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[84] リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/08/18 22:35
※この作品は『エヴァ』の主人公『碇シンジ+α』が小説『リアルバウトハイスクール』の世界に行くクロスオーバーな小説です。よってエヴァ本編から離れた『EOE別作品移行』ストーリーとなりますのでご了承ください。









リアルバウトハイスクール
 ~碇シンジの黙示録~

Episode『0』


『ざざ~っ ざざ~っ ざざ~っ』


 耳に波の飛沫の音が聞こえる。


 目の前にあるのは赤と白だけ。


 誰もいない。


 だれもいない。


 ダレモイナイ。
『チガウ』
 腕の中にアスカがいる。
 目の前に綾波がいる。
 笑いかけるカオル君がいる。

 
 でも僕はどこにいる。


 じゃあ僕はどこにいる。


 僕は誰だ。


 だれだ。


 ダレダ。


 いつのまにか誰もいない。


 僕が誰か解らない。


 自分の形がわからない。


 解けて行く感じ。それとも、崩れていく感じ?


 僕も赤い海の中に解けてしまうんだろうか。


 『バカシンジ』『碇くん』『シンジ君』『シンジ』


 声が聞こえる、みんなの声が・・・・。でも気持ちがいいんだ、溶けるように・・・体が・・・心が溶け合うように・・・・


『碇くん』


 綾波?


『シンジ君』


 カオル君?


『世界は仮初の補完を隔て新たな産声を上げるわ』


『君は世界に人がわかりあう希望を望み新たな世界は動き出す』


『でも私たちはここにはいられないの』


 なぜ


『なぜならば、実質的の補完の要である僕たちは補完の外側にいるからさ。言うなれば新たな世界に僕たちは必要ないということさ。』


 そっか


『つらくはないの?』


 もともと死んでもいいと思ってたしね。カオル君を殺して・・・ミサトさんに怒られて無理にエヴァに乗せられるまで。


『そうかい・・・でも死にはしないよ。シンジ君も、僕も、リリスもね。』


 え?


『そう、いつかまた・・・・・・』


 綾波?・・・・・・・


 カオル君?・・・・・・








「はっ!!」

 跳ね起きた少年はグッと拳を握り締めながら心を落ち着かせるように深呼吸しゆっくりと意識を覚醒させる。

「・・・・・・・」

 額に手のひらを当て立ち上がると少しよろけながらも冷蔵庫のあるキッチンまで行き中の飲料水を取り出し一気に飲み干した。

「またあのときの夢か・・・・・」

 ジャッっと窓のカーテンを引くと入り込むまぶしい陽光に目を細める。

「いつになったら会えるんだろう・・・・綾波・・・カオル君・・・」

 一瞬、シンジの顔に人生を悟った老人のような表情が現れるがすぐ、気を取り直す。

「中国にロシア、ドイツ、フランスにイギリス・・色々回ったからな・・・久しぶりに日本にでも行こうかな。」

 フゥとため息をつくと目をつぶり思考の海に入る。数十秒すると目を開け着替えをして部屋の外に出た。そのまま外付けの階段を上ると屋上に出た。

「ん、今日も自由の女神様は腕上げっぱなしで疲れないのかな。」

 さっと周りの風景を見ればそれは超高層ビル群そして女神像・・いわゆるそこは“ニューヨーク”だった。

「さて・・・・」

 シュー・・・獣のうなり声のよな息吹きを立てながら朝日の中、碇シンジ日課の訓練をはじめた。

 そしてその場の空気は今までの朝のさわやかさと一変し空気を切り裂くような凄惨でありながら神聖な儀式のような圧迫感が覆っていた。




続く
 



[84] Re:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/08/19 23:07
<五月六日―快晴>

 僕の名は碇シンジ。
 
 6月6日生まれ、現在16歳でA型。
 身長180前後。体重はわからない。
 
 何の因果だか知らないが・・・・・実は知っているが今回の人生は僕にとって“三回目”の人生となる。 

 ぶっちゃけ“一回目”の人生のときの自分の行為が原因なのであまり文句は言えない所だが、はっきりいって“二回目”に生まれた世界が“一回目”をはるかに超える非常識な世界だったので多少文句をいってもかまわないだろう。

 というか二回目の世界が滅びてしまったのは断じて僕のせいではない。と思う。
 
 今回の世界ではせめて30歳まで生きれるといいなと思ってしまう今日この頃。

 カオル君・・・・『生と死は等価値』ってこういうことなのかい・・・・・





Episode『1』





『・・・・・ということだ。先方には一応連絡を入れておいた。粗相のないようにな』

「わかってるよ。父さん。」

『ああ、たまには連絡を入れるように。」

「父さんに言われたくないんだけど・・・・・」

『フッ・・・問題ない。』

ブチッ

「あっ・・・・ったく・・“こっち”の父さんも・・・全く・・・こういうところが可愛いのか?」

 接続の切れた携帯をしまいながらシンジは大きくため息をついた。

「ふう―・・・・遠縁の親戚か・・・僕に親戚が至ってので驚愕の新事実みたいな気がするよ。」

 事実上“一回目”のときの親戚は血縁関係のない形上のものだったし、“二回目”にいたっては生まれて数ヶ月で両親ともに他界してしまったためシンジは両親以外の親族を知らなかった。
 
 故にシンジの中でちょっとしたショックとなっていた。

「話の分かる人だといいんだけど・・・・。」

 頭の中で想像を膨らませながら微妙に暗い気分になりながらシンジはその家の方向に歩いていた(家の正確な場所は解らないが大体の地名ならば聞いている)。
 祖父母にもあったことのないシンジは遠縁といわれてもしっくりこなかったし親戚の付き合い方というものも良くわかっていなかった。

「カナダの時のホームステイみたいな感じかな・・・・ん、考えても解らないか少し公園で休んでいこうかな・・・・。」

 とりあえず身近な問題を後回しにすると近場のコンビニに入りジュースと区内のマップを買う。

「え~と1000円札からお願いします・・・・そういえば『東京』に来たのって初めてだ。」

 コンビニを出ると近くにある公園のベンチでやすもうとどんよりとした足取りで歩き出した。








 間も無く公園に入ると電灯のついているベンチの近くまで進んだ。いつのまにか日没の近い時間帯になっていたようであたりは薄暗い。

「さてと・・・」

 シンジがベンチに座り買ってきた地図を広げジュースのふたを開けようとしたときそれは起こった。

 鋭い光が走った。

 そしてズシッとした重みのある“着地音”とともにそれは現れた。

 それは身の丈二メートルは超える大男でグレーのシャツに革ジャンと薄汚れたアーミーパンツで“なぜか”微妙に焼け焦げていた。

 「ふうーーーーー・・・・なんとか生きて帰れたが・・・・さすがにくたびれたぜ。さて、ここは―――――」

 その大男は首をコキコキ鳴らしながらあたりの様子を確認しようとしていた。

「あの 「ちょっとそこのあんた!!」 ・・・・」

 声をかけようとした矢先に台詞をとられてしまったシンジはばつの悪そうな顔をして声のした方を向いた。ちなみに大男もその声の主に注目している。

(み、見られたー!?)

(僕の台詞が・・・・ふふふ・・・いい度胸してるじゃないか)

 しっかりと男に注目しながら声の主を確認する。

 一七〇以上あるすらりとした長身で長い黒髪を高い位置でポニーテールにしている。目鼻立ちがはっきりしている。美人というかハンサムで太目の凛々しい眉が意志の強そうな印象を出していた。

「ええ~っと・・・」

 男が顔を巡らせて周囲を見回すと運がいいのか悪いのかシンジと目が合った。

「君。彼女が呼んでいるようだ。早く言ったほうがいいぞ。」

「は!?」

 いきなり話を振られて絶句するシンジ。対人関係は以前に比べれば格段の進歩をしたといって言いが未だ得意分野ではない。

「なにふざけたこといってんのよ!!そっちのでかいほうに決まってるでしょ!!」

「あ、そうですよね。」

 男はうぐ・・とした表情になったが

「そ、それで・・・・・俺に何のようだい?」

「とぼけるじゃないわよ!!今、あんた、その・・・何かピカーッと光って、いきなり出てきたでしょ!?」

「だから、何だ?」

「え?」

 少女は男の冷静な半のに面食らったようだった。

(うわ~あの人、なんていうか開き直った?)

 もはや傍観者と化したシンジはとりあえずこの二人のやり取りを見てから行動することに決めベンチに腰を落ち着けるとじっくりと観察をはじめる。

「いきなり光とともに現れたから、それがどうしたというんだ?何か問題でもあるのか?日本の法律に触れるのか!?そして君の家はマンションなのか?」

(ああ~、あの娘がひるんだとみて畳み掛けにいったね。)

「え~と、その・・・・うちは一応一戸建てだけど――」

(なんかけんか腰のとことか勢いに飲まれると弱いとことかアスカに似てるな。)

「世の中には訳の分からないことなどいくらでもある!余計なことに首を突っ込んでいる暇があったら、学生らしく家に帰って宿題でもするんだな・・・・では、さらばだ!!」

 男は背を向けて歩き出すが、すぐに呼び止められた。

「ちょっと待ちなさいよ!ごまかそうったってそうは問屋が卸さないわよ!!」

(ううっ、やっぱり!?)

(今時の女子高生は問屋って言葉を使うんだ)

 妙なところで感心しているシンジだがすでに忘れられているのが悲しいところだった。

 しかし、シンジは決定的瞬間を目撃した。男に向かって少女が鋭利な物体を投げつけたのである。

 男は動物的勘でそれをキャッチしたようにシンジには見えた。

「こ、これはボールペン!?」

(ボールペンか・・・中に錘でも仕込んであるのか・・・・アスカ以上に危険だ。)

 更に、少女はボールペンを次々と投げた。男は次々と受けとめたが

「あ」

「へ!?」

 手元が狂ったのかシンジのほうへ飛んできてしまった。

 とりあえず不意打ちではあるが飛来するそれを手刀で叩き落すシンジ。

「・・・危ないな。もうちょっと練習したほうがいいよ。」

 すっかり傍観者と化して忘れられたシンジが簡単に棒手裏剣と化したボールペンを迎撃した事でようやくシンジは当事者たちの中に加われたようなきがした。

 シンジは気づかれないようにさりげなくいつでも攻撃できるように間合いを詰め出す。しかし、男のほうが気づいてしまう。

 「いや、そういう問題じゃないと思うが(この殺気は・・プロの暗殺者か!?)・・・それはともかく・・・何をするんだ!?危ないじゃないか!」

「簡単にキャッチするなんて・・・あんた、只者じゃないわね!?そっちの奴もただ通行人Aとみせかけておいてかなりのシノビね!?」

「いや、君も相当なもんだと思うけど・・・・」

「勝手にシノビにされても困るんだけど・・・(まあ・・一通り使えるけど)」

「おだまり!」

 少女は無意味にハイテンションで竹刀袋の口を解き赤樫の木刀を構える。

「どう考えても怪しすぎるわ。何がなんでもあんたたちの正体、暴いて見せる!」

「ま、待て・・・話せば分かる」

「僕は知らない間に仲間にされてるし」

「問答無用!!」

 言うなり少女はポニーテールを躍らせながら踏み込み、烈風のような突きを放った。

(これは――!)

 男は上体をひねって避けたが少女の攻撃は止まらない、一瞬だけシンジと目が合ったがその目は興奮していて殺気だっていた。

「痛あ――っ!!ほ、本気で殴ったな?今のは手加減しなかったろ!?」

「そうよ、本気と書いてマジと読むのよ!これ以上痛い目にあいたくなかったら潔くはなすことね!」

 少女はすり足でじりじりと男に間合いを詰め掛ける。シンジから見るにとても“うれしそうに”見えた。

「あんたいったい何者?どっから来たの?まさか歴史を変えるために未来からタイムマシンで―――」

「それじゃターミネーターだよ。」

「じゃあ、宇宙人が地球偵察のために送り込んだアンドロイド?」

「アンドロイドが木刀で殴られて痛がるか!?」

「それだけ性能がいいのよ!」

「無茶苦茶な・・・・」

「それで嫌なら超能力でテレポートしてきたんだわ!」

「ん~・・・じゃあ、それでいいよ。」

「ウソね!絶ぇーっ対、そんなはずないわ!!」

「どっちなんだよ!?自分で言ったくせに・・・」

「ええい、問答無用よ!」

(漫才のようなやり取りだ)

 攻撃されながらもまたもや蚊帳の外に出されてしまったシンジは半ば呆れながらこのやり取りを見ていた。しかし、自分もいつでも襲いかかれるように気構えを持っている。問題は男の実力が計り知れないことだった。

(構えを変えた!?)

 男は明らかに何かを狙ったような姿勢―爪先立ちになって背中を丸め、逃げ腰に見える奇妙な構え―をとる。

 シンジがこれで決着がつくだろうと今までにもまして集中して戦いを見た。

 少女が多少の警戒は見せたものの正面から踏み込んでいく。すると、男が滑るような歩き方で間合いを詰めて木刀をふり上げた一瞬の隙に少女の死角に入り込む。

「―<南雲流無刀取り>!!」

パンッ!

(カウンター!!はいった!!)

「あ、しまった―――」

「え、しまった?」

 崩れ落ちる少女を抱え、男は青ざめる。そんな男を眺めながらシンジは気配を殺して男の近くに寄っていった。

「まいったなあ・・・・」

「落とす気じゃなかったんですか?完璧に入ってましたけど。」

「しまったもう一人いた!」

 すっかりシンジの存在を忘れていたらしい男は、解決した事件をまたぶり返された犯人のような顔をしていた。

「いや、まあ忘れられてもね・・・・」

 苦笑いしながらシンジが頬をかき、男が難しい顔をする。

「ん?」

 さっきまで乱闘を演じていた場所に落ちているものを発見し、シンジは手に取った。それは生徒手帳でグレーの表紙を開いて中を見ると、少女本人の顔写真が載っている。

「大門高校二年B組、御剣涼子・・・・・」

 男にも見えるようにシンジが開いた面を男に掲示する。

「あ~なるほど、な。」

 やけに説得力ある名前にシンジも男も腑に落ちた気分になった。

「ふむ、ではこの子は俺が責任もって家まで送り届けよう。手帳を貸してくれ」

「はい。」

「すまない。」

 シンジが手帳を渡すと男は少女をおぶりその場を離れようとする―――――――が、

「って、ちょっと待ってください!!」

「う!ま、まだ何かようかな!?」

 男の顔が引きつる。

「ベタな誤魔化しにひっかかるところだった。あなたはいったい!?」

「はははは、え~とちょ超能力者ってことにして置いてくれないか?」

「ダメに決まってるでしょう!?」

「やっぱりか・・・?」

「どうしてもごまかすって言うんなら、こちらにも考えがあります!」

「ああっ!!もうわかった!!話す!話すから!」

 殺気の乱闘で懲りていたのか、男がうんざりしたような口調で言った。

「ただしコイツの家に行く途中に話しながらだぞ?」

「分かりました。」








 そして道中―――

「それで・・・あなたの名前は?」

「人に名前を聞く時は自分の名前から言うもんじゃないのか?」

「ム・・・碇シンジです。」

「俺は南雲慶一郎だ。」

 とりあえず自己紹介する二人。シンジは出鼻をくじかれて少々機嫌が悪いが慶一郎は落ち着きを取り戻したらしく人を背負っているのに全く呼吸が乱れていない。

「で・・・その南雲さんは、なんであんな所にいきなり?」

「う~ん」

 慶一郎は低くうめいて、面倒くさそうに顔をしかめるがシンジの殺気が再び大きくなるのを感じてしゃべりだした。

「説明してもいいけど・・・たぶん信用しないと思うぞ。」

「それは僕が決めることです。さっさと話してください。」

 切れるような殺気が先程とは逆に小さくなっていくが更に鋭く密度の濃いものになっていくのに慶一郎は気づいた。

(コイツは明らかに実際の殺し合いをしたことがあるな。かといって前にあった少年兵の特殊部隊って感じじゃないが・・・ともかく『危険』なことには変わりないか・・・)

「いいだろう。簡単に言うとだ・・・俺は地球上には存在しないソルバニアと呼ばれる異世界へ魔法で召喚されたんだ。さっきのは偶然戻ってきたところに遭遇したわけだ。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・どうやって?」

