横島玉藻。それがこの世界での、彼女の名前だ。戻る前は神楽坂だったから、横島はそのつもりでいたんだけども。父と母の反応に、まあいいかと。「娘ってのは、いいもんだなぁ」父は鼻の下を伸ばしてデレデレに。母は母で新しく出来た娘の髪をいじるのに夢中である。特徴的な九尾なポニーテールが解かれ、さらりとしたロングの髪を丁寧に梳いていた。その光景に、あれって尻尾みたいなもんだと思ってた。と軽く首を傾げながら、このまま狐の形態に戻ったらどうなるんだろう?そんな誘惑に駆られる横島ではあった。まあ、それはともかく、両親がタマモを気にいったみたいにかわりない。タマモも、デレデレな父と母にあっという間になつき、なんだか除け者にされた気分で横島は少し面白くなかった。父と母。その双方からタマモを毒牙にかけた件でボコボコにされ、冷たい床に血塗れで這い蹲っている横島は、自分がそう思ったことに苦笑い。中身は数百歳でも身体は中学一年生。精神が身体に引きずられているのか、それともこれが素の自分なのか。多分、そのどちらもだろう。こんな感じで、まあ、いろいろ有りはするけれど、タマモは横島の家族となった。戸籍上でも横島夫妻の養子となり、正式に横島の血のつながらない妹である。そして、もうひとり。彼の義理の妹となるであろう娘がいた。タマモとの初体験時の性魔術により、文珠精製能力の取得と、異世界への片道切符程度には十分な程の霊力を手にすることが出来た横島。横島と離れたくないと、「にーちゃ、やぁーっ!」とぐずるタマモを両親に託し……っていつの間に主さまがにーちゃに? まあ、それはいい。とにかく未来の義理の妹を迎えに行くべく颯爽と異世界への扉を開いた。「んじゃ、行ってくるわ。タマモのことよろしく頼む」「ああ、さっさと行ってきな、バカ息子。タマモのことも、後の事も任せときなさい。それから……気をつけて行くんだよ」不敵な笑みを浮かべ、でも最後に心配そうにそう言った母に、大丈夫だと笑う横島。なんだか顔に熱がたまる。親に心配されるってのは、なんだかむずかゆい。あとは、そう。後の事について。それは学校のことだ。横島は現在中学生。義務教育の途中である。しかし、横島はこれから異世界へと渡ってしまうのだ。こちらに戻ってくるのには、早くても3ヶ月。遅ければ1年はかかるだろう。それもこれも、向こうの世界でタマモに代わる性魔術のパートナーが出来るかどうかによるのだ。この時点でのアスナでは無理だ。圧倒的なまでに霊格が足りないのだ。アスナも黄昏の姫巫女などと大層な二つ名を持ってはいるが、しょせんレアスキル持ちってだけの只の人。九尾狐のタマモと比べる自体が間違っている。まあ、これらの問題は、向こうに行ってから考えればいい。横島はそう思っている。ただ、そうなると学校が問題なのだが……その辺りを母がなんとかするのだろう。聞いた話では、ヨーロッパ辺りへの語学留学……ってことになるらしい。幸いといってはどうだが、横島は外国語だけはそこそこ出来る。いや、ナンパするために様々な国や世界、それに種族の言葉をマスターしていた。単純な中学生の教育内容……国語、数学・社会・理科。主要五科目の内、英語を除いた四科目。この辺りの方が、間違いなく解らない。そう思えば、この留学設定は、とてもつなく横島に有利に働きそうだ。これで高校受験の推薦もいけるだろう!なんてとらぬ狸の皮算用的な事を考えながら、横島は世界を渡った。横島は世界を渡るなり魔法世界へと直行。そのまま文珠『気/殺』を使いながらオスティアに潜入し、アスナを奪取。代わりに幼女型マネキンを置いてトンズラした。この世界のこの後の歴史が大幅に変わるな。何よりだ、完全魔法無効化能力を使おうとアスナの封印を解いてみたら、出てくるのがマネキンとか……まさに、プギャー。その場面、この目で見れないことが残念でならんっ。そうチラリと思ったが、ま、いいかとアスナを連れて魔法世界から旧世界は日本へと戻った。ところで、アスナは確かに【アスナ】であった。アスナは突然の事態に多少の混乱はしたものの、アナタが一緒ならそれでいいと、再び横島の使徒となる決意を固める。