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[299] 『 I 』
Name: KIKI
Date: 2006/03/05 17:36
電波を受信しました。



[299] プロローグ
Name: KIKI
Date: 2006/03/06 22:57
「なんだよこれ……」

 アキトは混乱していた。死んだはずの父親から手紙が届いたからである。


『アキトへ
 こんな手紙が届いて驚いてるだろう?郵便局に父さんの友人がいてな、預かってもらったのだ。
 さて、お前がこの手紙を読んでるということは、私と母さんはこの世にいないのだろう。
 おそらく、事故か何かで死んだんだろうな私たちは………だがそれは事実ではない。
 なぜなら私たちは殺されたからだ。お前にとって驚く事ばかりだがその詳細をこの手紙に書く。      』


「殺された……」


『私が学者なのは知ってるな。実はネルガルである研究をしていた。
 ボソンジャンプと呼ばれる研究だ。分かりやすく言えば空間転移。詳しい事はもう一枚の手紙に書いておく。
 私はこの研究を全世界に公表しようと思っている。だが、ネルガルの役員連中はそれが気に入らないらしい。
 つい先日も遠まわしに「やめろ」と言われたよ。あいつらは自分の利益にしたいんだろうな……。
 ネルガルは裏で色々とやってる会社だ。このままだと私も母さんも暗殺されるだろう。
 ………いや、されてるのか。お前がこの手紙を読んでるのだからな。                  』


「………」


『本当に残念な結果になってしまったがお前に私の研究をわたす。
 それをどうするかはお前しだいだ。公表するなり、企業に売るなり好きにしろ。
 ただし、ネルガルに売るときは気をつけろ!父さんの二の舞にはなるなよ!!
 最後に15歳の誕生日おめでとう。お前には苦労かけてばかりだ。元気で暮らせ。
                                      父より         』


「なんなんだよこれーーー!!」

 アキトにとってショックが大きかった。手紙には両親の死の真相が書かれてあったのだ。青天の霹靂だろう。
 
「俺に研究を?どうしろってんだよ……」










あとがき(いいわけ)
 Q.これはなんですか?
 A.ナデシコの二次小説です。

 Q.ジャンルは?
 A.再構成。

 Q.『ナデシコ・パニック』は書かないのか?
 A.電波ガコナイ……

 Q.やる気はあるのか?
 A.ある………ペースは遅いが……

 Q.最後に言いたい事は?
 A.感想……というかネタください。



[299] 第1話-第一次火星会戦
Name: KIKI
Date: 2006/03/06 23:15










 それは、木星の向こう側からやってきた……。












 第一次火星会戦
 後にそう呼ばれるこの戦いに、俺は参加していた。

「こちら<オメガ7>。ミサイルが切れた。補給に戻る」
「了解。途中で喰われるなよブービー」

 隊長……いいかげんブービーはやめてください……。












西暦2195年
火星 ユートピアコロニー上空 第二機動艦隊 航空母艦「ヒリュウⅡ」


 親父の手紙を読んだ後、俺は考えた。
 必死になって考えた。
 無い知恵絞って考えた。
 義務教育を終わりかけてるただのガキに何ができるか…。

1.復讐
 無理。相手は企業、一個人で出来る訳がない。

2.研究を公表する
 良い案だとは思う………15歳のガキの話を学会とか報道が信じればね。

3.研究を売る
 何処に?クリムゾン?明日香?ていうか信じてくれる?

 ……親父は俺に何をさせたかったんだ?
 俺なんかに渡すより知り合いの学者に渡した方が良かったんじゃないか……。
 そして色々考えた挙げ句、出した結論は連合宇宙軍に入ることだった。

 まずネルガルに知られるのはまずい。
 だからネルガルから離れる必要があるのだが、ネルガルは様々な分野に進出してるため何処に行ってもネルガル印が付いて回る。
 八方塞がり、かと思えるがちょっと違う。
 なぜならネルガルは多くの分野に進出してる分、一つ一つの分野で1番取れてないんだよね。
 ほとんど2番手、3番手。広く浅くがモットーなのか?とにかくネルガルは大企業だが欠陥のある大企業なのだ。
 そして連合宇宙軍になるとさらに話は変わる。
 全体的には「機動兵器」が明日香インダクトリー、「バリア」がクリムゾングループ、「艦艇」がネルガル重工って感じで、三つの企業が均衡してた。
 ところがネルガルが火星開発に乗り出すと流れが変わってくる。
 始めは好意的な地球政府だったが、火星の利権のほとんどをネルガルが独占する事になった上に、ここ数年で火星の独立気運が高まった。
 その為、政府のネルガルを見る目が変わり、軍内部での発言力も低下したんだ。

