一風変わった雰囲気の少し古くさいセーラー服を着た少女が、墓地をしずしず歩いていた。少女の容姿は黒髪黒目と、由緒正しい大和撫子の外見まんま。でも、それ以上に気になる部分がある。それは、少女がなぜか学校の机を抱えているからだ。これなら通りすがりの者達が一瞬ギョッと凝視してしまうのも仕方ない。でも少女はそんな周囲からの視線を気にも止めず、ひたすら目的の場所……大切な人が眠っている墓を目指した。大切な人とは、少女の初めての友人である。「……久しぶり、になるのよね? だって私にとっては3日程だけど、アナタにとっては35年ぶりなんだもの……」少女は墓の前に立つと、口元を小さく綻ばせてそう言うと、墓をキレイに掃除し始めた。でも少女は、掃除しながらも語るのをやめようとはしなかった。楽しげに話しを続ける。「ねえ、お孫さんときちんとお友達になったわ。あの子ね、普段の態度からして横島くんのこと好き好き~なのよ? 青春よね~~」こしこし、こしこし丁寧に丁寧に墓石を磨き。さぁーっと最後にペットボトルに汲んでおいてあった水を墓の天辺からかけ流し掃除を終えると、今度は花瓶と花を取り出し活ける。そして最後に、墓の対面に机を置くと、端に座った。目は優しく細められ、墓の主と少女の仲の良さがうかがえる。事実、墓の主は少女と30年以上一緒に過ごした仲だ。そして、共に一人の男に抱かれ、愛した仲。少女と墓の主が愛した男は、少女の創った不毛の学園生活を終わらせた男。少女に、本当の青春を教えてくれた男。恋を、愛を、教えてくれた、たったひとりの男。少女はゆっくり目をつぶる。「私たちの青春……私たちの、初めての……恋……」思い返す。終わらないHRが終わった、あの日のことを…… ヨコアスR 逆行大作戦!!⑥ リターンな横島忠夫の高校生活 上教室に着くなり、ぐた~っと机に突っ伏すのは、我らが横島忠夫その人である。元々やる気があまりない男ではあるけれど、ここまでやる気がないのも珍しい。それもそのはず。彼はGSの仕事でイタリア出張から帰ってきたばかり。本当は今日ぐらいサボりたかったんだけど……「さっさと学校行がんかいっ! こんの唐変木ッ!!」同棲……っていうか同居人である早苗の凄い剣幕によりサボりは断念。まあ、出席日数的な意味でも、GSの仕事がないなら学校へは行っておいた方がいいのは確か。今のところは余裕があるけど、この先の展開次第で学校に行く暇がなくなるのかもしれんのだから、行ける時に行っておいた方がいいのは自明の理。(……なのは分かってんだけどよ~)どうにも調子が出ないのは、大きな仕事を終えたという達成感と、懐かしい面々との再会のせいだろうか?美神令子と出会い、小笠原エミと出会い、ピート・ド・ブラドーと出会い、悲しいことにボケてたドクターカオスと再会し、そして、マリア……この世界に戻る前は、横島忠夫の恋人の一人だった高性能アンドロイド『マリア』。彼女の中に、当然だけれど横島忠夫という存在は一切なく、しかも自我まで薄いときたもんだ。身体が鋼鉄だからセックス出来ないってぇーのはともかく、心が通じ合わないのは、どうにも悲しく、どうにも遣る瀬無く、どうにも虚しく思ってしまう。そんなアンニュイな横島忠夫 (16)は、机に突っ伏したまま、うつらうつら……と、色々と疲れたイタリアでの事件をダイジェストで思い返していた。ブラドー島での戦いは、いわば冥子ちゃん劇場だった。ブラドー島に着くなり、ブラドー伯爵の居城を、外から12神将で城ごと攻撃。恐ろしい程の圧倒的な暴力。崩れ落ちる城を見て恐怖に震えるピート。そんなピートを素早く女の魅力でしっとり慰め、戻る前の歴史よりも10年近く早くゲットしほくそ笑むエミ。