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[3127] サモンナイト3 ~はじまりの島に集いし者たち~はじめに
Name: 融機種◆cea3b98d ID:5a29c272
Date: 2008/05/29 00:19

はじめまして、融機種です。

この小説はサモンナイト3をベースに1~4までのキャラをまとめて出そうという感じの小説です。
オリ主視点で途中まではストーリーに沿って進めていくつもりです。
3ベースなので基本的に3のキャラはほとんどでてきますが他の作品からは一部のキャラしかでません。
でるキャラは以下のとおりです。

1・・・ナツミ、リプレ

2・・・トリス、ネスティ、アメル

3・・・アティとレックスは両方でます、生徒はウィルとアリーゼです。ナップとベルフラウは帝国軍兵士として
大人バージョンがでてきます。

4・・・ライ、ギアン

以上です、もし他に出して欲しいキャラがいれば教えて下さい。
出せるかどうか分かりませんががんばってみますので・・・

あと好きなカップリングを教えてもらえるとできる限りくっつくよう努力します。
今のところ考えているのが

レックス×アティ

ネスティ×トリス

ネスティ×アルディラ(友情)

ウィル×アリーゼ

の3通り+αです。
まだ決定はしてないので意見まってます。



[3127] サモンナイト3 ~はじまりの島に集いし者たち~1-1
Name: 融機種◆cea3b98d ID:5a29c272
Date: 2008/06/01 15:57

「おいっ、本当にこの船でいいんだろうな。」

「レクサス、君もしつこいなさっきから何度も確認しただろ、大丈夫だよ。」

「おまえの大丈夫は当てにならないんだよ。パスティスまで船一本のハズがなんでトレイユみたいな田舎に着いたりするんだよ。」

「じゃあもう一回誰かに確認すればいいんだろ。」

さっきから大丈夫と答えながらも僕はあせっていた。
帝国領のアドニス港がこんなにでかいとは思っていなかったから。
リィンバウムのなかじゃかなりでかい港だと思う。
まぁここらへんに来るのは久しぶりだし迷っても仕方ないよな?
迷ったとしてもちゃんと謝ればレクサスは赦してくれるし話を聞いてくれそうな人はいるかな?

辺りを見渡すがもう船の出発時間なのかほとんど人がいなかった。決していない訳ではないが明らかにボケた日向ぼっこ中の老人、
あまりの忙しさに殺気立つ船員、猫、かもめ・・・
都会の風はやっぱりこの世界でも冷たい。

途方にくれていると船の前で会話している赤い髪の女性と白髪のお婆さんがいる。

「あの、すいませんパスティス行きの船はこれでいいんでしょうか?」

近付いてみると今回仕事に失敗したらクビだみたいな話をしていたので話し掛けにくいが、
他の老人や船員に話掛けるよりはましだろうと思い恐るおそる話し掛けると、
お婆さんは怪訝そうな顔こちらをみただけだったが女性は優しく微笑んで答えてくれた。

「ええ、そうですよでもすぐでますから乗るなら急いだ方がいいですよ。」

そういって女性は船に乗り込んでいった。
優しそうな女性だったけどなんか落ち込んでたなやっぱり仕事がクビとかの話だったのかな?

「なにやってんだルーファス、早くしねぇと船が出ちまうぞ。」

先に船に乗り込んだレクサスの呼びかけに思考を中断する、昔恋人に他人のことにすぐクビを突っ込むのが悪い癖だといわれたが
悠久の時を過ごした今でも変わらないらしい。

「ごめんレクサス、すぐいくよ。」

昔を思い出し苦笑を浮かべボクも船に乗り込んでいく。



どんっ
船内に乗り込んで部屋に向かおうと廊下を曲がった拍子に線の細い黒髪の男性とぶつかってしまった。

「あっすみません大丈夫ですか?」

互いにそれほど速度をだしていた訳ではないので大した衝撃はなかったが礼儀として相手を気遣っておく。

「いえ大丈夫です、そちらこそ大丈夫でしたか?」

相手の男性もこちらを気遣い声をかけてくる。ぶつかった相手は優しそうな笑顔を浮かべているがなにか大きな悩みでも抱えているのか
瞳の奥に暗い灯りをともしている。
さらに病魔に取り憑かれているようなので祓うべきか考えているとその男性は立ち上がって