「え?」

「どうやってですか?」

「信じるのかこんな話!?」

「ウソなんですか?」

「いやウソじゃないが・・・・」

「じゃあどうって行ったんですか?」

「む・・・こいつを媒介に呼び出されるらしいが・・・・」

 そういうと慶一郎はTシャツの下から青いペンダントを出し、シンジに見せた。

「ちょっと貸してもらっていいですか?」

「まあ・・・いいが・・・」

 あまり気のすすまない慶一郎に対して強奪するような感じでシンジはペンダントを奪い取る。

「見ても分からんと思うぞ。」

「そうでしょうか?」

「なに?おい、何をする気だ!?」
 
「<書―展開>」

 そうシンジがつぶやくとまるで浮き出る様に闇から一冊の本が現れシンジの左手に納まりひとりでに開いた。

「第三分類制限一時解除申請する―――クリア。解析開始―――対象、第二種精神感応物質。」

 幾何学的な図形の刻まれた魔方陣がペンダントを飲み込んだと思うと今度は平面だった魔方陣が立体になる。

「お、おい!何してるんだ!?」

「黙ってみててください。ただの立体型魔方陣です。」

「いや魔法陣って・・・」

 やがて数秒すると魔方陣は消え元のペンダントに戻る。いつのまにか本も消えていた。

「なんだったんだ?」

「ふむ・・・ありがとうございました。」

「あ、ああ。」

 慶一郎はペンダントを返してもらうと同時にシンジの殺気が消えているのに気づいた。

「あなたの言い分はわかりました。」

「わかったのか!?」

 これは慶一郎にとって、予想外なことであった魔法で召喚されるなどばかげた話信じられないだろうと思っていたからである。

「はい。」

「信じられん。」

「は?」

「何だいまのは!?」

「魔法でその石から情報を読み取ったんですけど・・・・」

「魔法?」

「はい」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 再び沈黙が訪れる。

「信じてないんですね!?」

「・・・・・いや、信じよう。」 

「・・まあ、どっちでもいいですが・・・・」

「しかし、そんな技術どこで覚えたんだ?」

「異世界です。」

「は?」

「ソルバニアじゃないですが・・・僕も異世界やら平行世界やらにはにはどうも縁があるので・・・・」

「本当か!?こういうのは俺だけだと思ったんだが・・・」

「まあ、事情は違いますし・・・」

「そうか・・・ってこっちの事情はわかってるのか!?」

「え~と・・・たしか『ウィラード・ゲイツ』って人を倒してその報復から助けてもらったから異世界に召喚されて怪獣と戦ってるんですよね?」

「まあそうだが・・・すごいな。それが、魔法か。」

「まあ時間をかけなかったのでこのくらいしか分からなかったんですけど、まあ事の真偽を確かめるだけでしたので・・・・」

「じゃあさっきの考えって言うのも・・・」

「はい、ちょっと頭の中をのぞかせてもらおうかと・・・・まあ、結構時間がかかるので実際には拘束でもしないとやりづらい魔法なんですが・・・」

「そうか・・・・それは俺にも 「無理です」 ・・・なんでだ?」

「世界の法則が違うし・・・僕も制約がかけられていて使う時はいちいち<書>を呼ばないと使えませんし・・・・」

「そうか・・・」

 慶一郎は残念そうな声をだすも実際はそんなことよりも自分と同じように異世界がらみの人間に初めて会ったことで頭がいっぱいだった。

「あ、そろそろじゃないですか?その涼子さんの家。」

「ああ、そのようだ。」

 高台に作られた急な階段が見えてくる。

「では、僕はこの辺で失礼します。下宿先にも挨拶しなければいけないし・・・・」

「下宿?」

「ええ、実は今日ニューヨークから着たばかりなんです。」

「ほう、奇遇だな。俺も昨日ギアナからな。」

「へえ・・・ずいぶん偶然ですね。」

「人の縁ってのはそういうもんさ。好きだろうが嫌いだろうが、縁がある奴は縁があるんだ。」

「なんか、実感こもってますね。」

「まあな・・・」

 二人の間に多少の間があく。

「じゃあ・・・これで『縁』があったらまたあうでしょう。」

「ああ・・・また『縁』があったらな・・・」

 そうして二人は分かれた。

続く



[84] Re[2]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/08/21 18:58
Episode『2』






 南雲慶一郎と別れたあと碇シンジは板橋区にある下宿先を訪れていた。

「ふう、すっかり日が暮れちゃったな・・・・もう8時じゃないか・・・・」

 ブツブツと文句をいいながら人気のないとおりを進んでいくこと20分足らずのところで『飛天神社』とかかれた石塔の前に立ち、ため息をつくと上に続く長い石段をゆっくりとあがり始めた。

「・・・そういえば日本の東京って初めてなんだなあ・・・・第三に似た雰囲気がある。第二新東京もこんな感じだったのかなあ・・・」

 今は(世界すらも)亡き、第二新東京市と第三新東京市に思いをはせる。

「綾波・・・カオル君・・・父さん・・・ミナト・・・あれ?ミコトさんだっけ?」

 実際問題、ほかの世界で20歳強まで生きてきてまた16年間過ごしてきたシンジにとってどうでもいい存在は記憶から薄れてきてしまっていた。

「・・・まあいいや、今度アスカにでも聞いてみよう・・・・」

 考えることを放棄したらしいシンジは、古い苔むした石段を上り終わり境内に入った。

「これは・・・」

 そこにあったのは当然のごとく『神社』であった。ただし、神社だけではなかった。

「殺気!?」

 多少、なりとも使徒との戦闘を経験し異世界で戦い抜いた(結局、戦死した)男であるシンジは自分に吹き付けてくる冷気のような殺気に気づく。

(―――!!)

 とっさに腰をかがめ高く跳躍したシンジは赤い鳥居の上に立つ。みれば今までシンジのいた場所には木刀を手にした白い影が立っている。高さにしてざっと4メートルほど跳んだが特にシンジに無理をした感はない。

「・・・・・っ!」

 おそらく相手よりも高位置にたったであろうシンジがその相手を確認しようとする。しかし、二の腕がほんのわずかに切られていることにいまさら気づく。

タンッ

 白い影が飛翔した。

 シンジがそれにあわせて跳躍する。とりあえず鳥居の分だけシンジの方が高く跳躍できたが白い影も4メートルは軽々と飛び越えた。

「喝ァッ!!」

 白い影が鋭い気合とともに木刀を振るった。

 唸りを上げる木刀から不可視のの波動が放たれ猛獣のような勢いでシンジに襲い掛かった。

「うわっ!!」

 それにたいしてシンジは体をに捻るようにしてぎりぎりのところでかわそうとしたが何分、目に見えないためわき腹を切られてしまう。

 それでもなんとか体勢を立て直すために側転のような動きを左腕の力だけで実践しそれまでいた位置から5メートルほど離れた場所まで移動した。

「いったいなんなんだよ!!あんたは!!」

 迎撃され続けられては面白くないのでシンジも独自の構えを取る。左の掌を天に向けて相手につきだしながらエヴァが暴走した時のような猫背で右の掌を左手の下へ突き出して構える。

(・・・・天狗?)

 返答がないのでよくよく観察してみると影は作務衣に似た白い着物のシンジと代々同じくらいの背丈の男だった。男の顔には文字通り天狗の面がかぶられている。

「何者だ?僕の敵か?」

 その問いの代わりといわんばかりに<天狗>は無言のまま恐ろしい速さで飛び込んできた。

 それに対してシンジは目をつぶり視覚以外の感覚で対抗することにした。

(分かる!!)

 <天狗>の斬撃を紙一重でかわす。しかし、天狗の斬撃は連続して叩き込まれるたためすさまじい集中力が必要となった。

「くっ!」

ギシィ

 木刀をかわし切れなくなったシンジは右膝で木刀の柄に近い部分を受け止めることで<天狗>の猛攻を防いだ。

(い、痛い・・・・・)

 シンジの見たところ<天狗>は先程の涼子と違って間違いなく本物の達人であった。真剣ならばシンジの右足は切断されていただろう。

「しかたない!今度はこっちから行く!」

 再び、戦いの構えを取ったシンジはうなり声にも聞こえる息吹きの声を上げた。“この世界”で覚えた特殊な呼吸法により自身の生体エネルギーを戦闘エネルギーとして扱う技術である。シンジはこの技術をATフィールドを自己の性質に合わせて変化させたものだとにらんでいるが詳細は定かではない。

「――――――」

 シンジの声にならない気合の言葉が半もれる。左足を弓のように突き出し右手を矢のように引き絞る。そうすることでシンジは右手に高圧に練り上げられたエネルギーを蓄積したのだ。

「―――<鬼哭飛燕>!!」

 引き絞ったエネルギーを捻りこむように右手に乗せて突き出す。高圧のエネルギー弾が捻れるような螺旋の尾を引きながら<天狗>に向かって襲い掛かった。

 襲い掛かったが

「飛天流・絶刀――<残月閃>!!」

「はあっ!?」

 木刀の刀身が<鬼哭飛燕>を叩き割る。そして放たれた洗練された<剣氣>が<鬼哭飛燕>の尾を引き裂いた。

ゴスッ

「くあっ・・・」

「ふ・・・・まあ、合格にしておいてやろう。」

 技自体は若干<残月閃>の方が優勢で残りの波動を避けたシンジだったがその隙を突かれて脳天に唐竹割りを食らってしまった。

「な、なんでさ・・・」

 薄れ行く意識の中で見た<天狗>の正体は彫りの深い見事な白髪の老人だったがそのギラギラと輝いて見えた二つの目だけが特に印象に残った。






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!!」

 目の覚めたシンジは、一言。

「知らない天井だ。」

「あたりまえだ。」

 ビクッっとして声の主を確認するシンジ。

「てってて天狗!?」

「む、寝ぼけておるのか?では一撃・・・・」

「い、いえ。寝ぼけてません。」

 本気で切りかかろうとする<天狗>の中身?に慌てて弁解する。それに対して天狗は見定めるようにシンジを見つめた。その貫くような視線に対して冷や汗が出る。

「ふむ、貴様が碇シンジか。今時の若いのにしてはなかなかやるようだ。さすがゲンドウの息子といったところか・・・・」

 シンジは突然、父の名が出て戸惑った。

「・・・父のことをご存知なんですか?」

「何をいっておる。あの男が貴様をここに預けると連絡をしてきたのだぞ。」

「・・・ということは、あなたが『鬼塚鉄斎』さん?」

「その通り。さっき襲ったのはゲンドウに煮るなり焼くなり好きにしろといわれていたのでな。小手調べに襲わせてもらったのだ。」

「ははははは・・・そうですか。小手調べですか。(父さん、やっぱり可愛くないよ。あんた悪魔だ)」

 密かに?父に対して復讐を誓うシンジだったが、今は先方の前だということで気を取り直す。

「え~と・・・それで小手調べの結果はどうだったんですか?」

「うむ。動きからして結構な修羅場を潜り抜けてきたようだがまだまだだな。最後の一撃はなかなか殺気がこもっていて良かったが。・・・あれは『神威の業』か?」

「え!『神威の拳』を知っているんですか!」

「いや、若いころに少々な・・・・」

 その話を聞きたかったが鉄斎が気が進まないようなのでシンジは断念することにした。

「はあ・・・まあそれはいいとして・・・ここは?」

「ここは、神社の裏手にある本邸の二階の部屋だ。今まで使っていなかったが掃除はしてある。ここの部屋を使うが良い。」

「あ、はい。ありがとうございます。」

「それと、この部屋の右隣の階段をはさんだ側にある部屋にはしばらくしたらもう一人居候が増えるのでな。」

「え、もう一人来るんですか?」

「うむ。昔、お前と同じ年頃にそこを使っていた居候がまた帰ってくるらしいのでな。本当はもう来てもいいはずなのだが未だに来ん。もう11年も連絡もせなんだ癖に・・・来たら一撃くれてやらねば・・・」

「はははは・・・・・(もしかして、戦いたいだけなのか?)」

 更に冷や汗を出して警戒するシンジ。実際自分ではかなわない事は実を持って分からされたので、下手に逆らうことは許されなかった。

「ところでなんだかもう一人いるような気配がするんですが・・・」

 とりあえず、話題を変え気になっていたことを聞いてみる。鉄斎のような気迫はないが他にも人物がいることに気づいていたからだ。もっともその人物は寝ているようだったが・・・・

「孫の美雪がいる。今年で中学二年になったな。もう深夜1時だから寝ているがな。」

 淡々とした口調で話される。

「えっと・・・その美雪ちゃんのご両親は?」

「死んだよ。飛行機事故でな。もう四年になる。」

「・・・そうですか。」

「そういえばお前も幼いころに自己で母親をなくしたと聞いたが・・・」

「ええ。5歳か6歳のときだったと思いますが・・・・」

「あのころのゲンドウはひどく荒れていたからな。」

「そうですか・・・僕は葬式のあとすぐにドイツに渡ったので・・・」

「そうか・・・・」

 二人の間に重たい沈黙が訪れる。シンジも鉄斎も遠い目をしているが二人とも見ているものは違う。先に鉄斎の方が現実に帰ってきた。

「そういえば荷物の中に刀があったのだが・・」

「見たんですか!?」

「いや、運んだ感覚がな。」

「感覚って・・・・・」

「まあ良い、見せろ。」

「いや、その・・・」

「見せろ。」

「はい・・・・」

 ゲンドウ並みのプレッシャーを当てられてシンジはおとなしく刀を出した。

 鉄斎はその刀を抜き放つとその鈍く光り輝く刀身に見入った。

「ほう・・・『関の孫六』か・・・しかも、かなり使い込んでおるな?」

「まあ、『身を守るため』には多少の過剰防衛も仕方がないですからね。銃とかと違って使ってもなくならないし。」

「では、そのうち立ち会ってみるか?」

「遠慮します。一応そっちの方もやってますけど・・・」

「・・・・まあ良い。」

 そう言って刀を納めてシンジに返すと

「お前の年齢だと高校2年か・・・行く当てはあるのか?」

「いえ、というかアメリカに長期滞在しているときに向こうの大学を卒業しているので無理して行くことないんですけどね。」

「そうか。」

「そうです。」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

「今日はもう遅い。もう寝るがいい。」

「はあ・・・」

 そう言うと鉄斎は部屋から出て行ってしまった。

「はあ・・・」

 シンジの部屋からため息が漏れたかと思うと静かに明かりが消えた。


続く






あとがき

 なんだか、その他に入れた方がいいのか迷うような感じですかこれはエヴァ小説ということで割り切っています。なんだか毎回中途半端なところで切れそうな感じです。それとシンジ君の属性が決まらずなんだか微妙な感じです。そのうちはっきり決めたいと思います。



[84] Re[4]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/08/22 17:24
 Episode『4』

 




 草という男はわりと大柄といっていい男だ。年のころはシンジと同じくらいで赤銅色の肌と虎縞の鉢巻が獣っぽさをアピールしている。漠然とシンジは自分の関西弁の友人のことを思い出してた。

(トウジ・・・・より馬鹿っぽい?)

