まほらのほほん記 第12巻 秘奥義 四方八方から襲い掛かって来る化け物どもを、アキラは持ち前の運動能力をフルに使って何とか追い払っていた。 酷い怪我をしている夏美を守るため、一緒に戦っている夕映達のため、必死に辞書で殴りつけ、鞄で横殴りにする。 しかし相手は本物の化け物。 武器として使っていた鞄や辞書は既にボロボロ。 その上、後ろに居る夕映達を庇いながら戦っていたのだ。 本来は争いごとが嫌いな優しい娘であったのも災いしてしまった。 戦う事に慣れていないのだ、彼女は。 もっとも、最初から結果なんて分かり切っていた事だけれども。 息が切れ、それでも鞄を振り回して化け物を追い払う。 しかし体力が尽き始め、勢いが減じてきたのだろう。 右から左から、絶え間なく襲い来る化け物の攻撃に、遂に体勢を崩してしまった。「きゃあっ!?」 好機! 化け物共はそう判断すると、一斉にアキラに群がり、ブラウスを、スカートを、腕を、足を、それぞれ掴んで一気に引き倒す。 そしてアキラの服や下着をビリビリに裂き、胸や大切な部分を露にした。「イヤぁッ! はなせっ!!」 アキラは自分を押さえ込もうとするのを必死で抵抗するも、次々に群がる化け物に両手両足をガッチリと拘束されてしまう。 四肢を拘束した化け物は、アキラの両手両足を大きく広げると、更に他の化け物共を呼び寄せる。 アキラの身体に群がり、せせら笑いながらお腹やヘソの中心、内腿にうなじ、乳房に乳首と感じやすい所を手で愛撫し、舌で舐め回す。 無数の手や舌で身体を汚されていくアキラ。「イヤ、イヤ、イヤァアアァァッ!!」 背筋が怖気走る。 これから自分が如何なるかなんて分かり切っている。 この、醜悪な化け物に、犯されるのだ。 気が早いヤツは、勃起した生殖器をアキラに向け涎を垂らす。 自分の手で擦ったり、中には彼女の手や髪を使っている者までいる。 その内の一体が、彼女の秘裂に生殖器をペトっと押し当てると、ゆっくりと前後に腰を揺らす。 我慢が出来なかったのか、堪え性の無い者は白濁液を彼女の顔や身体に振り掛ける。 生臭く、吐き気のする匂い。 気持ち悪い…… そう思う間もなく、遂には内腿をグイッと掴まれ、腰を膣口に合わせて突き出された。 クチっと音を立て、化け物とアキラの生殖器が合わさる。 化け物達は、心底楽しそうにゲラゲラ笑う。 化け物が前のめりで体重を掛けてくる。 同年代の子に比べて、少し大きめの胸にしゃぶりつく。 髪で汚い生殖器を擦りあげる。 頬に生殖器を押し付けてくる。 ああ、犯されちゃうんだ、私。 今、夕映達がどうなっているのかは分からない。 それでも、彼女達が無事だと良いな…… アキラがそう思って、全てを諦めたその時。 「おんどりゃぁぁああああああああっっ!!」 自分を囲んでいた化け物が、一斉に吹き飛び消え去った。 今、まさに自分を犯そうとしていた化け物が! アキラは上半身を起すと、呆然とそれを成した男を見る。 男はアキラの傍に来ると、何も言わずに化け物の白濁液に汚れた彼女を抱き上げる。 彼女を同じように呆然としている夕映達の傍に寝かせると、一言。「わりっ、遅くなっちまった。」 言いながら夏美を抱きしめた。 ポワ~っと光り輝く夏美。 さっきまで止まらなかった血が止まり、青褪めていた顔が赤みを帯びる。 失っていた意識を取り戻すと、「遅いよ、横島さん……」そう言って微笑んだ。 アキラはそれを呆然と見つめる。 自分の裸に近い格好も忘れて。 アキラだけじゃない。 