(しまった!!)とエミを落とし損ねてガックリ肩を落とす横島ではあったが、戻る前のピートの純愛っぷり知ってる分、実はそんなに残念でもなかったりする。いや、むしろホッとしたというか……戻る前の世界では、親友であり、同じ永遠の旅人でもあるピートの嫁さんだった小笠原エミ。純情一途なピートは、彼女の死後、何百年経っても、ただただ、エミを愛し続けていた。真逆に女漁りしまくって、一大ハーレムを形成していた横島とは大違いの純愛野郎である。そんなピートに横島はいつも言っていたもんだ。────せっかくのイケメンがもったいねぇ。お前がその気になったなら、俺以上のハーレムだって作れるだろうに……大きなお世話な横島に、ピートはいつも微笑んでこう返すのだ。────まあ、僕だって男ですからね。ハーレムに興味がないって言ったら嘘になりますが……それでも、僕が愛する女性は、後にも先にもただ一人。小笠原エミだけなんですよ────────────ほろ苦く、郷愁を誘う切なそうな声色で、ただ彼女を想う言葉を口にする。……一人では生きられない横島と、一人で生きる術を手にしてしまったピート。横島とは真逆の存在だった彼は、だからこそ、いつまでも横島の親友でいられたのかもしれない。まあ、そんな話だ。ここは涙を飲んで諦めよう。それに、だ。ピートとエミが結ばれなければ、2人の孫娘であるレミは生まれないし。冥菜とは違い、彼女はダンピールの特性を持っていたこともあり、横島の種から生まれるとは思えないのだ。そう考えていると、瓦礫と化した城から怒り狂って飛び出したブラドー伯爵が、12神将『バサラ』にアッサリ捕まり頭からアグアグ。ブラドー伯爵の心が折れるまで続けられたアグアグにより、彼に支配されていた島民達も解放され、ここにブラドー島に平和が戻った。……地下で反逆の時を虎視眈々と狙っていた唐巣神父をそのまま放置して。こんな感じで、冥子の精神安定ぐらいしか役に立ってはいない横島。とは言え、それは美神令子や小笠原エミもまったく同じ。2人は経費もかからず報酬丸儲け、うひひひひ、ぐらいは考えていただろうが…… などと、美神とエミの腹黒そうな笑い声を必死に脳から追い出していると、不意に背中に、ふにゅん、と柔らかい感触がした。「よ~こし~まくんっ♪」声と、何よりおっぱいの感触で、自分の背中に覆いかぶさってきたんがクラスメイトの女子だと分かる。横島のクラスには、女子が19名いる。ちなみに、横島の『お手付き』は、ほぼ半数の9人である!そして、いずれはクラスを制覇し学年を制覇し……ついには学校制覇までいってみせる!!当初はそんなBIGな野望を持っていた横島の、悲しき被害者の一人が、背中のおっぱいの主であった。ちなみに現在はそんな野望は持ってない。なぜなら……ハズレの存在を忘れていたから。もう少し詳しく言えば、ハズレとは容姿的な意味ではなく、性格的な意味である。齢数百を数えれば、よほど酷いのは別としても、外見の良し悪しなど二の次三の次。……そこッ! じゃあ美神令子はどうなんだ!って言いたそうな顔しない!!あの人はあれで中身は結構可愛いかったりするのだ。守銭奴なのも、愛情を得られない代わりに欲した代償的な意味合いが強く、なにより、なんていうか……ツンデレ?……まあ、それはそれとして。そんな訳で今の横島は、教室に学校中の美少女女子高生を裸にして詰め込み、射精会……もとい写生会を開くなんていうちっぽけな夢しかもってないのだ。(ふっ……俺も謙虚になったもんだぜ……)と、誰かが聞いたら間違いなく激怒しそうなことを考えながら、横島は背中に押し付けられたオッパイの感触を堪能する。時折身体をゆさゆさ揺らしてみたり、グイッと背中を反らしてみたり。