綺麗に晴れわたった空。 今日は2年最後の日に相応しい、好いお天気。 そんな晴れ空の下での終了式の場で、ネギが新年度から正式に教員として採用されたと、学園長から全校生徒に向けて発表された。 何気にホッと胸を撫で下ろすアスナ。 特に手助けしたりとかは一切無かったけれど、一緒に住んでいる家族なのだ。 だから心配するのは当然である。 一応は成績発表の時に確定はしていたものの、相手は学園長、油断はならない。 だからキチンと正式発表されるまではと、アスナは唯一人、こそ~り緊張を保っていたのだ。 昨日なんか横島が居ない隙を狙って、第2回性魔術研究会なんてやってたから、本当に心配していたの? なんて話ではあるが。 とにもかくにも、これで明日からの春休み、心置きなく遊びまくれるってもんだ。 ここ最近、何気に酷い目にあってばかりのアスナである。 茶々丸を怪我させ、そのお詫びにエヴァ宅で住み込み家政婦。 血を吸われ、犯されかけた上、強制的にキツイ修行までやらされて、ようやくお家に帰れば居候であるネギに、 「今日はもう遅いですから、そろそろ帰ったほうがいいですよ?」 なんて言われる始末だ。 自分の余りの影の薄さに泣きながら、ネギを屋根から吊るした。 勿論、反省するまで、たっぷり3時間ほど。 さて、学園長のながーくて、ありがたさの欠片も無い話が終わり、終了式もようやく終わりを告げた。 一緒に帰ろうと言う木乃香達を置いて、一人でウキウキしながらダッシュで家に帰ると、難しい顔をしている大切な男。 楽しかった気分が全部吹っ飛ぶ。 彼がこんな顔をするなんて、余程じゃない限りありえない。「なんか……あったの?」 怖々と声を搾り出す。 だけども横島は、すぐさま顔をいつものお馬鹿な表情に切り替え、「なんでもねーよ」と笑うだけ。 彼がそう言うならば、アスナには何も言えない。 自分がまだまだ未熟である事を良く知っているからだ。 だから、「そっか……」納得は出来ないけれど、納得してみせた。 でもだ! それでも、神楽坂明日菜は横島忠夫の使徒だ! 例えばナギ・スプリングフィールドや伊達雪之丞のような戦闘力は、持ち合わせていないかもしれない。 でもね、それでも傍に居れるなら、支えぐらいにはなれるでしょう? アスナは常にないほどに柔らかく微笑みながら、横島の隣に腰を下ろす。 自分の腕を彼の腕に絡め、それなりに大きく育った胸を彼の肘に当てつつ、肩に頭を預ける。 窓から入ってくる風がふわりと前髪をなびかせ、アスナの清潔な髪の匂いが横島の鼻をくすぐるのだ。 そうして、横島が何か話し出すのをジッと待つ。「あんな、俺はこれからしばらく忙しくなる」「ちょっと残念だなー。だってさ、せっかくの春休みなんだもん。どっか遊びに連れてって欲しかったなぁ」「あー、そっか。なら、アスナが春休みの間は情報収集を中心にすっかな」「大丈夫なの?」「そうだなー。見た限り犠牲者は全部裏の人間だ。死にたくなけりゃ、さっさと足洗って表の人間になりやがれ!ってな」 犠牲者、死。 この2つの単語にドキリとして身体を硬直させるも、すぐに何事もなかったかの様にふんわり笑って見せた。 ゴーストスイーパーにとって、死とは割と身近なモノだ。 大体において相手自体が死者なのだし、命がけでそれらと戦う危険な職業なのだ。 スリルとビッグマネーを求めて、妖怪変化と命がけの戦いを繰り広げる。 ハイリスク・ハイリターン。それがゴーストスイーパー。 もっとも、この世界のゴーストスイーパーである魔法使い達は、ハイリスク・ノーリターンが殆どの割に合わない職業。 ほんと、世の中の常識ってもんを舐めてるのかしらね? 命がけの仕事の報酬が自己満足だなんて、令子おばあちゃんが聞いたら暴れまくるわよ…… あの世界にどっぷりと毒されているアスナは、学園長の首を絞める美神の姿が脳裏を過る。 