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[20480] 霊能者達の昼下がり(HxH、幽遊白書クロス)【完結】
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 20:10
 チラ裏のたぶん続かない一話だけの短編集からの派生作品です。
 この作品はキャラが完全に別物です。
 原作崩壊及びキャラ崩壊が激しいです。
 



[20480] 1話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:45
 転生しました。まあ死因とかはどうでもいい。済んだことだ。重要なのは俺の弟の名。
 戸愚呂だ。どうやらここは、幽遊白書の世界らしい。俺の名は戸隠。しかし、戸愚呂って本名だったのか? 幾分引っかかるものを感じる。とにかく、俺やだよ、妖怪になるのは。それに、とにかく強くならないと潰煉とかいう妖怪に見せしめに殺されね?
 しかし、霊力を鍛えるのってどうやるんだろう。
 戸愚呂が育って霊力を覚えてから習うしかないか。
 しかし、空手の練習はしておこう………3日で飽きた。
 だーって、俺、元ニートだぜ。運動なんて無理無理無理。
 俺が5歳。戸愚呂が3歳になった頃の事だった。
 戸愚呂は大人しい男の子だった。これが挌闘家になるなんて信じられない。

「兄者、本を借りていっていいか」

「構わないぞ、戸愚呂。それでよく勉強して、俺を鍛えてくれ」

 戸愚呂は格闘技の本を借りていく。それに、よくわからない質問を良くする。
 戸愚呂はいつも本ばかり読んでいる。それは俺もおんなじだ。
 両親からは頭のいい子だと喜ばれている。6歳の誕生日にパソコンを買ってやるといわれ、俺は喜んだ。
 
「戸隠、戸愚呂、お客さんだぞ。隣の家に引っ越してきた野渡さんだ。凄いんだぞ。とにかく来なさい」

「はーい」

 俺は返事をして、戸愚呂は無言で玄関に向かう。待っていたのは、ちっちゃい女の子と優しそうな女の人だった。

「戸愚呂、この女の子、幻海ちゃんっていうんだぞ。同じ幽遊白書からつけたんだそうだ。あ、幽遊白書ってのは俺の好きな漫画な」

 えっ幽遊白書からつけたの?
 っつーか、そりゃ漫画の世界に入るなんて早々ないよな。なーんだ。
 俺は恥ずかしい間違いに真っ赤になる。

「お、幻海ちゃんが可愛いからって真っ赤だな、戸隠!」

 父さんの揶揄する声に、うー、と声を出す。
 戸愚呂は、何歩か進み出て、そこで結局歩みを止めた。ぎゅっとこぶしを握り締める。
 幻海と戸愚呂が見詰め合ったかと思うと、幻海は、くしゃっと顔を歪め、泣き出した。

「まあまあ、びっくりしちゃったのね」

 幻海は、戸愚呂をぎゅっと抱きしめる。
 お母さんが、まあまあと更に声を上げる。

「い……いきなり泣いて、すまないね。戸愚呂、少し二人で話をしたい」

 幻海の、大人びたしゃべり声。ここって近い未来なのかな。
 
「どうですか、上がってお茶でも」

「そうですね、お邪魔します」

 戸愚呂は子供部屋に幻海を連れて行く。
 俺も部屋に戻って漫画を読もうと思ったが、邪魔をするなと父さんに連れて行かれた。
 幽遊白書の話で盛り上がる二人の話を聞いていると、新聞が目に入った。
 幕府……?
 俺は新聞を引っ張りこむ。新聞には幕府がどうのこうの書いてある。

「ねー、幽遊白書っていつ頃の連載?」

「お前が生まれた後に連載終了したんだよ」

「へ……へー」

 俺は青い顔だ。ここはパラレルワールドなのか。政府が幕府だなんて。俺は混乱しながらも、隅から隅まで新聞を見た。ハンター協会。なんだこれ。まさか、まさか……。

「ととと、父さん、くじら島って知ってる?」

「観光で有名な所だな。それがどうかしたか」

「父さん、パソコン買って。今すぐ買って。すぐ買って。調べたいものがあるんだ」

 まだ、間違いというのがあるかもしれない。さっき、間違えたばっかりじゃないか。慎重に確認しなくては。

「なんなんだ、一体」

「うちの幻海ちゃんもパソコンが好きなのよ。そういう時代なのよ」

談笑を続ける二人に埒が明かないと、俺は新聞を引っ張り出した。
ハンター協会会長、ネテロ。NGL。ああ、駄目だ。キメラアントどうしよう。
 何より、俺はハンターハンターの内容をほとんど覚えていなかった。キメラアント編いつだったかなんて覚えてないよ。あーどうしようー。

「兄者、何を悩んでいる」

 俺が頭を抱えていると、幻海と戸愚呂がやってきて言った。

「いや、なんでもない。なぁ、戸愚呂。強くなりたいから鍛えて欲しいなんて言っても、無理だよな。お前は幽遊白書の戸愚呂じゃないものな。あはは……」

「構わないが。というかいつも頼んでいる事だろう」

「本当か!? いや、でも……」

「……あいつ以外の転生者って線もあるんじゃないかい? 3歳の弟にここまで鍛えて欲しいと頼むのはおかしいよ」

 幻海の言葉に、戸愚呂が俺を見た。俺は子供部屋に連行される。
 
「ななな、なんだなんだ!?」

「いいからわかっている事をきりきり喋りな」

 あーれー。

「ふうん、念能力ねぇ。白い靄が見えるのは何でかと思ってたんだよ。これはいい暇つぶしを見つけたね」

「俺は強化系だろうな」

「あたしも強化系な気がするね」

 二人は楽しそうに会話する。そこに、原作であったような影は感じられなかった。二人で話し合って吹っ切れたのだろうか。その日から弟と幻海の特訓は始まった。一日でダウンした。でも許してもらえなかった。二人に言わせれば、子供のうちから鍛えすぎると育たないから加減はしているらしいけど。
 俺が7歳になる頃には、戸愚呂も幻海も纏を会得していた。俺? まだですよ。天才と一緒にするんじゃねぇ。霊は見えるようになったけど。しかし、HxHの原作を覚えてない。最近、いつも内容を思い出そうと頑張ってるから夢にも見るようになってきた。キメラアントの時期わかんねー。よって、まだ戸愚呂達にも話してない。

「成長が遅いね。早く念の訓練をしすぎたかね。これじゃ特訓も出来ないよ」

「水見式は兄者が纏をできるようになるのを待っていたが……」

「すんませーん。俺は探索係って事で頼むよ。今だってパソコンで仲間探ししてるしな」

 幽遊白書の生まれ変わりだと思う人集まれ、と書いたスレッドは今日も狂人じゃねーのという書き込みに溢れている。この中から本物を探すのは大変だ。
 これという人にメールを出して、幻海の住所や享年を聞くのだ。偽者にはまず答えられない。
 パソコンに向き直る俺を見て、戸愚呂と幻海はため息をつく。
 
