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No.10422の一覧
[0] 【完結】せせなぎっ!! (ネギま・憑依・性別反転)【エピローグ追加】[カゲロウ](2013/04/30 20:59)
[1] 第01話:神蔵堂ナギの日常【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:53)
[2] 第02話:なさけないオレと嘆きの出逢い【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:54)
[3] 第03話:ある意味では血のバレンタイン【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:54)
[4] 第04話:図書館島潜課(としょかんじませんか)?【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:54)
[5] 第05話:バカレンジャーと秘密の合宿【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:55)
[6] 第06話:アルジャーノンで花束を【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:55)
[7] 第07話:スウィートなホワイトデー【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:55)
[8] 第08話:ある晴れた日の出来事【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:56)
[9] 第09話:麻帆良学園を回ってみた【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:56)
[10] 第10話:木乃香のお見合い と あやかの思い出【改訂版】[カゲロウ](2013/04/30 20:56)
[11] 第11話:月下の狂宴(カルネヴァーレ)【改訂版】[カゲロウ](2012/06/10 20:50)
[12] 第12話:オレの記憶を消さないで【改訂版】[カゲロウ](2012/06/10 20:50)
[13] 第13話:予想外の仮契約(パクティオー)【改訂版】[カゲロウ](2012/06/10 20:51)
[14] 第14話:ちょっと本気になってみた【改訂版】[カゲロウ](2012/08/26 21:49)
[15] 第15話:ロリコンとバンパイア【改訂版】[カゲロウ](2012/08/26 21:50)
[16] 第16話:人の夢とは儚いものだと思う【改訂版】[カゲロウ](2012/09/17 22:51)
[17] 第17話:かなり本気になってみた【改訂版】[カゲロウ](2012/10/28 20:05)
[18] 第18話:オレ達の行方、ナミダの青空【改訂版】[カゲロウ](2012/09/30 20:10)
[19] 第19話:備えあれば憂い無し【改訂版】[カゲロウ](2012/09/30 20:11)
[20] 第20話:神蔵堂ナギの誕生日【改訂版】[カゲロウ](2012/09/30 20:11)
[21] 第21話:修学旅行、始めました【改訂版】[カゲロウ](2013/03/16 22:08)
[22] 第22話:修学旅行を楽しんでみた【改訂版】[カゲロウ](2013/03/16 22:08)
[23] 第23話:お約束の展開【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 20:57)
[24] 第24話:束の間の戯れ【改訂版】[カゲロウ](2013/03/16 22:09)
[25] 第25話:予定調和と想定外の出来事【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 20:57)
[26] 第26話:クロス・ファイト【改訂版】[カゲロウ](2013/03/16 22:10)
[27] 第27話:関西呪術協会へようこそ【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 20:58)
[28] 外伝その1:ダミーの逆襲【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 20:59)
[29] 第28話:逃れられぬ運命【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 20:59)
[30] 第29話:決着の果て【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 21:00)
[31] 第30話:家に帰るまでが修学旅行【改訂版】[カゲロウ](2013/03/25 21:01)
[32] 第31話:なけないキミと誰がための決意【改訂版】[カゲロウ](2013/03/30 22:10)
[33] 第32話:それぞれの進むべき道【改訂版】[カゲロウ](2013/03/30 22:10)
[34] 第33話:変わり行く日常【改訂版】[カゲロウ](2013/03/30 22:11)
[35] 第34話:招かざる客人の持て成し方【改訂版】[カゲロウ](2013/03/30 22:12)
[36] 第35話:目指すべき道は【改訂版】[カゲロウ](2013/03/30 22:12)
[37] 第36話:失われた時を求めて【改訂版】[カゲロウ](2013/04/06 21:54)
[38] 外伝その2:ハヤテのために!!【改訂版】[カゲロウ](2013/04/06 21:55)
[39] 第37話:恐らくはこれを日常と呼ぶのだろう【改訂版】[カゲロウ](2013/04/06 22:02)
[40] 第38話:ドキドキ☆デート【改訂版】[カゲロウ](2013/04/06 21:58)
[41] 第39話:麻帆良祭を回ってみた(前編)【改訂版】[カゲロウ](2013/04/06 21:57)
[42] 第40話:麻帆良祭を回ってみた(後編)【改訂版】[カゲロウ](2013/04/06 21:57)
[43] 第41話:夏休み、始まってます【改訂版】[カゲロウ](2013/04/12 20:04)
[44] 第42話:ウェールズにて【改訂版】[カゲロウ](2013/04/12 20:05)
[45] 第43話:始まりの地、オスティア【改訂版】[カゲロウ](2013/04/12 20:05)
[46] 第44話:本番前の下準備は大切だと思う【改訂版】[カゲロウ](2013/04/12 20:06)
[47] 第45話:ラスト・リゾート【改訂版】[カゲロウ](2013/04/12 20:06)
[48] 第46話:アセナ・ウェスペル・テオタナトス・エンテオフュシア【改訂版】[カゲロウ](2013/04/21 19:20)
[49] 第47話:一時の休息【改訂版】[カゲロウ](2013/04/21 19:21)
[50] 第48話:メガロメセンブリアは燃えているか?【改訂版】[カゲロウ](2013/04/21 19:21)
[51] 外伝その3:魔法少女ネギま!? 【改訂版】[カゲロウ](2013/04/21 19:22)
[52] 第49話:研究学園都市 麻帆良【改訂版】[カゲロウ](2013/04/21 19:22)
[53] 第50話:風は未来に吹く【改訂版】[カゲロウ](2013/04/21 19:23)
[54] エピローグ:終わりよければ すべてよし[カゲロウ](2013/05/05 23:22)
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[10422] 第16話:人の夢とは儚いものだと思う【改訂版】
Name: カゲロウ◆73a2db64 ID:552b4601 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/09/17 22:51
第16話:人の夢とは儚いものだと思う



Part.00:イントロダクション


 今日は4月16日(水)。

 ナギがエヴァと契約を結んだ翌々日であると同時に、
 契約を隠すために「停電を利用した決戦」を利用した翌日。

 つまり、エヴァイベントを消化し切った翌日のことである。



************************************************************



Part.01:こんな夢も見た


「ねえ……雪だよ」

 空から舞い降りる白い結晶――雪を手に掴みながら、幼い那岐が言う。
 当然ながら、掴まれた雪は掌の体温で一瞬にして溶けてしまう。
 だが、それでも那岐は雪を掴もうとするのをやめない。掌を翳し続ける。

「ええ、降って来ましたね」

 那岐の姿は無邪気にも見えるが、掴めないものを必死に掴もうとしているようにも見える。
 どちらに捉えたのかはわからないが、若かりし頃のタカミチは苦笑いを浮かべて那岐に答える。
 いや、『苦笑い』と表現したが、正確には『苦味を無理に抑えて笑った』と表現すべきかも知れない。

 まぁ、それはともかく、きっと また那岐の記憶を夢見ているのだろう。

 視界に広がる銀世界は ても美しいのに、何故かひどく儚いものに見えた。
 そこにある筈なのに儚い、まるでガラス細工のように美しくも脆い世界だ。
 記憶と言う儚いものを夢と言う美しくも脆い世界に映し込んだからだろうか?

「……それで? これからどうするの?」

 雪を掴もうとするのはあきらめたのか、那岐はタカミチに振り返って問い掛ける。
 さっきまでの動作は、言わば「無邪気と空虚の中間」のように見えていたが、
 今の様子は あきらかに空虚でしかなかった。無邪気さは微塵も感じられない。

「日本へ行きます」

 タカミチは那岐の問いに簡潔に答える。簡潔過ぎるくらいに簡潔だ。
 と言うか、微妙に答えになっていない気がするのは気のせいだろうか?
 文法的には合っているのだが、語法的に合っていない気がするのだ。

「日本……?」

 恐らく、那岐も同じように感じたのだろう。
 疑問の声を上げて、タカミチに意味を問い質す。
 きっと「日本でどうするの?」と言う意味だろう。

「ええ、詠春さんのいる国ですよ」

 詠春? え~~と、確か、木乃香のオヤジさんだったような気がするな。
 と言うか、那岐の求めている情報はそう言う意味じゃないと思うんだけど?
 さっきのは、日本『へ』の疑問じゃなくて、日本『で』の疑問じゃないかな?

「……それで、日本でどうするの?」

 きっと、那岐は己の訊き方が悪かったと判断したのだろう。
 今度は問い質したい内容を正確に表現して問うた。
 と言うか、タカミチは これくらい察してあげてもいいと思う。

「幸せに暮らしていただきます」

 いや、だから、それでは答えになっていないと思うんだけど?
 間違っては無いんだろうけど、微妙に間違っている気がするよ?
 この頃からタカミチはタカミチなんだなぁって妙に安心したよ。

「……詠春のところで?」

 まぁ、話の『流れ』からすると そう言う仮定となるだろう。無理も無いと思う。
 でも、タカミチは話の『流れ』なんて気にしてない筈だから、違うだろうけどね。
 恐らくは「じゃあ、何で詠春の話題を出した?!」と言う答えを返してくれるに違いない。

「ええ。ちょうど同じくらいの年の娘さんがいらっしゃるそうなので、きっと楽しく過ごせると思いますよ」

 って、あれ? 正解だった? タカミチなのに『流れ』を無視していなかった?
 こんなの!! タカミチが『流れ』を読むなんて!! 有り得ない!! ……さすがは夢だなぁ。
 あ、でも、記憶を夢見ているんだから、意外なことに これは事実だったのかも知れない。
 それとも、都合よく記憶を改竄しているのだろうか? 答えは神のみぞ知る でいいだろう。

「ふぅん、そうなんだ……」

 いや、那岐。その反応は どうかと思うよ? もうちょっとテンションを高くしてもいいんじゃない?
 まぁ、テンションの高い那岐と言うのも妙な違和感を覚えるけど、それでもテンション低過ぎだよ。
 同じくらいの年の娘さんって聞いた段階で意味もなくテンションが上がるのが男の子ってモンでしょ?

