「忠夫~、ただいまぁ」「今帰ったえ~、横島さ~ん」 2人の少女の声が玄関から聞こえてくる。 かったるい体をソファーに投げて動く気がしない。 身体の芯まで疲労が溜まっている気がする。 柔らかいソファーに顔を埋めながら、アスナ達が来るのを待つことに。 トタトタトタ……廊下を歩く軽快な音。 最後にパタン、とリビングへ続くドアを開け入ってくる。「うー……おかえり……、アスナ、木乃香ちゃ~ん……」 蚊の鳴く様な声を絞り出す。「どうしたの?」「どっか具合悪いん?」 心配そうに駆け寄って来る2人。 何でも無いと、右腕を上げて軽くパタパタと手を振った。「調子悪いの?」「熱は……?」「いや……そんなんじゃなくて……茶々丸ちゃんに……限界まで絞り取られた……んじゃ……」 そう、茶々丸を送って家に帰った途端、一気に疲れが身体を苛み、腰が重くて動けなくなったのだ。 そんな彼を見て、アスナと木乃香、2人顔を合わせてニコリと笑う。 何を? 何て聞いてこない。2人無言で腕を高々と上げると、同時に背中へと肘を突き落とした。 ドスッ! 鈍い音が背中から聞こえた。「あんぎゃーーーーッ!?」 悲鳴が家中に響く。 それはアスナと木乃香のコンビネーションアタック。 2人は互いの右手をパチンと叩いて健闘を称えあった。「このか、私がいない間、このバカの事を頼むわね!」「はいな!」 アスナは木乃香の元気な応えに満足気に頷くと、痛みで悶絶している横島の背中に「えいっ!」っと飛び込んでくる。 すぅーっと大きく息を吸い込み、肺に空気を一杯吸い込んだ。「ただおぶんほきゅ~ちゅ~なの……」 木乃香の前では珍しく甘えた声。 この半年で初めてと言っていい。 アスナも寂しいのだろう。これからエヴァンジェリンの家に行くのは。 茶々丸の改修が終わるまでは、エヴァンジェリンの家で住み込み家政婦業なのだ。 だから……「あん? 今日はもう打ち止めやぞ?」 こんな事を言われたらキレても仕方あるまい。 ゴス! 再び鈍い音が家中に響く。 アスナは痛そうに唸る横島の頬に、チョンと唇をつけてスグに離れると「ベーッだッ!」っと思いっきり舌をだす。「明日は、学校終わってからちょっとだけ顔を出すわね。バカなことばかりやってないで、ちゃんとしてないとダメよ?」 親が子供を叱るみたいに言うと、トタトタと部屋へと戻る。 鞄にお泊り道具を詰め込み、素早くお着替え。 それからもう一度、リビングにヒョイっと顔を出す。「いってくんね!」と元気良く手を上げた。「ああ、エヴァンジェリンによろしく言っておいてくれ」「いってらっしゃーい。横島さんの事は任せてな~」 ソファーから立ち上がり、アスナに向って手を振る。 木乃香は自然と横島の腕に絡みつきながら見送る。 アスナはすこ~しだけ木乃香にジトッとした視線を向けるも、すぐに笑顔を見せてもう一度「いってきまーす」そのままリビングを出た。 トタトタトタ……キィ~、バタン…… アスナが玄関から出る音。 木乃香を纏わり付かせたままソファーに座ると、ボソッと「外まで見送れば良かったな……」と呟いた。 小さく呟かれたはずのその言葉は、2人っ切りの静かな家に、何故かやたらと大きく響いた。 ネギま!のほほん記 第9巻 賢者横島 夕焼けの朱に染まったリビングが、少しづつ夜の暗闇と侵されていく。 アスナがエヴァンジェリンの家に行ってから、なぜか木乃香はべったりとくっついたまま。 制服のまま、着替える事無くしな垂れかかる。 彼女からは女の匂いが染み出てきている。 発情している女の匂い。 いつもの自分なら、押し倒してしまいそうな程に濃い匂い。 間違いなく処女である筈の彼女が、これほどの女の匂いを醸し出すとは何かあったのか……? そうは思うが、今日は色々と有り過ぎて疲れ気味。聞く気も起きなければヤル気も湧かん。「木乃香ちゃん、着替えんでええのか? 