 当時の俺は風の噂でこの事を知った。だから連合宇宙軍に入隊した。
 俺の夢はコックだけど“軍隊のコック”てのもいいかなと思ったしな。ところが…

「おやっさん!急いでくれ!!」

 俺は今パイロットをやってる。
 理由は簡単だ。

『IFS付けてたから』

 ユリカ……。
 恨むぞ………。
 マジで…………。

「終わったぞ軍曹。生きて帰ってこいよ」
「元よりそのつもりだ!」

 親父の手紙を読んで分かった事がある。それは、

「テンカワ・アキト!デルフィニウム出るぞ!!」

 俺が不幸の星の下に生まれたことだ。












火星 ユートピアコロニー上空


「遅えぞアキト!」
「<オメガ6>文句言わないの。<オメガ7>腹一杯にしてきた?」

 相変わらずこの二人はいいコンビだな。 

「肯定だ<オメガ2>」
「<オメガ1>から<オメガ7>。丁度我々も残弾が無くなったところだ。ここを一人で抑えられるか?」
「問題ない」

 ……なんて言ってみる。

「よし。<オメガ1>から各機へ。補給に戻るぞ」
「アキト。死ぬんじゃねえぞ」
「生きて帰ったら。なんか御馳走作ってね」
「お、おい!ホントに全員戻るのか!?」
「弾切れなんだからしょうがねえだろ」
「あんたもオメガチームの一員なんだから、何とかしなさい!」

 マジで皆戻りやがった!!
 さすがというかなんというか……。

 現在俺はヒリュウⅡの『オメガチーム』に所属している。
 『オメガチーム』って言うのは、一応「ヒリュウⅡ」のエース部隊だ。
 そんな部隊に俺が居るのっておかしいと思うのだが、隊長曰く「お前には才能がある」らしい。
 毎日毎日機動兵器のシュミレーションばかりだからめちゃくちゃ疲れる。
 だけどヒリュウⅡに配属されて良かったことがある。
 それは『提督』に会えたことだ。
 『提督』は週に一度、趣味の手料理を御馳走してくれる。
 ただの手料理じゃない。この人の作る料理はプロ並みなんだ。
 初めて口にした日、俺は失礼を承知で弟子入りしたよ。

「おっと!」

 『虫』の体当たりを回避すると補給したミサイルを放つ。
 これで通算13機撃墜。
 ……さりげなくエースじゃん、俺。

「まぁ、これだけいるからな……」

 『虫』はまだまだいる。
 いきなり火星に攻撃仕掛けてきた昆虫型機動兵器、通称『虫』。
 ユートピアコロニー上空で奇襲を仕掛けてきやがった。
 第二機動艦隊は錬度が高いから問題なかったけどね。

「第一艦隊も集結してるし、何とかなるかな?」

 そんな俺の甘い考えを一筋の閃光が吹き飛ばす。




















 その閃光の方角に振り向くと…




















 俺の瞳に写ったのは…




















 爆散するヒリュウⅡだった…




















「………えっ?」


 何が起きた……。


「<オメガ7>から<オメガ1>へ。隊長、何が起きたんです?」


 …………。


「<オメガ7>から<オメガ2>。マオ、何が起きた?」


 …………。


「<オメガ6>。クルツ聞こえてるだろ。冗談はやめろ」


 どんなに待っても、無線から聞こえるのは雑音だけだった。












「………………チクショウ………チクショウ!………チクショウ!!チクショウ!!チクショウ!!チクショォォォ!!!」


 俺は叫んだ。

 力の限り。

 声が枯れるまで。

 力の限り。

 ミサイルも撃ちまくった。

 無くなるのにも気づかずに。












「!!」

 衝撃が走る。
 どうやら体当たりをくらってしまったらしい。

「クソッ!」

 おかげで冷静さは戻った。
 しかし…

「がッ!!落ちるッ!!!」










あとがき(いいわけ)
 春休みってすばらしい

ちょっと補足
>『提督』
 スパロボに出てくる人を意識してみた。

>ネルガル重工
 アキトが中学生のときは、アカツキの親父が会長だった。
 そのため様々な分野に進出してる。
 アカツキが跡を継ぐとその方針は大きく変わることになる。



[299] 第2話-守るべき者
Name: KIKI
Date: 2006/03/06 23:17
ユートピアコロニー


「……クッ………!!」

 生きてる?
 生きてるな、俺。

「ああ……」

 最悪だ。
 仲間の死で周りが見えなくなってた。

「ここは………ユートピアコロニー」

 俺の生まれ故郷。
 こんな形で戻るとはね…

「………」

 これからどうしよう
 乗ってたデルフィニウムはブースターがひんまがってる。
 ………よく生きてたな、俺。
 修理できる軍施設は近くに無い。だから乗り換えもできない。
 空を見ると第一艦隊が集まってるのがわかる。
 第二機動艦隊は後退してるな、ヒリュウⅡが落ちたから当然か。

「……シェルターに行くか」

 俺はあいつらの敵を討てないのか…












火星上空 第一艦隊


「敵は真っ直ぐに火星に向かっています。大気圏突入後、予想到達地点は同南極」

「敵の目的が侵略である事は明白である。奴を火星へ下ろしてはならん!各班、射程に入ったら撃ちまくれ!!」












ユートピアコロニー シェルター内部


「はい」
「うわー!ありがと!」
「すいません」
「いえ、そんなことないです」

 来る途中でかっぱらってきた物だからね。
 変な目でみるなよ!食べ物を粗末にしたくなかったんだ!
 ダンボール一箱分のミカンが放置してあったんだぞ。普通気になるだろ?

「ありがとう、お兄ちゃん」
「うん」
「デートしよ!」

 ええ!?
 ああ、奥さんも笑わないでください。

「私ね、アイって言うの」

 アイちゃんか…

「かわいい名………!危ない!!!」

 轟音、壁が崩れる音。
 そして爆風が俺たちを襲った。

「「うわあぁぁぁ」」

 まずい!