「すみませんが急いでいるのでこれで。」

といって去っていってしまった。
男性の姿を見送ってまた他人のことにクビを突っ込むとこだったと気づき少し反省して部屋にはいった。



「遅かったななんかあったのか?」

部屋に入るとまず目に入ってきたのは剣の手入れをしているレクサスの姿だった。

「うん、ちょっとぼーっとしてて人とぶつかちゃってね。その人病魔に取り憑かれてたんだけど急いでるみたいで祓う前にどっかいっちゃった
んだよね。」

ボクが答えるとレクサスはまたかとため息を吐いて説教を始める。

「あのなルーファス、お前の優しいところは確かに美点だけどな頼まれてもいない優しさはただの親切の押し売りだぞ。だいたいお前は・・」

(しまったなぁレクサスは見た目に反して細かいからなぁ)

細かいのではなく面倒見がいい性格なのだが説教を受ける側から見れば細かい性格に見えるのだろう。
そもそも見た目に反してといってはいるが、レクサスの見た目は真面目そうではないが細身で身長も高く優しそうな顔立ちをしているので、
むしろ普段の言動の方がよほど見た目に反している。

「ちゃんと聞いているのか?」

「ああうん聞いて・・」

ずどんっ
船になにかがぶつかったのかグラグラと船が揺れた。

「おいルーファス、この船海賊船に襲われているみたいだぞ。」

レクサスが窓から外を眺め状況を教えてくれる。
その言葉を聞いたときにはボクは部屋から飛び出していた。


「ええ、いきましょう。ウィルくん」

甲板にむかう途中の部屋から声が聞こえ船に乗る時に話した赤い髪の女性と男の子が出てきた。
女性は警戒するようにこちらに剣をむけ男の子は女性の後ろに隠れる様にこちらを見ている。

「あれ、あなたは・・・?」

女性はこちらの存在に気づいた様で声をかけてきた。

「すいません、今から海賊を退治してくるので部屋でおとなしくしていてくれませんか?」

女性に声をかけて走り出そうとすると女性が後ろから声をかけてきた。

「待って下さい、私もこの子の為に早く解決させたいんです。手伝わせて貰えませんか?」

「相手は海賊ですよ、危険ですから下がっていて下さい。」

「私はこう見えても元軍人です。」

女性はどうあってもひいてくれそうになさそうだ。

「分かりました、でも危険な事はしないで下さいね。」

「ありがとうございます、あっ私はアティっていいます、この子はウィルくんです。」

「ボクの名前はルーファスです。こっちのでかいのがボクの護衛獣でレクサスです。それじゃあさっさとかたしましょう。」

甲板にむかおうとするとレクサスがボクを呼び止める。

「待てルーファス。」

「なにレクサス?」

「お前は戦うな」

「なんでっ」

「子供の前でお前の戦いを見せる気か?そもそもお前は戦いが嫌いなのだろう?海
賊くらいオレだけでも十分だ。」

「っ分かった、レクサスに任せるよでも危なくなったらボクも動くよ」
「任せとけ。いくぞ」



甲板に出ると何人かの倒されて逃げ回っていた。
レクサスは甲板に出ると一気に海賊の下に向かい剣の腹で殴り飛ばした。

「ここはオレ達がなんとかする、あんたらは乗客の安否の確認してこい。」

船員達は慌てて船室の方へ逃げる様に駆けていった。

「ほぉ・・ようやっと骨のあるヤツが出たか、ずいぶんと勇ましい様だが言ったからには口だけで終わらないよなぁ」

「ウィルくん後ろに下がってて。」

「ルーファスお前は子守りでもやってろ」

レクサスはボクに指示をだすと海賊に向って剣を構える。

「御託はいいからさっさとかかってこい」

「ははっいいぜ気にいった。野郎どもやっちまいな」

「おおっ」

海賊達は号令とともに突っ込んでくる、レクサスは近いやつから剣の腹で次々ぶっ飛ばしていく。
アティさんはシャインセイバーという5本の武器を召喚して降らせる召喚術を使ってレクサスの横から向かってくる海賊を的確に足止めしている。
・・・予想以上の使い手だなアティさんって。
アティさんの援護もあって海賊達もあっという間に半分が片付いた。


