高層マンション 最上階フロア
ここは、令子との模擬戦の後に冥奈によって準備されたマンションである。このマンションの最上階のワンフロア丸ごとが横島君たちの当面の住居となる。
「で、今日の予定は?」
はやての作った朝ごはんを食べながら横島君がそう尋ねる。
「え~とやな、忠夫君は朝ごはん食べた後に六道理事長と打ち合わせのために六道女学院やろ。私たちは街の様子見して、細かい日用品を買ってくる。ってとこやな。たぶん、忠夫君のほうはこれからのことを話し合うはずや」
「だろうな~。あの人が手ぐすね引いてる気がするよ。ま、お袋ほどじゃないけど。おおかた何かしらで協力しろってことじゃないかな?」
そういいながらヴィヴィオの口の周りを拭く。ヴィヴィオはニコニコしている。
「まあ、忠夫君なら大丈夫だよ」
「うん、なのはの言うとおりだよ。タダオ、しっかりね」
なのはとフェイトが微笑ましそうに二人を見ながらいう。というより、チビッコズとザフィーラを除いた面々が微笑ましそうに見ていた。同時に羨ましそうだったが。どうやら自分たちもしてほしいらしい。
それからしばらくして、朝食を終え六道女学院に向かう横島君。
もちろん、周囲をうろついている六道家のシークレットサービスには気づいているが、害意がない以上は放っておく。そのまま、歩き続け六道女学院に到着。
「なにも理事長自ら迎えにこんでも・・・・」
「だって~待ちきれなかったんですもの~」
少女のように楽しげに笑う冥奈。その仮面の下の陰謀をめぐらせているのに気づいている横島君だが・・・
(ま、ここでどうこうする意味ないし。あんのときの評議会の老害に比べりゃ子供の遊びみたいなもんだし)
などと考えていた。
理事長室
「それで~早速なんだけど~」
理事長室到着後、出されたお茶を飲んだりしていると冥奈が話し出した。
「ウチの~子達に~戦いを教えてほしいのよ~」
「・・・・はぁ?あの、ウチの子達って六道女学院の霊能科のですか?」
「そうよ~」
そういわれた横島君は首をひねる。
「そっちにもそういう教師はいるでしょう?なんで俺なんです?」
「だって~あの令子ちゃんに~勝ったんですもの~。十分その資格が~おぼさんは~あるとおもうのよ~」
「・・・・まあ、それはいいとしてウチは人数多いんですよ?給料は・・・・」
「あと~GSとして働いてみない~?」
先ほど以上の爆弾を平然と投げ落とす冥奈。横島君はため息をつく。
「俺たちの使う魔法が悪霊に効くかわからんのに・・・って、それを調べるつもりですね?・・・・・はぁ~、まあ調査のうちかな~。あ、でもそっちの除霊道具は使いませんよ?神通棍はまだしも霊体ボーガンなんてモロ質量兵器ですし。破魔札マシンガンや精霊石弾頭バズーカなんか俺たちからすりゃ違法どころか即時回収・破壊対象なんですから」
そうして話し合っていると、冥奈の娘である六道冥子が部屋に入ってきた
「お母様~、用事ってなに~?あら~?あなたはどなた~?」
「(理事長以上にぽややんとした娘やな)ああ、俺は横島忠夫。理事長に世話になっているんだ」
「ふ~ん」
冥子のぽややんぶりに内心であきれつつ挨拶する横島君。冥子は興味津々とばかりに横島君をじぃ~っと見つめている。
「ん?影の中から気配?」
「あら~みんなに気づいたの~?みんな~でてらっしゃ~い」
冥子の影から飛び出してくる六道家に代々伝わる12体の式神、十二神将が現れる。
「へぇ~。これが式神かぁ~。使い魔とか守護獣と同じ様な存在ってのは聞いて分かったけど・・・・実際見ると感慨深いなぁ。ん?まてよ・・・・これだけの式神を使役できるって相当エネルギー食うはずだよな?なのに全然疲れた様子がない・・・ってよりめちゃくちゃ余裕!?どんだけキャパ高いんだ」
「?」
冥子が首をかしげている。
「ん?どうしたの?えっと・・・」
「あ~、わたし~六道冥子っていうの~。よろしくね~」
「あ、うん。それで冥子・・・ちゃん?どうしたの?」
冥子の呼び方に一瞬悩みながらも『ちゃん』付けで呼ぶことにした横島君。冥子は不思議そうにこちらを見てくる
「えっと~、みんなのこと~怖くないの~?みんなを~初めて見た人は~みんなを~怖がっているのに~」
「ああ。そういうことね・・・・うん、怖くないよ。だって、その子たちは冥子ちゃんの言うことをよく聞きそうだしね。それに・・・」
近づいてきた犬の式神、ショウトラを撫でる横島君。
「みんな言い子みたいだしね?」
そう言うと冥子の顔がパッと明るい笑みを浮かべる。