と言うか、別の誰かに【第一使徒】の座をやるのが気に食わなかっただけともいう。名目上の実権はあやかに、実質的な実権は夕映に。他の使徒たちに対して、なんら力を持たない名前だけの第一使徒ではあったが。そう、実権なんてどうでも良かった。第一使徒。第一位。なんか格好いいわよね?……アスナなんざ、しょせんこんなもんだ。もっとも、今の横島の力では使徒を作ることはできない。そこはこれからの修行(?)次第であろう。まあ、とにかく、横島は再び永遠を手にすると決めた。どういった形で永遠を手にするか……それは、まだ決めてない。少なくても、【戻る】前のように、【彼女】の【神核】を貰うつもりはない。ただ、もう一度彼女と会い、今度は別の関係を作りたいとは思っているけども。どちらにせよ、まだまだ先の話である。今はとにかく強くなろう。あの時のように、彼女に庇われなければ生きられない自分ではなく、強く!強く!何処までも誰よりも強く!!そう誓いながら、横島は麻帆良に足を踏み入れた。この地にある、後に世界樹とあだ名づけられる木と契約を結ぶ為と、そして、あの娘との再会を願って。横島がこの地に訪れた【時】は、西暦にして1953年の半ば。そう、彼女が居るのだ。もうその身を自縛霊と化しているだろう彼女が。「あーっ! 横島さーんっ! アスナさは~んっ!」ふえ~ん、と大泣きしながら世界樹の方から飛んでくる相坂さよに、横島とアスナはホッと胸を撫で下ろす。彼女が横島やアスナと同じように【戻って】いたことに対する安堵だ。ただ、戻ってきても幽霊な彼女に涙はした……そんなこんなで、これより横島とアスナは、おおよそ半年の月日を彼女と共に過ごすことになる。 ヨコアスR 逆行大作戦!! ② 氷室の者────私、待ってますね。へ?みなさんは、きっとここに戻ってきます。だから、その日まで、ずっと、ここで……さよちゃん、そしたら、ずっとここで一人ぼっちになっちまうんだぞ?大丈夫ですよ。横島さんと出会う前はずっと一人だったんです。だから、大丈夫。それにね? 一人じゃ、ないですよ? どんなに距離が離れても、私はアナタとずっと一緒です。アスナさん、今はアナタだけ。だから横島さんを……私の大切なご主人さまを、よろしくお願いします。ウン、マカセテっ!少しのお別れ……ああ、少し、だな。ウン、すこし。またね、ごしゅじんさま。またな。マタネ!泣きながら手を振る彼女に応えるよう、2人も一杯に手を振り返す。2人は次第に世界を移動する光りに包まれ、そして……まばゆく、どこまでもまばゆく……光りが、弾けた…………「やっと起きだんか……」「……ああ、おはよう、早苗ちゃん」身体を激しく揺さぶられ、寝惚け眼で声のする方に目をやると、六道女学院の制服に身を包んだ少女がいる。あれ? なんで、俺?横島は寝ぼけた頭で、どうして自分が寝ていたのか思い出す。学校サボって美神除霊事務所の事務所開きを覗きに行って、そのままアスナに甘えるように身体を重ね、んで……「ほら、アスナも! さっさと起きんがいっ!」「あう~」横島の腕を枕にして眠る少女を起こす彼女を見て、やべっ、と身体を硬直させた。学校サボってアスナとやってたなんて、彼女が怒るには十分である。事実、起きるのを拒否するように、いやいや、ってしてたアスナの頭に、ガツンと拳骨が落ちた。目から火花が出るような痛みに、先程までとは違った意味で、いやいやするアスナを無理矢理立たせ、そのまま浴室へと放り込む。横島は、ふんっ、と荒々しく鼻息を飛ばす彼女を恐怖の眼差しで見ていると、案の定と言って良いのか、彼女のドロップキックが 「こんのっ、エロガッパがぁっ!!」 横島の顔面に炸裂した。彼女の名は 氷室早苗。この戻った世界での、横島とアスナの家族である。ちなみに、彼女との肉体関係はというと……あるような、ないような?要するにBまで。寸止め状態であった。「あんたもさっさと風呂さ入ってこい! ベダベダなうえに臭いべっ!!」「へ~い」横島は、蹴られて痛む鼻頭を押さえながら、手をひらひらと振ってアスナが居る浴室へと行った。