1番ウーノはスカリエッティの秘書であり、スカリエッティに従う事だけが全てという、よく言えば一途、悪く言えば痛い人。
2番ドゥーエもスカリエッティの命令しか聞く気が無いという。 しかし、ウーノと比べると何か裏がありそうな感じ。
3番トーレは、負けたからと言って勝った側に従うつもりはないと言っている。 あなたは良いかもしれないけど、他の子の事も考えて欲しい。
4番クアットロはどうでもいい。 命を物としか見れないようなので、更生させるにしても精神カウンセラーに任せるしかない。
7番セッテはトーレと同じような事を言っている。 しかし、この子の場合は機械のような性格をどうにかできれば… カウンセラーさん頑張れということで。
ナカジマ姉妹を拉致しようとして失敗した5番チンクと9番ノーヴェは、11番ウェンディと一緒にゲンヤ・ナカジマが身元を引き受ける事になった。
6番セインは、できたら自分を捕縛したユーノ・スクライアのいる無限書庫で働きたいと言っている。
砲撃をユーノに反射された時の怪我がまだ治らない10番ディエチもセインと同じ事を言っているが、ナカジマ家が引き取る事になるだろう。
8番オットーと12番ディードは聖王教会のカリムが引き受けた。 おそらくセインも引き受ける事になるだろう。
ゼストはレジアス元中将の罪を暴いた後死亡。
融合型デバイスであるアギトはゼストさんの遺言に従ってシグナムさん預かりになっている。
ルーテシアは彼女の母親と辺境世界に行き、その罪を償っている。
ギンガは悩んでいた。
『「ユーノ・スクライアに負けたのであって、管理局に負けたわけではない。」と考えているから協力的じゃないのでは?』
そんな報告が来た。 なんだそれはと思ったが、そうかもしれないとも思ってしまった。
ユーノさんが捕縛したナンバーズは6人。
ヘリを砲撃したディエチと、ディエチを救出しようとしたトーレ。
ミッドでディエチの砲撃を防げる魔導師は数えるほどしかいない。 被害が彼女と彼女が立っていた建物だけで済んで本当に良かった。
戦闘に関してのリーダーであるトーレを確保できたのも、JS事件の被害を抑える事ができた一因だと考えられる。
この2人を早い段階で確保できたのは幸運だったと思う。 あの日、この2人が地上本部を攻撃していたら… 被害は倍以上だっただろう。
ユーノさんを暗殺しようとしたドゥーエ、同じく暗殺未遂のセイン。
ドゥーエは管理局だけでなく、聖王教会にも潜入して諜報活動をしていた。
この段階で確保できていなかったらスカリエッティ一味はもっと綿密な作戦を立ててきただろう。
ドゥーエと同じ暗殺未遂のセインは更生の余地があるが、希望する職場が問題だ。
管理局の全情報を預かる部署で元犯罪者が働ける可能性なんて…
スカリエッティの護衛をしていたウーノとセッテ。
この2人も管理局に協力的ではない。
セインとディエチはいい。 無限書庫で働けない事は、きちんと話し合えば理解してくれるだろう。
問題は残りの4人だ。
はやて隊長から、恋とお菓子作りのライバルとしてスバルと競い合ってほしいと言われた時はびっくりしたけれど、面白そうだったので引き受けた。
でも、本気になってしまいそうな自分がいる事に気づいてしまった。スバルと同じように、ユーノ・スクライアという人に命を助けられたのだから、同じように好意を持ってしまっていてもおかしくはなかったのだ。
そのユーノに今からお願いしないといけない。
『この4人を、管理局に協力するよう説得してくれませんか?』と。
ユーノさんに直接命令したらいいのに、なぜ私を通すのだろう? 気が重いなぁ…
・・・
無限書庫
「と、言う事なんですけど…」
「無理じゃない?」
ユーノは言った。
「いや、僕の戦い方しっているでしょ?」
「…一番理想的な戦法なんですけどね。」
敵が行動する前に、中・遠距離から『改良余地無き拘束魔法』で拘束。
被害を受けずに、被害を与えずに、ただ勝利する。 これ以上の戦いなんてあるだろうか?
しかし…
「管理局に負けたと思っていないなら、僕に負けたとも思っていないと思う。 『戦った』って実感がないだろうから。」
「そうなんですよね。 もしも私が同じように拘束されても、『負けた』ことを理解できても、納得はできないと思います。」
怪我もしなければ疲れも無い。
そんな状態で『戦いに負けた』と納得できる人はそうそういないのではないだろうか。
「だからと言って、ユーノさんに拘束魔法無しで戦ってもらうわけにもいきませんし…」
「そうだね… 裏技を使えば拘束魔法無しでも戦えるけど、その場合手加減できないからなぁ。」
「え?」
「ん?」
ユーノの言葉に驚くギンガ。
「攻撃魔法、苦手なんですよね?」
「苦手だよ?」
そうですよね。
ユーノさんが攻撃魔法を使うなんて見た事も聞いた事も無いです… あ!
「もしかして、手加減できないって意味で苦手だったんですか?」
「いや、普通の意味で苦手だよ?」
「え? でも、戦える? え?」
わけがわからない。
「落ち着いて、深呼吸しよう? すー、はーって」
「は、はい!」
すー はー
すー はー
本の匂いって独特だなぁ…
すー はー
すー はー
「落ち着いた?」
「はい。」
「それは良かった。」
「取り乱してしまってすいません。」
「いいよ、僕の言い方がおかしかったんだろうから。」
そう言って、ユーノさんは人差し指を口に当てた。
「ココだけの話、無限書庫には僕でも戦闘機人に勝てるような裏技が埋もれていたりするんだよ。」
「え」
んぐぅ
ユーノさんの手が私の口を押さえ、もう一方の手で、静かにするようにうながす。
私がうなずくと手を離してくれた。
「そんなことができるんですか?」
「うん。 でも、さっきも言ったんだけど僕は攻撃魔法が苦手だから… この場合、魔力を込めて殴る事しかできないんだ。」
「魔力を込めて殴る…」
「しかも手加減できないから、バリアジャケットを着ていても酷い事になるよ。」
「…うわぁ」
バリアジャケットを着ていても酷い事なる。
結界やシールドに長けたユーノさんがそこまでいう攻撃… 想像しただけで恐ろしい。
「あ、この事は秘密にしてね? とっても危険だから。」
「はい。 …2人だけの秘密ですね?」
「そういうことになるね。」
「わかりました。」
2人だけの秘密…
「あ、一応説得してみるけど期待しないように伝えてね?」
「はい。 わかりました。」
帰り道、いつの間にか笑顔になっている事に気づいた。
自分で思っていたよりも、ユーノさんと秘密を共有できる事が嬉しかったらしい。
091128/初投稿