「落ち着け!パニックにはッ!!」

 皆出口に殺到してる。聞いちゃいない!

「市民の安全を確保せよ!!」

 無理だ!兵士たちが持ってるマシンガンなんかじゃ通用しない!!
 俺は白兵戦の経験なんてないし……。
 畜生!どうする!?何か無いのかココには!!

「!!」

 あれだ!!

「奥さん!大丈夫ですか!!」
「は、はい」
「俺が奴を押さえます!その隙に!!」

 IFS対応の車に飛び乗るとアクセル全快で突っ込む。
 俺のデルフィニウムを壊した御返しだ!

「うああぁぁぁ!!!!」

 一匹の『虫』に突撃すると反対側の壁に押し付ける。
 これで時間が稼げるな。

「お兄ちゃん、スゴイ!スゴイ!」

 ありがとうアイちゃん。
 それにしても戦況はどうなってるんだ?
 第一艦隊はやられたのか?

「扉が開くぞ!!」

 無事に逃げてくれよ。
 しかし、俺の甘い考えを爆音が吹き飛ばす。
 デジャブ?

「………」

 恐る恐る振り向くとみんな倒れてる。
 向こう側には『虫』数体。

「嘘だろ……」

 みんな死んだ?
 嘘だ……誰か生きてるはずだ!

「!!」

 動く影がある。
 アイちゃん!

「お兄ちゃん!」
「アイちゃん!!」

 良かった。生きていてくれて。奥さんは?

「………」

 ………クソッ!

「お兄ちゃんママね、寝ちゃたんだよ」

 この子には母親の死が理解できてない。

「そ、そうだね」

 同じじゃないか……
 あの時とまったく同じだ……

「お兄ちゃん、変なのがくる」

 『虫』が!囲まれてる!何やってんだ俺は!!

「お兄ちゃん…」

 アイちゃんが不安そうに俺を見る。
 どうする?
 退路は断たれた。
 救出部隊も来ないだろう。
 万事休す

「いや、一つだけ……」

 俺は首から提げていたネックレスを手に持つ。

「これ何?」

 青く輝くクリスタル。チューリップクリスタル、略してCC。両親の形見。そして…

「ボソンジャンプの鍵」

 親父の手紙にはボソンジャンプのことが書かれてあった。
 大半は理解できない内容だったがそれが空間移動するものだってことは分かった。
 確か手紙には……












『初心者のためのBJ講座!

  用意するもの:チューリップクリスタル

  手順:CCを持って行きたい所を思い浮かべよう!後はCCが導いてくれるはず!

  注意:生き物を使った実験はまだしてません。余程の事が無い限り行わないでください。  』












「………」
「お兄ちゃんどうしたの?」
「なんでもないよ……」

 ……他に方法無いもんな。
 俺はCCのネックレスをアイちゃんの首にかけた。

「アイちゃん。俺のこと信じてくれる?」
「うん!」

 俺はどうなってもいい。この子だけは、アイちゃんだけは助ける!

「ありがとう」

 行きたい所、火星はダメだ。おそらく敵の手に落ちたと見ていい。
 となると地球か……。

「親父、信じてるぞ」

 そして、俺はまだ行ったことのない青い星を思い浮かべた。










あとがき(いいわけ)
 アキトは軍人になった。
 アキトはパニくらなくなった。
   ↓
 おかげでアイちゃんを見つけることができました。

今後の展開
1.アキトだけ地球へ   →原作
2.アイちゃんだけ地球へ →アキト古代の火星に!
3.二人とも地球へ    →イネスさん生まれず!地球大ピンチ!!
4.二人とも古代の火星へ →そして仲良く暮らしたとさ……



[299] 第3話-火星の言語はア○ベド語
Name: KIKI
Date: 2006/03/07 17:45


「………ちゃ…」

 ………ん?

「お……ちゃん!」

 アイ……ちゃん?

「お兄ちゃん!」
「アイちゃん!」

 無事だったんだ!
 てことはボソンジャンプに成功したんだな!!

「ケガはないよね?」
「うん!」

 良かった!本当に良かった!

「……ありがとう、親父」

 今日ほど感謝したい日はない。

「しかし……」

 ここは何処だ?部屋みたいだけど…。
 今、俺とアイちゃんは変な機械の上にいる。なんだこの機械?

「ねぇねぇ」

 どうしたんだアイちゃん
 ……人だ!人がいる!


















「ハンガセレェ!チョフマコフトカニガボ!!」


















「…………」

 ……何語ですか?

「お兄ちゃん。なんて言ってるの?」
「えーっと……」
「ヨエアナアネウっセソチシハンハンガ!!」
「…………………」

 分かりません。さっぱり分かりません。

「チミセンオアセレェ!!!」

 あ……怒ってるのはわかる。

「トヤネ、ゴヨアナチサ!?」

 なんか機械の操作をしてるみたいだ。

「お兄ちゃん……」
「だ、大丈夫!」

 …だと思う……思いたい。

「イナミ!?ギュフゾヤンメンラチガソ!!ホンハラチオイナミアナヨンハギガミシハンオモフガ!!!アンヨフシベコチサア!!?」

 質問かな?でも理解できないからな…。

「ギヨア?ソシアル、カテワニイサミガハ………モキ!トエダハンソアキセタウ!!」

 何をする気だ?

