『Muv-Luv ALTERNATIVE ~復讐の守護者~』
「復讐編:二章-03」
1998年8月――
それは、ここ数十年の凄惨な歴史の中でも、最も色濃く、おぞましき恐怖と共に記されるだろう。
滴り落ちる赤いインクは、羊皮紙にじわじわと染みこみながら、けれどその字句をハッキリと辛辣に現実を指し示す……。
――――BETA 日本上陸。
新疆ウイグル自治区喀什。世界で一番初めにBETAのハイヴユニットが着陸した場所であり、今も尚、世界最大級の脅威を誇る、帝国軍戦略呼称甲1号目標が存在するその場所。
同ハイヴよりあふれ出したBETAは、1983年に西欧へ向けて西進、翌1984年には南進を開始した。そして、実に六年もの侵略の後、続く1990年には本格的な東進を開始。
東進したBETAの向かった先は主に三つ。チベット高原を南東に抜け、ミャンマーへ向かう勢力。ゴビ砂漠、モンゴル高原を抜けて北東のソ連へ向かう勢力。
……そして、中国を横断し朝鮮半島へ向かう勢力……。
当然、予想された侵攻ルート上に置かれた各国は、各々が掲げる戦力を以ってこれを迎撃、或いは防戦し、怒涛の如き侵略を阻止すべく死力を尽くした。
文字通り、死んででも護りきる、という過酷で壮絶な道を突き進んだのだ。
だが、その人類の抵抗をまるでもろともせず、BETAはその圧倒的な物量と破壊力で進撃し、蹂躙し、殲滅し……数々のハイヴを構築、そしてその数を増していった。
あまりにも一方的で、あまりにも圧倒的なその侵略の前に人々は成す術なく、次々と喪われていった。
人も、町も、都市も、文明も、歴史さえも。
世界の地図上から多くの物が消え去り、白紙に塗り潰されていく。栄華を極めた過去の遺産も、気の遠くなるような歳月をかけて築き上げた国境の長城も、なにもかも。
BETAは破壊し、破壊し、破壊して。立ちはだかる人間を人類を生命を。それら同様、破壊して……突き進んだ。
そして、その火の粉は遂に、届く。
朝鮮半島を越え、日本海を越え、九州を始めとする沿岸部に上陸し…………人類史上最低最悪の、一方的大虐殺が始まった。
一週間。
たったのそれだけで、日本はその全土の半分近くを喪った。
九州・中国・四国。人口四千万を数えるそれらの地区の犠牲者はおよそ三千六百万人。――たったの一週間。それだけで、日本人口の三十パーセントが、亡くなったのだ。
それは、その事実は、そしてそれだけのことをしてなお留まることを知らないBETAの脅威は。
世界を、人類を、そしてなにより日本を激震させた。誰も彼もが恐怖に震え、迫り来る死に怯え、BETAの侵攻を恐れた。
対岸の火事ではない。そんなことは言っていられない。――否、始めから誰もそんなことは思いもしない。
BETAが宇宙より飛来してからの二十五年間。世界中の誰しもが、BETAの脅威に打ち勝つために戦ってきた。そこに最前線・後方の違いはなく、自国領土内にハイヴが存在しようがしまいが、その気持ち、目指すべき志は同じはずだった。
そう、――はずだった、のだ。
だが、日本は、帝国防衛軍は……この時ばかりはあまりにも恐慌に溺れていたのではないか。
海を渡り、襲い来たBETAの大群。……大群と呼ぶのおこがましいほどの視界総てを埋め尽くすBETA、BETA、BETAッ!