残された早苗は、「あんの助平が」とか「これだから東京モンは」とかぶつぶつ不平を言いながら、乱れた布団をキレイにしていく。様々な体液でベトベトになっているシーツを剥がし、洗濯したてのふかふかシーツに変えると、うん、と満足そうに頷いた。そして、チラリと浴室の方へと目をやる。かすかに聞こえる嬌声が、2人が再び睦み合っているのだと早苗に分からせた。眉が不機嫌そうにピクンと一瞬跳ねる。早苗は苛立たしい気持ちを、はぁ、と大きく息を吐き出すことで押さえると、浴室へと続くドアをガンっ!と思い切り叩いた。「エロイことさしてねーで、さっさと上がらんかいっ!!」途端に慌ただしく動き出す浴室の気配に満足すると、早苗は鼻歌混じりで夕食の準備に取りかかった。早苗にとって横島という存在は、本来だったら唾棄すべき存在だ。事実、横島が『戻る』前の世界では、蛇蝎の如く嫌われていたのだし。なのにどうして?そう思うかも知れないが、それもこれも、第一印象が凄まじく良かったおかげだろう。早苗が初めて横島と対面した時は、紳士的で、礼儀正しく、のちに早苗の妹となるおキヌという名の幽霊。彼女にとても親身になって問題を解決してくれた、優しく、そして誠実な男であった。早苗も、今ではそれらの殆どがまやかしなのだと分かってはいたが、既に好ましく思っていたこともあり、何より横島の秘密の一端を明かされていたこともあり、どうにも嫌いにはなれそーにない。いや、むしろ好きなのだろうと早苗は思っている。でなければ、例えおキヌの件以来、家族ぐるみでの付き合いがある横島の母からの直々のお願いだったとはいえ、こうして彼の面倒を見るべく同棲しようなどとは思わなかったはずだ。まあ、高校を地元のではなく、霊能科のある六道女学院にするつもりだった早苗にとって渡りに船、というのもあったけど。そんなことを考えながら料理していると、とことこ足音が聞こえた。「さなえオネエチャン、お風呂オワッタ」「そうが。きちんと頭ふいだか?」「ウンっ」「んじゃ、箸や皿を出しといてくんろ」「ワカッタ」アスナの可愛い系なピンクのパジャマ姿に頬を緩ませる早苗。ぜんぶ、早苗が買いそろえた物だ。それがアスナには不評だと知ってはいるが、可愛いんだから仕方ない。思わず後ろから抱きしめてしまいたくなる衝動をグッと堪えていると、「あがったぞー」なんて親父臭い声が。声のする方を見ると、腰にタオルをまいただけの横島がいる。脱衣場には着替えからなにから全部用意してあったというのに。本当にダメな男だ。そう内心で罵倒しながらも、早苗の頬は緩みっぱなし。冷蔵庫から牛乳パックを取り出し、コップになみなみと注ぐと、「ほれっ」と手渡す。「おっ、やっぱ風呂上がりは牛乳だよなー」なんて良いながら、実においしそうにゴクゴク飲み干す横島。ただ、だらしないと言うか、何と言うか……口の端からこぼれ落ちる牛乳の白い奇跡が、早苗を少しだけイラッとさせた。すぐさまエプロンのポケットからハンカチを取り出すと、げふっ、と満足そうにゲップする横島の頬にあてる。「まったく。ほんとにおめぇさは、わたすがいなけりゃダメなんだから……」そう言ってキレイに牛乳の軌跡をふいていく。箸や皿を食卓に出し終わり、次の指示を貰いにきたアスナは、そんな早苗の様子に苦笑い。数百年の経験がなかったら、間違いなく嫉妬してたわね。そう、愚痴のようにこぼすアスナであった。夕食が終わり、身体に引きずられているのか、それとも単純に横島との絡みで疲れ切っていたのか。たぶん、そのどちらでもあろう。たった今まで9時から始まるトレンディードラマを視ていたはずが、気付けばアスナが夢の中。横島は、すーすー、と静かな寝息を立て始めたアスナを起こさぬように慎重に抱き上げると、彼女の部屋のベッドに寝かせる。そうして茶の間に戻ると、かぶりつきでテレビに夢中になっている早苗に少し嫉妬した。だって、主演が銀ちゃんだったから。クソがっ。戻る前はおキヌちゃんで、今度は早苗ちゃんかよっ!?これだからイケ面は……っ!!