 ……………………………………
 ………………………………………………
 …………………………………………………………

 さて、そんなこんなで、またもや微妙な気分になる夢を見たナギだった。

 さすがに二回目なので何じゃこりゃぁああ?!」などと言う絶叫を上げる程の驚きはない。
 と言うか、朝からハイテンションに叫べる程 元気ではない、と言うべきかも知れない。
 だが、冷静であることは大切なことだ。たとえ その内心が欝な状態であったとしても。

 もちろん、夢のせいもある。だが、それ以上に目覚めてからの光景が欝だったのだ。

 と言うのも、ナギが「真っ白な銀世界」から目覚めたと思ったら、何故か「真っ白なナマモノ」が視界に広がっていたのである。
 つまり、カモがナギのベッドに侵入して添い寝していたのだ。どう考えても、同じ『真っ白』でも受ける印象はまったく違う。
 ナギが雑巾を絞るようにカモを『ギュッ』としたのは言うまでもないだろう。動物虐待? カモはオコジョ妖精なのでセーフな筈だ。

「で? なんでオレのベッドに浸入してたのかな? 事と次第によってはレンチンしちゃうよ?」

 ナギは穏やかな笑みを浮かべながら、答えのわかりきっている問いを訊ねる。もちろん、目は笑っていない。
 その内心を言葉にするとしたら「あんなに脅したのに効いてないんだから、もう実力行使が必要かな?」くらいだろう。
 ちなみに、ナギの考える実力行使とは「女のコ版の去勢をすること」らしいので、カモのカモが非常にピンチである。

「レ、レンチン?」

 言うまでもないだろうが敢えて説明して置こう。レンチンとは、電子レンジでチンすることである。
 ちなみに、生物をレンチンすると体内の液体(血液など)が沸騰し、熱いでは済まない状態になるらしい。
 皆様も聞いたことがあるだろう、どこかの国の子供がネコを暖めようと思って死なせた と言う逸話を。

「そ、それだけはお許しくださいぃいい!! いくらオコジョ妖精でも電磁波には耐えられませーん!!」

 カモの過剰な反応にナギは「え? いきなり どうしたの?」と素で疑問を浮かべる。
 怖がらせるために言った言葉なので、恐れられること自体は思惑通りなのだが……
 あきらかに予定よりも恐れられているのでナギとしては釈然としないものが残るのだ。

「カモは もうオネショはしません ですからスイッチを押さないでください お願いします お姉さま カモは正しいオコジョになります」

 だが、その疑問もすぐさま氷解した。どうやら、既にネギが実行していた脅しのようだ。
 目を虚ろにさせてブツブツつぶやくカモは、どこからどう見てもトラウマ全開である。
 と言うか、ネギは何をやらかしているのだろうか? レンチンで脅す10歳児とか実に怖い。

「どうか扉を開けてください お姉さま どうやらこの扉は中からは開かないようです そのためカモは絶体絶命です 万事休すです」

 カモのトラウマトークを聞いたナギが感じたことは「そんな構造になってたんだなぁ」と言う軽い現実逃避だった。
 普通は料理を温めるために使われる物なので、外からしか開閉できないようになっていても不思議ではない。
 まぁ、ネギがカモを脅迫するために作った「電子レンジに見せ掛けただけの箱」と言う可能性もあるので、答えは謎だが。

(とりあえず、今後はレンチンの話題は振らないであげよう――って、あれ? カモを脅すどころか いつの間にか同情してない?)

 恐らく、ネギに対する恐怖でカモのしでかした所業がどうでもよくなったのだろう。
 もしくは、ネギのカモに対する扱いが酷過ぎて思わず同情してしまったのかも知れない。
 まぁ、どの道これ以上カモを脅す気分でもなくなったので、カモは解放してもいいだろう。

 と言うか、よく考えなくても これから学校なので、そんなに ゆっくりしていられる余裕などないのだが。



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Part.02:神多羅木との仁義無き対話


 夢見が悪かったせいか、目覚めた後が酷かったせいか、ナギは朝からブルーな気分になり そのまま一日を過ごした。

 具体的に言うと、授業を聞く振りすらしなかった感じであり、以前にもあったような展開である。だが、気にしてはいけない。気にしたら負けだ。
 前回と同じ様に授業を聞き流したせいだろう、前回と同じ様に神多羅木に呼び出されているがナギは気にしていない。気にしたら負けだからだ。
 少しだけ「やっぱり、前回と同じ様に無視して帰ろうかな」とか思ったらしいが、さすがに二回連続で呼び出しを無視するのは不味いと思ったらしい。

 そんな訳で神多羅木の呼び出しに渋々と従ったナギは、生徒指導室と言う生徒的には近付きたくない部屋を訪れたのであった。

 ちなみに、部屋には既に神多羅木が来ており、威風堂々を絵に描いたような態度で席に陣取っていた。
 腕を組みながら座っているだけなので少し過剰な表現なのだが、妙に威圧感があったのである。
 まず間違いなく、街中で見た親が「目を合わせちゃいけません!!」とか子供に教えることだろう。

「で? どうして お前は そんなに不真面目なんだ?」

 ナギが「失礼します」と声を掛けてから神多羅木の対面に座った瞬間、神多羅木は開口一番にストレートな剛速球を投げ付ける。
 相手が身構える前に先制攻撃をしたのろう。普通の男子中学生なら効果は抜群だったろうが、残念ながらナギは普通ではない。
 もちろん、変態的な意味ではなく『場慣れ』と言う意味で だ。それに、先制攻撃を常套手段としているので尚更ナギには効かない。

「いえ、オレなりに真面目に生きているつもりなんですけど?」

 ナギが不真面目なのは、不真面目なのがナギの性分だからだ。最早あきらめるべきレベルである。
 だが、さすがに そんなことをストレートに言える訳が無いので、ナギは変化球気味に表現してみたが。
 ただの言い訳にしか聞こえないが、気にしてはいけない。世の中、気にしてはいけないことだらけだ。

「……お前のスタンダードが世の中のスタンダードだと思うなよ?」

 つまり、ナギなりに真面目であっても世間的には不真面目だ と言うことだ。まさしくその通りだろう。
 それはナギ自身も感じていることだ。ただし、自覚症状があっても本人に直す気は皆無なだけなのだ。
 と言うか、ナギの性根を捻じ曲がり過ぎているので、ちょっとやそっとでは ナギが変わることはない。

「先生。世の中とは色々な人間がいて成り立っているんですよ?」

 それ故に、ナギは何処か遠くを見遣りながら それっぽいことを言ってお茶を濁して置く。
 ナギの言っていることは間違ってはいない。いや、それどころか正しいとも言える。
 これを聞いたのが高音のような生真面目な人間なら騙せて――いや、納得させられただろう。

「まぁ、確かにそうだな。だが、だからと言って お前が不真面目でいい理由にはならんだろ? 立場的に考えて」

 だが、相手は神多羅木だったので、誤魔化されてはくれなかった。神多羅木はナギの言を肯定しつつもバッサリと断ち切る。
 と言うか、どう聞いても「お前、自分が特待生だとわかっているのか? もっと真面目になれ」と言っているようにしか聞こえない。
 もしくは魔法関係での立場(英雄の娘のパートナー)を指していて「英雄の娘の評価を貶めるなよ」とか言いたいのだろうか?

 どちらにしろ――いや、恐らくは どちらも含めているのだろう。とにかく、実に神多羅木らしい言い方だ。

「確かに仰る通りだとは思います。ですが、最近は素行を偽っていられる余裕がないんですよねぇ」
「……そうか。だが、気苦労が耐えないことを承知のうえでネギ君のパートナーになったのだろう?」
「まぁ、それはそうなんですけどね。ところで、何で先生がパートナーの件を知っているんですか?」
「あん? そんなこと、クソジジ――いや、学園長から通達があったからに決まっているだろう?」
「やはり そうですか。あ、いえ、予想はできていたんですが、念のために確かめて置きたかったんです」

 ナギとしては、近右衛門が神多羅木に伝えていたことは想定の範囲内である。むしろ、それ以外の可能性は考慮していないくらいだ。

 それでも確認したのは、近右衛門からは何も聞かされていない と言うポーズを取るためだ。
 実際に聞かされていないのでポーズを取る必要はないのだが、証拠は一つでも多い方がいい。
 ナギの場合は「聞いていたのに聞いていない振りをした」と思われる可能性が高いので尚更だ。

 その辺りに「信用と言う名の普段の言動の成果」が如実に現れているが、ナギは気にしてはいない。気にしたら負けだからだ。

「あ、ちなみに、言うまでもないでしょうけど……オレは学園長からは何も聞かされていませんから」
「む? つまり、オレが関係者であることも、お前の『担当』になったことも知らなかったのか?」
「ええ、一切 聞いていません。と言うか、その『担当』って何ですか? 嫌な予感がするんですが?」
「恐らく想像通りだ。平たく言うと、魔法関係における子弟関係みたいなものだ。実に面倒なことに」
「やはり そうですか。あ、どうでもいいですけど、せめて最後のセリフは聞こえないように言ってください」
「お前の場合は聞こえた方がいいだろう? と言うか、オレがお前に気を遣う訳がないだろ、常識的に考えて」
「まぁ、そうですね。先生に気を遣われたら、終末へのカウントダウンだと言っても過言ではないですよね」

