東京都は某所にある喫茶店。店内のレトロな雰囲気が、とても心を穏やかにさせる。店の中から見渡せる外の風景は、無骨なコンクリートジャングル。目の前の道路は走り交う車が途切れることはない。なのに、ここだけまるで時代に取り残されている様な感がするではないか。この雰囲気を楽しめるようになるには、それ相応の歳月が必要だろう。事実、この店の常連は須(すべか)らく年配の方だ。窓から覗くオフィス街を横目に、今日も酸いも甘いも噛み分けた者達が集(つど)っている。コーヒーの香りを楽しみ、アナログなレコードプレーヤーから流れるクラッシックやジャズを楽しむ。そんな、本当の大人だけに許された場所……その店に、10歳くらいの少女を連れた高校生の少年が、窓際のボックス席を占領していた。少年はジーパンにジージャン。額にバンダナ。顔は明らかに3枚目。視線を窓の外に固定したまま動かない。連れの少女は、ツーテールにまとめた長い髪。両目の色が違う神秘的なオッドアイ。服装は可愛い系のピンクのワンピース。その服が気に入らないのか、時折嫌そうにピラピラした服をつまんでブーたれていた。なのに、表情の動きが余りなく、無表情と言った言葉が良く似合い、実際の所は不機嫌なのかどうかは不明だ。ただ無表情なのにも関わらず、その少女から滲み出る高貴さと、美少女と言ってもいい顔の造作は、僅かなりとも損なわれてはいない。 ……どう見ても不釣り合いな2人だ。世の中には似てない兄妹など山ほどいるが、この2人は兄妹ではないだろうとはっきり思える。貧乏臭そうな学生の少年と、どこぞの国の姫君と言っても通じるだろう美少女。店のマスターや常連客は、その2人をこっそり盗み見ながら想像を逞しくしていた。ローマの休日のようなロマンスを想うご婦人がいれば、いやさ、あれはどこぞのお嬢様と丁稚だろうと笑うご老人。それぞれが、それぞれの想像で楽しく過ごす。これもまた、この店での楽しみ方の一つなのだろう。そんな店の中で件の少年と少女は、周囲のひっそりとした注目に気づかずに、飽きることなくガラス越しに外を眺め続けていた。「ねえ、タダオ。レーコおばあちゃんマダ?」どことなく片言な少女の言葉。それが不満なのか、少女は口元をむにむに両手でマッサージする。「うう……うまくシャベレナイ……」少年は視線を外に向けたまま、そんな少女の頭に手を伸ばし、せっかくの整えられた髪が乱れてしまうのも気にせずに、ぐわし、ぐわし、と乱暴に撫でる。嬉しそうに相好を崩す少女に、面倒臭そうにこう言った。「しゃーねーだろ。まだガキなんだし」「……ワカッテルわよ!」少女はツンとした口調と態度だったけど、撫でられているのがとても嬉しいのだろう。目元がきゅっと細くなって、実に気持ちよさそうに見えた。と、その時だ。少年の目がクワっと大きく見開いたのは。「……来た」「ホント?」少年の言葉に、少女は少年の視線の先を見た。赤い髪を颯爽になびかせる20才前後の美女が歩いてる。この時代流行りのボディコン姿に身を包んだ彼女は、高いピンヒールにも関わらず、とても足取りが軽快である。……少年と少女の口元が緩んだ。懐かしい……特に少年はその思いが強い。少女にとっては、見かけが若いのに少し違和感があったけど。女はビルの外壁にビラを貼りつけると、そのまま来た道を戻るようにそのビルの中に入って行った。2人は視線をビルの立て看板に向けた。 【 美神令子除霊事務所 5F 】少年は、隠しきれない憧憬の想いを込めて、ジッとその立て看板を見る。今日がその除霊事務所の事務所開きの日だ。すぐにでもこの喫茶店を飛び出し、さっきの女性を追いかけたい。そうして、再び【あの】時間を彼女と共に過ごすのだ。美神除霊事務所で……!それはなんて魅力的な案だろう。だけども、少年は寂しそうに笑う。だって【彼女】は、【彼女】ではない。