横島忠夫。他のゴーストスイーパーよりも隔絶している彼の力の中でも、特に優れている物がある。それは幾百年にも及ぶ様々な経験則と、浅くはあるものの、並行世界や異世界とも呼べる異界の知識だ。便宜上、名義だけではあるが、横島の弟子的な立場となった早苗は少し困っていた。彼女は高い霊媒体質をのぞけば、凡百の霊能者と大差ない程度の資質の持ち主でしかないから。当然、性魔術による霊力の底上げはあるが、即戦力に繋がりはしない。だからだろう。早苗は、当たり前の様に、美神令子の戦闘スタイルを選んだ。すなわち、霊具使いである。悪霊どもを祓う為、符を用い、神通棍を振るう。しかし、それがどうにも上手くない。いや、かなりの上達はしているのだ。それこそ、同じ六道女学院の同級生達から比べれば、卓越している技術と霊力。でも、この程度ではダメだ。ダメなのだ!横島忠夫の名前は、業界内では最早ブランド。史上最速最強で試験をくぐりぬけ、更には本免許の取得まで史上最速。名前だけの一流であった六道冥子を、事実上の『一流』に仕立て上げた手腕は、関係各所を驚愕させた。そんな彼の最も傍にいると目される早苗である。注目度が半端ない。いっそ、息が苦しく、悲観的な感情に犯されてしまいそう。横島は、早苗が辛そうにしているのにスグに気づいた。そして、何に苦しんでいるのかも、スグに気づく。初めに戻ろう。横島は幾百年にも及ぶ経験と、浅くはあるが、並行世界や異世界とも呼べる異界の知識を持っている。横島は思う。早苗を『特別』にしようと。そうすれば、彼女はもう悩まない。他の誰かでは難しいだろう『特別』でも、横島には出来る。早苗を、特別にすることを。『浅く』『広い』異界の知識。それさえあれば容易く。なんせ大衆が求めるのものは、深い知識や技術でなく、解り易く『正義』っぽい何かだ。そして横島が早苗を『特別』にするために思い浮かべたのは、とある世界の退魔士である、神咲那美。彼女のちょっと変わった除霊術である。高い霊媒体質は、すなわち、高い感応力に他ならない。早苗の妹であるおキヌの秘められし霊能、ネクロマンサーほどではなくても、彼女にも似たようなことは出来るはず。そう、これこそがっ! 横島除霊事務所のイメージ戦略の一つにすら成り得るのだッ!! 古ぼけて、朽ち始めている何かの工場跡地。シン……と静まりかえったその場所で、巫女は手を差し出した。差し出す先には、何もない。なのに、その手を中心に空気が動いた。風が吹いたのだろうか……?いいや、違う。私達には見えない。でも、確かにそこにいるのだろう。私達はゴクッと生唾を飲み、巫女の一挙手一投足に注視した。すると、何もない……恐らくは、そこにいるだろう『彼』に向かって彼女は微笑む。優しい笑みだ。自分を産んでくれた母を思い出すような……とても優しい笑み。そんな笑みを浮かべながら手を差し伸べる巫女の姿は、私達の心を、確かに暖かくした。と、その時、光が、彼女の手の先の空間から溢れだした。まるで蛍が舞うように、沢山の光りが舞っている。その沢山の光りの中、私達は奇跡を見ることになる。『妻や、子供たちは、俺を思って泣いていたのか……?』「そうだ。死んで、そして彷徨って、その事を、とても辛く思ってる」『でも、ここを離れる訳には……だってよ、ここは俺の……』「だけんども、もう、ここは別の誰かの物だべ?」『違うっ!ここは俺の……俺の……っ! なのに、アイツが、アイツらがッ!!』暖かった雰囲気が、とたんに寒々しい空気へと変わった。私達は、『彼』を知っている。『彼』は、先祖代々の土地と建物を騙し取られ、絶望の中で自殺した男であった。『彼』の憎しみは、いかほどのモノなのだろう?そんな怒りや恨みから発せられる負の感情。一般人な私達にも分かる、その明確に暗く恐ろしい感情は、私達の身体を恐怖で震わせた。でも、巫女は恐怖を見せない。いや、恐れてすらいないのか?彼女の暖かい笑みが曇ることはなかった。それどころか、暖かい笑みは更に深く、どこまでも深く……「あんたを騙したヤツは、もうキチンと報いを受けた。