「んで? これがネギ・スプリングフィールドの資料か?」 横島はビッシリ色々と書き込まれた紙の束を、ソファーに座ったまま自分好みのおっぱいの女性から手を伸ばして受け取った。「相変わらずけしからんオッパイっすね!」などと軽いセクハラをしながら、適当に目を通していく。 そんな横島を静かに見守る学園長と、その秘書紛いの事をしている横島好みのオッパイ……もとい、しずな。 そしてちょっと離れた所で不安そうに横島を伺うタカミチ。 ぺラッぺラッ、と紙をめくる音だけが静まり返った学園長室に響いた。 15分程して全てに目を通し終わったのか、テーブルの上にポイッと資料を投げ捨てる横島。 彼は少しだけ苦み走った表情を浮かべると、忌々しそうに口を開く。「お前らバカだろ?」「フォフォフォフォ、直球じゃのう……」 長い頭から一筋、たら~っと汗を流し、視線を外に向ける「別に生徒でもええやろが。大体10才にもならんガキに教師なんぞ勤まるんか?」「立派な魔法使いになる為の修行として選ばれてしもうたんじゃ、今更どうにもならん。それに『外』に出す位ならウチで引き受けた方がマシじゃろ?」 その言葉に、顔を顰めさせながら学園長を睨みつける。 次にタカミチ、そしてしずなまで順々に睨みつけると、最後に大きく溜息を吐いた。 タカミチはビクッとした後、慌てて姿勢を正すと頭を下げ、しずなもそれに続いて頭を下げる。 学園長は楽しそうに「フォフォフォフォ……」と笑うだけだったが。 胸糞悪い。 横島は心底そう思った。 『英雄の息子』『王家の……』を自分達の利益の為に利用したい権力の亡者。 それを何とか防ぎ、『英雄の息子』として相応しくなって欲しい馬鹿。 横島から言わせれば、どっちもどっち。 その上で、俺まで巻き込みやがってと、怒鳴りつけたい気持ちで一杯だ。「で、俺にどうしろと?」 不機嫌さを一切隠さず棘々しい口調、横島の怒りの程が伺える。 いつも朗らかに笑っている彼が、コレだけ怒りを見せるのはとても珍しい。 学園長としずなは初めて見た。特にしずなにとっては、いつもセクハラばかりする少し困った面白おかしい人認定だったのだから。「ふむ、ネギくんのサポートとして、副担任」「却下。アホだろ? いい加減にせんと、そのけったいな頭カチ割るぞ?」 あっさりバッサリ一刀両断。 何せ横島は、ネギ・スプリングフィールドが受け持つだろうクラスの子達に手を出しまくっているのだから。 いくら非常識が服を着て歩いている様な彼とて、そんな自分が教師をやって良いとは到底思えない。 自分の愛する家族の一人である愛子が、どれだけ教師と言う職業に誇りを持っていたか知っているから。 だからこそ横島は、修行と言う名目で10才にもならない子供を教師にしようとする馬鹿に腹が立つ。 そんな簡単な職では無いのだから。「ふむ、ではネギくんを下宿させてくれんかのう?」 却下。そう言いそうになるも、ギリギリ咽元で喰い止める。 学園長の顔を見ると、どうやら此方が本命なのだろうと、横島は察した。 正直な話、この話を受けても彼にとって得する事なんて一切無い。 それどころか、横島の情事を妨害するお邪魔虫。「断ったら何処に住む事になるんだ?」「さあのう……。横島くんが引き受けてくれると信じておるからの」「こんのクソジジイが……」 断りたい。だが横島の本質がそれを許さない。 将来、間違いなくイケメンモテモテ間違いなしに成る殲滅対象有力候補である。 だが、今のネギ・スプリングフィールドはただの子供。 子供好きって訳では無いのだが、それでも子供に対して限りなく甘い横島。 放っては置けない、この子供を。 歪んで歪になっているだろう、友人の息子を。 子供らしい生活を送らず、ただ何かを振り捨てる様に『立派な魔法使い』を目指す少年を。「条件がある」 横島は何時になく真面目な表情を浮かべると、学園長に対して凄まじいプレッシャーを送り始めた。 これから自分が言う事に、反論など許さんとばかりに。 そのプレッシャーに押され、「ウッ……」と呻き声を上げて倒れるしずな。 