 何気にひどいことを考えていた。

「シャアァッ!!」

 草の最初の一撃は蹴りであった。力強い唸りを上げながらシンジのわき腹を目掛けて打ち込んだ。

「―――」

 シンジは、片目をつぶって左手を突き出すと草の蹴りに合わせて掌を返し半歩下がって衝撃を反らすと勢いのあまった草の蹴りを追うように体をねじり草の後頭部目掛けて後ろ回し蹴りを放つ。

ギシッ

 体勢を崩されながらも反射的に左腕でガードした草だったが骨のきしむような音ともに2メートルほど後方に吹っ飛んだ。

「っ痛ぅ―――やるやないか!!」

 草にしてみれば最初の一撃でしとめるつもりだったので反撃は予想外だったのである。ただ、その瞳には驚きよりも喜びのほうが勝っていた。

ワァアアアア

 観衆がどよめく。それほどこの草という少年は圧倒的な強さなのだろう。

「くぅううう!!面白いわ!!やっぱケンカってのはこうでないといかんなァッ!!」

 うれしそうに笑いながら体を小刻みに前後に振りながらチャンスをうかがう草。

「そうだね。闘いってのはある程度実力が近くなくちゃ面白くない・・・」

 シンジは腰に力を入れるような体制をとると片目を閉じたまま一回、深呼吸をしゆっくりと草を見据えた。

「今度は・・・・こっちからだッ!!」

 ピッ

 ほぼ無音でシンジが草に飛びかかる。草に比べてシンジの攻め方は豪快さにかけていたが、その分研ぎ澄まされたナイフのような鋭さが優美な動きに見せていた。

「おうっ!」

 駿足の動きでの連続攻撃は着実に草の体にダメージを与えていく。

回し蹴り、回転打ち、肘、突き

 舞うような連続技にもかかわらず周囲に響く音は草へ当たった打撃音だけである。シンジの繰り出す技は風を切る音もしなければ踏み込む音すらしなかった。正確には音はしているが小さすぎて聞こえないのである。

 シンジの連続攻撃に草は十字受けで防いでいたがそれ以外の場所を攻撃されるのでガードが間に合わない。

「く・・・・調子に――――のんなァ!!」

 草が叫ぶと同時に迫っていたシンジの蹴りを右手でつかむ。利き足を握られてしまったシンジは天地さかさまな状態になり左手アスファルトにつけて体を支えなければならない状態になった。

「せいりゃァ!!」

 シンジをそのままの体勢に固定した草はニーキックでシンジの腹に強烈な一撃を入れた。

「か・・はッ!!」

 たまらずシンジがうめき声をもらすとそのまま連続的に蹴りを叩き込む。

「どりゃあァ!!」

「ぐ!!」

 ズン  ズン  ズン  ズン

 広場自体に重い打撃音が木霊する。いかにも効いていいるようなくぐもった音だ。

「ちィッ!!」

 蹴りの合間を見てシンジは左手のアスファルトにつく力を更にこめる。

 利き足でない方の足で加速をつけるとまるでコマのように回転し草の体を弾き飛ばす。

「うおっ」

「まだまだ!」

 勢いづいたシンジはそのまま草に関節技を仕掛けようとしたが、冷静さを取り戻した草は注意深く距離を取りシンジの攻撃は失敗した。

「――――」

「――――」

 5メートル程はなれたところでにらみ合いを続けるシンジと草。

 ギャラリーが息を呑む音が聞こえてくるような異様なまでに静まり返った広場の中はピリピリとした緊張感が重たい空気となって漂う。

「――――ッ」

 シンジが再び仕掛ける。先程、足首を掴まれた力からすると若干自分の方が劣っていると感じたためだ。

「いっくでェ!」

 草の攻撃とかち合う。競り押したのはシンジだった。破壊力を決めるのは力だけではない。スピードと技術は自分が勝っているとシンジは確信した。

「フッ!!」

「セイッ!」

 速度自体は若干の差であり攻撃自体は二人ともクリーンヒットを当て続けた。

 だんだんと二人の衣服がボロボロになっていく。そしてしばらく闘い続けたあと再び二人は距離をとった。

 シンジはだんだんと気持ちが高揚していくのにたいして内心冷静になっていく自分に気づいた。以前、ゼルエルに殴りかかった時のように気分がすごくハイになってがむしゃらになったのとは違う。シンジは片目を開き一度草を注視する。相手もひどく興奮しているようだが嬉しそうなのは変わりない。内心で笑いをかみ殺すと再び片目を閉じる。

「へっ!どうやら、このままやと決着がつかへんようやなァ!!」

 草がひどく嬉しそうに言い放つ。

「でも、このままいけば僕が勝つ。」

 苦笑しながらシンジが言い返す。確かに体力的にも技術的にも若干シンジの方が勝っていた。

「アホか!勝つのは俺や!これから俺の<切り札>で一発や!」

「切り札か!」

 その言葉を聞いてグッとシンジが身構える。それに答えるようにして草が半身の構えを取り、胸を大きく膨らませて高い息吹きの声を上げる。

「ヒュゥゥゥ―――・・・・」

 シンジは草の体内に高度な熱量を持った霊的エネルギーが集まるのを感じ取った。発せられる熱気の影響か草の体が揺らめいて見える。シンジの霊的な視覚は草の体に纏う炎の神気が虎の形をしているように見えた。

(来る!)

「<赤いィ―――牙ァ>!!」

 アッパーのモーションから炎の神気が放たれる。

シュゥゥウウウウウウ

 高温の火柱のような<神気>がシンジの体を襲う。それは火口から襲い来るマグマのような印象をシンジ与えた。

(火山の火口にもぐった時に比べれば何とか耐えられるはずだ!!)

 そしてシンジは真っ向から<赤い牙>を迎え撃った。

「あれ?」

「は?」

 間抜けな声を出す二人・・・・なぜなら<赤い牙>はシンジに全くダメージを与えることなくシンジにぶつかった瞬間火花を跳び散らし霧散してしまったのだ。

「え~と・・・・今のが切り札?」

「な、なんでやねん!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 気まずい空気があたりを支配した。今の現象の詳細はこうである。草静馬の神威の拳『炎の虎』の遠距離技『赤い牙』は神気の密度が物凄く薄かった。 これは正式に神威の拳の修行を受けていないことと神威の拳の詳細を知らないため訓練自体できなかったためである。これはシンジも同じであるがシンジの場合『ATフィールド』の知識があるためある程度『神気』の特性を理解していたのと元来真面目な性格が幸いして色々と研究していたことがあり『神気』の錬度に大きな差があった。
 それに加えてシンジは草の『切り札』発言で強力な神気攻撃が来ると思い神気を体に溜め込んでいたのである。結果、<赤い牙>は鉄壁と化したシンジの神気に吹き散らされてしまったのだ。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 拍子を抜かれたようなシンジに対して草は焦りまくっていた。草、最大の技が簡単に破られてしまったのである。先程までの笑いは消えている。

「・・・・・じゃあ、次はこっちからいくよ?」

「なに!?ちょっとまてや!」  

もちろんシンジにまつ気などない。あたふたしている草を尻目に体内に蓄積された神気を開放すると、シンジの体から紫がかった銀色の『神気』が輝きだす。

「な、なんやそれは!?」

「<月光鬼龍>とでも呼んでくれればいいさ。まあ君の<炎の虎>にあたるものだよ。」

 せっかく楽しめそうな闘いだったにもかかわらず結局つまらない『オチ』が付いてしまったのでシンジは機嫌が悪くなった。どこか口調も投げやりである。

「シュゥゥゥ―――・・・」

 息吹きの声が場に大きな緊迫感を与えギャラリーも声を発さなくなる。急速にシンジの纏う神気がねじれるようなうねりを見せはじめ突き出した両手に鬼のような紫の一本角を持つ龍を形どる。

「―――<鬼龍翔撃牙>!!」

 シンジの両手から放たれた<鬼龍翔撃牙>はうなりを上げ草に襲い掛かる。とっさにかわそうとする草だが紫の神気は草に追従するように動きをあわせかわすことが出来ない。

ドォォォオン

 ダイナマイトのような爆発をあげ、草は吹き飛ばされた。ざっと10メートルは吹き飛んだようだ。

「ぐ・・・・・・まぁだ・・・まぁだやァ!!」

 もはや根性だけで立ち上がる草。しかし、もはや闘えるほどの力が残っていないのはギャラリーから見ても明らかだった。それに対してシンジは一瞥すると感情のこもらない声で言った。

「無様だね・・・・」

「なんやとォ!」

「もっと強くなってから再戦だ。それまで勝負は預けておくよ。」

 そう言ってシンジは体を翻すとそのまま走っていった。

「まてぇ!!俺は!俺は!まだ、闘えるんや!闘えるんやァ!!」

 その場には力なく片足ついた草と呆然としたギャラリーが静かにその場に存在していた。 

 しかし、この事件においてシンジは草静馬から勝ち逃げした『静馬より強い男』としてうわさが広まることとなるのだがこのことをシンジが知るのはしばらく後のことである。
 





 あたりもすっかり暗くなってしまったころようやくシンジが鬼塚家に帰ってきた。

「・・・?」

 妙に静かというか、湿っぽい雰囲気がする。どうやら例の居候が帰ってきたらしい。今朝はなかった気配が増えている。とりあえず、帰ってきたことを伝えに置くの八畳間まで進む。

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

 そこにいたのは美雪と鉄斎とえらく湿っぽい大男―――南雲慶一郎だった。

「・・・ただいま戻りました。・・・・何なんですかこの湿っぽさは?」

 とりあえず鉄斎に尋ねるシンジ。もちろん美雪に聞いても答えてくれないかもしれないし慶一郎に聞くには彼は心ここにあらずといった感じだった。

「シンジか・・・この馬鹿に娘夫婦が死んだことを話したらこのざまだ。」

「はあ、なるほど。」

「・・・・」

「・・・・」

「ところでずいぶん遅かったな。何かあったのか?」

「ちょっと、野試合を申し込まれたので・・・」

「ほう・・・・勝ったのか?」

「あれは・・・こっちの勝ち逃げでしょうか?」

「そうか。勝ったのならば良い。」

 あまりにショックが強かったのか慶一郎は微動だにしない。まるでシンジに気づいていないようだった。シンジと鉄斎の会話にまるで反応しない。美雪は相変わらず無表情だがどことなくさびしそうな雰囲気を感じさせていた。

「・・・・いつまで呆けておる!!しっかりせんか!」

 鉄斎の喝が飛び、一瞬慶一郎の肩が震えるとようやく正気に戻ったようだ。

「・・・・鉄斎先生?」

「うむ。」

 いまだうつろだが確かに意識を持ち直しているようだ。大丈夫だろうと判断した鉄斎がシンジを紹介する。

「慶一郎。こやつが今、うちに居候しておる碇シンジだ。・・・・シンジ、この馬鹿がもう一人の居候の南雲慶一郎だ。」

「・・・碇シンジ?」

「はい、よろしくおねがいします南雲さん。」

 いぶかしむ様な慶一郎に対しシンジが無難に挨拶する。やがて慶一郎もシンジのことを思い出したようだ。

「君は・・・昨日の?」

「はい。どうやら縁があるようですね・・・・」

「何だ、知り合いか?」

 見知った顔にあったという反応に鉄斎が探るような目つきで問い掛ける。もはや美雪は部屋のマスコットと化していた。

「ええ、昨日ちょっと・・・・」

「そうか」

 慶一郎はシンジに対して警戒心を抱いていた。鉄斎の遠縁ということは自分とも親戚関係にあるということだがシンジにどこか得体の知れない何かを感じていた。

「・・・・碇は・・・」

「あ~これから一緒に住むんだしシンジでいいですよ。」

「・・・シンジはなんでここに居候してるんだ?」

「それは・・・・・・・人探しって言うか・・・修行のためって言うか・・」  
 シンジの歯切れの悪い答えに慶一郎は口をつぐんだ。今は死んだ美雪の母親のことで胸がいっぱいだったのだ。

 再び場に沈黙が訪れるかと思いきや、案外そんなことにはならなかった。

「まあそんなことはどうでも良い。・・・さっさと晩飯しするぞ!」

 鉄斎の言葉は絶対である。鬼塚家のヒエラルキーでは鉄斎に逆らうものは許されない。そのことが昨日からのことで分かっているシンジと体にしみこんでいる慶一郎の行動は迅速かつ的確で速やかに鬼塚家の晩御飯は執り行われた。








      ☆

「あ~慶一郎先生、いってらっしゃい。」

「・・・・」

「ああ。」

 翌日、どうやら吹っ切れたらしい慶一郎を見送り(慶一郎の職業が教師だと聞いて慶一郎先生と呼ぶことにした。)、シンジと美雪は朝食の後片付けをはじめた。

 無言。

 とにかく無言。

 鉄斎は所用で出ているため不在。

 常人にはきつく感じる無言空間も綾波レイとの経験があるシンジには耐性があった。特に問題もなく仕事を片付けていく。

 それも終えたころ

「じゃあ、美雪ちゃんお茶でも飲む?」

「・・・うん」

 美雪と友好関係を結ぼうと努力していたシンジの耳に聞こえる音があった。

チリ―ン・・・

 涼やかに澄んだ、鈴の音に似た響きである。

チリーン・・・

「風鈴の音?」

 シンジが美雪に尋ねるようにささやく。

「・・・・」(ふるふる)

 美雪は首を横に振って答え音のする方を向き歩き出す。

「あ、ちょっとまって。」

 あわててシンジが美雪を追いかけると、居間で美雪を発見したが美雪は手に何かを持っているようだった。

チリーン

「なにもってるの?」

「・・・・これ・・」

 美雪が出したのは慶一郎の青いペンダントだった。どうやら気が動転していた時に忘れていったらしい。

チリーン

 どんどんと音が大きくなっていく。

「・・・・これってもしかして・・・」

 シンジはこの前の慶一郎との会話を思い出した

『魔法で異世界に召喚されたんだ』

 そして、白い閃光が瞬いた。

「やっぱり・・・・?」

「あ・・・」

 シンジの嘆くような声と美雪の驚いたような声は光に飲み込まれそして誰もいなくなった。  
 
 
続く


あとがき

 ようやく主要キャラが集まってきました。エヴァキャラはシンジ以外ではゲンドウしか出てません。もっと出さなきゃまずいかな?とりあえずシンジ君の属性は『月』になりました。静馬君に勝っちゃいましたがこのころのこの人は弱いのでしかたありません(言い訳)。



[84] Re[8]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/09/05 16:38
ある世界で『第三新東京市』と呼ばれ

現在では『箱根』と呼ばれる避暑地。

その地下深く自称『正義』、他称『悪』の総本山。

『世紀末の悪魔』と呼ばれる男“碇ゲンドウ”率いる『ねるふ』の牙城である

ちなみに構成員は国際公務員であり日夜、世界の平和のために戦い続けているという・・・・・・


Episode『8』


 鬼塚家の食卓。


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


 四人という家族構成としては多からず少なからずといった人数で囲む食卓は静まり返っていた。


(さ、寒い・・・寒すぎる!)