海底に設置した振動センサーがそれを察知し、或いは隣国からの情報でその動向を把握し、万全とはいかないまでも相応の準備を整え迎撃する構えを敷いていながらにッ……。
突如に突然に唐突に、そして、あまりにも目の前に、醜悪で、劣悪で、おぞましい、吐き気を催す紛れもない異形が現れて。
彼らは、眼前に対峙するその現実に。
――打ちのめされ、
――踏み潰され、
――蹂躙され、
――――最前線で戦った衛士も、
――――海上で上陸を阻止すべく爆撃の雨を降らせた艦隊も、
――――司令部も、通信兵も、補給大隊も、機械化歩兵部隊も、整備班も衛生兵も歩兵も訓練兵も民間人も大人も子供も男も女も赤ん坊も。
未知こそは恐怖。
不理解こそは恐怖。
異質なるは恐怖を呼び起こし、異形なるは恐怖を呼び覚ます。
それは即ち、死への階段を転がり落ちるが如くに。
彼らは、生まれて初めての恐怖に。
呑まれ、引き摺られ、死の淵から突き落とされたのだ。
BETAに。それと対峙した恐怖に。絶望に。手に握る銃のトリガーすら引けず。ひりついた喉から絶叫をあげることすら出来ず。ただただ、暴虐と言う名の津波を全身に受け、木っ端の如く散って逝ったのだ。
無論、帝国軍とて無能の集団では在り得ない。それだけは、断じてない。
だが、それ以上に、目の当たりにした「本物のBETA」は脅威だったのだ。対応するべき策は常に後手。それも二手も三手も遅れを取り、圧倒的過ぎる戦力格差に悲鳴すらあげられず、後退に後退を重ね、掻き集めた戦力で戦線を構築し……後方から増援が来ようが気休めにもならず、次から次に戦線を押し上げられ、数の暴力に虐げられ。
これがBETA。これがBETA。これが、これがこれがこれがこれがこれがこれがこれがっっっ!!
これがBETA?!
こんなものがBETA??!!
人類の敵、人類を滅ぼす怨敵、宇宙からの侵略者!!
斃しても斃しても一向に数が減らない、殺しても殺してもすぐに湧いて出て前よりもどんどん増えて現れて!
殺してもコロシテもころしても!!! 潰されて吹き飛ばされて齧られて貫かれて溶かされて砕かれて食べられてっ!!!
勝てない。
倒せない。
――そんな、絶望にとりつかれたのだとして、それは一体誰が責められよう。
誰も責められやしない。誰も責めていいわけがない。
それは、誰もが思う最悪の想像。その惨劇を目の当たりにし、或いは耳にし、情報と言うソースを受け取った人々の全てが総じて感じた苦い思い。
BETAには、勝てない……。
日本の惨状は、たった一週間の大理不尽の暴虐は、一時とはいえ、世界中に影をさした。
だが、日本は終わらなかった。
中国地方を尚も抜けようとするBETAの大群に真っ向から対峙し、陣を敷き、戦力を集中させて何十もの防衛線を築き上げる。
――その先には行かせない。
――これ以上先に行かせはしない。
最低最悪の絶望に憑かれながら、なぜ?
どうして、彼らは。それほどまでの脅威に震えながら、これほどまでに奮え、その瞳に意志を宿すのか……。
その先に在るもの。
その先に在る、ひと。
それは京という名の都、日本という国の象徴、政威大将軍を、さらには帝を、彼らを擁するその神聖なる場所を。
破らせはしない。滅ぼさせはしない。
それは、日本人と言う名の、己が魂が赦さないッ!
恐怖がどうした、未知なる存在がどうした、醜悪で劣悪でおぞましく吐き気を催す異形、――それが、どうしたというのだッッッ!!!
彼らは帝国軍人であり帝国斯衛軍人であり日本に仕え将軍を帝を守護するために存在する、この国を守護する誉れ高き「衛士」なのだ!
その役割を芯に据え、魂が命ずる己が義務を果たすためならば、この国の未来を、その指導者を想うならば!
