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[9984] 月丘晶子の受難(花と乙女に祝福を)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/01 23:00
注意
志鶴シナリオ後をベースとしています。

第0話


私、月丘晶子はパッシブスキル【病弱】を持つ儚げな女の子!
肺や心臓等の重要な臓器が全て未熟で、一度体調を崩すとひと月近くも入院しちゃうくらい体が弱いんだ。
せっかく箱入りお嬢様育成機関として有名なミッション系女子校である、聖ルピナス学園に入学できたというのに、去年は半年近くも休んでしまい、留年確定しちゃった。
でも、「ど~してお友達と一緒に進級したいんです!」と目薬さして学園長先生にお願いしたら、明らかに単位足りないのを見逃してくれました!
といっても、これ以上長期の休みを取るようなら留年みたいですけど。

無事(?)2年生に進級し、「今年こそは一度も学校を休まない」を目標に掲げました。
後輩もでき、楽しい学園ライフが後れると思っていましたが―――














やっぱり無理でしたw



それでも、双子の兄さんが私の為に女装して影武者をしてくれたおかげで、留年せずにすみました。

兄さんが騒動を起こして私が生徒会長に就任するはめになってしまっても。
兄さんが迂闊な行動したせいで、私に「男性疑惑」がかかり、嫌疑を晴らす為にゴスロリ趣味やetc…
兄さんがモデルの裸婦画を掲示板に張り出されたり(兄さんがモデルのせいで私がまな板だと思われたじゃないですか!)
男性疑惑のせいで、私(兄さん)が立藤の会(花をテーマにした文化祭のようなもの)で、生徒会の企画「100万本の薔薇」の景品として壇上で縛り上げられ、見せ物にされたうえ、私が男か調べられるなんて事態に陥ったり。
色々あったようですが、今日から私、月丘晶子本人が登校できるのです!


さ ぁ 、 楽 し い 学 園 生 活 の 始 ま り で す !


そんな風に思っていた時期が私にもありました。
校門で、長刀を持った集団(私の親衛隊らしいです)に「晶子様、昨日はお勤めご苦労様でした―――ッ!」と言われるまでは…。


つづく



[9984] 第1話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/03 23:04
第1話


 私が教室に着くと、親衛隊は解散して各々の教室へ向かった。
 親衛隊の警護の下移動する時の、まるで十戒の海面のように生徒が割れて注目を集めるのが恥ずかしかった。
 今日はこれでようやく解放されたと思い、自席で吐息する。

 ―――やっぱり、これ日課になちゃうのかな?
「なにこの羞恥プレイ……」
「ごきげんよう、晶子さん。朝から一体どんなプレイを為されたのですか」
「どんなプレイって、志鶴さんが言うとエッチな事に聞こえるから不思議ね」

 朝から変な挨拶を交わすのは、いつのまにか兄さんと(自称)婚約者になっていた私の親友。
 鹿島志鶴。それが彼女の名です。
 兄さんが私の影武者してる時に恋人となり、学園で、寮で、デートでとあらゆる処でオ○ニー覚えたての猿のように盛ってたそうです。志鶴さんの顔を見た瞬間に、二人の関係を問いつめた時の、説明を終えた兄さんが漏らした「赤玉出るかと思った」という言葉を思い出して思わず赤面してしまいます。

「あら、お顔が赤いですよ」
「って、顔近いですっ」
 志鶴さんが額と額をくっつける。
「でも、熱がないか調べるにはこれが一番早いですし」
「確かに一理あるけど、熱なんてないから安心してください。むしろ、志鶴さんの方が温かいですよ」
「えぇ、確かに大丈夫みたいですね」
 ようやく、離れたと思った瞬間、志鶴さんの唇が私の唇に触れた。
 ガタン。思わず後ずさったせいで椅子が後ろの席にぶつかりクラスの注目を集めてしまいました。
「な、ななななななっ!?」
 私がこんなにも混乱してるというのに、志鶴さんはおとがいに人差し指をあて「私何かsました?」みたいな顔してる。
「ど~いうことですか、志鶴さんっ!」
 ただであえ注目を集めているのに、つい大声を出してしまったせいで廊下から他のクラスの生徒まで覗き込んでいる。あ、去年同じクラスだったような気がしないでもない人も見てる。
 キョトンとしたまま暫く考え込んでいた志鶴さんは、事もあろうに
「ごめんなさい。彰さんと似ているものだから、寂しくてつい。本当に申し訳ありません」
 すぐに頭を下げてくれました。
 もともと女子校なせいか、私も更衣室でふざけて志鶴さんの爆乳をふざけて揉んだりする事もあるから許そうと思ったのですが、頭を下げたまま小さく呟いた「彰さんとはぜんぜん違う臭いなのに、私どうしたのかしら…」が耳に入った瞬間、我を忘れてしまいました。



 気が付くと、もう一人の親友である名木城都さんと担任に羽交い締めされてました。
 足下には「もっと…、もっとください」と呟く志鶴さん。
 何があったのか思い出せませんが、思い出せない方が精神衛生上良さそうです。









 休み時間に人気のない場所で密談しました。
 議題は私の行動方針です。
「えっと、気を悪くしなで聴いてね」
 都さんが何故かじと目で私を見ながらいいました。
「去年は晶子半年近く休んでたでしょ」
「うん、体調崩してたとはいえ、登校できないのは辛かったよ」
「言い難いんだけどね、えっと、その…」
 とても歯切れの悪い都さんの後を志鶴さんが引き継ぎました。
「晶子さんは休みが多かったせいか、生徒の皆さんには、あまり印象に残ってなかったんです。
 今年は彰さんがいろいろ活躍しましたので、全校生徒の晶子さんのイメージが既にできあがっていまして」
「つまり、なんという事でしょう!
 あの大人しくて病弱で可憐な私も、兄さんのせいで親衛隊ができるほどのカリスマを放つ全校生徒憧れの生徒会長になりました!
 って事でいいのね!?」
 だんだんイライラしてきて、思わず声を荒げてしまいます。
「あ~、分かってるなら話は早いけど、今度は晶子が彰さんのフリをしないと、別人じゃないかと疑われる事になりそうだから、覚悟してね♪」
「都さん、楽しんでません?」


 兄さんがやってた行動とか聞いて段々と鬱になってきました。
 本当にやていけるのか心配です。


つづく







あとがき

数年ぶりに二次創作したいと思う作品に出会えました。
スペシャルディスクとか出て欲しいですね。


7月3日 誤字脱字修正のついでに0話との矛盾点を修正。



[9984] 第2話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/04 21:48
 休み時間に移動教室から教室へ戻る途中の出来事です。
 あ、やっぱり、直前の授業(道徳)で起きた事から話しましょう。


 道徳の授業。普段は聖書の解釈についてのディスカッションが中心なのですが、今日は視聴覚室で魔女狩り全盛期についてまとめられた映像を見て感想文を書く、という内容でした。
 魔女狩りそのものよりも、魔女として密告された後の拷問についての映像の方が長かったです。
 Disc○veryCHANNELの「拷問と処刑○歴史~中世~」が上映されました。著作権は大丈夫なのでしょうか。
 それよりも、冒頭で「過激・グロテスクな映像により気分を害する可能性があります」と注意する番組を授業で使わないで欲しいものです。クラスの何人かは絶対にトラウマになっているでしょう。
 何故か志鶴さんだけ、恍惚と見入ってましたが、気にしたら負けです。
「苦悩の梨で彰さんに責められたりしたら…」
 やっぱり、少し距離置いた方が良いのでしょうか。


 その後、資料映像の切り替えで担任のハメ撮りが流れて部屋中から悲鳴が上がり、パニックになったりもしました。
 担任が口を開いても一向に生徒の悲鳴が収まらなかったので、私が代わりに騒ぎを納めました。
 手を叩き、声を張り上げる。
「みなさ~ん、落ち着いてくださ~い!」
 なんで私が言うと静まるのかしら。
 兄さんは本当に(以下略)と考えていると、
「ヒィッ、口を閉じないと大変な事に!」
「みなさん静かに~、今朝の志鶴さんみたいになりたいんですか!?」
「晶子お姉さま…」
 等の声が耳に入りましたが無視です。認めたくないので敢えて小さく呟きます。
「まったく、兄さんは私の居ない間に何をしたんですか」
 都さんがじと目で私を見つめています。
 志鶴さんは映像が停止されたスクリーンを見つめたままうっとりしてます。
 都さんの視線が痛いですが、気にしたら負けです。


 なんで学校にそんなエロ動画を持って来るのか分かりませんが、この国では毎年、教師が授業で教材とAVを間違えて再生するというニュースが報道される事を事例とし、担任は教師としての義務を果たしたのだ、と説明したら皆さん納得してくれました。
 当然、口止め料として担任の専門教科の考課に色を付けてもらう「約束」も忘れませんでした。


 p.s.
 担任のハメ撮りを見た志鶴さんは、微笑みながら言いました。
「こんなプレイがあるなんて……、今度彰さんにがんばってもらいます」
 何故、私に言うのですか。
 ―――本当にこんなのを義姉さんと呼ぶ日が来てしまうのですか?




 ようやく休み時間の出来事です。


「あ、ごきげんよう。晶子さま」
「晶子さま、ごきげんようですぅ!」
 私と同じく、肩で切り揃えた髪の子と、腰まで届く髪を大きなリボンでまとめた子に声をかけられました。
「ごきげんよう、祈、眞弥子ちゃん」
 昨日、兄さんと引継をしたとはいえ、写真もなかったので仲の良い下級生を間違えないか心配でした。
 髪を肩で切り揃えた貧乳の子が藍那祈ちゃん。私(兄さん)にとても懐いており、スキンシップで頻繁にハグしたりする仲らしいです。
 腰まで届く髪を大きなリボンでまとめた巨乳の子が山本眞弥子ちゃん。いつもテンション高いそうです。
 一応説明を聴いていたとはいえ、私にとっては初対面なので内心ドキドキです。
 眞弥子ちゃんの胸を兄さんは「ロケットおっぱい」と表現してましたが、本当にロケットです。おっぱいミサイルだったとしても納得です。
 体育の後らしく、汗で体育着がぴったりと張り付き、うっすらと透けているので分かるのですが……。
「なんで眞弥子ちゃんはノーブラなのよ!」
 思わず手が出てしまい、ロケットを揉みくちゃにしています。
「ひゃあああああ、あ、晶子さまやめてください―――ッ!」
「持たざる者に対する当てつけですかー、そんなにロケットを自慢したいんですかー!」
 体育着の裾から手を入れる。
「あ~、掌に吸い付くようなこの感触…」
「あ、あの、晶子さま。みなさん見てます」
 祈の指摘で少し冷静になりました。
「主よ、何故私にこのような素敵な果実を与えて下さらないのですか」
 眞弥子ちゃんのロケットおっぱいを堪能した私は、ここが廊下、すなわち公衆の面前である事を思い出し、咄嗟に神に祈りを捧げて誤魔化します。
 強い視線を感じ、振り向くと「……」じと目で都さんが見ています。
「み、都さん? そんな目で見てないで止めてくださいよ」
「ごめん、止められる自信ない」
「眞弥子さん、羨ましいです」
 志鶴さんは放置です。


