「シロウ! 起きて下さいシロウ!」 セイバーの声で泥沼から這い上がるかのように意識が戻る。 なんか、かなり嫌な夢を見ていたように思うんだけど……。「ん……、セイバーか。おはよう」「おはようございます。部屋を抜け出すのは構いませんが、このような場所で寝るのはだらしがないのではありませんか?」 ―――目の前に何か文句の言いたそうなセイバーが立っていた。「いや、昨夜は体が熱くて、外に出ていたらつい眠くなっちまったんだ」「見れば判ります。説明は良いですから、次からは気をつけてください。でなければ、私もそれなりに考えなけれいけませんから」「……例えば?」「布団をこちらに移します」「う……すまん、今後は出来るだけ部屋で休む」「判っていただければ助かります。ところでシロウ、既に7時を回っていますが朝食を取らなくていいのですか?」「え―――もう7時過ぎてるのか……!? やばい、寝過ごした……!」「そうですね。シロウが最後に起きるのは珍しい。よほど昨夜の凛との鍛錬が堪えたのでしょう」 冷静に分析されても、こっちにはそんな余裕は無い。「起こしに来てくれて悪いが、先に戻っていてくれ。俺もすぐに着替えていくから」「はい。それでは、大河の相手でもしているとしましょう」セイバーは落ち着いた足取りで去っていった。 居間に駆け込む頃には7時半前になっていた。 「あら、おはよう士郎」 朝食を取る前だというのに、遠坂と藤ねえがお茶を飲んでいた。「すまん、寝過ごした!今飯作るから……!」「とっくに終わっちゃったわよ」 通り過ぎざまに藤ねえが思わぬ一言を口にした。「……え?」「士郎が寝坊なんかするからアーチャーさんが気を利かせて全部やってくれたわよ」 台所に目をやる。確かに食器を洗うカチャカチャ言う音が響いている。「―――うわ、やっちまった」「おや、シロウ。おはようございます」 手を拭いながらアーチャーが台所から出てきた。丁度終わったところなんだろう。「悪い、アーチャー。手間掛けさせて……」「いいんですよ。6時半を過ぎた時点で既に私が作り始めましたから」「おいしかったわよー、アーチャーさんの作るスクランブルエッグ」「ありがとうございます、大河。ところで、シロウの朝食なんですが……」 言いながらアーチャーはダイニングの上を指す。そこには焼かれたトーストが2枚あるのみ。「あれだけになってしまいまして……」 バツがわるそうにそう言った。「えぇ!?」「当たり前です!寝坊したのは士郎のせいなんだから朝食のありがたみは身を持って知りなさい」「……と、言って大河が全部食べてしまいまして」 視線の隅で遠坂とセイバーが頷いてるあたり、同意見なのだろう。 遠坂などこっちを睨んで、 ―――パンかじりながら走って行かないと間に合わない時間なんだから諦めろ そう言っている気がする。 ……いや、うん、たぶんアーチャーが居なかったら俺が同じ事を言っていた気がすごくするのは気のせいだろうか。 /// /// 道場では快音が響いていた。 今日は私も学校を休んで集中的に士郎の特訓に掛かるわけだが、「……うおっ!?」 スパーン! という爽快な音と共に士郎はセイバーの竹刀に叩かれた。「いってー……」「どうしたのですかシロウ! 全く集中できていないじゃありませんか!」「しょうがないだろ、まだ本調子じゃないんだから」「何を軟弱な事を。それとも、凛達が気になるのですか?」 どうやら見学に来ていた私たちに二人に気を取られて集中できていないらしい。 確かに人がいて戦いに集中できないなど馬鹿だ。素人の試合じゃあるまいし、意識を集中して目の前の敵に向かわなければ実戦など生き残れない。