人っ子一人いない白い砂浜の波打ち際で、アスナは紺の競泳水着を身につけながら、禍々しい気配を発する自らの右腕を見つめる。 赤い小手の様な物に包まれた右腕。 もしもここに勘九郎が居れば、心底驚き、そして喜んだだろう。 それは雪之丞が最後に見せた力。 名も知らぬ最後の技、それが弟子であるアスナに引き継がれたのだから。 今、彼女が発しているのは魔力では無く、気でも無く、ましてや咸卦の気ですら無かった。 霊力、もしくは魔族の使う力『魔力』 それを全身から発し、赤い小手の型に収束させている。 そして海に向って構えると、気合と共に拳を突き出した。「セェアッ!」 拳の先から霊力による衝撃波が撃ち出され、それが海面に叩き込まれると、バシャーーーーーーンと大きな水柱を上げた。 それは天高くまで上がったが、アスナは軽く溜息を吐きながら、「咸卦法に比べると、威力が小さいわね……」ぼそっと呟く。 アスナは『あの時』、霊力が発現してからというもの、咸卦法が使えなくなってしまった。 霊力は妖魔に特効的な効き目がある力だが、純粋な破壊力でいえば咸卦法には遠く及ばない。 発動しただけで肉体強化、加速、物理防御、魔法防御、鼓舞、耐熱、耐寒、耐毒、その他諸々が上がる究極技法。 霊能が発現してまもない今のアスナでは、霊力だけでは能力の底上げは出来やしない。 何より咸卦法は、ガトウとの絆の様なもので、彼女にとってそれが使えなくなるのは何だか少し後ろめたい。 とは言え、元来深く物事を考えるのが得意ではない彼女。 目を瞑りながらウーン、ウーンと少しばかり悩んだ物の、すぐに、「まあ、いっか!」と言って右手の小手を消すと、んーっ! とバスト83まで育った胸を誇示する様に突き出し、大きく伸びをする。 空を見上げると、日の高さで丁度お昼に近いことがわかる。 そろそろ昼食の用意しなきゃ。 近くに置いてあったバスタオルで汗や海水で濡れた身体を拭うと、のんびりと皆が待っているだろうコテージへと向う。 頬を染め、うっとりとした表情を浮かべながら。 彼女はここ最近、事あるごとに思い返す光景がある。 『あの日』に見た、彼を。 緑服の魔法使いの返り血に染まり、凄惨で酷薄な笑みを浮かべた彼を。 その姿を思い返す度に、彼女は体が火照り、胸が高鳴って仕方ない。 まるで初恋の様なトキメキ。 アスナはあの時、初めて彼に恋をして、彼をただ一人の異性として愛してしまったのだと。 今までの想いが、仲間外れを嫌がった子供の行動なんだと思い知ってしまった。 それに気づいて以来、彼女はまともに彼と目を合わせられないのだ。 彼は怖がらせて嫌われたと思っているのだが、アスナは恥かしくて照れ臭くて、大好きで、如何し様も無くって。 目が合う度に顔がボンって赤くなってしまい、胸のドキドキが止まらない。 そして何度も思い返す、あの冷酷な笑みを。 いつもの優しげな笑みはモチロン大好きだ。 でもアスナは思うのだ。これがギャップ萌えなんだって。 いつもは優しげで、馬鹿ばっかやって笑いが絶えない彼。 あの時見せた彼の姿は、それとは真逆で。 彼のそんな姿は、家族であるタマモや愛子やシロはもとより、あの美神やおキヌですら見た事が無い。 彼女達が知らない彼の隠された一面を知った、そんな優越感もある。 アスナは『あの日』の事を、熱い溜息を吐きながら思い返す。 魔法無効化能力に完全に対応され、タカミチの足手まといとなってしまったあの時を…… まほらのほほん記 第3巻 初恋 アスナとタカミチは追い詰められていた。 横島が来るまでの間の時間稼ぎ、それだけでいい筈なのに。 既に神通棍は折られ、銃に仕込んだ精霊石弾頭は尽きた。 アスナの魔法無効化能力で、一時は優位に立ったものの、瞬く間に対応されてしまった。 初めの内は緑服の魔法使いの魔力防御を掻き消し、そこをタカミチの居合い拳で攻撃しダメージを与え、少しづつだが確実に自分達が優勢であった。 だが所詮は不可思議な力を掻き消すだけの力。 