すごいよ!ゼルエルさん
第8話 (ゼルエルさんの)外の世界
SIDE 碇シンジ
『初号機、起動確認』
『シンクロ率42%』
『すごいわね。初めてでここまでのシンクロ率を出すなんて。でもいいのミサト、レイじゃなく素人のシンジ君を乗せるなんて」
『レイがまだ初号機を動かせない以上、素人だろうが動かせるならいいわ』
『そう。まあ、そこらへんはあなたの管轄だし私がとやかくは言わないわ」
レイ、他のパイロットのことかな・・・
でもその人は"これ"を動かせない
動かせるのは・・・僕だけ
僕がここを守らないといけない
僕がやらないと、戦わないといけない・・・
僕が、僕が・・・
『シンジ君、聞いてる』
『は、はい!』
『緊張・・・するわよね。ごめんなさい、いきなりの実戦なんて』
「僕しか・・・いないんでしょう。それならしょうがないですよ」
『・・・・ごめんなさい。今はそう言うしかないわ。言う資格もないかもしれないけど』
「いいですよ。他の人のいうことに従うの、慣れてますから」
そうだ、いつもと同じだ
他人の言うことに従う
他人に嫌われたくないから
それが今回はミサトさんと・・・父さんに嫌われたくないから
ただそれだけの違いでしかない
もっとも、父さんは嫌う、嫌わない以前に僕のことなんて気にもしてないかもしれないけど
『いい、シンジ君。敵はこのままだとあと20分ほどでここに到着するわ。今から上に出すから、敵が来る前にできるだけエヴァでの機動に慣れておいて。敵が来たらこのポイントまで敵を誘導するのよ』
そうミサトさんが言うと画面に地図が現れた
『この地点におびき寄せたら敵のA・Tフィールドを中和。あとはこちらから兵装ビルによる十字砲火を仕掛けるわ』
「あ、あのう、A・Tフィールドって・・・」
『それは私が説明するわ、シンジ君』
と、ミサトさんから通信がリツコさんに代わった
『簡単に言えばA・Tフィールドは使徒が持っているバリアよ。これがあるから使徒に対しては通常の方法では有効な打撃を得られないわ。そしてこのA・Tフィールドはエヴァも理論上展開できるはずなのよ。A・TフィールドはA・Tフィールドで無力化できるはず、だからこそのエヴァなのよ」
「具体的にはどうやって使うんですか、その・・・A・Tフィールドって」
『さあ?』
「さ、さあって!?」
『ドイツの弐号機は展開に成功したらしいんだけど詳しい資料こっちに廻してこないから詳しくは分からないわ。でも他人の拒絶がトリガーだとは書いてあったからとりあえずやってみて」
他人の拒絶?
他人の拒絶、他人の拒絶、他人の拒絶
拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶拒絶
『エヴァ初号機に微弱ですがA・Tフィールド反応!』
『よし、いけるわ!』
『まさかここまで簡単に展開してくれるなんてね』
これが、A・Tフィールド・・・
なんだろう、どこか落ち着く
『シンジくん、その状態を覚えていてね』
「はい」
『それじゃあ、上に上げるわ。・・・頑張ってね」
「はい」
そう言うと機体がゆっくりと動き出す
そして垂直にのびたレールまで来ると機体がレールに固定される
『よろしいですね、碇司令』
父さん?
『かまわん、使徒殲滅が最優先事項だ』
そうだよね、始めからそのために呼んだんだから
いまさら躊躇なんかしないよね
『エヴァンゲリオン初号機!リフトオフ!』
そして体にかかるGに耐えながら僕は初めての実戦に出た
「そ、そんな・・・」
『目標健在!ダメージは微小!』
『兵装ビル、次々に破壊されていきます!』
『A・Tフィールドを中和し切れなかったの』
『シンジくん、後退よ!すぐに引いて!』
途中までは順調だった
何度か光る杭や光線も食らったけどそれでも何とかポイントまで誘導しきれた
A・Tフィールドも展開できた
ただ、それでも倒せなかった
何が、何がいけなかったんだろう
武器の威力が弱かったのか
敵が予想より強かったのか
それとも・・・僕が
僕がだめだったのか
A・Tフィールドをもっと強くはれなかった僕が・・・
だがそんなこともすぐに考えられなくなった
なぜなら敵がこっちを向いたから
「ひっ、」
思わず悲鳴が出る
そして敵の目が光る
また光線!