「あぁ、私達のことは気にしなくていいわよ」「えぇ、試合とはいえ目の前の相手から意識を逸らすのはいけません」 私は手を振りながら、アーチャーの方はまるでコーチか何かのように腕を組んで見つめている。 「その通りです。なんとなれば、二人が気にならないようにするのみです!」「ちょ……ちょっとまて、まだ息が」「そんな物は戦いの中で整える物! 行きます!」 次の瞬間、士郎の脳天に一撃が決まり士郎はまたも失神した。「………やれやれ」「―――やれやれ」 アーチャーとセイバー、二人のため息が道場に消えた。セイバーは落胆を、アーチャーは若干の含みを持って。 しかし、それ以降は士郎が奮起したようで、私達の事等眼中に無いようにセイバーと打ち合い始めた。時々アーチャーが士郎の剣筋に口を出してはセイバーが余計な口を挟むなとアーチャを睨み付け、アーチャーが苦笑いという繰り返しが続く。 そんなド突き回される士郎を眺めていると一気に昼になった。まぁ、今日の失態を考えれば妥当なところだろう。 アーチャーが準備しなければ朝食はパンのみという事態になりかけたのだ。 もちろん、今朝のペナルティは昼ご飯を作るという形で絶好調継続中。このくらいのペナルティは甘受してほしいな。「けどアレよね、セイバーってほんとに冷静よね。3時間も士郎と試合してて、眉一つ動かさないんだから。 普段も無口だけど、戦闘時はさらに磨きがかかるっていうか。なに、もう無機質? みたいな感じ」「無機質、ですか……? そうですね、そう意識したことはありませんが、剣を握っている時は感情を止めているのかもしれません。それは試合といえども変わりはないのでしょう」「ふうん。なに、それって女の身で剣を持つ為の心構えってヤツ? 体格で劣っているから、心だけは負けないようにって」「それは違います、凛。冷静であるのは戦うときの心構えですが、それは男も女も変わりの無いことでしょう 凛とて戦闘時には情を捨てる筈です。貴方はそれが出来る人ですから」「む……言い切ってくれるじゃない。まあ、そりゃあ事実だけどさ。けど、セイバーのは私とは違うわよ、絶対。私は捨てるのは甘さだけだもの。貴女ほど達観は出来ないわ」「……本当に甘さだけなんでしょうかね」「うるさい、……アーチャー」「ふふ、そのようですね。だから貴女は華やかなのでしょう。戦いの中でも女性のしなやかさを保っていられる」「何よ、嫌み? 華やかさでいったらあんたたち二人に敵うわけ無いじゃない。……士郎があっちにいるから白状するけど、わたし、初めて貴女達を見たときすっごい美人だなって見とれたんだから」 女性としての優劣として私は負けている。威厳とかそういう部分を抜きにして私は二人に追いつけない。 だが、セイバーはそれを勘違いだと一蹴、アーチャーは相変わらず笑みを浮かべて眺めているだけ。 それは何でもない日常の雑談。台所から聞こえてくる苛ついた包丁の音は無視するとして、今この時確かに時間はゆっくり流れていた。 /// /// 凛がシロウに鍛錬として課題を押しつけた後、私は凛と共に土蔵へ足を踏み入れていた。 シロウを起こす以外でここに入るのは久しぶりかもしれない。ここには私を呼び出した魔方陣以外は、シロウの積み上げたらしい雑多な荷物が散乱しているだけなのだが、凛は何かここに意味を見いだしたらしい。 踏み込むやいなや凛はそこら中のガラクタをひっくり返しはじめ、驚きを露わにしている。最終的に怒りと共に、「信じられない」 という一言で締めくくった。「―――何者よ、アイツ」 現状は私の思っているよりも深刻だった。 それはシロウの魔術。 等価交換であるはずの魔術の法則を無視して在る物が、この土蔵に散乱するガラクタの山。 