魔法や気による攻撃や防御を無効化出来ても、それによって生じた衝撃波や、巻き上げられた石などの物質を無効化出来る訳ではない。 同格の相手ならば決定力となったその力は、圧倒的な実力差がある場合、相手にとって少し面倒なだけ。 徐々にだが確実にアスナとタカミチを追い込んでいく。 なのに、今だあの魔法使いは本気を出しておらず、明らかに面白半分だ。 アスナはそんな中、勘九郎に言われた言葉を思い出す。 雪じいちゃんは、魔力も霊力も無い状態で勘九郎を殺したと。 それは霊力を超えた、魂の力なんだと。 もちろん、自分がそこまで出来るとは思っていない。 霊力をマトモに使えない今の自分。 だけど…… アスナは思い出す。いつも雪之丞に言われていた言葉を。 力の流れを感じろ! 力を集中させろ! 魂を燃やせ! 一番大切で守りたいものを思い出せ!!「雪じいちゃん……」 アスナは小さな声で、彼女の師の名前を呼んだ。 そして自分の右手に力を集中させ、凝縮させる。 もしも勘九郎が見たらこう言っただろう。 それは、雪之丞の最後の業。 名も知らぬ彼の奥義だと。 それは魔装拳。雪之丞が対横島戦の為に編み出した最終奥義。 アスナから発せられる力に、驚愕するタカミチと緑服の魔法使い。 それは横島忠夫のみが用いる異世界の技術、霊力。「ハハハハハハハハハッ!! もしかして、君はヨコシマの関係者なのですか? フフフ、風の噂では、無謀な魔法実験の失敗で、お亡くなりになったと聞いていたのですが。 ククク……、アーーーーーッハハハハハハハハハッ!! 愉快だっ! これで、これでヤツを僕自身の手でっ!」 狂った様に笑い、嗤う緑服の魔法使い。 アスナはそんな彼を無視し、タカミチにそっと告げる。「今から全力の一撃を撃ち込むわ。だから、後はお願い」 頷くタカミチを視界の端に捉えると、アスナは気合を上げ相手の懐を目指して突っ込む。 考えるより先に突っ込め! 雪之丞の無謀な教えそのままに。 その無謀とも言える突進をサポートするべく、タカミチは居合い拳の弾幕をはる。 アスナは右に左にとジグザクに相手に詰め寄り、「ハアアアアアアァァァッ!!」 右腕に纏った赤い霊力が一点に収束し、アスナは緑服の魔法使いに向って一撃を放つ。 タカミチもそれに合わせ、全力の豪殺居合い拳を放つ為に、高く飛び上がり射線を確保する。 緑服の魔法使いは、当然アスナとタカミチの攻撃を読んでいた。 我武者羅の攻撃など、自分に通じる筈等無いのに、と。 残酷な笑みを浮かべながら、彼は迎撃の為の一撃を放つ。 いや、放とうとした、その時、 突然彼の胸の中央に、ズブリ、と音を立てて、血で真っ赤に染まった腕が生える。「ガハッ!」 口から大量の血を吐き出す緑服の魔法使い。 ポカーンとするタカミチとアスナ。 その手には黒く光る球体が握られ、ポタポタと血が滴り落ちる。 それを成したのは、邪悪な笑みでニヤつく一人の男。「ここがお前の終わりだ。テメーにゃ極楽は勿体ねぇー! とっとと地獄へ逝きやがれっ!!」 そのまま腕を引き抜くと、ドンと無造作に緑服の魔法使いの背中に蹴りを入れた。 蹴りを入れられ、ふらふらと前のめりに倒れるラプシィア・ルン。「まさか、こんな簡単に、僕が……」 呆然と、納得できない様子で呟く彼に、「油断しすぎだバーカっ!!」 最後にそう言って、手に握る黒い球体をグシャリと握り潰す。「セ…リカ……、ち……さ、僕の……み、らい……」 灰となり、風に吹かれ消えていくラプシィア。 彼の目的は結局何だったのか? タカミチは知らないし、知りたいとも思わない。 何より彼が邪悪な存在で、本当の実力を発揮されれば自分の命は無かったのだろう。 そう確信していた。 でも、これはちょっと無いんじゃないですか、忠夫さん? そう言いたいのをグッと堪え、今もここをモニターしている同僚達に、戦闘終了の合図を送った。 そして10年ぶりに会ったというのに、開口一番、「老けたな、お前」 そう言ってくる彼と、楽しく言い合いをしようとタカミチは決めた。 