「C.Cさん、逆行させてください」
ブリタニアで世界一のピサを焼くというイベントに来ていたC.Cは
いきなり、見覚えのありまくる仮面の正義の味方に拉致られて、かつての共犯者の妹と面談していた。
「ナナリー、いきなり人を拉致しておいて、それは訳が分からないぞ」
ナナリーは笑顔でうなずいて、とんでもないことを口走っていた。
「実は日本文化のサブカルチャーに、不幸になったり、悲しい結末を迎えた主人公が
時を遡って、最強のモテモテで事件をやり直し、ハーレムを作って、めでたしめでたし。
と、いう形式の物語があるのです。
最強でモテモテなのに、なぜか最低系と呼ばれている不思議なジャンルです」
このブラコンは、最愛の兄を亡くして脳が腐ったのだろうか。だとしたら、あのシスコンがかわいそうだな。
そんな失礼なことを、C.Cは考えていた。
そんなC.Cを無視してナナリーは尚も語っていた。
「その最低系というものの形式に則り、最強っぽいナイトメアを開発させました。
とりあえず、輻射波動のハドロン砲で絶対守護領域な感じのエナジーウィングで変形機構付きのナイトメアです。
名前も形式に則り、円卓の騎士団の王の名前を取り、アーサーとしました」
「それは猫の名前じゃないのか?」
思わずC.Cはツッコミを入れてしまった。ツッコミを入れたあと何ともいえない敗北感に苛まれてしまった。
「まあ、そこはそれです」
それすらもナナリーは流してしまった。そして尚もツッコミどころ満載な台詞を吐いていく。
「で、肝心の最愛のお兄様なんですが、お兄様はモテモテで頭もとても良く、悲劇的な結末を迎えているので、
逆行しているか、もしくはお兄様の悲劇を食い止めるために、誰かが逆行しないといけないのです。
そして、その役目はお兄様の最愛の妹であり、ヒロインである私の役目だと思うのです」
「いや、ヒロインというなら、ルルーシュを想いながら死の寸前で告白していったシャーリーの方がヒロインっぽいが」
そこまで言うと、ナナリーからギアス以上の圧迫感のある視線が飛んできたので、C.Cはヘタレてしまった。
「うん、ルルーシュは最愛の妹のために世界を変えようとしたから、ナナリーがヒロインだな」
「C.Cさんはお兄様の共犯者であっただけあって、理解が早くて助かります」
そろそろ、このディートハルトが喜びそうなカオス空間をどうにかしたくて、近くに人間に助けを求めようとして
周りを見回した。
最初に目が合ってしまったのがコーネリアだった。そのコーネリアに沈痛な顔で頭を下げられてしまった。
次はカレンとそれに縋り付いて泣いているジノだった。カレンはどうもナナリーと同じテンションで居るから、
ナナリーと一緒に逆行する気マンマンなのだろう。そしてジノはそれを止めたくて縋り付いているというところか。
これはこれでカオスなので無視することにした。
ロイド、セシル、ニーナ、ラクシャータの科学者連中は並んでいるナイトメアの調整を行っていた。
この状況にかかわる気がないのだろう。蜃気楼をベースにランスロットと紅蓮とガウェインを足し合わせような機体が
ナナリーの言う最強KMFアーサーなのだろう。作ったは良いが神虎と同じく乗り手が居ないのではないだろうか、と心配してしまった。
自分を連れてきた仮面の正義の味方は、椅子に座って燃え尽きていた。
並んでいるKMFにランスロットがあったから、ナナリーの珍道中のお供を命じられたのだろう。
シュナイゼルを見た瞬間に、こいつもダメだと思ってしまった。
多分、手に持ってる書類はルルーシュにかかわった事件を解析していった書類だろう。
総てを諦めてナナリーのほうに注意を向けると、異常なテンションが続いていたらしく、未だに何かを語っていた。
「そう、いきなり自分を助けた、最愛の妹の面影を持つ謎の美少女パイロット。
いつも邪魔をするランスロットを一蹴するその姿がまぶたに焼きつき、忘れられなくなってくる。
そして、その謎の美少女パイロットと本格的に接触し互いに心惹かれていく。
しかし、その美少女は未来から自分の悲劇を食い止めようとした最愛の妹だった。
その禁忌のために、葛藤するお兄様。しかし二人は運命で結ばれている」
そんな、ナナリーをC.Cは冷めた目で見つめてしまった。
「あら、C.Cさん。どうかなさったのですか?」
「いや、ツッコミどころは1文節に3つまでにして欲しいなと思っただけだ」
「まあ、C.Cさんは相変わらず冗談がお上手で」
どうでも良くなってきて、C.Cはナナリーに聞いてみた。
「悲劇を防ぐなら、マリアンヌの暗殺を防いだほうが良くないか?」
「それも考えましたが、お兄様とラブラブしたいので却下しました」
それを聞いて、投げやりにC.Cは提案した。
「ほれ、最強ならギアスをやるから契約しろ」
そんなC.Cの言葉を聴いて、カレンは物凄い勢いで食いついてきた。
「ちょっと、C.C。ギアスをくれるなら私にも頂戴よ」
「あ~、いいぞ。それ」
かなり適当にC.Cは二人と契約した。
「C.Cさん。これは素晴らしいギアスですね。
ニコッと笑うと相手が惚れるギアスです」
ナナリーの言葉を受けて、カレンも自分のギアスについて語った。
「私のほうは、相手を撫でると撫でた相手が惚れるギアスね」
いきなり、ニコポとナデポのギアス、無意識集合体は何を考えているのだろう。
この分だと、逆行できるんだろうなぁ。とC.Cは思ってしまった。
「さて、準備が整いましたし、C.Cさん。
逆行させてください」
その言葉をうけて、カレンがアップし始めた。
「さあ、がんばっていくわよ!」
「多分、黄昏の間にいけば、何とかなるんじゃないのか?」
C.Cの発言で、初めて聞く単語が出たのでナナリーは思わず聞き返した。
「黄昏の間?」
「ああ、意識と無意識が交わる空間、過去の総ての記憶が集まる場所」
そんなC.Cの回答を受けて、ナナリーは問いただした。
「何処にあるのです?」
「中華連邦のはルルーシュが壊したし、日本の神根島のもルルーシュが壊したなぁ」
「ルルーシュが壊してばっかりじゃない」
そんなカレンのツッコミが入った。
「いや、ブリタニア首都ペンドラゴンにあったやつはナナリーがフレイヤで吹き飛ばしたぞ」
「そんな、じゃあ、どうすれば」
ナナリーが意気消沈するのを見て、C.Cは話の流れ的にこのカオスが終わるのかと期待した。
「その黄昏の間に続くと思われる遺跡なら、ブリタニア国内に幾つかあるから大丈夫だよ。ナナリー」
そんなKYな発言を元宰相閣下は言った。
「シュナイゼルお兄様、流石に頼りになります」
「ありがとう、ナナリー。これがその遺跡の位置の地図だよ」
そんな風に幾つか印の付いたブリタニアの地図をナナリーに渡した。
「では、出発です。カレンさん、ゼロ」
こうして、KMF3機は飛んでいった。
アーサーはどうやらナナリーが乗って行ったらしい、流石は閃光の娘だ。
そんなふうにC.Cは見送っていた。
シュナイゼルは淡々とC.Cに告げた。
「なに、ナナリーも飽きてお腹が空けば、帰って来るさ」
その言葉を聴いたC.Cは、「そうだな。私も世界一のピザを食べるか」
そう答えて、ナナリーとそのお供たちの幸運を祈った。
初投稿(09/05/12)