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[37028] 琥珀色の記憶(0083 stardust memory×マブラヴ)
Name: きらりレスポール◆f40b2744 ID:7c27bde2
Date: 2013/03/19 23:09
はじめまして

きらりレスポールと申します。

就活終了して、風呂入って寝てご飯食べる以外のすべてをマブラヴに5日間注ぎ込んだ結果、大ハマりしてSSや設定資料集等を読み漁り、自分で書いてみたくなり投稿してみました。

処女作ですので拙い所もあると思いますが、寛大な心で読んでいただければありがたいです。

ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。



[37028] Dear my stardust
Name: きらりレスポール◆f40b2744 ID:7c27bde2
Date: 2013/03/19 23:14
この拙作はBETAを地球から駆逐し、宇宙への人類への進出を宇宙開発黎明期に成し遂げ、宇宙人類の父と母となったガトー夫妻に捧げるものである。

2098年
月面都市スペースヨークの自宅にて
アンデラ・ナッシュビル


第一話 My dear stardust


西暦1987年、アメリカ合衆国陸軍のアナベル・ガトー少佐は、マグダエル・ドグラムから出向中のニナ・パープルトンと共に新型戦術機用大気圏突入殻の試験中に事故は起きた。

スペースデブリ(宇宙ゴミ)との衝突事故である。

桜花作戦が成功するまでの西暦2001年以前は、人類は月に進出するも、BETAに地球に押し返されていた。しかし、それでもアポロ計画などにより地球軌道脱出の際に廃棄された衛星等のスペースデブリが無いわけではなかった。

当時は北アメリカ航空宇宙防衛司令部により、約10cm以上のスペースデブリの登録がなされていたが、幸か不幸かこの事故時に衝突事故したのは後日の検証で分かったのであるが、7mm程度のものだった。

このスペースデブリの衝突によりUSSTサンタ・モニカは操縦不能に陥った。記録のために随伴している同じ戦隊のHSSTヨセミテに回収されなかったら、そのまま地球にどこともしれぬ所に落ちていたところだろう。最悪、BETAの支配圏にだ。もっとも、そうなる前に傷ついたHSSTでは、大気圏の突入すら叶わなかったであろう。

何はともあれ、この事件以降二人は仲を進ませた。この新型再突入殻開発計画の責任者であるジョン・H・ウォーケン大佐は後にこう語っている。

「この事件が起きたあと、二人はまるでお互いの人格が変わったかのように、急に仲が進展しました。まるで元ガールフレンドのようにね」

この事件の半年後、二人はニナ・パープルトンの生地があるカルフォルニア州のサクラメントにて入籍する。

1987年
アメリカ合衆国カルフォルニア州
州都サクラメント
ニナ・パープルトン自宅

20代後半の金髪の男、アナベル・ガトーは食卓を挟んで、彼の婚約者ニナ・パープルトンと朝食をとっていた。

「ニナ、私たちはHSSTの事故のあと2日間倒れたが、君も思い出したのだろう……? 我々の宇宙世紀での日々を……」

ニナは静かに頷いた。彼女もまた、宇宙での強烈な事故により前世・または異世界の自分とでもいうのだろうか? その記憶を思い出したのだ。

宇宙世紀0083。デラーズ・フリートの一員であったアナベルガトーは観艦式のために地球連邦の戦力の過半を集結させた艦隊群に核弾頭を投下する星の屑作戦を決行。星の屑作戦第二段階である人類の一大食料生産拠点である北米大陸にコロニー落としを決行しこれに成功する。しかし、残存の連邦軍艦隊によって乗機のノイエ・ジール共々撃破される。彼のスペースノイドの独立への道はここで絶たれたのだ。

一方、星の屑作戦ののちニナはアクシズに拾われ、アクシズにて技術仕官としてアクシズに勤めることになる。アナベル・ガトーに目と鼻の先で戦死されショックを受けた彼女であったが、スペースノイドである彼女自身もアルビオンや月面都市フォンブラウンで地球連邦軍の腐敗を目の当たりにしたことも加わり、恋人の意識を継ごうと歩き出したのだった。

このことはガンダム開発計画において主要なポジションを占めていた彼女だけに、人的資源が不足するアクシズは渡りに船だった。アクシズに貴重な人的資源を遊ばせている余裕はない。ニナも食い扶持を稼ぐために必死だったのだ。作業用でしかなかったガザA・ガザBをガザCとして戦闘用に作り変える計画に加わったりした。

彼女はその後、アクシズで研究開発をしている時に第一次ネオ・ジオン抗争は終了。第二次ネオ・ジオン抗争に身を投げるも、捕らえられその余生を虜囚として過ごすこととなった。

ニナは先のアナベルの質問に答えた。

「私も思い出したわ。……思い出したくもないおぞましい日々。地球連邦は最悪だった……。スペースノイドに対する差別は根強い。特に刑務所はその際たるものだった。スペースノイドは自立を唄っていても、結局食糧や資源は地球に頼らないといけなくて……。重力に後ろ髪を惹かれるって、こういう事を言うんでしょうね」

ニナは自嘲まじりのため息をついた。虜囚生活の陰惨な記憶を思い出したのだ。刑務所の中にも格差は存在する。まず最初に、アースノイドなのかスペースノイドの違いから始まる。部屋の待遇とまではいかないが、刑務所内の社会構造がスペースノイドを底辺に追いやるのだ。

このことが、スペースノイドの独立、差別の排除へと彼女を晩年まで動かす信念となる。

「私はあなたと同じ思いよ、ガトー。何故、私の記憶が戻ってきたのか分からない。でも、来るべきスペースノイドへの自治独立のために今からやれることをやるしかないわ。そのためにはBETAを地球から駆逐せねばならない」

手伝ってくれる……ガトー?