まさか、先に逃がした筈の自分の生徒が、あんな酷い事になっているとは思いもよらず。 アスナは映像付きで思い出すと、「いや~ん♪」 と真っ赤になりながらクネクネと体をくねらせる。 結局、あの時発現した霊能はまったく無意味であったが、正直どうでも良い位にあの姿に見惚れてしまった。 恋する乙女の表情で、ぽ~っといつまでも彼を見詰めていた位に。 タカミチ辺りは卑怯過ぎて笑っていたが、アスナはあの時の横島を思い出すだけで何度でもいける。色々と。 熱に魘されたような頭で、しばらくクネクネしたり、ハァハァしたりしていると、「何やってんの? アスナ……」 夏美の呆れた声。 アスナは夏美が呆れた様子でこちらを見ているのに気づくと、先ほどまでとは違う意味で、顔を真っ赤にした。「え、えと……見なかった事にして……」 手にしたバスタオルで全身を隠すと、ペタンと地面に座り込んだ。 顔を真っ赤にしてアワアワとしているアスナを見て、夏美は気づいてしまう。 アスナが女として濡れている事に。 ボンッと赤くなる夏美。 彼女が『何を』していたかは知らないが、『何を』考えていたかは良く分かる。 だって、自分もそうだから…… 昨夜『女』になったばかりの夏美も、同じように彼の事で悶々としていたのだから。 今、ここから見えるコテージの軒先で、自分を夜這いして女にした罪で逆さ磔になっている彼を想って。 だがしかし、磔といっても辛そうには見えない。 ここから見ても、顔がだらしなく緩んでいる。 千鶴にあれこれ世話されているんだから、罰にはなっていないんだろう。 今日の千鶴のはっちゃけぶりは、正直言って酷い。 昨日まであんなに塞ぎこみ、鬱々としていたのが嘘のように積極的だ。 大胆にカットされた水着で、ベタベタ、イチャイチャ。 その水着の隙間を覗こうと必死な彼。 それを分かっていて、見せ付ける様にワザとあの反則級の胸を寄せ上げたり押し付けたり。 あやかはあやかで千鶴の元気な様子にホッとしたのか、特に咎める事も無く、微笑みながら見守っている。 夏美は、そんなあやかに感心する様な呆れる様な。 嫉妬しないのかなぁ~? そう思うものの、問いかける勇気も無く、取り合えず見なかった事にして、そろそろ昼も近いんでアスナを迎えに来たのだ。 なのに、迎えに来たら来たで、アスナも千鶴と同じ様に色ボケしてるし。 そんな事を考えてる夏美も夏美で、千年の恋も冷めるような彼のだらしない顔の緩みを、微笑ましく思っているのだから充分色ボケだ。 そんな中、一番しっかりとしているのがあやかなのだが、魂の修復の為とはいえ、毎日抱かれている以上、他の面々と大差ない。 それでも爛れる事が無いのはクラス委員長としての面目躍如か? アスナは頬を赤く染めたまま、「お昼の用意するわよ。夏美ちゃんも手伝って」 言いながら立ち上がると、夏美の答えを待たずに小走りで横島達が待つコテージへと、スタスタ行ってしまう。 夏美はそんなアスナをクスクスと笑う。 笑いながら、彼女の後をヒョコヒョコと少しガニ股歩きで追いかける。 アスナはそんな夏美をチラリと見ると、「まだ痛いの?」「ああ、うん……。何かまだ入ってる感じがして……」 エヘヘ、と少し恥かしそうに。 2人は赤く染めた頬を互いに見やり、プッと笑い出す。 お互いに、とんでもない女誑しを好きになっちゃったね、と。 一頻り笑い合うと、アスナは昼食のメニューについて話し出す。 互いの男の趣味の悪さは、これから1ヶ月の間ずーっと一緒なんだから、いくらでも話せるし。「ピリ辛エビチリソースなんてどうかな?」 夏美はウッ! と両手でお尻を押さえる。「しばらく刺激物はやめて~」 さっきまで真っ赤だった顔が一気に青ざめる。 そして、朝の惨劇を思い出したのか、ガクガクと震えだした。 アスナはソレを見て、何があったの? とは思ったが、ろくでも無い事には違いないわね。 と、あっさりスルーする事に。 ただ、一応聞いてみようかな、とは思う。 もしかして、彼に後ろで抱かれた……なんて事があるかもしれないから。 