「うぅ、もうお嫁にいけません」
 息を荒げ、がっくりと崩れ落ちた眞弥子ちゃんの隣で頬を赤らめオロオロする祈が目に映り、思い出す。
 私がスキンシップするべき相手は祈だった事を。
 今からでも遅くないですよね。
「祈…」
 声をかけ、祈の頭を撫でる。
「あ、晶子さま?」
 ゆっくりと手櫛で髪を梳く。
「ごめんなさい。心配をかけたわね」
 少し、汗で湿っているとはえ、さらさらな髪だ。
「そ、それよりも眞弥子さんが」
 頬から顎のラインを両手で撫でる。
「眞弥子ちゃんなら大丈夫。前に祈がした事の方が激しかったでしょ」
 言いつつ、兄さん情報―――祈は眞弥子ちゃんのロケットおっぱいにむしゃぶりついた事がある―――を思い出し、赤面する。
「はうぅ~」
 祈が更に顔を赤くする。
 祈可愛いすぎる。なんだかギュッってしたくなってきちゃいました。
 数瞬、祈を見つめていると、横から手が伸び、祈のおとがいを人差し指で持ち上げる。
「騒がしいと思って野次馬に来てみれば、晶子ちゃんもやるねぇ」
 学園の有名人、佐上薫さまだった。
 流石にこの人は私でも分かる。去年、薫さまが下級生でハーレムを作り、大勢毒牙にかけてるとの噂を耳にし、兄さんからその情報が正しいと聞いた。
 あれ? 兄さん薫さまのプレイを目撃したって事ですか? 今度実家に帰ったらお仕置きしましょう。
「薫さま、祈に手を出さないでください。子猫ちゃんズでしたっけ?」
 薫さまの手首を掴むと、祈は私の後ろに隠れた。
「薫さまには恋人がたくさんいらっしゃるじゃないですか」
「え~、い~じゃん。ケチー」
「祈は私のです!」
 振り向き、祈を抱きしめると黄色い歓声があがった。
「あ、あの、私体育の後だから汗臭くさくないですか」
「ううん、そんな事ないよ」
 あ、祈が沸騰しそうになってる♪
「んじゃ、こっちの子で我慢するよ」
 未だに廊下で膝をつき。座り込む眞弥子ちゃんに近づく薫さま。
「薫さま、眞弥子ちゃんもあげませんよ?」
 さらに黄色い声があがる。
「そこまでキッパリ言われちゃ仕様がない」
 あっさりと背を向け、薫さまは去った。


 祈達と別れ、教室に戻ると視線が痛かった。
「晶子さん、私たち応援してます!」
 いや、何を?
 じと目の都さんが小声で囁く。
「晶子、自分が何をしたか分かってるの? 彰さんはそこまでしなかったわよ」
 あれ?
 もしかして、自ら地雷原を突き進んでる?




あとがき

 巫女分が不足し、禁断症状が出たのでウォーキングのついでに神社で巫女さんを見て来ました。
 ふと思いました、そういえばシスターは見た事がないな、と。
 都内で若い修道女の常駐している教会をご存じの方はいませんか?


追記

 投稿前に校正したつもりでしたが、誤字脱字を発見したので修正しました。



[9984] 第3話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/05 23:04
 久しぶりの寮のベッドは快適です。ふかふかなうえ、スプリングも効いていてトランポリンにも使えそうです。
 病院のベッドは何故あんなに固いのでしょうか。床ずれ促進装置としか思えません。病院で最も滞在時間の長い設備なのに、もう拷問としか思えません。
 寮の食事も病院と比較するのも失礼ですが、とてもおいしいです。さすがは聖ルピナス学園です。
 美味しい食事と広いお風呂を堪能して、気分良く就寝できると思っていましたが、やはりそれだけでは終わりませんでした。


 パジャマに着替える為、クローゼットを開けると異臭がしました。
 思わず悲鳴をあげそうになりましたが、なんとか我慢しました。
 あまりに酷く、涙が溢れてきます。
 臭いの発生源は黒いゴスロリ衣装でした。
 クローゼットにはパジャマをはじめ、お気に入りの私服なども収納していました。
「信じられない、もう全滅じゃない…」
 しかも、ゴスロリ衣装はカピカピになっています。私も好奇心旺盛な乙女ですから、自分を慰めて見た事もありますし。兄さんが寝ている時に悪戯して精液を見た事もあります。
 これを着て兄さんと志鶴さんがヤッたんだと理解してしまいました。
 とりあえずクローゼットを閉める。明日はファブリーズでクローゼットをなんとかしましょう。
 改めて考えると、私の部屋はラブホ代わりにされていたのでしょうか。
 頭が痛くなってきます。
 とりあえず、兄さんに苦情を言っておきましょう。


「ど~いう事ですか、兄さん!」
「制服のまま寝ろと言うんですか!?」
 10分近く電話で怒鳴り散らし、ようやく落ち着きました。
 替えの服も部屋にあると聞き、怒りもすっかりどこかへ飛んでいきました。


 軽やかに部屋へ戻り、兄さんが志鶴さんからプレゼントされた服一式の入ったダンボールを開梱します。
 ダンボールはスニーキングミッションで再利用できそうですね。
 中から出てきたのは、大量のゴスロリ衣装と看護師衣装、白衣、メイド服、巫女装束等々。
 すべて胸が控えめの人向けのサイズです。
 志鶴さんでは絶対に着れません。これらを着た兄さんとするつもりだったんですね。倒錯しすぎです。
「はぁ…」
 思わず溜息が出ます。
「この中からパジャマを選べというのですか」
 結局、無難にゴスロリ衣装を着る事にしました。
「詐欺にあった気分」


「きゃあああああああああああああああ!」
 お手洗いをすませ、部屋に戻る途中で壁にかけられた化け物の絵を見て思わず悲鳴をあげてしまいました。
 これは夢に出てきそうです。怖くて一人じゃ寝れそうにありません。
 膝が笑ってますが、なんとか都さんの部屋に辿り着きました。
 都さんに事情を説明して、泊まらせてください、とお願いしたのですが。
「ゴメン。今日の晶子はなんだか、泊めると貞操の危機になりそうだから…。ほんとゴメン」
「薄情者~」
 固く閉ざされた扉の前で絶望していると、祈に声をかけられた。
「晶子さま、何をしているのですか」
 事情を説明すると、酷く申し訳なさそうな顔をして、「で、ではわわわた、わわ」とどもりだす。
 あ~、やっぱり祈は可愛いな~。
 そっと抱きしめると、祈は声を止めた。
「祈、落ち着いて」
「は、はい」
 背中にまわした手を、頭に乗せ、ゆっくりと撫でる。
「なんて言おうとしたの」
「あの、私の部屋でよろしければ」
 顔を真っ赤にして言う祈。
 あまりの可愛さに悪戯心がわいてくる。
「迷惑じゃない?」
「迷惑だなんて!」
 祈がぶんぶんと大きく首を振る。
「それじゃ、お願いするわね」
「晶子さま…」
 私を見つめてボーッとする祈に軽くキスをした。
 プシューっと湯気をたてて倒れる祈をお持ち帰りしました。


 部屋に戻り、まだ臭いが残っていて絶望する。
 祈が気絶してて良かった、と胸を撫で下ろす。
 視界にダンボールが目に入る。
 ゴスロリ衣装を手に取ると、再び祈を引きずり、祈の部屋に移動した。
 なんだか酔わせて正体を無くした女の子をホテルに連れ込む男の気分です。
 祈をゴスロリ衣装に着替えさせ、抱き枕にするとすぐに睡魔に襲われました。




 あとがき

 PS3のplaystationhomeで初音ミクのライヴを見ました。

 +   +
   ∧_∧  +
  (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
  (0゜∪ ∪ +        
  と__)__) +

 してたのですが、セットリストは「恋スルvoc@loid」1曲でした。



[9984] 第4話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/06 21:15
第4話

side:三人称

「祈さ~ん、おはようございま~す」
 眞弥子がノックするとドアが僅かに開く。
「あれ、閉め忘れですか。祈さんも不用心ですね~」
 ドアの隙間にそっと身を入れ、静かに室内へ足を進める。
「おはようござまーす」
 まだ寝ているであろう祈に小声で挨拶する。気分は懐かしの寝起きドッキリのレポーターである。
「抜き足、差し足、忍びあ…。こ、これは!」
 床に散らばる衣服に気を引かれ、しゃがみ込む。
「あ、パジャマだけでなく、下着まで散らかしっぱなしですか」
 小さな布きれを広げ、頬を染める。
「髪飾りだけでなく、下着までお魚さんですね」
「祈さんはもっとしっかりしてると思ってたんですけどね」
 暗い部屋の窓際で、勢い良くカーテンを開け、大声を出す。
「祈さ~ん、朝ですよー!」
 振り向き、思わず飛び退く。
「うひゃあああああああっ! な、なんじゃこりゃー、です!」
 ベッドの上で、寝返りのせいか、色っぽく乱れたゴスロリ衣装の祈が、同じく乱れたゴスロリ衣装の晶子に抱き着かれていた。
 正確には、晶子が祈の首筋に頭を埋め、覆い被さっていた。
「い、祈さん、もしかして、結ばれちゃいました?」
 恐る恐るベッドに近づき、声を掛ける。
「晶子さま?」
 晶子の肩が上下するんを見て、まだ寝ていると気づき、突如自室へ駆ける。
 祈の部屋のドアを開け放ったまま―――。


 カシャッ。
 デジカメで撮影後、再び声を掛ける。
「おはよございま~す!」
「あ、おはようございます、眞弥子さん…」
 二人の顔を覗き込み、眞弥子は飛び退く。
「ぎゃああ、祈さん何やってるんですか」
 祈は顔を真っ赤にし、鼻血をだらだらと垂らしていた。
「あ、晶子さまの体温を堪能してるのですが、わ、私には刺激が強すぎます」
 会話の影響か、晶子が目を覚ました。
 祈に乗ったまま、大きく伸びをする。
 ネコの手で瞼をこすり、上体を起こす。しばらく、ぼーっとし、右手を挙げ、左手で右肘を押さえて再び伸びる。
「んー♪」
 左右の手を逆にし、再度伸びる。祈と眞弥子はそんな晶子の一挙手一投足をじっと見つめる。
 カシャッ。
 眞弥子によるシャッター音でようやく覚醒する。
「って、どういう状況?」
 ゆっくりと首を回し、祈の惨状――血だらけのゴスロリ衣装――が目に入り、慌てて怪我がないか確認する。
「びっくりさせないでよ」
「た、ただ目が覚めた時の刺激が強すぎて鼻血が出ただけですから、本当に大丈夫です」
 更に少し俯き、謝った。
「それよりも、服を汚してしまって申し訳ありません」
 晶子は答えず、祈の鼻から頬、口のまわりを舌で血を舐めとってゆく。
「やっぱり、祈の血も私のと同じ味なんだ。前に吐血した時に感じた味と同じね」言って、自らの唇についた血を指で口紅のように、そっと塗る。
 その仕草が酷く妖艶に感じられ、祈と眞弥子は晶子をただ、見つめていた。ドアから覗くギャラリーも―――。





side:晶子

「あー、なんであんな事をー!」
 寮の食堂で壁に頭を打ち付けていると寮母さんに叱られました。
 大人しく都さんの隣に腰掛けます。
 今日も朝から都さんがじと目を向けつつ「ごきげんよう、晶子さん」と、棒読みで『さん』を強調します。
「都、ごきげんよう。なんで昨日から『さん』が付いてるの?」
「ねぇ、晶子? あなた何をしているか分かっているの?」
 私はオーバーに頭を振り、手を広げて肩まであげる。
「流石に、ここまで来ると私も本当に晶子なのか分からなくなってくるけど」
 都さんが上体をこちらに向け、抱きついて来ました。
「この抱き心地は間違いなく晶子よね」
「あ…」
 横で祈と眞弥子ちゃんが言葉を漏らす。
 私も力を込めて抱いてみました。
「うん。―――今日からまた、晶子って呼ぶわね」
「ありがとう」
 都さんと、兄さんと入れ替わる前の関係に戻れて心穏やかに食事をし、いざ登校という処で都に指摘される。
「その血だらけのゴスロリファッションで学校行くの?」




 校門でツリ目の生徒が号外を道行く生徒に押しつけてました。
 私も受け取ると、目があったツリ目さん(仮)は悲鳴をあげて逃げて行きました。
 号外に目を落とすと、とんでもない事が書かれてました。


――――――――――――――――――
    中日ルピナススポーツ

号外 新生徒会長薬物使用か!?