横島の動きに合わせてぐにぐに形を変えるオッパイは、気づけば中心部に硬いシコリみたいなのが出来てきた。自然と背中に乗った少女の吐息が、「ん……あ、は……ぁ……んぅ……」と次第に甘く切なく荒い物に変化する。男共は細く聞こえる少女の喘ぎ声に身体の一部が変化して、自らの席から立つことも出来ず。クラスの女子達は頭痛そうに抱える者と、どこか羨ましそうな者が半分づつ。これは横島が落とした女と、そうでない女の違いだろう。にしても、実に心地好い。オッパイの感触が……ではない。むろんオッパイの感触も心地好いが、それ以上にモテナイ男共の怨嗟の念が心地いいのだ。チッ! とか クソがッ! とか 死ねッ! とか……そこかしこから聞こえてくる呪いの呟き。かつての自分が呪いをこめて言ってた言葉と、さして違いはないだろう。そんな呪詛混じりの言葉である。「……くっくっくっ……うわははは、あははははははははははははっ。モテナイ男共の怨嗟……まさに嫉妬乙!」だから思わず本音を口にしてしまっても仕方あるまい。もっとも、横島は自分の内心を口にしてしまったことに気づいてないが。昔からの悪癖……心の中で思っていたことを、ついつい口にしてしまう癖……が、悪い場面で出てしまったのだ。横島の背中に乗ってた少女は、殺気だった男達を見るなり、すすっと彼から離れ、薄く笑う。イタズラが成功したような、そんな笑みで。少女は、横島がクラス制覇……学年制覇……そして、学校制覇!! の夢を見る切欠を作った始まりの少女。解りやすく言えば、クラスで最初に落とされ抱かれた女であった。少女の名は、唯香。アスナか早苗辺りが唯香を見たら驚きそうな美少女だ。ちなみに、美少女だから驚く訳はない。似ているのだ、彼に。横島忠夫に、似ている。……別に、容姿が横島に似ているかと聞かれれば、少し違うと答えるだろう。容姿は横島と違い、間違いなく美形である。まあ、目元とか唇の形は似通ってはいるが、よくよく見なければそうは思わない。では性格か? と聞かれれば、やはり違うと答えるだろう。というか、女横島など誰得か!?いや、これもまた、明け透けな所や、ムードメイカーな所は良く似てはいる。だけど、それ以上に……存在感や安心感と言った、口では説明し辛い何かが、横島と良く似ていた。 もっとも、本人同士はそうは思っておらず。実際、横島がこの娘に手を出そうとした切欠は、この娘の存在を知らなかったからだ。現在横島のクラスメイトは、ほぼ戻る前と同じであるというのに。そう、『ほぼ』。ほぼである以上、微妙に違う点が当然あり、それがこの少女、唯香であった。横島は、男の顔は速攻忘れるが、女の顔は忘れない。なのに、唯一知らぬ女である唯香に興味を持たないはずがない。あえて言うなら、知っているが知らないクラスメイトを本当の意味で受け入れる為の、いわば儀式だったのだ。……まあ、一番の理由は、唯香にとって横島は理想の男性像に近いから……なんだけども。唯香は、おばあちゃん子である。そんな彼女が小さい頃に聞かされた、おばあちゃんの唯一人の大切な男性が、横島とだぶって見える。……若くしてこの世を去ってしまったおばあちゃんが、もう一度会いたいと心から願ってやまなかった男性に。唯香は横島が男子一同からボコられてるのをクスクス楽しそうに見ながら思うのだ。一緒にいて愛おしいと思う彼は、おばあちゃんが捜していた人の血筋なのかもしれないと。そう、捜していた人に近しい人かもしれないけれど、横島忠夫はろくでもない男だと、彼と親しくない者は口を揃えてこう言った。実際、やっていることはろくでもないのだ。自身が通う高校のクラスメイトのほぼ半数に手を出し、ハーレムを形成している男……ろくでもないに決まってる。