彼女を抱きとめながら、固唾を呑んで2人を見守るタカミチ。 学園長は片眉をクイッと上げ、まだ若いもんには負けられんとばかりに気合を入れた。 もっとも年齢だけで言ったら、横島は70歳近いジジイなのだが。「なにかの?」「ネギ・スプリングフィールドを、俺の被保護者にすること。最低でも麻帆良に居る間はな……」 ああ、言った。言ってしまった。 横島は口に出したその瞬間から後悔した。 もうこれから先、気軽にアスナ達とエロエロな事が出来なくなるのだから。 リビングであやかを押し倒したり、トイレに篭った夕映に襲い掛かったり、玄関先で夏美を背後からドッキングしたり、風呂で千鶴に奉仕して貰ったり、 アキラを全裸にして庭に放置プレイや、のどかに猫耳つけて家中を裸で連れ回したりも、もう出来ないのだ…… いつかしようと思っていた、アスナと台所でのセーラーエプロンプレイも夢のまた夢。 何と言う苦痛に満ちた決断だろう。 横島は余りの苦難に、目からツツゥーっと一筋の涙を流した。 ネギ・スプリングフィールドが麻帆良に来る、3日前の事である。 ネギま!のほほん記 第1巻 小さな翼 ドタバタと、たった一人でナギの息子の荷物を片す。 2階の奥をその子の部屋にすると決めると、彼方此方に散乱する自分の私物を纏め上げ、一階の書室へと放り投げる。 何でこんな事にとブツブツ呟きながら、ベッドを運び入れ、布団を敷き、本棚に本を適当に並べ、謎のマジックアイテムをクローゼットに放り込む。 全てが終わった時には結構いい時間で、もうしばらくしたらあの娘達も帰ってくる。ナギの息子を連れて。 と思っていた矢先、ドアホンが鳴り玄関が開いた。 気配は小さい子供が一人。ネギか? そう思うものの、何故アスナ達が一緒で無いのか不思議で。 階段を急いで降りると、玄関に少年の出迎えに出る。「あのー、横島さん宅でよろしいんでしょうか?」 小さい、本当に小さい子供だ。 赤い髪に、利発そうな面持ち。何故か頭にでっかいタンコブ。 背中にリュックと布でくるんだ杖と思しき物を背負い、少しだけ不安そうな表情をしている。 顔は父親、中身は母親。タカミチの報告通りだ。「ああ、そうだ。俺は横島忠夫、永遠の18才。今日からここでのお前の保護者だ」 自らの楽園に終わりを告げる言葉を発しながら、ニヤリと笑みを浮かべた。 『保護者』がつくと言う事を聞かされていなかったのか、アタフタしながら少し混乱を見せる。「ほ、保護者ですかっ!? ボク、そんな話は聞いてませんよ!」「う~ん? 聞いてねーも何も、お前の年で保護者いねーなんてありえねーだろうが」「いえ、ですが下宿先だとしか言われてなくて……」 クソジジイ、相変わらず底意地が悪い。 人には関係書類の提出をさせといて、その一方でコレだからな。 朝早くからどれだけアチコチ駆けずり回ったと思っていやがる! まったく…… 心の中でクソジジイに罵詈雑言を浴びせつつ、俺はネギの荷物を受け取りながら中に入るように促した。 オドオドキョロキョロしながら「おじゃましま~す……」と小さく呟き、俺の後ろをヒョコヒョコついて来る。 しっかりと靴を脱いでいる辺り、キチンと日本の事を調べてから来てるんだな。 ホント、父親とは正反対の几帳面な性格だ。 必死で笑ってしまいそうなのを堪えながら彼をリビングに通すと、ソファーに座らせる。 取り敢えずはポッドに入ってるお茶を差し出し、少し落ち着くのを見計らった。「ボク、初めてです、日本のお茶を飲むの」 そう言いながら嬉しそうに口をつけるネギを見て、自然と笑みが零れた。 そして昔の事を、あの大戦が終わった頃の事を思い浮かべた。 心底ナギと言う男に負けたと思わされた、あの頃の事を…… アリカが囚われの身となって一年。 世界の平穏の為の生贄とされた彼女を救おうと、俺とクルトは常日頃からナギ達に訴えていた。 俺は、もう嫌だったから。 まるでかつての自分の選択を、もう一度つき付けられてるみたいで。 世界の存続か、それとも愛する女との約束された平穏か。 