彼女はそういうやいなやガトーに抱きすくめられた。



1988年

ニナ・パープルトンは周囲の反対を押し切り、マグダエル・ドグラムに辞表を提出。アナハイムエアロスペース社を設立する。

彼女の周囲は、どこに彼女が勝算を見出しているのか全く理解できなかったし、ニナから自信の程が伺える様子もなかった。

だが、その評価はニナ・パープルトンの立身伝に華を添えるものにしかならなかったのである。

彼女はまず、グリプス戦役以降にモビルスーツの標準装備となった、全周囲モニターを開発し、これを発売した。

全周囲モニターが全世界に導入されると、戦車級による被害が著しく減る大戦果を挙げた。なぜならば、以前までの戦術機の機体は人間と同様の視野角しか持っていなかったため、背後や足元から密かに忍び寄る戦車級には注意がいきづらかったのだ。

背後や足元への敵に対応するため、自動警戒システムが導入される。これは死角から接しつつある敵を前面に表示し警戒を促すうえに、音声もしくは視線入力装置により兵装担架を起動し脅威を排除できるというものだ。

この全周囲モニターはアナハイムエアロスペースの最初のドル箱商品となった。

商品自体の魅力に加えて、この商品がドル箱となったもう二つの理由が存在する。

一つ目に戦術機のコックピットは国際共通規格の塊である事が関係している。つまり、全世界の4000機以上の戦術機をアフターマーケットとして期待できるのだ。

二つ目に、改修費がかなり安価で簡便なことである。全周囲モニターを購入すると、カメラ12台(機種によって多少増減する)、プロジェクターとその配線類しかついてこない。作業時間も二人掛かりであれば一時間で終了してしまう。

予想通り、全周囲モニターは莫大な利益をあげた。また、純利益は戦術機のハードウェアメーカーにしては相当に利益率が高い。

何故か。

それは開発部門と特許に関連する法務部門以外の極端な圧縮、外注化にある。これは後年2000年代以降にアメリカの経営学会で発表されたコアコンピタンス戦略と言われるものである。これは自社が他社と比べて圧倒的な強みを持つサービス、技術、その他インフラストラクチャetcにおいて積極的な資源の投入を行い、不得意分野に関しては積極的に外注し資源の節約を図るという戦略である。

しかし、1980年代当時においては出来うる限り、自社で自社関連の部門を持とうというのが経営の流行であった。その根拠とされたのが、マージンである。他社に外注しマージンを取られコストが高くなるぐらいであれば、自社で部門を持つのが効率的であるとされた。

しかし、それは後年間違いだったとされる。良い例が運輸・運送部門である。マブラヴ世界でない2013年の我々の世界は今、運輸・運送部門が経営のフロンティアとされている。

商品の価値だけでは売ることが出来なくなりつつある現在、コスト削減の大きなターゲットとして運輸・運送部門が存在する。今までは物流は注目されていなかった。何故ならそんな事をしなくても商品が右肩上がりで売れていたからである。

しかし、20世紀末期に入り競争が激化すると商品が売れなくなった。しかし、企業とは営利団体である。利益を求め成長し続けなければ待っているのは倒産だ。

そこであらゆる効率化を企業は図った。その対象となったのが運送部門である。モノの流れを最適化することで資源を無駄にすることが無くすことを、21世紀の経営者は考えた。この最適化の事をロジスティクスといい、諸兄が見かけるであろう大型トラックに、「?ロジスティクス」と結構な頻度で書いてあるのはこのためである。



アメリカの巨頭、アナハイムエアロスペースはその黎明期を経営学の格好の研究材料、成功例として熱心に扱われ企業の成功例の一つとして扱われるのであった。


――――――――――――――――――――――――

こんにちは。きらりレスポールです。

どうでしたでしょうか? (個人的に面白いと思っている)stardust memoryとマブラヴを組み合わせたらもっともっと面白い話になるんじゃないかと、愚考した次第でございます。え? 誰もその組み合わせに魅力を感じない? ……すみません。

マブラヴ世界には何だか変なところに無駄が多い気がするんですよね。アンチとまではいきませんが、マブラヴにガンダム世界(宇宙世紀)から切り込みを入れていきたいと思っています。

ガトーとニナの組み合わせは賛否両論あるかと思います。……けど、コウとニナだとどうにもコウは子供っぽくて、コウの成長物語になってしまう気がしたんですよね。それもそれで面白そうですが……。

