まほらのほほん記 第14巻 アキラといっしょ! 吊橋効果。 時間が経ち、冷静になった今なら、あの時の自分がそうだったんだなって思う。 もう、色々と手遅れだけど。 始まりは勘違いと場に流されてだけど、今は幸せだから。 だから…… ピーッ、と笛が鳴る。「次、大河内っ!」「はい」 顧問の先生に従い、プールに飛び込む。 驚くほど身体が軽い。 信じられないくらい簡単に50mを泳ぎきる。 プールから上がり、聞こえてくるのは称賛の声。 何せ、出たタイムが高校記録に並んでたんだから。 違うんだよ、みんな。私はズルをしてるんだ。 あれから自然と気を纏ってしまう私は、身体能力が飛躍的に向上したのだ。 今だ未熟な私は、気に目覚める前の様に行動する事が出来ない。 このままじゃ、部活は辞めなくちゃならないよね。 それでも、まあ良いか、とも思う。 元々私は泳ぐのが好きってだけで、人と争うのが好きでは無いし。 それに…… 部活が終わると、私は真っ先に顧問の先生の所に向う。 休部届けを出し、しばらく部活には出られない旨を話した。 先生は私を惜しんでくれたけど、学園長の方から話を通してくれていたらしく、割とあっさり解放された。 更衣室に行き、水着を脱ぐ。 これから横島さんの所に行く事を考えると、水着の方が良いかもね。 そんな事を考えながら制服を着て、いつもの様に髪を後ろで纏め上げる。 秋から冬への季節の変わり目を肌で感じながら、随分と日が落ちるのが早くなったな、そう思いながら彼の待つ家へと向った。 私が今しなければ成らないこと。 それは気の扱いの習熟なんだ。 今だ自分の意思でコントロールしきれてないソレを、完全にコントロール出来る様になれば、部活に戻る事が出来る。 再び化け物に襲われた時に、今度は自分で撃退出来る様になる。 何より、彼の役に立てるかもしれない。 そう思うと、喜びで胸が一杯になる。 始まりはあんなんだったけど、今のこの気持ちは本当なんだって思うから。 横島さんのお家に着くと、ドアホンを鳴らし彼が出てくるのを待つ。 然程待たずに、ガチャリとドアが開いた。「おっ、今日は遅かったな、アキラちゃん」「休部届けを出してたんです」「そっか。それでいいんか?」「はい。決めましたから」 何が? とは聞かれず、家の中に入っていく。 リビングに入ると、アスナと木乃香に挨拶しつつベランダから再び外へと出る。 夕映とのどかが私よりも早く来ていたらしく、庭の中央で座禅を組んで瞑想している。 私もその中に混ざり、瞑想を始めた。 霊力、魔力、気。どれでもいいから力を感じるまでそれは続けられる。 力を発現させている私は、更に深く感じ取る為に。 みんな真剣な表情だ。 今だ力の発現の無い夕映やのどかは、時折横島さんに話を聞きながらアレコレ工夫しているみたい。 2人と横島さんの会話を出来るだけ聞かないようにしながら、自分の身体中を巡る気を感じ、コントロールする。 手に集中させてみたり、足に巡らせてみたり。 目標は、アスナと委員長。 彼女達に追いついたその時には、私もなりたいって思うから。 彼と共に在り、そして支えとなる者、使徒に。 額から汗が滲み出て、気の流れを感じにくくなった時、横島さんにポンポンと肩を叩かれた。 気づけば空は真っ暗で、夕映とのどかはもう居ない。 この修行は小一時間行われる物だから、先に来ていた彼女達は私を置いて帰ってしまったんだ。 ちょっと冷たくない? そう思ったのも束の間、夕食の誘いを断り帰ろうとすると、もう暗いからと横島さんが送ってくれる事に! アスナのジト目と、木乃香の羨ましそうな目線を無視し、私は満面の笑みを浮かべる。 