おそらく凛が思っているシロウの実力は強化しかできない半人前。しかし、この土蔵の品を見る限り、シロウは凛の知らないところで何らかの魔術を修めていたということになる。もっとも、その出来映えはお粗末につきるのだが。「士郎の奴、いったい何の魔術を習ってたのよ。劣化した魔術でこれほどの事をやってのけるなんて」 怒りを隠しもせず凛は声を上げる。次の瞬間にはシロウを怒鳴りつけに行きたいのだろう。だが、シロウのプライベートに踏み込んでいる身としては、それも憚られる。 ふと、凛が顔を上げた。「…………アーチャ、いる?」「いますよ」 二人だけだった土蔵、凛の傍らに唐突にアーチャーが出現した。「見当違いを承知で聞くけど、貴女この事知ってた?」「この事……とは?」「―――っ! はぐらかさないで!」 バン、と柱を叩いて凛が激昂する。「―――――」「あのね、私が聞きたいのは答えだけよ。士郎が投影魔術を学んでたって事、貴女知ってたわね!」 な、何を突飛なことを言い出すのだ、凛は!? アーチャーがシロウの学んでいる魔術の事など、どうやって知ることが出来ると?「いえ……初耳ですが。それに魔術に関わることは私より貴女の方が詳しいはずでしょう、凛」「よく言うわ。マスター蔑ろにして士郎の護衛に柳洞寺に付いていったサーヴァントだもの。こんな土蔵に入るなんて簡単にやると思ってるんだけど?」「…………凛、ずいぶんと棘がありますね。よほど士郎の魔術が異端な事が腹立たしいのですか」「当たり前よ。それに輪を掛けて、今更だけどあんたが士郎にどれだけ入れ込んでるかを考えたら、はらわたが煮えくりかえりそう」「―――――」「貴女言ったわよね、正体についていつか話すって。セイバーとも因縁深そうだし、丁度いいわ。 今この場で貴女のことを聞かせなさいよ」 アーチャーの顔から表情が消えた。「凛、今説明するのは得策ではありません。時期が来れば私の方からお話しすると……」「いい加減、私の我慢も限界なのよ。いいわ、話さないって言うなら私も相応の事をするまでよ」 言うなり、凛は右腕をまくり上げた。ソコに光るのはサーヴァントを律する令呪。馬鹿な、そんなことの為に令呪を使う気か!?「凛! 令呪をそんな事の為に……!」「セイバーは黙ってなさい。これは私たちの問題よ」 凛が令呪をまっすぐアーチャーに突きつける。「令呪において――――」 ガッ、と一瞬で凛はアーチャーに腕を捕まれていた。 早い! 一瞬動きが見えなかった!「――――っ!」「凛、落ち着いてください。貴女らしくもない」「誰のせいだと思ってるのよ」「重々承知しています。しかし、今明かせば貴女は間違いなく後悔する。この小さな生活を壊してまで優先する事ではない」「……………………」「――――――――」 沈黙が続く。……5分か……10分か、緊張の糸が張り詰めたまま時が過ぎる。 アーチャーの正体を知りたいのは私も同じ。彼女が私にこれほど似るには相応の因縁があるはずだ。 しかし、凛は令呪を使ってでもアーチャーに自白させようとするとは。彼女もアーチャーについて何も聞いていないのか。『―――来い! ――― セイバー!!!』「―――!!」 脳裏に、シロウの声が響いたのはその直後だった。 /// ///「―――シロウ!?」 唐突にセイバーが叫んだ。 振り返るとセイバーの体が光に包まれ、一瞬のうちに消失する。「な、何事!?」「シロウが令呪でセイバーを呼び寄せたようですね。おそらく学校の結界が動き出したのでしょう」「がっこ……って、何で士郎が!?」「先ほど電話が鳴っていたのに気づきませんでしたか? 恐らく間桐慎二あたりが電話を掛けてきたのではないでしょうか」「―――アイツが!?」 