「すごいっ・・・」

ウィルくんは二人の戦いに見入っている様だ。
確かにあの二人と海賊達とは役者が違い過ぎる。

「まだ、やりますか?」

「・・・下がってなテメラにはちぃと荷が勝ちすぎるぜ。そういうわけで今度は、俺が相手だ。」

海賊達の船長らしき男が一人、前に出てくる。

「素手かよ、面白えアティちょっと剣を預かっといてくれ。」

レクサスはアティに剣を渡し構えをとる。
・・・またレクサスの病気が始まった。ちょっと強そうな相手が出てくるとすぐ相手の得物に合わせるんだからなぁ

「その構えあんたも素人じゃねぇないいねぇ気にいった。俺は強いヤツとバチバチやるのが好きなんだよ。」

相手も同じ病気か・・・

「いくぜっ」

「おうっ」

気合とともに船長が正拳突きを放つがそれをレクサスは右に捌き一歩踏み込む船長は距離を詰めることで攻撃の威力を減らし体勢を入れ替えるレクサスはそのまま後ろ回し蹴りを放つが流され体勢を崩す。

船長はその隙を逃さず一気にたたみかける様に拳を連続で放つレクサスはかろうじてその拳を捌いているが体勢を整える隙がなく防戦一方だ。

レクサスは一撃を覚悟してカウンターの蹴りを放つ。
船長の拳の方が先に当たったが浅かった為蹴りが船長に当たる。

・・・しかし拳が当たっていたせいかこの蹴りも浅い。
二人の実力はほぼ互角で二人はその戦いに夢中になっていた。

さっきまで晴れていた周りの天気が急に嵐になっている事にも気付かないぐらいに。

その時嵐によって折れたマストがレクサスの方へ倒れてきた。
しかもレクサスは戦いに夢中でそれに気付いていない。

「召喚ソード」

ルーファスは手元に一本の剣を召喚してマストを全力で斬りつける。
マストは斬れはしなかったが方向を変えて海へと落ちた。
その瞬間船が大きく揺れた。

「うわぁ」

その揺れに幼いウィルくんは耐え切れず海に投げ出されてしまった。

「ウィルくんっ」
「ウィルくん!?」

その声に反応したルーファスとアティは同時に海に飛び込んだ。

「バカやろうっ」

それを追ってレクサスも飛び込む。




・・・辺り一帯を探したがウィルくんもアティさんも見つからない。この嵐の中一時間以上泳いだせいか意識が途切れて・・い・・・く・・・



[3127] サモンナイト3 ~はじまりの島に集いし者たち~1-2
Name: 融機種◆cea3b98d ID:5a29c272
Date: 2008/06/01 15:42
···身体中が痛い。
痛みを感じるということは一応生きているらしい。
目を開けようとすると激痛が奔った。
···どうやら一時的に麻痺しているらしい。

ならまずは、自分の状態を確認すべきだ。
腕は···指先が辛うじて動かせる程度か、
なら足は···だめだ、力を入れる事すらできそうにない。

「えっと、大丈夫ですか?」

急に声をかけられ、多少回復してきた目を開けると長いマフラーと赤い髪がかろうじて見えてきた。
アティさん?

···駄目だ、まだ視界がはっきりとしない。

「あの先生、その人大丈夫なんですか?」

女の子の声?それにアティさんの声もやけに低かったような···?

「アリーゼ、ちょっと下がってて。」

赤い髪の誰かが近くに立って呪文を唱え始める。
···回復の召喚獣でも呼ぶつもりなんだろう。
そんなものボクには意味無いのに···

「召喚リプシー」

身体が一瞬光に包まれたが、すぐにその光は消えてしまった。

「···送還された?いったいなにが···」

赤い髪の誰かは自分の召喚術が失敗したことに動揺しているみたいだ。
ボクにとっては当然の結果なのだがな···
さて大分回復してきたかな?
身体の痛みが我慢できる程度に回復したのを確認してゆっくりと目を開け手足に力をこめて立ち上がる。