だけども、どうしてだろう?横島のクラスには、本当の意味で彼を嫌っている者は一人としていなかった。それは彼をボコッてる男子一同もそうだし、未だ手つかずの女子達もそうである。どうにも憎めないのだ、横島忠夫という存在は。なにより気づけばいつもクラスの中心は彼で、彼がいる時といない時ではクラスの雰囲気がまるで違う。ムードメイカーであり、愛すべき道化師……それがクラスにおいての横島忠夫の正当なる評価。中でも女子の半数近く……いいや、大多数にとって間違いなく『大切な人』だった。「あいたたた……あいつら、手加減なしで殴りよってからに……」「私達みたいな美少女囲ってるんだから、少しぐらいは痛い目みないとね~」唯香はからかい口調でそう言うと、自分と同じ、横島に落とされてしまったクラスメイトが用意した救急箱を受け取り中から赤チンと傷パットを取り出すと、打撲や裂傷を丁寧に治療し始めた。横島は息も絶え絶えで制服はボロボロ。嫉妬に狂った17人の男共の圧倒的な暴力は、彼を持ってしても対抗出来はしなかったのだ。一通りボコって満足した嫉妬男(シットメン)共は、ケッ! と吐き捨てると、そのまま教室を出て行った。まあ、その後彼らは同じクラスの女子達にボコられ、死屍累々と廊下のすみにうち捨てられたのだが……「この世界の女共は化け物かッ!?」一般人……そう、美神やエミ、冥子等と違ってただの一般人なはず。なのに、この戦闘能力……って、そういや戻る前は普通に自分がこうされてたっけなぁ……と感傷なのか遠い目をする。ただ、たぶんさっきと同じで、自分が口に出して言ってしまってることに気づいてない。唯香は、かなりカチンときた。お前が言うなっ! とか色々言いたいことはあるけれど、ここは態度で示すべきだろう。唯香と、他少女達の横島を治療する手が、急に乱暴になった。「つっ!?」と痛がる素振りを見せる横島に、「しみるの我慢!」とさっきまでの優しさなど消え失せ、厳しく言い放つ。横島忠夫は、これでもハーレムを平然と運営してのける男だ。怒れる女性に宥めるのには長けている。親身になって治療をしてくれた唯香は当然として、そんな自分を心配そうに、でもどこか不満そうに囲んでいる8人のクラスメイト。むろん、9人が9人とも自分の恋人である。だから当然、少女達を宥めるにはどうするのが一番効率がいいのか、よ~く解っていた。男子と女子の青春一杯の喧騒は、こっそり様子を覗っていた彼女を心底楽しませた。もしもこの子が来てくれたなら、マンネリ化してきた学園生活も改善出来るかもしれない。だから、「……うん。あの子がいいわ」そう決めた。だけども……「それとも先生になってくれる人を捜すのが先かしら?」私達の情熱を受け取ってくれる、そんな素晴らしい教師が欲しい。そうも思う。彼女はしばし考え込むと、「でも、まずはクラスメイトを揃える方が先よね。じゃないと青春は盛り上がらないわ」何度もうんうん頷き、くすくす笑う。纏う妖気は高まって、とどまる所知らず。眼下の少年少女のやりとりは、まさに青春そのもので。彼女は期待に胸を膨らませる。だって、本当に楽しそう。あの中に、自分も加わることが出来たなら……きっと、もっと青春な筈だ。青春、青春、青春……っ!だから彼女はジッと機会を待つことにした。このクラスの中心人物である男。どことなく危険な香りのする彼がスキを見せるのを待って。ジッと……ジッと……それが、今の彼女の青春を破壊するなんて思わずに。ジッと、ジッと…………ただ、この時、彼女がもっとキチンと男を観察していたのならば、この後の展開は変わっていたに違いない。