俺が選んだのは世界で、でもそれは女が望んだ未来でもあった。 後悔はした。何度も何度も。それは今でも同じ。 彼女が新しい生を受け、生まれ変わったであろう今でもだ。 だからなのだろう。今度同じような選択を強いられたら、次は世界よりも自分の大切な者を選ぼうと思ったのは。 一度世界を選んでやったんだから、2度目は良いだろうと心底思う。 女を選んで世界が滅ぶなら、そんな世界など此方から捨ててやれば良い。 今の自分にはソレが出来るのだから。 俺とクルトは何度もナギに訴えた。「あなたが立つ! ただそれだけでアリカ様を救えるんです!」「おい、ナギっ! アリカちゃんを見捨てるつもりかっ!!」 アイツの力と名声があれば、彼女を救い出し、メガロメセンブリアの元老院を告発して失墜させる事が可能だったからだ。 だがナギは、一人でも多くのいわれなき不幸に苦しむ無辜の民を救う。それこそが彼女の望みだと、決して蜂起しようとはしなかった。 今ならそれが騒動を起こし、再び戦乱へと直走る道へ向わない為の行動だったのだと解る。 でも当時の俺は、完全に頭に血が上っていて、いんや、例えそれに気づいたとしても、世界よりも彼女を選んだだろう。 別に彼女の事が特別だった訳じゃない。 彼女はナギの、自分のダチと惹かれ合っている女だったからだ。 何よりそれが、自分とルシオラの事を思い起こされ、彼女を犠牲にするのに耐えられなかった。 心の古傷が抉られるように痛み、結局は自分の心を守るための行為だったんだ。 どれだけ説得しようと折れないナギに見切りをつけた俺は、クルトの考えた計画に乗る事にした。 どんな事をしてでもアリカを救出し、その後、なし崩しにナギを使って世論を掌握。 ヤツラの罪を暴露し、民意と、そして自分達の武力を用いて今回の黒幕を排除する。 それは再び戦乱の世に戻すかもしれない行為。 せっかく平和になった日常を、再び慟哭に満ちた世界に戻すかもしれない行為。 それでも俺は…… クルト一人を連れ、こっそり牢獄に侵入した俺は、結局彼女をソコから動かす事が出来なかった。 連れて行こうにも彼女は頑なに拒否し、それどころかナギの元へ戻り、アイツの力になってやってくれと言われるだけ。 それでも納得出来なかったクルトが無理に連れ出そうとするも、逆に脅しをかけられその場を立ち去る事しか出来なかった。 ナギじゃなきゃ駄目なんだな。 そう思った俺は、この時より流れに身を任せるだけになった。 来る日も来る日も、ただひたすらに傷つき、絶望の淵に居る人達を心身両面から救っていく。 今にも消えてしまいそうな小さな命を救い、無駄に暴れているアホを蹴散らし……、そんな日々。 そして、諦めきれないクルトが必死になってナギを説得しようとしているのを、どこか冷めた視線で見ているだけ。 まあ、結局アイツは処刑執行時に助けるってことを考えてたんだけどな。 アイツは……、ナギは世界も女も救ってみせたんだ、俺と違って。 幾つかの犠牲は出したが。 女の名誉と、そして…… ニコニコしながらお菓子を食べ、お茶を飲んでるネギを、いつになく優しい気持ちで見つめる。 ナギとアリカちゃんの子供だ。 あの後、しばらくして俺は赤い翼をほぼ抜けた状態になったから2人のその後は良く知らん。 ナギが『マギステル・マギ』として活動し始めた大部分の時間、俺とアイツは別行動だったから。 知っているだろうラカンやアルも、詳しい話を俺に聞かせようとはしなかった。 今の時点ではどうしようも無く、時期を待っているのか…… まあ、あの時言った様に、いつの日か、暇になったら助けてやるか程度のモノなんだろう。 アイツは放って置いてもそう簡単に死ぬヤツじゃねーし、何より、あの時の良く解らん存在が関わっているのかも知れん。 それに今頃、着衣の素晴らしさを実感しているかもしれんし、アリカちゃんを相手に。 例えばメイドや巫女さん、ナースにスチュワーデス。 果ては直接尻尾をお尻に差し込んだり、野外露出プレイにはまっているに違いない。 俺には分かる、アイツはそーいう男だ!「あっ、すみません。