「ここは・・・・・・?」
目を開ける。周りの景色が見える。
目覚めたところは何気ない部屋。
昔、はまっていたゲキガンガーのプラモがある。
学校へ行くための用具。
整頓されてない机。
そして、今自分が寝ているベッド。
寝ぼけていた頭が起きる。
「あれ・・・ここは・・・オレの部屋?」
「・・・・・・!!!!?目が見える!!」
「臭いも感じる!!触覚もある!!声も聞こえる!!」
「味覚は・・・・・・まだ分からんか。」
と、体の感触を確かめていたアキトだが、ふとあることに気付く。
「なぜこんなに天井が高いんだ?」
天井がとても高く感じられる。なぜ??と思いつつも目が覚めたので、洗面所に行くことにした。
「子供の頃の・・・・・・オレ?」
そう、アキトは子供の頃の体になっていた。
まだあまり伸びていない身長。大人になっても細身だった体。大きな黒い瞳。ぼさぼさの黒い髪。
「俺はまさか・・・子供の頃にジャンプしたのか・・・」
「・・・とりあえず顔でも洗うか。」
顔を洗ったあと、アキトは朝食をとっていた。
両親は仕事にいったらしくいないので、1人で食べていた。
朝食といっても食パンを二切れほどだが。
「味が・・・・・・わかるっ!!!?」
アキトは思わず泣いてしまった。
「味を感じない」
それがアキトをどんなに苦しめたか。
どんなに悲しんだか。
「味を感じる」という嬉しさをかみ締めながら、朝食を終えた。
しばらくして、玄関のチャイムが鳴った。
「ピンポーン。」
アキトは窓から誰が来たか見てみることにした。
「やはりあいつか・・・。」
と苦笑しながらため息をついた。
聞こえてくる玄関のチャイムとドアを叩く音を聞いて、「せっかく戻って来たんなら他の女性と恋したいな。」と思うアキトであった。