少年は、そのことを【戻って】からの3年で、よーく理解していた。今も2人の帰りを待っているだろう、少年と少女の家族のおかげで。だから少年は、「帰るぞ、アスナ」そう言って席を立つ。一緒にしたら【彼女】に対しても、また【彼女】にとっても、失礼だし迷惑だろう。何より、もう少年は…… 極貧生活はご免だっ!! 贅沢に慣れ切った今の少年では、あの頃の生活は事実上、不 可 能 !!いやいや、少女と、そしてもう一人の家族を養わなければならない身。例え生活費の大部分を両親が賄ってくれているとしても、最低限の稼ぎは必要なのだ。でも、【彼女】の下ではそれは 不 可 能 !!だから少年は苦く笑う。守るべきものが、彼女以外にもある自分に。────すんません、美神さん……小さく呟かれた言葉は、傍らの少女の耳にしか届かない。少女はそんな少年の手に自分の手を滑り込ませると、ギュッと強く握りしめる。「ばーか」「うっさいわ!」悪態をぶつけ合う2人は、だけども、とても微笑ましい。喫茶店のマスターも、この店の常連客も。誰も彼もが心暖かくなる2人の間に漂う空気。ただ気になるのは……「帰ったら覚えとけよ? 足腰立たんくなるまでやっちゃるわっ」「もう。慰めてホシイならホシイって言いなさいよ」どうにもこの2人。ふかーい関係に見えるのだ。プラトニックなラブでなく、ステディなラブ。肉体関係有り有りの、そんな関係に見える。高校生と、小学生の、そんな2人が……!だけども2人は、そんな訝しむ視線に気づくことなく会計を済ませると、店を出た。まばゆいばかりの燦々に輝く太陽の光に目を細め、そうして2人は手を繋いで街のざわめきの中に姿を消す。それは再び始まる、長い、長い、終わりすら見えない長い旅路の始まり。少年の名は横島忠夫。少女の名は横島明日菜。ただの少年と、この世界には居ない筈の少女。 なんの因果か魂だけの逆行をしてしまった彼と彼女の、もう一つの物語の開幕である。 ヨコアスR 逆行大作戦!! ① 違うタマモ これより、3年ほど時間をさかのぼる。ある日のことだ。横島が目を覚ますと、そこは遠い過去の情景だった。なんせベッドから飛び起き見覚えのある部屋から出ると、数百年前に逝ってしまった、父と、そして母がいたのだ。「よおっ忠夫! 今日はずいぶんと早起きだなっ!」「おはよう忠夫、珍しいわね。朝ごはん、まだ出来てないわよ?」テーブルの上に新聞を広げて読んでる父。台所で朝食の用意をしている母。ガキだった頃、当たり前のように見ていた風景。なのに、なんでだろう……?目から涙が溢れ、とまらない。もっと見ていたいというのに、涙でぼやけてしまう。慌てて涙をぬぐいながら、クッと喉を鳴らして呼んでみた。「親父……おふくろ……」 ……ダメだ、止まらん。諦めたのか、横島は膝をつくと滂沱のように涙を流した。もう、止めようとは思わない。数百年前に死に別れた家族と、また、会えたのだ。何が恥ずかしいことがあろうか?突然子供のように泣き出した息子に、両親は流石に様子がおかしいと慌てふためいた。何とか宥めすかして息子から聞き出した話は、とても現実だとは思えない物語。人の理(ことわり)を外れ、神の領域へと足を踏み入れた息子の魂の話である。「忠夫、お前は数百歳になってもバカのままか」何があろうと、お前は俺達の息子だ。そう言って笑い飛ばした父に、人としての器で負けたと改めて思い知らされた。その後、話はトントン拍子に進んでいく。横島の【今】は、普通の中学生の身体。せっかくだ。もう人として生きて死んでいこう。そう思った。だが、すぐ母に諭される。「アンタだけが【戻って】来た訳じゃあ、ないかもしれないでしょうが」横島と共にいた者。使徒……そして使い魔。魂で繋がっていた彼女達だ。何がどうなってこうなったのか、さっぱり分からない以上、彼女達も一緒な可能性は非常に高かった。