アキラほど酷い格好ではないけれど、それなりに酷い格好をしている夕映やのどかにハルナも、ただただ呆然とする。 横島はアキラの傍に来ると、「ちょっと待っててな。すぐ終わらせてくっから」 何処か怒った感じで言いながら、背広を脱ぎ、アキラの肩からかける。 すぐに自分の状態に気づいて顔を赤らめるアキラ。 彼女は今の今まで胸やアソコが丸見えだったのだから。 慌てて何か彼に言おうとするも、既に彼は背中を向けていて。 それに、何て言えば良いのか分からない。 見ると夕映達も同じらしく。 口を開けたり閉めたり。 それを見て、アキラはクスッと口元を綻ばせた。「やっぱ女の子は笑っているのが一番」 横島がアキラの方を顔だけ向けてそう言った。 そして文珠を一個、彼女に投げる。 彼女の全身が光り輝く。 化け物の体液で濡れた身体が、キレイになっていく。「ワリッ! あんま色っぽいんで、チト見惚れてキレイにすんの忘れてたよ」 子供の様に笑う彼を見て、アキラは身体から力が抜けて行くのが分かった。 助かったんだと、もう大丈夫なんだと、彼の笑顔を見て理解した。「あ、ありがとう」「んにゃ、どういたしまして。こっちも夏美ちゃんを守ってくれてありがとな。すぐ終わらせてくるから、もう少し頼むわ」 そう言って前を睨みつける。 視線の先には、顔を俯かせてブルブルと震える女が一人。 夏美の腕を斬り飛ばし、アキラ達に化け物をけしかけた張本人、天ヶ崎千草。 彼女は歓喜に包まれていた。 目の前には怨敵、横島忠夫がいるのだ。 この男を殺し、そして…… 千草は剣を構える。 剣先を横島に突き出す格好で。 それを見た横島が驚きの表情を浮かべる。 横島にとって、それは良く知っている構えだったから。 一瞬の隙が出来る。 千草はそれを見逃さず、一気に間合いを詰め斬りつけようと刀身をやや斜めに下げた。 『飛燕剣 身妖舞』「んなっ!?」 驚愕の声を上げる横島に、「もろたっ!」と剣を逆袈裟に斬り上げる。 いや、斬り上げようとしたその時、身体の内側から声が聞こえた様な気がした。 下がれ! と…… 身体が勝手に声に従い、横島から距離をとる。 すると、今自分が居た位置に、2つ光の盾が過る。 背中から冷たい汗が流れる。微かな恐怖から息を呑む。 今のウチじゃ勝てへんか…… どうやら結界も破られた様だ。 仕方ない、忌々しいがここは一旦引いて力を蓄える。 千草は転移魔法符を数枚取り出すと、横島を忌々しそうに睨みつけた。 怨敵の顔を、自分の脳裏に刻み込む。「いつか必ず、アンタの大切なモノを全て壊し、犯し、殺したる」 呪いの言葉を横島に叩きつけ、千草は『転移』した。 横島は、やや呆然としながらそれを見送る。 そして、たった今消えた京訛りで喋る女について思い巡らせた。 見覚えは無い。怨まれる様な覚えも多分無い。 だけども、自分に叩きつけて来る憎悪や怨念は本物で。 それより何より女の使った剣技。 アレはセリカの使う飛燕剣ではなかったか? 自分の知るソレに比べると、何処か微妙に古臭く洗練されていない様だが。 セリカから学び、そして一部とはいえ自分の物にした。 その俺が見間違える訳などない。 横島はハァっと息を吐くと「まあ、どうでもいっか……」と思考を止め、いつの間にか来ていたアスナの方を見る。 アスナは夏美の腕を見て顔を顰める。 その夏美の周囲には夕映達がいて、彼女達は今にも泣き出しそうだ。 それもまあ、仕方ねーよな。 でも、少し裏に行けばこんなのありふれた光景で、否、救いがある光景だ。 