―――『一つの可能性』―――
面会室
「そうですか、ヴィヴィオは無事なんですね… よかった。」
ゲンヤ・ナカジマはフェイト・テスタロッサに会いに来ていた。
「おめぇさんに会いたがってたよ。」
「拘留・厳重監視13年でしょう? 会いたいけど…。」
「厳しいな。 常識とかを学ばせて、ある程度教育を受けてからでないと認められないだろう。」
「…私の体は、それまで持たない。」
「ジュエルシードが埋め込まれているから、か?」
「うん」
埋め込まれたジュエルシードはフェイトの体に負荷を掛け続けるのだ。
「ユーノが使った封印魔法で今は何とも無いけど… この封印は、持ってせいぜい1、2年でしょう?」
「ああ、肝心のユーノは死んじまったし… レイジングハートも修理するので精一杯で、データの復旧も『全力を尽くすが…』だとよ。」
「そうだろうね… あんなのに潰されたら、そうなるよね。」
今思い出しても理解できない魔法。
「俺は、いろんな『怖い』魔法を見てきたが、あれは…」
「あれは、根本的な何かが違うよね? 『怖い』ってレベルじゃない…」
ぶるっ とフェイトの体が震える
「あの魔法な、なんて言うと思う?」
「? わからないよ、あんな魔法初めて見たし、それに、ユーノが使う魔法は、その…」
「ああ、アイツは魔法に、かなり個性的な名前をつけるからな」
少し笑う2人
「『虚数空間結界』」
「え?」
「『虚数空間結界』って言うんだそうだ。 レイジングハートの壊れたデータにその名前があった。 おそらく、あの魔法の名前だろうよ?」
「きょすう… 虚数空間!?」
母が、自分を捨てて旅立った…
「もしかしたら… ユーノはおめぇさんを、母親と再会させたかったのかもしれねぇぞ?」
「…え?」
「わからねぇか? 次元震を起こさずに虚数空間を出現させるんだぜ?」
「ぁ!」
「安全に虚数空間を研究できるようになれば、おめぇさんの母親がどうなったかも調べられたかもしれねぇな?」
「ぁぁぁぁぁぁ」
震えながら小さな声を出す…
「わ、私が、ジュ、ジュエルシードさえ、なければってユーノ、を、逆恨みしてた、時に?」
「ああ」
「ユ、ユーノの発見した、ジュエルシード、で、ユーノ、を、く、苦しめようと、してたと、きに?」
「ああ」
「ゆーのは、わ、わたしのた、めに?」
「…かもしれねぇんだよ」
「ああああああああああああああああああ!!!」
・・・
①ヴィヴィオ生存
聖王パワーで生きていた。 聖王状態であるが洗脳は解けている。 聖王教会預かりになっている。
②フェイトに埋め込まれたジュエルシード
『僕の自慢の封印魔法』で封印状態であるが、魔法が解けたらフェイトの体は1年も持たない。
③フェイトは自主的にスカさん側に?
ユーノを逆恨みしていたのをいいように騙され操られた。
ユーノが空港火災の時に英雄として扱われたのも気に入らなかったらしい。
④ユーノにプレシアを探す予定があった?
ユーノの事情を知らない、それでいて仲の良かったゲンヤがした推理。
実際は『対ゆりかご』として研究されていた。が、アルハザードの技術にも興味があった。
生き残っていたなら、虚数空間の研究をしていた可能性はある。
そもそも、『虚数空間結界』や『ジュエルシードの研究』、その他の魔法は、無限書庫の知識だけでなく、
三回目の時、誰もいなくなった『時の庭園』の『プレシアの研究データ』をありがたく頂戴した成果でもある。
気づいた人は余りいないかもしれないけれど…。
090801/初投稿
090816/誤字脱字など修正