「フゾルハ!!ガミギョフズガ!ソンガメンデユダハダミアナトハギギアンサミシコゴヌヨソマベチンダ、ベチウガテヒアミギアンサミシコゴキセタウ!!」

 動くな!………って言ってるのかな?。

「ヨエベモキ!ヒソツヒャムヌウアナハシアトヨウアコキエンダ………ホオソチマヲウヘ!!」

 何故手を合わせる。

「ホエアナヨエムコっセテ。ヘンゼユガ!」

 なんだ!?

「アイにくれるの!?」

 ア、アイちゃん!そんな怪しげなもの!!

「お兄ちゃん貰っちゃった!」

 何だこれ!?
 板?プレート?

「モ~キ!ミルボ!!……ピヒっソハ!」

 ちょっと待て!今何を押し……












あとがき(いいわけ)
 リクエストで4番!
 でも、話が続かないので終了!
 これからアキトとアイは何処に行くのでしょうか?



[299] 第4話-幸か不幸か…
Name: KIKI
Date: 2006/03/12 10:55


『もう一度聞くぞ。どうやって火星から地球に帰還したのかね?』

「分かりません」

『質問を変えよう。火星会戦から今日まで、君は何所で何をしていた』

「記憶がありません」

『最後に覚えてるのは?』

「ユートピアコロニーの地下シェルターに居たことです」

『………』

『話になりませんな……』

『同感だ……』

『さて、君の処遇だが……』

「よろしいですかな?」

『なんだね?提督』

「彼の身柄を預かりたいのです」

『!!』

『ミスマル君!』

『君は査問会をなんだと思っているのだ』

『弁えたまえ』

「分かっております。しかし、皆様が納得するような措置を取りますので……」

『いいでしょう』

『参謀長!!』

『ここまで言うんだから大丈夫でしょう。提督の好きにしなさい』

「感謝します」


















こうして俺はミスマル・コウイチロウ中将の預かりとなった。


















西暦2196年
呉 連合宇宙軍極東本部


「休んで良いぞ」

 ミスマル提督の指示を聞いて『休め』の体勢になる。

「しばらくだな。アキト君」
「お久しぶりです。ミスマル提督」
「そう硬くなるな。昔みたいに『ミスマル叔父さん』と言ってくれてもいいのだよ」

 そんなこと言ってもな。

「上官ですから……」
「ならば命令だ!『ミスマル叔父さん』と呼びたまえ!」

 なんだそりゃ。

「わ、分かりましたミスマル叔父さん」
「うむ。それでいい」

 なんか調子狂うな。

「叔父さん。査問会ではありがとうございました」
「いいのだよ。君のお父さんとはいい友人だったし、それに君もユリカとよく遊んでくれた」

 遊んでたと言うより振り回されてただけなんですよね……。

 ミスマル・コウイチロウ中将。
 火星に居たときの元お隣さんだ。
 娘であるユリカとは子供の頃よく(叔父さんの言葉曰く)遊んだ。
 この人の家が地球に引越したその日に俺の両親はテロで死んでる。
 あまりのタイミングのよさにミスマル叔父さんが両親の死に関わっているのではないかと思ってたが、真実を知って勘違いだってのが分かった。反省してる。

「ところでアキト君」

 叔父さんは心配に俺を見る。

「本当に記憶がないのかね?」
「……はい」

 嘘だ……記憶はある。
 ユートピアコロニーからアイちゃんと共にボソンジャンプした事。
 言葉の通じない人と接触し、おかしなプレートを貰った事。
 そして、その人にボソンジャンプをさせられた事。
 覚えてる……しかしだ。

「前後の記憶がスッポリ抜けてて……」

 その後の記憶が曖昧なんだ。
 2回目のジャンプの時、俺はアイちゃんといた筈だ。これは確信を持って言える。
 問題はジャンプした後だ。ほとんど記憶にない。
 覚えているのは、何所か広い空間にいた事と白衣を着た金髪の女……。
 それからの記憶は月を眺めていたことだけ。たった一人でね……。

「気が付いたら佐世保にいました」
「私も君にかける言葉が見つからん。この10ヶ月間、君が何所で何をしていたのか……」

 しかも驚くべきは、俺は第一次火星会戦から10ヶ月後にジャンプした事だ。
 火星は既に敵の勢力下であり、月も2週間前に落ちたらしい。
 地球はビックバリアのおかげで何とか持ちこたえているのが現状だ。

「すみません」
「謝ることはない。君が嘘を付いてるとは思えんしな」

 叔父さんの言葉が胸に突き刺さる。
 本当にすみません……。

「さて、知人同士の話はここまでだ。君の処遇を伝える」
「ハッ!」
「テンカワ・アキト中尉……」

 中尉?