目の前には長いマフラーと赤い髪が特徴的なアティさんとにた雰囲気の男性と
ウィルくんと同じ歳くらいのツインテールのおとなしそうな少女が立っていた。


「どうもありがとうございます。ボクは回復が効きにくい体質なので驚かせてすみません」

助けてくれようとした男性に感謝と謝罪の言葉をかける。

「えっでも効きにくいって送還された···いやこちらこそ大した役に立てず申し訳ないです」

混乱しながらもちゃんと返事をしてくるなんてこの人いい人だな。



「あのところでここって何処でしょうか?嵐で船から投げ出されてここに流れ着いたみたいなんですけど」

「えっあなたもなんですか?俺もなんですよ。さっき気が付いたばかりで···」

申し訳なさそうにうつむいてしまった。困ったな。

「そうなんですか?ボクはパスティスへ行く途中で海賊に襲われてしまって、そのまま嵐に巻き込まれてしまったんですよ」

「という事は同じ船に乗っていたんですね」

「たぶんそうなんですね。ところで一緒にここが何処なのか近くをしらべてみませんか?」

「ここにいるよりいいとおもいますけど・・・」

「そういえば自己紹介がまだでしたね。ボクはルーファスといいます、あと敬語はいらないですよ」

「えっとじゃあ俺はレックスです。この子はアリーゼで家庭教師と教え子の関係です。あとこっちも敬語はいらない」

「すいませんボクはこれが普通なんでこのままでお願いします」

「ああ、分かった。よろしくなルーファス」

「はいよろしくお願いします。アリーゼちゃんもよろしくですね」

そういってアリーゼちゃんに笑いかけるとアリーゼちゃんはレックスさんの後ろにかくれてしまった。

「すまないルーファスこの子は人見知りが強いんだ。ほらアリーゼ挨拶して」

「はっはい、アリーゼですよろしくお願いします。」

レックスさんに促されアリーゼちゃんは顔だけだして挨拶をした。

「ああ、そうなんですか。気にしないでいいですよ。嫌われてしまったかと思って
しまいましたよ。」

アリーゼちゃんは恥ずかしそうに顔を俯かせてしまっている。
なんか可愛いなぁ。

「もしかしてルーファスってロリコンなのか?アリーゼはやらないぞ」

ボクがアリーゼちゃんを見て微笑んでいるのを見てレックスさんが警戒した目でボクにらむ。

···別にそういう趣味はないけど、レックスさんって子煩悩だなぁ。将来いいパパになるかも。

「安心してもらっていいですよ。ボクには婚約者がいますしその人を愛してますから」

レックスさんは驚いた顔でこっちを見て尋ねてきた。

「ルーファスっていま何歳?」

困ったな、正確に答えるわけにもいかないし曖昧に答えておくか。

「レックスさんよりは大分年上ですよ。それよりも向こうの方に煙が見えますし、人がいるかもしれませんしいってみましょう」

「あ、ああそうだな」

レックスさんはどこか納得がいかないようだったが、反論が思いつかなかったのかそのままボクの言葉に同意してくれた。




[3127] サモンナイト3 ~はじまりの島に集いし者たち~1-3
Name: 融機種◆cea3b98d ID:6d6f8d95
Date: 2008/07/08 21:54
煙の上っている方へ向かっている間中レックスさんの視線がずっとボクに向けられていた。

・・・はぁ、完全に怪しまれていますねぇ。
いったいなにを怪しまれているんでしょうか?

「なぁ、婚約者って今いくつなんだ?」

レックスさんが決意を固めたように一回頷くとこちらに向かって話しかけてきた。
ってまだロリコン扱いなんですか?


・・・レックスさんの質問に曖昧に答えながら歩いていくと焚き火をしている3人の人影が見えてきた。


3人の内の一人がこちらに気付いたみたいで手を振っている。
アレはアティさん?

「アティさんもこの海岸に着いていたんですね」

アティさんに話しかけてみたがアティさんはボクの後ろを見て固まっていた。
なにかあったんだろうか?
そう思い後ろを振り向くとレックスさんも同じ様に固まっていた。
・・・もしかして知り合いなんだろうか?

「レックス」
「アティ」

疑問におもっていると二人は互いに唐突に声をあげた。
しかもその声に気付いたウィルくんとアリーゼちゃんもお互いを指差しながら固まっていた。
もしかしなくても二人も知り合いなんだろうなぁ。
世間ってせまいなぁ、

・・・いやたぶんここで出会うように世界によって仕組まれていたんだろう。


・・
・・・
とりあえず立ち話もなんなんで食事をしながらみんなの話を聞いてみたが、
アティさんとレックスさんは軍学校で同級生らしい。

ちなみにレックスさんが首席卒業でアティさんが次席卒業らしいが在学中はお互いに首席を取り合っていたらしいから実力はほとんど変わらないみたいだ。

ただ得意分野が違うみたいでレックスさんは剣術が得意でアティさんは召喚術が得意らしい。

もちろん首席と次席だけあって苦手分野も平均以上にできるらしいが実践じゃ得意分野を生かした方がいいだろうから使う機会はまずないだろう。


ウィルくんとアリーゼちゃんは従兄妹同士らしい。
ただウィルくんは正式な跡取りとして軍学校に入学するためにパスティスに向かっていたのだが、

アリーゼちゃんは歳の離れた兄と姉がいるためパスティスの名家へ嫁ぎにいくために同じ船に乗っていたらしい。


・・・余談だがアリーゼちゃんが嫁ぐと知ってウィルくんの機嫌が悪くなっていた。
ウィルくんって結構なシスコンだったんだなぁ。
・・・従兄妹でもシスコンでいいんでしょうか?