 実に不穏な会話だが、これがナギと神多羅木のスタンダードだ。つまり、二人は妙に仲がいいのである。

 ところで、ナギは近右衛門から事情を聞いていないのは本当である(ネギやエヴァから聞いただけだ)。と言うか、10話以降 近右衛門と話していない。
 魔法に関わることを覚悟したナギだが、近右衛門と関わるのはネギを介するくらいだろう と考えていたので、これまで接触するのを避けていたのだ。
 だがしかし、こうして神多羅木を介して干渉して来たことを考えると このまま放置するのは悪手だろう。むしろ、この辺りで接触をして置くべきだ。

「と言う訳で、ちょっと学園長と『お話し』したいことができましたので、今日のところは ここで失礼させていただきます」

 善は急げ、思い立ったが吉日……と言う訳で、ナギは近右衛門に会いに行くことにした。
 ちなみに、ナギの言う『お話し』は某魔砲少女的なOHANASHIではない。普通に話す予定だ。
 まぁ、場合によっては肉体言語を用いてのOHANASHIも辞さない覚悟で望むのは否定しないが。

「オレの話はまだ終わってはいないのだが……まぁ、いいだろう」

 どうやら、話が脱線していただけで話そのものは終わっていなかったようだ。そもそも、実のある話はほとんどなかったので、当然だろう。
 だが、神多羅木の様子から考えると そこまで緊急性のある話ではないようなので、ナギは「本人がいいって言ってるんだから いいか」と納得する。
 まぁ、フラグ的に考えて、ナギがこの件で後に「この時に聞いて置けばよかったぁああ!!」とか嘆くことになるのは、最早 言うまでもないだろう。

「……すみません、失礼します」

 神ならぬナギは そんな未来を想定することすらせずに、社交辞令的に謝罪を述べて生徒指導室を後にする。
 もちろん、その背中を見送る神多羅木の笑顔が非常に「意地の悪いもの」であることなど気付く訳もない。
 詰めが甘いとしか言えないナギは、近右衛門との会話をシミュレートしながら女子中等部に向かうのだった。



************************************************************



Part.03:ぬらりひょんとの腹黒い対話


「学園長先生、これは一体どう言うことでしょうか?」

 学園長室を訪れたナギは無言で近右衛門の執務机まで距離を詰めると、とても穏やかな笑顔を浮かべて言い放った。
 もちろん、その瞳は笑っていない。そう、それは明確に「私はとても怒っています」と言うメッセージを表していた。
 物理的には笑顔なのに、見る者に笑っていると言う印象は一切与えない。これなら、怒声を張り上げられた方がマシだろう。

「ほ? 何のことかのう?」

 これほどの怒気を目の前にしたら、普通は多少なりとも動揺するものだが……近右衛門はまったく動じずに軽く惚けて見せる。
 当然ながら、ナギの怒気に気付いていない訳ではない。気付いた上で軽く受け流したのだ。恐らく、すべて想定の範囲内なのだろう。
 神多羅木がナギと接触することも、その結果としてナギが怒ることも、そしてナギが何に対して起こっているのかも、すべて。

「決まっているでしょう? 神多羅木先生に『オレが関係者である』ことを何の断りもなしに知らせたことですよ」

 近右衛門の薄い反応だけで、ナギは近右衛門が「わかったうえで敢えて惚けている」ことが理解できた。
 だが、単に言質を与えないために惚けたのか? それとも、正確な表現をさせるために惚たのか? それはわからない。
 前者なら問い詰めるために、後者なら過不足なく情報を提示するために、ナギは自身が憤っている理由を述べた。

「……つまり、那岐君が問題にしておるのは『那岐君の了承を得ず』に『神多羅木君に知らせたこと』かの?」

 近右衛門は僅かに考えた後、言外に「ワシが事情を知っておったことに憤っているのではなくて」と込めて訊ねる。
 当然ながら、これは振りだ。近右衛門が事情を知っていることをナギが知っているのは、近右衛門も理解している。
 だが、その情報はまだオープンになっていない。そのため、互いにわかっていても言葉にして置かねばならないのだ。

「ええ、そうです。『責任者』である学園長先生が知っているのは当然のことですからね」

 ナギはネギやエヴァから情報提供を受けたことまでは語らない。この場で必要なのは情報の開示だけだからだ。
 もちろん、情報の精度が必要な時など情報源まで開示せねばならない場合もあるが、今回はそうではない。
 それに、今回の場合は近右衛門も情報源は想定できている。つまり、語るまでもないことを語る必要はないのだ。

(むしろ、学園長先生が『覗き見』をしていたことを知っていたからこそ、昨夜はデモンストレーションを行ったんだけどね)

 エヴァの魔力を封じている『学園結界』が停電で解除されることを近右衛門はエヴァ達に知らせていた。
 言うまでもなく、それは近右衛門の『暗黙の指示』――停電を利用してネギを襲撃せよ(課題を続行せよ)だ。
 事情を知った(エヴァに教えてもらった)ために、ナギは昨夜のデモンストレーションを行わせたのである。

(解呪を望んでいる筈のエヴァがネギを襲撃しなければ、それは「解呪できました」と言っているようなものだからね)

 デモンストレーションの際、ナギは「ネギのパートナー」として「エヴァのパートナーである茶々丸」を抑える役割を担った(もちろん、演出だ)。
 別に原作を意識した訳ではないが、ネギとエヴァの対決を成立させる(茶々丸を排除する)には、ナギが明日菜の代役をこなす必要があったのだ。
 チート性能を持つ主人公(ネギ)とは言え、この段階でパートナーもなしにエヴァと茶々丸に辛勝するのは さすがに『説得力』を欠くからである。

(演出そのものは嫌いじゃないけど、他人――学園長の描いた出来レースのために奔走したのが微妙に気に入らないなぁ)

 ちなみに、近右衛門が描いたシナリオをエヴァが遂行した と言う体だったのに何故『説得力』が必要だったのか と言うと、不自然過ぎてしまうからだ。
 近右衛門はネギに八百長であることを知らせるつもりはないらしいため、ネギが八百長に気付かない程度に『説得力』を持たせる必要があったのだ。
 まぁ、実情としては、ネギは八百長だと理解したうえで知らない振りをして八百長を行っていたので、最早 茶番とすら言えない笑い話でしかないが。

(オレの目的は「シナリオ通りだと学園長先生を誤認させること」だから、茶番でも付き合うしかないんだけどねぇ)

 近右衛門にとっては「自分の描いた出来レース」だったが、ナギにとっては「そう思わせるためのデモンストレーション」だった。
 だからこそ「関係者になったことを近右衛門に知られている」のは前提とも言える情報なので、そのこと自体は問題ではない。
 だが、神多羅木に関係者であることを知らされることは想定外だ。と言うか、どう考えてもナギには好ましい状況ではない。
 関係者だ とバレたので「これから遠慮する必要はないな」とか言って魔法でOSHIOKIされる未来が見えるのはナギだけではない筈だ。

「と言うか、神多羅木先生はオレへの指導が常軌を逸していますから、身の危険を感じて抗議しているんですよ」

 もしかしたら、例の「指パッチンでカマイタチ」を喰らうことになるかも知れない。
 ヒィッツ好きなナギとしては ちょっと胸熱な展開だが、深刻なダメージはいただけない。
 と言うか、カマイタチなので当たり所が悪ければ死すら有り得る。つまり、非常に危険だ。

「いや、彼は『良識派』じゃからのぅ、危険なレベルの魔法は使わんじゃろうて」

 近右衛門はナギの懸念など「杞憂じゃよ」と言わんばかりに軽く受け流すが、ナギは全然 安心できない。むしろ不安が増したくらいだ。
 何故なら、幻聴でなければ近右衛門は神多羅木を『良識派』と評したからだ。ナギにとっては、その評価の段階で既に危険だ。
 アレは『良識派』と言うよりも『両○式派』と言われた方がシックリ来るキャラだろ? と言うのが、ナギの正直な感想である。
 それに「危険なレベルの魔法『は』使わん」と言うことは「危険ではないレベルの魔法なら使う」と言うことだろうか? 非常に気になる。

 だが、そこは神多羅木の良識を信じて――と言うか、近右衛門に文句を言っても仕方がないので、ナギは別の懸念事項に移る。

「そうですか。ところで、『関係者だろ?』とか言う意味不明な理由で魔法関係の仕事も押し付けられそうなのは、オレの被害妄想でしょうか?」
「……少しくらいは手伝ってやってくれんかのう? 彼は『教師としての仕事』と『魔法使いとしての仕事』でイッパイイッパイなんじゃよ」
「それは学園長先生が仕事を押し付け過ぎだからでしょう? まぁ、これまで通り『生徒として手伝える範囲』で『教師としての仕事』は手伝いますが」

