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[387] サモンナイト2[銀と黒の竜王達]
Name: たゆたう者
Date: 2004/09/24 04:38
「ウルセェよ…兄貴には関係ないだろ」

「俺は…帰らないといけない」


「…兄貴よりも…俺はアイツ等の方が大事なんだ」

「俺はアイツの兄なのに…!」


「許さねぇ…テメェ等…殺してやる…絶対にだ!」

「安心しろ…お前達は俺が護る」


「来やがれゼルゼノン!ヤツを吹き飛ばせ!」

「来い、『古代竜』…『エクスキュージョン』!」


「ククク…これでやっと、俺もアイツのところへ…」

「俺は…全てを受け入れる」


それは、かなしみとあいとかぞくのものがたり


サモンナイト2
~銀と黒の竜王達~


「じゃあな…お前達のこと、結構好きだった」




[387] Re:サモンナイト2[銀と黒の竜王達]
Name: たゆたう者
Date: 2004/09/24 05:02
家族はたった一人の己の半身

俺達はお互いを想い、支えあって生きてきた

なのに

何処を間違えてしまったんだろう



第零夜





「………オイ、邪魔だ」
「………」

ソファーに座っている俺を上から見下ろしているのは、俺の弟、『石動京矢』。

「オイ」
「…チッ」

決して屈した訳ではないが、いい加減邪魔になってきたので退いてやる。

…そうそう、俺は『石動竜司』。さっきも言ったように京矢の兄だ。
この家には俺と京矢しか住んでいない…俺達の両親は事故で死んだから。
何処に溜め込んでいたのか、遺産は俺達が社会に出るまでの分くらいは確実に足りるだけある。…よって、金には困っていない。

「…………」

ただ、ふと…俺達はこんな状態でいいのだろうか、と思うことがある。

…少なくとも、昔は…両親が死んで、数年はお互い支えあって生きてきたのに。

―――誰か…

「…え?」

―――お願いだから、誰か…

「空耳…じゃ、ない」

―――助けて、俺達を…

「………」

―――助けて、私達を…

「…ああ」

―――お願い!

「お前達がそれを求めるのなら。
俺が、それで少しでも変われるのなら。
俺は『石動竜司』だ。呼べ、俺の名を」

―――…………!!
光が俺を包み、意識が遠くなる。

そういえば、夕飯の当番は俺だったな…と何処か外れた考えと、弟の怒った顔を思い浮かべながら、俺は『喚ばれた』。




……弟の部屋で、全く同じことが起きていることを知らないまま。




[387] サモンナイト2[銀と黒の竜王達]第零夜
Name: たゆたう者
Date: 2004/09/24 05:42
気が付けばそこは知らない場所で

それでも俺は何故か

自分が此処にいるのは、決まっていたことなんだと

平然と、受け入れていた






蒼の派閥本部、とある一室。
部屋に煙が立ち込める中、二つの影がモゾリ、と動いた。


「うぅ…ケホ、ケホ…マグナ、大丈夫~?」
「ああ…なんとか。でも…」

区切って、マグナと呼ばれた少年はある一点を見つめる。

煙の所為でハッキリとはわからないが、そこには5つの人影がある。

「成功…したんだよな?」
「…多分…」
「でも…」
「「なんでこんなに多いんだ?(多いんだろう?)」」

合わせられた疑問の声に答えるように、影の一つが声を上げた。

「ゲホッ、ゲホッ………………………此処は…?」

声の主が辺りを見回すと同時に煙が晴れ、5つの影がハッキリとその姿を見せる。

「……………」
「……ロボット?」
「ここ…どこ…?」
「こっちは女の子…いや、キツネか?」
「~っ!俺様を召喚しやがったニンゲンは…テメェか!?オイ!」
「…いや、俺は…というより、子供にそんな口を聞かれる覚えはないのだが」
「あああああの落ち着いてくださいい!?」
「…お前がな」

黒い装甲の機械兵士。
着物姿の耳の長い少女。
口の悪い羽の生えた少年。
動揺からか涙目になっている少年。

そして、その5人(?)全員に反応を返している青年。

「えっと…」
「どう…いうこと、なんだろうね…?」

この状況を作り出した本人達は、5人(?)を少し離れたところで見ていた。



[387] Re:サモンナイト2[銀と黒の竜王達]第零夜
Name: たゆたう者
Date: 2004/09/28 01:24
何も知らないはずなのに

不安になるはずなのに

戦ったことなどないのに

俺は…楽しんでいた。戦いを







「「あ、あの…」」

俺がロボットやキツネ少女や生意気な子供や泣き虫っぽい子供と話していると、後ろから二人分の、息の合った声が聞こえてきた。

「…………」

振り向き、俺は固まってしまった。
なんと言うか………ペアルック&コスプレ?…初めて見たな、本物は(特に前者)。

「…あ~…ここはどこだ?」

とりあえず気を取り直して、先程からの疑問を聞く。
しかし、二人とは別の方向から声が聞こえてきた。

「此処は蒼の派閥本部。お主達はそこの二人に護衛獣として召喚されたんじゃ」
「…護衛ジュウ?…召喚?」
「そうじゃ」
「…言葉の響きからすると、二人を護るために呼ばれた、ということなんでしょうけど…俺はそんなこと、無縁の生活だったんですけど」