 この心情は慶一郎の心の叫びである。決して料理がまずいわけではない。
白いご飯、豆腐の味噌汁、魚の干物、納豆、海苔、たくあんなど素朴さはあるが純和風の朝食であり海外放浪の長い慶一郎にはご馳走であった。基本的に鬼塚家の食事は鉄斎と美雪が作る。それはシンジと慶一郎がこの家に来てからまだ変わってはいない。


 慶一郎の不満はこの食事の静けさにあった。鉄斎が静かなのはともかく、美雪とシンジまでもが無言である。その静けさ慶一郎の初恋であった美雪の母『美咲』のことを慶一郎に思い出させる。


 しかも忘れ形見の美雪は慶一郎に全くかまってくれなかった。シンジには割りと懐いているようでたまに話しているところを見かけるが慶一郎のことは意識の外に追い出しているようである。


(俺はまるで石のタヌキだ・・・・)


 慶一郎は自分をそう称した。この原因は慶一郎の方にも付き合い方が分からないという理由があったが慶一郎にとっては難題であった。


「・・・・」


 そんなこんなしているうちにいつもより10分ほど遅れて慶一郎は玄関に立った。見ればいつもの巫女服で神社の方に言う美雪が見える。そしてなぜか『和服』に身を包んだシンジが慶一郎の元にやって来た。鉄斎が作務衣、美雪が巫女服、そしてシンジは江戸時代の武芸者のような格好そして場所は神社。むしろ軍人っぽい慶一郎の方が異端であった。


「すっかり忘れてたんですがこれ置き忘れてましたよ?」


 結局慶一郎のことを先生と呼ぶことに落ち着いたらしいシンジが『ソルバニアの石』を差し出す。


「そうか。ほかの事で頭が一杯ですっかり忘れていたが・・・・すまんな。」


 そういうと慶一郎は差し出されたペンダントを受け取り怪訝そうな顔をする。


「俺がいないときに美雪ちゃんが飛ばされていたらと思うとゾッとするからな。」


 嫌な想像をして更にブルーになる慶一郎にシンジは追い討ちをかけるように言った。


「飛ばされましたよ?美雪ちゃん。」


「なに!?」


「僕も一緒だったから良かったものの危うく死ぬ所でした。そういう危険物は肌身離さず持っていてください。」


 淡々と事実のみを伝えるシンジに攻める感じは一切ない。そのことが逆に慶一郎に罪悪感を呼び起こさせた。


「そうか、すまなかった・・・・」


「いえ、今度から気をつけてくれればいいです。なにしろ僕も目をつけられてしまったようなので・・・あの巫女さんに。」


 苦笑するシンジを見て慶一郎は『ソルバニアに行ったシンジと美雪』がやったことをほぼ正確に把握した。


「レイハ・・・か?」


「はい。またよろしくなんて言われてしまいましたから」


「すまないな。巻き込んでしまって」


 申し訳なさそうな顔をする慶一郎の顔を見てシンジは今度は自嘲するような表情で言った。


「気にしなくていいですよ?人外と闘うのは慣れてますし、対人戦歴よりも対怪獣戦の専門家ですから元々は。」


「は?」


 わけが分からないと言った顔の慶一郎にシンジは真顔になり問い掛ける。


「ソレより良いんですか?」


「何がだ?」


「学校です。もう九時回ってますけど。」


「なに!?しまった。すまん!シンジ!行って来る。」


 そう言い慶一郎はまさしく弾丸のようなスピードで走り去っていた。残されたシンジはというと


「やれやれ・・・さてと、僕も行くとしますか。」


 ゆっくりと神社の階段を下りていった。


―――――――――――――――――――――


     ☆ 

「待った!」


「待ったは無しですよ。冬月先生。」


 いかにも『悪の秘密結社』といった雰囲気が漂う広々とした部屋のほぼ中央で二人の男が向かい合い将棋を指している。


「く!もう一度!もう一度だけだ!」


「それはさっきから何度も聞いたはずですが・・・」


 実際は7度目である。


「ふう・・・仕方ありませんな。」


 そういうと髭のサングラス―――碇ゲンドウは一つのコマをもどし・・・


「王手。」


「ななななななな」


「実は6手ほど前からツミだったのですよ。」


「く!碇・・・貴様!」


 人の悪い―――見る人が見れば無邪気そうに笑う―――ゲンドウを見て冬月の怒りは一気に沈静化する。自分は力でも口でもこの男には勝てなったのだと


「ふふふ・・・いつでも再戦を受け付けますよ?」


「ふん!次こそは勝つ見ていろ!」


 そう言いながらも将棋盤を片付ける冬月。ふと思い出したように呟く。


「そういえば碇。『シュバルツカイザー』の件は本当に手を出さなくて良いのか?あれでもアメリカでは有数のマフィアだが・・・」


 ソレに対するゲンドウはおもむろにサングラスを取り布巾で汚れを取る。


「ふん、無論だ。すでに手は打ってある。」


「その手が私は聞いていないのだが・・・・」


 組織のNo2としては大きな仕事は自分にも相談してほしいと思う。何しろこの男は自分の経験と直感そして計算だけで命令を出してしまうのだ。そしてその命令が的確だからたちが悪い。


「フ・・・心配することはない。少し息子に電話しただけだ。」


「息子?お前の息子と言えばシンジ君か?」


 冬月はシンジの人となりを思い浮かべる。最後にあったのは2年前、パリにあるとある高級レストランである。


「確かに彼は優秀だろうが・・・・」


 そうシンジはあらゆる点において飛びぬけた能力を持っているそれは諜報力も戦闘技術もである。


「大丈夫なのか?」


「ふん・・・碇本家から催促が着ているのだ。今シンジを奴らとあわせるわけにはいかんだろう。」


「・・・・なるほど。それでか・・・」


「そうだ。一般人であるが『公務』はいい隠れ蓑になる。それで結果が出せれば一石二鳥だ。」


「・・・・・」


 そして冬月の前に バサリ と書類が置かれる。


「これは何だ?」


「全ては結果のための布石に過ぎませんよ。あとはよろしく頼みますよ冬月先生。」


「なに?」


 冬月が顔をあげた時にはもう遅く冬月は慣れてしまった見たくないときのゲンドウを見てしまった。


ニヤリ


 ゲンドウは皮肉るように口元を歪めるとバシュっというドアの閉まる音とともに姿を消した。冬月に仕事を押し付ける時の常套パターンである。


「こ、この・・・・くっ!」


 ボトンといすに座り込む。机の上の書類はただ其処にあるだけで不吉なオーラを放っている。そして冬月が封を開け無造作に取った一枚にはこう書かれていた。


『手始めに大門高校を手に入れる』


続く


あとがき

 今回短め?何とか進んでいる・・・かな?
 



[84] Re[14]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/09/24 22:50
碇ゲンドウ

僕、碇シンジの父親である

とりあえず『まだ』この人以外の父親はいない

母さんには3度目にもかかわらずほとんどあっていないのでどうでもいいのだが

父さんは付き合いが長い割りにイマイチ考えている事が分からない

いや、もしかして何も考えてないのか?


Episode『14』


 碇シンジは空を見た


 南雲慶一郎は空を見た


 藤堂校長も空を見た


 大門高校生徒全員が空を見上げただろう


 パッと見ただの軍用ヘリ・・・そして横には『ねるふ』の象徴とも言えるイチジクの葉のマークである。しかし・・・・


「なんでネコやねん!!」


 いつのまにか復活した静馬が突っ込みを入れた。


 そのヘリはヘリなのに柔らかな毛に包まれ『ネコ耳』と『尻尾』もで常備していた・・・・ちなみに三毛猫だった。


――――――――――――――――――――


 そのヘリはネコである。よく見れば手の部分にミサイルが標準装備されているのが分かるがソレを分かるものは少ない。

 そしてそのネコに『赤木リツコ作』という銘がきざまれていたのに気がついたのは慶一郎だけであった。


バン


 ヘリの扉が勢い良く開くと一人の男がその姿をあらわし大門高校の校庭に向かって飛び降りた。


ベキョ


「ブハァ!?」


「ああっ!?静馬さん!?」


「フ・・・・問題ない。」


 勢い良く飛び降りた男『碇ゲンドウ』は見事に着地した・・・・静馬の上に。


「フ・・・大作・・・オ・・俺はもうあかん・・・・羽根のついた姉やんが俺をお迎えに来とるんや・・・」


「し、しっかりしてください!静馬さん!!それは幻覚です!!気を確かに!」


「グハッ!」


ガクッ


「し、静馬さ~ん!!」


「ふっ・・・・軟弱者が・・・」


 死にかけの静馬とソレを見取る大作を尻目にゲンドウは冷酷に言い放つ。ちなみに静馬の姉は存命である。ソレを見た生徒たちの反応といえば・・・


『ま、魔王だ!!ついに魔王が降臨したんだ!!』


『きゃあ!!なんて凶悪そうな顔なの!?』


『これで大門高校も・・・いや地球も終わりか!?』


 口々に言いたい放題である。そんな事はまるっきり無視し(凶悪な顔というところで少しむかついた)ヘリのパイロットに携帯で指示を出す。


PiPiPi

「加持か・・・とりあえずもう用はない。しかし私が呼んだら20秒以内に来い。」


『いや司令・・・いくらなんでも20秒は・・・』


「出来なければ君の大事なスイカとメロンついでに葛城くんの命はないと思え。」


『ちょっ!司令そ』

ブチッ・・・ツーツーツーツー


「ふむ・・・・」


 ゲンドウが携帯をしまい辺りを見回すとほぼ全員がゲンドウを凝視している。慶一郎とシンジが一番強い(殺気を含んだ実戦的な)視線を浴びせてくるがどこ吹く風である。


『あの~失礼ですが・・・どちら様でしょうか!?』


 満を持して中村が『突撃インタビュー』。その行動に固まっていた藤堂が復活した。


『その通りだよ!!君!!ここは公立の高校だソレを軍用ヘリなんかで乗り込んでくるとは何事かね!?』


「フ・・・」


 勢い良くゲンドウに食って掛かる藤堂鷹王。しかしソレを見ていた生徒たちの目は冷たかった。


『なんかあの校長とあの男を対比すると年食った中年のヤクザの三下と世界征服を狙う悪の首領のように見えるな。』


『ああ・・・なんていうか・・・・『人間としての格』が違うって言うか・・・そう・・・』


『よくみると結構体格良いわね・・・それにあの渋い顔・・・そうとうな使い手と見たわ!校長と違って。』


『まあ・・・なんていうか『大物』って感じですねぇ・・・校長と違って。』


 ボロクソに貶される校長だが彼はこんな所でくじけたりはしない。かなり頭にきているが今はそんな問題ではない。ゲンドウを問い詰める事に必死である。そんな藤堂をゲンドウは無情にも一言で玉砕した。


「文部省の許可は得ている。」


『な!?』


「ここは邪魔だ。席へ行くぞ。」


『ま、待ちたまえ!』


 強引に藤堂を引き連れ実況席に居座るゲンドウ。隣で藤堂が赤い顔で立っているが国家権力にはさからえないらしい。そして再び中村がゲンドウにインタビューする。


『では・・・改めて、お伺いしますか何をしにここへ?』


『フッ・・もちろん息子の応援だ。』


『息子さん?』


『ああ。あそこにいる・・・』


『なるほど・・シンジさんのお父さんですか。・・・・・・へ?お父さん?誰のですか?』


『あそこにいるシンジのだ』


『え・・・え~~~~~~~~!?』


 中村の絶叫が校庭に木霊しざわめきが生徒たちに広がる。皆驚愕を隠せないようだ。


『マジか!?全然似てない!?・・・いや、似てるかな?』


『奥さんが美人だったのか!?ちくしょう殺してやる!』


『良く見れば似てるわ!?顔かたちとか!あの人も雰囲気無視すれば結構整った顔形してる!』


 生徒たちとゲンドウが『戯れている中』シンジと慶一郎はじわじわと戦いの気配を感じ取っていた。


―――――――――――――――――――――――


『え~碇シンジの父親の碇ゲンドウ氏が登場するというハプニングがありましたがゲンドウ氏をゲストとして加えいよいよ試合を開始したいと思います!』


『おい、君!私はそんな事を許可しては』


『問題ない。黙れ。』


『・・・・はい。』


『それでは南雲慶一郎VS碇シンジ!レディーGO--!』


 言動の登場であやふやになっていた試合がようやく始まる。シンジはシンジでゲンドウの登場に驚いていたが実は慶一郎もかなり動揺していたのである。


(シンジの父親とはゲンドウのオッサンだったのか!?くっいかん!今は目の前の闘いに集中せねば・・・・)


 若い頃・・・親戚中をたらい回しにされていた時、慶一郎はゲンドウの元で世話になるかといわれた事が合った。しかし慶一郎は断った。ゲンドウと共にいれば鉄斎のところ以上に好きに生きれたかもしれないがゲンドウと対峙するとどうしても『支配』されているような感覚になってしまうのだ。慶一郎はそんなゲンドウの掌から逃げるようにその話を断った。 


 そんな事を思い出しながら精神を統一しシンジに対して構えを取る慶一郎。それでもどことなくぎこちなさが残る。そんな慶一郎にシンジが声をかけた。


「先生・・・・父さんの事は気にすることないですよ?何考えてるか分かったもんじゃありませんが・・・特に邪魔しに来たわけじゃないと思いますし」


 柔らかに笑いながら慶一郎に語るシンジを見て慶一郎は肩の力を抜いた。


(・・・・確かにな・・・少し気にしすぎたかも知れんな。)


 そう思うと慶一郎は今度は気合の入った構えを取る。シンジを倒す気なのは間違いない。


「確かにお前の言うとおりだ・・・・戦うのは俺とお前だったな。では俺からも忠告だ。戦いの中で片目をつぶるのはどうかと思うぞ。」


 シンジは涼子と戦ったときも静馬と闘ったときも左目を閉じたままで闘っていた。哀れ古賀は両目ともつぶったままでやられた。慶一郎にはシンジの紫がかった右目が気になっていた。


「これは良いんですよ。・・・・まあ、僕なりの願掛けみたいなものです。」


「そうか。では・・・いくぞ!!」


 慶一郎が『神威の息吹』を使い『神気』を一気に溜め込む。


「む・・・」


 それをみてシンジは顔を引き締め自らも体内に『神気』を充実させる。


「ふッ!」


「・・・・・?」


 グシッ


「あぐっ!?」


 慶一郎が『神威の拳』の高速移動術『旋駆け』を使い神事の後ろを取ったのだ。そして威力を込めた。蹴りをシンジに放ちすんでのところでシンジはソレを受け止めた。


「まだまだッ!」


 慶一郎はシンジの体勢が不安定なうちにさらに蹴りを加える。シンジは慶一郎の思った以上のスピードに動きが取れない。そして慶一郎はシンジを蹴り上げ・・・・


「<飛龍三連脚>!!」


 空中で旋風脚の三連脚で追撃する。


 弾き飛ばされたシンジはリングの隅まで吹き飛んだ。


(動きはいい。やはり草よりも筋がいい・・・・がまだまだ俺の敵ではない。)


 すぐに立ち上がるシンジ。想定していたダメージよりもずいぶん少ない。それに慶一郎が驚く。


「何っ!?」


 そしてシンジが慶一郎に飛び掛った。


「はあっ!!」


 『神気』を纏ったシンジの蹴りが自分の腕に突き刺さるのを見ながら慶一郎は合点がいった。シンジの纏った神気に触れたとたん慶一郎の神気が消えたのである。慶一郎はシンジの足を掴むと力任せに頬リ投げる。


「ハァッ!!」


「くっ!」


 シンジは受身を取りながら着地する。すぐに慶一郎にたいして構え直すが慶一郎が口を開く。


「なるほど・・・攻撃の時に使った俺の『龍気』を吸収したのか・・・それでいて吸収した分を自分の『神気』として蓄積するのか。厄介なもんだな『月』ってのは」


 慶一郎がシンジを挑発するように言うがシンジはやや口を歪め思案顔で慶一郎に問いただす


「・・・・先生ってもしかして『天』ですか?」


「ああ、詳しい事は分からんが大別すれば『天』だ。ソレがどうかしたか?」


 そのことを聞くとシンジはふいと嫌そうな顔をするがそれは一瞬だけだ。しかし慶一郎はその一瞬を見逃さない。


(なんだ俺が『天』だと何かまずい事でもあるのか?)


 いぶかしんでシンジを観察する。何か弱点がつかめれば慶一郎に有利になる。実際シンジと慶一郎では戦闘力的には慶一郎の方が上である。慶一郎が『殺す気』で戦えばシンジはすぐに殺せるだろう。だがKファイトである以上殺人はまずいし慶一郎にもその気はなかった。そうなると『月』の属性は厄介だった。あまり攻撃的ではないが『神気』を溜められると攻撃力が跳ね上がる可能性がある。


 慶一郎はとりあえずシンジも攻めてこないので遠くから撃ってみる事にした。


「<神飛拳>!!」


 慶一郎の腕からドッチボール大の神気弾が放たれる。シンジはソレを見ると目を細め


「<鬼哭飛燕>!!」


 自らのもつ神気の技を放つ。


 二種類のエネルギーは二人の中間点ややシンジよりで接触するとあっけなく慶一郎の<神飛拳>は飲み込まれた。


「な!?」


 驚きながらも慶一郎は再び構えを取り二度目の<神飛拳>を放つ。しかしさらに<鬼哭飛燕>の螺旋エネルギー弾はソレを取り込み巨大化・加速し慶一郎を襲った。


「チィィィイ!」


 すんでのところで避けた慶一郎だったがすぐ目の前にシンジが迫っていた。


「はぁっ!」


「フン!」


 シュッ シュッ シュッ シュッ


 乾いた服をこすれる音が聞こえるだけだ怒涛の勢いで攻撃するシンジだったが慶一郎はソレを全て紙一重でかわす。


(『神気』の攻撃はまずいな・・・通常攻撃力自体は草と同程度か・・・いかんせん俺とは相性が悪い。シンジを倒すには一撃で致命傷を負わせるしかない!)


 慶一郎は覚悟を決めシンジの攻撃の中に隙を見つけると


「<龍剄掌>!!」


 ボン


 シンジの背中が大きく膨らんだかと思うとシンジの体が吹っ飛んだ。


―<龍剄掌>―
 発剄に『龍気』を込めた技だが発剄自体の威力に上乗せする形で『神気』を使っているためたとえ『神気』を奪われてもクリーンヒットすれば大打撃を受ける。


(決まった!)