アスナは信じたい、横島を。 何より、夏美の反応を見る限り、そうでは無いと思うけど。 結局アスナは、今日の昼は素麺にする事にして、やっぱり夏美に深くは聞かない事にした。 藪を突いて蛇を出す訳にはいかないから…… その後、5人で昼食をとり、日が落ちるまでの間、他愛も無いお喋りをしたり、横島達が来た世界の話をしたり。 あやかと夏美と千鶴は、神様が本当にいる世界の話に興味津々。 いつか、行ってみたいと想いを馳せる。 もっとも、あやかは行く事が決められているのだが。 本人も、もちろんソレをしっかり理解している。 いつの日か、必ず来る別れを…… 夕陽が海に落ちて行くのをロマンチックに眺めながら、4人の少女は横島に甘えるようにしがみつく。 横島は少女達の柔らかい体に鼻を伸ばしながら、これから先の幸福な生活に思いを馳せた。 すでに目的は達成し、後は帰るだけなのだ。 その為に必要な魔力を補充しつつ、この世界でのんびり過ごそう。 今はその魔力を湯水のように使いまくってるが、これはまあ仕方ない。 あやかの霊気構造の修復のためだし、横島的にも役得だ。 そのせいで帰るのが遅くなっても、まあいいだろう。 それに帰ったら仕事で暇は無くなるんだし、長いバケーションだと思って、5年ほどのほほ~んと。 まずはこの南の海で1ヶ月はだらだらと。 こんなダメ人間横島。 だが、彼の周囲にいる少女達が、それを許す筈が無い! アスナは横島が目的を達成したと知ってるから、自堕落生活に入るのを止めるだろうし。 実際、タカミチを通して関東魔法協会理事、近衛近右衛門に仕事をくれる様にお願いしている。 あやかも短い付き合いで、横島が如何言う人間なのかあっさり理解し、雪広グループで何か仕事を回すように手配済み。 そんな事とは露知らず、この先の自堕落な性活に期待を込めながら、横島は機嫌よく夕陽を眺める。 日が完全に落ちると、5人はコテージの中に戻り夕食をとる。 そして食事を終えると、横島はあやかの腰に手をやりながら、自分の部屋へと戻っていった。 アスナは解る、この後の横島の行動を。 一緒にお風呂→ベットイン 湧き上がる嫉妬。それは夏美と千鶴も同じ様で。 でも仕方ないのだ。これは治療なのだから。 ここに滞在期間中は、あやかが一番なのだ。 朝や昼に性魔術を行うなら、自分達が彼と夜を過ごす事も出来るだろうけど、昼間っからそんな爛れた生活を送るのは、あやかも早々ないだろう。 それでも少ないチャンスを活かす為、3人の少女は協議に入る。 これから1ヶ月の間、仲良く過ごすために。「あっ! あっ!! あぁああーーーーーーっ!!」 横島があやかの胎内に先端を刺し込んだだけで、あやかは達してしまったのか、その身を細かく震わせた。 まだ乙女の証を失ってから数日しか経っていないそこは、彼の肉棒を痛いほどに締め付ける。 あやかの中で悦楽は、身を蝕むように侵食していき、彼をもっと感じようと、手と足を彼の体に絡めつかせた。 密着する事によって、彼の肉棒を自分の胎内の奥深くまで迎え入れると、あやかは強く横島を感じ、とても幸せな気持ちになる。「ひゃあぁあっ、んんあ!? もっと、もっと私を感じて下さい!」 横島はあやかの言葉に衝き動かされるようにして、激しく腰を動かしていく。 奥の奥、子宮口を抉るように、何度も肉棒を突きこむ。 その度にお嬢様然としているあやかは大きく喘ぎ、その反応をもっと見ようと根元まで突き入れると、横島は腰の動きを止める。「すっかり俺のモノに馴染んできたな、あやかのココ」 横島の言葉にあやかは耳たぶまで赤くすると、恥かしいのか顔を横に向け、「横島さんの所為ですわっ!?」 と、可愛く怒りの声を上げた。「毎日してるとは言え、凄い濡れ様だぞ、あやかの中は。ワイの事がそんなに待ちきれんかったんか?」 冗談めかして横島がそう言うと、あやかは横島の背中に回した腕に力を込めて、「そうですわ。待ちきれなかったんですのよ、貴方にこうされるの……」 そう言って、彼の首元に顔を埋めた。 