しかし自分は(あまり好きではないとはいえ)経営学をかじっている身なので、個人的には経営学的な話をしながら切り込んでいけたら面白いんじゃないかとちょっぴり思ってます。 自分も皆様と同様にSS大好きで13歳のときからSS読みふけってた記憶があります。……が、その中で一度たりとも経営学的な視点から企業を切っていくSSとか見たことないんですよね。広いインターネットの世界です。もしかしたらあるかもしれませんが……。

実力が無いので軸がぶれて迷走していくかもしれませんが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。



[37028] Planet hell
Name: きらりレスポール◆f40b2744 ID:7c27bde2
Date: 2013/05/03 23:37
会社において常にトップを悩ませるのは、会社を効率的に運用するための組織のあり方である。

会社に社風があり、それぞれの文化風土が違うように、組織構造のマネジメントにもそれぞれの会社の目的に合致した組織構造が、システムが選択される。

職能別組織(製品開発部や営業部、総務部等の職種よって別れた組織体系)、事業部制組織(プロジェクトごとに別れた組織体系)、タスクフォース(特定の業務を達成するために設立されるチーム。多くは複数の部門を超えた問題に対処するために編成される)等々色々ある。

BETA大戦が終結した21世紀後半において経営学は世界各地において加速を見せるのだが、多くの経営学者の研究対象となっているのはアメリカの巨人、アナハイムエレクトロニクス社である。

とある経営学者がアナハイムエレクトロニクス社に自身の研究のために取材に行ったそうだ。そこで引退され相談役として提言している元最高経営責任者、ニナ・パープルトンにこう尋ねた。

「御社の組織構造、社風についてお教え頂きたい」

すると、ニナ・パープルトン相談役はこう応えたそうだ。

「上下の関係なく、提言するのに互いに遠慮が無いのが我が社の社風です。そしてこの図で表現されているのは我が社の半分です」

この言葉を言ったあと、パープルトン相談役は会社の組織図を見せた。これを見た経営学者は面食らった。

「あ、網の目のような形をしていますね……」

それはまさしく網の目の形をしていた。経営学者とは言え言葉に詰まってしまうのは無理もない。これは後年マトリクス制組織と呼ばれる新しいタイプの組織体系なのだ。

白銀武の言う「元の世界」と比べ世界全体で経済的に成長が遅れているBETA大戦下の世界では、20世紀後半において登場しないのも無理からぬ事であった。



話を戻そう。



最高経営責任者の元に取締役や役員等の人員が置かれている所までは普通の会社組織である。

しかし、縦に事業部制組織、横に職能別組織がそれぞれ並べられその交わった点がそれぞれのプロジェクト単位を表していた。

それぞれがこの会社を支えるプロジェクトである。プロジェクトの大小はあるものの、プロジェクト自体に上下関係がないのも特徴であった。

役員を除いた社員に上下はなく、あるのはせいぜいプロジェクトリーダーぐらいのものである。


プロジェクトはまずインフォーマル(非公式)なチームとして、発案した人が社内の友人知人同僚を誘い有志を得て研究を開始する。

アナハイムエレクトロニクス(以下AE社と呼称する)はそれぞれ個人が予算を与えられて研究をしている。その予算をを研究に関する事であれば会社から掣肘されることはない。この予算をチームとして合算することも可能だ。工作機械や戦術機シミュレーター等の会社の機械、施設を使用することも可能だ。(この大きな予算を捻出しているのが極端な選択と集中、一話で述べたコアコンピタンス戦略によるものである)

そしてチームを結成し「これはプロジェクトとして売り上げが見込める!」とチームで判断した場合、企画書を提出しそれが会社に通ればプロジェクトとして認証される。

そして会社の成長目標値が、プロジェクトの大小をかんがみてそれぞれ割り振られ、プロジェクトとして成長を目指す。


この網の目のようにそれぞれ独立したプロジェクト群がアナハイムエレクトロニクスの社風、お互いが分け隔てなく何の遠慮もなく提案し、それを実行できる社風を支えている。

そしてニナが言った『この図で表現されているのは我が社の半分です』と言ったが、もう半分はインフォーマルチームのことなのだ。

AE社では常に次世代に向けたプロジェクトが蠢動し続けるのである。




琥珀の記憶 第二話




1989年、AE社に所属するアメリカ人のベンジャミン・コモタは、厳しい兵役を突破しアメリカ国籍を取得した兵士と、海外の国連軍将兵にアンケートを行っていた。

次の自分の研究プロジェクトとして何かネタを探していたのである。

そこで彼はふとした点に気づいた。

乱戦時における米軍の頼りなさが、同盟国各国から伝わってきたのである。

例えば以下のものがある。

これはとある英軍衛士への取材である。

「あれは1985年の西ドイツでのことだった。ハンブルグから撤退している途中でアメリカ軍の救援があったんだ。……しかし、どこも大規模な攻勢に見舞われててより多くの部隊を救援するには光線級狩りを行い、砲撃の効果を最大化する必要がある。加えて弾薬は不足して光線級がレーザーを出すより多くは砲弾も撃てない。