 慶一郎はその瞬間勝ったと思った。<龍剄掌>は確実にシンジの鳩尾を直撃した。神気を吸収された分とシンジの神気の防御力を考慮してもそのはずだった。


 この会場にいた誰もがそう思っただろう。しかし『ソレ』はそうはならなかった。


 ストッ


 『ソレ』は誰もが見ている前で警戒にリングのポストの上に着地するとまるで涼しい顔・・・・片方だけ輝く『金色の左目』を輝かせながら酷く無機質な笑みを浮かべた。


「ノープロブレムというところか?さて・・さあ始めよう!セカンドステージだ。」


 慶一郎は紫銀に輝く月の龍はが『自分と同じ性質』の金色の獣になった事を目撃した。そして再び構えを取る


 そんな二人をただ無言でゲンドウは見詰めていた。


続く


あとがき
 
 微妙に加持さん登場です。たぶんミサトさんは名前だけの登場となるでしょう。ここでは加持さんはメロンにも手を出しています。ジオフロント(ねるふのある所)はまあ最先端なので育てられる(ハズ)です。この世界ではインパクト起こってないし



[84] Re[15]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/10/01 02:35
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Episode『15』


「くっ!」


 慶一郎は必死になってシンジの攻撃を避けていた。ソレというのもシンジの攻撃が数分前までの攻撃の仕方とまるで違うからである。


「・・・・・」


 シンジは体を常に回転するように動き手刀や蹴りで『薙ぐ』ように慶一郎を追い詰めていた。少なくとも見物している生徒たちはそう思っただろう。しかし事実は違った。


 シュッ!


「っ・・・チッ!」


 慶一郎の腕に一筋の傷が走る。シンジの間合いからかなりの距離があるのにも関わらずである。


「・・・フッ!」


「くっ!」


 其処には半端でなくスピーディな戦いが展開されていた。シンジ自体の動きは慶一郎の『旋駆け』に劣る。しかしシンジの動きには独特な技術が組み込まれ時々『増える』用に見えたり『消える』ように見えるのである。


 この技術の組み合わせにより酷く高度な『虚』の動きが実現しているのである。


 しかし、慶一郎とシンジでは実戦経験に差がありすぎた。

――シンジのフェイントの多い『虚』の動きから、戦闘経験の多い慶一郎にはシンジの動きの中にある本当の『隙』を見極める事が出来たのである。


「――<龍剄掌>!!」


 一瞬の隙を突き慶一郎は空いたシンジのわき腹目掛けて必殺の発剄を放った!


ドン!


 慶一郎の手に確かな手ごたえが残りシンジが吹き飛ばされる。しかし、シンジはすぐに体勢を立て直し再び慶一郎に襲い掛かる。


「っ・・・つあっ!!」


「むおっ!」


 やや苦痛を訴えるような声でシンジが攻撃してくるのを聞いて慶一郎は確かにダメージを与えている事を実感した。しかし・・・


「痛ッ!?」


 慶一郎の掌がぱっくりと裂けている。


(手足以外でも『斬れる』のか!?)


(く・・・・『月』の時の戦い方は当てにならん!!全身に神気の『刃』を形成しているのは間違いない!!うかつに触れる事も出来ん。全身凶器か!?)


ビュッ!


「くぉっ!」


 シンジの攻撃が更に加速した。たまらず慶一郎が距離をとろうとするがシンジが一定以上の間合いを離れさせない。


(くっ・・・『格闘家』というより『戦闘者』だな!接近戦の射程が剣士の間合いかソレ以上だ!確実に殺しに来ている!)


 慶一郎の分析どおりシンジは<醒晃剣>を両手足に纏い計四本の『神気の刃』を身に纏っていた。そして動き自体に連動して体を纏う神気も『刃』程ではないが『斬れる』のである。


 実際、先程のシンジの戦闘スタイルが無駄の少ないーーー隙の少ない『実』の闘いであるのに対し現在のシンジの戦闘スタイルは『虚』の動きの多い高速戦闘である。


(接近戦はつらいか!?だが既に『月』の神気は消滅している。ならば神気弾が効くか!)

 
 慶一郎は『旋駆け』で一瞬シンジとの距離を離す。ソレを追ってシンジが跳躍した。


「――<龍剄掌>!!」


 バガン!


 慶一郎がリングの中央――シンジの着地地点当たりに<龍剄掌>を叩きつけ足場を破壊し離脱する。


「っ・・・チ」


 シンジが一瞬足を獲られた。


「<神飛剣>!!」


 その隙を狙って慶一郎が神気弾を放つ。


 強力な『神気の塊』がシンジの『足元』に着弾する。


「っく!!」


 ズドン!!


 破壊されたリングから煙が上がり音の数瞬後シンジがその場から現れる。


「・・・その足では今までのような動きもできんだろう。負けを認めたらどうだ?」


 シンジは左足に多大なダメージを追っていた。服に張り付いていて分からないが相当量の出欠から見て骨が突き出しているのかもしれない。明らかに今までのような動きは出来ないだろう。


「・・・・・・」


「さっきの技も『神気』だけでなく相当の『体力』を消費したはずだ。おまえの汗の量を見れば分かる。」


 確かにシンジの汗の量は異常とも言えた。『月』と『天』の違いによる極端な戦闘スタイルの変化に体が対応していないのだ。特に『天』の高速戦闘はそれだけでも体力を使う。


「確かに・・・先程の<剣舞・八雲>は中々疲れる。だが、それでもなお我の負けとは思わぬ事だな。」


 妙に偏った言葉づかいでシンジが慶一郎に話す。


「また・・・いつもとずいぶん話し方が違うな。」


「我は碇シンジであり、碇シンジ以上ではないということだよ。我は少し偏った碇シンジの側面に過ぎぬのかもしれないな・・・・」


「ギブアップするつもりはないのか?」


「今更それはないだろう・・・・慶一郎殿、我は勝利よりもなお負けることが嫌なのだ。」


「そうか・・・・」


「ふっ・・・・そういうことだ。いくぞっ!」


 ピュッ


 シンジの手から杭のような楔のようなものが放たれる。


「むっ!」


カカカッ!


 慶一郎の後ろにあったリングポストに突き刺さった。


「棒手裏剣か?」


「<醒晃剣>で遠距離攻撃するのは疲れるんだ。レーザー的な光撃で速いがその分威力を維持するのがつらいからな。」 


 無表情でシンジが『神気の杭』を打ち出す。


ピピピピピピピピッ!


「チッ!」


 慶一郎は飛来する杭の合間をすり抜けるように動いた。シンジの杭はことごとく避けられる。それが相当リング中に突き刺さった頃に突如として杭は連鎖的に爆発しだした。


「何っ!?」


 慶一郎はリング中の連鎖する爆発―――小規模な爆発ながら指向性が内側に向いているのか威力は高い―――を避けるため高く空に身を投げ出す。


ビッ!


「ぐおっ!?」


 空中で慶一郎の体をシンジが放った光の剣が貫いた。慶一郎の体―――腹辺り―――を貫いた光はすぐに消失する。


「く・・・」


 慶一郎が爆発でボロボロになったリングに降り立ち。シンジを一瞥する。満身創痍ながらもあくまで戦い抜くという気迫が感じられる。


(こういう姿勢は草にも共通するが・・・・草と違って王者の威厳みたいなものがあるな。器の違いか?)


 ちなみに現在その草は保健室である(放置)。


(『天』の属性の時は技が危険すぎる。本気殺す気で行けばどうとでもなるが・・・校長やゲンドウの親父の手前あまりそういうことはしたくないな。美雪ちゃんもシンジの事が気になってるみたいだし。)


「しかたがないか・・・・」


「慶一郎殿?」


 雰囲気の変わった慶一郎を見ていぶかしんだシンジだったがすぐに顔色が変わる。


「少し手荒になるが許せよ。たぶん、お前なら死なん。」


 シュウウウウ


 慶一郎の『神威の息吹』が膨大な量のエネルギーを生み出し慶一郎の中に蓄積していく。


「っくっ!?」


 慌てて防御の姿勢をとるシンジ。


「―――<天覇龍凰拳>!!」


 特大の大きさと密度を持つ神気弾―――<天覇龍凰拳>がシンジを襲う!しかしシンジは足を負傷して動けない。


(―――全開の神気でガードするしかない!――――)


ズドォオオオオオオオオオオオオン


 そしてシンジの意識は其処で飛んだ。


―――――――――――――――――――――


「やあ、よくやってくれたよ。南雲君。君はウチの教師の鑑だよ!」


 やたら嬉しそうにはしゃぐ藤堂校長。それに気のない様子見せる慶一郎。


「はあ・・・・」


 慶一郎は横目でゲンドウを見る。その突き刺すような視線が痛い。その視線に気付いたのか藤堂がゲンドウに話し掛ける。


「フフフ・・・・君の息子も中々だったよ。ウチの草君に勝る逸材だ。」


「・・・・・・」


 無言のゲンドウと調子に乗る藤堂。それを見て慶一郎は言い知れぬ不安が胸をよぎった。


「ところで・・・・碇君は我等がKファイトに負けた。ここのルールでは負けたほうが勝った方のいう事を聞くことになっているのだがね?」


「ほう。」


 興味を示したのかゲンドウが話に乗ってくる。慶一郎があのゲンドウに対して無謀なことするな、と思っていると何時の間にか駆け寄っていた大作に話し掛けられた。


「なんか変な事になってますね。」


「神矢か・・・・御剣と一緒じゃないのか?」


「涼子さんはシンジさんを保健室に連れて行きましたよ。」


「そうか・・・」


「どうしたんですか?渋い顔して」


「いや・・・俺はゲンドウの親父がこのままあんな校長に言いくるめられるものかとおもってな。」


「でも校長の方が圧倒的に有利ですよ?シンジさんだって先生結構苦戦してたみたいですけど最後は一撃で決めちゃったじゃないですか。」


「まあな・・・しかし・・・」


 慶一郎と大作の話している間に校長とゲンドウの会話も進んでいた。


「ほう・・・ではシンジをこの高校に入学させると?」


「その通り!彼のような生徒が私は欲しかったのだよ!」


 まるで新しい玩具を手に入れたような笑顔で話す藤堂。ソレを冷ややかに見つめるゲンドウ。不安げに聞き耳を立てる慶一郎。ちなみに放送席のスイッチがオンなので全校放送である。


「ふむ・・・よかろう。」


「そうかね!」


「大門高校『理事長』として私が許可する。」


「そうか。許可してくれるか・・・って『理事長』!?」


 予想外の単語に藤堂が固まる。そして慶一郎はああやっぱりと思った。
ちなみに全校放送なので生徒にもやはり聞こえている。

「な、なんのことかね!この学校は公立だ!理事長など・・・」


「既に文部省にも教育委員会にも手をまわしてある。既に大門高校は『私』のものだ。」


「な、そんなバカな!?」


「これが証明書だ。見るか?」


「も、もちろんだ。」


 ゲンドウがどこからか取り出した紙を引っ手繰り嘗め回すように読む藤堂。
其処にはこう書かれている。


『公立大門高校は本日14時をもって私立大門高校とする。

理事長を碇ゲンドウとしその命令には絶対服従である。

なお大門高校敷地内では国連より治外法権が認められる。

最高権力者を碇ゲンドウと神のように崇める事。(強制はしない)

実務は今までどおり藤堂校長が追う事。(強制)

校内の責任はすべて藤堂校長の責任である。(強制)

なお碇ゲンドウ理事長の事は『司令』もしくは『総司令』と呼ぶ事。(強制)

完全実力主義を主張する。』


 それを声に出して呼んだ藤堂は真っ赤になる。


「なんだこれは・・・」


「フッ・・・問題ない。」


「そんなわけあるか!」


 校長がゲンドウに絡もうとしたとき一つの影が藤堂とゲンドウの間に割り込む。


ズダン!


「グッ!」


「チッチッチッ!校長、司令に手を出しちゃあいけねえぜ?」


 さっきまで審判をしていた小関遼二である。その胴長と細長い足が特徴的である。いわゆるモンキーパンチ体型である。


「フ・・・・良くやった。」


「おう!きにすんなって。司令。この『ジージャン刑事』こと小関遼二にまかせとけ!」


 どうやら既にゲンドウに取り込まれていたようである。


「フ・・・面白いヤツだ。貴様は下仕官から準仕官に昇格だ。これからは『ジージャン準尉』と名乗るがいい。給料も上げてやろう。」


「マジか!?サンキュ!」


 やたらハイテンションである。そんなゲンドウたちに藤堂が苦しそうに言い放つ。


「くっ・・・たとえ教師が取り込まれても生徒は貴様の好きにはならんぞ!」


「フ・・・問題ない。」


 そこに校内の音声が流される。


『聞いたか?授業料80%かっとだってよ!』


『それより、この高校の機器全部最新型になるらしいぜ!』


『あ!知ってる?食堂にプロを呼ぶらしいわよ。それも格安で』


『全サークルの部費が三倍だってよ!』


『ああ、ホントに理事・・・総司令様様だよなぁ・・・』


 その言葉たちを聞いて藤堂は・・・落ちた。どうやら生徒は既に買収済みらしい。


「フッ・・・さてそれでは私もそろそろいくか・・・」


Pipipi


『はい。碇司令ですか?』


「早く来い。」


ピッ


返事も待たずに形態をきるゲンドウ。そのゲンドウに敬一郎は話し掛ける。


「ゲンドウさんもう行くんですか?」


「慶一郎か・・・・」


「・・・・・」


「フ・・・息子を頼んだぞ。」


「はい。」


ブロロロロロロ


 再び校庭にネコ型軍用ヘリが現れる。そしておもむろに時計を確認するゲンドウ。


「22秒か・・・・オーバーだな。」


『か、勘弁してくださいよ。司令。』


「フ・・・まあ良かろう。」


 そしてゲンドウはヘリに乗り込む前にもう一度慶一郎に向き直る。


「すぐにまた合う事になる。楽しみにしておけ。」


「はあ・・・・」(あんまり、あいたくないんだが。)


 そうしてゲンドウを載せたヘリは大門高校を飛び去っていった。のこされた慶一郎に大作が話し掛ける。


「なんか・・・非常識な親子でしたね・・・」


「ああ・・なんというか器がでかいというか『でかすぎて形が変』なんだ。ゲンドウの親父は」


 慶一郎は結局そう結論づけた。


―――――――――――――――――――――


ヘリの中


Pipipipipipipipi


「わたしだ。」


『碇か。』


 電話の主は長年の相棒である冬月であった。ゲンドウにはその声が憂いを含んでいるのを確かに感じた。


「冬月?どうかしたのか?碇家が動いたのか。」


『ローレンツが動き出した。』 


「ゼーレは3年前に壊滅したはずだが・・・」


『ああ・・・子供の方だ』


「・・・・『魔公子』か・・・」


『ああ・・・・それに伴い『殲滅者』も動き出したようだ。アスカ君から連絡があった。』


「シンジの相棒か?日本に向かっているのか。」


『そこまではわからんよ。それとコードネーム『リリス』と『ダブリス』が何者かに破壊された。』


「そうか・・・・わかった。それとな」


『ああ』


「葛城君、減俸8ヶ月だ。」


『はあ?』


 ヘリの運転席の加持リョウジは今は見ぬ葛城ミサトにたいして祈りをささげた。


(スマン葛城・・・・俺は・・・・スイカとメロンたちの命には代えられないんだ。)


 その祈りはかの女性には届く事はなかった。


続く


あとがき

 なんかゴチャゴチャ?いけない・・・・もっとすっきりさせなければ・・・



[84] Re[16]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/10/07 01:16
『ZEELE』・・・かつて世界の三分の二を裏から支配していた『悪』・・・っぽい組織である。

しかし実際のところ20年程前に子飼の下部組織に過ぎなかった『NERV』が離反。

新生『ねるふ』は碇ゲンドウの指揮のもと『ZEELE』と肩を並べる組織にまで成長した。

そして、ついに3年前『ZEELE』は『ファーストインパクト』と呼ばれる事件によってその勢力を実に20分の一まで衰えさせてしまったのである。

現在、『ZEELE』は表面上は沈黙を保ちながらも再び息を吹き返そうとしていた・・・・


Episode『16』


 夜、碇シンジは自室で淡く光る『本』を広げ精神を集中させていた。


『・・・・・・第四次適応刻印活性。第五次適応刻印活性。第六次・・・』


 パキ パキ パキ


 本がシンジの声にあわせて光を増していく


『第十五節理力法発動』


 その言葉と共にシンジの体が本から出た光ではなくシンジ自身からでた光によって包まれる。

 青と緑の中間のような光はすぐさま優しげな光を放ち30秒ほどで霧散した。

パタン

 シンジが持っていた『本』を閉じ手のひらに掲げると『本』は独りでに空中に浮き空間に埋もれるように消えていった。


「ふぅ・・・・やっぱり。この世界だと理力は使いづらいな。ソルバニアなら『本』を使えばもう少し高度な力が使えるかもしれないけど。」


 そう言ってシンジは視線を下におろす。そこには酷く巨大な足形が見える。いわゆる『ギブス』というヤツだ。


「う~ん・・・・たしかに骨が突き出してたから結構な治療が必要だったんだろうけど。日本の医者は気功治療法はともかくLCL細胞復元治療も出来ないのか?」


 シンジは両手を左足のギブスに添えると呼吸を整えて半眼で注視する。


「はっと」
 

ボン!