クッキーとお茶が美味しくて、つい……」 こういう礼儀正しい所は、本当に父親とは大違いだな。 少し苦みばしった笑みを浮かべながら、ネギの頭をぐわしぐわしと撫でる。 昔、タカミチやクルトと言った孤児達、それにアスナが小さかった頃に良くした様に。「子供はそんなん気にせんでえーっちゅーの。それよりアスナと木乃香ちゃんはどうした?」「アスナさんですかっ!?」 アスナの名前が出た瞬間、カチーンと硬直するネギ。 しかも恐怖からなのか、身体をガタガタ震わせ始める。 聞きたくない。聞きたくは無いが、聞かなきゃならん。「ど、どうした、ネギ?」「いえっ、何でもありませんっ!!」 聞くなり立ち上がってビシッと敬礼する。「今後、魔力を暴走させ、女性の服を吹き飛ばす様なハレンチな真似をした場合、再び厳罰を受ける所存ですっ!!」「……………………」 良く解らんが、くだらないことだと言う事は解った。 涙目で震えるネギを見て、話を変えてやる事に。「ネギはここに立派な魔法使いになる為の修行をしに来たんだよな?」「はい!」 俺がそう聞くと、目に希望の光を輝かせキラキラとさせる。 今だ幼いこの子が、更に幼かった頃の悪夢の様な経験なんて無かったみたいに。「何で先生なんて修行になったか解るか、ネギ?」「え? すみません、解らないです……」「魔法を知らない人達が住むこの地で、魔法に頼る事無く立派に行動出来るかどうか……、それを見る為なんだと俺は思う」 何て言っては見るものの、どこまで本当かは知らん。 今まで魔法関係者しか周囲にいなかったであろうこの子の日常は、普段の生活自体に魔法が関わっていた事だろう。 だったら、この考えはそんなに的外れじゃ無いと思う。 だからこそ学生でも良いんじゃねーかと思うんだがな。 もっとも、ヤツラが関わっているのなら別だが。 魔法至上と言っても良いヤツラだ。 タカミチがどんなに頑張っても『偉大な魔法使い』の称号を貰えないように、ヤツラの望む魔法の使い手ならば、アホでも『立派な魔法使い』になれるだろうよ。「そうなんですかっ!?」「さーな。でもな、だからこそ学校に居る間は魔法に頼るな! 魔法の隠匿とかそう言う問題じゃねーぞ?」「…………おじいちゃん言ってました。わずかな勇気こそが本当の魔法だって。ボクは魔法に頼らず、先生として2-Aの皆さんを導かなければいけないんですね?」 キリッと凛々しく、それでいて決意の篭った瞳。 十にもならないその身で、この子はコレだけの顔が出来るのかと。 俺なんかの浅はかな考えなんて必要なかった、そう思う。 俺はこの子に子供としての時間を与えてあげたいと思っていたのだ。 友達を作り、野山を駆けずり回り、ミニ四駆で遊び、ゲームをして、漫画を読む。 可愛い女の子のスカートを捲り、女子更衣室に潜入し、女子風呂を覗く。 そんな、小学生の子ならば誰でも普通にすること。 だが、この子はすでに持っていたのだ。 俺がアシュタロスとの戦いの終盤まで持ち得なかった『覚悟』を。 まだまだ土台は脆く、ちょっとした衝撃で簡単に崩れ落ちる様な物だけど、少なくても俺なんかよりずっと『大人』なんだ。 子供だけあって、視野は狭く、経験もなく、中々に頑固っぽいトコが玉にキズだけどな。「だけどな、それじゃ息が詰まるだろ? だからこの家の中だけでは、今まで通りに魔法を使って構わんぞ」「じゃあ、やっぱりアスナさんと木乃香さんは魔法関係者だったんですね!」「うん? 聞いてたんか、アスナと木乃香ちゃんもこの家で一緒に暮らすって?」「学園長先生がそう言ってました。あと、困った事があったら横島さんに全部押し付けろって……」「あんのクソジジイっ! いつか潰すっ!!」 どうせあの年だ。もう既に必要ないだろう? ブチュっとアレの一個や二個、踏み潰しても問題有るまい。 くっくっくっくっくっくっくっくっくっ………… 暗く澱んだ笑みを浮かべながら、学園長に対する報復を考えていると、俺が発する瘴気に中てられたか、ネギが顔を真っ青にする。 しまった。そうは思うものの、これから一緒に過ごして行く家族。 