その余りにリアルな光景にクスクス笑っていると、横島がポンと自分の手を叩いた。「おっ、ちょうど良いかも」「なにが?」「春休み中に楽する分、終わったら忙しくて家に殆ど居られなくなるってな」「だから?」「エヴァだよ」「ああ……」 エヴァは新年度が始まれば、間違いなくネギにちょっかいを掛けるだろう。 そして、今何かが起きれば、ネギは横島に頼ってしまう。 でも横島が居なければ、ネギは自分で何とかしようとするはずだ。 まあ、アスナ達に頼る可能性はあるけれど。「ネギはともかくさ、何があったのか知らないけど、気をつけなさいよ……」 憂いを込めた言霊が、横島の鼓膜を震わせた。 横島はそれにニヤリと口角を上げ、不適な表情を作ると、「別に危険なことなんかしねーよ。ってかあれだ、危なくなったらトンズラするし」 そう言ってアスナを安心させようとした。 アスナは、それもそっかと妙に納得してみせると、憂いを振り払い、僅かに緊張していた表情から力が抜け落ちる。 胸に手を当て、うんうんと頷き、そして、目の前のお馬鹿な男とキスしようと背筋を伸ばし……「ただいまー」 ネギの声にガックリ肩を落とした。 そうして次から次へと邪魔者が家に入ってきて……「あ~あ~。せっかく好いムードだったのに……」 いつもの面々を、ジロリと睨む。 何があったのか分かって苦笑いする夏美、アキラ、のどか。 オホホ笑いをするあやかと千鶴。 特に気に止めてない木乃香と夕映と裕奈 そして、なんの事だか分からないネギと、お客さまな亜子とまき絵。 結構広い家の筈なのに、なんだかとっても狭く感じる今日この頃。「アスナ~、そろそろ用意しないと遅刻しちゃうよ?」「えっと、なにが……?」「ネギ先生正式教員採用オメデトウパーティー」「すっかり忘れていたわ……もうっ! メンド臭いわねー!」 立ち上がり、制服から動きやすい私服へと着替えに部屋へと戻るアスナ。 そんなアスナを見送りながら、横島は頬をピクピク引き攣らせていた。 今までアスナが座っていた場所に、そのまま我が物顔で座る少女の呟きのせいで。「ネギ君どっかやっちゃって、んで、このメンバー全員でエッチしたら盛り上がるだろーなー」 好きだけど。ああ、大好きだけど、時と場所を選べ! ネギ達の耳に届かなかった事に安堵する横島は、常日頃の自分の行いを省みた方が良い。 そんな中学2年の終わりの日。 ネギま!のほほん記 第28巻 あすなん日記 その3 ○月●日 今日は終了式。 明日から春休みだと思うと、ワクワクが止まらない。 最近エヴァ関係で色々あって疲れていたから、本当に待ち遠しかった。 ただ問題もある。ネギだ。 あの子、今日の終了式後の『ネギ先生正式教員採用オメデトウパーティー』でやっちゃった。 あれほど魔法の暴発は厳禁だって、身体に覚えこませたと言うのに…… なのに、パーティーで長谷川千雨ちゃんの服を、吹き飛ばしちゃったのよ! 忠夫が居れば、アンナことやコンナことをされても仕方無い様な、あられもない姿にされちゃって…… クラスメイト達は手品か何かだと思ってくれたみたいだけど、本当、千雨ちゃんのコトを思えば怒りが沸々と。 その話を聞いた忠夫が、『なにウラヤマケシカランことしてやがる! 罰として魔力コントロールが完璧になるまで魔法禁止じゃ!』って。 ようするにアレよ? 私達がこの子の修行の面倒をみなきゃイケナイってことよ? わーたーしーのーはーるーやーすーみー!! まあ、基本は忠夫が見るみたいだけど…… それはそれで私がイチャつけないから困ったものなのよね~。 ×月○日 変だ変だと思ってはいたのよ。 いくらナギの息子だからって、忠夫が男の修行を見てやるなんて。 忠夫ったら修行つけてやる振りして、ネギから武装解除の魔法を教わろうとしていたのよ!! あのセクシャルハラスメント男に、これ以上ふざけた技を身に着けさせる訳にはいかない。 