「ま、気長に待つかね」

 そうしようぜ。



 で、気長に待った結果俺20歳。むりやり念に目覚めさせられました。
 まあ、発は先に出来てたんだけどな。なんと、HxHのコミックを具現化できる能力ですよ。グゥレイト! ……いらねーorz いや、原作知識は仕入れられたけどさ。幻海と戸愚呂の修行にも役立ったし。いまや二人は立派なハンターである。俺? もちろん違うよ。
 ちなみに念に関しては戸愚呂も幻海もorzってなってた。操作系と具現化系です。まあ強化系からは遠いわな、かなり。俺、強化系なのに具現化して涙目。コミックは正真正銘普通のコミックです。戸愚呂と幻海にも文句言われて涙目。二人とも能力どうするんだろ。
 そんなわけで、1996年。クルタ族壊滅。来年の事だ。
 俺はチャットでここ10年の間に見つけた奴らに話しかけた。

「で、どうするー?」

「阻止させてもらうよ。俺の力に初見で対抗できると思わないし」

「俺も今の家族が気に入っているからな。人殺しをするつもりはないから生かして返すけど」

 天沼と海藤から返信が帰ってくる。ほうほう。ちなみに彼らはクルタ組みである。わかったのは、幽遊白書の人間組みが死後に何人かこちらに連れてこられて来ているという事だった。神谷達も来ていて、彼らとも連絡を取り合っている。ちなみに全員念能力者になった。霊能力との区別が大変なようである。俺も混同して毎日幻海に怒られている。ちなみに一番年上にかかわらず、念を覚えるのが一番遅かったのは俺だ。

「能力を盗まれないように気をつけてなー」

「盗めるかどうかはわからないけどね。俺たちの能力は念じゃない。条件はわかってるし、大丈夫だろう。できれば幻海師範にも来て頂きたいんだが」

「あたしは構わないよ」

 海藤の言葉に、幻海が横からチャットに入り込んだ。
 
「俺も心配だからいく」

「俺も」

城戸、柳沢がいい、大分大所帯になったなと俺は思った。
樹が、お茶を持ってきてくれる。仙水が、HxHのキメラアント編を読みながら言った。
仙水は親に売り飛ばされそうになっている所を根性で捜しに来た樹が掻っ攫い、現在ここに住んでいる。戸愚呂と幻海と俺と樹と仙水とで、今5人住まいだ。あ。桑原は樹に送られて雪菜の所へ戻っていった。

「魔族が無理ならキメラアントになりたいな……」

「キメラアントも醜いのは人間と同じくらい醜いですから勘弁してください。魔族ってのも念能力でどうにかしたらどうですか。せっかく7人分もメモリあるんですから」

 これ以上のキメラアントの強化とか、勘弁して欲しい。





[20480] 2話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:46
「仙水―。ほら、これ可愛い」

「……ナルが気に入ったそうだ」

「そっか。俺バイト代あるからいいよ。買ってやる」

 俺がぬいぐるみを持つと、樹が取り上げてレジに向かった。
 俺と仙水はまだ職についていない。時々、霊能者としての戸愚呂と幻海の仕事を手伝っている程度だ。ここでの霊能者の仕事は別の意味で厳しい。除念の仕事が混じっているから見極めが大切なのだ。
 前世では戦いあってたけど、ここでは同じ幽遊白書の世界からわけのわからない世界に連れてこられた人間同士、助け合って生きている。
 当然戸愚呂と幻海と樹は霊能者として働いている。
 ちなみに家事の担当は俺だ。弟の弟子ですからー。自然と叩き込まれました。
 全員家事は出来るんだけどな。
 
「戸愚呂。戸愚呂もせっかく出かけたんだから、幻海に何か買ってやったら?」

「兄者。俺はこういうのはわからないからな……。どれがいい、幻海」

「あたしに聞くんじゃないよ。あたしだってわからないさ」

 色気とは程遠いカップルである。それでも徐々に寄り添ってきているような気はする。くっつけくっつけー。あーでも、そうすると俺だけ一人かー。
 クルタ族に可愛い女の子がいるといいな。
 山道を延々と歩き、ようやくクルタ族の住む集落についた。
 他の皆には遠巻きにされたが、天沼と海藤には歓迎された。
 なんだかんだいって不安だったらしい。俺も不安。俺は留守番したいっていったのに、幻海は聞いてくれなかったのだ。旅行は楽しかったけどさ。俺も20になるまで水見式待ってもらった負い目があるので、幻海と戸愚呂には逆らえない。まあ、20になるまで点を頑張った甲斐があって、オーラはめちゃくちゃ綺麗である。
 しかし、クルタ族って美人さん多いなー。
 けどめちゃくちゃ警戒されてるから、こりゃ彼女作るのは無理かな。
 
「アマナとユウの親友といったか。妙な真似をしたら直ぐに村から追い出させてもらうぞ」

「心配しなくても邪魔はしないぜ。ああ、これ、お土産、皆から」

「助かる、ヤナ」

「サンキュ」

 紙袋の中身はゲームと本の山だった。二人は早速中身に手を伸ばす。

「おいおい、案内を先にしてくれよ」

「ああ、わかった。悪いな。こっちのテントを使ってくれ」

 そして、クルタ族との共同生活が始まった。
 そして俺は毎日念の特訓。柳沢の能力は、全てをコピーするというものなので、俺をコピーしてもらって組み手をするのだが、それにどうしても勝てない。全く同じはずなのに、どういうことだ畜生。やっぱり俺って弱いんだろうか。弱いんだろうなぁ。
 幻海と戸愚呂は依頼でそういうものが出るからと、具現化で除念に決めたらしく、それでまた悩んでいる。格闘家だから武器にするんじゃ、と思っていたが、二人とも武器を使うより素手のほうが向いてるんだそうだ。
 結局封じる呪符と破壊するナックルに決めて、具現化を頑張っている。
 念の破壊なんて出来るんだろうか。除念の描写を見る限り、移動や変更は出来ても消す事なんて出来なかった気がする。
滞在中、樹が念の特訓中の仙水に言われてどこかへ行った。どこ行くんだろう。
 それは数日後にわかった。
 樹が幽助をつれてきたのだ。

「よう、ばーさん。また会えるなんざ思ってもいなかったぜ! うわ、わっけーなー」

 幽助が本当に嬉しそうに笑う。これが幽遊白書の主人公か……。からりとした笑顔にどこか惹かれるものを持つ男である。そしてオーラが半端なく強い。
 
「また馬鹿弟子の顔を見るなんてね」

 談笑している二人に仙水が歩み寄り、アンテナらしきものを指し示す。

「久しぶりだな。早速だが念能力を試させてくれ」

「おお? いいぜ」

仙水が自分と幽助にアンテナを突き刺すと、仙水は急に驚いて見せた。

「おお!? か、体が入れ替わった!?」

「これが魔族の体か……」

 幽助が自分の体をしみじみと見下ろす。あ、仙水か。どうやら魔族に生まれ変わる念能力の代わりに、魔族と体を入れ替える念能力を得たようだ。仙水は、どこか楽しそうだった。