昨日、記者は寮で新生徒会長の月丘晶子がI・Aさんと歓談するのを目撃した。
暫くすると、突如I・Aさんが意識を失った。記者は薬物の使用ではないかと推測する。

写真:I・Aさんを部屋にお持ち帰りする会長

本日早朝、I・Aさんの部屋で変態プレイをする会長が目撃された。
また、捕獲されたI・Aさんがゴスロリファッションを着せられていた事から、会長に目を付けられるとゴスロリにされてしまうものと思われる。

写真:I・Aさんの顔の血を舐め取る会長

――――――――――――――――――


「やっぱり、晶子『さん』でいい?」
 あぁ、また都さんがじと目になってるー。
 バタン。
 隣では祈が気を失い、眞弥子ちゃんが受け止める。
「ナニよこれ―――っ!」
 多くの生徒で賑わう校門で、好奇の視線を受けながら私の叫びが木霊した。




あとがき

桃のおいしい季節になりました。
既に、先月末から20個くら食べましたが、甘いのは5個くらいしかありませんでした。
桃が好きなだけに(´・ω・`)です。
おいしい桃の見分け方をご存じの方、ぜひともコツを教えてください。



[9984] 第5話 (7/8修正)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/08 17:55
第5話

「晶子、昨日はお楽しみでしたね」
 生徒会室に入室すると、挨拶する前に聖佳さまに睨まれました。
 髪で隠れていて見えませんが、きっとこめかみに青筋たてているに違いありません。
「えっと、な、なんの事でしょう。聖佳さま…」
「昨日、私を生徒会室でずーっと待ち惚けさせておいて」
 あぁ、聖佳さまの冷たい視線……。
 ゾクゾクしちゃう!
 ドン、とテーブルに今朝の号外お叩きつける。
「一夜のお相手を物色してたのかしら?」
「そ、そんな事ありません! 祈はただの仲の良いお友達です!」
 聖佳さまが立ち上がり、腕を組んだまま近づいて来る。
「そ~いう事を言っているんじゃありません。だいたい、晶子は次期生徒会長としての自覚が足りないのよ」
 目の前で立ち止まり、冷たい視線を浴びせられる。
「も、申し訳ありません。昨日はショックな事がありまして、うっかりと失念してました」
「あなたねぇ…」
「あ~、聖佳さまのナニか汚いものを見るかのような冷たい視線……」
「ふぅ、その言葉を聞くと、新聞部を除名処分になったツリ目(仮)さんが個人的に発行した号外も本当の事のように思えてくるわね」
「私、クスリなんてやってません!」
 薬物と変態プレイについて全力で否定する。聖佳さまもきっと信じてくれたと思う。
「ふふ、写真という証拠があるから、晶子が変態である事だけは確かね」
 聖佳さまがくすりと笑みを浮かべる。
「とりあえず、私もゴスロリファッションにチャレンジしてみようかしら」
「わあー、ぜひお揃いにしましょう!」


 恐れ多くも、聖佳さまにお茶を入れて頂きました。昨年は雲の上の存在だった聖佳さまと二人だけなので、緊張して味もろくに分かりませんでした。
「とりあえず、今日はもういわ。二日後の生徒総会迄に生徒会長就任の所信表明の原稿を考えておきなさい」
「えー、原稿を書いてくれる官僚は居ないんですか~?」
「後はそうね、執行部もまだ志鶴しか決まってないようですし、適当に執行部の役員を適当に見繕って説得しておきなさい」
「適当って……。選挙はやらないのですか」
「生徒総会の信任投票をもって選挙の代わりとするのが決まりよ」
 これからの事を考えると気が重くなります。


 生徒会執行部役員について相談する為、美術室へやて来た晶子。
 志鶴は出かけているのか、美術室には誰も居なかった。
 手持ちぶさたに周囲を見渡すと、壁に展示さられた絵が一新されている事に気づく。興味を惹かれた。以前の絵は美術の教科書に載っているような、有名な作品のレプリカばかりだった。
 新しく展示された絵は、全て同じ作風なのだが、どこかで見たことのあるような気がした。何葉目かの絵を観た際にようやく、以前ニュースで見た絵である事に気づいた。
 展示されているのは志鶴の作品だった。
「うわー、志鶴さんは何かに受賞した事もあるって聞いてたけど、こんなにすごかったんだー」
 まるで空気までしっかり描かれてるような、不思議な印象を受ける。鼻歌混じりにじっくりと鑑賞してゆき、一葉の裸婦画が目に映った瞬間、思わず噴き出した。
「うわー、これがツリ目(仮)に盗撮されて掲示板に貼り出された兄さんがモデルの絵ですか」
 対外的には晶子がモデルになっている。あまりに平坦に描かれた胸が原因で「晶子男性疑惑」に油を注いだ問題作だ。
「私、こんなにまな板じゃないし」
 己の胸を見下ろす。申し訳程度の膨らみはあるが、悲しいほどに平坦だった。
 自然と目が潤んでくる。考えるのを止め、当初の目的である志鶴を探す事にする。


 準備室の扉に近づくと物音がした。
「志鶴さ~ん?」
 そっと扉を開け、隙間から覗く。
「はぁ、はあ…、彰さん…」
 志鶴が異臭を放つゴスロリ衣装に顔を埋め、一人遊びに耽っていた。
 今朝、クローゼットを滅亡させた原因たる兄さんの精液と志鶴さんの愛液が多量に付着して異臭を放っていたゴスロリ衣装(厳重に密閉済み)を渡し、処分を依頼したのですが…。
 志鶴さんは衣装の臭いを嗅ぎ、「あぁ、彰さんの臭いが…」と呟きながら一人遊びに耽ってました。
 兄さんから志鶴さんは臭いフェチと聞いてはいましたが、予想以上の変態っぷりに驚いてイーゼルを倒してしまいました。
「彰さん…」
 なんだか志鶴さんの眼がイッちゃってます。
 志鶴さんがゆっくりと私の首に手を回し、ってえええええ?
 唇奪われちゃいました。しかも初めてのディープキスが兄の(自称)婚約者ってどんな状況ですか―――っ!?



あとがき

アドバイスありがとうございます。
おかげさまでとても甘い桃を食べる事ができました。
ここのところ、朝食と夕食は桃が多かったりします。
夏場は食欲が減りますが、桃はすんなり食べられていいものです。


7月8日
第5話追記修正



[9984] 第5話 X版
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/08 17:54
XXX板に 第5話 X版を投稿しました。

体調悪くて午後半休とったのにナニやってるんだろう。



[9984] 第6話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/09 22:09
第6話

「さ、適当に座って待っててね」
「はいさ」
 都さんの部屋に通してもらい、ベッドに腰掛けます。
 都さんの部屋に入るのは久しぶりですが、相変わらず可愛いぬいぐるみがいっぱいです。
 特にSui○aペンギンの等身大ぬいぐるみの可愛さといったら、言葉では言い表せません!
 ペンギンをぎゅっと抱きしめているとすっごく癒されます、嫌な事は全て忘れさせてくれそうです!
 ぎゅ~~~~~~。
 やっぱり、ダメでした。
 志鶴さんに色々大切なものを奪われた心の傷までは癒してくれませんでした。
 ペンギンの頭に顎を乗せ、吐息する。
「溜息の数だけ幸せが逃げていくって言うわよ。はい、熱いから気を付けてね」
 ティーカップを受け取り、カップに目を落とす。緑茶をでした。
「湯飲み茶碗じゃないんですね」
「あはは、細かい事は気にしないで」
 息を吹きかけ、少し冷ましてから一口啜る。
「あ、おいしい」
「新茶だもの」


 互いに無言でお茶を飲み、ゆっくりとした時間を過ごした。
 カップは既に片づけている。
 都さんと二人きりでベッドに腰掛け、互いに無言のまま。
 ここに来る前はサクっとお話するつもりだったのですが、いざとなると緊張します。
「あの」
「あ、あの」
 同時にお互いの顔を見て、同じ発言。
「晶子から…」
「いえ、都さんからどうぞ」
 うわーい、なんてお約束。二言目までお約束で来るとなんだか楽しくなってきます。
 顔を真っ赤に染め、都さんがもじもじしながら言葉を紡ぐ。
 ルピナスってすぐに真っ赤になる子が多いような気がします。ウイルス性の赤面症候群でも流行してるのでしょうか。
「あのね、晶子が何の話をしに来たか、分かってるから」
 都さんの手を取り、瞳を見つめる。
「都さん…」
「私ならOKよ。晶子の為なら、園芸部を止めて生徒会に専念するわ」
「え?」
 予想外な言葉に思わず口をぽかーん、と開けてしまいました。
「み、都は園芸家になるのが夢だって言ってたじゃない!」
「園芸家になるだけなら、卒業してからだって成れるもの」
 都さんが握る手に力を込めてちょっと痛いです。
「でも…」
「それに、親友が生徒会長なんて慣れない事するんだし、ここで力にならないなんて、ありえないでしょ!」
「都!」
 思わず抱きつき、都さんをベッドに押し倒しちゃいました。
「うきゃー」
 脚の間に両膝を入れ、開脚させた状態で顔の横に両手を置く。
「都、ありがとうー!」
 紅くなっていた顔が更に赤くなる。
「だ、だって、親友が困ってるのに、放っておけるわけないじゃない…」
 消え入りそうな小さな声で呟くのがしっかりと聞こえた。
 そっと手を取り、両手で包み込む。
「そこまで想っていてくれたなんて…」
 都さんの眼が少し潤んでいる。
「本当に嬉しい」
 手を離し、再び顔の横に手を置き、ゆっくりと顔を近づける。
「え? ちょ、晶子?」
 瞳に軽くキスし、潤んだ瞳の周囲の涙をそっと吸い取る。
 もう片方の眼にも同じ事をする。
「本当にありがとう。私は都みたいな心友を持てて、本当に幸せ者ね」
「晶子……」
 続いて、唇に軽く触れるだけのキスを交わす。


「あのね、ちょっと言い難いんですが…」
「何?」
 都のうなじに顔を埋めながら話す。
「実は、都に園芸部を続けて欲しいってお願いしに来たんです」
「え、どうして?」
 顔をあげ、都さんを見ると、きょとんとしてました。
「だって、『退院したら、また一緒に園芸部で土いじりしよう』って約束は私の活力源になっていたんです」
 再び口付け、今度は舌も入れてみる。
 志鶴さんのせいでちょっとトラウマ入ているけど、都さんの言葉が嬉しくて、押さえが効かなくなりました。
 志鶴さんと比べると、経験が少ないせいか、稚拙でしょうが、都さんの唇を貪ってみました。
 口を離すと、唾液が糸の様に伸びるのを見て、なんだか恥ずかしくなってきます。
「約束を守りたいから、都は園芸部で私の居場所を守って欲しいの」
 再び、手を取り、両手で包み込む。
「都と土いじりする為に、闘病生活をがんばったんだもの」
「うん。晶子の居場所、守ってみせるわ。それに、私まで辞めたら部員1名になちゃうし、そんな事になたら今度こそ温室全滅だもの」
 顔を近づけ、「ありがとう」と囁くと、フリーになっていた手で口を塞がれた。
「危なく流される所だった!」
 ちょっと残念。
「晶子『さん』、ちょと薫さまに毒されてない?」
「ふぇ、なんで薫さまが?」
 じと目で都さんが見つめてくる。
「女の子同士なのに迫ってくるなんて、薫さまの影響受けてるとしか思えないじゃない」
「えっとね、『女の交渉術』って本に、いざという時はベッドの上でお願いすると成功率が高い、って書いてあったから」
「晶子、『交渉術』試す相手の性別間違えてるわよ」