誰も犯されず、誰も壊されず、そして、誰も死んではいない。 腕の一本で命が助かったと思えば安いもんだ。 なんて事は決して思ってはいないが。 裏の世界の住人の在り方と、表の平和な世界の住人の在り方は違うのだから。 横島は思うのだ。 自分には、この世界で普通の生活は許されていなかったんだと。 怨まれる覚えは無いが、よーく考えてみっと、20年前の大戦であれだけ暴れまくったんだ。 恨みの一つや二つ、買っていて当たり前じゃねーか…… あの女の年恰好から考えると、彼女の親辺りを自分達が死に追いやったんだろう。 紅き翼に恨みを抱いてるヤツなんて山ほど居そうだ。 なのに俺と来たら…… んな事もすっかり忘れて、平和ボケもいいトコだったな。 もしも夏美に文珠の一つでも持たせておけば、彼女の右腕は無事だったろう。 この状況が全部自分の所為だなんて自惚れるつもりは無いが、自分がもっとしっかりしておけば、被害を小さく出来たのは確か。 横島は、もう一度ハァッっと息を吐くと、のんびりとした歩調で少女達の居る場所に向う。 視線の先には、大小様々な怪我をしている夕映達を魔法生徒達が治療している。 横島はその内の一人に見覚えがあった。 なんと彼に「握手してくださいー」なんて言って来た子だ。 彼はそんな事を言われたのが初めてで、喜び舞い上がった事を昨日の事の様に覚えていた。「ワイが、ワイが女に握手を求められた……。人類には小さな(ry」 んな事を言いながら、思わず彼女に色々とちょっかいをかけてしまった位に。 横島は彼女、佐倉愛衣に労いとお礼の言葉を掛けようと歩み寄る。 が、その少し手前で呼び止められた。「私は貴方を認めません! 汚点などと呼ばれる貴方なんかっ!!」「……ん?」 言うだけ言って、そのまま何処かへ行ってしまう。 横島には何の事だかさっぱり分からない。 そうは言っても、この手の輩には慣れている横島。 なんせこの男、若い頃は散々馬鹿ばっかやっていた所為で、見下されたり貶されたりするのに慣れまくっている。 むしろ、愛衣の様な反応された方が動揺しまくりだ。 そんな訳で平然と愛衣の所に行くと、アスナ達には見られぬ様に彼女のお尻を撫でつつお礼を言った。「いえ。これが仕事ですから」 横島にお尻を撫でられているからだろう。 少しモジモジし、えへへと笑いながら横島に答える。「あの、お姉さまのこと悪く思わないで下さい。お姉さまは少し負けず嫌いの気がありまして……」「へ? 何のこと?」 そう! 横島は既に忘れているのだ。 と言うか、まったく気にしてなかったので、たった今言われた事でもすっかり忘却の彼方だ。 愛衣は、横島は自分の事を気遣ってくれているのだと感じた。 もちろんそれは誤解なのだが、 気遣ってくれるなんて、横島さん優しい人なんだ。に、なってしまった事は実に悲しい事だ。 一頻り愛衣の尻の感触を楽しむと、右腕を失った夏美の傍に行き、彼女の頬を撫でさする。「斬り落とされた右手はどうした?」「横島さんが蹴散らした化け物に、食べられちゃったんだけど……」 知らない夏美に代わりハルナが答えた。それに夕映とのどかが大きく頷く。 なんでそんな事を聞くのか分からない。 初めはそんな感じであった3人。 だが、アスナがボソッと、「斬り落とされた部分があったら、例えどんな状態でも治して元に戻せたのよ。魔法ならね」 その言葉に青褪める3人。 夏美の腕は化け物の腹の中で、更にその化け物は全て横島の攻撃で消え去ったのだから。 