「あの、ルーファスさん、さっきからレクサスさんの姿が見えないんですけど、どこにいったんですか?」

みんなで釣った魚を食べ終えて、みんなで談笑しているとアティさんが食事を先に済まして森の方へはいっていったレクサスについて尋ねてきた。
まぁレクサスにはボクが頼んだんだけど・・・

「さぁ?いったいどこにいったんでしょうか?」

とりあえずとぼけてみた。

「おいおい」

とぼけたボクに対して戻ってきたレクサスが呆れたように声をあげた。

「ルーファスお前なぁ、そうやって自分の行為を自慢しないのは立派だがオレの働きまで無碍にするのはどうかと思うぞ」

・・・また小言が始まった。
とりあえず話題を変えよう。

「で、出来たんですか?」

わざと主語を抜いてレクサスに話しかける。
レクサスはなにも言わず無言で頷く。

「アティさん、レックスさん、ウィルくん、アリーゼちゃん、レクサスが雨風をしのげる簡単な小屋を作ってくれたんでそこで今夜は眠りましょう。潮風は身体に悪いですから」

4人共少し肌寒さを感じていたので全員が少し戸惑いながらもルーファスに導かれる様に浜辺から少し離れた小屋についていった。



そこには木で造った骨組みに葉っぱや枝を被せただけの簡単な小屋があった。
簡単とはいえ大きさは6人が寝るには十分な大きさがあり、とても普通の人間が数時間で造れる様なものではないが・・・

「皆さんは先に休んでいて下さい。ボクとレクサスで少し見廻ってきますから」

アティさんたちは自分たちも見廻りに参加するといっていたが、レクサスと話したいことがあったので丁重にお断りしておいた。



・・・小屋から離れてアティさんたちの姿が完全に見えなくなった頃レクサスが声をかけてきた。

「なぁルーファス、お前から感じる魔力が普段の一割程度しか感じないんだがどうなってるんだ?」

・・・やっぱりレクサスは気付いてたか。

「この島に流れついたときからこうなんだけど、心当たりが何もないんだ」

これはウソだ。
この島の中にボクの魔力の気配を感じているしその内の一つはどこにあるのかもわかっている。
だけどもしそれを伝えたらレクサスはきっと・・・

「なるほどな、だがオレはお前の意見を優先するといっているだろう」

・・・やられた、レクサスは最初から気付いていたみたいだ。

「それよりルーファス、さっきお前は島といっていたが、ここは島なのか?」

「ああ、海に飛び込んだ後アティさんたちを探しているときに遠くに島が見えたんだけど、たぶんその島だと思う。他に陸地はなかったしそんな長距離流されたならボクたちはともかくウィルくんたちが無事で済む筈がないから・・っ」



・・・さっきからはぐれ召喚獣の気配を感じていたけど急に数が増えてこちらを囲んできた。
そしてその内の2匹がボクに飛び掛ってきた。

「召喚ツインエッジ」

ガッ、ドスッ

両手にそれぞれ剣を呼び出して右手の剣を逆手に持ち替え先に飛びかかってきた方の獣の横っ腹に突き刺し後から飛びかかってきた方に左手の剣
で咽を貫いた。

ズシャッ

右手に激痛が奔る。
先に殺したと思った獣がまだ絶命しておらず右手を喰いちぎったのだ。
無事な左手でもう一度獣を突き刺し完全に殺す。
こいつらただの雑魚じゃない。

先程喰いちぎられた右手の手首からは血が流れ続けているし、
まだ十匹以上いる獣たちを左手一本で戦うのはかなり無理がある。

・・・魔力はあんまり使いたくなかったんだけどそうもいってられないか。

「召喚シャインセイバー・オーバーマジック」

通常5本の筈のシャインセイバーを魔力を余分に送ることにより20本の剣をまとめて召喚する

「セット・リング」

その剣がボクの声に反応するように空中で輪をつくる。

「バージョンコメット」

そのまま空中から高速で落下して獣たちを貫いて地面に磔にする。

獣たちの絶命するのを確認して地面にひざをつく。
・・・まずいなぁちょっと血を流し過ぎたみたいだ。
立ってるだけで意識がとびそうだ。



「ぐるるるるるぅ」

そんなっ
全滅したと思っていたのに獣たちは先程倒した倍以上の数でこちらを囲んでいた。
もうダメか・・・

ズバッ
その瞬間膨大な魔力を纏った白髪の剣士が現れ獣の一匹を斬首した。
獣たちはその存在を恐れるように散り散りになって逃げていった。

「ルーファス、レクサスっ大丈夫か?」

その白髪の剣士はボクとレクサスの名前を呼び声をかけてきた。
・・・髪の色と魔力の量と顔の造りがちょっと違うけどこの服装とこの声って、

「レックスさんですよね・・・」

レックスさんは意味がわからないといった感じに首をかしげた。

「当たり前だろ、なにをいってるんだ?」

まさか姿が変わってることに気付いてない!!