皺になっちゃうぞ?」 完全に夜の闇に没したリビングで、静かに囁く。 木乃香は潤んだ瞳を彷徨わせ、名残惜しげに立ち上がる。 柔らかく暖かい肢体が自分から離れるのをやはり残念に思いながら、それでも少しだけ突き放す。 木乃香は窓辺へと寄ると、シャーッと勢い良くカーテンを閉め、真の暗闇になったリビングの電気を点け明かりを灯した。 急に明るくなったせいか、目がチカチカする。「横島さん……、ウチと……お風呂に入らへん? その、なんや……着替えるのにも丁度ええし……」 それは素晴らしいお誘い。ぜひ! そう言いたい気持ちはあれど、それに応える訳にはいかない。 ネギを風呂に入れる役目が自分には有るのだ。 子供を一人で風呂に入らせる。そんな危険な事は出来ない。 普通の子供よりも早く大人に成りかけている少年ではあれど、所詮は自分で頭も洗えないただの子供。一人で風呂に入らせる訳にはいくまい。 何よりオレはあの少年の保護者なのだ。最低限の義務ってものがある。少なくとも、あの子が一人で頭を洗える様になるまでは。「……ごめんな?」 言葉少なく、だが残念そうな声色で断る。 木乃香は見るからに肩を落とすと、目の端に涙を一杯に溜め込みながら、力なく首をふった。「ううん、ええんよ。ウチ、着替えてくるな?」 湧き上がる罪悪感。ネギとは後で別に入るとして、今は一緒に入ったほうが良かったか……? だが、今だ帰らないネギを放って置いて、先に風呂に入るわけにはイカンだろう。 それは木乃香も解っているはず。 そう自分を納得させながら、テーブルの上に置いてあるテレビのリモコンを手に取る。 ポチっとテレビの電源を入れると、流されるニュースをぼ~っと眺め見る。 不意に見知った顔が映し出されるのを見て、思わず身を乗り出した。 ホンの半年程前、少しだけ夢を見たことを思い出す。 一般人として生きる、そんな些細な夢だ。 そんな些細な夢の中にいた時に出会った仲間。 斬新なプロジェクトを立てニュースに取り上げられたみたいだ。 そんな仲間といっても良い奴等が、生気をみなぎらせ、生き生きとした表情を画面の向こうから見せる。 メールでもしてみようか? それともオレのことなんざ忘れちまったかな? 口元が自嘲めいた笑みの形に歪む。 今の今まで忘れていたのに、向こうにだけ期待するのは間違っている。 そう思いながらも、自然と携帯をポチポチ。 送信……っと。これで良し。 顔を上げてテレビを見ると、すでに違うニュースが流れている。 中学生のオリンピック候補者が如何の……そんな割と如何でも良いニュース。 正直な話、少し静かに見守ってやれよ。そう思わんでもないが、これも試練の一つなのだろう。 この程度を乗り越える事が出来ないなら、どの道大成することはない。そんな厳しい世界なのだ。 そんな埒もないことを考えていると、チャラララン♪ 連続でメールの着信音が鳴る。 全部で12回。あの、仲間の数と一緒。 少し期待を込めてメールを見る。 自然と笑みがこぼれた。 内容はどれも殆ど同じ。 曰く、連絡するのが遅い。今度飲みに行きましょう。さっさと戻って来い。 どれもこれもこんな感じ。 この50年余りの時間の中で、唯一出来た『普通』の友人達。 心が暖かくなっていくのが解った。 俺は再びメールをしようとポチポチ、ピッピッ。 ───色々と忙しくてな、連絡遅れてゴメン。戻るのは無理だ。やらなきゃいけない事があるからな。 飲みに行くならそちらの都合で日時を決めてくれ。お前等と違って時間的な都合は幾等でもつくからさ─── すぐさまチャラララン♪ とメールの着信音が再び12回。 お前ら、実は暇だろ? そう苦笑しながら着信メールを開いた。 ───了解! 美味い店があるんだ。お前の奢りだぜ? むつみさんには手を出すなよ! ふふふ、アナタと再会する日が待ち遠しいわ~♪ 口元の笑みが更に深くなる。 