一方アキラは、今の会話で化け物の姿を思い浮かべ、ブルブルと震えだす。 自分が身に纏う横島の背広の中に顔を埋め、今だ鼻孔の奥に残っている気がする化け物の精液の匂いを必死で振り払おうとする。 でも、身体を嬲るおぞましい感触、身体に降り注がれた精液の怖気走る感触、すえた吐き気のする臭い。 それらを思い起こしてしまい、恐怖からか歯をガチガチ鳴らし始めた。 アキラの様子が可笑しい事に気づいた夕映とのどかとハルナ。 彼女達は同じ修羅場を越えた同士。アキラの恐怖が痛い程良く解る。 彼女達は一斉にアキラに抱きつくと、「もう大丈夫です。私達は助かったのですよ」「もう怖い化け物なんていないんだよ──」「そうそ、全部あの人が倒してくれたからね。それにさ、もう一度出てきても、また横島さんに蹴散らして貰えばいいじゃん」「そうですね、横島さんは強いですからね。正直とても驚いたですよ」「……うん。」 じわりと涙が溢れ出し、そして決壊する。 抱き合い、慰め合い、そして喜び合う。 4人の少女達が織り成す感動的なシーン。 アスナも、愛衣も、そして周囲を固める魔法先生や生徒達も、優しい目で見守る。 ただ一人、横島忠夫を除いて。 チラリと覗くアキラの太腿や乳に目を奪われているのだ。 横島が見たところ、彼女はアスナと比較して身長差が12cmもあるというのに、バストが+3、ヒップが-1、ウエストはほぼ同じ。 胸と身長はアキラの方が大きいのに、ウエストが一緒なのだ。 凄まじいプロポーションと言えよう。 更に、夕映達もアキラには遠く及ばないが、それなりに煽情的な格好で。 制服がボロボロで、パンツやブラがチラチラ見えて、横島の煩悩ゲージを高めていく。 もしかして右腕を失った夏美がいるというのに、不謹慎だと思ってはいないだろうか? それは違う。不謹慎なのでは無い。これは、今の横島にとって必要な行為なのだ。 夏美の右腕を元に戻す為に、必要な。「あの~、村上夏美さんの治療の準備が整ったと連絡が~」 眼鏡の魔法生徒が、おずおずと言葉を発する。 それに応えてアスナが夏美を抱いて運ぼうとするが、「ちっと待った。夏美ちゃんは俺が治すから」「はあ、どちらにせよ、設備の整った場所の方が良いのでは?」「これは俺の秘奥義なんでな。他人に見せる訳にはイカン!」 夏美を抱きかかえたアスナを呼び寄せる。 ついでとばかりに夕映達も横島の傍により、「んじゃ、後は任せたわ」 文珠を握り締め、転移した。 後に残されたのは、呆然とする魔法使い達。 だが、すぐさま気を取り直すと、素早くそれぞれの仕事に戻っていった。 横島が連れて行った夏美達の他に怪我人はいないが、心に外傷を負った子はいるのだ。 魔法の隠匿の件もある。 しなければならない事が山程あるのだ。 状況が状況だ。普段は余程でなければしない、記憶の消去も考えなければ。 PTSDで苦しむくらいなら、今回の事件などすっかり忘れてしまった方がいいのだから。 横島邸の玄関前に転移した横島達。 ハルナは、「すごっ! これが魔法!?」と、やや興奮気味。 夕映やのどかやアキラも似たようなものだ。 そんな彼女達を、手をパン、パンと叩いて注意を此方にむける。「あー、魔法の隠匿について聞いた?」「聞いたですよ。誰かに喋ったりしたら、オコジョにされると聞いたです」 横島は夕映達の言葉に少し胸を撫で下ろす。 説明しなければならない部分を省略出来るからだ。 彼はこれから夏美の右腕を再生させるのだが、それには邪魔な者がいた。 木乃香だ。 彼女は魔法を知らない。