「あの、レックスさん?その後ろのわっかとか髪の「いやぁあ」・・」

レックスさんの見た目について尋ねようとすると小屋のほうからアリーゼちゃんの悲鳴が聞こえてきた。

「しまった、逃げた獣たちが小屋のほうへ向かったのか」

慌てて子やのほうへ戻ろうとすると逃げていく獣たちとすれ違った。
なにがあったのかと小屋に目を向けるとそこには背中のわっかは死を呼ぶ炎(ウィルオー・ウィスプ)のような不気味な青に輝き、肌は浅黒く、黒髪が2ヶ所ではねている女剣士がいた。

「・・・黒ウサギ・・・」

レックスさんがそう呟いたのがボクの耳に届いた。

「アティさんが黒ウサギならレックスさんは白ヤマアラシでしょうか?」

レックスさんは独り言を聞かれて慌てて否定しようとして手を前にだして・・・固まった。
・・・自分も姿がおかしい事にやっと気付いたみたいですね。

「ルーファス、もしかしてオレもアティみたいに、姿変わってる?」

「ええ、アティさんとは反対に白くなってます」

レックスさんは自分の姿がどうなっているのか気になっているのか自分の身体を何度も見ている。
・・・それにしてもアティさんのあの力、随分と変質してしまっているな。
何も起きなければいいと思うが変質したということは何か理由と意味があるんだろうな。
考え事をしているといつの間にかレックスさんとアティさんはもとの姿に戻っていた。



ボクたちはアティさんたちの下へ駆け寄り怪我をしていたアリーゼちゃんの治療を済まして二人に話を聞いた。

レックスさんはボクに出会う前に海の中で不思議な声を聞いていたが島に流れ着いてからも特に変わった事もなかったので気にしていなかったが
さっきボクたちが襲われているのを見てなんとかしようと思っていたらもう一度声が聞こえてきたらしい。
そしてその声に答えて、気付いたら右手にさっきの剣を持っていて身体中から力が溢れる様に沸いてきたそうだ。

一方アティさんの方は海でそういった不思議な現象はなかったらしい。
アティさんは海に流された後ウィルくんを見つけたが、そのまま力尽きて気を失ってしまい気付いたらレクサスに背負われていたらしい。
レクサスがいうには気を失う前に助けたのだがアティさんの意識が朦朧としていたのかその間会話をアティさんは覚えてないらしい。
なにを喋ったかはあとでレクサスを問い詰めるとして、アティさんは抜剣した時のことをよく覚えてないらしい。
アリーゼちゃんが傷付けられた瞬間までは意識がはっきりしていたらしいがその後に謎の声を聞いてから元の姿に戻るまでの記憶がはっきりしないそうだ。

ただボクにはアティさんが最後に聞いた『怒りに身を任せ、我に全てを委ねよ』という声に不安を覚えていた。
・・・アレが・・・いやアイツがそんな風に無理矢理、身体を乗っ取るようなことするはずないのに・・・。

ボクたちはなにが起きたかを互いに話し合った後、疲れていたのかそのまま眠りに意識を奪われていった。


・・・ちなみにレックスさんの黒ウサギ発言はアティさんの耳にもしっかり聞こえていたらしく、レックスさんは小屋の外で眠ることになった。



[3127] サモンナイト3 ~はじまりの島に集いし者たち~1-4
Name: 融機種◆cea3b98d ID:15ae8b46
Date: 2008/07/08 21:53

