八神家
パーティーの準備は終わり、後はお客が来るのを待つだけである。
「これが、ユーノ君が基本設計したザフィーラ専用デバイスかぁ… よう似合ってるで」
「人型になっても大丈夫なように伸縮する仕組みがなかなか難しくて大変だったよ。 強度の問題とかで…」
待つだけでは暇なのでそんな話で時間を潰す。
「腕に着けているが、セットアップ時はどんな形になるのだ?」
「小手です。 カートリッジの装弾数は3ですね。」
「フォルムの、いや、モードの変化は?」
「ないです。 魔法の補助が目的ですから…」
ユーノの説明を真剣に聞くシグナム。
この場にいる誰が見ても、彼女が模擬戦を楽しみにしていることはバレバレだった。
これ以上この話を続けると模擬戦の時に巻き込まれると判断したユーノは話題を変える。
「リインは今あっちでメンテ中だっけ?」
「え? あ! そや、ザフィーラの『退院祝い』は六課全員で盛大にしたから、今回は諦めるて」
「アースラの中でそんなことしていたの…」
「退院後はこっちで養生したほうがええ思てな? ほら、アルフもおるし?」
「はやて… おじさんっぽいよ、それ…」
「ぬぁっ!」
ピンポーン♪
「皆さんいらっしゃったようですね。 ちょっと行ってきます。」
「じゃあ、ザフィーラはこっち座りなよ。 今日の主役だし。」
「ああ。」
「おじさんっぽい… ショックやわ…」
「フェイト、お前も起きて椅子に座れ、カレルとリエラに心配させたくないんだろ?」
「う、うん。 ありがとうヴィータ」
・・・
なのはとアルフ、八神家へ向かう道
「え? ユーノがそんなこと言ったのかい?」
「は、はい」
「『あなたの顔を見に来たんですよ。』ねぇ…」
「そ、それに、はやてちゃんもフェイトちゃんも、ユーノさんのことを『いつも仕事で忙しい人』で、『あまりこっちに来れない』って言うから…」
「今日、どういう意味だったのか聞きたいんだね?」
なのはが頷く。
「ユーノは、不思議な奴だからなぁ…」
「不思議?」
「ああ… 不思議だ。」
アルフが、朱色に染まり始めた空を見上げる。
「ユーノのことはさ、誰に聞いてもよくわからないと思うよ?」
「え?」
「私も知り合って10年くらいになるけど、言えることは2つだけだ。」
「な、なんですか?」
アルフはなのはの前に出て向き合い、右手人差し指でなのはの額を軽く突っつく。
「ユーノは不思議で、イイヤツだってことだよ」
・・・
八神家 玄関前
ピンポーン♪
呼び鈴を押すアルフの隣でなのはは少し緊張していた。
家の中からは笑い声が漏れ聞こえる。
キィ
玄関が開き、シャマルが出迎えた。
「ただいまー。」
「おかえりなさいアルフさん、呼び鈴なんて押さなくても中にはいっt… なのはちゃん!?」
「こ、こんばんわ! きょ、今日ははやてちゃんとフェイトちゃんに招待されてきました!」
「…はやてちゃんが呼んだの?」
「え、そ、その、お邪魔ですか?」
「聞いてなかったから驚いただけで、はやてちゃんが呼んだんならいいの、さぁどうぞ上がってください。」
「は、はい!」
「それじゃ、上がらせてもらうよ。」
2人が八神家に入った瞬間、
「アルフさん! 早くおいでよ! ザフィーr… え?」
目に入ったのは喋るフェレットだった。
090804/初投稿
090816/誤字脱字など修正