とりあえず、あやかと2人でボコっておいた。 □月▽日 あやかと千鶴さんが、今日から帰省しちゃう。 千鶴さん、冬休みの時には残ったけど、今回は彼女も帰るそうだ。 まあ、仕方ないよね? 使徒になるつもりは無いみたいだけど、私達と一緒に居るつもりなんだもん。 今の内に親孝行はしとかなきゃ。 って言っても、すぐに帰ってくるみたいだけどね。 △月▲日 忠夫が朝から変な事をやってた。 文珠を握り締め、ひたすらに力を注ぎこむ。 一点に集中されたその力は、あのナギ・スプリングフィールドに勝るとも劣らず。 それを間近にみていたネギが、尊敬の眼差しで忠夫を見ていたんだけど、私は見逃さない。 忠夫の手に握られていた文珠の文字を! 『女』 何を考えてやってたのか分からなかったんで、体(主に拳)を使って聞いてみた。 むかーし、むかし、初めてヒャクメさんと出会った時のコト。 急いで作った文珠が爆発した後に現れた彼女を見て、自分の作った文珠から生まれた存在だと勘違いしちゃったそうな。 『それ以来、いつかヤッテ魅せると決めていた。エッチで何でも言う事を聞いてくれる美人のネーちゃんを文珠で創り出して見せるとぉ!』 こう言った忠夫は、無駄に漢らしい顔で遠くを見ていた。 そんな訳で、最近力が有り余ってるから余分な霊力を注いでみてるんだとか。 …………本当に困ったひと。 これだけ可愛い女の子に囲まれておいて、まだ足りないんだろうか? この状況、愛子姉さんにバレたら半殺しで済めば良い方だって言うのに。 分かってるの? 帰ったら、殺されちゃうよ……? 私も罰を受けるんだろうな…… あの摩訶不思議空間に閉じ込められて、強制的に青春を堪能させられるのだ。 反省したと認められるまで、延々と…… ▼月◎日 今日は茶々丸さんと麻帆良の外に遊びに出かけた。 マリアさんみたいに柔らかい肌になった茶々丸さんに、ちょっとだけドキドキ。 表情もとっても柔らかくなって、本当にキレイ。 仲良く手を繋いでクレープ食べたり、普段着ないような服を見て歩いたり…… 最後は家で、まあ、ね? 上手い具合に木乃香とネギは居なかったんで、3人仲良くイチャイチャ。 茶々丸さんったら、超!感じやすくてホント可愛かったぁ~。 その気がない筈なのに、妙に興奮しちゃったわよ。 ■月▲日 昨日はあんまり茶々丸さんが可愛くって書くの忘れてたけど、少し気になる点がある。 なんでも茶々丸さんたら、忠夫と車でデートに出かけ、なおかつラブホテルまで行ったんだって! いいないいないいなー。 別にラブホテルはどうでもいいけど、車でのデートは羨ましい。 今度おねだりしてみようと思う。 ▽月♀日 忠夫は夏美とラブラブ日。 ちょっと……いいや、かなりムカッ! あと、ネギはハルナと千雨ちゃんに連れられて、魔窟へと行ってしまった。 春休み終盤まで帰ってこないだろう。 と、のどかが涙を流しながら言ってた。 それにしてもあの子、新学期の準備とかしないでいいんだろうか? 新任の教師が、それも担任職を任されるってのに、ちょっといい加減な気が…… ってな事を考えながら帰宅したら、夏美が上気した顔で忠夫とイチャイチャ。 息が荒く、服も着ないで裸にエプロン。 ナニやってたのか一目瞭然。 いい加減でダメヲなのは忠夫の方だった…… でも、裸にエプロンって、ちょっと羨ましいって思ったのは秘密。 私は木乃香のせいで、前に失敗しているからね。 ♪月♪日 アキラが忠夫と車で出かけてしまった。 なに? 超うらやましいんだけど! ○月○日 千鶴さんと入れ替わりで、忠夫があやかを迎えに行ってしまった。 今日はあやかの死んでしまった弟の誕生日なんだとか。 だから帰って来なくても仕方ないか…… なもんだから、あやか抜きで、何故かゆーなと亜子さんが加わってのパジャマパーティー。 たまにはこうして女の子だけの集まりもいいもんだね。