教える訳にはいかない。 だが、これからする事を考えるとバレてしまうかも知れない。 それに夏美の右腕を見られたら事だ。 優しい子である木乃香がそれを見たら心配するのは当たり前だ。 その斬り落とされた右腕が元に戻ったら、幾等ボケボケの彼女でも不思議に思うだろう。 それは不味い。むちゃんこ不味い。間違いなく詠春に相棒を斬り落とされる。 そんな訳で、彼女達に木乃香をどうにかして貰いたいのだ。 ただ、一つ問題があった。 彼女達の格好。まあ、色々と見えちゃってるほどにぼろぼろな上、血に塗れて酷い状態だ。 アキラに到っては裸同然。 その事を彼女達に伝えると、「まあ、任せて下さい。服の方も適当に誤魔化すですよ」「うん、このかなら何とか出来ると思います──。ただ、アキラさんの方は……」 のどかの言葉に、アスナが身を乗り出す。「大河内さんはお風呂に入っちゃって。今あやかに連絡とって着替えを持って来て貰うからさ」 と言って携帯を取り出す。「ちょうど良いな、千鶴ちゃんにも来て貰え。あと、あやかには使徒としてやってもらう事があるって言っとけ」 横島の言葉に目を見開くアスナ。 今の今まで使徒として、特別な何かをした事なんてなかったから。「もちろんアスナにもして貰う。ってかして貰わねーと、多分俺はダウンする」 胸に何かが込み上がってくる。アスナは顔を嬉しさで綻ばせた。 使徒として、夜伽以外の初めての仕事だ。 もっとも、横島が今回求めるのも夜伽なんだが。 それはともかく、さあ、夏美の腕を取り戻す準備の始まりだ。 家の中に入ると、「おかえりー」と出てくる木乃香。 木乃香は夕映達の惨状に驚きの声を上げるが、素早く彼女の部屋に場所を移す。 その隙をついてアキラはアスナに連れられ浴室に。 横島はそれらを見届けると、夏美を連れて自分の部屋に入った。 彼女をベットに寝かせると、一枚一枚丁寧に血に濡れた制服を脱がしていく。 全ての布を取り払うと、申し訳なさそうにしている夏美の唇に、自分の唇を重ねた。「んぁ……、横島、さぁん……」 夏美はうっとりとした表情で瞳を潤ませる。 そのまま慣れた様子で全身から力を抜くと、横島の行為を受け入れた。 横島は夏美の足の爪先から順々に、手と舌を這わせていく。 太腿を通り、恥丘からクリトリスへ、ヘソから乳房に、そのまま胸の頂を撫で上げる。 内腿からお尻の割れ目を、そのまま背筋を通って腋からうなじへと舌を這わせる。 そして最後に右腕の欠損部分に手と舌を這わせた。 夏美は頬を上気させ、横島に信頼の目を向ける。 行為の途中で何度も気をやりながら、只管に横島の名を呼び続けた。 横島は夏美の甘く切ない声を聞きながら、彼女の右の欠損部分を両手で撫で、何度も舌を這わせてイメージする。 指の感触、手の平の舌触り、手で肉棒を奉仕する動き。 それら全てを克明に脳裏に描いていく。 文珠を2つ、握り締める。 夏美の腕を『復』『元』するために。 彼は何度も口がすっぱく成る程、美神令子に言われた事があった。 『文珠は万能では無い』 美神令子の言葉は、横島にとって絶対である。 だが、唯一彼女の言葉に頷かないのがコレだ。 『文珠は万能だ』 横島は確信している。 死んだ者を生き返らせる事は出来ない。 無から有を作り出しても、時間が立てば消えてしまう。 力在る者に文珠は効かない。 これら全ての事実を知っても、尚。 文珠は万能だ。出来ない事なんて何一つ無い。 文珠は万能だ。出来ないのは俺の力が足りないだけだ。 だから、俺が力をつければ出来ない事なんて何も無い。 