今は彼の周りに女子が一杯いるからと、少しだけ目を離して『自分のクラス』での活動を中心にしてしまい。結果、彼女は見逃した。横島という男の一端を見る機会を失ってしまったのだ。彼がどういう人間なのか、表面だけでも解る、その機会を……昼休みが終わり、午後の授業の始まりのチャイムが鳴り響く中、とある人気(ひとけ)のない教室から悩ましげな声が聞こえてくる。それは複数の女子の喘ぎ声が合わさったハーモニー。教室の中を覗いてみれば、9人の女子と一人の男子からなる不純異性交遊が見られるはずだ。男子は言うまでもない横島忠夫その人で、女子は横島のクラスメイト兼恋人である。だが、その不純異性交遊の現場は、いっそ異様という言葉が生易しい。男一人に女9人の乱交現場である。異様なのも当然なのかもしれないが、その行為自体が通常の行為ではなかったのだ。横島に突かれ、激しく身悶えては抑え切れない嬌声を喉から迸らせる一人の少女……というのは、学校の教室であることを考えればインモラルではあるが、まあまあ普通である。が、他の8名の女子までもが、同じように身悶えては嬌声を上げているではないか。そう、それもそのはず。よくよく見れば、残り8名の女子達の若鮎のような瑞々しい肢体には、光る触手のような物が絡みつき、ウネウネと淫らな動きを繰り返している。その光る触手は横島の両手から出ており、知る人が見ればこういうだろう。『ハンズオブグローリー』横島忠夫の有名な霊能の一つ、霊波刀に近い。え……霊波刀? yes! 霊波刀!横島が何百という年数をかけて編み出した、莫大な数に増えた使徒達を寝技で組み伏せる為のハーレム用性奥義の一。これにより、一度に相手する女性の数を大幅に増やし、それどころか、今までノータッチであったある場所にすら調教の手を伸ばすことに成功したのだ。さて、それは一体どういうことなのか、目の前の実例を元に説明……ペニスで直接犯されている女子を除き、横島の両手から出る光る霊能の触手で犯される8人の女子の様子を見てみよう。無数の光る大小太細様々な触手は女子の肌にいやらしく絡みつき、膣穴やアナルは無論、乳房や乳首を締め付け、うなじや腋にウネっていた。その中でも特に視るべき所は細い触手。乳腺や尿道にまで侵入し、更には微小な霊力まで流して性感を刺激する。霊力による性感刺激は、とある世界で仮契約と呼ばれる儀式を参考にしていた。これにより、霊力を流される被験者の身体の内側……人の手が絶対に届かない場所への性感開発すら可能になったのだ。……で、あれば、その身を襲うは、人の身では到底到達出来よう筈の無い高みの性感。気が狂いそうになる程の連続した細かい絶頂が、『自分の番』がくるまで延々と続く。もっとも、自分の番がきても終わるのは細かく小さな連続アクメだけで、代わりに始まる極大の官能は、暴風などという言葉がいっそ生易しく感じるものだ。今現在、自分の番がきて横島に直接突かれている女子を見ればそれも納得。「ィ……ッ!? ぅぁああ……ヒッ! あ────ッ────ッ!!!」口からだらしなく涎を垂らし、随喜の涙は滂沱の如く流れ止まらない。髪を振り乱し、言葉にならない言葉で喘ぎに喘ぐ。辛い、苦しい、もうやめて……だって、流石にこれは少しキツイ。抵抗したいし、なんとか逆襲したくもあるが、しょせんは15~16の小娘。到底太刀打ち出来る筈もない。実際、9人の内、2人は横島と出会う前に彼氏がいた経験有りではあるが、横島と前カレは比べるのもバカバカしい。高校生の筈の横島忠夫のテクニックは、その実、スケベ中年のねちっこいテクニックなど鼻で笑う程度でしかない。数百年もの間、毎日欠かさずセックスしてきた横島のエロ経験値は既に那由他にすら到達している。