パチパチッ

目の前の鍋の下で木が爆ぜる音が聞こえる。
どうやら木が少し湿っていたらしい。
目の前の鍋にはシチューから湯気が出ていてつい食欲を誘う。

「んっん~、誰だ?ルー・・・ファス」

料理を作っているとレックスさんが顔を擦りながら体を起こす。
ボクの顔を見て自分の身体を見回す。

「おはようルーファス、食事を作ってるのか?左手一本で器用なものだな」

レックスさんがボクが食事を作っているのをみて感心している。

「そうですね、片手が使えない状況には慣れていますから」

「慣れてるっていったいどんな生活してたんだ?」

「・・・傭兵みたいな感じですね」

「ふぅん」

レクッスさんはどうでも良さそうに返事をして料理を見つめている。
・・・お腹空いてるんでしょうね。

バサッ

「おはようございますルーファスさん。・・・料理ですか?なにか手伝いましょうか?」
「おっおはようございます」
「おふあようございます」

アティさんは既に起きていた様でレックスさんの様に寝ぼけてはいなかったが、
・・・アリーゼちゃんはリボンを付け忘れているのか髪を下ろしているし、
ウィルくんは条件反射で挨拶は出来た様だが既に船を漕いでいる。

「料理はすぐに出来上がるので顔を洗ってきてください。それとアリーゼちゃんリボンついてないですよ」
「ふえっ」

アリーゼちゃんは慌てて頭に手を当てると顔を真っ赤にして小屋に戻っていった。
ウィルくんは・・・アティさんに手を引かれて顔を洗いにいったようだ。




「「「「いただきまーす」」」」

みんながいっせいに手をあわせて食事を始める。

「へぇ~うまいもんだなぁ」

「・・・おいしい」

レックスさんとウィルくんは感心したように食べながら感想を洩らし、アティさん達は雑談をかわしながら美味しそうにシチューを食べている。
・・・材料が昨日のはぐれ召喚獣のお肉だっていうことは黙っておいたほうがいいかな。
いったらアリーゼちゃんあたりが吐き戻すかもしれないし。
材料聞かれる前に別の話題を振らなきゃいけないな。

「ところでこれからのことなんだけどここはたぶんどっかの孤島だと思うんですよ。だからまず誰かほかに人がいないか調べてみようと思うんですけどどう思いますか?」

「そう・・・ですね、誰か住んでる人がいるかもしれませんし、もしかしたら私達と同じ様に流されてきた人がいるかもしれませんし」

「ならさっさと食事を終えて出発しましょう」

今日の予定が決まるとウィルくんが急かすように促すが、アリーゼちゃんは焦って逆に食べ終えるのが遅くなってしまい結局出発したのは食事を始めてから1時間以上たってからになった。
・・・レクサスは食事の間中なにも喋らなかったけど調子でも悪いのかな?




ボク達は昨日の様にはぐれ召喚獣に襲われるのを警戒して森の中ではなく海岸沿いに進む事にした。
少し進むと砂浜は途切れて岩場に出たが、引き返すよりは少しでも進みたいというアティさん達の意見に従ってそのまま進み続けていた。

「あっ」

「ウィルくん?どうかしましたか?」

「あそこに見えるの、人影じゃないかな?」

ウィルくんの指差す方をよくみると確かに一組の男女の人影が見えました。

「そうですね。確かに誰かいますね」

「おーい!?」

「おー!?」

ウィルくんが人影に向かって手を振るとその人影もこちらに向かって手を振ってきた。
えーっと?この声ってもしかすると・・・

「っ!?」

「船を襲った海賊!!」

アティさんが驚いて大声をあげた。
・・・やっぱりあの時の海賊さんの声でしたか。

「へぇ~お前らも生きてやがったワケだ」

海賊さんは興味深そうにこちらを見て感心した様に視線を送ってくる。

「だれ?アニキの知り合い?」

海賊さんと一緒にいた女の子が海賊さんに声をかけた。
・・・アニキっていってたけど海賊さんの妹かな?

「ほれ、話しただろガキを助けるために荒れた海に飛び込んだ奴らがいたって・・・それがコイツらさ」

海賊さんはボク達を指差し、妹?さんにボク達のことを説明はじめた。

「はぁ、ようやく人影を見つけてみりゃあご同類とはな。まっどっちにしろよ、このままお前らを見逃すわけにゃあいかねぇな」

・・・はぁ、面倒だなぁ

「えーっとボク達は別に用事なんてないんですが・・・」

「さあ、あの時の続きといこうか!?」

・・・少しは話をききましょうよ
まずいな、レクサスはどうも様子がおかしいし、ウィルくんとアリーゼちゃんがいるから誰かが守っておかないと・・・
はぁ仕方ない、ボクがやるしかないか、船の闘いを見る限り力をセーブして戦ってもいけそうですしね。