だから、もう……」『……でも、ここは、俺のッ!』それでも怒り冷め止まない『彼』に、巫女は一歩、前にでた。ビクリと霊体を震わせ、怖がるように後ろずさる『彼』に、やはり巫女は優しく笑ってみせる。「辛かったな……苦しかったな……」『彼』はハッと彼女をみて、涙を流した。巫女の言葉は、どこかしら田舎臭い訛りがあったが、素朴で優しげで……気づけば、私達も、『彼』と同じように涙した。辛かったのだろう。苦しかったのだろう。彼を思って。 そう、彼女の声と雰囲気は、それほどに真摯であったのだ。「でも、このままじゃ、アナタは家族と会う事ができない」『妻とも、娘ともか……』「でも、望んでください。願ってください。輪廻の輪に入り、いつか再び、愛した者達と会えるのだと……」『望めば……願えば……会えるのか……?』私達の目から見ても、『彼』からもう憎しみを感じることはなかった。『彼』は、ただ、巫女を見つめていた。全ての恨みが晴れた訳ではないのだろう。苦しみの対価を手にした訳でもないのだろう。それでも『彼』は、険のとれた顔で、巫女を見つめていた。不意に、そう、気づいたら、天から光が差していた。『彼』を包むように、『彼』を守るように。そして、『彼』は表情を柔らかくした。『分かっていた。分かっていたんだ。こんなことをしてても、妻も子供達も、喜びはしないってな……』「そう、ですね……」『家族に、伝えてはくれないか? 愛してる。幸せに……と』「はい、分かりました」『ああ、ありが……とう……』 シャン……巫女の手にある霊具についてた鈴が鳴った。天に昇ろうとする『彼』への、もう迷わないようにとの道しるべなのか?『彼』は、その鈴の音に目を細めると、もう一度、深く、深く、頭を下げた。身体が、薄くなる。存在感が、消えていく。巫女に願いを託し、想い晴らし、満足したのだろう。『彼』は天に昇り、そして……還った。私たち取材班は、鎮魂の鈴に涙を流します。その時は、その音の意味を知りはしませんでしたが、それでも、私達は…… シャン…… シャン…… シャン…… 気づけば、私達は、手を合わせていた。頬が熱い。涙を流していたのは分かっていた。胸が、暖かく、暖かく……ゴーストスイーパー。それは、悪霊『退治』の専門家である。なのに、彼女は……横島除霊事務所は、退治ではなく、自らの意思で成仏してもらおうと努力する。もちろん、凶悪な悪霊や妖怪、魔族などといった驚異的な存在に対しては、横島所長の隔絶した戦闘能力が唸りを上げる。でも、横島所長は忘れない。力で屈服させるだけじゃない。心……そう、心こそが大切なのだと。 「さなえオネエチャン、すんごくカッコイイ!」「ひゃあーっ、はんずかしぃ~」特集、あのGSを追えっ!その番組を見たアスナの感想に、早苗は恥ずかしそうに両手を頬にあてた。耳まで真っ赤にした彼女は、だがしかし、満更でもなかった。当然のように、しっかりビデオ録画もしてたりするし。「ホンモノの巫女みたい」「わたすは本物の巫女だっ!」怒った風に怒鳴り返す早苗。でも、口元は緩みきり、目尻は下がっていた。本当に怒っている訳ではないのが丸わかりである。誇らしかった。業界でも有名な横島忠夫の除霊助手として、堂々と胸をはれるのが。嬉しかった。少し気が早いかもしれないけれど、あと半年もすればやってくる妹。氷室キヌ。彼女に恥ずかしくない姉であれると。安堵した。自分と同じく、横島忠夫に心を奪われた妹に、決して小さくない『差』をつけれた。おしおきとばかりにアスナをジャイアントスイングする早苗は知らなかった。差をつけたと思っている妹が、実は世界でも数人しかいないネクロマンサーだということに。 しかしまあ、うまくいったなぁ、と横島は思った。特に早苗の台詞なんざ、オリジナルではなく、参考としていた神咲那美の言葉に近い。それでも成仏してくれるのだから、早苗の力は本物なのだろう。何より、これで明日からは依頼がじゃんじゃか来る可能性が高い。今も階下から聞こえる電話の音が、それを証明しているではないか。