退くことはない。
恐れることなど在り得ない。
恐慌に呑まれることもなく、まして、BETAを斃せないはずがない。
全ては日本を護るため。
眼を覆いたくなるほどの凄惨なる大虐殺を経て、しかし彼らは揺るがない。
世界中の誰もが日本の滅亡を予見しながらに、けれど立ち向かい激戦を繰り広げる彼らに一筋の希望を見た。
護るべきものを、ただひたすらに護るために戦うその姿に、衛士としての本懐を見た。
だが、だからこそ。
その結末に涙する。
===
1998年11月――
京都陥落。
その報は、横浜基地を……否、日本という国、そのものを揺るがせた。
BETAが日本に上陸し、怒涛の如き大暴虐で九州・中国・四国地方を蹂躙したのが八月。あまりにも一方的で強大なBETAの侵攻に対し、帝都死守を断行すべく国中の帝国軍戦術機甲部隊が集結し、斯衛を中心とした西日本を統べる総軍の一大勢力を以って帝都絶対防線戦を敷設した。
帝国の、日本の、鍛えに鍛え抜かれた精鋭部隊による十重の防衛ライン。
…………それなの、に。
三ヶ月?
たったの三ヶ月しかもたなかったって言うのかよッ?!
基地司令の口から聞かされたその事実に、愕然とする。基地内の全設備、全衛士、全要員へ向けられた帝都崩壊の報せ。政威大将軍は経済の中心でもある東京へと無事到着し、そこを京都に変わり新たな首都にするという……。
そうか。
将軍は無事、なのか……。
…………けど、それでも。――京都は、墜ちた。
BETAに、負けた。
既に壊滅したと言う九州・中国・四国に続き、京都……。
じゃあ? 次は?
BETAの東進はまだ止まらない。まだまだ続いている。
京都を越え、そして、その次は??
……………………ここ、か?
いや、そんなことはわからない。BETAの行動を予測することは不可能。それが世間一般で謳われるところの常識だ。
突然向きを変えて大陸へ移動するかもしれなければ、そのまま日本を横断、進路を北にとり、縦断さえしてしまうかもしれない。
だが、想定されるべき事態に備えず、手も足も出ないままにやられるわけにはいかない。
……だけど、それでも帝国軍は勝てなかったじゃないか。
防衛ラインを抜かれ、全滅には到らなくとも、将軍を無事避難させたのだとしても……でも、負けたんだ。その物量に、その勢力に。力、そのものに。
悔しい。
悔しかった。
同じ帝国軍人の端くれとして。衛士を目指す一人として。
その敗北は恐ろしく、哀しく……悔しい……っ。
あまりにも悔しくて、握り締めた拳が震える。ぎりぎりと手の平に食い込む爪の痛みが、僅かばかりに正気を保ってくれていた。
「……白銀」
隣りで、涼宮が心配そうな顔。そっと腕に触れる涼宮に、無理矢理でもいい、平静を繕って、笑ってみせる。
「大丈夫だ。……こんなことで挫けてたまるかよ」
「……うん」
涼宮の表情も暗い。いや、今教室にいる207部隊全員の表情は一様に、暗く沈んでいる。
隊のムードメイカーである柏木も、流石に覇気がない。俺の視線に気づいたのか、困ったように苦笑する。……無理もない。
「くっそ……、畜生っ……!!」
ガン、と。立石が身近な机に拳を叩きつける。ぶるぶると震える細い身体。それは俺と同じ、恐怖と悔しさからくるものだろうか。
築地は窓の外をぼんやりと眺めている。その隣りでは月岡が、同じように壁にもたれかかって…………誰も、口を開かない。ただ、じっと黙り込んで……そして、沈み、どこか澱んだ空気の中。更に数分が過ぎた頃。
カラカラと教室のドアがスライドする。
現れたのは、言うまでもなく我ら207訓練部隊が教官、神宮司軍曹。
入口から教壇へ向かう道中、反射的に姿勢を正した俺達を眺めながら、教官はどこか遠い眼をしていた。
……なん、だ?