横島さんと2人っきりだ! そう思うと、どうしても顔がにやけてしまう。「うふふ♪」「どうした、アキラちゃん?」「ううん、なんでもないよ、横島さん」 よくよく考えて見れば、彼と2人っきり何て初めてで、凄く嬉しい。 玄関へ行くと、靴を履き外へ出る。 一刻も速く彼と2人だけになりたい。そんな想いから一際早く行動する。 そんな私を苦笑しながら見送るアスナに手を振り、彼の手を握りしめた。 そして出来るだけゆっくりとした足取りで寮に向う。 こんなチャンスは滅多にない。 私は彼の腕に胸を押し付け、肩に頭を置いてしな垂れる。 特に言葉は交わさない。それでも気まずい空気なんか一切無い。 ほんのりと胸が暖かい。 はぁ……、やっぱり私、この人の事、好きなんだ…… 胸が、トクン、トクンと優しい鼓動を鳴らす。 でも、その場所に来た時、身体が恐怖で硬直してしまった。 公園、化け物に襲われたあの場所。 その入り口に立ち、彼は私に視線を向ける。 どうする? 多分だけど、そう言ってるんだ。 この公園の中は、もう安全なんだと分かってるけど、それでも恐怖はどうしても消えない。 でも、それじゃダメなんだよね。 そんなんじゃ、彼の支えになんかなれっこ無い。 私は勇気を振り絞る。彼の傍に在る為に。「キス、して下さい」 とは言え、怖いものは怖い。 最後の勇気。それを引き出す為にも欲しいのだ、彼の温もりが。 私は瞳を瞑り彼を待つ。 恥かしさの余り頭が茹で上がりそう。 彼の両腕が私の身体を抱き寄せる。 段々と彼の唇が私に近づいてくる。 彼の吐息を肌で感じる。「んっ……」 唇が重ねられた。 考えてみたら、こうやってキスして貰ったの、初めてだ。 そう思ったら、恥かしくて頬どころか身体中がまっかっかになった気がする。「アキラちゃん、大丈夫か?」 唇から離れた横島さんが、ちょっと楽しそうに言う。「うん。もう大丈夫。イケるよ」 色んな意味を込めて私は言った。 そして歩き出す。あの時の場所へ。 夏美の手が斬り落とされた場所へ。 化け物に犯されそうになったあの場所へ。 横島さんの指に、自分の指を絡めるように握り締めると公園の中央へ向う。 そこは何の変哲も無い公園の風景。 唯一つ、噴水が砕け壊れている事を除けば。 その惨状は、あの事件を思い起こすには充分で。 気づけば私は化け物に押し倒されていた場所に立っていた。 足が震えだす。細かくカタカタと。 薄暗い公園はそれだけで不気味だと言うのに。 私の恐怖の記憶は、その不気味さを増幅させていく。 横島さんはそんな私の手を引っ張ると、化け物を操っていた女が立っていた場所へと私を導いた。 そこは淡く光る電灯が有り、きっと私の真っ青な顔が横島さんに丸見えになっているのだろう。 結局の所、私の決意や想いなんてちっぽけな作り物って事なんだ。「怖いか?」「……うん、怖いよ」 私は素直にそう告げる。 きっと、呆れられてしまう。「んじゃ、その記憶、もっと凄いモノで上書きすっか」「……はぁっ?」 横島さんは私を背中から抱きしめると、そのままスカートをたくし上げ、下着を下にずらす。「ちょ、ちょっと待って! 誰かに見られちゃうよ!!」 私のその言葉に、彼はポケットから札を数枚取り出した。 見覚えが有る。それは委員長が日々作成している物だ。 何の効果が有るのかは知らないけど。「これな、あやかが作った試作認識阻害札だ。効果時間と効果範囲は良く分からん代物だがな」 試作品だしな? 何て言いながら周囲に札を貼り付け、鉄柱に手を付きお尻を突き出せと、私に指示して来る。 効果時間が分からないなんて、してる最中に切れたらどうするの! って聞きたいけれど、何だか凄く楽しそうで聞けなかった。 