 近右衛門は「協力の要請」――つまり、ナギが手伝わずに済むように手配する気がない と通達して来たので、ナギはキッパリと釘を刺して置く。

 ナギとしては「イッパイイッパイだってわかってるなら、魔法使いに教師などやらせるな。と言うか、魔法関係に専念させろ」と言いたいくらいだ。
 まぁ、少し言い過ぎではあるが、そこまで間違った意見ではないだろう。どう考えても、魔法使い達に教師を片手間でやらせているのは悪手だ。
 あきらかに似合わない神多羅木に数学教師をやらせたり、多忙だと思われるタカミチに担任をやらせたり……もはや采配ミスとしか言えないだろう。

(確かに、麻帆良は『魔法使いが作った学校』だ。それは間違いない。だけど、『魔法使いの学校』ではなく『魔法使いもいる学校』でしかない)

 設立の経緯や思惑はどうだったのかは知らないが、現在の魔法使いと一般人の比率を考えれば あきらかに優先されるべきなのは一般人だ。
 それに、『立派な魔法使い』とやらは「一般人のために奉仕する」のが理想な筈だ。つまり、麻帆良の一般人を蔑ろにするのは矛盾している。
 だからこそ、一般人の生徒のことを考えるなら、魔法使いと教師の二足の草鞋は迷惑でしかない。いや、むしろ、害悪とすら言える。
 仮に魔法使いの生徒のために魔法使いの教師が必要だとしても、『特別講師』にでもして教師としての仕事の分量を減らすべきだろう。
 両者を両立できるほど『教師としての仕事』も『魔法使いとしての仕事』も『甘い仕事』ではない筈だ。と言うか「教職ナメんな、魔法使い」である。

(まぁ、以上のような「一般的な正論」を言っても、魔法使いにはピンと来ないんだろうなぁ)

 きっと「え? そもそも麻帆良は魔法使いの魔法使いによる魔法使いのための学園じゃよ?」とか言うに違いない。
 むしろ「一般人などカモフラージュのために受け入れているだけで、実はどうでもいいんじゃ」とすら言い兼ねない。
 近右衛門の人格を信じて「一般生徒のために魔法先生達の負担を軽減しようかのう」と言う反応を期待すべきだが、
 何故か期待を裏切られるビジョンしか思い浮かばないナギは、内心で溜息を付いて思考を切り替えるのだった。



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Part.04:ネギとの打算だらけの対話


『そんな訳で、これからは「オレがお前の『従者』である」と言う前提で動いてくれ』

 ナギはネギに『念話』で先程の「近右衛門との楽しい楽しい会話の内容と そこからわかったこと」を知らせた。
 ちなみに、近右衛門との会話は あの後――『教師としての仕事』云々の後も続いた(詳細については割愛するが)。
 そして、その会話の中でナギは近右衛門は「ナギがネギのパートナーになった」と勘違いしていることに気付いたのだ。

 これはナギが意図したことではない。魔法使いにとっての『常識』から来た勘違いだろう。

 ネギのパートナーとして戦いに参戦した(ように思わせた)ナギを見て、条件反射的に「ネギの従者として参戦した」と判断したのだろう。
 まぁ、考えてみれば当然のことだ。パートナーと言う表現を取ってはいるが、戦闘的な意味では「魔法使いとその従者」でしかない。
 実情を知らずに、ナギがネギのパートナーとして協力したのを見たら、ナギを「魔法使いであるネギの従者」だと判断するのは当たり前だ。

 もちろん、せっかく勘違いしてくれているのに態々 正解(実際はネギがナギの従者)を教えるような真似をナギがする訳がない。

 この勘違いが何の役に立つかはわからないが、切れる手札が多いことに越したことは無い。
 木を隠すなら森の中 を応用して、秘密の中に秘密を隠す だけでも充分に役に立つだろう。
 それ故に、ナギはネギに経緯を説明し、近右衛門が勘違いしたままにするように指示したのだ。

『……なるほど、よくわかりました。では、そのように「誓約」しますね』

 そして、そんなナギに対するネギの返答がコレだった。理解が早いこと自体は非常に助かる。
 だが、ナギの意図を理解してくれるのは嬉しいが、『誓約』までするのは遣り過ぎな気がする。
 別に芋蔓式に他の秘密がバレる様なものでもないので、これはバレたらバレたで構わないからだ。

 むしろ、バレることで相手を「秘密を暴いた気にする」ことができるので、バレた方がいいかも知れない。

『いや、そこまでする必要はないよ。バレないよいに気を付けてくれれば それでいいって』
『ですが、注意していても何かの拍子でポロッと口を滑らしてしまう可能性がありますから』
『まぁ、確かにそうなんだけど。でも、バレてもいい秘密だから そこまでする必要はないよ』
『それでも、どうせバラすなら効果的にバラしたいですよね? なら「誓約」すべきです』

 確かにネギの言う通りなのだが、魔法使いなのに そう軽々と『誓約』するな と言うのがナギの率直な意見だ。

 魔法使いにとって『誓約』とは、『契約』程の拘束力はないにしても それなりに重いものである。
 まぁ、自ら『誓約』したいと思うだけナギに協力的だ と解釈して置けばいいのだろうが……正直、重い。
 それに「ミヤザキさんだけナギさんのために『誓約』しているのはズルいですし」とか聞こえる気がするし。

『そんな訳ですので……ちょっと「召喚」してください』

 その動機はどうあれネギの言い分そのものは間違ってはいないため、ナギは『誓約』自体は了承した。
 だが、緊急事態でもないのに『召喚』を使用することには難色を示した。と言うか、簡単に了承できない。
 カードの機能なので『召喚』するのは簡単だが、ナギの魔力が消費されるため、やすやすと使いたくないのだ。
 まぁ、ナギには『それなり(エヴァ談)』に魔力はあるらしいので、乱用しなければ大丈夫らしいが。

『でも、早く「誓約」したい――じゃなくて、「誓約」は早くした方がいいと思いますから』

 ポロッと本音が垣間見えた気がするが、ナギは敢えて聞かなかったことにして置く。
 と言うか、こう言うことは早い方がいいとは言え、明日でいいのではないだろうか?
 急いては事を仕損じるし、急がば回れだ。それに、今日は もう遅いので遠慮したいのだ。

『えー、でもー』

 間延びして駄々を捏ねるネギは子供らしくて少し可愛いと思ったが、それでもダメなものはダメだ。
 何故なら、ネギを召喚したら――と言うか、ネギが部屋にいるのを誰かに見られたらナギは終わるからだ。
 それに、最初は間延びを可愛いと思ったが、冷静になったら のどかを思い出すので軽く欝になったし。

『ッ!! つ、つまり、それってミヤザキさんのことを思い出すと暗い気分になるってことですか!?』

 まぁ、そうとも言えるだろう。魔法バレの時の対応で失敗したことも関係しているが、
 それ以上に「最近 偶に怖い」ので、できるだけ のどかを思い出したくないのである。
 もちろん、協力者になってもらったことに多少の後ろめたさを感じているのも原因だが。

『……わかりました。そう言うことでしたら、今日はあきらめます』

 のどかへの後ろめたさとと『誓約』がどう繋がっているのかは定かではないが、ネギはあきらめたようだ。
 恐らく、ネギは のどかに対抗して『誓約』を焦っていたが、その のどかの評価が低くて安心したのだろう。
 だが、それはあくまでもナギの勝手な予想なので、現実は違うかも知れない。いや、むしろ、違う筈である。

『では、明日にでも「誓約」しましょう』

 結論付けたネギは、ナギの返事を待たずに予定を立てていく。まぁ、今回はナギに異論はないので問題ないが。
 ラブな方向で暴走している時は話を聞いてもらわないと困るが、平常運転時なら話をスルーされても構わないのだ。
 ところで、どうでもいいし今更なことだが、さっきからネギがナギの思考を読んでいるのは気のせいだろうか?

『「念話」中ですから、表層意識の思考なら伝わって来るんです。伝えようとした言葉ではないので、少々わかりづらいですけど』

 どうやら「ナギの思考が読みやすいから」とか そう言った残念な理由ではなく、単純に『念話』中だから思考が伝わっていた らしい。
 まぁ、よく考えなくても、「念じるだけで伝わる」と言うことは「念じるだけで伝わってしまう」と言うことなので当然だろう。
 今回は黒服達に聞かれると「いつもより異常です」とか報告されそうなので『念話』にしたが、『念話』の特性を失念していたようだ。

『あ、そう言えば、黒服さん達で思い出したんですが……黒服さん達が邪魔なら消えていただきますけど、如何いたしますか?』

 ネギは某ハンバーガーチェーンにて「セットにすると お得ですけど、如何いたしますか?」と言ったセリフと同じ様な調子で聞いてくる。
 それは「記憶を消す」と言う意味だろう。多分、きっと、恐らくは。間違っても「この世から物理的に消す」と言う意味ではない筈だ。
 単なるナギの筋違いな勘違いの思い違いに違いない。違いが多過ぎて、微妙に違いがわからなくなって来ているが、とにかく大丈夫な筈だ。

『え? 幻覚でも見せて帰っていただこうと思っていたんですけど……ナギさんがお望みであればそうしますよ?』

 どうやら姿を消してもらう予定だったようだ。これでは、ナギの想定の方が物騒なことになる。
 まぁ、後半部分が非常に危険な気がするが、ナギが舵取りを間違えなければ大丈夫だろう。
 と言うか、ナギも物騒な展開を望んでいる訳ではないので、幻覚を見せる方向が望ましいだろう。