「レックスさん、アティさん。ウィルくんたちについててあげてください。ボクが一人で戦いますから」

そういって進み出たボクの右手を海賊さんは一瞥すると、

「あん、てめぇ怪我してんじゃねぇか、怪我人はすっこんでろ」

「そうですね、確かに怪我してて立ってるだけで意識が飛びそうですけど・・・それでもあなた達より何倍も強いですよ?」

「上等じゃねぇか、おいソノラ、手ぇだすなよ。コイツは俺がぶっとばす」

「はいはい、アンタもバカだねぇ大人しくしてれば死なずに済んだのに」

「いくぜぇぇ!」

海賊が猛ダッシュと共にその勢いを殺さずに殴りかかってくる。
走りながらなのに腰の入った一撃で、当たったなら今のボクなら一発で気絶させられるだろう。
・・・そう当たったならば。
ボクはその一撃を右足を一歩後ろに下げる事で海賊の攻撃を外側に倒れる様にかわす。
その倒れる勢いを利用して左手で顎を掠める様に裏拳を放つ。
裏拳はそのままキレイに顎を掠めて海賊は脳が揺すられた為ふらつく様にこちらに倒れてくる。
ボクは左足を後ろに下げ、思いっきり地面を蹴ってその勢いのまま突き上げる様に顔面を殴り飛ばした。

「ぐはっ」

海賊は2メートルぐらいふっとばされたが、しっかりと足から着地した。
しかし脳が揺すられたせいか、そのまま後ろへと倒れていった。

「アニキっ、あんたよくもアニキを・・・」

その光景を見ていたソノラと呼ばれた海賊の妹が投げナイフを構える。
それを見て踏み込もうとした瞬間、

「やめねぇかソノラっ」

海賊が倒れたまま声を張り上げる。
その声にソノラと呼ばれた少女は動きを止める。

「だってアニキ・・・」

「だってじゃねぇ。今のは完璧に俺の負けだ」

海賊が負けを認めたのを聞いてボクは警戒を解いてことの成り行きを見届ける。
ソノラさんはまだ納得がいってなさそうですけど、海賊さんは完全に腹を括ったのか倒れたまま静かに話しかける。

「なぁ今の勝負は完全に俺の負けだ。だから俺のことは煮るなり焼くなり好きにしてくれていい。だがコイツは今の勝負に無関係だ、だから頼むコイツのことは見逃してくれねぇか?」

海賊さんはソノラさんだけは見逃してほしいと頼んでくる。
だけど海賊さんをこの場で殺してソノラさんだけを見逃したらソノラさんは確実に復讐しにくるでしょうね。
だからその案は絶対に認められない。
なら、

「お断りします」

海賊さんが諦めた様に目をつぶった。
後ろでアティさん達が息を呑む気配もひしひしと感じる・・・

「だって海賊さんって煮ても焼いても美味しくなさそうですから、ボク達を二度と襲わないって約束してくれればそれで十分ですよ?」

海賊さんとソノラさんが驚いた様に目を見開いて唖然としている。
アティさん達もなにが起こったか分からないという様に呆然としていた。

「てめぇ本気で俺がそんな約束、守ると思ってんのか?」

「もし守ってくれなかったら、その時は今度こそ皆殺しにするだけです」

ルーファスはまるで呼吸をするかの様に皆殺しを宣言した。
ソノラさんの息を呑む音がやけに大きくその場に響いた。

「わははっ!、最高だなそりゃぁよ。気に入ったぜあんたのその肝っ玉!なあ、あんたらよけりゃあ客分として俺らの船に来ないか?」

「えっ船があるんですかっ!」

アティさんが海賊の言葉にいち早く反応した。
・・・そっか、ウィルくんが軍学校に入る為にも早くこの島から出発したいんでしょうね。

「おうよ、今は壊れちゃいるが、直せねえわけじゃねえ。食い物も水もしばらくの分ならたくわえがあるし、修理を手伝うんなら、礼として、近くの港に乗せてってやるぜ。どうよ?」

・・・うーん、やっぱりこれは罠でしょうか?
でも海賊さんもソノラさんも罠を仕掛ける様なタイプにはみえませんし、ですが彼らの船長がよっぽどの切れ者で彼ら自身に気付かせずに彼らを使って罠に嵌めようとしている可能性もありますしここは彼らから情報を聞き出してから判断・・・

「わかりました。その提案、乗りましょう」

「えっアティさん?」

「お願いします。ルーファスさん」

はぁ、よっぽどウィルくんのことが大事なんですね。

「わかりました」

「おーしっ、そうと決まったんなら船で待ってる連中にも紹介しねぇとな。さあ、ついてきな」

そうしてボク達は海賊船へと案内されるままについていった。


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