「魔界に行ってくる。樹、案内してくれ。幽助、体を借りる」

「おいおい、後でちゃんと体返してくれよ」

「数ヵ月後に」

 仙水と樹を見送る。樹、幸せそうだな……。そういや二人の旅行は初めてか。人の体で一線越えんなよー。
 仙水を見送ると、幽助がにやりと笑った。

「さーて、念能力って面白い力があるんだろ。俺にも教えてくれよ。あと戸愚呂、一緒に戦おうぜ?」

「俺の技がもはや通じるとは思わんが……俺も幻海くらいしか相手がいなくて困っていたところだ。相手になろう」

 幽助と戸愚呂が戦う。戸愚呂は最初から念の攻撃をしてきた。

「うおっ体から湯気が」
 
「それが血液のように体をめぐり、段々流れがゆっくりとなってたゆたうイメージをするんだ」

 俺の適当なアドバイスで、幽助は纏をしてみせた。さすが主人公はんぱねぇ。
 
「サンキュッ」

 はっとするような笑顔を向けられ、俺は照れる。
 戸愚呂と幽助はそのまま殴り合いを続けていた。
 それを俺達はぼんやりと眺める。強いなぁ。お。霊丸。
 戸愚呂は霊丸に撃たれ、気絶した。
 といっても、手加減されて撃たれた霊丸だったので、すぐ回復する。
 俺も一回位手合わせしてもらおうかな。

「強いな、君達。私にも指南してもらえないか」

 クラピカキター。クラピカのほかにも、何人か青年が来ている。

「俺、教えるの苦手なんだよな。そういうのはばーさんに頼んだほうがいいぜ。俺の師匠だし」

「あたしは構わないよ。気分転換になるしね」

 幽助は強化系よりの放出系だったので、幻海に習って念弾の練習を始めた。
 一日で錬を覚えたあたり、腹立たしい。
 
「キメラアントっての? 話は聞いてるぜ。戦ってみてえな」

「幽助さんにはちょっと簡単すぎるんじゃないすか? これ、お茶です」
 
「サンキュ。いや、今人間だろ。いい勝負できるかもと思ってな」

 城戸からタオルとお茶を貰い、幽助はお茶を飲みながら答える。
 
「意外と負けたりして」

「かもな」

 幽助の楽しそうな笑みを見て、ちびりかける。やっぱり魔族怖いです。
 戸愚呂の後ろに隠れた俺に、ため息をついて戸愚呂は言った。

「正直、自分の強さがどれくらいかわからないんだ。人間になって幼くなった分、前より確実に弱くなったのはわかるんだが、腕を上げようにも相手がいないしな。兄者もそろそろ一人前……には程遠いが、まあ普通の除霊は出来るだろう。高校も卒業したし、そろそろ、天空闘技場にでも行ってみようかと思うんだが」

「天空闘技場って何だ? 面白そうな響きだな。決まり。幻影旅団追い出したらそこ行こうぜ」

 楽しそうにいう幽助に、俺は頷いた。金稼ぎにはいいかもしれない。

「その前に幽助はハンター試験に受けて身分証明書を得ないとな」

「ばあさんの弟子選考会を思い出すな」

 幽助が遠い目をして言う。向こうでは幽遊白書の時間からもう数十年立っているという。幽助にも思うところがあるのだろう。
 それから一月ほどして、ついに幻影旅団が現れた。
 柳沢が海藤をコピーし、その能力で子供達を守る。
 海藤が、能力、タブーを使った。絶対に暴力が使えない空間。
 そして、絶対にいってはいけない言葉を設定する。その言葉は……。

「ようやくクルタ族を見つけたぜ、団長」

 開口一番のウボォーギンの言葉。それが、命取りとなった。
 魂を抜かれ、それは海藤の手の内に入る。俺と海藤はほっとため息をついた。
 海藤に向かったアンテナを、俺が叩き落した。

「ウボォー!? てめぇ、何しやがった」

 ノブナガの言葉に、海藤は馬鹿にしたようにふっと笑ってみせる。

「団長……こいつは俺に」

 そして、ノブナガの魂も奪い取られる。
 俺はガッツポーズをとる。日本語の読めるノブナガさえ倒れれば……!

「俺の事は名前で呼べ。団と長をつなげて言うとあの攻撃を食らうようだ。紙に書いてある。……面白い能力だな」

 クロロが面白そうな顔をして言い、本を開こうとする。城戸が走った。
 クロロが身構える、が、そこはもう射程距離。クロロの目が驚きに見開かれる。

「あんた達のリーダーは俺が捕まえました。仲間達を帰して欲しければ、二度と来ないでほしいっす」

 城戸が言い終わらないうちに、クロロの念弾で吹き飛ばされ……ない。
 タブーによる不可視のバリアが城戸を守る。

「暴力はんたーい」

 俺が言う。海藤のタブーは半径たった10mなので、幻海と戸愚呂、天沼が他方面から来た幻影旅団と応戦していた。
 城戸にフェイタンが襲い掛かるが、その刀を軽くはじく。
 
「信じがたいな。禁句を言えば動けなくなる能力に、動きを止める能力に、暴力を禁止する能力か」

 団長はますます楽しそうに言った。この状況で余裕を失わないとか。

「だ……クロロ! どうするのさ」

「暴力を使わなければいい。浚え。一時撤退する」

 マチが糸を使い、城戸と海藤、俺を引き寄せる。途端に、クロロは動けるようになった。あれ、やばくね?
 
「やばいぞ、クロロは移動能力を持っているはずだ」

 俺が言うと、幽助が霊丸を撃つ。
 海藤がタイミングを合わせ、タブーを解除する。
 糸が切れ、それと同時に向こうも攻撃を開始してくる。
 海藤は再度タブーを使い、俺もその隙をついて逃げた。しかし、城戸が捕まる。
 俺と海藤はざっと下がった。

「あー、ごちゃごちゃめんどくせぇな。城戸を離せよ。で、三人に手を出すな。殴りあいしようぜ。海藤、二人を解放しろ」

 幽助の言葉に、マチが幽助を睨みながら城戸を放した。
 海藤が、二人の魂を戻す。
 幽助が、クロロに殴りかかった。ウボォーギンがそれを防いで代わりに殴られる。
 ノブナガが切りかかる。幽助は蹴り上げる。

「こいつに手を出すな! 俺がやる」

 ウボォーと幽助は凄まじい殴り合いを始める。
 後はとても目がついていかなかった。
 そしてその結末は……






宴会でした。
 なんで今まで殺しあった人達と宴会開いてるんでしょう?
 主人公格のカリスマ恐るべし。
緋の目は一つだけ渡す代わりに、見逃してもらう事になりました。
 