「あーあー、せっかくスケスケでエロスなネグリジェ買ってきたのに、横島さん居ないんじゃ意味無いじゃん。ねー、亜子?」 そう言う裕奈の姿は、胸元が大きく開き、しかも胸の部分がメッシュでスケスケな黒のネグリジェ。 胸のポッチが、少し離れた場所に居るアスナ達の目に、はっきりと映った。 スカートの部分は股下5cmと、最早下着が丸見え状態。 その下着もネグリジェに合わせているのだろう。 やはり黒のシルクでローレグおパンツ。 裕奈が動くたびに、チラリとスカートからのぞくデルタ部分が、裕奈の女の形をはっきりと見せつけていた。「う、ウチは関係あらへんって!!」 怒り心頭! 怒ってますってポーズを作り、亜子は裕奈に詰め寄った。 そんな亜子のパジャマは、エロスの欠片もない普通の可愛い系で、青を基調とした縞々模様のパジャマ。 でもだ、裕奈は見逃さない。そんな亜子のパジャマの中身を! 誰かさんが脱がせ易い様にとしているのか、ワンタッチのフロントホックのブラに、いつも夕映が履いてるようなサイドを紐でとめたちょっと大胆なショーツ。 更には色合いがベージュの為、パジャマの上からでもその色がうっすらと見えて、可愛い系の筈のパジャマがどことなくセクシーに感じてしまう。 な、もんだから説得力なんて欠片もない。 裕奈はイヤミ臭い笑みを浮かべながら、亜子のパジャマをたくし上げる。 抵抗する亜子と、それでも手を止めようとしない裕奈。 きゃーきゃー黄色い悲鳴を上げながら、じゃれ合っている。 そんな2人に頬を引き攣らせるアスナ、夏美、のどか、夕映。 千鶴とアキラは平然そうにしているが、横島との関係を知っていたアキラはともかく、千鶴の内心は穏やかではない。 ウフフ……、字面だけ見れば笑っているが、そんな彼女の背後には怒りの阿修羅像が見えたり見えなかったり。 いつしか騒いでいた裕奈に亜子と、頬を引き攣らせていたアスナ達も、みんな恐怖で体を強張らせる。 怖い、怖くてたまらん……!「あらあら、どうしたの、みんな?」 ビックゥッッ!! 身体が恐怖で跳ね上がった。 なんも悪いことはしていない。 そんなアスナ達でさえ恐怖を感じているのに、当事者であり、千鶴のどす黒いオーラをまともに向けられている裕奈と亜子の2人は、 千鶴と目が合っただけでお漏らししてしまいそうな程の、恐怖!!「あ、あわわわわ……」「ひぃ…………」 お尻を床につけながら、ジリジリ後ずさる。「本当にどうしたの? 悪いのはアノ人でしょう? そう怖がらなくていいわ」 ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ 実に楽しそうに嗤う千鶴。 何だろう? とっても息苦しい。 天然ぽや~な木乃香までもが顔色悪く、息遣いが不規則に荒い。 だけども、ここで勇者が現れた。 あんなんなった千鶴に、ある程度の免疫を持っていた、夏美だ。 彼女は腐海に迫る瘴気の中、ただ一人歯を食い縛り耐え続け、何とか話題を変えて空気を清浄にしようと頑張るのだ!「そ、そう言えばさー、さいきん裕奈って胸おっきくなったんじゃない?」 みなの視線が裕奈の胸に集中する。 それは嗤い続けていた千鶴も同じで、夏美は上手く話を変えれた自分をすんごく褒めた。 実際、急成長している裕奈の胸の成育に、興味があったからでもあったのだが。 しかし、それが夏美にとても深い絶望を与えることになろうとは……「ああ、うん。なんかさー、横島さんに揉んで貰うようになってから、ぼい~んって……」 再び瘴気を発し始める千鶴。 しかし、そんな千鶴に恐怖しているのはアスナとアキラだけだった。 木乃香と亜子は、「えっ……!? 好きな人におっぱい揉んで貰ったら大きくなるってホンマやったんや……」と、自らの貧相な胸をチョンチョンつつく。 そして話を振った夏美に、おまけでのどかと夕映は床に手をついてうな垂れた。 