横島が高校生である以上、受けれる仕事の数は限られている。それでも、このイメージ戦略によって、そこそこ質の高い仕事を『選べれる』ようになるだろうことは間違いなかった。────ふはははははははははははははははははははははははは悪い顔で笑う横島は、確かに両親の血を受け継いでいた。商才。特に営業とプレゼンテーションにその才を発揮しまくる横島は、だがしかし。この瞬間、美神令子から凄まじいまでの敵意を浴びせられることになったのだと、気づきはしない。3割減。横島によってもたらされた美神令子除霊事務所への、大口依頼件数の減少率である。「横島忠夫……貧乏臭い顔してる分際で、この私の仕事を奪うなんざ、いい度胸してるじゃない……っ!」必ず、アンタを……ぶっ潰すッ!!美神令子は握り拳に親指を立てると、クルリ180度下へ落とす。まるで、見えないアイツに、地獄へ堕ちろ! そう言わんばかり。そして、高々と笑いだした。横島忠夫が美神令子の怨敵になった瞬間である。────あはははははははははははははははははははははははは前の世界では、弟子と師匠の関係だった2人の笑い声は、なんだろう。とても良く似ている。 ヨコアスR 逆行大作戦!! ④ 再び始まるあの熱かった日々、その序章と、まあ。色々と事務所の発展に頑張っている横島だったが、実は結構困っていた。高校1年から高校3年へと入る直前まで、大小様々な事件に巻き込まれたり飛び込んだりした激動の2年間のことである。今から準備をしておけば、かなり楽に事件を解決できるんじゃないかなあ……なんて思う横島ではあったが、事件の内容をさっぱり覚えちゃいなかった。美神さんの命がアシュタロスの紫マッチョに狙われていたなぁ、とかは覚えているんだが、時系列とか、実際にどういった事件があったとか。その辺りの記憶が100年を超える時の中で、すっかり薄れてしまっていたのだ。実際、すでにひとつヤッちまっていたりもする。まあ、これは記憶とは関係なく、ただ欲望に負けただけだけど。「あ、あぁんっ。そ、そんなに焦らなくても、冥子、にげないわ~」 年上ぶって見せてるんだろう。横島に押し倒された形になっている六道冥子は、そう言いながら身体から力を抜いた。20才過ぎの割に、やたらと童顔な少女みたいな顔を、これ以上ないくらいに紅潮させて。つぶらな瞳は、こぼれ落ちる寸前まで涙を湛え、自分では気づいてないのだろうが、身体が細かく震えてた。それでも大人ぶりたい彼女は、スカートの中に震える手を忍ばせると、ややもたつきながら下着を脱いでみせる。冥子らしからぬ、レースの部分が透けてみえる黒いシルクの下着。しかも下着の中心部が、線の一筋を引いて濡れていた。そんなエロリカルな姿と、普段の子供然としてる彼女とのギャップが凄まじく、横島の煩悩を刺激してやまない。下半身がいきり立ち、もうどうにも止められそうになかった。まあ、最初からやめるつもりはないけどな。横島は、当然と言えば当然なことを考えながら、冥子の手を取り、いきり立つナニに導いた。ここ最近の冥子は、どうもお姉さんぶりたいらしく、こうすれば喜んでくれるのだ。「も、もうっ、横島くんたらこんなに大きく熱くして~。しょうがないから、冥子がしてあげるわ~~」本当に嬉しそうに、もう、にっこにこしながら、ゆっくり丁寧にナニを扱き始める。冥子は舌を伸ばして唾液をたらすと、しなやかな指にその唾液を絡ませて、ナニ全体に満遍なく塗り込んでいった。ただでさえ硬く屹立していたナニが、更にカチカチになっていく。先端に先走り液が滲み出るのを見て、冥子はソレを嬉しそうにする。「横島くんの準備~、できたみたいね~」冥子は早速とばかりにスカートの内部にソレを導くと、ナニを取る手とは逆の手。その手を横島の背中に回し、横島に覆い被される形になって背中を床につけた。「さあ、いいわよ~」「いいわよって、冥子ちゃんの準備は?」「わたし~? 私のことは気にしないで任せて欲しいの~」そう言ってほのかに微笑むと、横島の腰を引き寄せ、横島のナニにヌルリと熱い粘液を湛えた自らの秘部に押し当てる。