あとがき

コスプレAVで絶対に許せない事。
昔、巫女コスプレものを借り、ワクテカしながら帰宅し、再生するとフェラしただけで全裸になって、呆然としました。
コスプレものってこ~いうの多くないですか?
絶対にスタッフの嫌がらせに違いない。



[9984] 第7話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/11 23:35
第7話

 都さんとの『お話』も無事終わりました。
 これで生徒会のお仕事でストレスが溜まっても、園芸部で土いじりして発散できます。
 食事の前に私服に着替えようと思ったのですが、重大な事に気が付きました。
 ファブリーズ漬けにし、さらに芳香剤を多量設置したクローゼットですが、今度は元の異臭と芳香剤の臭いが混ざり合った結果、別の異臭が着いてました。
 クローゼットと収納物は化学兵器と化してます。
 中身の服はもはや捨てるしかないようです。最大の問題はクローゼットが寮の部屋の壁に埋め込まれる形で一体化している事でしょう。
 原因を作った志鶴さんに特殊清掃の依頼をするしかないようです。
 志鶴さんに責任を取らせる。
 いえ、志鶴さんに婚約者の責任を取らせる?
 ……志鶴さんに借りを作る?
 志鶴さんからみると、恩を売るような形になりそうです。後が怖いです。
 


 さて、今の問題は予備の制服と私服が全滅しているという事です。
 困った事に、献立によると夕食はカレーうどんなのです。制服は白を基調としています。汁が制服に跳ねた時点で死亡確定です。
 残る選択肢は志鶴さんからの貢ぎ物しかありません。ゴスロリ衣装は血だらけなので着れません。
 ダンボールを漁っていると、ノックと同時に扉が開けられました。
「晶子さまー、夕食一緒に頂きましょー」
 と元気な声が聞こえると同時に眞弥子ちゃんに飛びつかれました。思わずよろけて、そのまま押し倒されてしまった。
「あわわ、も、申し訳ありませんでした! 晶子さま、頭打ちませんでしたか?」
 眞弥子ちゃんは焦っているのか、私に乗ったまま声をかけてくる。
 この時、何故か悪戯心が沸き上がってきた。
 ―――最近何故か調子に乗ったり、悪戯したりする事が多い気がします。
 胸の前で祈るように両手を組み、「優しくしてね…」と言ってみました。
「ええ、ま、眞弥子でいいんですか!?」
 顔を赤く染め、狼狽える眞弥子ちゃんも可愛いです。
 そこへ祈がやってきた。
「晶子さま? 眞弥子さんも何やってるんですか!」
「い、祈さん。こ、これは違うんです!」
「眞弥子ちゃんに襲われちゃった」
 冗談っぽく言ったのに、眞弥子ちゃんは祈にこってりと絞られた。なんだか悪い事したような気がします。



 食堂に入ると寮生の視線が突き刺さります。視線を集めるのがなんだか癖になりそうです。
 都さんの隣に腰を下ろす。
「何故か皆さんに見られてるような気がするのですが、何かあったのですか?」
 都さんに棒読みで質問すると、都さんは引きつった笑みを浮かべました。
「晶子『さん』、下級生巻き込んで何やってるの?」
「制服にカレーうどんの汁が跳ねると困るので、私服に着替えただけですよ」
「み、見られてます、すごく見られてます。恥ずかしいです」
 隣に座る祈が縋り付く。やっぱり祈は可愛いな、と思いつつ頭を撫でる。
「祈、視線なんてすぐに慣れるわ」
 また都さんにじと目で見られてます。
「変わった『私服』ね、晶子『さん』」
 食堂でこれだけ視線を集めるにはそれなりの理由があるわけで、私と祈は修道女、眞弥子ちゃんは巫女装束に身を包んでいます。
 制服を汚さない為、志鶴さんの貢ぎ物たるコスプレ衣装を着る事になったのですが、やはり一人では恥ずかしかったので祈と眞弥子ちゃんを道連れにしました。
 眞弥子ちゃんも修道女衣装を着せようとしたのですが、志鶴さんが私のスリーサイズに合わせて衣装を揃えた為、ロケットおっぱいを持つ眞弥子ちゃんでは着れなかったのです。
「胸がきつくて着れません」という言葉に、心が抉られました。
 結局、眞弥子ちゃんは和服なので調整の効く巫女装束となりました。ミッション系の学生寮で巫女装束! 眞弥子ちゃんすごいなー。



 デザートにアイスがでてきましたが、味は選べず、ランダムに配布されました。
 あちこちで仲の良い子どうしで、「はい、あーん」と食べさせあっています。流石は女子校です。
 都さんは「こんな甘ったるい雰囲気の食堂に一緒にいられるかー」と、一気に食べ終えて部屋に戻りました。
 祈、眞弥子ちゃん、私の3人も食べさせあっていたのですが、この雰囲気にあてられたせいか、ついバカな事をしてしまいました。
 アイスを口に含み、祈に口付けする。
 祈は驚きで目を見開くと、顔を赤く染める。
 舌でアイスを祈の口に移し、唇を離した。
「祈、バニラはどう?」
「あの、味がよく分かりませんでしたので、もう一度お願いします」
 意図を理解し、軽く笑って了承する。
 再びアイスを口に含み、口付けする。
 今度はバニラアイスを口移しするだけでなく、そのまま舌を絡める。
 こちらに気づいた寮生が驚きの声と嬌声をあげるのを無視して祈とアイスを食べた。
「寮母さん、注意してください!」
 生真面目な子が寮母さんに注意を懇願するが、寮母さんは「GJ」、「いいぞ、もっとやれ!」とばかりに、満面の笑みを浮かべ、こちらに親指を立てたこぶしを向ける。
「私がルピナスの生徒だった頃も同じ行為が流行ったのよ。私は月丘先輩と毎日のように口移しで食事してわ~」
 寮母さんが語り出す。聞き入る子、同じように口移しする子、手で顔を覆い、指の隙間から私たちの行為を見つめる子等がいた。
 父は婿入りのはずなので、寮母さんのいう「月丘先輩」が母なのか気になります。
 その後、寮母さんが気前よくアイスを大量放出しました。
 私は祈、眞弥子ちゃんといっぱいアイスを食べさせあいました。




あとがき

 ビールは苦手です。
 暑い日に飲む一口目だけはとても美味しいのですが、二口目からは美味しいとは思えず、残してしまいます。
 ドイツのビールと御殿場高原ビールだけは最後まで美味しく感じられましたが、なかなか手に入れる機会がないので残念です。

 7月8日にキリンが発売したコーラショックが意外と美味しいです。
 スーパーで1本100円で売られていたので、試しに5本買ってみたのですが、まさか一日で全部飲んでしまうとは……。



[9984] 第7話 X版
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/12 19:08
XXX板に 第7話X版を投稿しました。



あとがき

 けいおん最終回後に、録画予約設定を解除するのを忘れていた為、新番組「大正野球娘」が録画されているのに気づきました。
 とりあえず鑑賞してみました。

 袴娘が可愛いから最後まで見ようと思いました。



[9984] 第8話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/13 21:30
第8話

/ 1

 昨日、ベッドがお亡くなりになった為、眞弥子ちゃんに泊めてもらいました。
 朝から祈が不機嫌そうだったので、朝食を口移しで食べさせあったところ、一転して上機嫌になりました。
 分かりやすいところがさらに可愛く思えてきます。
 ただ、問題もありました。メニューがオートミールだったのです。見た目的にゲ○みたいで朝から食欲減退でした。それでも祈は嬉しそうにしてましたが……。
 同じ事をしていた一人の寮生は気持ち悪くなったのか、吐いてました。それを起爆剤にして広がるもらいゲ○の嵐!
 それでも祈は周りが見えていないようで、たくさん求めてきました。
 嘔吐感を我慢しきった自分を自分で誉めてあげたいです。




/ 2

「ごきげんよう、晶子」
 校門で待ち構えていた聖佳さまは、何故かそわそわしてました。
「ごきげんよう。聖佳さま」
「ごきげんようでーす。聖佳さまー」
「あ……、ご、ごきげんよう、聖佳さま」
 眞弥子ちゃんは元気に挨拶するが、祈は私の腕を掴み、腕を組んでから挨拶した。
「晶子はもてるのね」
 聖佳さまは、むっとした表情で近づき、反対の腕に自身の腕を絡めた。
 突然の出来事に思わず混乱しそうです!
 兄さんはどれだけフラグを立てていたのですか!?
「ねえ、晶子…、飴食べない?」
 まさか聖佳さまが歩きながら飴を勧めてくるなんて、凛々しいけど堅物なイメージがあたので驚きです。
「あ、今朝はあまり食べなかったので、頂いてもよろしいですか」
 聖佳さまは嬉しそうに飴を取り出すと、包装紙を破き、自分の口に含んだ。
「あれ?」
 予想外の行為に、冗談だったのか、とがっかりです。
 よくある、「はい、あーん」と言った後に自分で食べるお約束ですね。
「ま、まさか…」
「祈さん、いくらなんでも聖佳さまですよ」
 がっかりしていると、聖佳さまが私の頬に両手を添えた。
「ふぇ、突然どうしたんですか、聖佳さま?」
「コホン、晶子。あ、あああ、……」
 何故か緊張しているらしい聖佳さま。
「聖佳さま、落ち着いてください。さっきから挙動不審でおかしいですよ」
 聖佳さまはキッ、と私を睨むと、ただでさえ注目を集めているというのに、野次馬全員に聞こえるような声量で叫んだ。
「晶子、飴食べさせてあげる!」
「えええええええ!?」
 私、祈、眞弥子の声が重なる。躰を重ねたおかげか、息ぴったりです。
「どうして驚くのよ! その二人とは昨夜から口移ししてたでしょ! 私とは出来ないというの!?」
 周囲から黄色い声があがる。
 羞恥のせいか、顔を赤く染める聖佳さま。
 うわ~、聖佳さまでも恥ずかしがる事があるんだー。昨年の聖佳さまの印象からは全く想像できませんでした。
「いえいえ、出来ないとか、そーいう事ではなく…」
 思わず、欧米人並に激しいボディランゲージで否定する。
「あまりに突然でしたので、驚いてしまいました」
「横から晶子に手を出されて、黙っていられる訳ないでしょ!」
 先ほどまでのざわめきが嘘のように静まり返った場で、再び聖佳さまが私の頬に手を添えた。
「そんなに思って頂いていたなんて、嬉しいです、聖佳さま」
「晶子……」
「聖佳さま」
 あれ?
 なんか、その場の雰囲気に乗せられたような気がします。
 目を閉じ、キスしようと顔を近づける聖佳さまに見とれてしまいました。
 唇が重なる。聖佳さまは、私の口に飴が口内に届くと唇を離そうとする。
 聖佳さまの首に腕を回し、今度はこちらから口付けをした。
「んー!」
 聖佳さまが驚きで目を見開く。
 驚く聖佳さまを無視する形で、聖佳さまの口に舌で侵入する。ここまでされるとは思っていなかったのか、さらに顔を赤くする聖佳さま。
 この時、先ほどまで大人しかったギャラリーが爆発したかのような歓声があがった。気分はサッカー選手です。
 ここは皆の期待に応えなければ、という義務感が沸き上がってきます。
 欧州の甘い恋愛映画のような、濃厚でねっとりしたキスを再現しようとがんばってみました。
 聖佳さまも舌の絡ませ方が分かってきたのか、私の口腔内も蹂躙されちゃってます。
 いつのまにか、新聞部の方が撮影していましたが、気にせずに飴がなくなる迄口付けを交わしました。