おかしい。『召喚』なんて…ゲームの中にしか存在しないぞ。…少なくとも俺の知識の中では。

「ホレ、お主の召喚主が待ちくたびれておるぞ」

言われて振り向けば、先程の二人が俺のことをじっと見ている。

「えっと…俺はマグナ。で、こっちが…」
「私はトリス。一応、マグナの妹なんだ」
「『一応』、ってなんだよ」

…兄妹か。なるほど、言われてみれば雰囲気が似ている気がしなくもない。

「…俺は竜司。石動竜司」
「リュウジ?」
「リュウジ…うん、リュウでいい?」
「ああ、構わない」

やはり世界が違うのだろう。
唇の動きが言葉とずれている…何故理解できるのかは謎だが。
『ジ』の発音がおかしく聞こえるが、本人達もわかっているのだろう、その部分を切って『リュウ』と呼んできた。

「で、この子がハサハで、こっちはレオルド」
「こっちの生意気なのがバルレルで、この子がレシィよ」

マグナがキツネ少女とロボットを、
トリスが生意気な子供と泣き虫な子供を紹介してきた。
…どうやら、俺が爺さんと話している間に自己紹介していたらしい。

「よろしくな、ハサハ、レオルド、バルレル、レシィ」
「……(こくん)」
「了解シマシタ」
「……ケッ」
「よろしくお願いしますっ!」

なんと言うか…それぞれの性格が如実に現れている気がする。
そうして俺達が話していると、上から知らない声が聞こえてきた。

「…無駄話は終わったか?」

……そこには、俺の通ってる学校の教頭がいた。

…いや、別人なんだろうけど。
なんと言うか…頭の涼しさと言うか言葉遣いというか?

「何はともあれ、無事下僕の召喚は成功したのだ。
これからお前達は私の下僕と戦ってもらう」

教頭がそう言って何か呟くと、俺達の前の空間に光が集まっていった。

その光は、何処か懐かしい…そして、悲しい感じがした。







…光が治まると、そこには青と黒のスライムがいた。

しかも多い!

青が10匹、黒が5匹だ。
キン○スライムに合体するんじゃないか、と言うほどに大量に集まっている。

しかし…これと戦えと?
レオルドなら戦えそうだが…ハッキリ言ってハサハやトリスやレシィを戦わせるのは良心が痛むぞ。

「…マグナ」
「だ、大丈夫だよ…きっと」

震えながらも、腰に差した剣を抜き、構えるマグナ。
状況が全て飲み込めたわけではないが…その姿に俺は、一つの決心をした。

「…俺は、お前達の護衛ジュウだったな」
「え…うん、そうだけど…」
「…リュウ?」

「なら、俺はお前達を護るために今、存在しよう」

そこからは、俺の家系に伝わる『契約の儀』。
今となっては結婚式の時だけのモノだが、本来は武家であった先祖が主君に仕える時の『誓いの儀式』らしい。

我は汝等を護る盾となり
我は汝等の振るう剣となろう
汝等が我を忘れぬ限り
我が汝等を忘れぬ限り
我は汝等の友となろう
例え死が我等を裂こうとも
我は汝等の友であろう
時には汝等を支える風であろう
時には汝等を癒す水であろう
時には汝等が安らぐ大地であろう
時には汝等を照らす炎であろう
…我は、汝等と共にあろう