「……本日より連合軍兵士学校でのパイロット教官を命じる。何か質問は?」
「自分は軍曹なのですが……」
「貴官は第一次火星会戦において戦死、二階級特進により少尉となった。誤報だが今更変えられん。また、火星会戦において27機撃墜の功績よりさらに一階級上げることにした」
「……そういうものなのですか」
「そういうものなのだ。他には?」
「自分が教官というのは……」
「不服か?」
「いえ、力不足です」
「そんなことはない……」

 なんでも連戦連敗の連合宇宙軍はベテランパイロットが不足しており、第一次火星会戦を経験した俺は貴重なんだそうだ。

「質問は以上か?」
「……アイちゃんは見つかりましたか」
「君の言っていた少女のことだな」

 俺は軍に事情を話しアイちゃんを探索してもらうように頼んでいた。
 もしかしたら別の場所に跳んでるかもしれないからな。

「はいっ!」
「残念だが……」
「……そう……ですか」

 ……ヒリュウⅡ……オメガチームの皆……火星の人々……そしてアイちゃん。
 守るって誓ったのに俺は守れなかった。誰一人守れなかった……。












あとがき(いいわけ)
 結果的に4→1となりました。

>2.アイちゃんだけ地球へ
 考えたのですが、アイちゃん一人地球に放り出してどうする?と思いまして……

>3.二人とも地球へ
 これに関しては既にSSになってました。
 『IFC公式サイト~イネス先生の実験室~』のティーツーさんの作品です。
 私が書いてもこんな展開になるでしょう。アキトがアイちゃん放り出してナデシコに乗るとは思えないし……

>ア○ベド語
 意味はあります。翻訳してみてください。

>ヒロイン
 題名を、大きな声でゆっくり読んでみましょう。
 無謀なのは私もわかってますから(ただユリカも好きなんだよな~)

>エース部隊
 アキトが勝手にエース部隊と言ってるだけです。
 正確には空自の教導隊みたいなもの。

>アキト君の実力
 実力はTV版と劇場版の間。



[299] 第5話-それは運命なのか?
Name: KIKI
Date: 2006/03/14 17:39


「第一次火星会戦敗退から1年あまり。既に火星と月は完全に敵の制圧下。地球も時間の問題に過ぎない……」

「質問があります」

「なんだねゴート君」

「要するに、私に何をしろと?」

「スキャパレリプロジェクト、聞いたことがあるね」

「はぁ……」

「我々の中でも従軍経験がある君を推薦する者が多くてね」

「私を……?それは軍需計画なのですか」

「まぁ、それはともかく。今度の職場は女子が多いよ」

「はぁ?」

「で、ボーナスも出る……ひい、ふう、みいで……これ位」

「一つ聞いていいですか」

「なんだね」

「それって、税抜きですか?」












 月面。
 辺りは岩山。
 そんな所を、俺は敵機を追ってエステバリスを走らしてる。

「何所まで逃げるつもりだ?」

 敵機は計三機のはず。しかしモニターには一機しか写ってない。
 まず間違いなく囮だ。俺を誘い出そうとしてるんだろう。
 乗ってやってるけど……。

「どんな罠だ……」

 広い空間に出たな。
 しかし、敵機は逃げてるだけ。何も起きない……。

「……仕方がない」

 俺はエステを加速させると敵機との距離を縮めた。
 相手は予想してなかったようだ。反応が遅れてる。

「鬼ごっこはここまでだよ」

 加速しながらライフルで射撃。
 相手が怯んだところでそのまま体当たり。
 ディストーションフィールド(以下DF)を使った高速攻撃なのだが、これが結構使える。
 敵機は体当たりをくらって戦闘不能になった。
 しかしそれでも……。

「仕掛けてこないな。一体……!!」

 その時、120mm弾が自機を掠めた。

「狙撃か!?」

 レーダーを見ると左後方に敵機。こりゃ重機動フレームだな。

「なるほどね……」

 どうやら相手は一機を囮として使い誘い込んだところを狙撃する作戦をとったらしい。
 此方を油断させるとこも含めてなかなかの作戦だが、スナイパーに重機動フレームを使ったのは間違いだな。
 元々このフレームは地上を想定している物だ。火星ならともかく月では重力が小さい分扱いにくくなってしまう。
 先ほどの狙撃が外れたのもその所為だ。これが地上ならやられてたかもしれないけど。

「初弾で仕留めなかったのは大きなミスだな」

 俺は砲弾の来た方向に機体を走らせる。
 重機動フレームは、火力と装甲を重視している為、機動性、運動性に難がある。
 砲台として使う分にはいいが接近戦になればただの箱。
 しかし、そう簡単にはいかないようだ。

「なるほど……」

 残りの一機が出てきた。足止めか。

「こっちは0Gフレーム。相手も同じ」

 機体性能が互角の場合、勝敗を決めるのは搭乗者の技量だ。
 俺はナイフを装備すると速度を落とさずに突っ込む。相手はライフルを撃ってくるが、そんな物には怯まない。
 そんな姿を見て慌ててナイフを取り出そうとするが、俺はそのままの勢いで体当たりしコックピットにナイフを突き刺した。
 後はスナイパーだけ……って考えてたら撃ってくるし。

「おっと!」

 しかし、来る方向が分かれば避けるのは造作もない。
 スナイパーは近付けないように続けざまに砲弾を放つ。
 そんなに撃っても弾の無駄……あ~あ。案の定、弾切れ起こしてるし。