ああ、本当に待ち遠しい。 俺も入れて13人分の飲み食い代を払うのは業腹だが、金は唸るほど有る。 たまにはそんな日が有っても良いだろう。 そう思いながら、携帯をパチンと折り畳むと背後から木乃香の気配。「横島さん、何しとったん?」「ん? 友達から着たメールを見てた……んだよ……」 言いながら振り返ると、言葉を呑んでしまう予想外の光景。 頬を桜色に染めた木乃香。その身を纏う頬と同じ薄い桜色の浴衣。 日本人特有のきめ細かい肌に、長く美しい黒の髪が良く映える。 身体のラインがキレイにスゥーと流れていて、下着なんて無粋な物を身に着けていない事がすぐに解った。 思わず呆けたように見とれてしまう。「えへへ……ウチ、似合うとるかなぁ……」「あ、ああ……、凄く似合ってるよ、木乃香ちゃん」 俺の心からの言葉に一杯の笑み。 少し照れ臭そうにしながら、手に持つお銚子と酒のつまみをテーブルに置き、俺の手にお猪口を持たせる。 甘えるようにもたれかかると、14才になったばかりの少女とは思えぬ色気を湛えながら酒を注いでいく。 それをクイッと一息で飲むと、すぐさまお猪口に酒が注がれていく。 木乃香の熱い息が首筋にかかる。 相変わらず濃い牝の匂い。 チラリと覗く胸の谷間と淡く膨らんだ乳房。 すでに尽きた筈の欲情が湧いてくる。 もっとも、流石に最後まではする気が起きんが。 そんな自分に自嘲めいた笑みを向けつつ、自然と手を彼女の太腿の内側に滑り込ませた。 緊張しているのか、それとも発情しているからなのか、彼女の太腿はしっとりと汗ばんでピトッと手に貼り付く。 俺は手を太腿に貼り付かせたまま、再びクイッと酒を一息で飲み干した。「んぁ……」 切ない喘ぎを零しながら、木乃香は三度酒を注ぐ。「……んぅ……の、飲むばかりやのうてきちんと食べな、すぐに酔ってまうよ?」 酒を注いでおきながら……、そう思わんでもないが、素直にお猪口をテーブルに置く。 木乃香は箸できんぴらごぼうを摘まむと、「あ~ん」と俺の口元まで運んでくる。 ネギを待たんでいいのか? そう思いながら大口を開ける。 ヒョイッと箸が俺の口の中に入り、酒のつまみとしては薄味な、だが夕食のおかずとして丁度良いのだろう上品な味が口一杯に広がった。「おいしい?」「ああ」「や~ん。うれし~わ~」 言葉少なめに返したものの、木乃香は頬に手を当て嬉しそう。 調子にのったのか、次から次へと俺の口におかずを放り込んでいく。 このままでは、ネギが帰ってくる前に食事が終わってしまう。 子供はやっぱり皆で楽しくご飯を食べさせてあげたいのだが…… そう思い、チラリと木乃香の顔を盗み見る。 朗らかで嬉しそうに、それでいて淫靡で溢れんばかりの色気を併せ持った表情。 ……先程一緒に風呂に入ってあげなかったこともあるし、食事を一旦止める為でも有る。 それに、ここで手を出さないのは逆に可哀想というものだ。 それならばとばかりに木乃香の内腿に忍ばせていた手を、じりじりと股間の中心部へと進めていく。「ひぃぅ……ん……ん、ん……」 狙い通り箸をテーブルに置く木乃香。 快感に目を潤ませ、微かに喘ぎを漏らす唇はほのかに開いたまま閉じる事はない。 俺の手が進みやすいように足を広げ腰を少し浮かせる。 ぐちゅぅ……、淫猥で粘る水音が響く。俺の親指の第一関節が木乃香の股間のクレバスへと到達した証。 濡れている……ってレベルの話ではない。グチャグチャだ…… これなら発情した獣のような行動をとるのも仕方ないのかもしれない。 問題は何故こうなったか? なのだが…… 問いただそうか……? そう思い彼女の顔を見つめると、期待の篭った目で見つめ返される。 熱い吐息を吐きながら「横島さん……」と俺の名を呟くのだ。「いつの間に、こんなにエッチな子になっちゃったんだか……」 ポツリと呟いた俺の言葉に、だが嬉しそうにこう答える。