「へえ、幽遊白書の世界から来たの? まさか」

「本当だって、記憶を読んでもいいぜ」

「パク、やれ」

「信じられない……団長、本当よ。今は体を入れ替える能力で仙水の体を借りてるみたいね」

「信じがたいな……」

「俺だって信じられねーよ。自分の事が漫画になってるなんてな」

「この世界の漫画もどこかにあったりしてな」

 そこで、いっせいに俺を見るな! パクノダが俺に近づく。
 俺は戸愚呂の後ろに隠れた。
 
「兄者に触らないで貰おう。確かにこの世界を漫画にしたものを兄者は具現化できるが、クルタ族を救った事で未来は既に変わってしまっている」
 
「へぇ? だから戦闘準備をして待っていたんだ? 興味深いなぁ」

「馬鹿っ言うな戸愚呂! 俺の場合は本を一回読んだらそれで用無しで殺されかねないんだから」

「いやいや、そんな事しないから見せてよ」

「嫌だね! あ、これだけ。クルタ族を滅ぼすと、わかっているだけでも蜘蛛の半分が死ぬから!」

 俺は叫ぶと、次は幻海の後ろに隠れた。
 15歳くらい(実際は20才なんだけど)の子供の後ろに隠れる情けない姿の俺を見て、皆笑う。
 宴会は夜まで続き、朝になって旅団が帰った後、城戸が青い顔をして言った。

「俺、能力盗まれてる……orz」

 いつのまに。さすが幻影旅団である。何はともあれ、クルタ族の平和は守った。
 原作開始まであと4年。それまで天空闘技場ででも暇をつぶそう。
 



[20480] 3話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:47
「幻海、その、花を摘んできた」

「なんだい、あんたらしくない……でも、礼はいっとくよ」

 戸愚呂が花を幻海に贈り、幻海は少し顔を赤らめる。その後ろでは死闘が演じられていた。

「樹てめぇー!」

 帰ってきた樹と幽助が殴りあう。幽助はマジ泣きしている。その理由は……お察しください。仙水は黙ってお茶を飲んでいる。
 俺も彼女欲しいです。もちろん女希望。幽助みたいに人質にとられたら困るから自分の身ぐらい守れる強さで俺より強すぎない人がいいな!
 まあ魔族やってれば長い人生そんな事もあるさ……などと言われたら殺されそうなので絶対に言わない。
 そんなわけで今日も宴会だ。理由は仙水達が帰ってきたのと陣達の歓迎。
 陣達は仙水が幽助の体を乗っ取ったのを見て、念に興味がわいたのだという。
 陣が子供を乗せて飛んでやり、酎が酒を飲んで凍矢と戦いあう。お前ら、S級妖怪がこんなとこで暴れんな。
クルタ族とはすっかり打ち解け、しかし俺は化け物扱いのために恋人とまではいかなかった。くそう。

「天空闘技場行くのはいいけどさ、人殺しすんなよ。人間相手なんだってわかってるよな」

「わかってるべよ」

「人間相手に本気出したりしないよー。妖力はとことん抑えるさ」

「念は使わせてもらうが」

 それを聞いて俺は安心して、全員ハンター試験に送り込む。
 ちなみに陣達も実践の中で念能力を覚えました。
 だからお前ら一日で錬を覚えるなって。
 ハンター試験落ちたら思いっきり笑ってやろう。
 そして俺達は天空闘技場へ行った。
 幻海と戸愚呂、仙水、樹は200階まで一直線である。
 俺はゆっくりゆっくり登っていった。たまに負けて驚愕の眼差しで見られた。どうせ俺は弱いですよー。ああ、戸愚呂と幻海が本気で俺のメニューを考え始めた……。コミックスを参考にこの世界の体の丈夫さを考えて、自分達の分も含めてメニューを増やすらしい。勘弁してください。
 俺が180階辺りで頑張っている頃、200階クラスで戸愚呂が負けた。
 誰かと思ったら……どう見ても雷禅でした。
 何で雷禅がこんな所に!? 念はまだ覚えてなかったらしい。念なしで200階で戦っていられる雷禅凄すぎ。俺は急いでいって傅く。元国王様だからな。
 雷禅は画魔らしき男からスポーツドリンクを受取って飲んでいた。

「雷禅様、こんな所で何していらっしゃるんですか」

「俺の事を知っているのか?」

「元妖怪の国王様でしょう。幽助もしばらくすればこちらへ来ますよ」

 それから、俺は事情を話した。幽遊白書の本を説明の為に用意しようと思った途端、俺の手の中に幽遊白書が出てきた。どうやら、HxH以外にもコミックスを具現化できるらしい。後で制約を煮詰めてみよう。とにかく幽遊白書の本を捧げる。

「ほぅ、面白いな。俺のほうはこっちで生まれて、お琴ととうとう再会してな。お琴の医者になる資金を稼ぐついでにな」

「念能力を覚えてみてはいかがです? 面白いですよ」

「ああ、そうだな。頼む」

 探してみると、闘技場には漫画に興味のない幽遊白書の登場人物が集まっていた。さすが天空闘技場。俺は勝負前に自分の掲示板の紹介をするようになった。幽助の名前に聞き覚えのある人はこの掲示板に来てくださいって。
 それで結構人が集まった。その中から仲間を探すと、結構見つかった。鴉とか。
 幻海と戸愚呂が雷禅に念能力について教える。その間に、俺も200階に到達した。
 しばらくして仙水がフロアマスターになった頃、幽助達がやってきた。
 はい、この後何が起こるかわかりますね。

