを見るなり視界から姿を消した。
『プロテクション』
「え?」
レイジングハートの言葉と同時に展開されるシールドと、そのシールドに何かが当たる音。なのはが振り返ると冷たい眼をした志貴がいた。
「ふん、それが誰にわかる、何がわかる!? わからないさ、誰にもな!」
「くっ、レイジングハート!」
『バリアバースト』
なのはの言葉にレイジングハートはバリアを炸裂させる。だが、志貴はその瞬間にはもうその場にはいなかった。
なのははレイジングハートを構えなおすと周囲を警戒する。
だが、志貴はそんななのはの行動をあざ笑うかのように正面から姿を現した。
「君の笑顔は好きだったが、世界は君の笑顔のように綺麗でも優しくも無い。」
静かに宣言すると志貴は再び闇に身を紛らわせる。なのはは周囲に浮かべるシューターの数を増やし自身も全方位からの攻撃に警戒する。
だが、そんななのはを更にあざ笑うかのように志貴はなのはの懐に入り込んでいた。
-閃走 六兎-
「きゃぁっ!」
咄嗟に掲げたレイジングハートで首への直撃は免れたが偶然に近い。そう何度も出来る芸当ではなかった。
「これが定めだ。こうなることはわかっていながらも来たんだろう?」
「な、何を…」
志貴の言葉になのはは少し動揺する。
「俺が何も知らないと思ったか? 管理局の俺に対するスタンスくらいは把握しているさ。」
「!?」
「クク。正義と信じていた管理局、その裁定を理解できないと逃げ、周囲の皆の言葉も聞かず!」
志貴の言葉になのはは顔色を青くしていく。志貴の言葉は真実だからだ。管理局は志貴を永久凍結し次元の狭間へ追放するという実質死刑と変わらない刑罰を与えるつもりだからだ。それがかなわなくとも既に志貴はデッドオアアライブの賞金首になっている。だが、志貴はそんななのはに更に言葉を投げつける。
「その結果がこれだ。俺がこの衝動のことを話した時点でお前達は俺を幽閉するなり封印するなりするべきだった。それを怠ったが故の現在(いま)だ。もう穏便に済ませることなど出来ないんだ。俺を殺すか、それとも俺が人を殺し尽すか…いずれにせよもうどうしようもないんだよ。」
「そんな…そんなの志貴君の理屈だよ! 管理局も…!」
なのはの叫びに志貴は鋭い視線を向けて黙らせる。
「それが組織だよ。俺一人を殺して全てがうまくいくならそれを躊躇わない。」
「違うよ!」
「…はっ、何が違う、何故違う! 今君が眼にしている事実、それに君、フェイト、はやてにヴォルケンリッター。そんな俺の身近だった人間に俺を殺すという命令を出すような管理局の何を信じ、何故信じる!」
「それは志貴君が意固地になってるから!」
「俺は自分のことが一番よくわかっているだけさ。それに人は自分が知っていることしか知らない。俺は管理局が信用できないし、何より俺が! 俺自身を抑える自信が無い!」
志貴の血を吐くような言葉になのはは今までの出会い、戦いを思い出していた。
「言葉だけじゃ何も変わらない、伝わらない!」
最初は衝突していたフェイト、
「優しくしてくれる人たちに囲まれてぬくぬく育ってきた餓鬼に何か言う必要無い!」
なのはのことをあまったれだと言ったアルフ、
「時空管理局クロノ・ハラオウン執務官だ。この場は僕が預かる!」
フェイトとの戦いに割り込んできたクロノ、
「悪魔め…」
はやてのために魔力を蒐集していたヴィータとヴォルケンリッター、
「私は世界一幸せな魔道書です。」
雪の降る中、はやてと別れたリィンフォース、
他にも事故で心配をかけた病院の人に教導官の資格を得るための勉強に協力してくれた人達、機動六課で一緒に過ごしたロングアーチの人達に短い間に凄く成長してくれたフォワード陣。
思い返せば本当にいろいろな人がいた。その中には勿論志貴との思い出もある。だが、現実がなのはの目の前に重くのしかかる。
「いつかは何とかできる。そう繰り返し今がある。まだ苦しみたいのか、まだ苦しめたいのか!」
志貴の言葉に揺らぎそうになる心を必死に徒留める。
「…どの道君が一人でここに来た時点で俺の勝ちさ。ゆりかごでの戦いで君は全力を出せない。そんな状態で俺をどうにかできるはずも無い!」
「…………」
志貴の言葉にもなのはは無言を貫く。あくまでも自分の意思を揺らがせることのないように…
「君をここで殺しその首を管理局に持っていけばもう止める術は無い。俺と管理局の全面戦争だ。俺は存分に殺し、そして死ぬことが出来る!」
「そんなことっ!」
「こんなことになるまで俺を放置していたのは誰だ? 俺は解決策を提示した。だがそれをしなかった君達の行動の結果さ! 君自身もそうしてきた一人だろうが!」
「それでも…志貴君を守りたいんだよっ!! レイジングハート、リミッター解除! ブラスターシステム3まで解放!」
『マスター、それは…』
「いいから!」
なのはの叫びと共に周囲にブラスタービットが浮かぶ。
「バ、バカか君は! そんなことをしたら…」
「うるさいの! バカなのは志貴君のほうなの! 永久凍結刑なんてさせない! ユーノ君が無限書庫で回復方法を探してくれる! なら私は全力全開で志貴君を助けるだけなの!」
ブラスタービットが志貴の四方を囲む。それぞれに集まる魔力光によって既に闇といえる場所は無い。そんな中でも志貴は冷静に状況を見ていた。
(俺が動く素振りを見せたらそのまま発射、動かなくても発射か…ならば隙は発射の瞬間。カウンターでなのはの首を落とす!)