「エッチな女の子は嫌いやった?」「うんにゃ。大好物」 言いながら浴衣の上から乳首を摘まみ、捏ねるように小さめの乳房全体を撫で回す。 俺の指が蠢く度に木乃香の乳房は柔らかく形を歪め、切なそうに声を漏らす。「んっ……んぅ、んっ……やっぱり、横島さんに……ンンッ……して貰うんが一番気持ちええよぉ……んあっ、ンンっ……」「自分で慰めでもしてたんか?」「ちゃ、ちゃう……よ……あ……んっ! ち、千鶴さんとゆえが……ああん……」 あの娘達は何してるんだ? そう思いながら、今度はジュクジュクに湿った陰部を嬲り愛液を掬い取る。 糸が引くほどに粘るソレを、ワザワザ木乃香に見せ付けた。「いやぁ……そんなん見せたらいややぁ……」 恥かしそうに身体をわななかせる。 膣口から溢れ出る愛液の量が爆発的に増え、ピュッピュッと飛沫が跳ねる。 快感から身を大きくよじらせ耐えようとする木乃香。「あう……も、もうイキそう……あっ! あああっ! 何かっ、出て……ああん……ッ!!」 絶頂近い感覚に、盛大に身体を揺らし喘ぎ悶える。 最後に震えが最大になり、その頂点に達しようとしたその時、「ただいまー!」 元気な少年の声が響く。 俺は木乃香を嬲る手を止め、素早く乱れた浴衣の裾を直してあげるとソファーに座る。 木乃香は今だ細かく身体を振るわせるも、必死に平静を装った。「ネギくんのこと忘れとったわ……」 ポツリと呟く言葉に、妙に大胆だと思ったら、と少し呆れて笑ってしまった。 その後は……、 ネギと一緒に夕食を食べ、風呂に入り、テレビを見ながら雑談。 時折、切なそうに太腿を擦り合わせる木乃香の身体を静かに慰めながら、昔の話をする。 ネギの父親のナギと、木乃香の父親の詠春との冒険活劇。 不思議な事に、木乃香はともかくネギまで殆ど知らなかった昔の話。 俺達が紅き翼の一員で有った事さえ知らなかった。 俺はともかく詠春は有名だと思うんだがな。 昔話に目をキラキラとさせて興奮するネギ。 そんなネギを微笑ましそうに見る木乃香。 ああ、この2人はあいつ等の子供なんだな……と少しだけ胸が切なくなる。 久々に感じる置いてけぼりにされたような気持ち。 ネギはそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、次は次はと話をせがむ。 初めて聞く父親の生の話。 今までは、ただ立派で偉大な英雄だとしか聞かされていなかった、父親の話。 興奮しても仕方無い。 結局、その日もリビングに布団を敷き3人で川の字になって眠る事になった。 ただし、真ん中の棒が俺だが…… ネギと木乃香に挟まれながら、ポツリポツリと話をする。 サウザンドマスターの吸血鬼退治を始めとする、この先のネギに必要な知識をそれとなく交えながら。 そして、ふと気づけば2人の寝息が聞こえるようになる。 2人の顔を覗きこむ。 楽しい夢でも見ているのか、ネギは笑みの形に顔を固定させ、本当に嬉しそうに眠る。 一方、木乃香は欲求不満のままなのか、切なげに俺の体に擦りつけながら寝苦しそう。 まあ、あれだけ火照った身体をそのままにされたら仕方ないかな? 俺は優しく木乃香を抱き寄せると「おやすみ、木乃香ちゃん」と耳元で囁く。 寝苦しそうに顰めていた眉が、ほんわかと緩む。 次にネギに、「おやすみ、ネギ」と囁くと、「ふぁーい……続き聞かせてくだしゃい……」と寝ぼけた声を漏らしたあと、再び寝息に変わる。 そして最後にここに居ないアスナに「おやすみ、アスナ」と囁いたあと深い眠りについた。 静かになったリビングに、規則正しい寝息が3つ、すぅー、すぅー、と木霊した。 賢者モード終了。 「うっ、うーーんっ!」 手を大きく伸ばし、目を覚ます。 元気にそそり立つ息子がやたらと誇らしい。 それでは早速……と思いきや、今日はアスナはいないんだっけ。 