そこで固定武装があるトーネードを装備し接近戦にも慣れた我が隊を前衛としてF-14 トムキャットを配備した国連軍に出向中のアメリカ海兵隊が後衛について師団規模のBETA群に突入したんだが……」

電話越しに、嗚咽が響いてきた。湿っぽい声が聞こえてくる。墓標すら立てられない亡き戦友を思い出しているのだろうか。

「アメリカ軍はどうも乱戦になると打たれ弱いというか粘り弱いというか……BETA 群に突入した途端、やつらは落伍者を出し始めた。当然、脱落した後衛の支援を受けられない者からBETAの餌食になり、途中で22機だった部隊はあっと言う間に半分の11機になった。もうそんなんなったら任務なんて遂行できないから何とかほうほうの体で逃げ出したのさ……」



この原因はアメリカ軍のドクトリンにあると言っても過言ではない、と筆者は考える。諸兄らもご存知の通り、アメリカ軍は中距離砲戦を指向している。



『近接戦など危険な事をアメリカの若者にさせるぐらいなら、より多くの補給を敷く』というのがアメリカの戦略であり思想である。




ベトナム戦争の例を見れば明らかなように、アメリカ国民は常に戦死者数を気にしている。厭戦気分が蔓延れば、大統領ですらクビにできるのがアメリカ社会である。

アメリカの若者を死なせないために、オルタナティブ世界でない我々の世界のアメリカ軍は常に機械化を目指し、死傷者数を削減しようと技術革新を繰り返している。



話を戻そう。



いくらアメリカの銃後の生産力が圧倒的と言っても、必ずしも万全な補給を敷けれないことは対BETA戦争をみれば明らかである。

過剰な砲撃戦への自信と物量への自信がこのような自体を招いているとベンジャミンは結論づけた。



加えて、もう一つ面白い事例がある。



合衆国軍エースと他国のエースと比べてみたのだ。



他国のエースは近接戦が得意なエース、砲撃戦が得意なエースもしくはこの両方こなせるエース、戦術機操縦が上手なエースがいるのに対し、わが国は砲撃戦のエースと戦術機操縦が上手いエースしかいないのである。

これはどういうことか?



――わが国はドクトリンによって近接格闘のエースとという芽を潰しているのではないか?



これは由々しき問題だとベンジャミンは考える。戦闘にはそれぞれ適性があるのだ。だからそれがポジションという分け方に繋がり、有機的に隊が運用されて初めて成果が挙がるのだ。



そして近接格闘を回避したつもりが逆に軽視してきた事によってわが国は若者を戦場で死なせている可能性がある。



ベンジャミンはそう考えた。



では対策はどうするべきだろうか?



イタリア・ドイツの採用するトーネードのように近接戦用の固定武装を増やすべきか?

――否、固定武装は必ずしも攻撃範囲が大きくない上に、破損した場合機体バランスを崩しやすい。取り付いた戦車級の排除という面では評価できるがナイフで十分だという意見もある。




では中国やイギリスのように、槍や剣を装備させるべきか?

――否。剣や槍は熟練がいる兵器だ。難民出身が多い我が合衆国軍ではその習熟に差が出てしまう。加えて、中国軍のようなヘビートップの重量で叩き切るタイプは振り切った時に隙が大きすぎる。




ではインペリアルロイヤルガードのように重心が手元にあるカタナタイプの長刀にするか?

――否。あれはサムライの家系を引く家がケンドーなどのマーシャルアーツ(武道)に幼少から親しんでいるから装備できるのではないか?




では今のままナイフでいいのか?

――否。あれは素人目に見ても攻撃範囲が小さすぎる。BETAの格闘攻撃の範囲の更に内側に近づくなど狂気の沙汰だ。



ベンジャミンは悩んだ。それも三日三晩。食事をするとき、風呂に入っている時、愛しの愛娘と団欒のひとときを過ごしている時も考え続けた。



しかし、悩んだ末に結論が出ないので彼は気晴らしに趣味の釣りに出ることにした。



岬に立ち、ルアーを振りかぶる。そこで彼は気がついた。


「ルアーを振りかぶる」



この動作に確信する。遠心力によってものを加速させ敵にぶつける――これを利用できないか。



次々と発想が頭に浮かんでは消えて行く。フレイルだったり、メイスだったり、棍棒だったり。そして彼は釣り糸と先に結ばれているルアーを見て一つの結論にたどり着いた。



【爆発物を紐で回してなぐりつければいい】



彼はすぐさま取り掛かった。知り合いの同僚を呼び出し一人一人説得する。



結果、4人の人間が集まりブレインストーミングを開始した。



「できれば既存の兵器、爆弾とか砲弾とかを利用した兵器のが生産ラインが圧迫されずに済むし、結果的にコストも安くなる」


「小さく収納できるように小型化したほうがいい。使い捨ての近接兵器ならなおさら多くの武器を戦術機に積めなければならない」

「最低限、BETAの要撃級の衝角よりも攻撃範囲を長くしなければ若者の命を守れまい」

「紐を振り回すだけなら、対した熟練もいらない。しかし、爆弾には指向性を持たせより威力を強化したほうがいい」

「乱戦で振り回して味方に当たっても起爆しないように敵味方識別装置をつけるべきだ」

「より効果を高めるために吸着型にしたらどうだろう?」

…………
……


結論を出すのに丸一日費やし、CADで構造を実際に計算し、シミュレーター演習を経て、試作品を作ることとなった。




ベンジャミン達のインフォーマルチームにテストパイロットとして呼ばれ、プロジェクターに映る試作品を見たアナベル・ガトーは感嘆のため息を吐いた。



(ジオンの兵器をこの世界で見ることが出来ようとは……!)