「チェックメイトだな」

 俺は止めを刺すべく近づいた……が。

『掛かりましたね』












西暦2196年 12月
連合軍兵士学校 シミュレーション室

「やった、やった。遂に教官に勝った!!」

 やられちゃったよ、俺。
 近距離から120mm弾を食らってしまった。
 弾切れだと思わせて一発残したとはね……。

「教官!約束、忘れてませんよね!」
「分かったよ。昼飯だな」

 実は俺が負けたら昼飯を作るという賭けをしていた。

「そうです。私たち三人分ですよ!」
「教官の料理をフルコースで味わえるなんて……」
「カナちゃん!よだれよだれ!!」

 ここにきて3ヶ月になる。
 来たときは大変だったけど今はだいぶ馴れた。

 火星会戦から約1年。
 俺が一番驚いたのはネルガルの台頭。
 なぜなら半年前に軍の主力にネルガル製のエステバリスに決まったからだ。
 操縦方式はIFSを採用。
 マルチフレーム方式にする事であらゆる作戦に対応でき、さらにDFと呼ばれるバリアで光学兵器を一切受けつけない。
 また、ジェネレータではなく重力波ビームにすることでコンパクトかつ高出力を出すことに成功している。
 機動兵器とバリア。二つの部門でネルガルは他企業を圧倒してしまった。
 おかげで軍内部のネルガルの発言力は増すことになる。俺が軍に入った理由が……。

 除隊しようとも思ったが、俺の立場は結構悪い。
 理由はもちろん、火星に居た筈の俺が地球に居る事だ。
 ボソンジャンプの事を話せば何とかなる、とも思ったが上記のこともあり断念。
 そんな訳で、俺が除隊なんてできるはずもない。

「なるようにしかならないか……」

 幸い教官という立場は目立たない。
 いざとなったらミスマル叔父さんがいる。
 このままならネルガルに見つかる事もないだろう。


















しかし、人生はそんなに甘くはなかった……。


















「私、プロスペクターと申します」

 何故だ……。

「今日は貴方のスカウトに来ました」

 何故なんだ……。

「第一次火星会戦での撃墜スコアが27機。なかなかの実力だ」

 何故ネルガルの人間が俺の目の前にいるんだ。

「褒めても何もでませんよ」
「これは失敬」

 メガネをかけたチョビヒゲの男。確かプロスペクターとか言ったな……本名か?

「スカウトって言いましたよね」
「そうだ」

 そう答えたのはもう一人の方。
 長身でがっしりした体格。絶対なんかやってるな……。

「なんでも貴方はコックとしての腕もあるとか。パイロット兼コックという形でどうです?他の方よりもお給料は弾み……」
「断る」

 ネルガルには関わりたくはない。

「そこを何とか」

 パイロットなんて他にもいるだろ。何で俺なんだ。

「自分は軍属です。そんな簡単には……」
「ああ、それなら大丈夫です。上の方には話をつけております」

 マジかよ!?

「そうそう!これをお渡しするのを忘れてました」

 何だ?……命令書!?


『テンカワ・アキト中尉。

  本日付でネルガル重工への出向を命じる。

                           ミスマル・コウイチロウ中将』


「………」

 命令かよ!?
 スカウトじゃなかったのか!!

「そんな訳でして……」
「よろしく頼む」












「ミスター」
「なんです」
「何故あの男をスカウトしたんだ?」
「パイロットは足りているのにも拘らず……ですか」
「ああ」
「……実は、あるお方からの要望でして」
「要望?」
「“連合宇宙軍所属のテンカワ・アキト中尉をナデシコに乗せること”それが自分が乗る条件だ。そう申されましてね」












あとがき(いいわけ)
 間違えて削除しちゃった……

Q.『あるお方』とは誰でしょう?
 1.ユリカ → 父親から話を聞いた
 2.ルリ → 逆行者
 3.リョーコ → 腕が立つ噂を聞きつけて
 4.エリナ → ネルガルが調べた
 5.イネス → 記憶が戻ってる
 6.その他



[299] 第6話-嬉しい再会と嬉しくない再会
Name: KIKI
Date: 2006/03/14 17:44


「どうですかテンカワさん!これがナデシコです!」

 いや、どうですかって言われてもな……。

「変な形ですね」
「……それは置いといて」

 置いとくなよ。

「こう見えてもナデシコは様々な機能の付属した最新鋭艦なんです」

 その割には航空力学無視してるよな……。












西暦2196年 12月
佐世保ドック ナデシコ


「ここがテンカワさんの部屋になります」

 へぇ、いい部屋じゃないか。

「ただ部屋数が足りませんので、もう一人のパイロットと相部屋になります」

 なんだ、そうなのか……。

「それからこれを……」
「これは?」
「コミュニケーター。ナデシコに乗る者に支給される通信機です。ここのボタンを押せば通信ウインドウを表示させることが出来ますので……どうぞ」
「ああ、どうも」

 腕時計式か。

「最後にこれをお願いします」

 名前が並んでるけど、なんだこの紙?

「ナデシコの乗員名簿です。一応確認のためテンカワさんの欄……ここに記入してください」
「はいはい」

 そんな俺にとんでもない名前が目に付いた。


『ミスマル・ユリカ』


「………」

 目を擦る。

「み、見間違いだ。もう一度……」


『ミスマル・ユリカ』


「………見間違いじゃない」
「テンカワさん。どうされたのです?」
「プ、プロスさん!この女性は俺の上司のミスマル提督の娘さんじゃないですよね?」
「いえ、貴方の仰るとおりですが……」

 何てことだ!
 不幸を呼ぶ女、ミスマル・ユリカがナデシコに乗るなんて!!悪夢だぁ~!!!