それに気づいちゃった。 今、私は怖く無くなっているって。 きっと、この為なんだ。 そう気づいたら、私は彼の言いつけ通りにしよう、って思った。 立ちバックの体勢になり、彼が私の中に来るのを待つ。 横島さんは私のお尻を撫で回すと、今度はアソコへと指を忍ばせる。 クチュクチュと粘りつく様な水音が私の其処から聞こえてくる。 前にした時と違い横島さんも私も正気で、それなのに私のアソコはもう濡れそぼっているのだ、 恥かしくて、死んでしまいそう。 恥かしがる私に満足したのか、私のアソコの中心に自分の性器の先を当てると、グッと腰を突き出し中へ入ってくる。 膣内に彼の性器を迎え入れた瞬間、あまりの快感に身体中が痺れてしまう。 「んあぁあああああっ!」 横島さんの性器で自分の中が割り開かれていく感覚に、よがり狂いそう。 私は彼の熱を感じながら、切なく喘ぎ続ける。 やがて私の胎内に彼の性器が全て挿入され、「激しくいくぞ」 の言葉と同時に、荒々しく腰を突き出された。「あっ、あああ、あぁ、よ、よこしまさん、好きぃっ」「俺も、アキラちゃんのこと、好きだぞ」 彼の言葉に、私の頭は愉悦に包まれ意識を奪われる。 カツン、カツンと足音を立てて、私達のすぐ傍を通っていく人達がまったく気にならなくなってくる。「んっ、あぁ、あっ、よこしま、さぁんっ、あぁあっはぁ、も、もっと、もっとぉっ……」 凄まじい快感に理性を奪われ、髪を振り乱して声を高く上げる。 その声に応える様に、横島さんの腰の回転の速度と突き出しの力強さが増していく。「あんま声を上げると、認識阻害が破られるぞ」 彼の忠告を聞いても、私の喘ぐ叫びは止まらず、尚一層声を荒げてしまう。 心の何処かで、誰かに見て貰いたい。なんて思ってしまっているのかも。 ああ、イヤだ……、そんな変態、きっと彼に嫌われてしまう。 そう思う心とは裏腹に、誰かが通り過ぎる度に肢体が熱くなる。 もっと彼に犯されたい。誰かに見られたい。 そんな風に思ってしまう自分もいて…… 私達が愛し合っている傍を、幾人横切ったのだろう。 その度に私のアソコはキュッと締まり、彼の肉棒を締め付ける。 彼も興が乗ったのか、私を抱えると背面座位の体勢を取り、直接通行人が見える様にしてくる。 見知らぬ人が目の前を横切る度に、彼は私の身体を大きく揺さぶり官能を高める。 私は声を上げ、アソコからポタポタと愛液を垂らす。 気持ち良い……、頭の中が、どうにかなってしまいそうだ…… ちょうどそんな時だ、彼女達が現れたのは。 楽しそうにお喋りしながら3人の女の子達が通り過ぎる。 ルームメイトの裕奈に、隣の部屋の亜子とまき絵。 彼女達の姿を見た瞬間、「ヒィッ!?」と思わず悲鳴を上げてしまう。 キュキュッと、今まで以上に彼の性器を締め付ける。「知り合いか?」 横島さんがニヤリと笑う。 流石にこれはイヤだ。 だから、早く通り過ぎて! 私の願いは叶わず、逆に彼女達は私の正面辺りで歩みを止めて話し込む。 両手で口を押さえて声が漏れ出ない様に必死に堪える。 そんな私の様子なんて気にしない振りして、横島さんはブラウスとブラをたくし上げ、胸を外気に晒した。 肌寒い風が私の肌に刺さってくる。 恥かしさの余り逃げ出そうとするも、私の身体は串刺しになっていて逃げ出す事なんて出来やしない。 せめて足を閉じようとしても、逆に大きく広げさせられる。 顎を掴んで無理矢理彼女達の方を見せさせられた。 腰が激しく揺れる。 グチュングチュン、ヂュポッ、ヂュポッ…… 性器と性器が合わさる音が響く。「何かさっきから、変な音聞こえへん?」「別に聞こえないよ~」「もしかして、幽霊だったりして!」