全く別の方向からアプローチした武器ながらも、ジオンの残滓を感じさせるこの兵器に望郷の想いを感じていた。

宇宙世紀での記憶を思い出して僅か数年でしかないが、宇宙世紀で育った時間の方が長いのだ。望郷の念を感じない訳がない。

早速シミュレーターに登場し、その性能を確かめて見る。

まずは、取り回しの感覚を掴むために振り回した。

鋭い風切り音とともに紐が回る。試しにターゲットとして近くに出現した要撃級に叩きつけてみる。

紐に取り付けられた爆弾とともに要撃級が勢いよく地に伏せた。



「シミュレーターとは言え、威力はまぁまぁのようだが……これは先端から使って行くと、後方にある爆弾ばっかりが残っていくがそのあたりは考えているのか?」



「はい。前方の地雷を使うと自動で後方の地雷が前にシフトするようになってます。加えて、新兵でも扱いやすいように電磁伸縮炭素帯を使用しより取り回しに気を使い、乱戦時に味方に当たりそうになると自動で軌道を変えできる限り回避するようになっています。万が一誤打してしまった場合でも、起爆はしないようになってます」



「ふむ。それは便利だな。この武器ならば習熟もさほどいらないし、既存の対BETA地雷も流用できて安上がりに作れて経済的だ。何個ほど搭載できるのだ?」



「肩部に追加のウェポンラックを増設し、肩部の上部と前部に一個づつ搭載できるので最大4つです」

「4つか……。それぞれ一回振るった時に地雷2、3個を消費したとしてチェーンマインは13個つないであるから4回か5回振るえるのか。そうすると、一回の戦闘で16回か20回は振るえる計算になるのか」

ガトーは顎に手をあて考える。


長時間の戦闘には使い切ってしまうだろう。ナイフよりは段違いの近接戦闘武器だが、長時間戦闘するとしたら心もとない。しかし、他国の近接武器でも20回も切り結ぶと刃が劣化して自動的に武器として弾かれて使う事はおろか拾えなくなるのだ。そう考えると大差ないだろう。



加えて、他国が近接武器として装備しているのは多くがカーボン製だ。そしてカーボンというのは何より高い。



鋼ならば研ぎ直せば何度でも使えるが、カーボンというのは研ぎ直す事ができない。いわば使い捨てなのだ



その点、チェーンマインは既存の地雷の流用であるから他国の近接武器と比べて遥かに安価で経済的であると言えた。

「2つある背部兵装担架のうちの突撃銃の一つを外してこれを搭載した場合、そこには何個ほど積めそうだ?」

「まだ試作していませんが5つほどでしょう」

「それだけ積めるのなら長時間の戦闘も問題ないだろう」

「砲撃戦に支障が出そうですが……よろしいので?」

「そこはパイロットの好みだろう。現に他国軍では背部兵装担架に近接武器をつけてやりくりしている、他国にできて我が国にできないことはない。選択肢を増やすことが重要なのだ。

それにこのチェーンマインが普及すれば合衆国軍の近接戦闘のエースが出現する可能性が大幅に高まる。他国に乱戦時に打たれ弱い等と言われることもなくなるだろう。

我々はこの武器で合衆国の意識を変えてやるのだ。早速企画書を提出しよう」



それからはトントン拍子だった。


社内でプロジェクトとしての認可が降りるとガトーは元エースの技量を生かして異例の早さで問題点を洗い出し、アメリカ合衆国海軍、陸軍、海兵隊に提案。

振りまわすだけという簡便な仕様、既存の兵器を流用した安価なコストが受けて、新武装の採用としては異例に短い3ヶ月という早さで採用されることとなる。

加えて、採用された理由がもう一つある。



チェーンマインの対戦術機戦闘での優位性が確認されたのである。



______この経緯の話をするためにはラプターの開発経緯を話さねばならないだろう。

アメリカではF-15 イーグルの次期主力戦術機の選定を1983年に開始した。これには3つ重視されたことがある。

一つ目にG弾使用後の掃討。ただし、これは1987年のG弾起爆成功を受けて後付けされたものである。

2つ目に中東戦線での戦訓を重視し、超低高度での高速巡行が挙げられる。

砂漠が主戦場となった中東戦線では熟練衛士による匍匐飛行ですら光線級に撃ち落とされる事案が多発した。砂漠の丘陵より低く地面に限りなく近く飛行するか、かなり小型な戦術機の運用しか回避方法はないというのが当時の通説であった。