これ位はスグに慣れて貰わなければ。「そうだ、ネギ。男にとって大事な物を教えてやろう。それは女だ! 美人のネーちゃんの柔肌、美人のネーちゃんの乳、美人のネーちゃんの尻…… だからこそ言っておく。美人のネーちゃんの知り合いが居るなら、ワイに紹かぶべらっ!?」 ズガン! と俺の後頭部を痛撃する金属の棒、神通棍。 バチバチと霊力を放電させながら、金の髪の女王の手に握られる。 血を流しながらテーブルに顔を突っ込ませ悶絶する俺は、突然の出来事にアタフタしているネギの声がやたらと遠くに聞こえた。「横島さん! こんなにも純真無垢で礼儀正しく快活な理想の少年像を体現しているネギ先生に、なに馬鹿な事をおっしゃっているのですかっ!!」 あやかは突っ伏す俺の襟元を掴むと、そのままガクガク激しく揺さぶる。 血が辺りに散乱し、ネギは恐怖で縮こまる。「ネギくん、歓迎会の準備が終わったから、そろそろ行かなあかんえ?」「あわわわわ……、で、ですが、横島さんがっ!?」「あはははは。だーいじょうぶだって、あの人はコレくらいで如何にか成る様な柔な人じゃないからさっ!」 ハルナちゃんが俺の事を心配するネギを適当に宥めつつ、ジャージを着てるトコ何て初めて見る木乃香ちゃんが手を引っ張り外へと導いていく。 そのまま「いってきまーす」と家を出る3人を、あやかに折檻されながら見送った。「はぁ、本当にアナタって人は……」 3人が家を出たと同時に、あやかは心底呆れましたと言わんばかりの溜め息。 俺の横に腰を掛けると、コレまたいつの間にかに来ていたアスナがその反対側に座り、俺は2人に挟まれる格好に。 ところでアスナはなんでジャージなんだ? そういや木乃香ちゃんもジャージだったような……「あのエロガキが魔力暴走させて制服を吹き飛ばしたのよ!」「まあまあ、ネギ先生はまだ子供なんですから」 ああ、それであんな事を…… 既にアスナに調教されていたのか。 それにしても、アスナと木乃香ちゃんの着ている物を吹き飛ばすとは。 俺がガキの頃にやっていたスカート捲りなんざ、まんま子供騙しやな。 流石はナギの息子と言った所か、末恐ろしい。 まさかエロ方面まで天才だったとはな。 このまま育てば、俺のエロ方面での後継者にすら成り得る。 凄まじいまでの才能よ! 戦慄し、少しだけ苦笑いをした俺の腕に、2人は柔らかくも弾力のある脂肪の塊を、ふにゅっと押し付け抱きついてくる。 2人のオッパイの感触に鼻を伸ばす俺。「ネギの歓迎会をやるんだろ。行かないでええんか?」「私達がいなくても大丈夫ですわ」「そうね。タカミチとしずな先生も来てるし」「よこ……、いえ、忠夫さんは私達が邪魔なんですの?」 初めて俺の名前を呼んで、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせる。 それを隠すように、見られないように、俺の唇を奪い……「何か辛そうな顔をしてるわよ? そんなアンタを置いて行ける訳ないでしょ」 続けてアスナが俺の唇を奪う。 昔の事を思い出したのがマダ引いてたか? 別に辛くも何ともないんだがな。 それにしてもアスナ、言い方がタマモそっくりだぞ? だが、俺はそう言う間も無く、大切な2人の使徒に押し倒された。 夕陽が差し込み赤く染まるリビングで、3人の影が一つとなり、くぐもった声を響かせるまで然程時間を必要とはしなかった。 結局2人は最後までネギの歓迎会に顔を出すことは無く、木乃香ちゃんがネギを連れて帰宅するまで、ずっと愛を確かめ合った。 その後、あやかは折角ですからと言いながら、嬉々としてウチに泊まっていく事に。 間違いなくネギが目当てだ。 そんなあやかを迎えに来た夏美ちゃんと千鶴も泊まっていく事に。 何でかワクワクしているネギを連れて風呂に入る。 風呂に入りたくないと言うネギを浴室に放り込むと、教師たるもの常に清潔でなくてどうする! 何て知ったような口を叩く。 頭を一人で洗えないネギの頭を洗ってやりながら、タカミチ達も俺がこうやって洗ってやったんだと話してやった。