もう、じゅうぶん準備は出来ていた。横島に助けを求めようと思った時から、期待していたのだ。それに、こうした方がお姉さんぽいし。いつも私を包みこんでくれる横島くん。そんな彼を、これからは私が包み込むのだ。冥子はまだまだと、横島の腰に足を絡め密着すると、「うん~っ!」と気合を入れた。「くおっ! め、めいこ……ちゃん?」不意打ちの様に、生温かい感触が横島のナニを包んだ。ああ、確かにこれなら準備はいらない。冥子の中は、横島が何もせずとも、こんなにもヌルヌルだ。「んじゃ、遠慮なく」冥子に導かれるようにして挿入された肉棒の先端を、今度は横島自身の意思で、グイッと半ばまで差し込んだ。ふるふると震えながらも頑張っていた冥子は、その瞬間、たまらず大きく喘いでしまった。それでも冥子らしからぬ意思の強さの表れか?キッと涙目ながらもお姉さんぶるのをやめようとはしない。いつもみたいに、身体の芯までメロメロに甘やかされるのも悪くはないけど、冥子はこれでも年上なのだ。甘やかされてばかりじゃなくって、甘えさせてあげたい。ただただ甘やかされてきた冥子にとって、そう思えたこと自体が驚きである。横島としても、年上のお姉さんタイプが好みであるし、こんな冥子ちゃんも新鮮で悪くない。思わず冥子を抱きしめて、そのまま蹂躙してしまおうと彼女の太ももに手をやり、ガバッと大きく開かせようとする横島だったが、「だめ~!今日は冥子がしてあげるんだから~!!」 涙目で、ぷんぷん怒る冥子の剣幕に、大人しく冥子の頑張りに任せることに。それに何だか可愛いし。下からだと手慣れた女とて苦労するだろうに、「んしょ、んしょ」と拙くも頑張って腰を動かす冥子に、たっぷりの愛情を感じつつそう思った。そう、これこそが ヤッちまったことであった。ちょっとした味見のつもりだったのに、本気になって惚れられるのは不味かったのだ。六道冥子は横島の使徒である六道冥菜の祖母であり、その子供にしてやはり使徒である六道蛍子の曾祖母である。使徒であるアスナが横島と同じく戻っていることを考えれば、恐らく……いいや、間違いなくこの2人の使徒も戻ってくるだろう。しかしだ、戻る前の世界では、六道冥子は鬼道政樹と結婚し、子供を産んでいる。そして、その子の子供が冥菜であり、冥菜と横島の子供が螢子であった。だが、この世界でそれはない。絶対にない!冥子はこの横島忠夫の女なのだ!鬼道に譲る気なんざ毛頭ないし、他の男になんて言わずもがなである。だから絶対にない。でも、そうなると冥菜はどうなるのだろうか?そして螢子は?いや、それ以前に螢子は螢子なのか? なんて疑問もありはした。螢子の前世はルシオラで、この世界ではルシオラはルシオラとしてアシュタロスに創られるのだろう。だとしたら、ルシオラは螢子なのか、それとも、『あの』ルシオラなのか?螢子は、確かにルシオラの魂と記憶を持ってはいたけど、やっぱり『螢子』であり、『ルシオラ』ではない。だからルシオラはルシオラで、螢子は螢子として産まれるんだろうか?ってか産まれてこれるのか?……ダメだ。訳が分からんくなってきた。「どうしたの、横島くん~~」頭がぐるぐるしてたせいだろう。冥子が心配そうに横島を見上げていた。 「へ? いや、なんでもないッスよ?」横島はすぐさまそう言うと、冥子に全て任せていたからか。何気に半分しか挿入ってなかったナニを、誤魔化す様に残り半分を突き込む為に、冥子の腰を掴み、自分の身体を起こして対面座位の形に持っていく。十分に濡れている冥子の膣道は、何の抵抗もなくズブズブと横島の肉棒を根元まで飲み込むと、冥子は感極まったように「あぁん」と喘いでおとがいを反らした。冥子の膣内は、もうすっかり横島の肉棒の形を覚えており、まるで誂えた刀の鞘の如く、ぴったり綺麗に肉棒が納まった。その事実が冥子を悦ばせ、子宮がキュウンと疼き、結合部から愛液が溢れ止まらず、トロトロ流れ落ちて床を濡らす。お姉さんするよりも、やっぱりこうされる方が私らしいわ~。