『では、ナギさんが街に出掛けたって幻覚を見せて離れてもらいますね?』

 確かに幻覚を見せて黒服達を排除するのが望ましいのだが、部屋の様子も監視されている可能性があるので辻褄が合わなくなったら困る。
 監視されているのは余り良い気分ではないが、魔法がバレて面倒な事態になるよりはマシと言えばマシなので、現状維持がベターだろう。
 それに、何だかんだで監視されていることに慣れて来たため、今となっては監視されていても監視されていなくてもナギには大差ないのである。

『そうですか? お望みならば、部屋の方も改竄できますけど……?』

 部屋の様子が監視されていても、それを見た者が違和感を覚えなければいい。つまり、『認識改竄』で対応が可能なのだ。
 ナギが思っていた以上に『認識改竄』の効果範囲は広大であり、強めに掛ければ記録されていても改竄可能である。
 光景そのものに催眠効果があるのかも知れない。まぁ、効果を強めれば強めるだけ魔力消費は高まるので、燃費は悪くなるが。
 そのため、使わなくてもいい場面では使わせたくないのがナギの本音だ(ネギの魔力が多いと言っても無限ではないからだ)。

『ですが、ナギさんのためでしたら『いや、いいよ。便利だからって頼り過ぎるのはよくないからね』……わかりました』

 何かネギが不穏な言葉を発しようとしていたのを察したナギは、尤もらしいセリフでインターセプトした。
 恐らくは「ナギさんのためなら魔力くらい絞り尽くします」とか言う気だったのだろう。実に重い言葉だ。
 ナギは『魔法に付き合う覚悟』はしたが、まだ『ネギの人生を背負う覚悟』まではしていない。する気も無い。

 ナギの望みは「無事に修行を終えてもらって、オレと関わらないところで幸せに過ごして欲しい」と言う感じである。

『それでも、ボクはナギさんのためなら どんなことでもする所存ですから、何でも仰ってくださいね?』
『ありがとう、ネギ。だけど、お前には余り無茶して欲しくないんだ(オレの護衛的な観点で考えて)』
『そ、そうですか? でも、ナギさんを巻き込んでしまった責任を取るためにも できることは何でもします』
『それじゃあ、今日のところは ゆっくり休んで英気を養ってよ。必要な時は頼らせてもらうから……ね?』

 護衛ならエヴァもいるのだが、エヴァはジョーカーなので可能な限り伏せて置きたい。そのため、ネギには待機してもらうのが望ましい。

 もちろん、ナギはネギが勘違いしていることがわかっている。わかっていて、敢えて訂正していないのである。
 いや、むしろ、勘違いをさせるつもりで「無茶をして欲しくない」とか「必要な時は頼る」とか言った節すらある。
 ネギをコントロールするための必要悪なのだが、傍から見ていると幼女を体良く利用する小悪党にしか見えない。

『わ、わかりました!!』

 特に「ね?」の部分を耳元で囁くような声音で言った(『念話』なので正確には「思った」だが)ため、その効果は抜群だった。
 映像は見えないが、今頃ネギは顔中を真っ赤にしていることだろう。いや、下手したら首まで真っ赤にしているかも知れない。
 その様を想像したナギは「これで重い言動をしなければ『可愛い』で済ませられるのになぁ」と微笑と苦笑の中間の笑みを浮かべるのだった。



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Part.05:裕奈との言葉無き対話


 あの後――ネギとの『念話』を無事に終えたナギは「偶には優雅にディナーを楽しもうかな」と麻帆良市街で夕飯を食べることにした。
 別に深い意味などない。ネギとの対話の中で「街に出掛けたことにする」と言った話題があったので実際に出掛けたくなっただけだ。
 だが、店を見繕っている時にトラブルに遭遇してしまったことを考えると、『何らかの大いなる意志』を感じてしまう今日この頃である。

 あ、ちなみに、そのトラブルとは……

「ちょっとくらいいじゃん♪」
「は、離してください!!」
「そんなこと言わないでさ、ね?」

 と言う感じのベタなトラブルだった。

 いや、人通りの少ない路地裏でしつこくナンパされている女のコ達なんて、ベタもいいところだろう。
 こんなベッタベッタな状況、これから先の展開がベッタベッタなものにしかならないのは予想に難くない。
 つまり「ナンパから助ける → 何かいい感じになる → 死亡フラグが増える」と言う、悪意に満ちた三段落ちだ。

(しかも、ナンパされているのは ゆーなと亜子だから、そうなる可能性は更にドンって感じだよねぇ)

 当然ながら、そこまでわかっているのだから、ナンパから二人を助けるなんて真似をナギがする訳がない。
 そのため、ナギはナンパにも裕奈達にも気付かなかったことにして、速攻で離脱することを決める。
 幸いなことに二人は断るのに必死でナギに気付いていないので、今が最大にして最後のチャンスだろう。

(……そんなふうに考えていた時期が、オレにもありました)

 当然ながら、ナギの離脱がうまくいく訳がない。離脱の直前に何故か落ちていた空缶を蹴ってしまい、場の注意を引いてしまったのだ。
 言うまでもなく、裕奈も亜子もナギを視認した。と言うか、裕奈にいたってはバッチリと目が合ってしまった。最早どうしようもない。
 足元が疎かになっていたナギの落ち度でもあるのだが、ナギとしては『何らかの大いなる意志』を感じてしまう今日この頃だった らしい。

『ちょっと、ナギっち!! 助けてよ!!』

『……聞こえる。ゆーなが切実な『心の叫び』を上げているのが聞こえる。
 でも、きっと幻聴に違いない。何故なら、オレは無力な子羊だからだ。
 って言うか、オレは ゆーなとアイコンタクトできる程 仲良くないし』

『こら!! 無視すんな!! 乙女のピンチなのよ!!』

『いや、誰が乙女なのさ? 乙女は「体育倉庫に連れ込むんでしょ?」なんて言わないって。
 アレはオヤジ臭いを通り越して普通にセクハラだったから、オレはそんな乙女など認めない。
 あ、ちなみに、9話の話ね? ネギと双子を連れ込むって想定に全オレが泣いたんだよねぇ』

『いや、アンタの乙女に対する偏見――と言うよりも幻想は異常だから』

『う、うるさい!! 少しくらいは夢を見ていてもいいじゃないか!!
 現実は泣きたくなる程 厳しいんだから、夢くらい見させてくれ!!
 夢って言うのは、現実を忘れて明日を生きるための希望なんだよ!!』

『いや、限りなく情けないことを そんなに力説されても……』

『フッ!! オレはオレの道を生きているから、そんな戯言など気にしないさ!! むしろ、気にもならないね!!
 何だか心にダメージを負ったような気がしないでもないけど、オレはぜんっぜん気にしてないもんね!!
 某政治屋の方々が自分の財産よりも日本の将来を気にしているくらいの勢いで、ぜんっぜん気にしてないもんね!!』

『ごめん、ナギっち。既に意味がわからない。って言うか、アンタってメンタル弱かったんだよね……』

『うぅ……そんな哀れみの籠もった目でオレを見るなぁああ!!
 安い同情をするくらいならオレを放って置いてくれぇええ!!
 あ、でも、やっぱり、オレに愛と言う名の優しさをくれぇええ!!』

『うん、わかった。じゃあ、これからは放置するわ』

『え? ご、ごめん。やっぱり、ちょっとくらいは構って。
 構われ過ぎるのもイヤだけど、放置されるのもイヤなんだ。
 って言うか、適度に構ってくれるのが ちょうどいいんだ』

『うわっ!! この男、ワガママ過ぎ!!』

『フッ……人とは我侭な生物なのだよ、ゆーな君?
 だからこそ、人は鬩ぎ合いながら進化して来られたのさ。
 それ故に、人は我侭だからこそ、人足り得るのだよ?』

『……そのキモチワルイ話し方とキモチワルイ理論は何?』

『特に意味はない。何か誤魔化せるんじゃないかなって思ってやってみた。
 その場の思い付きとノリでやった。って言うか、カッとなってやった。
 反省もしてなければ後悔もしていないが、このネタは自重しようと思う』

『ナギっちの自重は一般的には自重になっていない件』

『う、うるさい!! それでも、オレが自重をやめたら今以上に暴走しちゃうんだぞ!!
 今でも充分にアウト気味なんだから、これ以上の暴走はいろいろとマズいでしょ?!
 もうね、具体的には「記すことも憚られる」って感じのレベルでヤバくなるね!!』

『まぁ、そうだね。来月辺りには誰かが孕んでそうだね☆』

『えぇええ?! ゆーなのオレに対するイメージは何なの!? 何処の飢えた狼さ?!
 って言うか、鬼畜系のエロゲの主人公か何かだと思っていやがるんですか!?
 この好青年を絵にしたようなオレを そんな人間だと思っちゃってるんですか!?』

『え? 自重していてソレに近いんだから、暴走したらそうなるっしょ?』

『え? マジで? オレって既にアレなの?
 自分で言ってて「好青年はねーよ」って思ったけど。
 それでも、既にアレだったのはショックだなぁ……』

『だから、自重は大事だと思うよ?』

『……うん、そうだね。これからはもっと自重しよう。
 既にアレなら、アレから脱却すればいいだけだからね。
 だから、タイーホされないレベルにとどまれるように頑張るよ』

『いや、志はもっと高く持った方がいいんじゃん?』

『でも、無理な目標設定は、開き直りを誘発するからダメだよ。
 100万借金している人より1億借金してる人の方が明るい感じさ。
 だから、清廉潔白な人間になるなんて無茶な目標は掲げないよ』