だが同時に、今の時代、彼女達は生まれていない。しかし、彼女達が生まれるのを待とうものなら、それは人の身を捨てた方が早い。ってか無理でも、人の身を捨て、なのに彼女達が【戻って】いなければ……?正直、シャレにならん。もう十分以上に生きたと自負する横島だ。これ以上の意味ない生は勘弁願いたい。戻る前、それでも生き続けていたのは彼女達が居た。それだけの理由なのだし。その彼女達を迎えようとしたのに、その彼女達が【別人】になってましたじゃあ、流石の横島も報われない。だが、そこで横島は気付いた。唯一、今の時代を生きているだろう使徒がいた。神格者 横島忠夫の第一使徒 神楽坂明日菜。旧名 アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア。今も薄汚い奴らの道具として、必要な時以外は封印処置されてるだろう彼女。彼女が【戻って】いても、【戻って】いなくても、関係なく迎えに行かなければならない。そうして彼女が戻っていたのなら、再び永遠を手にしよう。そうでなければ、彼を待ちわびて一生を台無しにしてしまう者が出るかもしれん。もちろん、再会なった時には、再び使徒となるか選んで貰おうと思ってはいるけど。なんせ彼女達も、生き飽いている可能性がとても高いのだ。でも、彼女が戻っていなければ?その時は、横島は普通の人間として、この世界だけで一生を終えよう。普通に結婚し、子供を作り、孫の誕生を祝い、老いて……輪廻の輪に入る。本当に魅力的な生き方だ。永遠を彷徨っていた横島にとって、本当に、本当に。……どちらにせよ、まずはアスナを迎えに行ってからだ。世界を渡る方法は、もう十分に理解しきっている。足りないのは力だけ。その力も、魂が神格者であった横島である。ちょっとした訓練だけで文珠の一つや二つ、再び創れるようになるだろう。横島は両親にその事を話すと、すぐさま行動に移った。現在の横島は中学一年。身体も、霊力も、共にどうしようない位に貧弱。ならば、まずは自らの霊格を上げるためのセックスパートナーを作らなければ。地道な修行なんざ、横島の頭に掠めることすらなかった。そんな横島がセックスパートナーとして真っ先に頭に浮かんだのは、タマモである。タマモは横島自身とは何の契約も結んでいないため、この時代に戻っている可能性は低かった。だが同時に、それは彼女自身の身の危険もそのままである。横島と出会った時のタマモは、例え九尾の狐といえど、まだ発生したばかりの弱い妖怪であった。その彼女が、生まれて数年の弱い時期を人間に追われて過ごしていたのだ。何らかの切欠で、死んでしまう可能性が高い。だったら俺が保護すればいいじゃないか。そんな訳で、横島は栃木県は那須高原へと急ぐ。彼女が発生する可能性が一番高いのが、那須高原にある殺生石周辺だと思われたからだ。とは言え、実際に出会えるかどうかは分からない。でも横島は欠片ほども心配していなかった。自分とタマモの縁(えにし)を信じているのだ。そうして事実、横島が殺生石の前に立つと同時に、彼女は産まれた。きゅーんっ九つの尻尾をぱたぱた振って懐いてくる子狐タマモ。人型をとらせれば、10才前後の全裸な美少女に早変わり。……そういや、初めて会った頃は中学生くらいの容姿だったっけなー。だったら、今ぐらいの時期ならこんなもんか……横島の中のイメージでは、もうすっかり大人でナイスバディーな美女。でも今はちんまい美少女。恐ろしいくらい無垢な笑顔なタマモをあやしながら、横島ははたと気づいた。いや、気づいてしまった。まずい。こりゃマズイ。なんせ両親には言ってある。自分の性魔術の相手を連れて帰ると。あんまいい顔をしなかった母に、これが一番好い方法なんだと説得した横島だったが……こんなちっちゃい子を連れ帰った日にゃー、間違いなく半殺し……いや、全殺しもあり得る。