霊力を搾り出す。文珠の力を増幅させる。 徐々にボンヤリと姿を現していく右手。 だが、足りない。このままでは消えてしまう。 出力が足りない。足りない、足りない、足りない。 だが、横島は焦らない。ここまでは計算通りだから。 彼には奥の手がある。切り札である文珠と並ぶ、彼にのみ許された業が。 力の出力を一時的に倍加、いや10倍も100倍も上げる業が。 脳裏に浮かび上がらせるのは、愛衣の尻の感触。アキラの艶かしい姿。チラリズムを極めた夕映とのどかとハルナの姿。 ゴ、ゴ、ゴ、ゴ…… 横島から発せられる力に大地が揺れ、家がビリビリと軋む。 絶大な力の発動に驚いて、室内に飛び込んでくるアスナ。 アスナは横島を見て、思わず見惚れてしまった。 これ以上無いくらい真剣な表情で文珠を制御している横島。 こめかみ辺りから頬を通り、顎を伝って流れ落ちる汗。 復元された夏美の右腕を、この世界に繋ぎとめようと必死だ。 気づけば自分に続いてあやかと千鶴、そしてアキラも部屋に入って来ていたらしく、横島をただただ見つめる。 横島が激しく疲労しているのが分かる。 それをただ見守る事しか出来ない我が身を呪う。 そんな時、横島が疲労困憊の中、言葉を発した。「足りん……」 そう、現状では夏美の右腕をこの世界に繋ぎ止める事が出来ない。 足りなかったのだ、妄想が。 否、妄想は充分だ。 ただ煩悩を爆発させるのに必要なファクターとして、物足りなかっただけ。「……げ」 良く聞こえなかったのだろう。 アスナは横島に聞き返す。「えっと、なにっ! すぐに用意するから!!」「お前等、全員、脱げっ!」 これ以上無いくらい真剣な表情そのままに、彼はそう叫んだ。 あまりの迫力に、一言も文句を言わずに服を脱いでいく少女達。 それが必要なんだと肌で感じてしまったのだ、彼女達は。 特にアスナとあやかは使徒として、横島が限界ギリギリで力を振り絞っているのが分かってしまった。 千鶴もそれに迷わず続き、アキラはやや困惑した物の、周りの勢いに流されそれに続く。 学園側が用意した新しい制服と下着を脱ぎ捨て、アスナ達と同じくスラリとした美貌を横島の前に惜しげも無く晒す。 普段なら恥かしくて顔を俯かせてしまう状況。 でも、アキラは勢いに呑まれ、何となく言われるがままに動く。 そう、横島の発した、「フォーメーションXやっ!」の言葉に従い。 もちろん少女達は、誰一人としてフォーメーションXが何なのかは知らない。 それは横島の脳内で描かれたエロフォーメーション。 彼の脳内では、今まさに、彼を中心に眼前の少女達が色エロやっているのだろう。 アスナ達は経験則を持って、横島の求めに応じるべく行動する。 アスナは何も言われずとも横島の上着を丁寧に脱がしていくと、彼のお腹に胸を押し付け、胸骨から乳首にかけて舌を這わす。 アスナの行動に困惑しておろおろするアキラは、「アキラさんは彼の背中を抱きしめて下されば結構ですわ」 とのあやかの言葉に頷き、その張りのある胸を横島の背中にむにゅっと押し付ける。 あやかと千鶴は横島のズボンを脱がし、そして彼の象徴とも言える肉棒を取り出した。 天を突き上げるかのように雄々しく隆々とそそり立つ剛棒。 アキラは背中越しにそれを見て、「す、すごい……」とポツリ声を漏らした。 さっき見た化け物のアソコの軽く十倍はありそうなソレ。 彼女は知らず知らずに横島を抱きしめる力を強め、目をそれから離せない。 アキラの視線を感じながら、更に大きくなっていく横島の肉棒。 