これと関連するのが3つ目の対人戦闘能力の重視である。

F-22A ラプターはBETA大戦後の対人戦、パックスアメリカーナを意識した機体である。限りなく低く飛行し地形を盾にしてレーダー照射による発見を回避し(もちろんステルス機能も重視している。だが戦術機は戦闘機と違い立体的なので戦闘機と比べると被照射面積が大きく完全なステルス化は難しい事をあげておく)、ファストルック・ファストキルを目指す機体であった。



しかしここで軍部から上がってきたのは、また別の意見である。



それがミサイル万能論であった。



ミサイル万能論は戦術機とミサイルの新しい運用思想である。

「射程の長いミサイルによって敵機を撃墜」し、それに伴い「戦術機はミサイルを運ぶためだけのものとなる」というのが要旨である。

ミサイル万能論者によると、ミサイルの進化により近接装備は必要なくなるとのことである。

長く続くBETA大戦により、現在ミサイルの攻撃能力は著しい高まりを見せている。BETA大戦後はミサイル戦になることは間違いない、というのが軍上層部の見解であった。

BETA大戦後には超大国であり、パックスアメリカーナを維持する我が国に矛先が向くのは必須。

かといって、戦闘機・爆撃機の運用のための光線級排除には数年から十数年の時間がかかるとも見積もられている。

なればBETA残存危険地帯での自衛ができるミサイル投射オプションとしての戦術機、もしくは高速で敵地に侵攻し占領できるプラットフォームとしての戦術機は必要であるがミサイルの高性能化により、戦術機同士での近接先頭は無くなるだろうというのがミサイル万能論の要旨である。

(ちなみに現時点で戦術機でのミサイルの回避は非常に難しい事を挙げておく。

Muv-Luv The day after episode 01 の序盤において、アメリカ軍対フランス軍の戦争において誘導弾が猛威を振るっていることから、それは明らかである。

だが、西暦2013年の我々の西暦世界ではベトナム戦争において「ミサイル万能論」は空論だと実戦で証明された。

機関砲がついてる格闘戦も重視した機体より、ミサイル主体で戦うように想定され運動性能もおざなりだった機体がよく撃墜されたのは余談である。

ちなみにBETA大戦が1950年代に起きたオルタネイティブ世界では、ベトナム戦争は起きていないので未だミサイル万能論が蔓延りつつある。人類同士の大規模戦争は第二次世界大戦以来起きていない)

しかし、士官学校にて戦史を学び、実際にモビルスーツと戦術機を駆ったガトーは否定した。

「結論から言おう。戦術機同士での近接戦は起こる。何故なら、今はミサイルが非常に優秀で協力な兵器に思えるが、必ず陳腐化するからだ。

例えばこれは過去の戦争史、古代ギリシアのファランクス等を見ても明らかだ。

数年後か、十数年後か分からないが必ず対抗策が出てくるだろう。現に我が社はBETA大戦後を見越して電子戦武装を開発中である。

その対抗策を含めてあらゆる状況に対応でき10年、もしくは20年は改良できる汎用性の高い戦術機を開発する必要がある、そのためのATSF計画だろう。あらゆるオプションに対応できる拡張性は用意しておくべきだ」

一呼吸おいてガトーは続けた。

「BETA大戦後は人類同士の抗争が起こるだろう。新戦術機の想定される環境はBETAが地球から追い出しきれていない状況だ。

当然合衆国に敵対する国は戦術機同士での戦闘が主になる。

わが国は戦力も豊富だが敵も必死だ。合衆国軍の得意な砲撃戦にわざわざ同じ舞台で勝負を挑んでこないだろう、近接戦に持ち込まんとするはずだ。

なれば、戦術機も近接戦も含めたあらゆる状況に対応できるオプション、拡張性が必要となる」



このようにして、ガトーは戦術機同士での近接戦と戦略オプション拡大のための周辺機器開発を視野に入れた機体開発を主張した。



元々合衆国軍の中でも、近接戦時の消耗立の高さは問題視されており、この主張にも一理あるとして、従来機と比べると少なくなるが新型機にもチェーンマインが搭載される事となった。