「いやじゃーっ!」両手で頭を押さえながら、恐怖のあまり激しく痙攣する横島。魂の随まで刻み込まれた母への恐怖は、齢数百を数えても健在のままだ。そんな横島を、きょとんと見ていたタマモは、ペロッと彼の頬を舐めた。「じょぶ?」大丈夫? そう言ってんだよな。心配そうにするタマモに、横島は心を落ち着かせた。まだ産まれたばかりの少女に心配かけるなんて、ちょっとばかり情けない。ただ同時に思う。流石、九尾の狐。その所作の一つ一つが男を誘う。小首を傾げ、上目遣いで横島を見つめる潤んだ瞳。雪のように白い肌が、横島の視線を感じて華ひらくように桜色になっていく。横島の手のひらが、まるで吸い寄せられるようにタマモの淡いふくらみに伸び……「……んぁ」艶のある声でタマモは啼いた。肌がしっとりと汗ばみ、今まさに、少女の肢体が発情しているのだと解った。……家に帰れば、しばらくこうした機会に恵まれることはないだろう。だったら、今の内に九尾の妖力を貰っとくか。齢数百を数える横島は、外見年齢が下は5才。上は80才までならオールオッケー。性魔人として名を轟かせた彼にとって、今の10才前後の外見をとってるタマモは十分にストライクゾーンである。ロリコンだのペドフィリアだので悩む時期はとうに過ぎた。だから例え生まれてまもないどころか、生後数十分だろうと余裕でヤレル!アホな自信に満ち溢れ、傲然と胸を張る横島に、タマモは嬉しそうに身を預けた。生まれて直ぐの可愛い容姿も、こうして横島にあっさりと身を預ける様も、全部が全部、九尾の本能。愛らしい姿で庇護欲を誘い、牝の本能剥き出しに、牡の性欲を引き出し誘う。強い牡に出会えたことが運命ならば、こうしてその牡の庇護化に入ることこそ本望なのだ。「タマモ、俺は横島忠夫だ」「タマモ? ヨコシマタダオ?」「タマモはお前で、横島忠夫が俺の名前」「んっ!」自分の名前をタマモに刷り込みながら、横島の指は幼いワレメへと伸びた。ソッと、軽く数回撫でる。すると、あっという間に幼い花弁は湿り気を帯びた。更なる快感を引き出そうと、横島は指の動きを大胆にする。くちゅ くちゅ ぬちゅぅ……「んっ、ああ、ああぅ……」快感がタマモの脳まで駆け上がり、その快感に震えながら喘ぎ声を小さく上げた。「なあタマモ」横島はタマモのワレメを撫でさする手の動きを止めず、名前を呼んだ。「俺のこと、好きか?」生まれてまだ数十分しか経ってない少女への、自分以外の存在を知らない少女への、かなり卑怯な問いかけ。タマモは横島の狙い通りにコクコク何度も頷いた。そんなタマモに横島は、チュッとまぶたに口づけする。「だったら、これからはずっと一緒にいような?」「ずっと……?」おずおずと聞き返すタマモの脳裏には、前世で人間達に追われた恐怖。その内の恐怖だけが鮮やかに蘇り、本当に一緒に居てくれるのかと不安な様子。横島はそんなタマモの様子など分かっているのだと言わんばかりに、指先を幼いワレメを割って膣内へと潜り込ませた。「ああっ!?」と頤(おとがい)を反らすタマモに、「ずっと、ずっとだ」そう言って笑いかけた。横島は知っている。タマモが本当に求めている物を。自分を守り、自分をずっと傍に置いておいてくれる存在が欲しいのだと、知っていた。タマモは、その強すぎる力の反面。何かに寄生しなければ生きていけない、かよわい心の持主なのだ。「だからな、タマモ? お前の力、俺にくれ。代わりと言っちゃなんだが、お前に家族をやろう。優しい両親に、可愛い妹。そして、俺だ」タマモは横島の言葉に喜びを、そして横島の指の動きに悦びを与えられ、うんうんと何度も頷いた。そんなタマモの様子に、これなら大丈夫だと確信し、横島はタマモに獣型に戻るようにと指示する。そうして素直に狐の形態をとったタマモを毛布に包み、「ジッとしてろよ?」