海鳴 ハラオウン家
リンディはカレルに、エイミィはリエラに服を着せていた。
エリオはすでに着替えており、キャロはヴィヴィオの着替えを手伝っている。
「そろそろ行かないと遅刻しますよ?」
「「もう少しだからー」」
「「らー」」
「エリオ君、こっちは着替え終わったよー。」
「終わったよー」
何に遅刻するのかというと、八神はやて主催の『ザフィーラ完全復活パーティー』に、である。
「よし、お着替え終わり!」
「終わり!」
「こっちも出来上がり!」
「あがり!」
エリオがすでに玄関以外の戸締りを確認済みなので、家から出てすぐ玄関の鍵をかける。
・・・
とあるバス停から八神家への道
高町なのははリボンで包装してある箱を2つ持って歩いていた。
1つは母に頼んで作ってもらったクッキー(ザフィーラの顔の形)が入っており、もう1つには犬用玩具が入っている。
八神家には何度か行ったことがあるので迷ったりはしないのだが、心の中では迷っていた。
(どうしよう… こ、今回はザフィーラちゃんの怪我が治ったことのお祝いだけして帰っちゃおうかな?
でも、はやてちゃん達が言うには、ユーノさんは忙しい人らしいから、今日を逃したらいつ会えるかわからないし…)
なのはは、ユーノにこの前の『顔を見に来た』発言の真意を聞こうか迷っていたのだ。
(そう! そうだよ! 私は翠屋の『看板娘』なんだから、『顔を見に来た』っていうのはおかしくないの…)
いいことに気付いたと、それまでやや下向きだった顔を前に向けるが…
(で、でも、『そういう意味』で『顔を見に来た』っておかしくないの… 『美人になったね』ってよく言われるし… お世辞かもしれないけど…)
再び真っ赤なってやや下向きになるなのはの顔… 傍から見たら変な人であるが、そんなことを気にする余裕が今の彼女には無い。
「あれ? なのはちゃん?」
「きゃぅっ?」
突然声をかけられ驚くなのは
「ひどいね、何もそんなに驚かなくてもいいじゃないか」
「ア、アルフさん! び、びっくりさせないでくださいよぅ」
「あははは、悪い悪い、でも、こんな所で何してるんだい?」
なのはは、今日はやてとフェイトが『ザフィーラ完全復活パーティー』のためのケーキを買いに来て、自分もそれに誘われたことを話した。
「へぇ、なのはちゃんも誘われたんだ」
「アルフさんもですよね? 一緒に行きませんか?」
「ああ、目的も道も同じなら一緒に行ったほうがいいからね? さっき1人で歩いてたなのはちゃんはきちんと前を見てなかったみたいだし?」
「ぁぅ」
一緒に歩く2人
「そういえば、その袋の中はお肉ですか?」
「ああ、ザフィーラの好物さ」
「やっぱり! お肉にするか玩具にするか迷ったんですけど、玩具にしておいてよかったです。」
犬用玩具よりは肉のほうが喜ぶんじゃないかと思ってもそれを顔に出さないアルフ
その時、2人の歩く横を二台のタクシーが走っていった。
「あれ? 今のはリンディさん?」
「子供達もいたね?」
「ちょっと急ぎましょうか?」
「そうしよう」
少し早足になる2人、なのはの鼓動も少しだけ早くなっていた。
090801/初投稿