冥子はいつもそうされているみたいに、横島がしやすいよう身体の角度を変えると、おでこを横島の胸に押し当て、これから始まる淫靡なダンスに備える。が、しかし、不意にされたうなじへのキス。激しいダンスに備えた心と身体はヘロヘロに腰砕け。そこを一気呵成に攻められたらたまらない。「あっ、あぁっ、だ、ダメよ、横島くん~、こんなに激しくされたら……んんんっ! め、めいこ壊れちゃうわ~~ッ!!」横島くんに抱きしめられて。横島くんと一つになれて。横島くんにいっぱい愛されて。ただそれだけでスグにでもイってしまいそうなのに……わたしの奥を何度も突きながら、気をつけないと聞こえないような小さな声で呟く横島くん。────冥子ちゃんはオレんだっ! 鬼道にも誰にもやらんっ! 鬼道……冥子には誰だか分からない。でも。そう、でも。横島くんが敵意を見せるなら、私は決して近づかない。「大丈夫だから~。私は横島くんしか見えないもの……」冥子は小さく恥ずかそうにそう言うと、横島に何度も子宮を叩かれながら、ワンピースの裾を掴んで服を脱ぎ捨てる。むしろここまで着衣のままだったのが驚きではあるが、実は今こうしている場所は横島除霊事務所の所長室だったりする。いつ早苗や明日菜、はたまた仕事の依頼に訪れる客が現れるか分からない。そんな場所であった。まあ実際は、直前で人工幽霊一号が教えてくれたりするのだろうが。ただ、冥子はこの事務所が、そういう存在だと知らない。知らないから、いつ、誰が、突然現れるか分からない。そうビクビクしながらのセックスであった。正直なところ、冥子はここでスルのはイヤだ。でも、冥子がここに来た理由もあって、横島の行為を止めれなかった。それは急な仕事の依頼。しかも相手は真祖の吸血鬼である。真祖は魔族に匹敵しうる力の持ち主。命がけの相手になるだろう。そんな相手との死闘に巻き込もうというのだ。むしろ冥子から積極的に体を許した。というか、冥子も怖くて、横島のぬくもりが欲しかった。それでもこんな場所は嫌で。でも、少しでも早く横島が欲しかった。だからいつでも何もなかった風を装えるよう、服を着たままであったのだが。それを、やめた。もっと一つになるために。もっとアナタを感じたいから。もっと私を知って欲しいの。そうして喜怒哀楽。その全てをアナタと共有したい。だって、わたし……紅潮した身体に、玉のような汗の粒を纏わせ。冥子は荒い息をしながら最後にハーフカップの黒のブラを内側に折り返すと、サクランボのような乳首がまろび出る。「横島くんっ、好きぃ、好きなのぉ……おしごと手伝って欲しいからだけじゃないのよ~? 横島くんだから、わたしぃ、わたし~~っ」冥子が初めて見せる、積極的な姿に、横島は心の奥底にあった鬼道への罪悪感が薄れていった。まあ、この世界では、そもそも冥子と鬼道の間に何かがある訳ではないのだから、その罪悪感自体が的外れではあった。一番気にしなければならない冥菜と蛍子についても、「あぁっ、横島くん~。いいっ、いいのっ、すごいのっ!」気の抜けるような喘ぎ声を聞いて、何とかなるべと少し前向きに考える。すると面白いものだ。あまりの気持ちよさに射精しそうになるのを堪える度に、冥菜の顔がチラつくのだ。横島は悟る。たぶん……ではあるが、横島と冥子の間に出来る子供。それが冥菜になるんじゃないだろうか?そう思っただけで、激しい射精感に腰が熱くなる。文珠『避/妊』の効果を消してしまいたくなる。だが、ダメだ。まだ、ダメだ。冥子は二十歳でも、横島はまだ高校一年生。子持ちになるには、流石にまだはやいだろう。あと、最低でも2年。2年は待たなければ。だが覚えておけ。2年。2年経てば、ここに俺の子を孕ませてやる!そう誓いながら、冥子の腹を優しく撫でる。いつの日か冥子が孕む子を慈しむように……横島は、冥子を孕ませたい衝動をグッと堪え、大きなストロークで激しく冥子を打ちたてた。冥子はあまりの激しい律動に、キラキラと脳裏で星が弾ける。視界がぼやけて見える。「横島くん~、わたし、わたし、もうっ、もう~~ッ!」