どこか、違和感が否めない。……教官もまた、帝都陥落の報に消沈しているのだろうか?
いや、それはないだろう。…………哀しんでいない、悔しい思いをしていない、と言う意味ではない。
ただ、恐らく教官は。俺達の前でそんな感情を見せることはないだろう。教え、導くべき訓練兵の俺達に、彼女は決して弱い自身を晒すことはない。
常に厳しく、そして誇り高く強く在らねばならないのだから。
――ならば、何ゆえの違和感か。
教壇に立つ神宮司教官を正面から見据える。教官は、じっと、一人ひとりの顔を見つめて……、
「貴様達訓練兵の転属が決定された。転属先は北海道大学札幌キャンパスに建設された帝国軍札幌基地。転属は三日後、出発は明朝0700だ。各自、荷物をまとめ明朝0630にここに集合すること」
「――――ッッ???!!!!」
なん、だって!?
転属?! 転属だって??!
北海道?! 札幌!??
ばかな、一体どうして、…………それ、って、つまり、
「…………疎開、ってこと、ですか?」
「!?」
顔色を真っ青にして、柏木が呟く。……そうだ。京都が崩壊し、BETAが尚も東進してきている現状。そして、突然の転属命令……。
「疎開ではない。……転属だ」
そんなの詭弁だっ! なんでだよ! 一体どうして!!? 教官、神宮司教官ッッ!! 教えてください!!!
……声が、出ない。
言葉の出し方がわからない。ああ、一体俺は今までどうやって話していたんだ?! 混乱して、困惑して、驚愕に頭ばかりが焦って。何一つ声に出せない。
そんな俺の事情を知ってか知らずか。神宮司教官が口を開く。
俺達はただ、黙ってそれを聞くことしかできなかった。
「本日を以って当横浜基地は帝都防衛戦における第二防衛ラインの要となった。……ここ横浜と東京は目と鼻の先だ。帝都絶対防衛線は帝国斯衛軍の最精鋭部隊が固めるが、事実上、ここが日本の喉元となる」
「!!」
「わかるだろう? ここは日本で最も過酷な戦場となることが予想される。そんな中、戦術機に乗ることも出来ず、一卒の歩兵すら担えない足手まといの訓練兵の居る場所などないということだ」
「そ、……そん、な……」
酷くかすれた涼宮の声が、何処か遠い。
神宮司軍曹の声は冷たい。これまで一度も聞いたことのない冷え切った口調で、俺達はお荷物で邪魔者で、だからさっさと後方へ引っ込めと。
そう、言ったのだ。
全員が息を呑む。あまりに容赦のない教官の言葉に、誰もが訴えるべき内心を吐き出せずにいる。
言葉をなくし、項垂れる俺達に、更に教官は言う。
「……これだけは憶えておきなさい」
それは、先ほどまでの凍えるような冷たい声とは全く違う……暖かで、優しいものだった。
「貴方たちには未来がある。貴方たちには未来を勝ち取る権利がある。今回の転属はね、その芽を無闇に摘み取らせないための処置でもあるわ。折角ここまでやってきたんじゃない。だったら、少しでも生き延びる可能性の高い場所で、更に訓練を積んで……そして、立派な衛士になりなさい」
もっとも、そう簡単にやられはしないけれど、と。俺達の帰る場所は必ず護ってみせるから、と。
姉のように、母親のように。
教官は微笑んで、確かに、そう言った。
目から熱いものが流れ落ちる。俺は、気づかないうちに泣いていた……。哀しい、のか? 悔しいのか……?
違う。
無力な俺が、赦せない。
日本が、俺達の国が、こんなにも逼迫した事態に陥っているというのに。俺は、俺達は……っ! 何一つ出来やしない!!
共に戦場に立つことも、その支援をすることも、何一つ……ッッ。俺達がまだ、訓練兵だから……ッ!!
