六女 講堂
講堂に集まった生徒たちを前に肩をすくめる横島君。
(こりゃ、そうとー嫌われたなー。やりすぎたかな・・・アカンわ)
前回行った模擬戦という名の無双、それの影響でかなり印象が悪くなったようである。だが、横島君とて何の考えもなく暴れまわったわけではない。
(でも、ここで意識改革せんと死人を量産することになりかねんしな~)
一度息をはくと、講堂を一度見渡しつつ口を開く。
「前回はお疲れ様。まあ、この様子じゃさらに嫌われたらしいけど・・・とりかえしがつかない事態になる前に一度手を入れておきたかったんだ」
一番前に座っているー前回挑戦してきたー生徒に顔を向け
「君はあのときどんなことを考えながら戦ってた?」
と質問する横島君。それに対し女子生徒は・・・
「何を考えていたか・・・・ですか?それは母校の誇りを傷つけないようにとか」
「うん、あとはありそうなのは「私は○○家の跡取りだから」とか成績のことが大半かな。でもね・・・・それじゃあ、君たちいつか死ぬよ?」
その発言に固まる空気。そして、横島君に集中する怒りに満ちた視線。
「おーおー、視線がすごいことになっとるな~。でも、これは事実や。君たちが目指しているGSは悪霊や妖怪を退治する仕事や。とくに理性のない暴れまわるだけの悪霊には君たちがどこの家の跡取りだとかどこの除霊科の出身かなんて関係ないんや。それだけやない、もし、相手が精神攻撃を仕掛けてくるタイプの敵だったらどうするんや?今の君たちは・・・格好の餌やで?」
そういわれさらに怒りを燃やす生徒と冷静になり考え込む生徒に分かれる講堂。
「それにこの間の模擬戦、こっちは結構手加減してたんやで?そっちの連携も見たかったから結構隙も作って見せたし・・・なのになんで一発も当てられんのや?」
そういいながらデバイスから映像を取り出し放映する
「たとえば、ここだな。わざと防御をしないで突っ込んだのに霊波砲で足止めするでもなく術で拘束するでもなく・・・やみくもに突っ込んできた。それもバラバラに。これじゃあ、チャンス潰してるだけだよ」
その後も次々とダメ出しをする横島君
「あとは・・・クラス単位の連携の欠如かな?各クラス内での連携は悪くないのに別クラス、他学年との連携がほとんど皆無ってのも問題だね」
そう言い終わり講堂を見回すと、生徒たちが砂の柱と化していた。
「それで・・・これらからそれを踏まえたうえで授業を行って言おうと思ってる。まあ、連携だとかそういったもんは教えられてどうなるものでもないし、じっくりと自分たちで答えを見つけていけばいいさ。俺はその手伝いをするだけだけど」
徐々に講堂の生徒たちの目に力強い光が戻ってくる。
「いまはどうすればいいか?どうすれば連携がうまくいくか?それをみんなで話し合うといいな。あとは役割分担とかを決めておくといいかもね」
そういいつつ時計を見るがまだ五分ほど時間はある。
「それじゃあ、最後に一つ。これから生きていく君たちにしっかりと覚えておいてほしいことがある。世界はいつもこんなはずじゃなかったって思うことばかりってことをね。君たちよりいろいろ経験重ねてるから言えるけどほんと、こんなはずじゃなかったってことばかりだよ」
思い出すのは人生の歯車が狂った結果として、犯罪を行った者たちの後悔に満ちた表情の数々。
「君たちはそんなことにならないようにな」
そういうと同時に授業終了のチャイムが鳴った。
帰宅時、どこからわいたのか大量の悪霊と遭遇する横島君。
「こんなところにこんなにいた記憶ないんやがな!グローリー!」
『OK、set up』
デバイスを展開し襲いかかってくる悪霊を次々と蹴散らす。
「シュートッ!」
魔力弾の雨を降らせ最後の悪霊を仕留め溜息を吐く。
「どうなっとるんや?・・・・ん?」
視線を感じそちらを見るが誰もいない
「どうにも気になるんやけど・・・どうにもならんか」