それに女を高揚させる雰囲気作りと、巧みな話術が合わさった時、もう彼無しでは生きてはいけない肢体にされてしまうのだ。それに比べて前カレなんざ、数でいえばせいぜいが1人か2人と、数回程度しか女を抱いた事のない初心者同然。横島の超絶エロテクニックの前では、前カレとの経験なんて無いのと同じなのだ。……いや、知っていればこど、横島の凄まじさが良く解る。残り7人の横島以外の男は知らない女子達も、そんな前カレとの経験談を聞き、横島と比べれてしまえば……もう他の男なんて目には入らない。それだけの超絶テクニックで容赦なく攻められ、しかも象徴たる彼のペニスの大きさときたら!……比べること自体がおこがましい。アリンコと象さんくらいの違いが間違いなくある。で、あれば、辛くて辛くて仕方ないのもしょうがないではないか。「あ、あぅ……ぁ、これひじょうさえた……ひ、ひんら……う……んんんんんっ!!」これ以上されたら死んじゃう! もうやめて! と、いいたい言葉は言葉にならず、でも……ついさっきまで霊能である触手に犯されていたせいのだろうか?彼に直接貫かれるのは、本当はイヤじゃない。見かけによらず逞しい胸に抱きすくめられて感じる彼の体温。ただ機械的に快感を引き出す触手と違い、暖かく、暖かく、暖かく……「……す、きぃ……だい、す……き……ぃ……」横島に貫かれている女子は遂に辛さを乗り越え、足を、腕を、彼の背中に絡ませた。いわば大好きホールドというヤツだ。「おっ! 積極的だなぁ。かーわいいぞぉーコイツーっ!!」ドクンっ!? と膣内で縦横無尽に暴れ倒す横島チンポが脈動した。「ひぃっ!?」と恐怖に大きく目を見開く。だって、ただでさえ大きい彼のチンポが、一回り……違う! 二回りは大きくなった。……早く逃げないと、大変な目にあっちゃう! そう思うのだけど……かわいいって言ってくれたことが嬉しくて、歯がガチガチ恐怖に鳴っても、絡めた腕や足が解けそうにない。「俺の腰の動きにゆっくりでいいから合わせるんだ」膣内を往復する速度は、確かにさっきまでよりゆっくりだ。なのにお腹の中の感度がおかしくて。泣きそうなくらい感じてしまい、ガクガク腰が痙攣して止まらない。だから動きに合わせるなんて、到底出来そうにない。「んんぅ……っ! す、すご……すぎ……あ、あぁっ、なにも、考えられなく……あ、あ、あ、ん、イクのがとまんないよ……っ!?」「だいじょーぶだいじょーぶ。あせらず、ほれっ」くんっと腰を跳ねらせる。すると、目も眩むような愉悦が全身を襲った。合わせなきゃって思うのに、痺れるような快感に身震いすることしか出来ない。「ご、ごめ……っ、でき、な……ん、ん、んぅううっ!」悔しくて、申し訳なくて、目に涙がいっぱいたまった。だけど横島は気にするなと優しく背中を撫でさすった。……気持ちが昂ぶる。悔しさではなく、嬉しくて涙があふれた。この時、自分では気づいてないのだろうけど、抽送に合わせて自然と腰が揺らめき始めた。気持ちが、快感に打ち勝ったのだ。周囲の……触手に犯され嬌声を上げる声が聞こえなくなった。見えるのも、聞こえるのも、感じるのも……ただただ彼のモノだけで。すき、すき、すき……キスして、すき……泣きながら唇を突き出し、欲しい欲しいと身体を揺さぶる。そして思いは叶い、唇を塞いで貰った瞬間、びゅくびゅく、お腹の奥で弾ける何か。どくん、どくん、と子宮を満たす。……満たされる。お腹の中だけじゃない。心が、満たされる。幸せそうに微笑を浮かべ、更にきつく彼を抱きしめ。 すき……もう一度、心の中でそう告げた。気づくと彼は自分の身体から離れ、次の女子の下に行ってしまったけども。彼の体温を感じれないのは少し寂しい。