「リュウ…?」
「何を…?」

二人が不思議がっている。
当たり前だ。突然こんなことを言い出したのだから。
だが、俺は何か満たされるものを感じている。
それは、二人から流れ込む『想い』。

「さあ…とっとと終わらせるか」

二人に微笑みかけ、俺はスライムの集団へと賭けていった。







「スゴイ…」

突然のリュウの行動には驚いたけど、今は…その強さに驚いている。
ただ殴っているだけに見えるんだけど、たった一撃でダークジェルを『砕く』なんて…

「スゴイ…スゴイね、リュウって」
「…うん」

トリスも呆然と俺に話しかけてくる。
ただ…

「………」

その、リュウの口元に浮かぶ笑みが、怖かった。






[387] Re[2]:サモンナイト2[銀と黒の竜王達]第零夜
Name: たゆたう者
Date: 2004/10/02 02:05
戦いの中で目覚める自分

もう一人の自分

知らない自分

俺は、一体……





「ハァァァ!」

助走をつけ、一番近くにいたスライムを貫く。

「シッ!」

そのまま薙ぎ、周りに集まってくるスライムに投げる。

「オォォォォォオ!!」

それを追いかけ、俺が投げつけたスライムに当たって動きが鈍った他のスラムを踏み潰す。

「…次……」

不思議だ。

何故、これ程まで戦えるのだろうか。
何故、このような動きをできるのか。

何故…こんなにも気分が高揚するのか。

「これで…終わりだ!」

気が付けば、俺は…最後に残っていたスライムを握り潰していた。





「あ、あの…」

戦いが終わり、俺達は恐る恐るリュウに話しかけた。

「ん…?あ、ああ。マグナ…それにトリスも。どうした?」

どうした、って…

「…大丈夫、なの?」
「…よく意味がわからないが」

俺が聞こうか迷っているとトリスが疑問を口にした。
でも…気の所為だったのかな。リュウの表情は、戦う直前に見せた微笑みだ。

「ううん!なんでもないよ。それで…リュウはやっぱり、シルターンから?」
「…しるたーん?」
「「………」」

えっと…

「もしかして、サプレスとか?」
「いや…」
「じゃあ、メイトルパ…」
「…聞いたことが無いな」
「まさか、ロレイラルってことは…」
「…先程から言っている意味がよくわからないのだが」
「「………」」

ど、どうしよう…?





召喚された、ということがよくわかっていないリュウを連れて、私達は派閥の中庭に来ていた。

「…あ、いた!ネスー!」

私が声を上げた先にいるのは私達の兄弟子。
私達と違って勉強熱心な彼なら、リュウのことがわかるかもしれない。
そう思って、ここに来たんだけど…

「なんだ、トリス…マグナも。試験は受かったのか?」
「うん!」
「私達のこと、心配してくれたんだ?」

私がそう言うと、ネスは「何を言ってるんだ」とでも言いたげな顔で溜め息を吐いた。

「なんで僕が君達の心配をするんだ。
第一、受からない要因があることが問題なんだぞ」
「「ぅ…」」

酷いな~…まぁ、授業をサボってた私達がいけないんだけど。

「で、そこにいるのが君達の護衛獣か?…やたらと多いが」
「うん。理由はわからないんだけど…」
「ちなみに私の護衛獣がレシィとバルレル…メイトルパとサプレスだよ」
「で、俺のがシルターンのハサハとロレイラルのレオルドなんだ」
「…そこの彼は?」
「えっと…」
「それが、その…」
「…俺は石動竜司。二人にはリュウ、と呼ばれている」
「イスルギリュウジ?…変わった名前だな」
「石動は苗字だ。名前は竜司。…で?お前の名前は?」
「…僕はネスティ・バスク。二人の兄弟子…ということになる」

私達が答えに困っていると、後ろにいたリュウが一歩前にでて自己紹介…と言うにはなんか棘があるけど。
とにかく、二人が自己紹介したところで私達がまた口を開く。

「それでね、リュウは自分の世界がわからないんだって」
「…なんだと?」
「シルターンもサプレスもメイトルパもロレイラルも知らないって言うんだ」
「…まぁ、そういうことだ」
「だからネスに聞きにきたんだけど…」

私達の話を聞き、ネスは眉間の皺を深くして黙り込んだ。

「(ねぇ、大丈夫だと思う?)」
「(う~ん…ネスだし、大丈夫だと思うけど…)」
「(…あ)」
「(?トリス?)」
「(…さっき、ラウル師範に聞けばよかったんじゃ…)」
「(…あ)」

「…恐らく、彼は…どうした?二人とも」
「「あ、ううん!なんでもないよ」」
「そうか?…恐らくだが、彼は『名も無き世界』から呼ばれたんだろう」
「『名も無き世界』……」
「聞いたことないけど…」
「名も無き世界は、リィンバウムを含めた五つ以外の世界の総称だ。しかし…実在していたとはな」
「……」
「……」
「……それで、俺は戻れるのか?」

ネスの話を聞き私達が黙り込んでいると、自己紹介が終わってから黙っていたリュウが質問してきた。

「…師範に聞いてみないことには…僕だけの知識では、判断がつけられない」

その言葉で、私達は師範のところに行くことになった。





「…俺達、忘れられてねぇか?」
「(こくこく)」
「そ、そうですね…」
「…………」


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