「きゃーっ♪」 ……楽しそうにはしゃぐ彼女達に、少しだけ殺気が湧いた。 こっちは唇を噛み締めて、声が出ない様に必死だって言うのに! 私は涙目になって裕奈達を睨みつける。 別に彼女達が悪い訳ではないけど。 自業自得だけど。「そろそろ本気でイクぞ!」 突然、子宮をゴリゴリと擦りながら胸を激しく揉みしだかれた。 凄まじい快感が全身を巡る。「ヒィアッ!?」「な、なに!? 今の声!!」 驚いた様子で此方を伺う裕奈。 キョロキョロとしている所を見ると、まだ見えてはいないみたいだけど、多分時間の問題。 何とかしなきゃって思うのに、横島さんは腰の回転を止めず、ひたすら私の中を掻き回していく。 ジュグ、ジュグ、ジュグ、グチュ、ジュグ、グチュ、ヂュプ…… 止まらない、止まらないよぉ…… 涙を流し、口からは涎を垂らす。 こんな姿を見られたくないのに。「……んぅっ……ぁぁぁッ……ぃぁっ……」 私の微かに漏れ出す声を感じ取っているのか、裕奈は近視の人見たく目を細めて此方を見つめてくる。 そして、「ええっ!?」 と、驚きの声を上げて顔を真っ赤にする。「ありゃ? 見られちまったのか?」 でも裕奈は何度も目を擦ると、首を捻って困惑する。「どうしたん、裕奈?」「い、いや~、私さ、欲求不満なのかなぁ?」「えっ、えっ、どうしたの?」「ア、アハハ。暗いしもう帰ろうか。何か変なの見えたし」「えっ!? オバケ出たんか!」「いやさ、オバケってかさ、アキラが……」「アキラ似のオバケ!?」「アカン、そらアカンてっ! はよ逃げなっ!?」 そのまま楽しそうに走って行く亜子。 それを追う裕奈とまき絵。 ……助かった。 もう堪えるのも限界で、私は気を抜いた瞬間に高みへと昇り絶頂した。「あ、ああっ、あ、あ、あああぁぁ……、イク、イク、イクゥゥゥウウウウウウウゥゥゥッッ!!」 同時に彼の熱い精液が私の子宮を犯す。 ビュ、ビュビュビュ…… 重なり合う股間から、私と横島さんの体液が勢い良く吹き出し地面を濡らしていく。「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」 荒く息を吐く。彼の胸にもたれ掛かる。 此処が外じゃなきゃ、このまま眠ってしまいたい。「おっ、認識阻害、今切れたわ」 横島さんのその言葉と同時に、カツン、カツンと足音が近づいて来る。 私は慌てて串刺し状態から抜け出し、急いで身だしなみを整える。 横島さんはチャックをジーッと閉めるだけ。 なんかズルイ! 何とか間に合い、人気が完全になくなるのを確認してから、股間から流れ落ちる精液をハンカチで拭き取る。 はぁ~、ビックリした…… 横島さんと寮に向うまでの短い間、少し拗ねて見たり楽しく過ごした。 玄関近くまで着いたら、最後に彼の頬にキスをして、「また、明日」 彼が完全に視界から消えるまで、彼の背中を見つめ続けた。 部屋に戻り、裕奈と夕食を食べる。 彼女はこちらをチラっ、チラッと何度も様子を伺ってくる。 横島さんの話だと、見えたとしても一瞬で、私達だと確信している訳じゃないって。 もしかして、とは思ってるだろうけど、だって。「どうかした、裕奈?」 私はしれっと問いかける。「あのさ、さっき公園に居た?」「ん? 帰りに通りはしたけど、何かあったの?」「えっ? ううん、なんでもない、なんでも」 上手く誤魔化せたかな? でも、それからと言うもの……、深夜になると時折聞こえてくる。 裕奈が自分を慰めている声が。「……んぅ……ぁぁ……っ……ぁぁっ……んぁっ!?」 まあ、思春期なんだし、普通なんじゃないかな? 私はもっと凄いことしてるし、ね? 『幸せにして下さい。』 彼にそう願った私は、確かに幸せを感じている。