こうしてClose in weapon system-14 、俗称チェーンマインが世に羽ばたく事となる。



____そしてそれは、1997年の第一回元祖ブルーフラッグ計画とも言える対戦術機模擬戦闘試験「グローイングオリーブ計画」、2001年日本帝国で起きた12・5事件で花開いた。





2001年
12月26日 未明
日本帝国 静岡県
伊豆スカイライン跡地

「ハンター3持ちこたえろ、__私がカバーに入るっ!」

「頼みますっ!」

御剣冥夜少尉を使った交渉はハンター02の失敗によって水泡と帰した。

国連太平洋方面第11軍第207訓練小隊、日本帝国斯衛軍第19独立警備小隊、アメリカ合衆国陸軍第一軍団機甲会ハンター大隊は帝国軍クーデター部隊と戦端を開いた。

各地でケースレス弾独特の発砲音と跳躍ユニットの爆音が聞こえる。


斯衛軍、合衆国軍は最新鋭の建御雷、ラプターを駆っているといえど敵も精強。練度も高く、非常に士気も高い、そして何より数が多い。その数は30機。



対して国連、合衆国、インペリアルガードの戦力はわずか15機。そのうちの半数近い6機は訓練兵であり、機体も訓練機であった。



部の悪さに嘆く暇もなく、状況の移り変わりは激しいものであった。



ハンター大隊率いるウォーケン少佐は替え玉機であるシロガネ訓練兵搭乗機を逃がそうと指揮下の全部隊を指揮する。

ハンター03の援護をし、追尾してた敵を撃ち落すと、視界の片隅で敵の首魁狭霧がシロガネ機を追うのを捉えた瞬間、カバーに入った。

「傲慢なるアメリカ人よ! これ以上邪魔をするな!」

クーデター軍の首謀者、帝都守備隊第一機甲連隊狭霧大尉の「烈士」と銘打たれた不知火がF-22A ラプターに肉薄する。小刻みな噴射跳躍を巧みに入れ、フェイントを入れる事を忘れず、その軌道の先を読ませない。

対するウォーケン少佐は F-22A ラプターの大出力跳躍ユニットの推進力を活かし、強引に方向転換し肉薄を避けようとする。

しかし、機動格闘戦と空力をも利用した噴射跳躍が元々想定されてる不知火と、出力に任せたパワー任せの跳躍ユニット、中距離砲撃戦を志向したラプターは不知火に比べて格闘戦の重大要素である旋回速度に激しく劣っていた。

旋回速度に劣るラプターを操るウォーケンはアメリカ軍の優れた火器管制システムを使っても、中々照準に狭霧を入れることができず、戦闘の主導権を握ることができない。

ウォーケンの動きを翻弄した狭霧はこれを好機とみて、74式近接長刀を背後の背部ウェポンラックから抜刀。

抜刀の動作を捉えたウォーケンは牽制射を入れつつ、こちらも米軍標準の近接用装備、CIWs-14、通称チェーンマインを取り出し74式近接長刀よりも長い攻撃範囲を生かして振り回し、狭霧に格闘戦にギリギリ持ち込ませない。

迂闊にチェーンマインに触れると、爆発の余波を喰らう恐れがあるので近づけないのだ。それにチェーンマインは長刀の3倍近い間合いがあるので、踏み込むにはかなりの隙が必要であった。

さらにもっと言うなれば、互いの力量は互角であった。

アメリカ陸軍の最古の軍団であり、数々の激戦を戦い抜いた精鋭集まるアメリカ合衆国陸軍第一軍団の先鋒として派遣されてきたのがハンター大隊である。

その長である、アルフレッド・ウォーケン少佐が手練れでないはずがない。

狭霧は再び接近を試みるが、74式近接長刀よりも遥かに長い間合いを持つチェーンマインの前に阻まれる。

近接戦がだめならと、銃撃戦に持ち込もうとするも中距離砲撃戦を意識した突撃砲AMAS~21の装弾数の多さ、レーザー測距儀を利用した命中率の高さ、合衆国軍お得意の火器管制システム、ラプターの跳躍ユニットの出力の大きさに任せた機動砲撃戦の優位さを前に迂闊に遠距離戦で戦うことができない。

現に何発か狭霧の不知火に掠っており、その射撃能力高さたるや侮れるものではない。

加えて何度かウォーケンは、ラプターの跳躍ユニットの出力の大きさを盾に機動砲撃戦への持ち込みを図っており、圧倒的な出力差を前にしても不知火で十二分に食らいついている時点で狭霧の実力も相当なものである。