その肉棒をあやかと千鶴が胸で挟み、唾液を垂らし、舌で舐め上げる。 2人の唾液と汗で滑りが良くなったのか、ズリュッズリュッと彼女達の乳肉を掻き分け蹂躙していく。 艶かしい声を上げるあやかと千鶴。 アキラは、身体中の血液を集めたみたいに、顔を真っ赤にする。 気づけばさっきまで彼の胸に舌を這わせていたアスナが隣にいて、横島の背中の半分を奪い取る。 そして外側の手を、横島の身体に回してアキラの手を握り締め、今度は内側の手で、アキラの割れ目をなぞり始めた。「やぁっ!」 可愛らしい声で抗議するアキラ。 だがアスナは、横島の首筋に吸い付くのに夢中で、アキラの抗議など気づかない。 何とか彼女の手から離れようとモゾモゾと身体をくねらせるも、アスナの巧みな指の動きに翻弄されるだけ。 化け物の気色悪く、鳥肌が立つようなものとは違い、彼女の手は暖かく、気持ち良く、そして彼女を高みへと導いていく。 そして、絶頂する瞬間、アスナの指の動きが止まった。 なんで……? アキラが疑問の目を向けると、彼女はアキラの愛液で濡れた手で彼女の内側の手を取ると、自分の大切な部分へと導く。 そこはぐっしょり濡れており、自分がされ、高みへと導かれた様に、彼女の大切な部分を愛撫する。 同時にアスナもアキラの秘裂を愛撫するのを再開した。「んぅ……ぁはっ!」「ひぃ、あぁぁ……」 アスナは喘ぎながら、再び横島の首筋に吸い付くと、アキラもそれを真似て同じように吸い付く。 ぴちゃ、ぐちゅ、ズリュリュ、クチャクチャ…… はぁ、はぁ、と熱い吐息に艶かしい喘ぎ…… 5人が織り成す淫音が、部屋中にハーモニーの様に響き渡る。 横島の中で力がグングン上がっていく。 妄想と言う名のセブンセンシズだけでなく、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚と言った5感。 それらを十全に使って、第6感である霊力の出力を上げるのだ。 そう、横島の切り札『文珠』、それと同等の力、「煩悩ぉ、ぜ・ん・か・いぃぃっっっっ!!!!」 横島を中心としていた力の奔流が弾け跳び、それと同時に肉棒が膨れ上がり暴発する。 熱い精液を顔中に振り掛けられ絶頂するあやかと千鶴。 それと同調するように高みに達したアスナとアキラ。 横島はやり遂げた漢の顔をすると、アスナとアキラの体の間に倒れ込む。 夏美の右腕は確かにソコに有り、そして彼女の意思通りに動く。 最後に残された気力でそれを確認すると、 右腕にアスナ。左腕にアキラ。 右足にあやか。左足に千鶴。「まさに、乳はーれ、むぅ……」 そのまま意識を失った。 夏美は呆然と、だが呆れきった瞳で目の前の惨状を見ていた。 彼女の右腕の先には、確かに手が有り、それをニギニギしながら。「この後、どうすればいいんだろ?」 この疑問は、しばらくして様子を見に来たのどかが来るまで晴れず、結局、木乃香はハルナ達の寮へと泊まりに行く事になった。 何故なら、この日から3日間、彼等は目を覚ますことが無かったから。 この惨状を見てしまったのどかに手伝って貰い、彼らの身体をキレイに清める。 毛布を掛けて、彼らに寄り添うように夏美は目を閉じた。 彼らを守るように、そして、『彼』が目を覚ました時に、一番に声を掛ける為に。 その日、日本は麻帆良の地を震源として、マグニチュード7.3の地震が観測された。 大規模な地震にも関わらず、土地や建物、それに人的被害が一切無く、地震専門家達の頭を悩ませたと言う。