地球、八神家
はやてはシャマルに膝枕をしてもらいながら氷嚢を額のたんこぶに当ててもらっていた。
「あかん、頭のずきずきがおさまらへん。」
「あんなに勢いよく玄関に頭を打てば、そうなるのはしかたないよ。フェイトさんはまだ気絶しているし」
フェイトは狼形態のザフィーラの背中を枕にして、ヴィータに氷嚢を以下略。
「しかし、女の子はすごいね、気絶するような衝撃を頭に受けたのに、持っていたケーキは崩さないとは…」
「ユーノ君、そこは感心するところちゃう。 確かに自分でもすごい思うけど。」
「私が帰ってくるのがもう少し遅かったら、倒れていただろうしな。」
「そやね、ありがとうヴィータ。 ヴィータがおらへんかったら額だけやなく後頭部もたんこぶできとるところやった。」
「わ、私ははやての騎士だからな! はやてを助けるのは当然さ!」
そんなことを言っても、顔を赤くしていたらなぁ… とその場が和む。
「しかし…」
そう言って転がっている2人を見るユーノ
「なんや?」
「いや、ザフィーラさんの完全復活パーティーに来て、怪我人を診ることになるとはなってね」
「ごめんなさいね、ユーノ君、管理外世界で魔法を使うのはできるだけ避けたいのよ。」
「シャマルさんが謝ることじゃないですよ?」
「ユーノ君もシャマルも迷惑かけてごめんなー」
謝るはやてだが、そこに反省の色は見えない。
「それにしても、なんであんなに乱暴に玄関を開けたの? 建て付けでも悪かった?」
「あーーーそやtt いたたたたた。」
「駄目ですよはやてちゃん、今頭に響くようなことしたら余計痛くなります。」
「うううううう」
「あははははは」
「ぐぐ、何も笑わんでも…」
実は、そんな会話を交わしながら、ユーノはパーティーの準備を進めている。
「はやて、ハラオウン一家も来るんだよね?」
「そや、忙しいゆうてクロノ君は来られへんけど、他の人たちは来ることになっとる。」
「じゃあ、これで食器は一通りおっけーかな? 一応後で確認してね?」
「ぁーーぃ」
やる気のない返事を背に、ユーノはヴィータに訊ねる
「ヴィータさん、フェイトさんはどう? 一応、たんこぶ冷やしておけば大丈夫だと思うんだけど?」
「大丈夫なんじゃねーか? 訓練でコレより酷い衝撃を頭に受ける事だってあるだろうし…」
「ですよねー」
「…その言い方、気に入らねーな」
「うん、自分でもどうかと思った。」
「なら、もうするな」
「ぁーーぃ」
正直、少しムッとしたが、自分の主がしたのと同じ返事なのでぐっと我慢するヴィータ。 彼女も日々成長しているのだ。
「ぅ… ぅうう… う?」
フェイトが目を覚ました。
「まだ動くなよ? おめー、頭を打ったんだ、暫くおとなしく寝とけ?」
「ぁ、頭? 頭打ったの私?」
「ああ」
「わかった、大人しくしてる。」
経験が多いのか、ヴィータの言うことを聞くフェイト
「あ! フェイトさん、目を覚ましたんだ?」
「…ユーノ?」
「それ以外の何かに見えたなら、病院に行こう? 頭を打った影響かもしれない」
「くす、大丈夫、ちゃんとユーノに見えるよ。」
「ザフィーラさんとヴィータさんにちゃんとお礼をするんだよ?」
そう行って台所に行くユーノ 勝手知ったるなんとやらである。
「ザフィーラさん? あっ! いたたたたた。」
頭の感触がザフィーラであると気付いて大声を上げると共に、どけようしたフェイトの頭に、痛みが襲った。
「おとなしくしとけって言っただろ?」
「ぅぅぅぅぅ… ありがとう、ヴィータさん、ザフィーラさん」
「気にするな」
「ああ、気にするな」
「ぅぅぅ」
キィ ぱたぱたぱた…
玄関が『優しく』開かれ、誰かが家に入ってきた。
「ただいま戻りましt… 一体なにがあった?」
シグナムが見た光景は、
シャマルに膝枕されながら額に氷嚢を当てられている『パーティーの主催者』である主。
『今日の主役』のザフィーラを枕にしてヴィータに氷嚢を当てられている『お客』のフェイト。
そして、1人でパーティーの準備をしているこれまた『お客』のユーノであった。
「「「「「「おかえりなさい」」」」」」
「あ、ああ、ただいま」
パーティーが始まる3時間前のことであった。
090731/初投稿
090815/誤字脱字など修正