でも結界の完成にはまだ余裕があったはずなのに、……それに……って、何でアーチャーがそんな事を知って……、「行くのですか? 行かないのですか?」「え?」「学校の結界が動き出した。そして今、学校は授業中の筈です」「―――!!?―――」 アーチャーの背負われて、私達はまさに飛ぶように住宅地を駆け抜ける。 認識阻害の魔術は最小限。誰かが気づいたとしてもサーヴァントの足だ、一瞬見えた程度では何か判別する事も出来まい。「ところで、何だって慎二だと解るのよアーチャー!」 風を切って"跳ぶ"アーチャーの耳元で、私は怒鳴る。腑に落ちない点はいくつも在る。 アーチャーがセイバーが令呪で喚ばれたという事柄だけで、何故慎二が関与していると断言したのか。「現時点で我々と明確に戦う意志のあるのはライダーと間桐慎二だけです。キャスターがわざわざ陣地を出て学校に来るとも思えませんし、バーサーカーの活動はこんなに回りくどくありません。ランサーの関与は疑わしいですが、彼や彼のマスターが衛宮邸の電話番号を知る者とは到底思えない。 それに、結界を見る限りキャスターの線は早々に消えてました。食らいつくすだけの魔術は引き籠もるキャスターの性格からしてありえない。ならば他に魔術に長けたサーヴァントを考えるとライダーしか思い当たりませんから。 とすれば、シロウが我々に声も掛けずに飛び出す理由として一番有力なのは、間桐慎二が電話で何者かを人質に取ったと言った場合。そして、それは結界に捕らえた学校にいる生徒、教職員の全員に他ならない。 シロウの事だ。一人で来いと言う指示を文字通り実行したに違いありません。だとすれば、自尊心の荒い間桐慎二は見せつける為に結界を動かした。 結果、一人で挑み敗れ、最後の切り札としてセイバーを召喚した。 理由も動機もはっきりしている点で言えば、これ以外に思いつきませんよ!」「―――――」 すらすらと自分の考えを述べるアーチャーに私は面食らってしまう。 普段抜けているようで、頭の中にはマスターやサーヴァント全員の性格や行動を叩き込んでるってわけ?「それに、凛もうかつすぎます。シロウに黙って土蔵などを覗きに行くから緊急事態を予見できなかった」「……何よ、私だって士郎に魔術を教える足しにする為に見に行ったのよ。それがあんな……!」「えぇ、別に責めたりはしません。起きてしまった原因より今この状況を打開する方が先ですから! ……それに私も同罪だ。判りきっていた事を説明もしなかった」 悔しそうに歯を噛みしめるアーチャーに妙な違和感を覚える。 "解りきっていた"とは? この状況を? もっと別の? ……何を? いつから? 学校に到着したときには、そこは惨憺たる有様になっていた。 至る所で生徒や教師が倒れ伏し、なかには皮膚が溶解している者もいる。 それに、到着する直前に学校から飛び出してきた一条の光。たぶんあれはライダーの宝具。 ライダーの飛び出してきた3階の廊下はものの見事に吹き飛んでいる。瓦礫と化した塀の下、セイバーが覆い被さった形で二人は倒れていた。「士郎! セイバー!」「無事ですか! シロウ!」 吹き飛んだ瓦礫に埋まった二人を掘り出す。「……う、っく」 セイバーの方はすぐに意識を取り戻した。さすがにセイバー、波の頑丈さじゃないわね。「……凛、アーチャー」「貴女は無事なようね。一応聞くけど何があったの?」「ライダーです。マスターと共に結界を発動させていました」 アーチャー予想通り、という事か。 セイバーに押し倒された形の士郎はボロボロだった。案の定、慎二に単身挑み、ライダーにボロ布のようにされたらしい。 意識を失っておりすぐに起きる様子はない。まったく、コイツは……。