 気合の声と共にシンジがギブスを摩ると文字通り『爆散』した。そして破片は細かく砕かれて地理と区別がつかない。


「うん。」


 とんとん足をたたいて状態を確認するシンジ。満足が言ったのか満ち足りた顔で足を動かしている。そしてふと思い出したように


「う~ん。僕も割りと強い方だと思うんだけどな。世の中には上には上がいるってやつか・・・・。この『世界』では『前の世界』からの持ち越し含めてざっと6人勝てない人がいるな。『持ち越し組み』2人はドイツだからこっちの慶一郎先生に鉄斎先生・・・あとの二人は行方知れずか・・・そういえば父さんて強いのか?」


 微妙に難しい顔をした後、一転して気の抜けた顔になるシンジ。


「ま、いいや。もう寝よ。今日は疲れた。」


 そして気だるそうなシンジが就寝したのはこれから20分後の事である。ギブスのゴミをきっちり片付けてから眠る辺りシンジの性格がうかがえる。


―――――――――――――――――――――――――――――


所変わって場所はドイツ


「ふむ・・・それでフラウ・キュービィ?我々『ZEELE』に何を望むのだね?アメリカの若造は今だ寝たきりのはずだと思うのだが。」


 見事な庭園の中にポツリと円形のテーブルがある二人の人物が談話している。

 しかし、椅子に座っているのはダークブロンドの女性の方だけでもう一人は車椅子にひざ掛けをしている。顔のバイザーが酷く印象的な白髪の老人だ。


「ヘル・ローレンツ、確かにゲイツ様は今だ深い眠りの中に折られます。しかしあの方はわれらの神とも呼べるお方。必ずや意識をお取戻しになられます。」


「ふん。私はそんなことを聞きたいのではないのだよ。ミアン女史。」


 バイザーの老人はあざけりを含んだ声で女性を見据える。しかしミアンにおびえた様子はない。


「はい。お目覚めになられるゲイツ様のためにゲイツ様を『退いた』ケイイチロウ・ナグモにアプローチをかけようと思っていますので・・・キール老にはそのために協力して欲しいのです。」


 ミアンは淀みなく答える。『倒した』という言葉を使わないのはゲイツを絶対の存在としているからだろう。そのゲイツが負けたという事実が受け入れられていないのだ。


「・・・・・なるほど。『ケイイチロウ・ナグモ』、こちらでも何かと話題になっていた人物ではあるな。」


 話を聞いたキールが思案げなかおになる。


「『極東の龍』か・・・イタリア辺りでは幾つか潰されたマフィアがある。『ZEELE』の中では『U13』が全滅といったところか・・・」


 ふつとキールの頭の中に慶一郎の情報が浮かび上がる。たかがレストランの下働きに過ぎない肩書きでしかないが圧倒的とも言える戦闘力をもつ。『ZEELE』の実験部隊である『U13』も慶一郎に潰されてしまった。もっとも『U13』自体は『学院』の落第者を集めた部隊に過ぎず真の『エリート』は無傷なのであるが。


「『ZEELE』の方々には『ケイイチロウ・ナグモ』に一切手を出さないでいただきたいのです。」


「何?」


 キールの顔がやや歪む。協力を頼みに来て手を出すなとはどういうことであろうか?


「『ケイイチロウ・ナグモ』はゲイツ様が御倒しになられます。そのために我々は何人かの『刺客』を用意していますが・・・・」


「なるほど・・・・あくまで『ゲイツのため』にお膳立てをという事をか。しかし、ならばなぜ私の所へ?我々のこうむった被害などあってないようなものだ。わざわざ『ZEELE』がヤツ二手を出す事はありえないが・・・」


「いえ・・・・彼は『ゲンドウ・イカリ』の縁者だと聞いたものですから・・・・」


 その言葉にわずかに眉を動かすキール。しかしそれ以外はまるで動揺が見られない。


「初耳だな・・・・しかし、だからといって今の我々には『ねるふ』と事を構えることはできん。」


「ええ、そうでしょう。ソレを確認するために来たのですから。」


「・・・・・・」


 キールは心の中で舌打ちする。外見上は車椅子ながらも威厳すら感じさせるカリスマがあるが内心では目の前のミアンに軽んじられている事を煮えくり返るように思っていた。

 そんなキールを尻目にミアンは目の前のテーブルの紅茶に口をつける。


「なかなかいい紅茶ですね・・・・・」


「・・・・・・・」


 沈黙するキールに紅茶を飲むミアン。広い庭園の中で二人だけがただ其処にいた。そうそれまでは


「内緒話とは趣味がよくない。お爺様?」


「!?」


「ディオスか・・・・」


 何時の間にか其処には一人の青年が立っていた。身長170cm前後、色素の明るい金髪に宝石のような朱に近い色の瞳をしている。


「フラウ・ミアン・・・・でよろしいか?」


「・・・・・・・・ええ」


 ミアンはこの人物と正面からまみえると途端に萎縮してしまった。それはどことなくゲイツに近い物を持っているのだと気付いたのは後の話である。


「ではフラウ・ミアン。あなたの要望には応えかねるな。私はこれからことと次第によっては『ねるふ』と一戦しなければならなくなるかもしれないのでね。」


「な!?」


「ディオス・・・・何を考えているのだ?」


 ミアンは押され気味だがキールは訝しげに問いただす。


「お爺様こそ。ZEELEは私の物でありもはやお爺様のものではないのですよ?勝手に方針を決められては困ります。」


「・・・・・・」


 有無を言わせない物言いに黙りこむキール。ソレを見てミアンが納得げに言う。


「なるほど・・・・あなたが『SatanPrinz』ですか。」


「その名で呼んで欲しくはない。せめてディオスと呼んでほしい。」


「ではヘル・ディオス?先程の言葉はケイイチロウ・ナグモに手を出されるという事ですか?」


 ミアンが控えめな顔で本題を切り出す。明らかにキールと放していた時よりあがっているのは間違いなかった。


「正確には違う。」


「では?」


「そこで取引といこう。私が『ナグモ』に手を出さない代わりに・・・」


「変わりに?」


 ミアンは言葉上は落ち着いて―――体の方はガチガチという器用な事をしながら聞き返す。その問いにディオスはニコリともせずに返答した。


「『シンジ・イカリ』に手を出さないで欲しい。」


「『シンジ・イカリ』・・・・」


 ディオスの言葉を理解しようと内面焦るミアン。ディオスはソレをみても表情を変えずじっと返答を待っている。


「『ゲンドウ・イカリ』の息子ですか・・・そう確か・・・『ケルベロス』の一人で『Evangelion』ですか?」


「そう、その『シンジ・イカリ』だ。」


 その言葉でようやくディオスが口元をゆがめる。酷く透明な笑いでどこか夢をみているような瞳である。


「・・・・わかりました。」


「そうか。では我々はナグモには手を出さない。」


「一つよろしいですか?」


 ミアンがディオスに問い掛けた。


「なんだ?」


「なぜ『シンジ・イカリ』を?」


「なぜ・・・か、そうだな・・・・シンジは・・・・いややめておこう。あなたにはなすことではない。用件は済んだ。日本に行くのならせいぜい気をつけることだ。」


 そう言ってディオスはその場を離れようとする。しかし10mぐらいのところでキールに止められる。


「ディオス、なぜ『リリス』と『ダブリス』を破棄した?」


「愚問。私にはあんな物は必要ない。そして人類にもこの世界にも」


 そういってディオスはその場を後にした。そこにいるのは権力から零れ落ちた老人と安堵する女性だけが残った。


――――――――――――――――――――


早朝・・・鬼塚家


カチ カチ カチ


 神社という比較的広い土地で朝から機械いじりをしているのは碇シンジである。作業着に何故か捻り鉢巻という格好で不自然に似合っていない。


 そこに巫女服の少女が歩み寄ってくる。シンジは手を止めて話し掛ける。


「美雪ちゃん?」


「シンジさん?」


「どうしたの?」


「あし・・・」


「あ、心配してくれたんだ。大丈夫あれくらい一晩あれば直せるから。うん現代医学って言うのはずいぶん発展したもんだね。」


 大嘘である。はっきりいって表の世界の常識ではそんな事はない。もっともZEELEやねるふの最先端技術なら出来なくもないが最低三日はかかるだろう。


 美雪が頭をきょろきょろしながら乱雑な機械を見渡す。


「これは?」


 美雪からの疑問である。ある意味当然かもしれない。朝っぱらから機械を神社の境内で広げる人物は中々いない。


「いや、注文してたバイクの部品が届いたからさ。早めに組んじゃおうと思って。」


「・・・・・・」


 美雪からみても明らかにバイクのパーツではないと思われる機械類がそこらに散らばっている。中身の抜けたパソコンは良いとしてわけの分からないパーツも多い。

 美雪がしゃがんで一つのパーツをいじくってみる。それにシンジが気付く。


「それは常温核融合炉―――パラジウムリアクターってのを実用化して小型化したヤツ。動いてないけど危ないから触らない方が良いよ。」


 コクンと頭を下げながら美雪はそのパーツから離れる。そしてシンジに近づいていく・・・・と、そこへ2mの大男が現れた。


「よう。」


「あ、先生。おはようございます。」


「・・・・・」


 シンジは慶一郎に挨拶し美雪は無視である。


「み、美雪ちゃん・・・」


 負傷したシンジをつれて帰った慶一郎だったが怪我をさせたのが慶一郎だと聞いて美雪の慶一郎への高感度は-50である。


プイ


 そんな擬音が聞こえてきそうな感じに顔を反らす美雪。シンジには慶一郎はとても情けなく見えた。苦笑しながらしょんぼりしている慶一郎にシンジが話し掛ける。


「そういえばお腹の傷は大丈夫ですか?」


「ん~?ああ、あれか・・・・確かにお前の技は貫通力もあるし。収束率も呆れるくらい高いがな。鋭すぎて切り口がきれい過ぎる。アレだけきれいだと縫合も簡単だし痛みも少ないからな。ちょっと瞬間接着剤をぬればだいじょうぶだ。」


 前半はシンジの技についての感想をいい、後半は人間としてどこか間違っている事を言う慶一郎。


「シンジの足も大丈夫みたいだな。最悪歩けなくなるかと思ったんだが。」


「僕は魔法使いなのでこの程度は朝飯前ですよ。」


「そういえば、そんな事を前に言っていたな。」


 とりあえず自分で見たことは受け入れるタイプの慶一郎はソレで納得した。
散らばる機械を見ている美雪に目を移しその下の金属片を手にとる。


「・・・?こいつはなんで出来てるんだ?」


「ああ、それはカーボンナノチューブで。本当はオリハルコンとかダマスクスとか使いたいんですけど、こっちじゃ見かけないですからね。一応ミスリル銀とかはあるみたいですけど希少価値が高いんで」
「?そうか?」


「・・・・」


 あまり理解しているようにも思えない慶一郎と理解しようとしているようにも見えない美雪にちょっとがっかりするシンジだったが表面上はそんな様子は見せずに


「先生も車かなんか買ったら改造してあげましょうか?リツコさんほどではないですけど僕もこれは多少心得がありますから。銃弾ぐらいは効かなくなりますよ。」


「ああ、そのときは頼む。」


 そう言ってから慶一郎は今思い出したという風に話を切り出した。


「そろそろ飯だ。シンジ。美雪ちゃんも。」


「あ、そうですね。」


「・・・・・」


 シンジが雑多な機械のほっておいて慶一郎の後ろについて歩き出す。美雪はその後ろにつく。


「飯を食ったらさっさと着替えておけ。今日から学校なんだからな。」


「??。学校って何の話ですか?」


 慶一郎が突然立ち止まる。


むぎゅっ


「きゃ」


「ああっ!?美雪ちゃん大丈夫?」


 そうするとシンジも急に止まるわけでそのシンジに美雪は止まりきれずぶつかってしまった。

 そんな事は気にはなるがあることに気付いた慶一郎は呆然とした。


「もしかして今日から学校へ行くって聞いてなかったか?」


 天気は晴れ。朝から呆然とする大男とあたふたする福音の使者とちょびっと涙目な少女がどたばたしていた。


続く


あとがき

 ついにオリキャラだしたって感じです。というか名前があんまり思い浮かばない。そしてさらにしばらく登場しないでしょう。



[84] Re[17]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/10/09 23:14
唐突だがなぜか僕は学校に通う事になってしまったらしい。

なんだか父さんの陰謀のような気がするけれど本当は割りと楽しみだ。

なんたって、まともな学校って最初の時の第一中までしか通ってないし

大学をでてるっていっても『ZEELE』の『学院』で通信教育みたいな感じで資格獲ったみたいなもんだったし・・・

ん?もしかして慶一郎さんが先生かな?


