海鳴にて
2人は走っていた。
「はぁっ はぁっ はやて!」
「はぁっ はぁっ なんや!?」
その手に翠屋で買ったケーキを持って。
「ケーキが崩れないように走るのって難しい!!」
「言うなフェイトちゃん! そんなん最初からわかってたことや!」
目指すは八神家、今日は『ザフィーラ完全復活パーティー』をする予定であり…
「あ!」
「今度はなんや!?」
目的の人物、ユーノ・スクライアもザフィーラへの快気祝いを持って来ているはずなのだ!
「タクシーに乗れば良かった!!」
「あ」
・・・
八神家
「この腕輪の部分はこんな感じで伸び縮みするので」
「形態を変えても問題ないということなのだな?」
ユーノはザフィーラにデバイスをプレゼントしていた。
「これがもっと早く出来上がっていれば、あそこまでの怪我をしないですんだんですけどね。」
「確かにそうだが… 無かったものは仕方ない。」
「それはそうですけどね…」
「なに、これからは俺も、お前の使う魔法を使うことができるのだ。 問題ない。」
その腕(前足?)に着けられたデバイスがキラリと光る。
「じゃあ、『ザフィーラさん涙目』を改名しないといけませんね?」
「うむ、そのふざけた名前を、『八重中範囲高硬度拘束結界』とでも改名するがいい。」
『八重』に『中範囲高硬度拘束結界』を発動するのが『ザフィーラさん涙目』の正体だったのだ。
(ちなみに、前身は『問答無用中範囲高硬度拘束結界』であり、『そのなな』で『五重』にして使っている。)
「デバイスの補助があれば、俺は『十重』に発動できるからな。そっちは俺が名前をつける。」
嬉しそうに笑うザフィーラ
「確かに、僕はレイジングハートの補助ありで『八重』が限界ですからね…」
《マスター、マスターが扱いやすいように改良してもいいのですよ?》
「ありがとう、レイジングハート。 でもいいよ、それ以上改造すると君の個性が失われるからね。」
《マスター…》
レイジングハートにとって、ユーノというマスターは不思議の塊であった。
突然自分のプログラムを弄ったと思えば、『僕の自慢の封印魔法』というそれまでの常識では考えられない魔法をインストールした。
それによってジュエルシードが全て封印できたおかげで、それが海鳴に堕ちた時も、被害が出ることは無かった。
また、自分が見つけた覚えの無いロストロギア『闇の書』を見つけており、八神はやてをその運命から救い上げ…
そして、ヴィヴィオに使ったあの、『自分の補助を必要としない』魔法でヴィヴィオを救った。
《(あなたは本当に…)》
レイジングハートにとって、ユーノはまさに不思議の塊であった。
「ユーノ君、ザフィーラ、デバイスの説明は終わったの?」
「ええ、インテリジェントデバイスなのに、カートリッジシステムを組み込んだせいで時間がかかりましたけど。」
「なるほど、フェイトちゃんのバルディッシュみたいにしたのね?」
「そういうことです。 カートリッジシステムは便利ですからね。」
「うむ、あとは起動して名前を付けるだけだ。」
ザフィーラが未だ名も無いデバイスを起動しようとした時
ばぁあああん!
八神家の玄関の扉が勢いよく開き!
ばごぉおおん!
「いたぁっ!!」
「あうっ!!」
その反動で勢いよく扉が閉まり、帰ってきた2人の頭に衝撃を与えた。
090730/初投稿