でも、再び身体を這い始めた触手が、その寂しさを失くしてくれた。ちょっとイヤだった触手が、こんなにも愛おしく想える。それはきっと、これから彼を感じられるから。見れば自分よりも先に抱かれ、そうして同じように再び触手に纏わりつかれている『仲間達』も、股間から精液を垂れ流しながら嬉しそうに喘いでいる。逆に、まだ彼に抱かれていない子は、少しだけ辛そうだ。……早くアナタ達もシテ貰えるといいね?そう思いながら両腕を大きく広げ、彼の波動を感じる触手を、身体の中に一杯受け入れた。このように、『夜のハンズオブグローリー』に猛威に晒された者は、気づけば一様にこうなってしまう。ストックホルム症候群とでも言おうか?それともマッチポンプ?……どちらも同じか。とにかく、横島自身が作り上げたハーレム用性奥義は、どれも一律たちが悪い。そのたちが悪い奥義に晒されている女子達は性欲旺盛なお年頃。だから好きな男に嬲られる悦びも確かにあり、それを無理矢理引きずり出された結果がコレだ。少女達の心の中には、霊能力なんて怪しげな力で犯された苦しい記憶よりも、優しく愛されたという記憶だけが残った。昼休みも完全に終わり、5時限目の授業も半ばが終わったであろう時間には、彼女達は仲良く股間から蜜と精をブレンドさせたいやらしい液体を垂れ流しながら、実に嬉しそうに『夜のハンズオブグローリー』を受け入れていた。横島が雄々しくペニスをソソリ立たせながら仁王立ちする足元に、躾けられた犬の様に這い蹲りながら期待の視線を向けるのだ。横島はそれに応えるように、自らのペニスをシュッシュッと擦り、それを見た女子達は顔を上げてうっとりとその時を待つ。そして……ドビュルルルルルルルルゥゥゥゥゥッッッ!!! 顔と言わず全身に豪雨の如く降り注ぐ白濁液。まるで敬虔なる信徒のように陶然としながらその身に浴びる女子達は、「はふぅ……」と熱のあるため息をしながら、ブルルと身体を震わせた。一人一発、最期の顔射で10発目。5時限目の残りの時間と、6時限目の授業の間で、なんとか体力回復させねーとな。と、横島は突かれたように腰をトントンと叩いた。なんせこれからなのだ。彼女達を宥めるために出した提案は。まあ、簡単に言えばデート。9人の女子と横島一人じゃバランス悪いが、これはこれで仕方ない。他の男なんざいらんからな。横島は現役のゴーストスイーパーだ。だから金はあるけど、思っていた以上に暇はない。暇がないのは、これでも事務所を持って経営までしているからだけども……だからこそ彼女達との時間は余り取れず、取れたとしても早苗や冥子、何よりアスナが優先だ。彼女達も不満だったろう。せっかく恋人になったのに、相手を全然してくれないのだ。横島としては、イタリアでの仕事で入った収入が思った以上に莫大……数億円規模……だったこともあり、今週一杯は仕事をするつもりはなかった。学生だからといい訳し、これから入って来る仕事を全てキャンセルするつもりなのである。そこで空いた時間のほぼ全てを、彼女達との時間に使う。そう約束し、彼女達を宥めたのだ。今やっていたのは、それの手付け……というか、横島への報酬である。なんせデートの資金は全て横島の財布からでるのだろうし、あれこれと物をねだられもするのだろう。横島も普段あまり構ってやれない罪悪感もあり、学生としての限度を超えない限りは買ってやるつもりだ。まるで援助交際みたいな感じがしないでもないが、実際問題魂の年齢は膨大に離れているし、金なんてもんは使ってなんぼのモンである。っていうか、積極的に遣わねば、経済も回らない。そんな言い訳をしながらも、本当の所は何かを買ってあげるというのは、結構楽しいものなのだ。それだけが目当ての女だったらアレではあるが、彼女達はそうではない。