Episode『17』


「僕の記憶によると・・・なんていうか、こう・・・・もっと貧相じゃありませんでしたか?この高校。」


「ああ、残念だが俺の記憶でもそうだ。」


 シンジと慶一郎は確かに大門高校にいた。しかしそれは『私立』として新生したいわば『ニュー大門高校』であった。

 シンジが辺りを見回すと少なからず戸惑う生徒が見受けられる。ただし悲観しているかというとそうでもなく割りと楽しそうだ。


「逞しいなぁ・・・・」


 そんな感想を吐いているシンジを尻目に慶一郎はスタスタと校門のすぐそばにある物体に近づいていき


「何考えてるんだ。ゲンドウさんは・・・」


 銅像であった。ゲンドウの銅像である。しかもこれがただの銅像ではなかった。


『ふっ、問題ナイ。』


「うわっ!?」


 近づいた生徒に向けてお決まりのセルフである。どうやってかは分からないが人が近づくと決まった単語を発するらしい。しかも一度感知した人物には反応せずその他にも色々なオプションがついていそうな高性能振りである。


「シンジ・・・・もしかしてかなり苦労してるか?」


「まあ・・・父さんの用事は命かけるか父さんの趣味かの二択ですから。かなり疲れる事は認めますが・・・」


 微妙に苦笑した感じのシンジがポンポンと門をはたく。


「先生。」


「うん?」


「なんだか想像した高校生活とは違って波乱万丈とした日常が遅れそうな気がします。」


「・・・・・奇遇だな。俺も最近そう思ってたところだ。高校ってのがこんなに疲れるところだったとは・・・」 


 なんだか既に枯れている慶一郎とシンジはボケッとしながら校舎の前にたたずんでいた。

 目の前の校舎も見た目まともな高校に見えるがいたるところにトラップが仕掛けられているのが分かる。(ただし慶一郎とシンジにしか分からない)


「そろそろ時間・・・というか、もう過ぎてますよ。先生」


「む・・・そうだな。行くか。」


 二人は歩き出し―――


『貴様ラハ遅刻ダ。ふっ愚カ者メ。』


 ゲンドウ像の暴言に慶一郎は呆れシンジは乾いた笑いを浮かべた―――


「父さん・・・・・確かに可愛いかも」


「・・・・本気か?」


そのまま慶一郎とシンジは、微妙な気分を味わいながら後者に入っていった。

 そして二人はあとで後悔する事になる。ゲンドウ(像)の頭部背面に
『一号』とかかれていた事を気付かなかった事を。

――――――――――――――――――――――――――――


「―――というわけで今日から2のBの一員となる。碇シンジだ。」

 
 ついとシンジが前に出る。


「どーも。碇シンジです。」


「で・・・何か質問のあるヤツはいるか?」


 テンションの高い2年B組だが現在は静まり返っている。それは一人、長身の美少女がシンジを食い殺そうとでも言う勢いで睨んでいるからであった。

 そして慶一郎がクラスに質問を促すと


「は 「はい!」 」


「神矢。」


「くっ!」


「――というわけで・・・ではさっぱり分からないんですが?」


 もっともな疑問を口にする大作。そして窓際最後尾の隣席の件の少女は憤ってはいたがソレも気になるのか渋々黙る。他の生徒も黙っているところをみるとこういう役目は大作の物らしい。ただし現在静馬がいない(遅刻)状況であるが。


「え~と・・・・」


「シンジの親父さんの陰謀だ。シンジも草と同じでケンカ特待生として通う事になるようだ。そして今この学校はあの人の支配下にある。校長が対抗しようと無駄な努力をしていたが・・・」


「へぇ~」


 大作が一応納得したという顔でシンジをちらりと盗み見る。クラスの生徒たちは


「あの親父ならやりそうだと」


 納得してしまっているらしい。


「他には?」


 慶一郎が先を促す。大作は続けて聞く。


「じゃあ外国に行っていたという話と大学を卒業したという話を聞きましたが留学されていたんですか?」


「違うね。」


 きっぱりとシンジが言った。そしてそのまま言葉を続ける。


「ちっさいころ。母さんが死んだ後ぐらいだから4歳ぐらいかな?そのとき父さんが凄く滅入っていてね。なんだかそのままだと色々面倒な事になるかもしれなかったからちょっと中国行きの貨物船にのって密入国したんだ。」


 いきなり爆弾発現である。へぇ、という顔をしている大作に疑わしい顔をしている涼子。慶一郎はまああの人の息子ならしてもおかしくないな、とかえって納得している。


「・・・戸籍とか密造したり?」


「ん~・・・実はさその頃は子供だったから(実は異世界ボケで忘れてた)外国行くのにパスポートが必要だって知らなかったんだよ。それで偶々中国にいた父さんの知り合いの人・・・まあ仮称FUYUTUKIさんに作っといてもらったから一応正式な物を持ってるね」


「シンジ、ソレ全く仮称じゃないぞ。」


 慶一郎のツッコミを爽やかな微笑で無視するシンジ。そんな事を気にすることもなく大作は質問を続ける。


「じゃあ何をしていたんですか?」


 ストレートかつ直球である。ストレートと直球は同じではないのか?という突っ込みは抑えるべし。


「そうだね・・・とりあえず8歳ぐらいまではアジアをぶらぶらしてたね。中々ためになる知識を詰め込んだりいやホントに中国四千年ていうのは侮れない。インドも日本とは全然違うし。」


 頭の中で回想しながら喋っているのか少し目がうつろなシンジ。


「その後は?」


「うん。その後西欧に言ったら秘密組織に拉致された幹部候補生としてのエリート教育をさせられた。だいたい5年ぐらい。」


 爆弾発現である。とりあえず聞き逃す事がないようにと聞き耳を立てていた生徒たちが騒ぎ出す。


「それってどういう」


「ちょっと待ちなさいよ!」


 ガタンというイスが倒れる音と共に勢い良く突っ込んだのはリョーコさんだ。あわれ大作の質問は無視された。


「何?」


「それマジ?」


「まあ詐欺ではないね。冗談でもないし。」


 涼子はぐっと確認するようにシンジではなく慶一郎をにらめつける。


「なんで俺を睨むんだ。」


「先生、コイツの親戚なんでしょ!じゃあホントかどうか分かるじゃない。」


「それもそうですね」


 それに対して慶一郎は


「そんな事は俺が知るわけないだろう。シンジとはまだお前たちより少し長いくらいの付き合いだし・・・・シンジ、その組織の名前は?」


「『ぜ~れ』です。」


「なるほど。確かに聞いたことはあるな。結構デカイ組織だったはずだ。」


「じゃあホントなんだ。」


「僕は嘘はあんまり言うつもりはないからね。それにかなりこれはどうでもいいことだから。」


「いや、どう考えてもどうでもよくないと思いますが。」


 とりあえず蚊帳の外の大作がポツリといって見たがヒートした当事者たちは
聞く耳もたず


「じゃあなんで今ここにいるのよ!?」


 ある意味ヒステリーっぽい起こり方の涼子がシンジに突っかかる。涼子はなぜかテンションが高いがシンジはちょっと迷惑だなぐらいにしか思っていないらしい。


「そりゃあ脱走したからだけど。」


「そこら辺を詳しく話しなさい!」


「う~ん、それは・・・」 


 ドカーン!!


 突如なんだか戦隊ものの悪役が負けるときに爆発するような効果音が鳴り響き・・・


ガシャーーン・・・・・ドン・・・ゴロゴロ


「きゃあ!?」

「なんだぁ!?」

「うおぉつ!?何だコイツは!?」


 窓から未確認生命体が侵入してきた。

 その黒ずみ時折モゾモゾと動く謎の生命体にとりあえず慶一郎が近づいていく。


「・・・・・草?」


 そう、その物体は丸焦げになった草静馬だったのだ!もぞもぞしていたのはピクピク痙攣していたのだった!


―――――――――――――


 時は遡る


ブロロロロロ


 自前のバイクで(当然だが)かなり遅刻して学校に到達した静馬。


「・・・なんや、ずいぶん雰囲気が変わったやないか・・・」


 妙に沈んでいるがここのところ負け続きでかなり自身喪失しているようである。


 そのまま静馬専用のバイク置き場にバイクを止めると校舎に向けて歩き出した。そしてそこで静馬の見たものは


「なんやこの趣味悪い銅像は・・・」


 まさに誰もが目に付く場所にあるゲンドウ(像)である。ふらふらとおぼつかない足取りで像に近づいていく。


『遅刻ダ。―――貴様ハけんか特待生001カ。ふっ負ケ犬ハサッサト教室ヘイクガイイ。』


 どうやら対象を認識する機能がついているらしい。ゲンドウ(像)の言葉に当然静馬は切れた。


「お、オレが負け犬なわけあるかい!この!銅像の癖に偉そうなジジィや!」


 まさにこの二人(?)の衝突は必然だったのかのように静馬が先制攻撃を仕掛けた。しかし―――


「!!?」


『ふっ、問題ナイ。』


 そう言ったゲンドウ(像)は何時の間にか青銅色からカラフルな(しかしスーツ)色彩に変わっていた。


『ふっ・・・ねるふ特性ノ『PS装甲』ニソンナ攻撃ハ効カン!!』

 そしてゲンドウ(像)は勇ましく大空に飛んだ。

 ちなみに足の裏からジェット噴射で。


「なななな」


 驚愕する静馬を尻目にゲンドウ(像)は言い放つ。


『ワタシノ仕事ハ大門高校ノ外敵ヲハイジョスルコトダ。貴様ノ相手ハワタシデハナイ。』


「な、なにぃ~!?」


 ズドン


「ぐはぁあっ!?」 


 静馬は横からの衝撃で吹っ飛ばされた。


 ざっと二十メートルはふっとんだ静馬は持ち前の頑丈さを生かしてすぐ起き上がる。その静馬の見たものは・・・


「な、なんでやねん!!?」


『『ふっ問題ナイ。』』


 二体のゲンドウ(像)だった。


「2Pカラーか!?」


 そして新しく来たゲンドウ(像)が名乗る。


『ふっ、ワタシハ<赤木リツコ製作型番GGG(Great Gears Gendow)-2>!!コードネーム<Gendow『Ⅹ』>ダ!』


 ここにゲンドウⅩと草静馬の死闘が始まる・・・らしい。


続く


あとがき

 ゲンドウⅩ登場。実は作者ゲンドウ好きなんです。シリアスでもギャグでもいいキャラクターだと思いませんか?



[84] Re[18]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/10/17 23:10
GGG―――Great Gears Gendow

頭脳には超高性能AIを装備し

素材にPS装甲(フェイズシフト装甲)を使用する事によって限りなく防御力を高め

一号は十万馬力の怪力とロケットによる高速飛行

二号はエネルギー兵器の使用とリツコ印のマルヒ武器システムを標準装備

動力は太陽電池である。

しかし、リツコ禁制の秘密(?)の技術が使われその出力は未知数である。

予断だがテスト起動に加持のスイカ畑が使われそうになったらしい

そして加持がそれを止める事が出来たかどうかは定かではない


Episode『18』


ガン

ガン

ガン


「うおぉりゃあ!」


ガン

ガン

ガン


 草静馬の怒涛の攻撃をゲンドウⅩは微動だにせずただ突っ立っているだけである。PS装甲により生まれた鮮やかな青色(スーツ)がどんどん汚れていくのは静馬の服が汚いからだ。


『コンナモノハ効カン!!』


「ぬぉお!?」


 ゲンドウⅩは逞しい(?)腕を振り回し静馬にたたきつける。それを十字受けで防ぐ静馬。しかしその甲斐なく吹き飛ばされる。

 ちなみにゲンドウⅩの腕力はおよそ2トンである。


『ふ、甘イ甘スギル!!』


「く」

 
 静馬は単純なパワーやスピードと言った運動能力では勝ち目が薄そうだという言う事を悟り距離をとる。


「くっ!!最近オレのカッコイイイメージっちゅうのがイマイチアピールできておらんのや!そのうえこんな妖怪ロボニ負けるわけにはいかん!!」


『妖怪ロボデハナイ!!』


 そしてゲンドウⅩは静馬が近づいてこないと見るや


ニヤリ


 まるで本物のように笑った。


『バカメ。コノ距離コソわたしノ間合ダ!』


 瞬間ゲンドウⅩの左腕が変形(メタモルフォーゼ)する。そして現れたのは青い砲身。


「なにぃ!?」


『ゲンドウバスター!!』


 ビビビビビビビ


 ゲンドウⅩの青い砲身から小型のエネルギー弾が発射される。ちなみに並みの銃弾より幾分か遅い。


「あ、アホかぁ!?」


 必死に回避した静馬だったがやたら連発してくるゲンドウバスターに対して逃げ回る事しか出来なかった。


『ム、チョコザイナ・・・・』


 丸十分間もした頃飽きたのかゲンドウⅩが射撃を止める。


「はぁはぁはぁ・・・ようやく弾切れか?」


 汗びっしょり。そういう表現が嫌に当てはまる格好で静馬は呟いた。野生の獣波のスタミナと行動力を持つ静馬だが彼の天性の資質は守りよりは大部分攻めに傾いていた。

 そのため戦闘能力的に自分より明らかに低いレベルのものにならば自分のペースで戦えるため差ほど苦にもならない。

 しかし自分と同等もしくはそれ以上の実力者が相手となるとそうもいかなくなる。彼は良くも悪くも天才的格闘センスを保有していたがコノ場合がその質
が問題なのである。


 慶一郎は先天的には攻撃型。現在は万能型。

 シンジは先天的なものは不明。表は万能、裏は攻撃となる。
 
 上の二人と静馬との違いは実はそうありはしない。ふたりとも先天的にせよ後天的にせよまして潜在的にせよ攻撃的な戦いをするのは間違いないのである。

 しかし静馬には圧倒的に戦闘経験が足りない。その一点において二人に遅れをとる。もちろん『神威の拳』なしの場合である。

 静馬はその『才能』と『神威の拳』という常人とは一線を引いた向こう側にあるもので戦い抜いてきた男だ。

 それゆえに『自分のペース』が通用しない相手には本人の自覚外でストレスがたまる傾向が強かった。

 そして今回は慶一郎とシンジにやられて間も少なかったため自分のペースが狂っていたせいでその傾向がよりいっそう強まってしまっていた。


「くっ・・・・オレをなめるなや!!」


 ゲンドウⅩが攻撃してこないので静馬がついに『神威の拳』によって練り上げられた不可視の炎を燃え上がらせる。


「この妖怪ロボ!オレをなめた事を後悔しぃぃやぁ!!」


 ゴゥッ


 『赤い牙』炎の柱がゲンドウⅩに向けて突き進む。


 ドォン


『ぬぉ!?』


 不可視の波動のためゲンドウⅩは確認できずに直撃を食らってしまった。


「おぉ!!?・・・・どうや!!これがオレ様の実力!!静馬様の華麗なる必殺技!!『炎の虎』の『赤い牙』や!!」


 攻撃が直撃した事で途端に調子がよくなる静馬。やはり負けっぱなしというのはストレスがたまる。


『gagaga・・・損傷率80%・・・『ホノオノ虎』解析中・・・』


「ん?なんやまだやるんかい」


 ぐっと静馬が構えなおす


『・・・・登録完了・・・武器チェンジ!!』


 フィイン


「な、なんや!?」


 ゲンドウⅩの表面(スーツ)が鮮やかな青から燃えるような赤に変わる。ちなみに良く見ればサングラスの形が微妙に変わっているのもきづくだろう。


『ふ・・問題ナイ・・・ばとるもーど・・・『THE FIRE TIGER』ダ。』


 そう言うとゲンドウⅩは『炎の虎』の構えを取り


『<THE RED FANG>!!』


 ゴゥッ  ゴゥッ


 連続して放たれる<THE RED FANG>。


「く、負けるか!!」


 そして自らの神気を充実させ霊的防御力を上昇させる静馬。相殺される炎のエネルギーが辺りを高温にする。

 そして戦っていたのが慶一郎かシンジなら気づいたであろうゲンドウⅩが『霊的』な攻撃をしたことに・・・


『ふっ・・・・ココマデダナ・・・ちゃーじ!!』


 ゲンドウⅩにかつてないエネルギーが収束する。


『<THE CRIMSON BREAKER>!!』
 

 ゲンドウXの左腕に恐ろしいほどの熱量が集中し―――


―――シュルシュルシュル


 甲高い回転音と共に厚い炎の壁が生み出される!


 そして地面を疾風のようにはしり抜け静馬に到達


「くぅ――――がぁあ?」


 DoooooooooooooN!!


 静馬は一昔の前のアニメのような爆発に巻き込まれた。そして―――


『ちぇんじ!!ばとるもーど!!ふるあーまーゲンドウⅩ!!』


 どこからか『転送』されてきた『アーマーパーツ』こと更に派手なサングラスとスーツを着込み再び配色が鮮やかな青に変わる。


『ふるちゃーじ!!メガゲンドウブラスターⅩ!!!』


 今までで最大のエネルギー弾が発射される!

 巨大な破壊エネルギーのスピードは速くはない。しかしながらゲンドウⅩの炎に包まれた静馬にそれを避けるすべはなかった。


 BaGoooooooooN!!


 相変わらず派手な効果音の元、『静馬だった物』は弾き飛ばされ・・・


 バリーン


 ある教室に窓ガラスを割って突っ込んだ。


『・・・・・・ふ、問題ナイ・・・・・』


 くいっとサングラスをてのひらで押し上げるポーズをとると『とうっ!』という掛け声が当てはまるような格好でジャンプ!