「あー、観客に被害出さずに戦うなんて無理!」

「酎、まだ妖力を出しちまってるぞ。念だけなら、そう被害は大きくならないべ」

「それが難しいんだっての!」

「もう帰ったらどうですかー」

 俺が棒読みで言ってみるが、凍矢が何を馬鹿な事をという表情で言った。

「画魔が魔界に適応できないじゃないか」

「俺はこう見えても人間としての生を楽しんでる。心配するな」

「しかし……」

「いいから帰れ」

「画魔!?」

「あんた達のせいで人間が全然勝ち進めなくなってるんだよ。本気の勝負じゃないからつまらないし、天空闘技場は戦いの観戦にお金をかける場所なの!」

 俺が援護射撃する。
 結局陣達はその日のうちに樹に連れられて帰ることになった。
……戻って来る時には雷禅の知り合いを引き連れて来るのを予想できなかったのは痛かった。
ちなみに煙鬼達も念能力を覚えていった。雷禅は……連れて行かれました。
ちゃんとハンター資格取ってきたし手加減するから戦おうぜ→雷禅、負けたから魔界行こうぜ→いけるかっての→なんだ、強いじゃねーか本気出せよ→こんな所で戦えるか→じゃあ魔界で→何をするー的な。
めっちゃ暴れてたけどS級妖怪に人間が勝てません。
雷禅が大きな制約と引き換えに前世の姿を取り戻す念能力を得ていたのが悪かった。
暴れている最中にそれを(もちろん周囲に被害が出ないよう力を調節して)使ったものだから、反対派だった煙鬼もじゃあ魔界に連れて行っても大丈夫か、と……。
瘴気どうすんだかねぇ。
まあ、お琴さんが医大を卒業する頃には帰ってくるだろう。食われてなければ。
黄泉とか人間食べるよね確か。
頑張れー雷禅。
ちなみに、戻ってきた樹曰く念能力は魔界で流行っているとか。
200階に行くと、俺はめっきり勝てなくなった。それでも、強化系の誇りにかけて、なんとか頑張っている。
あ、200階に来たカストロと当たって何とか勝った。けど別に絡まれなかった。
お互い怪我をしないように念押しして、ぎりぎりで勝ったのが良かったんだろうか。
 そうそう、幻海達の除念能力がここ数年の修行で完成した。
 幻海の呪符で封印or魔物化→戸愚呂のナックルで攻撃という形で無理やり壊すらしい。小さな念でもかなり凶悪な魔物が生まれるから、いい修行にもなるそうだ。
 あ、ヒソカは鴉と変態合戦を繰り広げた後に雷禅組と一緒に魔界に行きました。いいのか。煙鬼が責任もって守るとか言ってたけど、不安……。

「そろそろ原作時期だし、ハンター試験、受けようかな」

「俺も受けてみようかと思うんだ」

「あんた、カンニングしてハンター試験に受かろうってのかい」

「んー。本当に原作どおりか見たいし、クラピカの穴も埋めないと」

「俺も見たいな。樹はもうハンター資格持ってるし、ここで待っていてくれ」

「やれやれ、原作なんざもう意味ないんじゃないかい? ヒソカもいないし」

「じゃあ俺がヒソカをやってやるぜ」

「仙水、ノリノリだな。じゃあ俺クラピカの役をやる」

 そうして、俺達はピクニック気分でくじら島に出発したのだった。
 

クラピカ来てたしorzいきなり俺、いらない子?






没部分

「雷禅、あんた、いつでもかかって来いって言ったよね。あたし、ちゃんとハンター試験も通って勝ち上がってきたよ」

孤光が、涙ぐんで言う。それに雷禅は苦笑いして答えた。

「よぉ、久しぶりだな、孤光。頭数揃えて、どうしたんだよ。俺を食いにでも来たか?」

「うわーん雷禅―」

「ちょ、待て! 今の俺は人間だ。妖怪が締め付けたら、ぐっ……」

 雷禅が青い顔をし、煙鬼が苦笑してそれを止めた。

「孤光、それぐらいにしないと雷禅が死ぬぞ」

「雷禅様、何故連絡を取ってくれなかったのですか」

 北神が涙ながらに言う。

「俺は今はもう普通の人間として生きてるんだよ。婚約者もいるしな」

「今度は結婚式に呼んでくれよ」

「ああ、必ず呼ぶ」

 そして試合となる。雷禅の動きは、当たり前だが孤光に比べて悪かった。試合は結局孤光の勝ちとなった。

「雷禅―。本当に弱くなっちゃって……」

「人間の中じゃ、これでも強いほうなんだけどな」

「雷禅様、どうか魔界にお戻りください」

「だから、俺は人間だっての」

「そうだ、黄泉や骸にも会っていくといい。二人とももう子供がいるんだぜ」

 雷禅がひょいっと抱き上げられ、暴れた。

「俺は魔界へは行かない!あの日々をもう一度(リターン)!」

 雷禅が妖怪の力を発揮し、北神達を蹴散らしてぽんぽんと手をたたく。
 孤光達は呆けた顔でそれを眺め、ついで怒り出した。

「雷禅! あたしとの試合ではそれ、使わなかったじゃないか!」

「あんな場所で妖気を使って戦えるか! それにこれは制約がきついんだよ」

「じゃあ魔界で戦えばいいじゃないか。とにかく、帰るよ!」

「だーかーらー。俺は人間だって……ちっ一日に二回も使えないんだよ。はーなーせー」

 嵐のように去っていった一団を、俺は呆然と見上げるしかないのだった。



[20480] 4話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:48
 クジラ島の船に乗った。隔離された。
 な、何を言ってるかわからないと思うが、俺も何をされたのかわからなかった。

「幽遊白書の仙水忍さんとその連れだな? お前さんたちは別口だ」

「特別扱いは不要だ」

「いいからこっち来い」

 そう言われ、船の別の船室に連れて行かれた。船は凄い揺れたが、それは大した問題ではない。
Q.こんな所に黄泉と修羅と躯と飛影がいる理由を誰か答えよ。
 A. どう考えても樹が連れてきました。本当にありがとうございます。
 しかも修羅に幽遊白書を読ませていらっしゃる。
 船に入ると、黄泉が言った。

「ん? 差し入れか?」

「責任者でてこーーーーーーーーーい! 何人食いと一緒の部屋にしてやがる。食われる! 食われるから」

「漫画の登場人物同士、あんたらがなんとかしてくれ」

「俺は違う!」

「あんた戸愚呂の兄だろ。同類だ。後弁当が必要だし」

 ひでぇ! 何それ! ストッパーになりそうな蔵馬がいないとか意味わかんねぇ!

「ふむ。奇遇だな。お前が仙水か。体はいいのか?」

「神谷に早期治療を施してもらったから大丈夫だ」

 仙水が気負わず答える。

「仙水、今の俺はあの時より強くなった。勝負したい」

「ハンター試験が終わったら、勝負しようか」

「お前、誰だ?」

「ミノルだ」

「俺は忍と戦いたいと言ってる」

「忍……どうする? いいってさ」

「俺にも観戦させろ」

 躯と飛影と仙水の話が弾む。俺はなるべく視界に入らないように……。

「そこの。戸隠と言ったな」

 恐れ多くも妖怪の国王様が名前を覚えていらっしゃる! あまりの光栄さに泣きそうだぜ!