今度は横島が顔を赤らめる。 こんな風に言われたのは初めてだったから。 言葉に詰まってしまった横島に、あやかは、「大好きですわ、私の主さま」 横島の肉棒を、膣肉できゅきゅっと締め上げる。 ウッ! と呻き声を上げる横島の赤く染まった顔を、両手でフワッと包み込むと、あやかはそのまま彼の唇を貪り始めた。 いつもとは違い、自分からの攻めに興奮するあやか。 実は受けの方が好きな横島。 それでも男として、セックスを覚えたての少女に負けられんと、あやかの甘い唇から強引に離れると、一気に腰を引いた。 そして一気に奥まで突き入れる。 それを何度も繰り返していく。「ふぁああっ! あぁあ~っ!!」 あやかの甘い声に脳髄を痺らせながら、キツく締め付けてくる肉壁を、肉棒の挿入でほぐしていく。「あぁっぁ、ふぁぁあっ、あっ……よこしま、さん、んっん~!」 そろそろ限界なのか、あやかは横島の背中に回した手を、ぎゅうっと強く強く抱きしめる。 そして横島の頬にキスをすると、「も、もう、ダメですわ! くぅ、あぁ、あぁああーーーーーーーッ!!」 ビクビクンっと何度も体を振るわせ始める。「好きだぞ、あやか……」 軽い絶頂を繰り返すあやかの耳元で、ボソッと囁く横島。 あやかは驚き、大きく目を開くと歓喜の涙を頬に伝わせる。 そして、その言葉だけで気をやってしまったのか、次の瞬間、弓なりに体を仰け反らせ、悲鳴のような嬌声を上げた。「やぁあ、あっ、あはぁあああーーーーーーーーーーーっ!!」「うぅ、くっ!!」 横島も同時に頭を真っ白にする。 尿道から噴出す精液が、あやかの子宮を満たし尽くしていく。「あっ、ああ。熱いのが満たしていきますわ……。いっぱい、いっぱい私の中にぃ……」 横島の体から霊力が迸り、あやかの肢体を駆け巡っていく。「あり、がとうございますわ。わ、わたしの中に、注いでくださって……」 それは魔力の事を言っているのか、精液の事を言っているのか、横島には分からない。 でも、ここまで満足したのはいつ振りだろうか? たった一度のセックスで、ここまで満足するなんてな、この煩悩魔神の俺がよ。 横島がそんな事を思っていると、「どっちもですわ、横島さん」 さっきの疑問に、そう答えて笑うあやかの顔に見惚れてしまう。 そして再び滾ってしまう肉棒。 あやかは目を丸くして驚くと、腰を少し上げて横島を受け入れやすい体勢をとった。「良いですわよ、もう一度しても……」 優しく微笑むあやかの前髪をかきあげ、額を触り、頬を撫でる。 あやかは、うっとりとした顔で心地よさそうにし始めた。「いんや、今日はもういい。これ以上したら、あやかの体に悪影響が出るかんな」 そのまま腰を引くと、ギュポッと音を立ててあやかの膣内から肉棒を勢い良く抜き出す。 トロリと自分の中から零れ落ちていく体液を感じながら、あやかは横島の腕の中に潜り込む。「霊気構造が完全になりましたら、貴方が満足するまで頑張らせて頂きますわね」 フフフと、艶然と笑いながら、あやかは横島にそう言った。「そんときゃ、朝までどころか昼までやっちゃる!」「はい、横島さん……」 ギュウっと強く抱きしめられながら、次第に意識が遠くなって行くあやか。 そのまま眠りにつきながら、彼女は横島の顔を盗み見る。 月明かりに照らされた、大きな悪戯っ子の顔。 優しく、暖かい気持ちで胸が一杯になっていく。 趣味がショタ気味な自分が、初めて真っ当に恋をしたのだと、あやかははっきりと理解した。 生まれてこなかった弟を想って、その変わりに小さな男の子を愛でていた自分。 そんな自分が…… でも、あやかはこう思う。 彼は大きな子供で、 もしかして、趣味が変わった訳では無いのかも知れませんわね。 そんな事を最後に思い、いつまでも大きいままの彼の分身にゴメンなさいを言って、意識が途切れた。 後書き アスナの魔装拳は、雪之丞が使った時の10分の1程度です。 現時点では、魔装術を使ってる訳でもありません。 何か変な固有の霊能だと、アスナは思ってます。