『・・・・・ふ・・・・赤木博士・・・ナゼわたしニ飛行機能ヲツケナカッタノダ。ゲンジュウチュウイダ。』


 静馬の侵入した部屋の一階下ぐらいで浮遊していた。いわゆるホバリングである。

 ロボの割りには軽快な足取りで着地すると正面玄関のほうへ向かい・・・

 堂々と進入。そして・・・・


『加持少佐・・・・学校ニすいか畑ヲ作ラレルノハコマル。』


「ははは、そういわないでくださいよ。ゲンドウⅩ中佐。どうです?このスイカ?」


『・・・・・・』


 学校の花壇を見事にスイカ畑に改造した加持を黙殺し校舎の階段を上っていった。ちなみにロボなのにゲンドウⅩのほうが階級が高いのはただ単にゲンドウ顔だからである。ちなみに国連内でもこの階級で通用する。


『ふ・・・ワタシハすいかヨリモ赤木博士ノこーひー(に見せかけたオイル)ノ方ガ好ミダ。』


 人知れず笑っていた。


――――――――――――――――――――――――――――――


 そして時間は現在に戻る。


 ガララッ


 2のBの教室に唐突にゲンドウⅩ(フルアーマー)が現れる。


「今度は何だ・・・」


 慶一郎が疲れた声で反応するのに対しシンジが遠くを見る目で呆然としている。その横では気の毒そうに大作がシンジを見つめ涼子はさりげなく静馬を足蹴にしていた。


『けんか特待生001『草静馬』ヲ修理ノタメ回収スル。』


 そういってゲンドウⅩは涼子に足蹴にされている静馬(黒こげ)の元へ歩み寄る。


「うわ・・・・髭ロボ?」


 さすがにゲンドウⅩに恐れをなしたのか一歩引く涼子。

 ゲンドウⅩは静馬を肩に担ぐ。そしてその場を出て行こうとする。


「ま、待て。草をどうするつもりだ?」


 一応担任の義務感だけで静馬の安否を気にする慶一郎。


『修理工場(保健室)ニ連行スルダケダ。』


「そ、そうか。」


 慶一郎は義務感だけの発現だったためそれ以上は追及しない。


(まさか、今朝の銅像か!?く、あのオヤジは何考えてるんだ!?敵になりそうじゃないから良いようなものの・・)


 慶一郎がそんな事を考えている間にも静馬はゲンドウⅩ野方に担がれ連行される。そしてゲンドウⅩが教室の扉に差し掛かった頃・・・


『貴様ガけんか特待生002碇シンジダナ。貴様モコノ生徒同様至ラナイテンガアレバ『教育的指導』ヲホドコス。ソノツモリデイルヨウニ。』


「は、はい。」


 がらら・・がしゃん


 教室の扉は閉められた。

ポン

 シンジの方に大作が手を置いた。


「ずいぶんと苦労してるみたいですね。」


「分かる?」


 シンジは大作の中に『他人に振り回される人生』という要素を見つけこの瞬間二人に厚い絆がうまれた。

 しかし現シンジの当面の目標は『自分の人生は自分の好きなように生きる』なので本当のところ一致はしていないのだが。


結局、その日は一日シンジは哀れみの目で見られて終わった。


そして


「あぁ!?なんだかんだで私まだあいつに剣術の師匠紹介してもらってない!」


「うぅ・・・ねぇやん・・・リョーコ・・・もぉオレはだめやぁ・・・」


 帰りの道端で騒ぐ少女と修理工場(保健室)でなぜか臨時保険医の『伊吹マヤ』(年齢不詳)にリツコ印の栄養剤をうたれた少年はシンジにすっかり忘れられていた。


続く


あとがき

 静馬君の活躍がない!!どうにかしなければいけないと思う今日この頃です。



[84] Re[19]:リアルバウトハイスクール~碇シンジの黙示録~
Name: 『RD22』
Date: 2004/10/23 19:29
碇シンジは現在都内某所の飛天神社に居候の身分である

ちなみに同居の南雲氏はいちおう担任教師でもある

・・・・・

・・・・・

・・・・・別に言いたい事はそれだけである。


Episode『19』


「ごちそうさまです。」


 鬼塚家の夕食である。ちょうどシンジが食べ終えた所だ。

 シンジが柱にかけてある時計を流し見る。


「7時か・・・」


 緩慢な動作でシンジは自分の食器を片付けるとそのまま厳寒に向かって歩いていく。


「・・・・どこへいくの?」


 いつのまにかシンジの後ろについてきていた美雪がシンジに聞いた。それに少しシンジが驚く。美雪は気配や存在感と言った物が不思議と薄いのだ。


「ああ。慣れてきたといってもまだまだこっちには着たばかりだからね。散歩がてらそこら辺を回ってこようかと思って。」


 シンジは薄く口元に笑みを浮かべながら美雪に言った。


「私もいく。」


「美雪ちゃんも?でも―――もうすぐ暗くなるし」


 シンジが外の景色を見ながら言った。ほとんど夏なのでまだ日は明るいが少したてば暗くなってしまうだろう。

 シンジが美雪の顔に視線を戻すといつもの無表情な顔にどこか寂しそうな感じがしてシンジは戸惑った。


「かまわんぞ。」


「鉄斎先生?」


 美雪の祖父である鉄斎が歩み寄っていった。やたら威圧感を出しているが威圧感ならばシンジの父親も負けていないので特に動じたりはしない。


「最近、美雪は神社以上外に出ておらん。たまには連れ出してやるのも良いだろう。」


 鉄斎の言葉に少し考えるそぶりを見せるシンジだがさっきと比べて期待したような目の色を見せる美雪を見て落ちた。


 どうも碇シンジ―――女性には弱い。女運が良いのと女難の相が一緒なのかとは全国の主人公の命題である。


「そうですか。それじゃあ―――行こうか美雪ちゃん?」


 コクン、と頭を振りシンジのそばによる美雪。それを見ながらシンジは鉄斎に言う。


「それじゃあ、行ってきます。」


「うむ。」


 そして玄関を出るときシンジにその言葉が吐かれた。


「命をかけて美雪を守れ。」


 その言葉にやや口元を引きつらせながらもシンジは


“僕の周りってこんな人ばっかり”


 などと思いながら美雪と共に神社の石段を降りていった。


――――――――――――――――――――――――――――――


駅前の喫茶店『JOJO』


(見れば見るほど高校生とは思えんな~)

 慶一郎は向かいに座る少年を観察しながら思った。


 身長155cmの小柄な体格。童顔。愛嬌のある瞳。柔和な笑みを浮かべる口元。短めのサラサラな髪には時折天使の輪すら見える。


 全校アンケートの『弟にしたい可愛い男の子』部門でブッチギリの第一位に輝く神矢大作は少女っぽい美少年である。

 ちなみに最新版ではシンジが『頼りになりそうな男の子』部門で一位をもらっている。余談だが静馬は非公式で行われた『最近落ち目の男の子』部門で独走状態である。


「悪いな神矢。土曜だってのに着き合わせて・・・・」


「今日は暇だったからかまいませんよ。それで南雲先生折り入って話ってなんですか?」


 興味津々と行った大作にやや引いて慶一郎が言う。


「まあ、その話は後だ。夕飯はまだだろう?好きな物を頼んで良いぞ。オレのおごりだ。」


「なんでも?そう言われるとおすしが食べたくなりますね。」


「スマンが神矢・・・ここは喫茶店だ。」


「しょうがないですね。じゃあ、えーっとカルボナーラにスペシャルフルーツパフェ、それとクリームソーダ、お願いします。」


(本当に好きな物を頼んでるなこいつは・・・)


 慶一郎は内心呆れつつも、同時に頼もしさを感じた。


 大門高校のケンカ番長・草静馬の親友であり、Kファイト実行委員会の主要メンバーとして藤堂校長の陰謀に加担する情報収集係でもあるのだ。外見に反して神経は図太く、無邪気なようでいて計算高い、はっきり言えば『食えないやつ』――それが慶一郎の大作に対する評価だった。

 最近は藤堂校長が落ち目と見るや理事長・碇ゲンドウに取り入る努力を全く惜しんでいない。そのかいあってかあまりゲンドウは高校にはいないが常時赴任していた高校の花壇を全て『スイカ畑』に作り変えた男―――大門高校内では通称『スイカの加持』の異名をとる社会教師兼園芸部顧問・加持リョウジとはかなり親しくなっているようだ。

 碇シンジとも真っ先に仲がよくなった男でもある。

 慶一郎の経験上シンジは根は繊細で傷つきやすそうだが確固たる信念を持つ事でそれを乗り越えた男であると見ていた。ある種、大作とは正反対な性質ともいえるがそれが気の合う理由かもしれない。


「神矢の事を少し調べさせてもらった。成績優秀だそうだな。」


「そうですよ?」


「実家は北区の王子・・・以前はかなりレベルの高い進学校に通っていたようだが、なんでわざわざ隣の区から来たんだ?」


「理由ですか?面白そうだったからですよ。」


「つまり・・・あっちはつまらなかったって事か。」


「まあ・・・縁があったから、とでも言っておきましょうか」


「草か?」


「そう考えてもらっても結構ですよ。説明すると長くなりますし・・・今はとても楽しいですよ。今まで場を引っかき回してくれるのが静馬さんと涼子さんだけでしたが今は先生とシンジさんがいますからね・・・・話って静馬さんのことですか?」


「草の事は関係ない。俺の個人的な用事でな・・・なあ、神矢お前、アルバイトするきないか?」


「アルバイト!?」


 予想外だったのだろう大作はきょとんとした顔で聞き返した。


「シンジにも頼んだんだが・・・・少しシンジだけだと問題があってな。仕事は女子中学生の家庭教師だ。」


「中学生って・・・そのこ私立でも狙ってるんですか?それとも授業についていけない落ちこぼれとか?」


「どちらでもない。いわゆる登校拒否児童って言うやつだ。オレが下宿している家の女の子なんだが」


「でも、それってそのこがちゃんと学校に通い始めてからでしょう?大体そういうのは親が・・・」


「彼女の親は旅行中の事故でなくなっている。四年前にな。その自己で彼女も大怪我をして、しばらく入院していたらしい。体はあまり丈夫じゃないというのも長期欠席の理由であるんだろうが精神的なものもあるんだろうな。」


「ふ~ん、そりゃまたヘヴィな話ですねぇ。」


 人事なのでかなり能天気な口調である。パフェのサクランボを口に放り込みながら大作は続けた。


「それで?」


「うむ、本人が行きたくない物を行かせるのもなんだからな。行きたくなった時にすぐ戻れるようにしておきたいだけなんだ・・・それにそのこはずっと家にこもり切りなんでね。」


「な~るほど。それでこの僕に及びがかかったわけですが。」


 大作がようやく合点が言ったという風に意味ありげな笑みを浮かべ慶一郎の顔を見やる。校長が悪巧みをしている時とそっくりな顔に慶一郎は少し不安になった。


―――余談だが、その校長はそうとう言動に腹が立っていたのかゲンドウⅩ(銅像モード)に蹴りをいれすべからく殲滅され入院を余儀なくされた事も慶一郎の不安の一因である。


「そのこの名前はなんていうんですか?」


「名前?名前は美雪ちゃん・・・鬼塚美雪だ。」


「おにづか・みゆき?・・・ふぅん・・・。僕は霊感って信じてるんですけど、その名前・・・何か心を惹かれる物がありますね。まずは一度本人に会ってから出ないと」


「引き受けてくれるのか!?」


「合ってからだって言ったでしょう?それに、僕のギャラは高いですよ。」


「よ~し分かった。さあ行こう!すぐ行こう!」


 席から腰を浮き上がらせる慶一郎に大作は言った。


「まあ待ってください。すぐにはいけませんよ。まだクリームソーダを飲んでませんし・・・」


 そういって悪戯っぽく大作が笑うと慶一郎は脱力して席に腰を下ろした。その慶一郎に大作は再び言った。


「そういえばシンジさんにも頼んだんですよね?何が問題だったんですか?」


「ああ、それは・・・」


 慶一郎は苦い顔をしてそれを語りだした―――


慶一郎の回想


 数学

「だからね・・・この計算はこうで・・・って言う答えが出るんだよ。」

「わからない・・・」

「シンジ・・・一応、公式から教えたほうが良いんじゃないか?いきなり答えを言っても普通分からんぞ。」

「へ?公式って何ですか?」

「・・・・・」

 シンジは数式を見たら一瞬で答えを割り出せるため中学生位の公式をほとんど知らなかった。


社会

「え~と、歴史を紐解くと・・・・というわけでこの場合効率の良い敵対勢力の潰し方は」

「なんのはなしだ?」

「ええ、近代の戦争史から地形と敵を以下に殲滅すると効率が良いかをいっぺんに覚えられる画期的な勉強方です。」

「別の勉強法にしてくれ・・・・」


生物

「だから・・・人間はこの点を突くと一時的に仮死状態に・・・」

「今度は何を教えてるんだシンジ?」

「ええ、中国の秘境に伝わる。人体の構造を極めた伝説の暗殺拳、○斗神拳の源流である北○流拳を・・・」

「美雪ちゃんにそんな物を教えるな!!」


etc etc etc


 ―――とまあ大体は非常に効率よく教えてくれるんだが、偶にとんでもない事を吹き込もうとするんでな」


「う~ん。静馬さんといいシンジさんといいつくづく天才型のヒトってのはどこかずれてますねぇ~」


「人事じゃないぞ。神矢、これからいっしょにやってもらうんだからな」


 その一言で大作の心に やっぱり断ろうかな と一瞬考えがよぎったのはここだけの秘密だ。


―――――――――――――――――――――――


「とりゃあああ!!」


「ぐぅはぁ!?」

「ぎゃああ!?」

「や、やめてくれぇ!!!?」


 一人の少女がチンピラたちを“狩って”いた。元から赤い木刀なのか血で赤く染まったのかは定かではない凶器を振り回し縦横無尽に暴れ回る。


パン


「其処までにしやがれ!!」


 とりあえずキャラ的にはどうでも良いが苗字だけは明確ないわゆるザコキャラA。そんな言葉が割りと似合う登場シーンが省かれた不良バイパーズのリーダー黒木である。

 手には拳銃その先は涼子ではない。


「りょ、りょ~こちゃ~ん。」


 半泣きの少女は大門高校の図書委員で涼子の親友の結城ひとみである。現在彼氏はいない。


「はっ!!その木刀を捨てろ!!」


「くっ!!」


 渋々、涼子が愛刀を捨てる。それを見て黒きは汚い笑いを浮かべる。


「ようし・・・てめえら捕まえろ!」


 涼子に木刀で叩きのめされたザコたちがフラフラとした足取りながらも涼子を取り押さえる。

 涼子の顔が屈辱に歪むのを見て黒木がいやらしいにやけた顔を浮かべる。


「この凶暴女が・・・ちょっとは可愛い声でもあげて見やがれ!!」


 そして黒木の手が涼子の服にかかる


「い、いや・・・」


 ぱしゃっ


 シャッターを切る音と共に閃光が瞬き、黒木たちは突然の事に驚いて慌てて背後を振り向いた。


「ほいチーズっと!」


 再度のフラッシュが黒木たちを照らし出す


「だ、誰だ!?」


「誰やと?ご挨拶やなぁ、黒木!」


 ヒトを食った柄の悪い関西弁―――そしてこの瞬間彼は間違いなく涼子とひとみにとってヒーローだった。


「これや!!やっぱりオレはヒーローじゃなきゃアカン!!」


 しかしインスタントカメラ片手に感動している草静馬を見た涼子は静馬を見直すことを止めた。


――――――――――――――――――――――――――


「ん?」


 シンジが唐突に立ち止まる。


「どうしたの、シンジさん?」


 美雪がシンジに尋ねる。


「近くに草君と涼子さんがいるな・・・・草くんのオーラが高まってきてる・・・涼子さんのオーラがやや不安定だし。」


 シンジがやや思案顔になると美雪に言った。


「少し遠いけど・・・寄り道するよ美雪ちゃん。」


「寄り道?」


 ぽけっとした美雪にすばやくシンジは行動を起こす。


「きゃっ!?」


「しっかり捕まってて!!」


 いわゆる『お姫様抱っこ』で市街地を飛び回る人影が新聞に載るのは翌朝の事だった。


 そして銃声を聞き、大門高校最強の教師も現場に向かっている所である。


――――――――――――――――――――――――


大門高校・某所


『識別番号*****ガ殺傷力15ノ銃器ニヨリ危険ニサラサレテイル。GGG-1ヘ対応ヲタノム。鉄腕ゲンドウヘ。』


『現在、れべるSノ教師一名、れべるAノ生徒ガ救助ニ向カッテイル模様、れべるBノ生徒ガ現場ニ到着。私ハ現状デ十分救出可能ダト判断。万一ノタメニ出動準備ダケヲスル。ゲンドウⅩドウゾ。』


『コチラゲンドウⅩ。了解シタ』 

 
 そして夜はふけていく


続く


あとがき

 前回からのつながりがあまりないですが本編系進行ということで・・・


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