/ 3

「これで分かったかしら、晶子のお姉さまは私よ!」
 聖佳さまが勝利宣言しました。ギャラリーの嬌声がすごいです。
「むー、わ、私だって晶子さまと何度もキスしてますっ!」
 祈が対抗して叫ぶ。さらにギャラリーが盛り上がる。
「ふっふ~んだ、祈さんも私も、晶子さまと躰を重ねてますから、私たちの勝ちです!」
 もうこのギャラリーどこまでテンションあがるのか分かりません。
「な、晶子、本当なの!?」
 聖佳さまがスゴイ顔で睨んでます。ガクブルです。
「はぁ、何この暴露プレイ……」
 思わず溜息が出ます。
 とりあえず、この三人をなだめましょう。
「三人とも落ち着いてー」
 睨み合い、火花を散らす三人。
「聖佳さまは私のお姉さまです」
 本当に兄さんは(以下略)
 先ほどの般若といってもいい怖い顔から反転し、素敵な笑顔を浮かべる聖佳さまが抱きついてきました。
 祈と眞弥子は泣きそうになっている。
「そして、私は祈と眞弥子のお姉さまです」
「晶子さま!」
 祈と眞弥子も目尻に涙を浮かべながら抱きついてくる。
「うぅ、いい話ね…」と啜り泣く声や、「三股かけてるだけじゃない!」という怒りの声も聞こえてきますが、ギャラリーは大興奮です。
 万雷の拍手の中、「なんだってこんな事に…」と内心で呟きます。
 いつまで校門で抱きつかれてないといけないのかなー、と考えていると親衛隊がギャラリーを解散させてくれました。
 流石は親衛隊です!
 校内で真剣の長刀振り回してるだけあって、我先にとギャラリーが逃げて行きます。
 唯一残ったギャラリーである都さんに、じと目の視線を浴びせられつつ、言われました。
「晶子『さん』、早くしないと遅刻するわよ」




あとがき

 今朝はあまりの暑さにいつもより一時間も早く起きてしまいました。
 窓を開けても全く風が入らなかったので、冷房をつけて二度寝したら遅刻しました。



[9984] 第9話(7/19 ちょっと本文追記・誤字修正)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/19 21:07
第9話

/ 1

「そうね、1・2年生で生徒会について最も理解してるのは綾音かしら」聖佳さま談。
「綾音なんてどうだい?」薫さま談。
「そうですねぇ、やはり綾音さんではないでしょうか」志鶴さん談。
 生徒会に携わった経験のある方に、即戦力になる人について訊いた時の回答です。
 生徒会の職務遂行に於いて、自分ほど信頼できない人物はいません!
 志鶴さんのような天然の変態にもまともな事ができるとは思えません!
 祈と眞弥子は可愛いので、共に過ごす時間を増やす為、執行部に入ってもらいますが、実力は未知数です
 最低一人は戦力として期待できる人が欲しいのです!
 さらに、自分で言うのもなんですが、聖佳さまからは「仲の良い友人でも見繕って適当に執行部の人員を揃えなさい」と言われてますが、昨年度、半年近く休んだだけあって、都さんと志鶴さん以外に同級生の友達なんて居ないのです!
 どれだけ人間関係終わってるんでしょうか……。
 祈、眞弥子、聖佳さま、薫さま。私の一年よりも、兄の約一月の方が友達(恋人?)増えてるという事実に絶望させられます。
 とりあえず、生徒会のお手伝いで実績のある天法院綾音さんに副会長を依頼してみましょう。





/ 2

 六月とはいえ、例年真夏のような暑さを記録するだけあり、もう体育の授業はプールなのです。
 ルピナスはお嬢様学校だけあり、室内プールが完備されています。
 でも、何故か今いるのは屋外プールだったりします。
 まだ退院したばかりなので、念の為、見学する事にしたのですが、陽射しに灼かれて、まるで灼熱地獄です。
 ああ、目の前で気持ちよさそうに泳ぐクラスメイトが羨ましいです。
 例え、室内プールが消毒中で2クラス合同で屋外プールを使用する事になり、芋洗い状態に近くても、灼熱地獄で滝のような汗を流しながら見学するよりは……。
 見学者は私と綾音さんの二人だけ。せっかくなので、この機会にお願いしてみましょう。
 綾音さんの隣に腰を下ろす。
「晶子さん、何故こんなに暑いのに近寄るんですの?」
「綾音さんとお話したかったんです」
「私には用はありませんわ」
 綾音さんは一人分隣に移動する。
「あ、どうして離れるんですかー」
 綾音さんの隣に移動する。
「見学者は私と晶子さんだけですのよ。わざわざ隣に座らなくてもよろしいと思いますの」
 綾音さんはプールの端から端まで続くベンチに、首ごと視線を走らせると、また移動した。
 再び、綾音さんの隣に腰を下ろす。
「え~、いいじゃないですかー。お話しましょうよー」
 無言で移動を繰り返し、ベンチの端まで来てしまいました。
 ようやく諦めたのか、綾音さんが口を開く。
「次々と学園の生徒を毒牙に掛けてゆくと噂の晶子さんが執拗に接触してくれば警戒もしますわよ」
「なんですかそれ!」
 きっと、『毒牙』とゆうあたりは、兄さんが影武者をしていた頃の話しだと……。
 ―――思って良いのでしょうか?
 なんだか自分の行動を思い返すと自信がなくなってきます。
「生徒を毒牙にかけているのは薫さまであって、私ではありません」
「……」
 何故、綾音さんにまでじと目で見られるのでしょうか。
「晶子さん、聖佳さまファンの代表である、この私に喧嘩を売っているのですか?」
「ごめんなさい、綾音さん。本当に何の事か分かりません」
 綾音さんは青筋を浮かべ、を開く。。
「お話って、なんですの?」
「天法院綾音さん、生徒会副会長をお願いできないでしょうか」
 綾音さんは、大きく吐息した。
「前にもお話しましたけど、私にはそのような資格ありませんわ」
「資格が無いって、どういう事ですか。以前はよく生徒会のお手伝いをしていたじゃないですか」
「晶子さん、私に対する嫌がらせですか?」
 突如、怒る綾音さん。
「え、ど、どうして怒ってるんですか?」
 まさか、兄さんがこの件で何かやらかしたのでしょうか。
「惚けないでくださる? 私に資格が無い理由はご存じでしょうに!」
「そんなの分かるわけないじゃないですか!」
 立ち上がり、詰め寄ろうとしたのですが、ちょうど濡れている場所を踏んでしまい、滑って綾音さんを押し倒す形になってしまいました。
「きゃっ」綾音さんが小さく悲鳴をあげる。
 右手が偶然、綾音さんの股間に触れたというか、掴んでしまいました。
「むにむに?」
 好奇心旺盛すぎる時に、兄さんが寝ている時に悪戯で触った事のあるモノと同じ感触です。
「き、きゃ――」
 予想外の事態に思わず悲鳴をあげてしまいました。
 プールで泳ぐ生徒の視線が集中する中、綾音さんに口を塞がれ、更衣室に連れ込まれてしまいました。





/ 3

 綾音さんが更衣室の鍵を閉め、ようやく解放されました。
「綾音さん、あなた……!」
「晶子さん、あなた…」
「ずいぶん手慣れてるんですね、人さらい」
「晶子さん、巫山戯ないでくださる? 立藤の会と同じように強請る気ですの?」
 綾音さん怖いです。まさか、密室に連れ込まれるなんて、私はどうなってしまうのでしょう!?
「何の事ですか?」
「また私の性別をネタに強要しようというのでしょう!?」
 これはつまり、綾音さんが模範解答を教えてくれたわけですね。
 それにしても、兄さんはこれほど重要な『綾音さんが男性だった』という事を教えてくれなかったのでしょうか。
 生徒は皆スカート膝上なのに、なんで足首まで届くようなロングスカートを履いているのか疑問でしたが、性別がバレないようにする為とは予想できませんでした。
 ハッ、まさか聖佳さまも男だったりしないでしょうね?!
 もし、そうなら、また兄さんと入れ替わった方が良いのでしょうか。
「そんな訳ないじゃないですか~」
 綾音さんに無言で睨まれてます。
 ここは模範解答ですすめましょう。
「綾音さん、わざわざ女装して此処に居るのは、貴方が『女の子』だから、ですよね?」
「あ、当たり前です! 前にも言いましたが、私はただ生まれてくる体を間違えただけで、心は女の子ですわ!」
 綾音さんの発言でハッキリしました。やはり、兄さんは綾音さんの事を意図的に黙っていたようです。今度帰ったらお仕置きですね。
 生徒会に綾音さんが欲しいので、ここは交渉してみます。
「心は女の子、その言葉信じます。ですから、資格なんてどうだっていいじゃないですか!」
「で、でも……」
「そうやってウジウジしてはダメです!」
 綾音さんの肩に手を置いて説得します。
「体の性別なんてどうだっていいじゃないですか! 少なくとも私は気にしません!」
「晶子さん!」
 綾音さんと見つめ合う。
「綾音さんの心は女の子であり、此処、ルピナスに籍を置き、聖佳さまをはじめ、皆と同じく立派な婦女子となるべく学んでいる事が重要なんです!」
「分かりました。僭越ながら私、天法院綾音が副会長を務めさせて頂きますわ」




あとがき

 朝から腹痛ヤバイ。

 7/19
 本文追記、誤字修正。



[9984] 第9話 X版(7/19 それなりに本文追記・誤字修正)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/19 21:06
XXX板に 第9話X版を投稿しました。
7/19 本文それなりに追記、誤字修正しました。



あとがき

 あれ?
 ず~れを書かないとここまでストレス溜まるなんて!



[9984] 第10話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/20 00:44
第10話

/ 1

 綾音さんに副会長就任を快諾して頂き、更衣室の扉を開けると、プールで泳いでいたはずの生徒と教師がこちらを見つめていました。
 しかも、何故か全員顔が真っ赤です。
「………」
 パタン。
 無言で扉を閉め、更衣室に戻る。
「お、お先にどうぞ。レディーファーストです」
 制服の乱れを直した綾音さんが不思議そうな顔をする。
 首を傾げ、綾音さんが外に出る。
 特に何も反応がないのを確認し、私も外に出ます。
 場を沈黙が支配する。
 きっと誰かサイレントの魔法でも使ったのでしょう、とバカな事を考えていると体育教師が口を開く。
「貴女達、授業をサボって何をしてたのですか!?」
 周囲に視線を向けると、皆興味深そうにこちらを見つめてます。
「あ、晶子様?」
 綾音さんが振り向きながら私を呼ぶと、黄色い声があがる。
「キャー、晶子様ですってー!」
「綾音さんが聖佳さまから乗り換えた!?」
「晶子さんのハーレムに新人?」
 それにしても、何故綾音さんが私を『様』付けで呼ぶのか謎です。学園に復帰してから周囲が黄色い声をあげる場にも慣れた気がします。
 体育教師が場を沈めようと悪戦苦闘しているのをぼーっと眺める。
 あ、都さんにまた、じと目で見られてます。
 チャイムが鳴り、皆静かになりました。
「天法院さん、月丘さん、更衣室からいかがわしい声が聞こえましたが、何をしていたのですか?」
「綾音さんに内密に生徒会副課長就任の依頼をしていただけです」
 ゆっくりと首を傾げながら続ける。
「授業の見学をサボる形になってしまった事は申し訳ありませんでした。ですが、断られてしまった場合の事を考えると、どうしても内密に話をしたかったのです」
「では、喘ぎ声が聞こえてきたのはどういう事ですか?」
「なんでもありませんわ。私は晶子様に副課長就任を依頼され、快諾いたしました。他には何もありませんでした」
 綾音さんは皆に見られているせいか、顔を羞恥に染めながら言い放つ。
「それより、もうチャイム鳴ってますが、次の授業に間に合うのですか?」
 なんとかこの場を有耶無耶にする事ができた―――のでしょうか?