それから中距離砲撃戦未満、近接格闘戦以上の間合いの戦いが3分ほど続いた。



「ぐうっ! 毛唐のくせによくやる!」

「スペックでは優っているのにっ!」


未だにお互いに決定打を与えられていない。狭霧は食らいつくので精一杯、ウォーケンはチェーンマインとラプターの機体性能を利用して振り切ろうとするのに精一杯であった。

そこに月詠中尉の駆る武御雷が追い付いてきた。

「はぁああああああっ!」

女性らしい音の高い響きが戦場に鳴り渡る。

「くっ! 月詠中尉か!」

月詠の建御雷と狭霧の不知火が切り結んだ。その一瞬の停止を狙いウォーケンのAMWS-21が閃光を放つ。

それを見越していたのか、狭霧は絶えず跳躍ユニットを吹かし、回避する。
絶えず停止と加速を繰り返しフェイントを入れ、狭霧は回避と攻撃を器用に繰り返した。

「斯衛である貴様が何故貴様が米軍の片棒を担ぐような真似をする!」


「……っ!」


「貴様も他者に隷属することを良しとする日和見主義者か! 答えろ!」

狭霧はアメリカ合衆国を友に自分を討たんとする斯衛の姿勢に憤激していた。言葉の端々から怒気が滲み出ている。

月詠も感じるものがあるのか、無線を開き、敵の籠絡に耳を傾けるという愚を犯した。

「中尉! これは敵の無線を通じた我が方の意思をくじく敵の戦略だ! 敵との会話を禁ずる! オープンチャネルを切れ!」

「――っ、しかし……」

「いいから切れ! これは命令だ!」

しかし、ウォーケンはしゃべっていたら妙案が浮かんだのか、中尉に言い直した。


「――いや、ちょっと待て。そのまま敵の話を聞いていろ」

「……は、了解です」

月詠は怪訝な顔をした。現在は戦闘中で状況はめまぐるしく戦場は動いているというのに何だというのだろうか。

しかし、今は考える暇すらなく、目の前に集中しなければやられるだけだ。考え事を片手間にできるほど、狭霧の力量は決して低くはない。

月詠は意識を戦闘に引き戻した。





「ハンター3、聞こえるか?」

ウォーケンは麾下のハンター3に対し、秘匿回線で呼びかけ、暗号化された作戦指令書をデータリンクにて転送した。

「山地を迂回し、ラプターのステルス性を生かして敵の首謀者に奇襲攻撃を掛けろ。タイミングはそちらに任せる、以上だ」

「ーー了解」






ウォーケンは狭霧との戦闘に戻った。先ほどの戦闘とは違い、戦闘はウォーケン達の優位に推移している。

しかし即席のエレメントだからだろうか、押してはいても思うように攻めきれていない。

狭霧も二人の連携の噛み合っていないところを突き、二人を逆に討ち取ろうと攻められ肝を冷やすことが何度かあった。




それから数分、戦闘が続いた。月詠もウォーケンも、狭霧もお互いに攻撃を掠らせてはいるが、致命傷を与えられていない。

突撃砲が火を吹く。

カーボンで構成された巨人の刃が敵を斬り殺さんと、月光を受けて輝く。

跳躍ユニットの轟音が周囲の山肌に響き、こだまが聞こえる。轟音が重なり合い、ソナーが意味を成さない。

だからだろうか。

ーー狭霧は気づく事ができなかった。

新たな魔の手が彼に襲いかかる事に、時間にして0.1秒ほど

ーー気づくのに遅れてしまった。




狭霧は突如、カーボンが破断する音が聞こえたと思った瞬間

ーー彼の頭はコクピットブロックごとバラバラに吹き飛んだ。



ーー2001年、全世界を騒がせた日本のクーデターは、アメリカ軍の精鋭によって首謀者が打ち取られた事により終決への道筋を見せた。クーデター軍残党の徹底抗戦も危ぶまれたが、投稿し完全な終幕と相成る。




その影にはBETA大戦後のパックスアメリカーナを支えるF-22Aラプターと、この戦いで対人戦闘にも優れたことを証明したCIWs~19 チェーンマインがあった。

後年、ウォーケンはコロラドにある自宅にてかつての戦友とバーベキューをしているときに言った。

「俺はチェーンマインが無かったら、あのときクーデター軍にやられていただろう」と。

12・26事件はチェーンマインが、格闘戦を想定して作られた他国との戦術機とも十二分に戦えることを証明した。何より敵のエースパイロットの猛攻をそれで凌いだのだ。

今やウォーケンの操縦ログ、戦闘映像は全アメリカの衛士訓練学校で、教本として、視覚資料として手本とされている。

話を戻そう。

クーデター軍の鎮圧成功により圧倒的な軍事力を見せつけ、アメリカは極東での発言力を大幅に強化し、一応の成果を得た。



しかし、その一方で1998年西日本失陥時のアメリカ軍撤退を忘れられない日本国民は、強引なアメリカの押さえ込みに、さらなる反感を抱いた。

__ユーラシア封じ込め政策の一角がさらなる不安定化と引き換えに。





あとがき

コメント拝見しました。様々なご指摘、ご鞭撻、本当にありがとうございます。設定の甘さ等大変勉強させていただいております。。


設定資料集の件ですが、友人に貸したまま帰ってきません……。散々催促してるのですが、就活で忙しいらしく……なしのつぶてでございます。



今回はウォーケン少佐にスポットライトを当ててみました。


4回ほど12・5事件をプレイし直してみたのですが、どうにもウォーケンが撃墜された理由が近接武器が無いからにしか(私には)見えませんでした。(ナイフで長刀を受けるなんて現実的じゃないと私は考えます)

(演出の都合上かもしれませんが)ウォーケン機が狭霧に格闘戦で翻弄されているように見えました。

クーデターを期してわざわざ待機させておく部隊の部隊長です。私には実力のない人物を配置するとは思えません。ましてやアメリカは人口の多い国で、人材の層は厚いはずです。

加えて、通常の戦術機であるストライクイーグルが原作の12・5事件で登場しています。しかし、ウォーケンには新鋭機であるラプターが充てられています。

新鋭機というのは大体において練度の高い部隊、激戦区(が予想される地域)に当てられる部隊に優先的に充足されるのは歴史を見れば明らかです。

このため、ウォーケンは実は相当に練度の高い部隊の部隊長なのではないでしょうか。(激戦区~に関しては対BETA戦争においてラプターはコスパが悪すぎる&稼動数の問題からストライクイーグルも動かさざるをえなかったと解釈してます)

なので、狭霧に格闘戦で翻弄されたウォーケンに近接武器をもたせたらエライことになるんじゃないかと思って想像した次第です。


どうやってあとがきを終わらそうか考えてますが、まとまりそうにありませんw

拙作ですが、5話ぐらいを目標に完結を目指します。

今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。


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