多分に嫉妬混じりにブツクサ言い捨て、不貞腐れながらソファーにごろりと横になる。そんな横島に気づいているのかいないのか……いや気付いているのだろう早苗は、テレビに顔を向けたまま、真面目な声で話しかけた。「明日、だな……」「そうだなー」早苗の結構深刻そうな声色に、だが横島は軽く応えた。自信があるのだろう。早苗も、彼は大丈夫だろうと信じてる。だけども、危ないことには変わらないのだ。だって、明日は……「GS資格試験は、死んでもおかしくねーんだべ?」「うーん? そうだなー」なのに、あくまで軽い調子の横島に、少しだけカチンとくる。でも、すぐに鎮静したけど……早苗は六道女学院の生徒である。特に六道の生徒にとって、GS資格試験に臨み、合格するのが最終目標。だからこそ、かの試験の危険性は、散々に教わっていた。でも同時に、先ほども言ったが信じてもいた。早苗は見たから。あれから2年近く経った今でも、簡単に思い出せる光景。目蓋を閉じるだけ、ただそれだけで、何度も鮮明に思い描かれる彼の勇姿。おキヌを死津喪比女の呪縛から解き放つため、死闘を繰り広げ、見事勝利した横島忠夫の勇姿を。────死津喪比女っ!テメーはこの、未来のゴーストスイーパー横島忠夫が、極楽に送ってやるぜッ!!光りの盾と、光りの剣。まるでゲームの中の勇者のような彼。その勇姿に違わず、襲い来る死津喪比女の群れを、ばったばったと斬り捨てる。力、技、知恵。その全てが圧倒的で……最後に使った【召/喚】と書かれた二つの珠で、死津喪比女の本体を地上に呼び出し、【滅】の珠でその存在を完全に消し去った。────ギャアアアアアアア死津喪比女の断末魔の叫びが山々に木霊する。全ての呪縛から解き放たれたおキヌちゃんの頬笑みが、とてもまぶしく思え。そして、それを難なく成し遂げた彼の背中が、とても大きく、逞しく、見えた……その背中に憧れ、彼のようになりたいと早苗は思った。思って、しまった……横島と共に来ていた彼の両親と親しく話した。GS資格試験を受けれるのは、満16才からである。だから彼が16才になってGS試験を受けれる年になり、そうして資格をとったなら、彼の下で働かせて欲しいと願いもした。それは正しく叶い、彼の両親が栄転でNYに行く際に、彼の世話を頼まれた程だ。そう、これは通過点にすぎない。彼がGS資格を取り、そんな彼の下でGS見習い、もしくは助手として働き、いずれは彼のようなGSになるという夢の、通過点。でも、もういいっ!そう言ってしまいそうになる。いや、もしも彼の本当を知らなければ、そう言ってしまったろう。なのに、どうしても心配が止まらない。彼が負けるところなんて、想像出来ない。でも、やっぱり心配で。なのに、なのに……鼻くそほじりながら、ぼへ~っとテレビを見ている彼。この態度はあんまりでねーか?早苗は憤慨一歩手前状態になるが、むろん、横島とて鼻くそほじりながら考えているのだ!今の横島の戦闘能力は、最盛期に比べればただの貧弱なボーヤ。でも、よほど抽選が悪くない限りは大丈夫だろうと思っていた。もちろん、危なくなったらさっさとギブアップするつもりだ。試験は今回だけではないのだ。むしろ次回の試験だと、雪之丞達がいる分、楽かもしんないし。なんせ手の内知ってるかんな!そうワハワハ内心で大笑いする横島。早苗は、横島がそんな事を考えているなんて露も知らず。心配な気持ちが止まらない。なのに、横島自身は何ていうか……気が抜けてる?彼の実力は分かっているけど、こんな感じじゃやっぱり不安だ。ふぅ、っと大きく息を吐き、苛立ちや怒りを一先ず堪えると、早苗は目をテレビから離して横島へとむけた。少しでも、力になりたい。そう思いながら立ちあがり、寝っ転がる横島のパジャマのズボンに手をやり、一気にパンツごと脱ぎ下ろす。「わたすの霊力やるから、怪我、すんでねーぞ……?」頬を染めながら、横島のソレに舌を這わす。まだ力なく萎れた状態のソレは、早苗の舌が先端を数度突くと、途端に力をましてグオンといきり立った。やたらと大きく野太いソレを丁寧に舐めながら、コレがアスナのちっちゃい身体にぐぽぐぽ出たり入ったり……と妄想を逞しくさせる。