「うん~。みんなと~っても~いいこなの~」
そうして和やかな雰囲気ができ始めたあたりで・・・
「そうだわ~。横島君~」
「はい?」
ショウトラを撫でる手を止めることなくそちらを見る横島君。
「これから~冥子の~除霊が入っているんだけど~実際の除霊を~見てきたらどうかしら~?場合によっては~そのまま除霊を手伝ってくれたら~報酬も出すわ~」
そういわれ考える横島君。
(確かに百聞は一見にしかずっていうしな~。魔法が効くかも知っておきたいし・・・ここは受けておいたほうが無難だな)
「わかりました。冥子ちゃん、よろしくね?」
「うん~。冥子~忠夫君と一緒に~がんばるの~」
それから数十分後
六道家の車で現場であるマンションに到着。冥子が依頼主と話ている間、バリアジャケットを纏った横島君はサーチャーを飛ばし建物内の様子を探っていた。
「えっと・・・各階ごとに雑霊ってのは数十体に最上階にはリーダー格の悪霊が一体、それに近い強めのが三体か。どうするんだろ?」
「忠夫君~行きましょ~」
「了解っす」
建物内に入ると悪霊たちが一斉に襲い掛かってきた。それに対し横島君は生成した10個のスフィアから次々と魔力弾を打ち出す。一発の威力はA+ていどの魔力弾が次々と悪霊に当たり悪霊を吹き飛ばす。
「効果ありか。でも、雑霊だしなぁ・・・・どこまでの霊に通用するか」
その隣では冥子がバサラに霊を吸い込ませていた。
そんな調子で最上階である15階を目指す。
途中で魔力弾以外の攻撃も試したがおおよその攻撃は十分通用した。
「ふ~・・・あとは最上階のみかぁ。結構しんどいな~」
「あとは~最上階の~悪霊を倒して~霊を呼び込んでる窓や壁に~お札を貼っておしまいね~」
現場でもぽややんとした態度のままの冥子にどう評価を下すべきか悩む横島君。
(アレは素なのか計算してるのか・・・・理事長のはほとんど計算だろうけど冥子ちゃんの場合は・・・・もともとこうなんだろうな~。大物なのかな~んにも考えていないのか・・・・微妙だな~)
最上階に入ると今までの階同様一斉に襲い掛かってくる悪霊。しかしここの霊たちは今までとは違った
『あの女じゃ!!あの女を狙うんじゃ!!男と獣より断然弱いぞ!!』
『あの女を殺すんじゃ~!!』
一斉に『冥子』に襲い掛かったのだ。
「きゃあ~!こわいの~!」
「・・・・悲鳴すらものんびり聞こえるってじゃなくって!冥子ちゃん下がって!!」
「きゃ~!きゃ~!きゃ~!」
「聞いてないし!?」
「いやなの~~~~~~!!」
そう冥子が叫ぶと同時に
(なんかものすごくいやな予感!!?せ、戦術的撤退!!)
近くの窓ガラスを突き破り逃げ出す横島君。その直後
ちゅどおおぉぉ~ん!!
冥子の代名詞ともいえる式神の暴走、『プッツン』が起きた。もちろん暴走した式神の攻撃を防げる悪霊などいるはずもなく、悪霊は見事除霊された。ただし・・・
「ああ・・・マンションが・・・マンションが・・・・」
「うっわ~・・・・実質一人でマンション壊しちゃった」
「え~と~・・・また失敗しちゃったの~。お母様に怒られちゃうわ~」
呆然となる依頼主にきれいに崩れ去ったマンションを見て冷や汗を流す横島君。冥子はただ一人別のことを心配していた。
数十分後 六道女学院理事長室
「また『プッツン』して~!!あなたって子は~~~!!」
「お母様ごめんなさい~~~!!おこっちゃいや~~~!!」
「・・・・・・報酬もらったし帰ろう。うん」
見ているだけでも疲れるほどのんびりした口調で繰り広げられる冥奈による説教から逃げるように帰宅する横島君。
家に着くとモコモコな犬のきぐるみを着たヴィヴィオに迎えられ癒される横島君であった。
「ただおパパ~、ヴィヴィオわんわんになったの~」
「あ~ヴィヴィオこっちにおいで~。お~、よしよし」
「えへへ~♪」
なお、それを見ていた横島ハーレムのうちからなのは、フェイト、はやてがその晩、露出度多めなきぐるみ(なのはが白猫、フェイトが黒猫、はやてが虎猫)を着た横島君の部屋を襲撃。一晩中猫の鳴き声が横島君の部屋から響いていた。
あとがき
どうにか書き上げました。
あの親子のしゃべり方は面倒くさい。ただでさえ横島ハーレムが多すぎてどうかくかで頭が痛いのに・・・・orz。(人それを自業自得という)
戦闘描写がかなり適当になっているような・・・・うぅ。
次はもう少しうまく書けるよう努力します。
次はおキヌちゃんとの遭遇のお話ですかね。
それでは、また次回をよろしくおねがいします。