きゅーんと鳴くタマモに優しい口調でそう言いながら、横島は慎重にリュックの中に隠し入れた。このまま今日泊まる予定のホテルへと連れて行き、ムフフなことをするのだ!なんせ家に帰ってしまえば、もうこんな機会は永遠に訪れないかもしれない。そう、恐ろしい母の存在があるのだから……タマモは狭いリュックの中で、ジッとしたまま考える。脳に流れ来る知識。それは九尾狐として討伐された記憶……ではなかった。もちろん、横島の知る【タマモ】の記憶でもない。たった今、【主人】となった男を悦ばす術(すべ)だ。タマモは、小さく、小さく、きゅーんと鳴く。主人となった男に、力を感じた。どんな危険からも守ってくれる、そんな力を。ただ、それは権力によらない力。そこは少し残念に思う。でも、本当に強い男に【なる】匂い。 うれしい、うれしい、うれしい! そう、きゅーんと鳴いて、まぶたを閉じる。生まれたばかりの身体を、ゆっくりと休めるために。次にタマモが目を覚ますと、そこはふかふかなお布団の上。タマモは興味津々にキョロキョロ周囲を見渡すと、ボンと人型になった。そうして甘えるようにタマモは横島に身を寄せる。すると、タマモの絹のような肌を、彼の手が流れる様に滑っていく。華奢な肩から始まり、背中を伝い、お腹へとまわる。「……ん、くすぐったい」ふるる……と身体を震わせ抗議の声。なのに、タマモは抵抗しようとせず、ジッと横島の成すがまま。タマモは、視線を感じていた。彼の視線を、自分の唇に……タマモは、顎をあげてそっと目を閉じる。頬が上気するのは、彼に愛撫されているから?それとも、恥ずかしいから?ううん、きっと、それは……ちゅっ軽く、唇を合わせるだけのキッス。いっかい、にかい、さんかい、と。数を重ねるたびに、キスがドンドンと深くなっていく。目がとろんと惚けてしまう。興奮する。どうしようもないくらいに。なのに、行為は唐突に終わりを告げた。両肩を掴まれ、彼の方を向かされると、その肩を押し下げ、タマモは膝立ちの体勢となった。眼前に突き出されている男の象徴。バキバキに硬く屹立した男根は、タマモの女をどうしようもなく責め立てる。どうすればいいの?舐めれば……いいの?タマモは九尾の知識にある通り、舌先を伸ばして横島の肉棒の先端に触れた。すると硬い男根が、ビクンとタマモの目の前で跳ねる。 「こ、これで……いいの……?」おずおずとそう言うけれど、彼は何も言わない。でも、タマモは彼を悦ばせるための知識を信じた。今度は舐めるだけでなく、小さな口を精一杯大きく開け、彼の象徴を飲み込んでいく。口一杯に頬張りながら、一生懸命に舌を蠢かせ、彼の反応を事細かに観察する。どこが気持ちいいのか。どうすれば悦ぶのか。今のタマモにとって……生まれたばかりで、横島しか知らないタマモには、横島は世界の全て。その一挙一動が、タマモにとってはとても大切。だから気にしない。気にはならない。頭がぼ~っとして、身体が高みに達する度に、内から力が奪われていく感じは、気に、ならない。【玉藻の前】としての知識なのか、これが房中術に近い何かだというのが解っていても。今のタマモにとって、彼が世界なのだから。 ……やっぱ違うんだな。横島はタマモの様子にそう断じた。似て非なる存在と言ったらいいのだろう。横島の知るタマモは口が悪い。基本的に、何をするにも反抗的で、でもその実、気を許した者だけに見せる甘々な態度がとても愛らしい女である。それが最初からデレデレ。この様子じゃあ、女性上位主義のSな女王様風。でも実はマゾッ気溢れるM奴隷なんてギャップ萌えだったタマモと違い、ただの愛奴隷になりそうな予感!それはそれで構わないのだが、あの何かと言うと首輪をして欲しいとねだる彼女が懐かしく思える。と、そんな事を考えていると、涙目で見上げてくるタマモと視線が交わった。悲しそうにウルウルしている彼女を見て、すぐさま自分の失敗に気づく。