横島が金持ちであることもあって遠慮はしないだろうけど、そういう女じゃないっていうのは間違いないから。横島は彼女達に気づかれぬように文珠を使い周囲を『清』めると、目をパチクリさせる彼女達に、「俺の霊能だよ」と笑って誤魔化した。他の世界ならともかく、この世界では霊能というオカルトは、立派に社会権を得ている。『何が何だか良く分からない力』というのが、一般的な認識ではあるけど、だからこそ、この不思議現象にも納得してしまう。ただし、一般人ならば……だけれども。流石に普通は、こんな現象を起こせはしない。でも彼女達は当然それを知らない訳だから「へ~、凄いね~」とか「わたしも覚えたいなぁ」とか、反応はいい感じに上々である。後は5時限目終了までここで身体を休め、6時限目の授業は教室で寝て過ごし、放課後は彼女達と街に出かけて普通の高校生らしく楽しもう。 横島は、9人の中でも一際元気な唯香を抱き寄せ眼をつぶると、そのまま心地好い疲れの中で意識を閉じた。5時限目の終了のチャイムが鳴るまでそうして過ごし、6時限目は当然のように居眠り状態。古文の教師が時折忌々しそうにチョークを投げつけたりしたものの、横島は平然と居眠りを続けていた。くーくー決して小さくない寝息を教室に響かせる横島に、9人の少女達は微笑ましそうに見ている。ただ……眠ることで体力や精力を回復させているとしたら、この後、ちょっと大変だよね? と少しだけ戦々恐々。なんせ9人でがかりでメロメロにされたばかりである。放課後は、場所も時間もさっきの比ではないだろう。そんな中で、本気の横島忠夫に抱かれてしまう。きっと、それはとってもエキサイティングで、でも一方的な蹂躙劇だ。……ぐちゃぐちゃのドロドロにされる様をあまりにもリアルに想像出来てしまい、ヒクリと頬を引き攣らせる女子達。ああ、もうこれはあれじゃない? 他にも何人か誘ってみようよ。彼女達には自分達以外にも彼に想いを寄せ始めている子がいることを当然のように認識しており。その子達を誘うことに不満はあれど、それ以上に安堵の念があった。数が増えれば構って貰える時間は減るけれど、それ以上にエッチの時間が楽になる。……だったら抱かれなければいいんじゃないの? と思うかもしれないけれど、それは論外、話にならない。彼女達とて思春期特有の暴走気味な性欲があるのだ。当然、セックスが嫌いな訳ではない。むしろ好きだ。もっとも、相手が横島忠夫なら……という前提条件が付くけれど。ただ、一人では……違う、9人程度の数では、彼の全力全壊のセックスには付き合い続けることが出来ないのだ。それは屈辱でもあるし、残念でもある。いつかは一対一で最後まで付き合えるようになるつもりではあるけれど、今はムリ。絶対に無理。そんな訳で、9人は9人とも、自身のクラスメイト……ただし女子のみ……をグルリと見渡した。誰にしようか? とこっそり相談する彼女達は、当然のように見逃さない。誰も彼も、みんな居眠りする横島をチラチラ見ている。これは誰を選んでも大丈夫かな?そう思いながら2~3人、ピックアップしていく彼女たちではあったが、残念なことに、その努力は報われなかった。なぜならば……突如天井から降って来た机……いいや、化け物が、赤く大きな禍々しい舌で横島の胴体を絡め取り、そのまま机の下に飲み込んでしまったのだ。「よ、横島くんっ!? いやああああああああああああっ!!」普段なら眠気と戦う静かな古文の授業が、一転して騒然とした場になった そして、直後に自分達をも飲み込む机に……「横島くん助けてぇーっ!」その彼がいない今、少女たちの願いはただむなしく。だれにも、どうにも、出来ようはずはなかった。