『まぁ、具体例がわかりにくいけど……何となくわかるような気がするかな?』

『じゃあ、言い換えると……できそうなことに失敗するとヘコむじゃん?
 だけど、できなさそうなことに失敗しても そんなにヘコまないじゃん?
 ってことで、できなさそうなことよりも できそうなことを目標にすべきじゃん?』

『ああ、それならわかるかな。ウチの部も一回戦突破が目標だと燃えるけど、全国制覇を目標にすると萎えちゃうし』

『実に志の低い部活動だねぇ。でも、大抵の部活って そんなもんだけどね。
 普通は学校生活のスパイス的な位置付けでしか部活ってやらないもんだし。
 まぁ、だからこそ、本気で全国制覇を目指せる人間だけが全国制覇できる訳だけど』

『確かに、全国制覇するような学校って「できれば勝つ」じゃなくて「絶対に勝つ」って感じだもんね』

『そうだね。メンタルと言うのは物事の成否に置いて重要なファクターだよね。
 精神論じゃないけど、成そうと思わなければ成せるものも成せなくなるし。
 だから、メンタルがブレイクしている今のオレはまったく使えないと思うんだ』

『うんうん、そうだよね――って、あれ?』

『まぁ、そう言う訳で、オレは帰って寝るから、後は頑張ってね?
 大丈夫、ゆーな達ならナンパの撃退なんて余裕だから。
 ほら、ゆーなって無駄に身体能力とか高いから一蹴できるって』

『くっ!! おのれ、謀ったなぁああ!!』

『ハ~~ハッハッハッハッハ!! 実は単なる偶然に過ぎないんだけど、ここは敢えて「計 画 通 り!!」と言って置こう!!
 ついでに「オレは新世界の神になる」とかとも言って置こうか? よりウザくて妙に「殺る気」が漲ってくるでしょ?
 その「殺る気」を「ヤル気」に変えて、目の前のナンパ野郎達にブツケれば問題解決だって。だから、頑張ってね?』

 そんなこんなで、ナギは高らかに勝利宣言をして その場を離脱しようとした……のだが、周囲の空気はそれを許さなかった。

 まぁ、言うまでもないだろうが、「お前ら、さっきから見詰め合って何してんの?」と言う素晴らしい空気だったのである。
 そりゃあ、あれだけ『会話』していたら、誰でも不審に思うだろう。むしろ、今まで放置されていたのが不思議なくらいだ。
 ナギは「アイコンタクトだったから、野球漫画的に時間が凝縮されているんじゃないかと思った」とか戯言をほざいていたらしいが。

(って言うか、状況を忘れて会話に熱が入っちゃったため、時間とか周囲の空気とかに気が回らなかったんだけどね)

 まぁ、そもそも何故にアイコンタクトであれだけの会話が成立したのか が既に謎なので、深くは気にしたら負けだろう。
 それよりも、今はこの状況を打破することを考えなければならない。大事なのは過去ではなくて未来だ。そうに違いない。
 せっかく関わるのを回避できそうな流れに持って行けたのに どう考えても立ち去れる様な空気ではないが、どうにかすべきだ。

「実はアイコンタクトの結果、オレはスルーすることにしたんだけど……スルーできそうにない空気ので、オレは一体どうしたらいいんだろう?」

 ナギは無駄かも知れないと思いつつも、この何とも言えない空気を変えるためにナンパ野郎達に問い掛けてみた。
 いや、別に答えを期待していたのではない。ただ「オレは関わりたくないんだよ?」と伝えたかったのである。
 まぁ、ついでに「ただし、状況がそれを許してくれないので、何とかしてください」とも伝えたかったようだが。

「「知ったことかぁああ!!」」

 結果としては、ナンパ野郎達は実に息の合ったツッコミをしてくれたので、先程までの空気は一気に霧散した。
 そのツッコミに感謝したナギがコッソリと「コイツ等、いいヤツだなぁ」と思ったのは、ここだけの秘密だ。
 と言うか、冷静になって見てみたら、ナンパ野郎達はナギのクラスメイト――フカヒレと宮元だったりしたが。

(なるほど。脈のないナンパをしつこく続けていたのも、ツッコミをしてくれたのも、これで納得だ)

 忘れてしまった方もいるかも知れないので説明して置くと、フカヒレは いい奴なのだが残念な言動で いろいろと台無しにしているナイスガイだ。
 また、宮元は3話に出て来たフカヒレの友人で、ケツアゴに暑苦しい長髪をしており「イヤオォォォ!!」と言う微妙な叫びが口癖の紳士である。
 言うまでもなく、宮元はフカヒレと似たような性質を持っている。そう、二人とも愛すべき変態紳士にして悪友キャラなのだ(つまり、牙がない)。

「まぁ、こうなったら、助けるのが無難な道じゃなかにゃあ?」

 場の空気が変わったのを受けて、裕奈が ここぞとばかりに勝手なことを口走る。もちろん、ナギはスルーしたが。
 と言うか、語尾が「にゃあ」になっていたのが微妙にイラッと来たらしく、裕奈の発言はなかったものとして扱うようだ。
 ちなみに、亜子が「助けてくれへんのですか?」と言う雰囲気を醸し出していたので、ナギは少し助ける気になったらしい。

「あ~~、その、何だ……オレ達、帰るよ」
「そ、そうだな。興が殺がれたって感じだよな」

 だがしかし、もうナンパを続行できるような空気ではないのを悟ったのか、フカヒレと宮元はナンパをあきらめることにしたようだ。
 と言うか、全然 脈がなくても意地で続けていたナンパを知り合いに見られてしまって居た堪れない気持ちになったのだろう。
 さすがのフカヒレも、ここで「奇遇だな、神蔵堂。このコ達と知り合いなの?」とか繋げられる程 神経が図太くなかったようだ。

「そうだな。世の中、引き際が大事だもんな」

 ナギは二人の心情がよくわかるので優しい気持ちで見送った。その背中は煤けていたが、武士の情けとして見なかったことにして置いたくらいだ。
 ちなみに、裕奈と亜子が後ろで「あんなにしつこかったのに、何でアッサリと退いたんだろう?」と言う顔をしているけど、ナギは気にしない。
 特に、裕奈が「こんなに簡単に片が付くなら、最初から助けてくれればよかったじゃん!!」とか言っているけど、気にしないったら気にしない。

 ちなみに、ここで「いや、アイツ等クラスメイトだから、オレに見られて微妙な気分になっただけだよ」と言わないのがフカヒレ達への優しさだろう。



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Part.06:トンチンカンな対話


 あの後は、亜子の「助けていただいた御礼に夕御飯をご馳走します!!」と言う言葉が切欠で、ナギ・裕奈・亜子の三人は共に夕食を摂った。

 模範解答としては「大した事してないから、御礼なんていいよ」と爽やかに断るのだろうが、ナギは空腹だったので普通に誘いを受けた。
 実際は何もしていないのだが、ナギは「いや、好意を無碍にするのも悪いよな」とか自分に言い訳したらしい。実に相変わらずである。

「いや~~、一時はどうなることかと思ったよ。本当ありがとね、ナギっち」

 裕奈は「あのままだったら、ホテルに連れ込まれて、クスリやらで前後不覚にされてたね」とか、
 あまつさえ「そして、ヤられたうえに映像を録られて、それを元に脅されてたね、絶対」とか、
 思わず「それはどこの陵辱系のエロゲだよ?」とツッコミたくなるような想定(むしろ妄想)を話す。

 言うまでもなく、そんな展開は有り得ない。XXX版でも、ここが麻帆良である限り起こり得ないのだ。

 麻帆良は『保護』の名目で『監視』が敷かれているような「治外法権に近い魔法使い達の独壇場」である。
 もしも麻帆良でそんなことをしようものなら、タカミチとか神多羅木とかにミンチにされることだろう。
 と言うか、そもそもフカヒレと宮元はそんなことできない。二人のモラル的にも、二人のヘタレ具合的にも。

「まぁ、そんな展開は起こり得なかっただろうけど……無事で何よりだよ」

 ナギは内心をオブラートに包み込んでリップサービスのオマケまでして返答する。
 ついでに(少しサービスし過ぎな気がするが)優しげに微笑み掛けることも忘れない。
 奢ってもらう立場なので相手を気分よくさせようとしたらしい。実にナギらしい発想だ。

(何か、亜子が顔を真っ赤にして こっちを見詰めているんだけど……気のせいだよね?)