比べたら、悪いよな……そう自戒しながら、タマモの髪の毛を、やや乱暴に引っ掴んだ。同じに思うのは不味いが、悦ぶ行為は一緒だろう。だったら、詫びも含めて徹底的に悦ばせてやる!ゴン!ゴン! と激しく喉奥を肉棒で突き始める横島。タマモは喉奥を突かれる苦しみに、遂には涙を決壊させてぼろぼろに泣くけれど、横島には分かっていた。立ち膝をしているタマモの股間から太ももを伝う、透明でいやらしい液体の量が増大したことに。そんなろりタマモのぷにぷにぼでーのいやらしいまでの魅力が無限大まで高まり……横島自身の理性の糸が、プツンと切れた。……元々切れかかってる様な物だが、彼なりの最後の一線が失われたのだ。なんせ今の横島は、実のところ 童 貞 である!しかも中学一年という、性の目覚めの年。思春期に入り始めの彼の肉体は、魂を超えて暴走した。横島は肉体の欲求に応えるようタマモの口中から肉棒を抜き出すと、彼女の膝を押さえて足を大きく開かせた。「タマモ、するぞ!」「う、うん……わかった」この時のタマモは、実際のところはナニをするのか分かってはいなかったのかもしれない。でも、タマモはそれでも喜びに身体を打ち震わせた。ああ、これでもう安心だ。もう追われることなく、安楽な生を謳歌できる。そういう気持ちで……タマモは本能に従い、自分の指を秘唇に添えて、ぱっくりと開く。ぬちゃあっと粘るような水音を立てながら開いたソコは、とてもキレイな桜色。横島はそんなタマモの行為に後押しされるように、キツイ処女穴に肉棒を押しこんだ。「い゛っ!? うあぁぁぁっ、あぅんんんんんっ!」痛がるタマモを押さえつけるようにして、一息に奥まで挿入すると、横島は満足そうに息を吐いた。脱!童貞!!【戻って】の生において、初めての女はタマモ(幼女バージョン)である。破瓜の痛みに戦慄くタマモを見下ろしながら、腰を抱きよせ、更に深い所目指していく。タマモは止まらない痛みに、まるで陸に打ち上げられた魚のようにぱくぱく口を開閉させる。その外見年齢も相まって、本当に痛ましい姿だ。でも、横島はやめようと思わない。もちろん、タマモもだ。特にタマモにとって、この行為は彼に気にいられるためには必要なことだと認識していた。……実のところ、もしもタマモが少しで嫌な素振りを見せたのなら、例え身体の欲求が激しかろうと横島は止まっただろう。だけども、それはタマモの望むものではない。彼女が欲するのは、優しくされることではない。確かな絆。それが心底欲しいのだ。かつての……前世の彼女の主であった鳥羽上皇より与えられることのなかった絆を。「主(あるじ)、さまぁっ……んくぅぅぅっ」処女喪失の痛みに耐え、自ら腰を動かし始めるタマモ。自分のことを【主】と呼んだことに驚いた横島ではあったが、そんなタマモのいじらしい行為。横島が発奮しない訳がなかった。タマモの狭く幼い膣内の感触がたまらない快感を生み出す中、横島は激しいグラインドで彼女の処女地を荒らしていった。2人の結合部からおびただしい量の処女血が流れ、だが同時に、同じくらい多量の蜜も溢れだす。ただ、その蜜は2人の激しい行為により白く濁り、泡立ち、これが初めての行為だなどとはとても思えない光景である。「あう……も、もう、だめっ、だめぇええぇえーっ!!」タマモの膣内(なか)がキュウキュウ痙攣を繰り返し、大きく口を開いて絶叫した。横島は腰を丸めてその口を自分の唇でふさぐと、更に激しく腰を蠢かせる。────主の身体と心。その全てを私に夢中にさせてみせる。タマモの身体と心。その全てを支配し征服してやる────妖(あやかし)の本能。齢数百を超える魂の欲望。そのふたつ。重なり合って、ドヴッ、ドクドクっ、ドクンッ!!肉棒から精がほとばしり、内側からタマモを犯し、自らの色に染めていく。