/ 2

 私服(修道女衣装)に着替え、祈の部屋で雑談をしていると、ノック音が聞こえてきた。
 応対に出た祈が驚きの声をあげる。
 眞弥子が淹れてくれたお茶を飲みつつ、何があったのかと考える。
「ごきげんよう、晶子、眞弥子」
 聖佳が視界に入った瞬間、私と眞弥子はお茶を噴き出してしまった。私たちの噴き出したお茶は、狙ったかのように聖佳さまに直撃した。
 でも、これは不可抗力なのです。
 だって、聖佳さまはゴスロリファッションに身を包んでいたのですから。これほど聖佳さまのイメージに合わない服はありません!
 普段の稟としたイメージからはほど遠い姿を見れば誰だって驚きます!
「ずいぶんな挨拶ね」
「も、申し訳ありません」
「も、申し訳ありませんです!」
 眞弥子と私の謝罪が重なる。
「とりあえず、お顔を拭いてください」
 祈が聖佳さまに、おしぼりを手渡す。
「ありがとう」
 顔を拭き終え、ゴスロリ衣装を拭く聖佳さまに声を掛ける。
「聖佳さまにゴスロリファッションの趣味があったなんて、意外でした」
 聖佳さまは少し不満そうな表情を浮かべ、口を開いた。
「晶子がゴスロリファッション趣味で、寮ではいつもゴスロリで過ごしていると耳にしたから、清水の舞台から飛び降りるつもりでお揃いにしようとしたのよ」
 最後まで言う頃には、聖佳さまは耳まで赤くなっていました。
 普段とのギャップが可愛いです。
「わー、嬉しいです!」
 思わず聖佳さまに飛びついてしまいましたが、私の手には湯飲みがあり、中身を聖佳さまにぶちまける事になってしまいました。
 幸いにも、お茶は少し冷めていたので、聖佳さまが火傷をする事はありませんでした。
 私が平謝りしていると、聖佳さまが冗談めかして言いました。
「ふう、淹れたてのお茶で火傷していれば、晶子に私を傷物にした責任を取って貰えてたのかしら」
 眞弥子ちゃんがお茶を淹れ直し、手渡してくれました。
「さあ、晶子さま! 私にお茶をかけてください!」
「晶子さま、私にもお願いします!」
 冗談だとは思うのですが、ちょっと笑えない冗談です。
 聖佳さまが引きつった笑みを浮かべてます。
「晶子はもてるわね」
 二人を落ち着かせ、びしょ濡れになってしまった聖佳さまの着替えを自室から持って来ました。
「と、いうわけでコレに着替えてください」
 笑顔で聖佳さまに着替えを渡す。
「眞弥子とお揃いですね!」
 その後、巫女装束の聖佳さまも交えて夕食を食べさせあいました。





あとがき

 EVA破2回目見てきました。
 早くDVD発売しないかなー。



[9984] 第12話(7/21 誤字脱字修正)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/21 21:56
第12話

/ 1

 ついに生徒集会の時間となってしまいました。
 本日の生徒集会は、生徒会執行部役員選挙(信任投票)を行う場の為、放送部による司会進行で進められています。
 現在は聖佳さまが、演壇で生徒会長退任の挨拶をしています。
 舞台端のパイプ椅子で待機しているのは本年度役員立候補者の私、祈、眞弥子、志鶴さん、綾音さんです。
 天然の志鶴さんと、場慣れしている綾音さんは落ち着いていますが、私を含めた三人は緊張のあまり、膝が笑ってます。
「晶子様の緊張するお姿……、ああ、意外な一面が見れて幸せですわ」
「綾音さん、変な事言わないでくださいよー」
 綾音さんの落ち着きを分けて欲しいものです。
「うふふ、皆さん、緊張している時は掌に『人』と書いて飲み込むと良い、といいますよ」
 志鶴さんは笑いながら言う。
「志鶴さん、ありがとう! 早速試してみます」
 言われるまで、有名な迷信というか、暗示を思い出せないなんて、本当に緊張しているのを実感できます。
 祈、眞弥子と共に同時に飲み込む。
 はむっ。
「うん、少しは落ち着いた気がします」
「あわわ、私は全然変わりません」
「眞弥子も落ち着きました!」
 落ち着くと余裕が出るもので、隣に座る、まだ震える祈に助け船を出す事にします。
「祈、私が『人』を飲ませてあげる」
「え? あ、お願いします」
 祈は何かを期待するような表情を浮かべる。
 ゆっくりと自身の掌に『人』を書き、祈の口元へ運ぶ。
「さあ、どうぞ」
「い、頂きます」
 祈の柔らかな唇が掌に触れる。
「祈、まだ残ってるような気がするの。きれいに舐め取って」
 祈は頷くと、舌を掌に這わせた。まるでミルクを舐める子猫のようで、とてもくすぐったいです。
「どう、落ち着いた?」
「すみません、まだ震えが止まりません」
 あきらかに膝の震えが止まっているにも関わらず、祈がおねだりします。
 祈も甘え方が上手くなったような気がしますが、可愛いので良しとします。
「仕様がない子ね、もう一度飲ませてあげる」
 再び掌に『人』を書き、自分の口に入れる。
「え、晶子さん?」
「晶子様まさか?」
 志鶴さんと綾音さんが何か言いたそうですが、無視して続けます。
 祈と唇を重ねる。
 緊張のせいか、祈がぎこちなく舌を絡ませる。
 何故か黄色い悲鳴があがりました。
 きっと聖佳さまの最後の演説でファンが感動のあまり声をあげているのでしょう。
 緊張した時は観衆をかぼちゃと思え、なんて言います。今の私達は、かぼちゃより祈と『人』を食べさせ合う方が重要なのです。
 つい夢中になって音を立てて舌を絡めたせいか、ふと周囲が気になり、口付けを交わしたまま視線を動かす。
「―――以上を持ちまして、退任の挨拶を終わらせて頂きます」
 ちょうど聖佳さまが挨拶を終え、私に笑顔を向けようとして、表情が固まった所を目撃してしまいました。
 さらに視線を動かすと、生徒は総立ちで歓声をあげています。
 どこのライヴのアリーナに迷い込んだのでしょう?
 そういえば、今居る場所は舞台上でした……。
 緊張すると状況判断も出来なくなるんですね!
 状況に気づかず、私の唇を貪る祈もすごいです。もし、知っていてやってるのだとしたらすごい大物です。
「晶子、私の挨拶している間に後ろでイチャつくとは、どういう了見なのかしら?」





/ 2

 進行を無視した聖佳さまによる公開説教プレイが終わる頃には、緊張と一緒に投票前の演説内容がすっかりどこかへ飛んで行きました。
 外国の政治家のように、原稿を見ないでボディランゲージを交えて演説すると格好いいかな~って思ったのが敗因です。
 私以外の立候補者は、演説の原稿を用意しており、時々噛んだりしましたが、無事演説を終えています。
 私は何を言ったのか覚えていませんが、立候補者は全員信任投票により、9割以上の得票数で生徒会執行部役員に就任しました。

 会長  月丘晶子
 副会長 天法院綾音
 会計  鹿島志鶴
 書記長 山本眞弥子
 書記  藍那祈

 以上が、信任投票により就任した本年度の生徒会執行部役員です。
 次に生徒会長就任の所信表明演説をしなくてはならなのですが、原稿の内容を忘れているのでピンチです!






あとがき

 11話は本筋とはあまり関係ない話なのですが、花に関する資料が不足してる為、飛ばしました。
 そのうち書き上がると思いますので、しばしお持ち下さい。

7/21 誤字脱字修正



[9984] 第13話(7/25 ちょっと本文修正+誤字脱字修正)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/25 20:09
第13話

/ 1

 放送委員がマイクの高さを調整するのを横目で眺め、私は舞台端の椅子から、講堂に集まった生徒を見渡す。
 学園に復帰してから視線を浴びる機会が多く、慣れたと思っていましたが、やはり全校生徒の前に立つと脚が震えます。
 放送委員は調整を終えると司会に合図を送った。
「これより、生徒総会を再開します。生徒会長から所信について、発言が求められております。生徒会長月丘晶子君」
 登壇し、改めて演壇から生徒を見渡す。
 皆、何かを期待しているような眼差しでこちらを見ています。
 プレッシャーのせいか、緊張が高まります。
 深く深呼吸を繰り返しても膝の震えが止まりません。
 今更ながら、電話越しに兄さんに「立藤の会で、聖佳さまと都さん、どちらを手伝うか責任を持って兄さんが答えを出してください」と言ってしまった事を後悔してます。
 ですが、兄さんが私と入れ替わり出席日数を稼ぐという、私たち兄妹の皆さんに対する嘘の償いをする為にも、一年間生徒会長を勤め上げなければなりませんね。
 こうして巻き込んで、執行部役員になって下さった方達の為にも……。

 と決意したそばから、両親に兄さんが本人の考えで私の影武者をするよう、嗾ける依頼をするんじゃなかった、と後悔します。
 あー、でもせかくルピナスに入ったのに中退して大検取るのも面倒ですし、これで良かったのかもしれません。
 
 そういえば、兄さんの一人称が『私』になっているのに気づいた時「兄さんは環境に染まりやすい性格だから女装に目覚めたかと思いました」と言った事がありましたけど……。
 ―――自分の行動を思い返し、今の状況を考えると、『環境に染まりやすい性格』は、私にも当てはまるんですね。