そう思うが早いか機体が吹っ飛ばされ体中に痛みが走る
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
『直撃!』
『各装甲異常発生!後一撃加わると破損の恐れがあります』
『まずいわね』
『シンジ君逃げて!』
「くぅ、うう・・・」
逃げなきゃ、早く、早く逃げなきゃ
そう思い機体を動かそうとしたけど足が動かない
何だよ、動けよ、動けよ!
『右足付け根異常発生!エヴァ行動不能!』
『さっきので!』
『"やつ"を使え』
『いいのか、碇』
『このままでは初号機が失われかねん」
『シンジ君、すぐに援軍が来るわ!それまで少し待って!』
もうすでに他の人の声は耳に入らなかった
とにかく目の前の敵から逃げたかった
「あ、ああ・・・」
徐々に縮まっていく距離
そしてまた敵の目が光った
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
もうだめだと思い目をつぶった
ぱきぃぃぃぃん
あ、あれ・・・
痛みが・・・来ない?
そう、不思議に思い目を開けると
そこには
この前の怪獣―ゼルエル―がいた
SIDE 葛城ミサト
「"やつ"を使え」
そう碇指令が言ったのをただ私は賛成するしかなかった
今はシンジ君を助けることが先決
私の個人的な思いは二の次だ
「ゼルエルは!」
「もうすでにリフトに固定されています!」
「今すぐ出して!」
そういうとすぐさまゼルエルを乗せたリフトは上がっていった
そして私はその後に起こった戦いとも呼べない戦いを見た
ぱきぃぃぃぃん
相手の使徒の光線を難なく自分のA・Tフィールドで防ぐゼルエル
そのA・Tフィールドの数はざっと数えても10枚以上はある
そしてそのA・Tフィールドに今度は光る杭を何度も打ち込む相手の使徒
だがこれでもやはりゼルエルのA・Tフィールドは小揺るぎもしない
そして今度はゼルエルが動いた
その紙のような腕を脇に丸め、そして
打ち出した
ぐちゃ、
まるで肉を叩き潰したような音が響く
いや、事実叩き潰したのだろう
ゼルエルが打ち出した槍のような腕によって
そして画面に映る相手の使徒には右上半身がなかった
突き刺さるという段階を超えて吹き飛ばされたのだろう
だが特筆すべきはそこではない
「まさか、A・Tフィールドを力だけで破壊したというの!」
そう、相手の使徒もA・Tフィールドを張っていたのに
だというのにゼルエルの攻撃は相手のA・Tフィールドを簡単に打ち抜いて相手に届いたのだ
と、そのとき相手の使徒が動いた
ゼルエルに向かって突撃を仕掛けたのだ
「まさか、自爆する気!」
だが私がそういったその瞬間
ゼルエルの目が光った
どごぉぉぉぉん!!!
あまりの光に思わず目をつぶってしまった
そして目を開けて私は画面を見た
そしてそこには何もいなかった
まるで最初から何もいなかったかのようにそこには肉片一つなかった
「山が・・・抉れてる」
そして消えたのはそれだけではなかった
おそらく射線軸にあったのだろう山が綺麗に円状に抉れていたのだ
そしてそれを引き起こしたのは・・・ゼルエル
「これが・・・ゼルエルの本当の力」
私たちは本当にこいつを制御できるの・・・
そんな私の疑問も知らずゼルエルは何事もなかったかのように微動だにしていなかった
あとがき
今回はシリアスオンリーの話
そして次回はゼルエルさん内面のお話+α?
きっとギャグ9割になるのでご容赦お願いします
そして感想は271
これは今日中に300いけるか?
P,Sグーグル先生で「すごいよ!ゼルエルさん」って検索したら2つくらいのブログで紹介されてた