何となく傍に居るような気がしたんだが、気のせいか…… いや、ちょっと待てよ。木乃香ちゃんにして貰えばいいじゃないか! 問題はネギだが、起きそうだったら文珠で眠らせればいいか。 そう思いながらネギの位置を確認する。 が、右隣に寝ていたはずのネギが居ない。 あれ? もう起きてどっか行ったか? まあ、いいかと今度は木乃香の眠る左隣に目をやる。「なん……だと……!?」 予想だにしなかった光景。ネギの余りの無道に、頭に血が上る。 浴衣を寝間着として眠る木乃香、今の彼女は下着を着けていない。 ここまでは良い。むしろ素晴らしい。 だが、木乃香の小さめの胸の谷間に顔を埋めて眠るガキが一人。 しかも、直接! ダイレクト! にだと!! それはワイのオッパイだろうが! 俺は幸せそうに惰眠貪るクソガキの後頭部に、爪を立てて握力だけで持ち上げる。「あがッ!? な、なななななんですか! 横島さん!?」 突然眠りを妨げられたネギが、頭蓋骨が割れるような痛みに抗議の声を上げた。 その声に目を覚ます木乃香は、裾が乱れ剥き出しになっていたおっぱいを、顔を真っ赤にして素早く隠す。 そんな木乃香を横目に、俺は怒りで声を荒げた。「キ・サ・マ……、ワイノオンナニナニシテヤガッタ……!」「あう~!! 何の事だか解りませんよ~ッ!?」 ふざけた事に、自分は無実だとでも言いたいのだろうか? 軽く120kオーバーの握力を持つゴッドハンドで、頭を掴む手の力を万力のようにギリギリと強めて行く。 キシキシ軋むネギの頭蓋骨。「あががが……」と苦痛の声が実に心地良い。 イケメンモテ野郎予備軍の苦しみの声は、実に気分が良いものだ! そんなテンション上がるBGMに、すすり泣く木乃香の声が混じり始める。「木乃香ちゃんっ!……ネギよ、さっさと罪を認めやがれ! 木乃香ちゃんが泣いてるやないかっ!」「あああ……で、でも、ホントに僕、何も……っ!?」 ふふふ、まだ認めんか。 俺は120kオーバーのアイアンクローの手を緩める事無く、逆の手で文殊を2つ握り締める。 悪の字と、夢の字が刻まれた2つの文珠。 くはははははーーッ!! 我が必殺の鳳凰幻魔拳! 悪夢に溺れ苦しむが良い!!「ちがう……ちがうんよ……ネギくんのせいやのうて、横島さん……が、ウチのこと……」 シーンと静まり返る。 聞こえるのは木乃香の鼻をすする音だけ。「……僕のせいじゃないじゃないですかっ!? 横島さんが悪いんじゃないですかっ!」「ち、違う! これは冤罪や! 弁護士を、弁護士を呼べ!!」「さっさと罪を認めて下さい! 一体何をしたんですか横島さん!!」「違うんやーっ! ワイは! ワイはーーッ!?」 その日の朝の喧騒は、木乃香が「嬉しくて泣いてたんよ……」との言葉が出るまで、ずっと続けられた。 ワイの女……、その一言が、木乃香にはとても嬉しくて。 自分は、この人の傍に居ても……ううん、もう、この人の女なんだと…… 悩んでいたあやかの言葉も、わからないことだらけのことも、何もかもがどうでも良くなったから。「横島さん、ウチな? 横島さんのこと……や……」 木乃香という小さな蕾が、可憐な華を咲かせ始める。 おまけ……ってか追記 説明し忘れていた無印とRの変更点 無印 GS世界→ディル=リフィーナ(20年)→ネギま!世界(20年)→本編 R GS世界→ディル=リフィーナ(25~30年)→ネギま!世界(10~15年)→GS世界(10年)→ネギま!世界(本編) ディル=リフィーナ編のロリ魔神と槍の子のイベントはRでは全無し。 新作発表による矛盾点回避の為に、当時R設定を作るときにそうしました。 年代がハッキリしない部分は、横島が時間の流れが解らなくなっていた。と言う設定。 要するに、遊びを持たせて作者が楽になる為ですw 10年分、無印よりもRの方が横島は強くなっています。 具体的に言うと、タマモや小竜姫分。