/ 2

 予定してた演説の内容を忘れ、頭の中は真っ白。
 原稿も自室に忘れました。
 そして、緊張で震えています。
 深呼吸しても落ち着きは取り戻せず、なんだか地に足が着いていないような気がします。
 覚悟を決め、マイクの前へ一歩進み、声を出す。
「えー、この度の生徒会…」
 マイクのスイッチが入ってませんでした。
 普段ならば、些細な出来事で、何とも思わないのでしょうが、今は動揺が大きく、さらに緊張が高まります。
 斜め後ろを振り向き、愛すべき姉妹に視線を向けると、口の動きで「がんばって」と応援してくれているように見えます。
 その光景を見ながら深呼吸。震えは止まりませんが、少し勇気を貰えました。
 改めてスイッチを入れ、声を出す。
「えー、この度の生徒会…」
 ピーギャ―――ッ!
 ハウリングが発生し、驚いて演壇に上半身を預ける形で崩れ落ちてしまいました。
 生徒から悲鳴があがります。
 緊張で脚の震えも大きくなり、自力では立ち上がれそうにありません。
 放送部がドタバタと対応に駆け回り、ハウリングの対処完了を報告する。
「晶子さまがんばってください!」等の声援も聞こえますが、このままでは所信表明演説なんてできません。
 覚悟を決めました。
 演壇に上半身を預けたまま、マイクをスタンドから外し、口元に持ってくる。
「えーと、なんといいましょうか、恥ずかしい話なのですが」
 私が話し始めると先程までの悲鳴や声援が収まりました。
「緊張のあまり、立てそうにありません。私がこれほど弱い人間だった事に驚いています」
 舞台端で立ち上がる音が聞こえます。
「頭の中も真っ白になってしまい、何を喋れば良いのか分かりません」
 聖佳さま、祈、眞弥子、志鶴さん、綾音さんが駆け寄って来る気配を感じます。
 改めて生徒に顔を向けると、都さんも舞台に駆け寄って来ています。
 聖佳さまが右肩をに手を添えて支えてくれました。
 祈と眞弥子が演壇と私の間に立ち、正面から支えてくれました。
 志鶴さんは初め、左肩を支えてくれましたが、都さんが舞台に上がると、綾音さんと背中を支えてくれました。
 最後に都さんが左肩をに手を添えて支えてくれました。
 私を支えてくれる方が増えるたびに、生徒の歓声のが段々と大きくなる。
 皆に支えられ、力を貰い、口を開く。
「今舞台で、講堂で、私を支えてくださる皆さん。本当にありがとうございます」
 生徒の声援も最高潮に達したように思えます。
 ぼーっとしたまま、マンガや小説なら、ここは感動的なシーンになるのでしょうが、私では感動的なシーンにできそうにありません。
「ですが、まだ膝が震え、頭も真っ白のままなのです。先程は前生徒会長による退任の挨拶時に後ろで不適切な行為をしてしまい、申し訳ありませんでした」
 生徒の歓声が小さくなりました。
「ですが、今、この場で落ち着きと勇気を頂きたいのです。生徒集会、しかも所信表明演説という場で、不適切な行為をする事をお詫び申しあげます」
 祈、眞弥子、聖佳さまに順番に視線を向ける。
「聖佳さま、祈、眞弥子。……キス、してください」
 沈黙した講堂で、聖佳さまと口付けを交わす。
 衆人環視の中で聖佳さまと舌を絡ませあう。マイクを持ったままなので、スピーカーから大音量でキスの音が聞こえます。
 唇を重ねた当初こそ静かでしたが、観衆のボルテージがあがるにつれ、黄色い歓声も大きくなります。
 こんな状況でキスしてくれるとは、聖佳さまも大分アレになってきたなー、と考える余裕が出てきました。
「今度は私が『人』を飲ませてあげます」
「眞弥子の元気、吸い取ってください!」
 聖佳さま、祈、眞弥子と順番に口付けを交わし、ようやく冷静になれた気がします。





/ 3

「えー、この度の生徒会執行部役員選挙の結果を受け、生徒会長の重責を担う事となりました月丘晶子です」
 演壇で全校生徒に向け、一礼する。
「聖ルピナス学園生徒の皆さん、我々はある課題に的を絞り、綺麗な選挙をやり遂げました」
 大きくボディランゲージをし、続けます。選挙活動なんて、投票前の演説くらいいかないのに何を言っているのでしょうか。
「生徒の、生徒による生徒の為の生徒会!」
 講堂が熱狂的な歓声に包まれる。
「我々が怖れなければならない、ただ一つの事は、同性愛に対する偏見そのものです!」
 冷静さを取り戻したとはいえ、結局演説内容が思い出せないので、適当なことを言っていたのですが、だんだん何を言っているのか分からなくなってきました。
「女子校―――この言葉は、合法的に同性愛文化を許された一種の聖域です! 奇しくも我々は、聖ルピナス学園に集った同士なのです」
 何でしょう、この熱狂ぶり!
「我々は同性愛を日本国に認めさせる為に戦う。偏見や迫害から逃れる為ではなく、同姓婚と一婦多妻を勝ち取る為です!」
 もう本当に自分でも何を言っているのか疑問ですが、こういった場ではボディランゲージすると段々ノッてきます。
「我々の行き先には、道が敷かれている必要はないのです。何故ならば、私たち自身の手で勝ち取るからです!」
 最後に、某国大統領を意識して決めてみました。
「Yes, We Can!」





/ 4

 都さんに、じと目で「扇動者になれるわね」と言われました。
 会場では何を言ったか覚えてませんでしたが、後日新聞部による「生徒会執行部役員選挙特集号」の所信表明演説全文を読んで死にたくなりました。




あとがき

 研修や説明会で司会進行や講師を毎年やっていますが、3年目でようやく慣れてきました。

7/25
 誤字脱字修正+ついでにちょっと本文修正。



[9984] 第14話(7/26 誤字修正)
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/26 20:34
第14話

/ 1

――――――――――――――――――
    聖ルピナス新聞

生徒会執行部役員選挙特集号

同姓婚・一婦多妻実現へ

 昨日、月丘会長が所信表明演説(2面に全文掲載)で述べた同姓婚・一婦多妻構想の実現の可能性が見えてきた。
 宝生元会長と天法院副会長が祖父経由で政界に圧力を掛け、今国会での民法改正を目指すという。
 以下略

――――――――――――――――――





/ 2

 紙面から顔を上げると、上機嫌で私を見る生徒会の面々と聖佳さま。
 いえ、眞弥子だけは俯いてました。
「えと、この法改正ってどういう事なんでしょうか……」
「晶子様の決意に感激し、これを実現する事こそ、私の役目だと想いましたのよ!」
 わざわざ立ち上がり、ポーズを決めて言う綾音さん。
「あはは……」
 自然と乾いた笑いが漏れます。どうしてこうなってしまったのでしょうか。
「貴女の演説を聞いて、貴女が私と結婚したいと思っていた。それが分かって居ても立ってもいられなくて…、初めてお祖父様に我が侭言ってしまったわ」
 聖佳さまが胸に手を当て、うっとりした表情で言う。
「本当は二人きりが良かったのだけれど、全校生徒の前で求める程、祈と眞弥子の事も想っていると分かったから」
 祈と眞弥子に笑みを見せ、聖佳さまは続ける。
「二人とも、晶子の妻として、共に支えましょう」
「はい!」
 立ち上がり、手を取り合う聖佳さまと祈。
「良いものを観せて頂きました」は志鶴の発言なのですが、どうして志鶴さんはこんなに嬉しそうに聖佳さまと祈を眺めてるんでしょうか。
 本来は感動的なシーンなのでしょうが、この騒ぎの中心が私である事を考えると、本当に乾いた笑いしか出ません。
 そんな私を見て、「晶子ちゃんはマリッジブルーかい?」と爆笑しながら、私の背中を叩く薫さまに怒りの矛先を向けたくなります。
「そーいう薫さまは、何人娶るんですか?」
 ようやく、背中を叩くのを止めてくれました。少しヒリヒリします。
 薫さまは私の背中に胸を押しつけ、耳元で皆に聞こえるように言いました。
「子猫ちゃんズは遊びだから、晶子ちゃん、私も貰ってくれないかなー」
 聖佳さまが激高する。
「ちょっと薫、あれだけの人数を手込めにしておいて、全員遊びだというの!?」
「いーじゃん、私も混ぜてくれたってー」
 薫様は、聖佳さまに見せつけるように、私の首に腕を回し、さらに体重をかけてきました。双丘を背中にぐいぐい押しつけられる私としては、嫌がらせにしか思えません。
「ちょ、薫さま、当たってます!」
「晶子ちゃんがその気になるよう、当ててるんだよ?」
「こ、これ以上増えるのは困ります!」
 祈が薫さまを引き離すとしますが、スポーツ万能の薫さまを文学少女がどうにかするのは無理なようです。
 私も病弱スキルを持つだけあって、薫さまから逃げられません。
 この背中に押しつけられる感触で、嫌でも自分がぺったんこである事を思いしらされ、拷問のようです。
「薫、晶子に色目使うなら、その爛れた関係を清算してからにしなさい!」
 聖佳さまが参戦し、ようやく薫さまが離れてくれました。
「晶子さんは常に愛する人と過ごせて羨ましいです。私も彰さんと常にいちゃつきたいです」
 志鶴さんは放置しましょう。





/ 3

 バカ騒ぎしている間も俯いていた眞弥子が、顔を上げ、泣きそうな表情で深刻な話を始めた。
「晶子さま、眞弥子は晶子さまと結婚できそうにありません」
 先程とは一転して真面目モードになる周囲。素早い切り替えに驚かされます。
「日曜日に、お見合いさせられる事になってしまいました」



あとがき

 ensembleのスタッフ日記で晶子の抱き枕カバー発売が発表されました。
 画像が小さすぎです。早く大きな画像を公開して欲しいものです。

 はぁ、一人暮らしだったら使いたいのにな~。
 もし買っても、押入に封印するはめになりそうです。

7/26 誤字修正



[9984] 第15話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/07/26 20:36
第15話

/ 1

「日曜日に、お見合いさせられる事になってしまいました」
 眞弥子の言葉を聞いた瞬間、思わず立ち上がってしまいました。
 勢いよく立ち上がったせいで、椅子が音を立てて倒れ、皆の視線が集まってしまいました。
 静まり返った生徒会室で視線を浴びたまま立ち尽くし、何秒経ったのか。
 この変化のない暗い雰囲気にに、何か言わなきゃ、と義務感のようなものが沸いてきます。
 とりあえず、眞弥子を抱きしめなければ、と思い「眞弥子…」と声をかける。
「晶子さま…」
 眞弥子がゆっくり立ち上がると、涙が溢れそうになっているのが目に映った。
 自然と抱きしめてしまいましたが、眞弥子は抱きしめ返してくれません。
「ねえ、眞弥子。どうして抱きしめてくれないの?」
 眞弥子を抱きしめたまま問いかける。
「眞弥子はお見合いさせられるんです。お姉さまのように、婚約するまで何度も何度も!」
 眞弥子の背中に回した腕はそのままで、首筋に埋めていた顔を離し、眞弥子の顔を正面から見る。
 眞弥子は堪えきれなくなったのか、遂に涙を流していた。
「ねえ、眞弥子。眞弥子は私の事嫌い?」
「嫌いなわけありません! 眞弥子は晶子さまが大好きです!」
 はっきり即答されて少し嬉しいです。
 例え、自分が相手をどう思っているのか、未だによく分からないとしても、好意を寄せられるのは嬉しいです。
「私も眞弥子が好きよ」
 自身の感情が愛なのか、恋なのか、ただの友愛なのか分からないので、こう言うしかありません。
「嬉しいです」
 ようやく眞弥子が抱きしめてくれました。
「晶子さまは、眞弥子のお姉さまと公衆の面前で宣言してくれた事はありましたけど、いつもキスや態度で表現されてました。
 ―――でも、初めてちゃんと『好き』と言ってくれて……、眞弥子は本当に嬉しいです!」
 言い終わると、眞弥子はわんわんと泣き出してしまいました。
 あれ?
 なんだか、ますます戻れなくなているような気がします。
 それでも、好意を寄せてくれる子には泣きやんで欲しいので、眞弥子の頬に舌を這わせて涙を舐め取り、閉じた瞳に口付けて、溜まった涙も舐め取る。
 反対側も同じように涙を舐め取り、唇を軽く触れるだけのキスを交わす。
「晶子さま…」
 眞弥子が物足りなさそうな表情を浮かべるのを無視して、眞弥子を強く抱きしめ、うなじに顔を埋める。
 こう、ぎゅーっと抱きしめあっていると、「もう絶対に離したくない」と思えてきます。
「絶対に離したくない、その言葉、先に言ってもらたかたわね」
「はい、残念です」
 何故か聖佳さまと祈が同意しあってます。
「もしかして、口に出してました?」
 皆に視線を向けると、全員大きく頷いてました。
 眞弥子はとろけてました。
 なんでしょう、どんどん外堀が埋められている気がします。