 どうやら、サービスし過ぎたようだ。まぁ、裕奈に向けて言ったのに亜子が被爆した件は置いておこう。
 それを気にしてしまったら、恐らくは「乙女補正」と言う果てしなく甘い結論にしかならないだろう。
 世の中、気にしない方が幸せに生きられることばかりだ。むしろ、気にしてはいけないことだらけだ。

「あっ、ところで、気になっていたんだけど……二人は あんなところで何をやってたの?」

 ナギは思考の世界に沈み込みそうになる意識を切り替えるために話題を変える。
 まぁ、気になっていたのは事実なので、そこまで不自然ではないだろう。
 と言うか、本当に女のコだけで夜の路地裏で何をしてたんだろうか? 非常に気になる。

「え? 買い物だけど?」

 裕奈が「ナニイッテンノ?」と言わんばかりの顔で答えるが、ナギとしては そっくりそのまま返したい気分だ。
 いくら麻帆良の治安が(他都市と比べて)いいとは言え、夜の路地裏が安全だとは言い切れないものなのは常識だ。
 そして、そんな場所に女のコだけでは行くことは お世辞にも賢明と言えないのは、ナギが指摘するまでも無い筈だ。

「いや、女子中学生が買い物をするなら、表通りで充分に事足りるでしょう?」

 幸いにも今回は相手がフカヒレと宮元だったので問題なかった。悲しいくらいに問題なかった。
 だが、世の中には後先を考えずに暴走するバカがいない訳でもないので、常に安全な訳がない。
 運が悪ければ……余り想像したくない事態になっていたかも知れない。今回は運が良かっただけだ。

「あ~~、それは……路地裏の露店って偶に掘り出し物があるじゃん?」
「そりゃ確かにそうだけど、危ないから そう言うのは休日の昼にしなよ」

 裕奈はナギが言外に散りばめた『言葉にしていないメッセージ』を察したのだろう、気不味そうに理由を話す。
 ナギとしても裕奈の気持ちが理解できない訳ではない。だが、だからと言って納得する訳にもいかない。
 そのため、ナギは「二人は可愛いんだから、もっと気を付けてよ」と言うリップサービスと共に注意した。
 別に裕奈や亜子が どうなろうとナギの知ったことではないのだが、多少は縁があるので忠告だけはして置いたのだ。

「う、うん……そうだね……」

 そうしたら、裕奈が妙に素直に返事して来たので、ナギは「素直なゆーな なんて有り得ない!!」とか驚いていた。
 これが亜子ならば(リップサービスをしたので)想定の範囲内だが、相手が裕奈なので違和感しか残らない。
 ナギの中で「余りにもキモ過ぎてドン引きされたのか?!」とか実情とは真逆の想定が生まれるが、それはここだけの話だ。

「と、ところでナギさんは どーしてあそこにいはったんですか?」

 少しだけ空気は微妙になったが、今度は亜子が空気を変えてくれたので、場は固まることなく事なきを得た。
 空気が読めて空気を変えられるコは実に素晴らしい。そんなことをナギは心の底から思ったらしい。
 何だかナギの周囲には「空気? 読めるけど無視します」と言う女のコばかりな気がするが、きっと気のせいだろう。

「まぁ、特に理由は無いかな? 何となく行っただけだよ」

 本当は夕食の店を見繕っていただけなのだが、どうも それを言う空気ではなかったのでナギは誤魔化した。
 だが、さすがに『何となく』で誤魔化そうとするのは悪手だろう。普通は そんなので誤魔化されない。
 とは言え、他に何と言えばいいかもわからないし、過ぎてしまったことは仕方がない。ここは前向きに行こう。

「そ、そうですかぁ」

 前向きに行こうとして先程のフォローをしようとナギは身構えていたのだが、結果的には何故か誤魔化せたようだ。
 先程は悪手に思えた『何となく』だったが、アレはアレでよかったのかも知れない(少なくとも亜子にとっては)。
 ナギ自身は「何で誤魔化せたんだろう?」と気になったようだが、気にしたところで仕方がないと言えば仕方がない。

 とりあえず、亜子って本当にいいコだなぁ と斜め方向に傾いた結論に至ったらしい。


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―― 亜子の場合 ――


 今日はゆーなに付き合ってもろうてナギさんの誕プレを探してたんやけど、何故かナギさんにナンパから助けられるっちゅう結果に終わった。

 いやぁ、本当、テンパって御礼に御飯を奢ることにしてしもうたのは失敗やったと思う。
 そら、ナギさんと接触できる機会が増えるんは素直に嬉しいことなんやけどな?
 ただ、予想外の出会いやったから心の準備ができてへんっちゅうか、めっちゃテンパったんよ。

 うぅ……どないしよう? 一体、何を話せばええんやろ?

 よくよく考えてみると、ウチってナギさんと まともにしゃべったことが少ないねん。
 いっつもテンパってもうて、よくわからんうちに会話が終わっとるのがウチのパターンなんや。
 うぅ、気兼ねなくナギさんと話せる ゆーなが羨ましいで(何やナギさんも楽しそうやし)。

「いや~~、一時はどうなることかと思ったよ。本当ありがとね、ナギっち。あのままだったら(以下略)」

 って言うか、ゆーな。その発想は ちょっとどうかと思うで? オッサン臭いっちゅうか犯罪やで?
 その証拠に、ナギさんも「まぁ、そんな展開は起こり得なかっただろうけど」ってドン引きや。
 あっ、でも、その後に「無事で何よりだよ」って優しい言葉が続いたんは、ちょい予想外やな。
 ナギさんって照れ屋やから、そう言うセリフは思てても言ってくれへんから、これはとってもレアやで。

 ……そう、ウチはナギさんが照れ屋やってことを知っとる。

 いつも何だかんだ言うても最終的には優しいし、さっきも最初は助けてくれへんような雰囲気やったけど結局は助けてくれたし……
 せやから、きっと、さっきのは「実は最初から助けるつもりやったけど、照れ臭いんで助けないフリをしていただけやった」んやと思う。
 そんな訳で、ナギさんはいつもは自分勝手な振りしとるけど、本当はとっても優しい人やってウチは知っとる(作者注:もちろん、勘違いです)。
 みんなに誤解されやすいのは ちょいツラいとこやけど、でも、ウチだけが知っとる魅力ってのもええと思うんで、痛し痒しや。
 それに、よくよく考えてみると「みんなは誤解しとるけど、ウチだけが理解しとる」ってシチュエーションはおいしい気がするなぁ。
 もしも、「オレをわかってくれるのは亜子だけだよ」なんて言われたら……それだけで幸せっちゅうか、そのままお持ち帰りされても構わへんわ。

 それはそうと、ナギさんが「ウチらが路地裏にいた理由」を尋ねて来たんで、思考に没頭しとる場合やないな。

 いや、ウチらが路地裏にいたんはナギさんの誕プレを探すためやったから、別に後ろ暗いところはあらへんで?
 でも、誕プレはサプライズ的な喜びもあると思うんで、できるだけ誕プレのことは触れたく無いからマズいんよ。
 う~~ん、どないしよ? 正直に答えた方がええ気もするし、正直に答えた無い方がええ気もする……
 って感じでウチが答えに窮していると、それまでウチを見守っていてくれた ゆーなが「買い物だけど?」って答えてくれた。
 きっと、ウチが困っているのを見兼ねて助けてくれたんやろうな。本当、持つべきものは友達やと思う今日この頃やな。

 でも、ナギさんは その答えに納得してなかったようで「表通りで充分に事足りるだろ?」って更に追及して来たんや。

 ナギさんなら「ああ、そうなんだ」って感じで軽く流すと思てたけど……時と場合によっては喰い付いてくることもあるんやなぁ。
 しかも、ナギさんの雰囲気から察するに「路地裏は危ないから行くな」って感じでウチらのことを心配して追及してるんやろな。
 うぅ、普段は淡白なクセに、こう言う時は気にしてくれるんは ちょい卑怯やと思う。だって、大事にされとるって勘違いしてまうやん?

「あ~~、それは……路地裏の露店って偶に掘り出し物があるじゃん?」

 ゆーなは「危険なのはわかっていたけど、背に腹は代えられなかった」って感じで答える。
 って、そうやない!! これでは、ゆーなが悪いような流れになっとるやん!!
 ゆーなはウチに付き合ってくれただけなんやから、ここはウチが本当のことを――

「そりゃ確かにそうだけど(中略)二人は可愛いんだから、もっと気を付けてよ」

 ――ここはウチ本当のことを話そうって思たところで、ナギさんがとんでもないことを言ってくれはった。
 もちろん「二人は可愛い」ってところのことや。これはこれだけで思考が停止できてまう程の破壊力やった。
 これは、ちょっと卑怯過ぎや!! 普段は愛想がなくて距離を置こうと接しているクセに、そんなこと言うやなんて!!
 しかも、ナギさんの雰囲気から察すると、何の狙いも無く単に思ったことを言葉にしただけっぽいし!!

 うぅ……この人、天然や!! 天然のフラグ建築士や!!

 今まで「どうして誤解されやすいのに あんなにモテとるんやろ?」って疑問に思とったんやけど、
 その疑問は「誤解されやすいために本人が自覚なくフラグ立ててるんや」って呆気なく氷解したわ。
 ふぅ……さすがの ゆーなも「う、うん……そうだね……」って妙に可愛く反応するしかないようやな。
 って、あれ? この反応から考えると、もしかして、ゆーなもライバル入りしたっちゅうこと?
 い、いや、そんなことあらへんよね? 一時の気の迷いやよね? だって、ゆーなやもんね?

 せやから、ウチは自分のイヤな想像を振り払うためにも「ナギさんが路地裏にいた理由」に話題をシフトしたんや。

 で、それに対するナギさんの反応なんやけど……「何となく」っちゅうどうとでも取れるものやったんで、反応に困ったんや。
 むしろ、正直に言うと「どう答えたらええんやろ? ここは追及すべきとこなんやろか?」って感じで本気で反応に悩んだわ。
 まぁ、人間の言動の半分以上が「何となく」とか「その場のノリ」やと思うんで、そこまで文句は言えへんねんけどな?
 でも、それでも、やっぱり、少しは まともな答えをして欲しかったのが本音や。これじゃ、微妙な空気を変えられへんもん。

 ……それとも、話したくないことなんで「何となく」で誤魔化したんやろか?

 って、そんなん考えてる場合やないな。この空気を打開しないと、このままでは ゆーなが『勘違い』しそうやもん。
 あ、いや、別に『勘違い』を止める権利はウチにはないんやけどな? でも、ゆーなとは争いたくないんやからしゃーないやん?
 せやから、とりあえず、ナギさんには「そうですか」と返答したんやけど……空気は変わってへん気がするなぁ。

 ところで、ナギさんが生暖かい目でウチを見とる気がするんやけど、これは気のせいやろか?