「さて、士郎は運ぶとして綺礼にフォローの連絡いれますか」 ため息混じりに、私はその場を後にした。 士郎を居間に運び込み、一応治療をする。といっても、士郎の体はバーサーカーの時と同様にかなりの早さで自己修復していく。 致命的な部分は戻ってくるまでにほぼ塞がってしまった。 出来る事と言えばこの馬鹿が意識を取り戻すまでぼんやり眺めているくらい。「……ったく、人にこれだけイラつかせといてアンタは暢気に気を失うなんて、自分勝手な奴」 言いたい事は山のようにある。しかし、叩き起こしてまでブチ撒けてもしょうがないし。「う……うぅ、っく」 ひたすら何かに耐える表情で苦しむ士郎を見ていたら、言いたい事より心配が先に立つ。 セイバーは道場の方に行ってしまったし、アーチャーはといえば、「――――――――」 士郎を挟んだ反対側で正座して静かに瞑想している。結局コイツにも色々聞きそびれてしまった。 仕方ない、問いただすのは次回にしよう。……あぁ、また頭痛がしてきた。 それにしても、アーチャーもセイバーも落ち着いたものだ。士郎の容態が安定するやセイバーは道場へ、アーチャーは目の前で瞑想を始めてたし。たぶん、セイバーも道場で同じ事をしているのだろうか。「…………もぅ、あたしホント蚊帳の外じゃない」 自嘲気味につぶやく。 時間はもうすぐ10時を回ろうとしている。ただひたすら待つだけの、恐らく今日ほど無為な時間を過ごした事はない。 士郎の症状は苦しんだり落ち着いたりの繰り返し。 ……私はいったい何をやっているんだろう。 私は魔術師であり由緒ある遠坂の一人娘。冬木のセカンドオーナーで、聖杯戦争に参加する正規の魔術師の一人。 目的だけを取るならば彼には早々に脱落して貰うべき。今なら私の魔術で令呪を切り離し、セイバーを私の物に出来る。 もし実行すれば最大戦力の三騎士のうち二人が手に入り、早々にこの戦争に決着を付ける事も可能かもしれない。 でも、そんな真似はできない。何より遠坂の娘としてのプライドがそれを許さない。 それに、魔術を教えると約束してしまったし、なにより…………、「うっ……あ」 ったく、変なタイミングで目を覚ますんだから。「―――――外、暗いな」 ぼうっとした顔でそんな事をのたまわりやがりました。 上半身を起こした士郎に、私は溜まり溜まった怒りをぶつけるように口を開く。「外、暗いな――――じゃないわよ、この恩知らず。目が覚めたらまず言うべきことがあるんじゃない?」「――――遠坂、なんだ、いたのか」 コイツは……ホントに…………「いたのか、じゃないわよ。アンタの真横でずっと看病してやってたのに、ずいぶんな態度じゃない」「すまない。どうも頭が固まってる。うまく物事を考えられないんだが……とにかくありがとう、遠坂。またおまえの世話になっちまった」 ま、あれだけボロボロにされた後だ。しょうがあるまいか。 直後にあの戦場を思い出したのか、その後の事を聞いてきたが、その点は問題ない。 死者はでなかった。それが奇跡ともいえる救い。もっとも衰弱状態の度合いは半端ではない。若干の記憶障害の残る物もいるだろう。だが、結界があと少しでも解除されるのが遅れれば…………、出来れば考えたくはない。「大丈夫そうですね、シロウ」「あぁ、まだ節々が痛むけどな……」 アーチャーは安堵の笑みを浮かべ、何とか立ち上がろうとする士郎を当然のように補助する。 ふらつきはするが骨の方は大丈夫らしい。やれやれだ。「遠坂、セイバーは?」「道場にいるわ。私は部屋に荷物取りに行ってくるわね」 不肖の弟子が一応無事だった事にようやく肩の荷が降りた気がする。 気づけば鼻歌を歌いながら、部屋で頼まれたセイバーの替えの服を取ると道場へ足を向けた。