/ 2

 綾音さんの淹れた紅茶を飲みながら、対策会議が始まりました。
「無理矢理お見合いさせられるんだから、ぶち壊すてやろうよ」
 さらりと言う薫さまに祈が続く。
「やはり、こういう場合は恋人を連れ行き、先方に諦めてもらうのが王道です」
「そうね、恋人役は立藤の会に来てた晶子のお兄さまなんてどうかしら」
 今からすぐに用意っできる男性なんて居ませんし、聖佳さまの提案が無難のようです。
「分かりました。今夜兄さんにお願いしてみます」
「彰さんは困ります!」
 これで解決の道が見えた、と思ったのですが、志鶴さんが深刻そうに反対した。
「彰さんは私の婚約者です。広いようで狭いこの世界ですから、眞弥子さんの恋人としてお見合いに乱入すれば、私と彰さんの婚約が白紙にされかねません!」
 皆、一斉に吐息する。
「ここは素直に晶子ちゃんを恋人として紹介すれば良いんじゃないかな?」
 どうして薫さまはこんなに軽い調子でさらっと言えるのでしょうか。
「ずいぶんさらっと言いますね」
 さっきの胸の恨みもあるので、嫌みを込めてみました。
「だて他人事だもん」
 思わず力が抜けてしまいました。薫さまに遊ばれているようです。
「そうね、いくら眞弥子の為とはいえ、嘘を吐くのはどうかと思うわ」
 聖佳さまはついさっき、兄さんを恋人役に推薦した口が乾かないうちに何を言っているのでしょうか。
「あら、聖佳さまでも意見がぶれる事があるのですね」
「対策案を検討しているんですもの。様々な案を出すのは間違った事ではないのよ」
 兄さんの事が出たせいか、志鶴さんが聖佳さまを見つめています。右手を頬にあて、笑みを浮かべてますが、眼は笑ってません。まるで室温が下がったような気がします。怖いです。志鶴さんにこんな一面があったなんて。
「そういえば、山本流の家元の変な噂を耳にした事がありますの」
 聖佳さまと志鶴さんのせいで下がった室温を戻す為、綾音さんの発言に便乗する。
「さすが綾音さん! 家に来て兄さんを手込めにして良いですよ!」
 志鶴さんに睨まれました。ガクブルです。





/ 3

 結局、私がお見合いに乱入する事になりました。
 綾音さんの噂は真偽が不明でしたので、兄さんに情報収集を依頼しました。




あとがき

 朝目が覚めると13時だった。とりあえず、スーパーで朝食兼昼食の弁当を買う。
 13時20分頃、酒を呑みながら弁当を食す。
 いつのまにか寝ており、目が覚めると18時をまわっていた。
 なんだってこんな事に……。



[9984] 短編第1話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/08/19 16:21
短編第1話

/ 1


 夏休みに帰宅し、久々の実家を堪能しようと思っていた私を待っていたのは、試験休みから半同棲状態で兄さんの部屋に転がり込んだ義姉となるであろう志鶴さんと兄さんによる騒音(嬌声)被害でした。
 寮はTVだけでなく、PCの持ち込みも禁止されている為、ネットを見るのも久々でテンションあがりました。VIPのまとめサイトでAA特集スレでドクオが部屋で隣のギシアンを聞きながら体育座りしているAAを見た瞬間、私の中で何かが弾けました。
 種割れしたせいか、思い切って私も恋人と同棲する事にしたのです。
 しかし、自室は寮と違い、4人で過ごすには少々手狭でしたので、日替わりで同棲相手をローテーションしています。
 両親に何の相談も無く、突然恋人として女の子を紹介したところ、父さんは頭を抱えていました。
 なんだか世間一般でいう、普通の反応を見た気がします。
 母さんは「血は争えないわね」と意味深な事を言っていましたが、3人目になると、「私を越えたわね…」なんて言っていましたが、気にしないでおきましょう。





/ 2

 隣の部屋から漏れる嬌声で目が覚める。
 寝起きのせいか、まだ目が開かきません。がんばって薄目を開け、時計を見るとまだ5時過ぎです。
 昨夜、私と祈が愛し合っている時も、兄さんと志鶴さんの嬌声が聞こえてましたが、もしかして一晩中ヤってたんでしょうか。
 タイマーをセットしておいたエアコンは既に停止しています。
 カーテンの隙間から漏れる陽射しがあたる首筋がジリジリと灼かれるようです。
 隣で眠る祈を起こさないよう、気を遣いながら、首に絡まる祈の腕を外す。
 ベッドから抜け出し、カーテンを閉めたまま窓を開ける。
 ふと、視線を落とすと、裸で眠る祈が瞳に映る。
 おはようのチュウをするが、相手が寝ていると何の反応も無くてつまらない。
 風通しをよくする為、部屋のドアと廊下の窓も開放する。開けたとたんに吹き込む風を受け、ようやく目が覚めたような気がした。
 夏でも早朝は過ごしやすくて好きになれそうです。





/ 3

 軽くシャワーを浴び、昨夜の汗と愛液を流す。
 部屋に戻ってもまだ隣から嬌声が聞こえます。あのバカップルはどれだけ絶倫なんでしょう。
 ベッドに腰掛け、まだ夢の中の祈を愛でながら冷たく冷えた麦茶を飲む。
 祈が裸なのに、部屋のドアを開けっ放しにしたら、家人に見られる可能性があった事に気づく。でも、暑いから開けっ放しのままにする。とりあえず祈にはタオルケットでも掛けておきましょう。
 こんなゆっくりした時間もたまにはいいかな、と思います。
 ベッド脇の机にコップを置くと、氷がカランと音を立てた。

 ―――そんな夏の一日。





/ 4

 ぼ~っと氷を眺めていたら、新しいプレイを思いつく。
 寝ている祈に氷で悪戯です!
 氷で異物挿入もいいかもしれません!
 絶倫バカップルと違い、こちらは女同士なので単調になりがちなので、たまには変化球もいいかもしれません。

 短編第1話X版に続く?




あとがき

 流石に仕事中にX指定までは書けない。
 そんなの書いてるとこ見つかったら、終わるw。
 新人に「会社でmixi見るな」と注意した本人が舌の根も乾かぬうちにこんなのを投稿する。
 そんな夏の日。


 P.S.

 PCは今買っても微妙なので、Win7発売後に新しいの買います。
 それはまでは、ただでさえ短いSSですが、さらに細切れで投稿します。



[9984] 短編第2話
Name: としあき◆31fa8600 ID:2bbe44ea
Date: 2009/08/26 17:38
短編第2話

注:短編は基本的に各話毎に時間軸がバラバラとなります。



/ 1

「晶子ちゃん、なんで万歳してるんだい?」
 薫さまの質問により、生徒会の面々が手を止め、私に視線を向けた。
「資料を見ても何がなんだか分かりません。お手上げです」
 私の降参宣言を聞き、聖佳さまは深く溜息を吐いた。
「仕様がありませんわね。晶子さまは私が居ないとダメなんだから…」
 綾音さんが、言葉とは裏腹に満面の笑みを浮かべて隣に腰を下ろす。
「まったく、晶子は綾音に頼りっきりね。生徒会長としての自覚を持って、自分の力で片づけるようにしなさい」
「はーい。でも、権限分与という事で部下に仕事を与えて仕事を終わらせるのも組織という観点から見れば問題ないのではないかと…」
 聖佳さまは頭を抱える。
「薫の影響かしら?」
「薫さまの影響って、聖佳もひどい事を言いますね」
 反論してみたのですが、このネタには誰も乗ってくれませんでした。薫さまは聖佳さまに笑みを向けています。





/ 2

 息抜きを兼ねて、実地で予算の用途確認業務の勉強する為、アーチェリー部にやって来ました。
「うわー、けっこー広いんですねー」
 アーチェリー場に足を踏み入れ、開口一番に眞弥子が声をあげる。
「室内の18mと25mだけでなく、公式の70mにも対応した施設ですから」
 わざわざ説明しだしたのは部長らしい。
 この後、長々と予算とアーチェリーの説明を受け「せっかく来たのだから」という事でアーチェリーを体験する事になりました。





/ 3

「今回は皆さんに室内で最も距離の短い18mで射って頂きます。18mではこの公式の40cmの的を使います」
 話を聞きながら適当に相槌を打つ。
「今回は、この最もシンプルなワンピースボウに15kgの弦を張ったものを用意します」
「皆さんが使っているたくさん棒や滑車がついた弓は使えないんですか?」
 練習中の部員を眺めながら質問する。
「棒はスタビライザーといい、弓の振動を押さえ、安定させる用途があります。滑車のついた弓はコンパウンドボウといって、ワンピースボウよりも強い弦を引く事ができます。どちらもある程度実力を付けてから個人専用で調整して使うものなので、今回は使用しません」
 ちょっとがっかりです。
「部員は皆、矢を顎の位置まで引くローアンカーで撃っていますが、皆さんは初心者ですので、目の位置まで引くハイアンカーで撃って頂きます」
 その後も説明は長々続き、実際に撃ったのは20分後でした。





/ 4

 脚を肩幅より少し大きめに開き、的を見据える。
 腰に下げた矢筒から一本取り出し、左手で持つ弓に矢をつがえる。
 右手で矢を挟むように人差し指と中指を軽くあて、サイトの赤い点と的の中心が一致するようにしながら、ゆっくりと弦を引く。
 15kgが一番弱い弦という話でしたが、実際に引いてみるとかなりの力を使うせいで、弓がふらつきます。
 大きく深呼吸し、息と止め、サイトと的を一致させる。
 右手をリリース(離)し、矢を放つ。
 スパーン!
 小気味の良い音がする。
 当たった場所を確認すると、的を大きくはずれていた。
「初めて使う弓は、こうやって1射毎に調整してどんどん中心に当たるようにしていくんですよ」
 場所を確認した部長さんがサイトを調整してくれました。
 撃つ度に中心に近づき、最後の1本はつとうとう的中しました。
「やりました!」
 思わず声を上げ、振り向いて皆を見ると、祈を除いた生徒会メンバー(OG含む)が胸を押さえて蹲ってました。
「みんなどうしたの! 誰か保健室に連絡を!」
 声をかけると、聖佳さま、眞弥子、志鶴さん、薫さまが声を揃えて言った。

「大丈夫よ(です)、ただリリースした際に弦で胸を打っただけだから(です)」

「どうで、私も祈も絶壁ですよ! みんなもっと強い弦で矢と一緒にその巨乳をリリースしちゃえばいいんです!」
 スポーツするだけで胸の事で絶望させられるなんて、思いませんでした。




あとがき

 クロスボウで60kgの弦をひいたりすると、指くらいスパっと飛ぶそうです。
 数ヶ月ぶりにアーチェリーをやったら、ぜんぜん当たらなくなっていました。
 30分程度射ち、ようやく的に集弾できるようになると、なんでこんなにおもしろい事を数ヶ月もやらずにいたのだろう、と思いました。
 そろそろアーチェリーをはじめて4年になります。もう専用の道具を買っても良いかな、と悩んだりしてます。

 ensemble公式のスタッフ日記によると、そろそろ抱き枕とドラマCDの通販が始まるようです。
 炎天下で長時間並ぶのが嫌でコミケに行かなかったので、通販は助かります。
 ドラマCDが楽しみです。


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