そうつぶやくとそそくさと家路を急いだ。
「ふぅん・・・人間にしてはおもしろいじゃないかい。少し楽しめそうだね」
それを見送った人物はそういうとその場から姿を消した。
その夜、ナカジマ姉妹の襲撃を受けた横島君の哀れ(?)な叫びが響いた。
これより下は壊れキャラな雄介の苦労話を少し(本編短い・・・orz)
それゆけ、僕らの第1部隊
先日の会談から一週間、怒涛の勢いで人員集めと名簿作成、装備品の発注などを行った第1部隊隊長の雄介。隊員たちがおおよそ男女で半分ずつ。仲も悪くはなさそうだ。しかし、問題が発生した。それは・・・
「・・・・これだけ?」
倉庫に搬入された装備の数を見て呆然とする雄介。視線の先には、破魔札マシンガンが2丁に予備弾倉が4つ、GSも使うことがある対霊用のハンドガンが2丁に予備の弾倉が5つ、粗悪な精霊石を粉にし爆薬とともに詰めた手榴弾が3つ。
「これ・・・二人分の装備だぞ?俺が発注したのは30人分だー!!」
「三佐!落ち着いてください!!工藤三佐!!」
「離せ!離せ、伊隅一尉!!離せー!!」
「三佐、どうにも我々が発注した装備が他の組織にくすねられたようです」
担当部署に文句を言いに行こうとする雄介を羽交い絞めにする女性隊員と雄介にいらぬ追伸を言う女性隊員。
「宗像二尉!それは本当か!?」
「ええ、もっぱらの噂ですが・・・」
そう言われブルブル震えだす雄介。
「あの・・・三佐?さんさ~?」
男性隊員が雄介の目の前で手をひらひらさせる。
「づぅおこの組織だぁー!!」
「うぉ!?ブチギレ三佐降臨!?」
「退避!退避!!少しでも(暴走の範囲から)離れるんだー!!」
怒りの咆哮をあげ駆け出す雄介。その進路上にいた隊員たちがあわてて飛び退く。
「あべしっ!!」
それを避け損ねた一人の男性隊員が撥ね飛ばされる
「山田二等陸士ぃ!!」
「俺・・・故郷に帰ったら家業の八百屋をつぐんだ・・・ガクッ」
「やーまーだー!!・・・・以上、戦争漫画でありがちなシーンでした」
とっさに寸劇を行う隊員。ただし、山田二等陸士は撥ねられたときに空のコンテナに頭をぶつけ床に伸びている。その指が「犯人はサンサ」と書き止まっている。
山田二等陸士、この部隊にいるギャグ要員の一人である。
その頃、怒り狂った雄介は担当部署に殴りこんでいた。
「こっちが発注した装備をくすねた馬鹿野郎はどこの連中だ!!」
「あ、え、その・・・・ICPOの・・・」
担当者、雄介のあまりにもすさまじい形相にガクブル。
「ICPOぉ?つーことは・・・・オカGか!!?あれまだ日本で発足してねーだろ!?どういうこった?」
「さ、さあ・・・自分には何とも・・・・」
首をひねる雄介。すると・・・
「工藤三佐、これを・・・」
「手紙・・・?差出人は・・・・米軍?」
その場で封を切り読み始める。
「・・・・へぇ?どういうわけか知らないが気前がいいじゃないか・・・」
近くの電話を借り相手先に電話をかける
「もしもし・・・ああ、そうだ。差出人は知らんがアンタの上役だろ?いきなりかけてきた人間の名前がわかってんだ。それしかないだろうが・・ああ、その件だが・・・YESとあんたの上役に伝えておいてくれ。こっちも上を何となして見せる。なんならいつものごり押しで頼む・・・それじゃあ、頼んだぜ」
受話器を置き肩をすくめる。
「連中、なぁに企んでるんだか・・・ま、今の状況なら願ったりかなったりか・・・さてと、上をどうやって説き伏せるかな」
面倒くさそうに、しかしどこか楽しげに去っていく雄介の背中をほかの面々は呆然と見送った。
あとがき
・・・・あるぇ?メド姐さんがほとんど出てない???
やっべぇ、新型にかかったせいで頭が変になったかな?
つ、次は・・・吸血鬼親子の大喧嘩だからもう少し量増えるはず。その次は横島君のハーレムにおける日常だし・・・
つ、次もがんばります!(アカン、自信なくなってきた・・・)