なんせ、自分たちもムッチャ揉んで貰っているのだ。 それなのに、彼女達の理想の体型(スタイル)には遥かに遠い理想郷。 まあ、それでも横島と関係を結ぶ前から比べると、随分と女らしい体型にはなっているのだ。夕映を除いてだけど。 もう皆気づいていた。 節操無しな横島の好みが、ムチムチボインであることに。 横島所有のその手の雑誌やDVDが、バインバインのボインボインで7割を占めているのだ。気づかない訳がない。「ブラはキツクなるし、あんま良いことないんだけどね~」 ユサユサと、透けたネグリジェから覗く裕奈のオッパイが、揺れた。 一月前に着けてたブラが、もう合わなくなったのだと言いながら。「……ウチも揉んで貰ったら、ゆーなみたくおっきく成れるんやろか……、って、ナニ考えてんねんウチ!」 両手をジタバタさせて、次に床をゴロゴロ転がる亜子。 多分、自分がナニをくっちゃべってるのか分かってない。 そんな亜子を見て、益々瘴気を溢れさす千鶴。 息苦しい中、それでも何とか生き延びようと、今度はアキラが千鶴に声をかけた。「あのさ、亜子は、まだだから……ってヒィ!?」 グリン。 千鶴の顔がアキラの方へ。 凄まじいプレッシャー。 ガクガク足が震える。 もう、恐怖で唇が動かない。「あら、アキラは知ってたのね? あの人が裕奈さんと亜子さんに手を出していたって……」 裕奈の破瓜の場面も、亜子への味見も、全ての現場に居たアキラ。 ポテンと尻餅し、手を千鶴の方に向けてイヤイヤと何度も首を振って弁解しようとする。 しかし、千鶴はアキラににっこり微笑んで、「さっきも言ったけど、アナタ達に怒ってなんかいないわ。そう、私に黙ってた事に、ちょっとだけイラってしたぐらいで……ね?」 言いながら台所に消えると、冷蔵庫から千鶴は自分にのみ許された、最強のアーティファクトを手に取った。 それを見た瞬間、腰を抜かして恐怖に泣き叫ぶ夏美。 彼女はかつて、横島と共にそれに犯された経験があるのだ。 シャッ! シャッ! シャシャッ!! 2つの『ソレ』を擦り合わせ、夏美にとっての最大最恐の音が鼓膜を震わせる。 はっきり言って、腕を斬り飛ばされた時よりも怖い。 そんなオッドロしい顔で言うのだ。「あの人の中に、何本入るかしらね。夏美はどう思う……?」 妄想を爆発させて、家の中を転がり回る亜子。 自棄になったように牛乳を飲みまくり、必死にある場所をマッサージする夕映。 のどかと木乃香に大きくなった胸を自慢するように揺らす裕奈。 腰を抜かしてガタガタ震える夏美とアキラ。 そして、ひたすらに黒く嗤い続ける千鶴。 既に恐怖に打ち勝ち、無の境地に達したアスナは、明日帰ってくる横島に心から哀悼の意を捧げる。 もちろん、こっそり新しく女を作っていた横島だ。 その時は自分も加わろうと思いながらだけど。 ●月♪日 あやかに少し遅れて忠夫が帰ってきた。 待ち受ける千鶴さん。 でも、すぐに可哀想なモノを見る視線に変わってしまった。 帰ってくるなり、「ワイはペドやない、ペドやないんや……」ってずっとブツブツ。 ……ナニをやらかした? このチンコは? 犯罪の匂いがプンプンするわね。 正直、信じてあげたいけど、無理。 この手のコトに関しては、とーっても信用ないから、忠夫は…… ってな訳で、聞きだす傍ら、千鶴さんの忠夫へのバツが炸裂した。 何ていうか……葱を使った華道? これは、酷いw ハルナが見たら喜びそうな絵図面よね。 それにしても明日から学校かぁ~。 ホント、ダルイわ…… ▽月▲日 今日から中学3年生。 さっそくエヴァがネギに絡んでた。 協定で私達は手を出せないけど、頑張れ、ネギ。 で、お仕事頑張ってね、忠夫。 ってちょっと待って! 今気づいたんだけど、私、春休み中にデートに連れてって貰ってないんですけど! 酷いわよ! なんで私だけーっ!! 後書き スランプかな? なんかキツイ。