―――『覚悟』―――
「でもな、ユーノ君、これは…」
「事実だ…」
「これは、これは酷すぎるで!」
今、私の目の前には…。
・・・
辺境世界へ移動時、アースラ 八神はやての部屋
「あれ? ユーノ君?」
「ちょっと、中に入れてくれないかな?」
「ええけど…」
お茶を出して、机を挟んで向かい合う位置に着く。
「それで、今日は何のようなん?」
「ちょっと、はやてさんにこれからの事で…」
そう言ってユーノ君は持って来ていた水筒を机の上に置いた。
「何なん?」
「何も聞かずに、これを飲んでみて欲しい。」
ユーノ君は私の返事を聞く前に水筒を空け、何かどろりとした緑色の液体をコップに入れた。
「なぁ、ユーノ君?」
「何も聞かずにぐいっと」
「あんな、ユーノ君?」
「何も聞かずにぐいっと」
「でもな、ユーノk」
「何も聞かずにぐいっと」
「これ、さと」
「何も聞かずにぐいっと」
「無理やああああああ!」
「ぐいっとおおおおお!」
はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ
言い合いの後、咽が渇いたのか、ユーノ君は私が出したお茶を飲んだ。
私も咽が渇いたので、私の分として入れておいたお茶を飲んd
「ぶふぉおお!」
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!ごほっ!…
暫くお待ちください
「こほっ、こほっ、な、なんでなん? なんでこんなひどいことするの?」
私の質問に、ユーノ君は天(天井)を見上げ
「君のためなんだ…」
そう言った。
「なんでやねん」
「君のためなんだよ…」
お、漢泣きやと!
「リンディさんの、リンディさんのお茶は… これの3倍甘いんだ」
これが冒頭までの経緯
・・・
「酷い…」
「そうだね… リンディさんのお茶は…」
「ちゃう」
「え?」
「ユーノ君の嘘が酷いねん」
「なっ!」
ユーノ君は私の言葉に目を大きくした。
「見たことあんねん、ユーノ君がリンディさんとお茶飲んでるとこ…」
「む?」
「ユーノ君、笑いながらリンディさんの出したお茶飲んでたやないか!」
「…ふっ」
なんや、その不敵な笑いは?
「僕は、結界魔法や拘束魔法が得意なんだよ?」
「…それが?」
「リンディさんのお茶を飲む時、僕は舌に『味覚九割減』の魔法をかけているんだ。」
「なぁっ!」
ユーノ君はいつの間にか水筒の蓋を閉めて、席を立っていた。
「まぁ、これで、リンディさんのお茶に、少しは耐性… 耐性? …まぁ、覚悟はできただろうから、僕はこれで」
そう言って部屋から出て行き…
その日のうちに、私はユーノ君に感謝した。
・・・
①リンディ茶
ユーノはリンディと関わる度に飲んでいる。 初めて飲んだその日に『味覚九割減』を構成した。
②『味覚九割減』
拘束魔法で舌の味覚を鈍くし、結界魔法で歯と歯茎などを守る。
③感謝?
耐性はできなかったが、事前に知る事ができたことで、驚きを顔に出したり、噴き出したり、吐かずにすんだから。
090805/初投稿
090817/誤字脱字など修正