『私はもう誰も傷つけたくないからっ!
亡くしたくないからぁっ
だから・・・・・・強く、なりたいんですっ!』
『ワラわせる・・・茶番は終わりDA』
『ウワァァァァァァァァァァァァァァッ!
パンツメクレェ・・・・・・』
『・・・フッ・・・チャージなどさせるものか・・・・・・』
ドッゴォォォォォンッ!!!
その日はいつものように某動画サイトで天地魔闘の構えから入るMADを鑑賞していた。
正直俺は、三期は好きくない。
19歳は少女じゃないとか、そういうことが言いたいんじゃなくて、心温まる「リリカル」はどこに言ったんだと主張したいからだ。
一期二期で期待した人が憤るのも判る。
もっとも俺は、『管理局の白い魔王』タグがつくようなMAD見て興味を持っただけにあまり強くは主張できないんだけどね。それでも、一期二期のDVDは二本ずつ買うぐらいには嵌りました。
まあだから複雑なんだ。
三期がなければなのちゃんには会えなかったんだからなぁ・・・。
『なのはさんッ!!
っ?! バインドっ??!!』
『塵一つ残さず消滅させてやる』
おっともう風のランスターさんが消えるシーンか。
改めて思うとこいつも不遇だよなぁ。
才能の塊みたいな人間に囲まれて、焦って追い詰められて先走って粛清されて。
彼女のような人生だけは歩みたくないと思うね。うん、マジで。
そして冥王様から最後の一撃が打ち出されるシーン。
画面は『wwwwwwwwww』と草で埋まり、俺の安アパートに転生トラックが突っ込んだ。
◆
ドッゴォォォォォンッ!!!
全身が痛む。
天には何処までも続く青空。
地には廃墟と化した都市。
そしてその間を縦横無尽に貼られた藍色の帯。
何故だろう?
凄く見覚えがあるんだけど。
そしてそこはかとなーく嫌な予感が。
テンプレ的導入はシンプルにいこうか。
俺、死んだ。
多分、憑依中。
憑依先、凡人。
シーン、頭冷やそうかイベントの真っ最中。
結論 神様死ね。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
全身痛いのはなのは様の攻撃を既に一度喰らってたからか。
この攻撃でティアナさんは茫然自失。その後容赦無い追撃が入るんだよな。
い、いかんこの状況はっ!
見ると凡人から十メートルほど離れたなのはさんは、桃色の魔力光を収束し回転させている。
え?あれ俺に撃たれるの?
とっても痛そう・・・つーか絶対死ぬ!それこそ塵一つ残さずに。
直前まで見ていた動画の無惨シーンが脳裏によぎる。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。もう『やりすぎwwwww』とかコメントしないので許してください!
「ティアッ!!」
スバルか?!
た、頼む親友を助けてくれ。戦闘機人のお前ならできるはずだ!お前しか動ける人間はいないんだ!
「ば、バインド?!」
「そこで見ていなさい」
この役立たずがっ!
こ、こうなったら自分でやるしかない!
超高速思考でなのはさんの魔力弾が収束していく恐怖に耐えながら、両手の拳銃を持ち上げる。
じゅ、呪文はなんだったっけ?
「パ、パ、パンツメクレパンツメクレパンツメクレ!!」
カシャカシャカシャ
ぎゃぁぁぁぁあっぁ、正式名称なんか覚えてないよ。あと魔力切れしてるんだった!
無常にも軽い音を立てる引き金。
「なのはさんっ?!」
スバル、お前親友なら体当たりしてでも止めてくれよ?!
なんで見てるだけなんだ?!
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
空間が破裂する。
俺に出来たのは、遅い来る桃色に背を向けるところまでだった。
一瞬、姉妹の四女を思い出した。
ああ、こりゃ恐怖だわ。
あびゃぁぁぁぁな顔になったのも判る。
そして俺は空を飛んだ。
「・・・・・・模擬戦はここまで。
今日は二人とも撃墜されて終了・・・・・・」
薄れ行く意識の中でそんな言葉が聞こえてくる。
・・・お、お前なんか
なのちゃんじゃ・・・ないやい・・・・・・ガクリ
◆
そこは黒い空間だった。
なんつーの?精神世界的表現かな?
そこにいるのは俺と、身体の正式な持ち主である凡人ことティアナ・ランスターさんだった。
膝を抱え顔を伏せガタガタと震えている。
ははん、なるほど大体判ってきたぞ。
凡人は頭冷やそうかイベントで恐怖のあまり引きこもっちゃった。
そんなところへ死んで魂だけになった俺様憑依ってわけだな納得した。
俺は現状を理解し、ティアナの隣に腰を下ろす。
そして彼女と同じように膝を抱えガタガタと震え始めた。
なんだよ、あれ!
死ぬより怖いってあんなこというんだな!とか暢気に言ってられるか!
ああもうなんでこんなところに来てしまったの?
せめて一期か二期にしてくれればリリカルマジカルだったのに!
もうやだこんな世界。
俺たちはそのまま会話も無いまま現実から逃避し続けた。
いつまでも・・・・・・いつまでも・・・・・・。
◆
ティア、久しぶり。元気してた?
あまりお見舞い来れなくてごめんね。
あたしね、今度災害救助隊の副隊長になるんだよ。だからまた忙しくなると思う・・・。
・・・・・・。
あれから。・・・ティアが眠り続けて、もう五年も経つんだね。
ごめん。あのとき守ってあげられなくて・・・。
あたしティアのパートナーなのに。
ほんと・・・ごめんね。
やっぱり六課に行ったのは間違いだったかもって最近思うんだ。
あの事件の後、六課メンバーの経験不足があちこちから指摘されて即時解散を言い渡されて。今思うと、当然のことなのに誰も気付かなかったなんておかしいよね。
あたしも、あの人と同じ部隊にいられるってはしゃいで、気付かないフリをしてたんだと思う・・・。
うん。・・・あの人とはあれからずっと会ってない。
噂では前線を転々としながら各地を回ってるって。
多分、顔をあわせたら酷い事一杯言っちゃうから会わないほうがいいんだ。
ねぇ、ティア?
あのね、あたしのパートナーはあれからずっと居ないんだ。
背中の特等席はティアの為に空けて待っているんだから早く目を覚ましてよ。
今度は絶対ティアの事、守りきって見せるんだから・・・。
あ、もうこんな時間だ。
今度はエリオやキャロも連れてくるよ。
あの二人ったら最近ラブラブで中てられて困っちゃうんだ。
なんだか、あの子達に先越されちゃいそうだよ・・・フフッ♪
二人の子に「ティアナ」とかつけられたりしてね。
・・・・・名前、取られたく無かったら早く起きるんだよ・・・。
じゃあまたね、ティア。
END① 「永遠に・・・」
あとがき
三馬鹿の気分転換に一時間で書きました。
適当仕様ですいませんorz
あとEND①と書かれていますが体裁を整える為で、続きの予定はありませんのでご了承ください。