激しく痙攣してとまらない冥子の身体。横島の目の前で大きく震える小ぶりな胸。迷わず横島はその小ぶりな胸にかぶりつき、ころころと乳首を舌で転がしながら、ゴンッ! と力強く肉棒を子宮腔に打ちつけた。「め、めいこ、もうイッちゃうわ~。あ、ああ、んあ────ッ!!」横島は、絶頂の痙攣と解放感に震える冥子の子宮をググッと押し上げる。冥子は自分の子宮を押し上げる横島のナニが膨張したのを感じて、彼が熱い精の塊を発しようとしているのだと、これまでの経験から悟った。「だ、だして~、冥子の中を、横島君でいっぱいにしてほしいの~~~ッ!!」……ドブッ! ドブドブッ! ドグンッ!熱い奔流が冥子の子宮口に大量に押し寄せる。達したばかりの冥子は熱い精液の感触に、更なる高みへと昇りつめた。「ひぃあ~~~~~~~ッ!!!」身体が、心が浮き上がるような感覚だ。そう、まるで全身で快感が弾ける衝撃と言ったらいいのだろうか?それは想像を絶する悦びだ。好きな人の精液を胎内で受け止めることが、こんなにも素敵だなんて思わなかった。冥子の身体が、悦びにぶるぶる震える。そしてもう一度……いや、今まで以上に甲高く、冥子は絶頂の叫びを上げた。「ああっ!め、めいこ、また、またぁ……ッ! イクぅうううううぅぅううううううッッ!!」冥子の最後の絶叫は、人工幽霊一号の結界すらも貫いて、大きく外へと響いたらしい。ちょうどその時帰って来て、そのまま部屋へと直行し、気づかないフリをしていたアスナが、夕食時に顔を真っ赤にしてそう言った。何でも、未来の腹黒冥子とのギャップが凄まじく、まるで冥菜を見ているみたいで落ち付かなかったとかなんとか。 「よ、よこしまくん~」「なんすか?」「冥子……がんばるから、いっしょに来て……」「いいっスよ。ってか、冥子ちゃん一人に、そんな化け物の相手はさせませんって」「うん、ありがとう……」精臭がむんむんと漂う中、ゆったりとピロートークで誓う。真祖。横島がその言葉で最初に思い浮かぶのは、闇の福音と呼ばれた真祖の吸血鬼。彼女クラスが相手なら、今の横島じゃ勝つのは難しいだろう。だが、負けない。誰が、負けるかッ! 横島は、冥子の髪をすいて頭に手をかけると、そっと抱き寄せた。吐息が触れあう距離まで近づいた顔。冥子は熱い息を吐きながら、「横島くん……」と名前を呼んだ。小さく呟いた冥子は、そのまま唇を横島に奪われ、瞳を潤ませうっとりする。いつもなら、頼る相手は令子ちゃん。でも、だいじょうぶ。横島くんがいっしょなら、例え相手が強力な真祖の吸血鬼でも、ぜんぜん怖くない。そう、令子ちゃんに頼るのではなく、横島くんと『一緒』にがんばる。横島くんと一緒なら、どこまでもがんばれる。 2人のそんな決意と誓いは、だがしかし。そこまで緊張しなければならない相手かどうか不明である。なんせ相手は……戻る前の横島の親友の父親妹の旦那のいとこがドラキュラ中世で脳みそが立ちぐさっとると、当時の横島に言わしめた…… ブラドー伯爵である。 そこまで気を張らなきゃならん相手でもないかもしれん。ただ、その魔力は本物だろうが、それ以上に気にしなければならないことがあるのに、横島は気づいていない。まあ、この記憶がまったく残っていないのだから、仕方ないのだが……相手がブラドー伯爵ならば、当然、あの人も来るのだろう。そう! 横島と美神の運命が。2人の千年の恋が、静かに足音を立てて近づいていた。……今の横島は、美神にとっては怨敵だったりするのだが。「あ、あ、あぁんっ! 横島くんっ、横島くぅん~~ッ!!」でも横島は気づかない。「お! お! おおうっ! そろそろ2回目イクッスよ!」「くる、くるのっ! あっ、ああああぁぁンっ!!」気づかないから……「んふぅ……は、はぁ……お、お腹のなか、たぷたぷしてるわ~~」「んじゃ、3回目、イクとしますかっ!」「だ、ダメぇ……これ以上、冥子の中には入らない~~っ!?」「限界……そう感じてからが本当の勝負っす!」「……分かったわ~、冥子、がんばるっ! ひぃ、い、いぁぁああああああああ……」」