同時にタマモの子宮が、膣道が、激しく収縮を繰り返し、横島の欲望を搾り、搾り、搾り……「タマモ、2回戦イクぞ」「う、うん……」抜かず2発目、3発目。横島の自制はタマモの女に削り取られ。もしもこの横島の身体が、戻るまえの身体であったなら、こんな風にはならなかったろう。でも、横島の魂は熟練であっても、この肉体は童貞であった。童貞で、タマモの妖力……九尾の魅惑な肢体には、到底打ち勝つなどありえない。このままでは、精も根も突き果てるまで、タマモに奪われ尽くすが自然の流れ。タマモを腹の下に敷き、狂ったように腰を前後させる横島は、このままではタマモのことしか考えられない傀儡(くぐつ)と成り果てよう。それをタマモは望んではいない。いないのだが、これこそが九尾狐の業なのだ……ただ、横島とて只者ではない。3度目の精を放出すると同時に、「ざけんなっ!」そう怒鳴ると、性魔術を発動させた。奪われた生命力と霊力。その全てを取り返し、続いて九尾の妖力をも奪っていく。「あっ! あぁあっ! 気持ちいいっ、気持ちいいよぉ!!」今度は逆に狂ったようにイキまくるタマモ。力を、本能を、その全てを奪い尽くされ、タマモは恍惚の表情で横島を見る。無意識化の本能で、タマモは思った。ああ、流石は我が主。蕩けるような視線を横島の視線に絡め、だが横島は怒っていた。タマモの膣内(なか)から肉棒を抜き出すと、彼女を四つん這いに後ろを向かせ、尻穴に肉棒を押し付ける。ここは、【戻る】前のタマモとは、一度足りともしたことがなかった場所。「ひぎぃいいいっ!?」タマモは悲鳴を上げた。出すことしか知らない筈の器官。でも、出すこともまだしていない器官。その場所を初めて通る物は、汚物でも、他のナニ物でもなく、横島の肉棒をこそが初めてそこを通るのを許された。いや、そうすると、横島が決めたのだ。「痛いっ痛いっ! こんなの知らない! 知らない!」九尾の知識にもない性の行為。それに恐怖し、怯え、でも……「タマモの全部は俺の物だっ」その言葉に、タマモは力を抜いて、全てを横島に任せた。途端に、壊れてしまうんじゃないかと思えるぐらい、激しく腰を打ち突かれ。でも、苦しさと痛みが、甘い快感に変わった。「ああ、ああっ! おかしく、どこか、ふわって……っ!」「そういう時はな、イクって言うんだ」「イク、イク、イクぅうううっ! んあああああああああっ!」大量の精でタマモの腸内粘膜を焼きながら、横島は、ふうっ、と安堵の吐息をする。もう少しでタマモに喰われるとこだった……危ない、危ない。そう安堵の溜息だ。例え魂は熟練だろうと、この身体はピュアなチェリーだったことを失念していた。そう思いながら腸内から肉棒を抜き、腸液と精液、そして愛液でぐちゃぐちゃになったソレをタマモの唇と舌でキレイにさせる。幼たまもんの愛らしいご奉仕に胸をキュンキュンさせつつ、帰る前にもう一回しとくかと鼻息を荒くした。ただ、横島は忘れてた。いや、思い出そうとはしていた。なんだっけなー?このまま帰ったらヤバい気がするんだが……ゾクリとする寒気に身を凍らせる。「どうかしたの?」「良くはわからんが……たぶん、死にはしない」よく分からない絶望感に打ち震える様子を見て泣き出したタマモを、慌てて横島は宥める。背中から抱き寄せるようにして膝の上に座らせると、嬉しそうに頬をずりしてくるタマモに、もう何度目か分からない淫心が首をもたげた。その感情のままに軽くタマモを持ち上げ、秘部を貫く。「いうっ……あ、あぁぅ……」ジュプ、ジュブブブ……腰を激しく上下に動かし、タマモは甲高い声を上げる。後ろから支える様にして胸を掴んで揉みしだく。はやく大きくなーれ。はやく大きくなーれ。そう念じながら、自分の知る未来のタマモよりも大きくして見せると、横島は自分の名前にかけて誓った。時に、横島が母の手により撲殺一歩手前までボコられる、18時間前のことであった。