「おや、テンカワさんは艦長とお知り合いですか?」

 艦長!?あのユリカが艦長!!?

「プロスさん!今からでも遅くない!!考え直してください!!!」
「はぁ?」
「あの女はダメです!とにかくダメです!何がなんと言おうとダメなんです!!あの女の所為でどれだけ大変な目にあったか!!!」
「そう申されましても、彼女は連合大学の戦略シミュレーションで主席を取っておりまして……彼女以上の人物はおりません」

 ……終わった……何もかも……ん?待てよ。
 ユリカが艦長。
 ユリカの父親はミスマル提督
 ミスマル提督の部下は……俺……
 ま、まさか……

「あの、プロスさん。俺は何でネルガルにスカウトされたんです?」
「それはこの前に言ったじゃないですか。貴方は……」
「火星会戦からのベテランだって言いたいんだろ。でも今、軍はパイロットが不足してる。そんな状況下でベテランの俺を教官役から降ろすとは思えない」

 自慢じゃないけど、俺は地球の正規パイロットに勝てる。
 地球のパイロットは錬度が低いからだ。平和ボケしてるからか危機感がないのだろう。
 はっきり言って俺がいたヒリュウⅡの隊員の方が数段上だ。俺自身、そんな奴らの中で訓練したから分かる。

「ミスマル提督もそのことは知っていた。そんな提督が出向命令なんて出すはずがない」

 有るとすればただ一つ……それは『ユリカのお願い』だ!!
 あの人、自分の娘に甘いんだよな……。

「はぁ、仕方がありません。どうせ分かることですし……」

 やっぱりそうか!

「実はわが社としても、当初貴方をスカウトする予定はなかったのです。ただ、あるお方がナデシコへ乗る条件に貴方を指名し、ミスマル提督を説得されまして……」

 それがユリカか!裏切ったな提督!!
 ユリカに自分のことは話さないでくれとあんなに頼んだのに!!!

「そのお方というのがこの方でして……」

 言いながらプロスさんは名簿のある部分を指差す。
 そんな回りくどいことしないで口で…………。

「貴方も驚かれると思いますが……」
「何所にいる?」
「はぁ?」
「この人は今何所にいる!?」
「え、えーっと、たしかもう着いているはずです。今食堂にいるのでは……」

 その言葉を聴き、俺は全速力で食堂に走った。












「はぁ、はぁ……」

 何所だ!何所にいる!?

「なんだい。騒がしいね」

 この声……間違いない!!

「『提督』ッ!!!」

 厨房から顔を出したのは、ヒリュウⅡで戦死したと思っていたホウメイ・ゲレル提督であった。












あとがき(いいわけ)
 残念!
 正解はホウメイ・ゲレルでした!
 分からない人はググッてくれ!!

>何故だ!何故「シュミレーション」なんだ!「シミュレーション」だってばぁ~…。
 ごめんなさい……。



[299] 第7話-師匠!!
Name: KIKI
Date: 2006/03/19 12:51


「しばらくだね軍曹……いや、今は中尉だったか」
「お久しぶりです提督!」
「元気そうじゃないか」
「はい……」

 本物だ……足がある……ユーレイなんかじゃない!

「生きていたんですね!!」
「おかげ様でね」

 ――ホウメイ・ゲレル提督
 かつて火星常駐軍第二機動艦隊を率いていた人物。
 俗に言うエリート出身だがそれを鼻にかけずに、常に部下のことを考えてくれる。
 また、食通で料理の腕は、超一流で、この人の部屋は世界各地の調味料で埋め尽くされている。
 ヒリュウⅡでは週に一度、その腕を振るってくれた。
 軍人としてもコックとしても俺の尊敬できる人だ。

「ヒリュウⅡが爆散するのを見たので、自分はてっきり……」
「……」
「脱出に間に合ったんですね!良かった!」
「……」
「何でナデシコに?やっぱり提督としてですか!?」
「いや」
「じゃあ……アドバイザーか何かですか?」
「……料理長だ」

 ……へ?

「……テンカワ。あたしは軍を辞めたんだよ」

 俺はその言葉に耳を疑った。












西暦2195年 10月
第一次火星会戦 航空母艦ヒリュウⅡ ブリッジ


 あの時、あたしはあんた達の力を過信した。

「敵機動兵器接近!」

「迎撃を!!」

「ダメです!レーザーが弾かれます!!」

「電磁バリア出力低下!」

「提督、ここは一時後退すべきでは?」

「ウチは精鋭部隊だよ!」

 航空母艦ヒリュウⅡの搭乗員は軍内部でも一流が集まってた。

「それがこんな所で下がってどうすんだい!!」

 予想通りに、あんた達は敵機を落としていったよ。でもね……

「艦長!敵艦が主砲をっ!!!」

「……なっ!?」

「回避ぃぃぃ!!!!」


轟音


『……ッ……!!!!』

「被害報告!!」

「バリア出力10%に低下!」

「機関も限界です!」

「敵弾は……格納庫に直撃!」

「格納庫って……オメガチームが居たんじゃ……」

 あいつらが補給してる格納庫に敵弾を食らっちまうなんて想像してなかった。

「そんな!!」

「嘘でしょ……」

「……提督、脱出命令を!!」












西暦2196年 12月
佐世保ドック ナデシコ食堂


「あの時、カイオウ艦長が言ったとおりに後退してればと思ってね……悪戯に被害を出しちまった」
「そんな事はありません。あそこで第二機動艦隊が粘ったから多くの人を避難させることが出来たんです」
「でも結局ユートピアコロニーは全滅だ」

