まず、謝罪を。
前作『水色の星』を、私の機械音痴というひどく愚かな理由で一日以上『エヴァ掲示板』の方に移していてしまった事をここにお詫び申し上げます。
本当にすみませんでした。
(まえがき)
この作品は同じ掲示板にある『水色の星』という同作者の作品の続編にあたるものです。
この作品をご覧になる場合はまず『水色の星』の方から読む事をオススメします。
はっきり言って、この作品から読み始めても全く意味がわからないと思います。『六章』から始めるつもりですしね。
今回は顔見せ兼プロローグって事で‥‥‥
開幕。
「あの日、坂井悠二は当たり前のように自分の日常に生きていた。
こんな平和な日々がずっと続くと、否、それすらも考えずにただ生きていた。
そんな彼の日常は、ある日突然燃え落ち‥‥否、燃え上がった。
明るすぎる‥‥水色に」
「‥‥‥平井さん。何やってんの?」
「ナレーション♪」
茶味がかった長い髪をチョンと両側で縛った、紫がかった瞳の少女、平井ゆかりに、平凡な容姿の黒髪の少年、坂井悠二が言う。
「なれーしょん?」
そう訊くのは水色の髪を肩までで揃えた水色の瞳の儚げな印象の少女、近衛史菜、本名"頂の座"ヘカテー。
三人は親友同士の関係にある。
「解説っていうか宣伝みたいな感じのやつの事!」
「?、誰に解説しているのですか?」
「しかも、それ随分前の事だろ」
「ええぃ、黙れ主役達!こういう裏事情は脇役にしか知る事の許されないトップシークレットなの!」
「よくわかんないけど、平井さん出番少ないっけ?」
「前の最終章じゃ影薄かったともさ。ま!、あの場で目立とうとするほど空気読めなくもないからね」
「「最終章?」」
「あ〜‥‥‥私の日記!、日記の話♪」
「なんか嘘っぽいんだけど」
「シャラップ!」
彼らは今、自らの通う御崎高校に向かっている。
この、非日常を内包した日常を、今日も生きている。
そして、到着。
「おはようございます、坂井君。おはよう、ゆかりちゃん、近衛さん」
ヒュヒュヒュヒュ!
パパパパァン!
出会い頭にヘカテーの放つ不意打ちじみたチョークの投擲、それを両手に構えた黒板消しで叩き落とすおとなしい外見の少女は、
吉田一美。
とある事情により、ヘカテーとは宿敵の間柄である。ちなみに見た目通りの性格ではない。
「ふふふ、近衛さんってば、朝からおてんばさんだね?」
「次は‥‥当てます」
「よう、今日もやってんなあ」
「仲良き事は素晴らしきかな」
呑気に声をかけてくるのは、美をつけてもいい少年、佐藤啓作と、大柄な少年、田中栄太。
「あれの何処が仲良く見えるのよ!あんた達男共が頼りないから、ゆかりが毎度止め役になってるんでしょ?」
そう二人をたしなめるのは、可愛いというより、格好いいといった容姿のスポーツ少女、緒方真竹。
「みんな、そろそろ席につかないと朝礼始まるぞ?」
と、その場の全員をまとめようとするのはクラスのヒーロー、メガネマン、のはずなのだが最近、酸素や二酸化炭素や窒素なんかとの一体化が著しい池速人。
「はい、皆席つけー」
そして教師が教室に入ってくる。
御崎市、住宅街から少し離れた場所に、最近まで買い手が見つからず、最近になって買い取られた豪邸がある。
「ガッコウ‥‥ねえ」
そんな風にぼやいているのは銀色の長髪の青年、"虹の翼"メリヒム。
「わざわざそのような時間を割く環境に身を置く事は不要かとも思ったのでありますが」
そう妙な口調で返すのは『万条の仕手』、ヴィルヘルミナ・カルメル。
「"監視"のため、か?、そう過剰に警戒する事はないと思うがな」
「あの方は、まだ坂井悠二に対する疑念を晴らしていない。当然と言えば当然であります」
「‥‥‥へえ。俺がいない間、本当に面白い事になっていたらしいな」
意外そうな、面白そうな声でメリヒムが言う。
その脈絡のない言葉の内容と合わせて、ヴィルヘルミナは怪訝な表情を浮かべる。
「あの慎重で石頭な君がねぇ」
「お互い様であります。大体、何の話でありますか?」
「さっきの言葉。まるで、自分は坂井悠二への疑念が無いみたいに聞こえたが?」
言われ、気付く。
そうだ。『あの方は』などと言えば、その他は信用している事になる。
「そう‥‥‥でありますな」
そして、認める。
事実、この街にいる紅世の徒、フレイムヘイズ、その全ての中で、坂井悠二に不当な評価をしている者はいない。
一人を除いて。
「あ〜たま痛〜い。マルコシアス何とかして〜」
「ったく、何でそうなんのがわかってて飲むかねえ?」
佐藤啓作の家の室内バーでアルコールに敗北して床に転がっているのは、『弔詞の詠み手』、マージョリー・ドー。
相棒にして契約者たる"蹂躙の爪牙"マルコシアスといつものやり取りをしている。
「あんたが、お喋りを、やめられないのと、一緒だってのよ」
息も絶え絶えにそう言う。はっきり言って少々無様である。
「ヒーヒッヒ!ならおとなし〜く黙ってるとすっかなあ?」
「きっ、『清めの炎』〜〜」
まあ、いつもの彼女だという事だ。
「えー、今日は皆に突然だが、転校生を紹介する」
ざわざわとにぎわう教室。
((‥‥嫌な予感がする))
悠二とヘカテーは同時に思う。
というか、もはや予感などという不確定なものではない。
すぐ間近に、気配を感じるのだ。
常人、いや、人ならざる存在感を。
ドアを開き、一人の少女が入ってくる。
堂々、といえば聞こえはいいが、言い方を変えれば不遜ともとられかねない態度で教卓の前までくる。
(‥‥‥‥はぁ)
勘弁して欲しい。
ただでさえ、最近は奇妙で傍迷惑な連中が周りに集まってきているのに、さらに学校生活にまで侵食してくるのか?
しかも、この少女はその中でも一番苦手だ(というか、苦手という意味ではこの少女だけだ)。
「シャナ・サントメール。よろしく」
転校生として今、教室に入ってきたのは、見紛うはずもない。
悠二が名前をつけたフレイムヘイズ。
『炎髪灼眼の討ち手』、シャナだった。
(あとがき)
前に、前作、『水色の星』を投稿していた水虫といいます。
原作十七巻を読み、一期最終話に際して、読者様がたから信じられないほどの数の感想を頂いた事で復活した次第であります。
非常に非常にありがとうございます。
いや、モチベーションが上がるのなんの、もうね、踊りますよ?、っていうかちょっと踊りました。
前作の感想で、少しは休むように言って下さった読者の方も多々いらっしゃいましたが、まあ、休みたい時はあとがきにでも一言入れて休みますので。
なんか、携帯だからかSECONDの記号上手くいかないし、Sで行きます。
一期まで読んで下さった方、またよろしくお願いします。
初めて目にする方は、一期から読んで下さると嬉しいです。
というわけで、二期スタート!