「タカミチも?」「タカミチも、その友達もだな。でもそいつらはスグに自分で洗えるようになったぞ? お前も自分で洗えるようにならないとな」「はいっ!」 実際はそんな事は無かったんだけどな。 でも、子供っていうのは知っている人の身近な話は、とても良い目標になるもんだ。 資料でも見たが、本当にこの子の周りには人が居なかったんだと、つくづく思う。 こんな何でも無い、当たり前のやり取りすらした事が無いのだ。 資料で見る限り、居たのは姉代わりの少女と幼馴染の女の子。 大人だけじゃなく、軽い目標やライバルになる男が一人もいない。 男はせいぜい、メルディアナの学園長である老人や、他教師ぐらいではないだろうか? 母親ではなく父親を想い続けるのは、こんな生活環境だったら仕方ないのかもしれん。 姉が母代わりをしてくれる一方で、父親の代わりをしてくれる者が居なかったんだから。 いや、コレについては、この先様子を見てみねーと判らんか…… 風呂から上がると、リビングにはびっしりと布団が敷かれており、ネギがウチに来た最初の日って事もあって、皆で雑魚寝するみたいだ。 パジャマ姿で楽しそうに戯れる少女達を微笑ましく見ながら、やっぱり嬉しそうにしているネギの頭に手を置いた。「ネギ、学校にいる間はお前は大人にならんとイカン。でもな、この家にいる時ぐらいは、お前は唯の子供になって良いんだからな」 言いながらネギの首根っこを掴み持ち上げると、そのままあやかと千鶴の間に放り投げた。 母性溢れて飛び出さんばかりのこの2人に任せておけば、後は大丈夫。 第一、こんなの俺のキャラじゃねーしな。 ってか俺に言う資格があると思えん。 他にキチンと言えるヤツが居るなら、ワザワザ俺がこんな事せんでもえーんやけどなー。 子供らしい笑顔を見せるネギやアスナ達を見てそう思った。 思いながらも、しっかり夏美を部屋に連れ込んだがな。 「ふぁああぁっ! 横島さぁんっ! ひぃああぁああああっ!!」「そんな大声出したらネギに聞こえるぞ!」「んふぅっ……、はぁっ……、い、いじわる……、んぐっ……だめ、ダメだって、そんなに激し……くぁぁああああああ……」 俺の下で艶かしく肢体をくねらせる夏美ちゃん。 目と口をギュっとキツク閉めようとするも、俺の激しい腰のグラインドに翻弄され、甘く激しく声を荒げる。 グチャグチャと粘りつくような水音を立てながら、許しを乞う彼女の胎内を掻き回し続けた。 ネギが居たら色々と邪魔かな? 何て思っていたんだが、大差ねーな、俺の性活には。 それどころか、羞恥プレイのランクが一段階上がったぜ!「ああああ、いや、いやぁ……よ、よこしまさん許ひてよぉ……」 グラインドからピストンに腰の動きを変え、泣き出す一歩手前の夏美ちゃんの子宮を激しくノックしながら、こう思った。 どんな状況でもエッチする事を止めない俺、実にカッコイイ! 俺はこの日、ちょっとだけ洒落にならんミスをしたのにも気づかず、嬉々として夏美ちゃんとの素晴らしい一夜を過ごした。 木乃香ちゃんの事情を説明するのをすっかり忘れて。 そう、ネギがアスナだけじゃなく、木乃香も魔法関係者だと勘違いさせたまま。 あやかが魔法っポイ攻撃を俺にかました所為もあって、この家に来る者全てが、魔法関係者なのだと思わせてしまった事を。 気づいたのは翌朝。ネギが木乃香の膨大な魔力に気づき、凄い魔法使いだと勘違いして自分に魔法を教えてください、そう言った時だった。 その時の喧騒は思い出したくない…… ただ一つ解る事は、「んっ、んっ、んぅああっ……ぃっ、ちゃうよっ! よこしまさん、わたし、もうっ……んぁあぁあぁぁあああっ!!」「いいのか~、外まで聞こえるぞ~?」「い、いい……からっ! きこえて……ネギくんに、聞こえても、いいよっ! だから、だからぁっ!!」「よし、イケッ!!」「ひぃっ!? おっきく、横島さんのがっ……くぅっ!? きゃぅうぅぅぅぅうぅうぅっ!!」 この時の俺は、心底楽しんでいた。 自分の犯したミスにも気づかず。