「ネジ………お前を宗家に生んでやりたかったな………」
「父上………出来れば日向一族以外でお願いします!!」
日向宗家を憎んでいた………が、ある時、日向一族の事を考えて解った事がある。
それは、分家は宗家に縛られるが、宗家もまた日向に縛られている。
白眼の秘密を守るため、宗家も分家も鳥籠の鳥。
『日向に生まれた人間に自由は無い』これは俺が齢十一の時に考えた結論だった。
○ネジってみた○ 1話
「中忍試験ですか?」
「リーやテンテンは参加すると言っている、後はお前だけだ、ネジ」
「ん~俺はやめときます面倒だし、それに日向だから」
「宗家の事は気にするなと言ったはずだ」
「宗家は関係ないですよ。中忍になると、日向一族に収めるお金が一割から二割になるんですよ」
「お前の才能は理解している。お前ほどの才能が分家に甘んじるのは、つらい事だろう」
「先生、話聴いてませんね」
「だが、お前の努力は俺が保障する。だから中忍試験に出ろ………ネジ」
「はぁ~………分かりましたよ。参加すればいいんでしょ」
「それでこそ、ネジだ(キラーン)」
「暑苦しい」
日向一族に生まれた事に、軽く人生のやるせなさを感じてから二年、斜に構えた態度を止めてからも二年。
やる気は無くなったが、父の言葉を信じるなら日向の才に恵まれているらしいので、鍛錬だけは欠かさなかった二年間。
中忍試験に参加する事になって五時間、雨で中忍試験が中止になればいいのにと思って一時間、ネジは眠りについた。
「ネジ、テンテン、中忍試験がんばりましょう!!」
「そうね、はりっきっていきましょう」
「………面倒だから帰りたいんだけど、いいかな」
リーとテンテンに無理矢理参加させられた中忍試験当日。
試験会場には、ヒナタ様の姿があった(おや、参加するのかな、宗家からはなんの連絡もなかったけど?)
ヒナタ様と同期の、犬塚、油女、山中、奈良、秋道、うちは、その他二名の姿もあった。
(ヒナタ様の同期は全員参加か、里で名の知れた一族の子息だから不思議ではないが、時期早々な気もする。まあ所詮は他人事だけどね)
「森乃イビキだ、これより中忍選抜試験を開始する。言っておくが俺がルールだ」
なぜか中忍選抜試験なのに、筆記試験が開始された………はっきり言って一問も解けない、まあ解く気もないけどね。
リーやテンテンには悪いが中忍には興味がない、まあ考えているふりだけしてよう。
ふと他の一族を見たせいか、父の言葉を思い出した『…お前を宗家に生んでやりたかったな…』
(………もし生まれ変るなら、どの一族がいいかな、油女一族………蟲は嫌だな蟲は。
犬塚一族………悪くは無いが、犬の世話が正直言って面倒だな。山中一族………多人数相手に戦うのは、むいてないしな山中は。
奈良一族………この一族も多人数相手に戦うのは、むいてない。うちは一族………今ここに生まれ変ったら日向以上に自由がない。
残るは秋道一族か………多人数相手でも問題なし、秋道一族は基本的に穏かな人間が多いし、秘伝の料理もあるらしい。
いいな秋道一族、生まれ変るなら秋道一族で決まりだな。『父上、できるなら秋
「よし、残ったお前ら合格だ」
………いつの間にやら試験に合格したらしい………一問も解いてないのに、いいのかこれで………