志貴はじっと力を溜めつつなのはの動きに対して全神経を研ぎ澄ませる。
「スターライト…」
(今だっ!)
-閃鞘 八穿-
なのはが発射体勢に入った瞬間に志貴は駆けた。なのはの頭上に現れた志貴はなのはが自分に気付いていないことを確信して短刀を閃かせた…
『プロテクション』
瞬間、なのはと短刀の間にシールドが展開されて志貴の一撃は防がれていた。
「なっ!? バ、バカな…」
「そう来ると思ったの。ブラスタービット、スターライトブレイカー…発射!」
信じられなかった光景に一瞬呆然とした志貴、なのははそんな志貴の隙を見逃さず自身の回りにプロテクションを張り、ビットからのスターライトブレイカーを志貴へと向けて撃った。収束されて尚太い魔力砲が三方から志貴となのはを飲み込んだ。
砲撃が過ぎ去った後、志貴は気を失っていた。
「ふう、うまくいったね、レイジングハート。」
『マスター…うまくいったからいいものの…』
なのはの言葉通り、あの状況は完全になのはがコントロールしていた。志貴は自分を囮にしたなのはにまんまとはめられたのだ。
後日、ユーノが志貴の殺人衝動を抑える方法を見つけ、裁判ではその点と志貴を弁護する言葉が多く、何より志貴は無差別ではなく悪人のみを殺してきていたので、管理局への生涯無料奉仕と言うことで片がついた。
解決の立役者となったなのはは癒えきっていない体でブラスターモードを使用したため、Sランクオーバーあった魔力がBランクレベルまで落ちていた。しかも、魔力の総量が落ちただけではなく、魔法を使用しようとするだけで体に痛みが走るようになった。
「…すまないな、俺のせいで…」
「いいの、私がやりたかったことだし、自業自得なの。」
「だが、もう魔導師としては…」
「うん…でも、魔導師としてはもう駄目だけど、出来ることは魔導師としてだけじゃない。他にも色々あるから…ね?」
「………」
なのはの言葉に明らかに納得のいかない表情の志貴。そんな志貴になのはは笑いかける。
「ふふっ、じゃあ責任とって貰おうかな~?」
「…責任?」
「そ。女の子を傷物にしたんだから責任とってくれないと。」
くすくす笑うなのはに志貴は呆気にとられる。だが、すぐに気を取り直すと真面目な表情になる。
「なのは、今の俺は囚人と同じだ。それに俺にはそんな資格なんて…」
「志貴君は私じゃ駄目なの?」
「ぐ…」
上目遣いに見つめるなのはに志貴はたじろぐ。そんな志貴を見てなのはは更に追い討ちをかける。
「駄目なんだ…」
眼が潤み始めている。流石にこれを見て黙っていられるほど志貴は外道ではなかった。
「………………………嫌じゃない………………………」
「え?」
志貴の言葉が聞こえなかったのかなのはが首をかしげる。(まあ、聞こえてはいるのだが、意地悪である。)
「~~~~~~~~~~」
「なんて言ったのかな?」
「ぐ…~~~嫌じゃないって言ったんだ!」
吐き捨てるように言った志貴の言葉になのはは満面の笑顔で志貴の腕に飛びついた。
「っと、なのは?」
「えへへ~」
罪悪感もあるが、別に嫌っているわけではないので腕を組んでくるなのはを邪険に出来ず、志貴は困惑した顔で歩いていった。
横に笑顔のなのはを連れたまま。
小ネタのあとがき
あっれ~? シリアスにしたまま終わらせるつもりだったのに最後は何故か微甘に…
ともあれ妄想文章終了です。ネタは判る方がいるとは思いますがアレです。種です。
まあ、私の力量では種風味を超えることはできませんでしたが…最初はプロヴィの方になのはさんを置きたかったのですが、
「それでも守りたい(ry」 等と叫んでいる志貴君。書いていると違和感バリバリなので書き直し。そのポジションならやっぱりフェイトかな~? 最終的に魔王様が撃ち落としそうだけど…
余談ではありますが、自分が甘い雰囲気の小説が苦手なので終わりの部分を書いている途中で悶えてました。
バトルらしいバトルにならなかったのは精進あるのみか…因みに本編、誰をヒロインにするか決めてません。シグナム、フェイト、すずか、ギンガ、リィンフォース、そして大穴でスバル、穴対抗でシャマルとヴィータ。
とりあえず、志貴自身が人形の体に入れられているという設定を使って純粋な人間ではない方達をヒロインに使用とは思っているのですが…ああ、数の子達にヴィヴィオも使えるか…
っと妄想は今はこれくらいにして。
次話も見捨てずに読んでいただけると幸いです。感想の方で私の妄想力を書きたてるねたが来たら書くかもしれませんが、基本的には本編重視でいきたいと思います。
それではノシ