「ははぁぁぁ!!」

 俺は地面に這いつくばって返答した。

「この世界の未来を漫画にしているものを持っていると言ったな。見せてはもらえないか」

「わかりました黄泉様!!!」

 俺は逆らわずHxHの本を差し出した。あれ、新刊増えてる。俺の能力すげぇぇぇぇぇぇ!! こりゃ、具現化じゃなく召喚なのか!?
何はともあれ、修羅様は本を音読しだした。ほ。こうしている間は大丈夫……。

「……。小腹がすいたな。所でこの本は使い手が死んだら消えるのかな?」

「消えます! めっちゃ消えます!」

 ……大丈夫だと思いたい。
 船が揺れている間は必死に壁に張り付いてしのいだ。国王様たちにぶつかるとか自殺行為すぎる。船の壁に腕で穴をあけ、そうして張り付く。
 仙水と飛影はいくつか質問や約束をしあうと寝てしまった。
 躯は修羅の読んでいないHxHの単行本を興味深そうに読んでいる。

「修羅、ちょうどこのシーンが始まったぞ。クラピカの目的は魔界を旅したいに変わっているが」

「わー無謀ですねー」

「本当だ。声が聞こえる。あーあ、どうして隔離されちゃったんだろ」

 船から出ると、俺達だけ車に乗せられた。
 ついた先が、飛空挺だった。
 それぞれの食事を出される。飛影と仙水と俺には普通の食事、躯と黄泉、修羅には人肉。

「あ、俺人肉食べないんだー」

「そうか、妖怪の過渡期か。それは朗報じゃの」

 会長が、修羅の食事を変える。
 なんで俺達会長と食事してるんだろう。ハンター試験はどうなった?
 そして人肉用意できるハンター協会ぱねぇ。

「ここに来た目的は、他のものと同じ天空闘技場の為かね?」

「いや、違う。それがあった方が何かと便利だと聞いたからな。ここへは観光できた」

「俺も観光だ」

「躯の護衛だ。後は念能力を覚えに」

「ゴンが見たい!」

「主人公ウォッチングに」

うぉ、修羅、仙水ストレートすぎ。

「そういえばハンターハンターという漫画を持っているそうじゃな。玄海から聞いておるよ。カンニングはいかんの」

「聞いてたんですか。」

「見せてくれんかの?」

「ええー……」

「み・せ・て・く・れ・ん・か・の?」

「喜んで!」

 つくづく、俺はへたれである。
 
「色々約束してほしい事があるんじゃがの。それさえ済めばハンターライセンスは渡しても構わんよ。どうせ妖怪がハンター試験に落ちるはずはないしの」

「えー。俺、ゴン見たいよー。ヒソカの代わりに試験管ごっこもしようかと思ったのにー」

「君もか。俺も試験管ごっこしようかと思っていた所なんだ」

「はっはっは。今度の参加者は一人も生き残れないな」

「だから一緒に試験をさせる事が出来ないんじゃよ。いくらなんでもS級妖怪と一緒は参加者が可哀想だからのぅ」

 ネテロ会長が書類を用意して、それを修羅が読んだ。すでにハンター文字を覚えているあたり、さすが黄泉の子供である。
 内容は食べる分以上の人殺しはしない事、出来れば人を殺さずに病院から死体を貰う事などが明記されている。
 それにサインをして、ハンターライセンスの手続きをする。
 まあ……楽してハンターになれたから、いい……のか?

「念能力を覚えたい」

「ついでだから案内しろ」

「はいはい、わかりましたから食べないでください」

 ゾルディック家でも見に行こうかね。
 



[20480] 5話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:48
「えー。こちらがゾルディック家でございます」

「ほほぅ」

「パパ―。扉開けてみて」

「はっはっは、いいだろう」

 余裕で全部の扉が開く。もうやだこの人達。

「パパすごーい」

「じゃあ、見るだけ見たし主人公を待っている間、念能力の講習しますか」

「はーい」

「ふむ」

「ほぉ」

「じゃあ俺が念で攻撃すると体から何か噴き出してくるんでー。血液のように体をめぐり、段々流れがゆっくりとなってたゆたうイメージをして下さい。反射的に反撃しないでくださいね。えいっとぉっやっほっ」

 四人とも非常に速い習得でございました。俺って本当才能ないと実感する。
 待っている間、俺は能力を色々試してみた。どうやら、異世界から本を持ってこれるらしい。
 遊びで魔導書―とかデスノートーとかやったら本当に出てしまった。
 しかもそれ見た瞬間的にこの能力の発動以外に念を使ったら死ぬって制約をつけちまったorz 俺はつけたくなかったんだよそんなもん! でも見たとたんそう思っちまったんだからしょーがねーだろ!
 そんなこんなでバスが来る。

「これがあの主人公達でございまーす」

「わー。思ったより小さーい」

「なな、なんだなんだ?」

 主人公達には訝しげな眼で見られたが、まあスルーする。修羅様が喜んでくれたのでそれでよしっ!

話は原作通りに進むかと思ったが、屋敷から執事が出てきてミルキの部屋に招待された。

「へー。飛影って実際に見るとこんな顔なのか。修羅が思ったよりも背が高いな」

 ミルキがキラキラした瞳で飛影を見る。
 
「ミルキ。修羅様、修羅様。元王子様ですし」

「いいよ、戸隠。ミルキ。友達になってやってもいいよ」

「本当か! 色々聞いていいか? 幽助や蔵馬、桑原の事も聞きたいと思ってたんだ」

「ちっ面倒な……」

「面白いじゃないか飛影。漫画のファンとはな。どうせ後数日しか滞在できないんだ」

「たった数日しかないのか。そうだよな、忙しいよな。じゃ、聞く事も絞らないと」

 ミルキは楽しそうに話す。黄泉様や躯様もまんざらではない感じだった。
 というよりミルキが意外と話し上手なのに驚いた。
 それでも、躯様と恋仲なのか聞いた時は肝が冷えた。
 躯様曰く、飛影しだいだそうです。
 黄泉様躯様ご一行は数日滞在して、旅団と写真撮って帰って行った。
 ちなみに俺は旅団が来ている間隠れていた。
 仙水は普通に会話してました。
 いや、大変だった。

『戸隠:……って事があってさぁ。俺が出来るのって精々この世界の未来の漫画の具現化だしー。それだって未来は既に大幅に変わってるんだしー。つくづく俺って役立たずだよなぁ』

『天沼:いや、そんな事はないよ』

『御手洗:そうだよ、立派な能力だと思うよ。今どこにいるの? 一人?』

『戸隠:仙水と一緒―。あ、仙水、樹と一緒にちょっと出てくるって』

「じゃあ君一人だね! 天沼達の能力は一通り貰ったけど、君とだけ連絡取れなくて困ってたんだ」

 シャルナーク!?
 こうして俺は捕獲されたのだった。くすん。
 天沼と御手洗は無事かね?
 