そして、いざ、口の中に頬張ろうとした瞬間、彼をやる気にさせる案が思い浮かぶ。それは……早苗は横島の肉棒をギュッと握ると、真剣な表情になって横島を見上げる。そうして、やや、やぼったい手つきで肉棒を擦りながら、こう言った。「怪我せんで、最後まで勝って、んで優勝したなら、わたすの初めて、をあげるから……頑張れ……っ!」早苗は知っている。彼にとってのココが、過去の世界だと。この世界と繋がっているかどうかは不明だが、遠い未来で待っているだろう者達を、迎えに行かなければならない彼を。早苗は知っている。両親と共にNYへ行ってしまったタマモや、今現在一緒に暮らしているアスナと彼が、どうして睦み合っているのか。そのことをどうかと思ったし、明らかに間違っていると思いもしたけど、彼の両親に説得され、今では認めてた。貞操観念の強い早苗は、当然の様に身持ちが硬い。そんな早苗を説得した両親の凄さはともかく、それ以来、早苗は横島のご乱交には口を挟んではいなかった。ご両親の言うように、横島とアスナが睦み合う度に、2人の霊力が跳ね上がるからでもあるし、何だかその行為をする2人が、とても自然に見えたからでもある。そうして霊力を上げ、霊格を上げ、そして存在を上げる。性魔術と呼ばれる技術には、それだけのポテンシャルがあり、事実早苗も少しだけお世話になってもいた。六道女学院に入ったはいいが、高い霊媒体質以外に特殊な霊能を持たない早苗は、入学早々壁にぶち当たったからだ。せめて霊具……神通棍や破魔札の威力を上げるために霊力の向上を図る。これが早苗が壁を打ち壊す為に考えた結論であった。当然、その方法に一番いいのが横島との睦み合いで、最後の一線こそ許しはしなかったが、それ以来、定期的に口や胸を使ってしてはいたのだ。ただ、横島がその先も望んでいたのには気づいてた。当然、早苗もいずれは……とも思っていた。だから……「よっしゃーっ!」右腕を高々と上げて喜びをあらわにする横島に、胸を撫で下ろした。初めては、もう少し、こう……っていう残念な気持ちもあったけど、彼が怪我するよりはずっとマシ。それに、こんなに喜んでくれるのなら、女冥利に尽きるというもの。ライバルであるアスナや、今はNYに居るタマモが先に進んでいるのもあるし、来年には早苗と同じように六道に入学するだろうおキヌに先んじるいい機会でもある。おキヌは間違いなく、このロクデナシにホの字なのだから。助けられたという記憶もないのに、ただ、普通に出会い、普通にこの男に恋をした。普通、普通、ふつう……だからこそ、この男はそんなおキヌに萌えるだろう。……負けない!おキヌちゃんは可愛い妹だけんども、いんや、だからこそ負けらんねっ!!早苗は、「俺はやる! やーってやるぜっ!」と叫んでいる横島の様子に微笑みながら、彼の肉棒を口に含んで舌で扱きあげた。やる気さえ出せば、きっと怪我もせずに無事に帰ってくる。それに、これで優勝なんかしたら、わたすは勝利の女神け?なーんてほくそ笑みながら、ビクビク震える肉棒を、愛おしそうに喉の奥で締め付ける早苗だった。……GS試験の結果は、完全勝利。はらはらしながら学校に行った早苗は、六道の3年生の上位成績者も資格試験を受けていたこともあって、ほぼリアルタイムで二次試験の様子を見る事が出来た。みな、3年生の先輩を内心はどうあれ応援する中、ひとり横島を大声で応援する早苗は、否が応でも悪目立ち。しかも応援する相手が、一次試験を軽々と突破。二次試験も、試合時間で最大かかった時間が27秒。最短で0.8秒なんて圧倒的な強さで勝った 【 男 】 である。先輩の応援もしないで……何ていう嫌悪だけでなく、女子高的な妬みや嫉みの視線を大量に浴びせられるも、早苗は気に止めずに応援を続けた。結果、この学院のボスである六道に、横島込みで唾をつけられることになるが……まあ、それは後の祭りである。 とにもかくにも、このGS試験を過去最高成績でトップ合格した横島は、方々から注目を浴びることになるのであった。