 それは……

「今考えると、軍人なんてのは嫌な奴の方がいいね……」

 そんなこと言わないでください……。

「あんたが生きていてくれたのがせめてもの救いだよ」
「すいません……提督の気持ちも考えずに自分は……」
「いいだよ。結局あたしは軍人に向いてなかっただけだ」
「そんな事ないです」
「おべっかはいいよ」
「……」
「そんな顔するな。これからあたしは料理人として第二の人生を歩むんだから」

 なんか、師匠無理してるな。

「ネルガルからここの食堂を頼むって言われてね。考えたけど、何時までも悩んでるのはあたしの性分じゃないからね」
「……分かりました提督」
「テンカワ。あたしはもう提督じゃないよ」

 そうだったな。

「では、師匠と呼ばさせてもらいます」
「うん。それからその言葉使いもどうにかしな」
「わ、分かりました……ああ!!」
「なんだい突然!?」
「あの、俺をこの艦に乗せるように言ったのは、提……師匠なんですよね?」

 師匠が生きてたことに驚いて忘れてた。

「プロスさんから聞いたのか……」
「何故俺なんです?」
「決まってんだろ」
「?」
「あんたは負け戦を経験してるからさ」












あとがき(いいわけ)
 今日はTVを見てムカついたのでちょっと短い。

誤字修正



[299] 第8話-本当に大丈夫なのか?
Name: KIKI
Date: 2006/03/18 23:33


 ホウメイ師匠曰く……




















 ナデシコの乗員の腕は超一流らしい……




















 性格に問題があるのを除いては……




















西暦2196年 12月
ナデシコ アキトの部屋


 パイロット兼オブザーバー兼コック。
 それが俺に与えられた役職だ。
 まあ仕事の半分は自分の好きなことができるし待遇面ではなんら問題はない。あるとすれば部隊の指揮を任されたことかな。

「一体どんな奴らが雇われたんだ」

 俺はプロスさんから貰ったナデシコの乗員名簿を開くと、まずはパイロットの経歴を見た。

『ヤマダ・ジロウ』
『スバル・リョーコ』
『アマノ・ヒカル』
『マキ・イズミ』

 4人とも軍出身。
 ネルガルがエステバリス開発のためにテストパイロットとして引き抜いている。
 技量が高く、エステバリスの搭乗経験が長いことも考慮されナデシコに乗ることになった。
 しかし、兵学校卒業後すぐにネルガルに行っているため、実戦経験はあるが簡単な作戦にしか参加してない。

「俺が何とかするしかないか……」

 次に艦長と副長。

『ミスマル・ユリカ』
『アオイ・ジュン』

 艦長のユリカは連合大学の戦略シミュレーションで無敗。
 副長のアオイ・ジュンもユリカ以外の人間には負け無し。
 確かに腕はいいみたいだけど……。

「実戦とシミュレーションは違うからな」

 シミュレーションでは人は死なない。でも、実戦では人は死ぬ。
 シミュレーションしか知らない人間は目の前で人が死んで初めて分かるんだ。火星での俺みたいにな。

「後の乗員がな……」

 殆どが民間人。
 もちろん戦闘経験なんぞ皆無。

「………」

 この資料を読めば読むほど不安になってくる。

「何なんだよ!通信士の前職が声優って!?」

 操舵手は元社長秘書、整備班長は違法改造屋……。
 この名簿を見たら誰でも不安になるだろう。軍に所属していれば尚更だ。

「……となると実質俺しかいないのか」

 実戦経験と実力を兼ね備えており、さらに負け戦を経験していて師匠が知ってる人物。
 師匠の交友関係は詳しく知らないが、少なくともヒリュウⅡの部隊に限って生き残ってるのは俺しかいない。
 推薦された時は頭に来たが、仕方がないか……割り切ろう。

「とりあえず乗員のことは置いといて……」

 これからのことを考えよう。
 俺は今、一番関わりたくなかったネルガルに関わっている。
 雇った時点で俺の経歴は調べられているだろう。
 そうなると俺の両親の事も分かるだろうし、俺があの日崩壊したユートピアコロニーにいた事も分かるはず。
 二つの事項からボソンジャンプという結論が出るのは時間の問題だ。
 もしその事を聞かれたらどうする?
 正直に話すのは却下だな。モルモットにされるか暗殺されるかのどちらかだ。

「黙ってるのが一番か……」

 命令が出ている以上、ナデシコを降りる事はできない。

「今はうまくやるしかないな」












あとがき(いいわけ)
 上の続き……。
 まさかメキシコが勝つとは思わんかったよ……。


ちょっとお聞きしたい
『スバル・リョーコ』
『アマノ・ヒカル』
『マキ・イズミ』
 この3人。ナデシコに乗る前、何をしていたか知ってます?
 ヤマダが軍人なのはエリナの台詞から分かるんだけど、この3人は分からない。
 勝手に元軍人にしちゃったけど、大丈夫かな……。


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