「恐ろしいな……。俺達の能力が網羅してある」

「人気の敵キャラですからー」

「誰に見せた?」

「霊能者組とネテロ会長」

「…………殺すか?」

「やめてー。まじやめてー。俺の能力使えるアルヨ」

「ほぅ?」

 俺は魔導書を具現化して見せる。
 クロロがそれを読むと、火の玉が宙に浮かんだ。

「確かにこれは面白いな。いいだろう」

「ええー。たまに本を見せるんじゃだめですか」

「駄目に決まっているだろう」
 
 デスノートの事がばれたらマジやばいんですが。
 
「でも念能力をこれ以外に使ったら死ぬって制約はまずいんじゃないですか?」

「それは面倒な制約だな。どうしてそんな制約を?」

「魔導書見たとたん勝手に制約ついちゃったんですよ。こんな貴重な本を呼べるならって」

「本当に強化系かお前」

「一応水見式ではそう出てますけど」

「まあいいだろう。しばらく滞在していけ。で、皆どの魔導書を使ってみたい?」

「拉致監禁コースですねわかります」

 釈放には大分時間が掛かりそうである。



[20480] 最終話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:49
 ヨークシンが始まる時期に仙水が引き取りに来てくれました。
 どうやったか知らないけど、仙水と旅団の交渉は無事成立。
 当たり前だけどヨークシンは幻影旅団大勝利でおわりました。
 その後バッテラ氏に会いに行ってバッテラ氏の持つ全てのスロットと引き換えに奥さんの治療と念のレクチャー。
 バッテラ氏にグリーンアイランドの若返りの薬を使わせた後は二人でグリーンアイランド観光旅行に旅立ちました。
 賞金は分配という事になったのでボマー事件は起こらなくなったよ!
 代わりに幻影旅団が暴れまわっているがな!
 ちなみに賞金の分配がされてグリーンアイランドからの引き上げが行われ、開いたスロットは樹が連れてきた妖怪たちに流れました。今あそこは無法地帯。
 ゴンとキルアが来たら入れてやるようにバッテラ氏に頼んでおいたから原作どおりに進みはするだろうけど、妖怪たちに食われないかが心配である。
 ちなみに修羅とミルキも一緒にグリーンアイランドに出かけている。

「というわけで、帰ってきました」

「心配したんだぞ、兄者。ハンター試験に行くといったきり何ヶ月もいなくなって……」

「この調子じゃライセンスも守れるかどうか心配だね、全く」

 戸愚呂と幻海に怒られる。そんな事言われましてもー。

「でもまあ、グリーンアイランドに行ってみるのもいいかもしれないね」

「妖怪がいっぱいいるなら、腕試しにも丁度いいだろう」

「いや~俺は多分向こうに行ったとたん死ぬからいいや」

「バッテラ氏に三人分融通が利くか電話した。構わないそうだ」

 あ~れ~。

「でも俺本出す以外のことに念使うと死ぬよ!」

「本当に使えないね戸隠は。いいよ、戸愚呂と二人で行ってくる」

「新婚旅行楽しんできてね」

 頬を赤らめた幻海に殴られた。
 念と霊能力を混同してしまう危険もあるので、霊視相談すらできない。
 本当に俺は役立たずになってしまいため息をつく。
 こうなったら今更だけど勉強して、資格でも取るかね。
 旅団に時々魔導書目当てで浚われる事を考えると、不定期で出来る仕事がいい。とすると、自分で何か商売を起こすほうがいいかもしれない。
 天空闘技場で負けたり勝ったりを繰り返したので、元手はある。
 そこで俺は考えた。
 異世界で言語が同じところの漫画本を丸写しして売ればいいじゃない。
 早速俺は漫画家兼小説家となり、日々を過ごすことにした。
 それから大分たった頃の事だろうか。
 キメラアント事件が起こった。
 ネテロ会長が十分に注意していたので発見は早期だったが、妖怪食ってて強くなってた。
 ネテロ会長は全ハンターの撤退を宣言、そして早期に幽遊白書組に連絡がなされ、妖怪や霊能者たちによる討伐が企画された。

「……で、なんで俺まで呼ばれるんだよ」

「おぬしも霊能者じゃろ」

「俺、制約つけたから無理だって。今の俺は単なる漫画家兼小説家なの!」

「ここにいるだけでもいいから大人しく召集されてくれんかの」

「俺らも招集されてるんすよ。能力取られたからって言ったんすけど」

 海藤達がため息をついて言う。。

「やあ、戸隠。また本を見せてくれないか」

「げ。クロロ。何でここに」

「俺も報酬付で呼ばれてね。魔界の宝石、瑠璃丸をもらう代わりに手伝いに来た」

「じゃあ、俺ら休憩所の要員にでもなりますか」

 躯様の盗聴蟲や魔界の便利なあちこち見渡せる水晶を用意し、俺達は団長や仙水や戸愚呂や幽助の活躍を見守った。ぶっちゃけアリ達にゲームなんぞ出来るとは思えないし、団長や幽助達の圧勝だろう。

「そこのお菓子とってー」

「ほい、戸隠」

「何か面白い漫画あるか?」

「これお勧め」

 戦いを見守り、まったりと過ごす。
 ぱりぱりとせんべいを食べ、事態を見守った。
 あ、団長が能力使う前に被弾した。
 キメラアントの中には妖怪のように普通の人間には見えないものもいるので、そこら辺は団長の分が悪い。
 団長が念能力を使ってこちらまで移動してくる。
 神谷がそれを治療した。神谷の能力は奪われてはいない。何故なら神谷の能力の病原虫は団長の目には見えず、使えないからだ。
 
「クロロ、ちょっと休憩していく?」
 
 のほほんとお茶を渡せば、ふ、と息をついてお茶を受け取った。

「ずいぶんと気楽だな?」

「待機組みですからー」

 あ、仙水がメルエムとエンカウントした。
 大体一日ほどすぎた所だろうか。
ええええええええ!? メルエムが勝ってるぅぅぅうううううう!!
 このままでは仙水が死んでしまう。
 仙水はずっと一緒に過ごしてきた俺の家族とも言うべき存在だ。俺はデスノートを取り出し、名前を書いた。
 メルエムが急に心臓を押さえ、倒れる。
 よっしゃ効いたぁ!
 沈黙が流れ、団長が素敵な笑顔で言った。

「戸隠。それ、何?」

 うふふふふふふふふふふふやっほぉ!
 俺は覚えている限りのキメラアントの名前を水晶の映像と照合しながら書く。
 最後に俺は自分の名前を書いた。
 だってさ、ほら。さすがに団長にデスノート渡すことではできないし、かといって俺は拷問に耐える自信なんてない。いや、そんな深く考えてなかった。
 混乱と恐怖のまま勢いで自分の名前書いちゃいました。
 心臓が痛い。

 俺は死んだ。で、霊体を捕獲された。
 
「で、何をやったんだ?」

 おしゃぶりをした小さい子供が俺を見上げて聞く。

「俺、なんでこんな所にいるんですか、コエンマ様」

「幻海に生き返らせてほしいと頼まれてな。事情聴取もしたいし」

「普通にあっちの世界の霊界に任せてくださいよ」

「現在交渉中だ。それに、向こうに行けば自殺の扱いになるからな。地獄行きだぞ」

 あっちの世界にも霊界があったのか。そして俺は地獄行きなのかorz

「あんまり酷い地獄じゃないといいなぁ」

「で、なにをやったんだ」

「なんで俺尋問されてるんすか」

「メルエムを普通の人間が倒した事が問題なのだ。そのような強力な魔導書があるなら霊界で預かりたいと思ってな」

「俺の円の範囲でしか出せないものを?」

「そこは戸隠ごと保存という事で」

「いやいやいや。本気?」

「親父は割りと」

 俺はため息をついた。

「このまま何も聞かずに地獄までエスコートしてください。いくらなんでもあんな危険なもの、言えないです」

「そうか、残念だ。じゃあ尋問係をつれてくるから」

「えー」

 なんて嫌なゲームオーバー。これが世に出たことでどうなっても俺は知らないぞ。
 どうすればよかったというのだろう。俺は悪くない。絶対恐らく多分きっと願わくば。
 そうして俺はぼちぼちと口を割るのだった。

 その後、勝負を邪魔したことを仙水に怒られたのは完全に蛇足。



[20480] 外伝 休日
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:e453b056
Date: 2010/07/20 18:50
「休暇? いいのか?」

「ああ、戸隠もあまり根を詰めては参ってしまうだろうし、戸愚呂と玄海の結婚式に出たいだろう?」

「ありがとう、コエンマ!」
 
 くぅ、毎日デスノート使わせるのは鬼だが、いいとこもあるではないか。
 俺は人形に入り、下界へと降りた。
 特防隊の護衛つきなのは、まあしょうがない……のか?