「気に病むことはない。悲しみに暮れることもない。今は悔しいかもしれない。けれど、なら、その悔しさを糧に、これからの日々を生きなさい。……私からはこれで全部」
耳朶に響く優しい声が終わる。教官は静かに俺達を見つめている。涙を拭い、仲間の様子を窺う。
涼宮も、柏木も、築地も、立石も、月岡も……皆、同じように泣いている。肩を震わせ、己の不甲斐なさに涙を流して。やがて、立石が涙を拭い、涼宮が正面を見つめ、柏木が……築地も、月岡も。
全員が、教官を見つめる。無論、俺もだ。
「……ふふ、いい顔よ、皆。さて、今日の午後は訓練はなし。明日は早いんだから、全員、荷物を纏めておきなさい」
柔らかな笑みを浮かべて、神宮司教官は教室を出て行った。残された俺達は、それでも、ただ、じっと。
教官の背中を、その姿を、目に焼き付けていた。
皆、思うところがあるのだろう。或いは、心の整理をつけたいのか。
神宮司教官から転属命令を受けた後、特に言葉を交わすことなく、俺達はそれぞれの部屋へと戻った。
すべきことはある。転属に向けて荷物の整理。……とは言っても、元々荷物らしい荷物もなく。……ああ、そうか。もうこの基地の人間でなくなるのなら……この模擬刀も、返したほうがいいのかもしれない。
壁に立て掛けてあった模擬刀を手に取る。最早馴染みとなったその重量がとても確かな物に感じられて、茫漠とした意識を現実に引き戻す。
……何やってんだ、俺は。
苦笑。引き攣った、硬い笑み。
夏にBETAが日本に上陸して以来、京都陥落、転属命令と、立て続けに大事が起こったせいで、どうやら思考が停止していたらしい。
「北海道に転属、か……」
誰にでもなく呟く。教官はああ言ってくれたが、どんなに綺麗ごとを並べても、それは矢張り疎開だろう。事実、政威大将軍の名のもとに、政府より近畿・東海地方の全住民へ避難命令が出されたという。
俺達含め、各地方の訓練兵は、民間人の避難に先駆けて北海道へ転属となる運びらしい。
……そうだ、純夏は?
関東地方へはまだ避難命令は発せられていない。……軍属である俺が、避難を始めてもいない民間人よりも先にこの地を離れるという事実に少しだけ苛立ちを覚えながらも、しかし、このままというわけにもいかない。
俺が北海道へ転属になったこと、そして、……恐らくBETAが横浜まで迫ってくるだろうこと……。出来るならば、俺と同じ北海道へ疎開を勧める内容を手紙に書き綴る。
集配用のボックスへ手紙を投函した時点で、BETAの件は記さない方がよかったのではと、今更ながらに気づく。
……だが、もう遅い。いや、伝えるべき重要性を思うなら、それでいいのだ。
純夏へ宛てた手紙ではあるが、それは純夏の両親も、隣りに暮らす俺の両親も目を通すことは今までの手紙の内容を見ても間違いない。
純夏だけなら少々心配にもなるが、大人が四人も揃っているのだ。きっと、俺の勧めに従ってくれるはずだ。
そう、信じたい。いや、信じる。――だって、自分の両親なのだ。大好きな純夏の両親なのだ。……子供が哀しむような選択をするはずがない。
「……よし」
暫くボックスの前で黙考していたが、純夏たちを信じることにして、ならば早速荷物を片付けるとしよう。
その後はPXにでも行って……そうすれば、きっと涼宮たちがやってくるだろう。
お互い完全に吹っ切れたわけじゃないが。それでも、多分独りで居るよりはマシなのだ。
そして、その日の夜。
気心の知れた仲間達と、いつもより少し大げさなくらいに騒いだ夜。
――それでも晴れない不安に溜息を漏らしながら。
故郷で迎える最後の晩を、俺は眠れないまま過ごした。