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Part.07:不幸は立て続けに訪れる


 人生とは理不尽の連続である。昔、誰かがそんなことを言っていたようなが気がする。

 それはともかく、あの後の経緯を話そう。あの後、恙無く夕食を食べ終えたナギは、裕奈と亜子を女子寮まで送った。
 そして、帰路を急ぐナギの前に何故か あやかの黒服達が現れ「お嬢様がお呼びです」と有無を言わさずに拉致したのである。

 以前(11話)にも同じような展開があったが、今回は地下室に連れて来られたまま移管されていないので前とは違う。

 と言うか、何気にヤバい状況だ。今回こそ、このままバッドエンドへ突入してもおかしくない空気を醸し出している。
 ナギとしては「これは早速『エヴァえもん』の出番かなぁ?」とエヴァ(助け)を呼ぶか呼ぶまいか必死に悩む。
 何故なら、万が一これが勘違いだったりしたら「イチイチくだらんことで呼びつけるな!!」と言われ兼ねないからだ。
 仮に そうなったら、今後 危機的状況(だと思われる場面)に遭遇しても「どうせ また勘違いだろ?」と拒否されそうだ。

(……さすがジョーカー。使えば最強なのに、使いどころが非常に難しいぜ。むしろ、『切り札』なのに切れないぜ)

 エヴァを呼んで助けてもらいたいが、勘違いだった場合を考えるとエヴァを呼べない。
 そんなジレンマをナギが悶々と抱えていると「ギィィィ」と言う重厚な音を立てて扉が開いた。
 そして、扉の先から光を背に負った あやか が悠然と現れた(廊下の方が部屋よりも明るかったのだ)。
 ちなみに、後光効果を狙ったのか、あやかからは後光が差しており、ちょっとした圧迫感があった。
 しかも、その表情が『氷の仮面』を付けているかのように冷たかったので、圧迫感は更に増し増しだ。

「急にお呼び立てして申し訳ありません、『神蔵堂さん』」

 その口調は まさに慇懃無礼を体現したかのようで、まったく「申し訳ありません」と言う気持ちがないのはあきらかだ。
 だが、それでもナギは文句は言わない。文句を言っても仕方がないし、文句を言えるような雰囲気でもないからだ。
 むしろ、気にすべきはナギを『神蔵堂さん』と呼んだことだ。あやかに何かしらの心境の変化があったのだろうか?

「いや、構わないよ。それよりも何の用で呼んだのかな?」

 本当は構わなくないが、今は そんなことよりも「何で呼ばれたか?」を把握する方が重要だろう。
 まぁ、心当たりが無い訳ではないが……先走って墓穴を掘ることは避けたいので確認したのである。
 最近のナギは「的外れな方向に先走った結果、状況が悪化する」ことが多かったので慎重なのだ。

「……まずは、これをどうぞ」

 あやかは少しだけ寂しそうな表情を浮かべた後、再び凍ったような『感情を欠落させた表情』に戻す。
 そして、傍らに控えていたメイドさん(萌え系ではなく本物の)から受け取った封筒をナギに渡す。
 言葉から察するに「中身を確認しろ」と言うことだろう。そう判断したナギは封筒を開けて中身を確認する。

「――――なっ!?」

 そして、それに記された衝撃の内容を理解すると同時にナギは驚愕の声を上げていた。
 先程 心当たりはあると想定したが、事態はナギの想定は大きく超えていたようだ。
 先走って墓穴を掘らなかったが、墓穴は既に掘られていて いつの間にか嵌っていた感じだ。

 言うならば、気が付いたらバッドエンド確定としか言えない事態になっていたのである。

 さて、ここで次回へ続けばアザトイ引きになるだろうから、身も蓋も無くタネ明かしをして置こう。
 封筒の中身は「『神蔵堂 那岐』の変化」に関するもので「ナギが那岐ではない証拠」が連なっていた。
 溺れる前と後の違いを言及している辺り、この資料を作った人物に素直に敬意を表してもいいだろう。

 さて、どうしたものだろうか? ナギは資料を封筒に戻しながら思索に耽る……


 


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オマケ:調査の結果


 これは、4月15日(火)の話。

 停電による生活の不便を口実にして実家に戻った あやかは報告書を読んでいた。
 もちろん、その報告書とは「神蔵堂 那岐」に関する素行調査の報告書である。
 そう、4月頭から始めた監視の報告書と 監視以前に焦点を当てた調査の報告書だ。

(やはり、私の疑念は正しかったようですわね)

 あやかは二つの報告書を照らし合わせ、己の予想が当たっていたことを確信する。
 以前抱いた「彼は、本当に『神蔵堂 那岐』なのか?」と言う疑念に対する答えを、確信する。
 そう、彼――今の神蔵堂 那岐と『彼』――彼女の知っている神蔵堂 那岐は別人である、と……

 ……最初は「そんな訳がない」と疑念を打ち消そうとしたこともあった。

 だが、彼が那岐でないのなら、今まで感じた違和感がシックリ来るのも事実だった。
 蔑ろにされているとしか思えない疎外感に「納得できる理由」を付けられるのだ。
 そう、信じられないような想定なのだが、そこには「信じたい」と言う誘惑があった。
 彼が那岐でないのなら那岐が自分を蔑ろにしたのではない、と言う誘惑があったのだ。

 ……恐らく、相手が那岐でなければ、彼女はやんわりと縁を切るだけに止めていただろう。

 しかし、那岐は彼女にとって掛け替えのない存在であったので、彼女は最大の労力を用いて「妄想としか思えない想像」を証明したのである。
 そう、彼女は「彼は、本当に『神蔵堂 那岐』なのか?」と言う疑念を抱いてから(12話の時点から)、中学入学時まで遡って彼を調べさせたのだ。
 そして、その結果、去年の夏――つまり那岐が溺れた時を境に、那岐がまったくの別人――「彼(ナギ)」になってしまったことを突き止めた。

 すべては那岐を求める執念の為せる業だった、と言えるだろう。

(今の『那岐さん』――いえ、『神蔵堂さん』が何の目的で那岐さんの振りをしているかはわかりません。
 ですが、たとえ どんな目的があろうとも、私から那岐さんを奪った事実は変わりませんから、
 事と次第によっては、とてもではないですが、神蔵堂さんを『許す』ことができそうにありませんわね)

 彼女は、既に那岐とナギを完全に別個の存在として捉えている。つまり、『那岐さん』と『神蔵堂さん』として、だ。

 冗談みたいな話だが、ナギが那岐と入れ替わっているのは彼女にとっては疑いようのない事実となっているため、
 彼女が問題としているのは「では、本物の神蔵堂 那岐はどうしているのか?」と言うものでしかなかった。
 そう、彼女はナギのことなど大して気に止めていなかった。彼女にっと大切なのは、那岐と言う存在だけだからだ。

 ちなみに、映画みたいな想定だが、ナギが変装やら整形手術で那岐の振りをしているのではないかと あやかは睨んでいる。

 彼女は那岐と再び会えるのであれば、ナギが那岐の振りをしていたことを咎める積もりなど無い。
 彼女にとって重要なのは那岐と再会することだ。それ以外のことは『然程』価値を持っていない。
 つまり、神蔵堂 那岐と言う少年は、それだけ雪広あやか と言う少女の心を独占していたのだ。

 もちろん、彼女にその自覚はないし、しばらくも気付くことはないだろう。

 歯痒いことに、彼女にとって那岐は「自分を保つために必要」であるため、今の段階では「いなくなっては困る存在」くらいにしか感じていない。
 彼女は那岐に見捨てられたかも知れない と恐れたことも、那岐の無事を心の底から祈っていることも、何に起因していたのか 気付いていない。
 それらの彼女の乙女な心理が「恋」やら「依存」やらと呼ばれる『もの』に起因していることに気付くには、彼女はまだ己を知らな過ぎたのである。

 だが、そろそろ気付く段階に来ている。会えなかった時間が、その重要性を高めたからだ……


 


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後書き


 ここまでお読みくださってありがとうございます、カゲロウです。
 以前から「改訂した方がいい」と言う意見が多数あったので、改訂してみました。


 今回は「ちょっと原作から離れたら、ネギが活躍しなくなった」の巻でした。

 ここからしばらく修学旅行まで(20話くらいまで)オリジナル展開に入ります。
 特に あやかイベントは、これからの主人公には大事なファクターになる予定です。
 あくまで予定なので、このまま主人公はダメ人間を突っ走る可能性もありますけど。

 どうでもいいですけど、亜子よりも裕奈の方が動かしやすいことに改めて気付きました。

 って言うか、原作から考えると亜子の相方は まき絵かアキラだと思うのですが、裕奈が相方になってますし。
 アイコンタクトについてもチャチャッと終わらせる予定だったのが、普通に会話になってましたし。

 ちなみに、宮元の元ネタがわかった人……凄いと思います。
 敢えて言うなら、「かぐらどう」繋がりの某エロゲです。
 あと、ヒロインが微妙に明日菜に見えるのも関係しています。

 最後になりましたが、そろそろココネ成分が欲しくなって来た自分にビックリです。


 ……では、また次回でお会いしましょう。
 感想・ご意見・誤字脱字等のご指摘、お待ちしております。


 


                                                  初出:2009/11/01(以後 修正・改訂)


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