「戸隠! よく来たね。雷禅と合同結婚式をする事になったんだよ。ちょうど良かった。仕事の方はもう良いのかい?」

「エイエンニカイホウサレナソウデス」

「そうでもない。あの恐ろしい霊具については、魔界からも正式な抗議が来ている。もちろん戸隠を魔界に渡すわけにはいかないし、地獄行きで落着しそうだ」

「ヤッパリオレジゴクイキナンデスネ」

「ま、天国ってわけにゃいかないだろうさ。そうきつい地獄でもなさそうだから、安心しな。おっと、そろそろ着替えに行かないと。戸隠の席は用意してあるよ。じゃあ、あたしは行くよ」

「あっ玄海! おめでとう!」

 玄海の顔が赤くなる。おお、珍しい物が見れた。
 結婚式の玄海は綺麗だった。雷禅の妻であるお琴さんも綺麗だった。
 ドレスアップしたマチさん、バクノダさん、シズクさんも綺麗だった。
 …………なんで旅団がいるんだよぉぉぉぉぉぉ!!!
 クロロの視線が痛いです。本当にありがとうございました。
 俺は魂の抜けた顔で拍手する。
 結婚式がいつまでも終わりませんようにと祈ったが、世の中そんなにうまくはいかない。

「じゃあ、俺、人間界で暮らすから。元気でな、煙鬼」

 念押しするように笑顔で言った雷禅だが、お琴さんは言った。

「安心するがいい。私は幸い霊能力に恵まれて生まれたようだ。魔界の瘴気への適性もある。前世では雷禅が命を掛けて私に合わせてくれた。だから私も……」

「お琴……気持ちはありがたいが却下」

「じゃあ、お嫁さんの承諾も得た事だし、行こうか雷禅。何、護衛と住む場所は用意してある。喜んでくれ。大統領選の参加手続きもしておいた」

「待て煙鬼! 待てったら! 人間が妖怪相手に勝てるか! 煙鬼―!」

 俺はそっと涙を拭う。さらば、雷禅。君の事は忘れない。魔界で幸せに暮らしてくれ。

「じゃあ、行こうか。確かに死んで火葬されたはずなのになんで生きているのかとか、色々教えてもらおうか」

 当たり前のようにクロロは俺の肩に手を置いてきた。
 さらば、俺。って納得できるかぁぁぁぁ!

「クロロ、お察しの通り、俺、既に死んでるんだよな。だからもうすぐ成仏しないと」

「でも念は使えるんだろう?」

「あのな、クロロ……」

「念は使えるんだろう?」

「はい……」

 弱いぞ、俺。でも他に何が言えたというんだ。
 どうせ俺はへたれですよー。
 その時、大竹が動いた。

「待ってもらおう。戸隠は霊界の所有物だ」

事実だ。俺は備品として登録されてしまっている。酷いぞ霊界。

「へぇ?」

 クロロはノートを開いた。
 



 霊界特防隊、凄く……弱いです……。
 そりゃクロロは天沼達の能力を手に入れたけどさー。
 霊界の頂点としてもうちょい頑張ってほしかった。
 そして俺は、自分でこの体を抜け出す方法が分からない。
 それゆえ、舌噛まないように猿轡されて輸送されていた。
 
「で、なんで生きかえったんだ? ……魔道書にそんな物があるのか?」

 クロロの目が怖い。俺は霊界の事を筆談で説明した。っていうか、クロロも幽遊白書知っているだろ?
 
「ふむ、そうか……興味深いな。とりあえず、あの名前を書くだけで人を殺せる魔道書を出せ」

『無理。何に使うんだ』

「フェイタン」

 あーれー。


 もう嫌だ。俺のへたれさ加減に反吐が出る。
 俺は泣きじゃくっていた。

「よし。霊界に泥棒しに行ってみるか。霊体だけ起こしてみろ」

 どこまでアクティブなんですか団長。そりゃ、いくら無能な俺でも霊体だけ起こす事くらいなら出来るけどー。
 こうして旅団は留守番のコルトピを残して、霊界へと向かったのだった。
 どうでもいいけど、この人達って霊体になっても強いのね。
 念なんて半分意思の力と同じと考えりゃ霊体の力と同じなのか。
 何より、霊体で普段通りに動ける+浮遊が出来るって事が凄い。
 
「で、願いを叶えるとか言う鏡はどこだ」

「はいはい、そこを突き当って左ですよー」

 俺、絶対地獄行きだ……。
 特防隊のサイレンが鳴り響く。恐らくのされた大竹が帰って来たのだろう。
 デスノートの保持者が浚われたとの放送。

「ちょうどいい、お前、警備員にデスノート使ってみるね」

「名前が分からないと無理、以前に霊体にデスノートは使えないですよ、フェイタン」

「役立たずね……」

 ほっといて下さい。
 結局旅団は鏡だけを奪った。
 霊界特防隊が出て来て、鏡しか奪えなかったとも言うが、大収穫である。
 もう一度言おう。鏡だけを奪った。
 霊界特防隊が出て来て、鏡だけしか奪えなかった。
 つまり、俺は奪還されて、こうして正座で折檻されています……。

「戸愚呂の兄だからもう少し骨のある奴かと思ったが……脅されてホイホイと旅団を霊界に案内するなど……」

「そう言われても、俺の根性なんてあんたらにホイホイしたがってデスノート使っている時点で知れたもんじゃないですか」

「む……確かに言われてみればそうだな……」

「そこで納得しないでください」

「戸隠はこの世に存在すべきではないのかもしれんな……」

「おいそこ、念能力って言え、念能力と」

「よし! 地獄行きを進言してみる!」

「楽になって嬉しいような、地獄に行くのが嫌なような……。次の転生先はごく普通の人生を送れるといいなぁ」

 そこへ、鬼が走ってくる。

「コエンマ様―! またキメラアントが現れましたー!」

「名前を調べろ! 戸隠、喜べ。地獄行きは延期だ!」

「嬉しくない……」

 こうして、俺の休暇は終わったのだった。


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