風呂上りのフルーツ牛乳をゴクゴク飲みながら、色んな意味でのぼせた木乃香に膝枕。 いつの間にか来ていたあやかの、木乃香のコトで批難する視線にタラリと冷や汗を流しつつ、誤魔化す目的混じりにネギの相談を真面目な顔して聞いてみた。 あやかの手により外に吊るされているオコジョ妖精。 彼の室内飼いは完全に反対されているので、それ以外の、恐らくはエヴァンジェリン絡みの相談事である。 横島の予想どおりに、ネギの相談事はエヴァ絡み。 手に汗握ったり、呆れたり。そんなネギのお話の始まりである。 俺が為に鐘よ鳴れ 第3巻 ネギと吸血鬼 桜通りの吸血鬼。 最近、女子寮で流行っている噂だ。 そして、今朝方気絶した状態で発見されたまき絵の首筋。 鋭い2本の牙で噛んだ痕と、僅かに残る魔力の残滓。 噂と被害者。その2つからネギは吸血鬼の仕業と判断し、桜通りの巡回をする事にした。 自分の生徒の安全が脅かされている、と言うだけではない。 昨夜、まき絵と最後に会ったのが、ネギだったのだ。 あの時、もしも僕がキチンと彼女を寮まで送っていたのなら…… 元々責任感と自虐癖のあるネギのコトだ。 そう思ってしまうのも仕方ないのかもしれない。 ネギは学校でのあれこれが終わるなり急ぎ足で帰宅し、台所へと直行。 吸血鬼対策として首筋に大量のニンニクペーストを塗りつけ、更にはテーブル用ガーリックパウダーをポケットに忍ばせ夜のパトロールへと出かけた。 この時、チラリとアスナ達について来て貰おうかと考えたネギだったが、子供らしい正義感と意地の発露なんだろう。 何より、ここ最近の修行の成果にも自信があった。 ネギはおよそ戦闘狂(バトルフリークス)などというタイプではないが、父親がアレである。 初めての実戦に身体がウズウズしているのかもしれない。 だから結局は一人で出かけてしまった。 アスナはそんなネギにホッとする反面、心配そうな視線で家を出るネギを見送る。 もしもネギに助けを請われれば、ちょっと困った事になったから。 エヴァンジェリンとの協定的に、アスナはネギの手助けが出来ない。 もっとも、アスナはその代わりと言っては何だが、前もってネギに好意(恋愛的な意味ではない)を持っている楓に声を掛けてはいたのだが。 「ネギ坊主は助けを必要としてないみたいでござるな」 「そうみたいね」 無駄足をさせてしまった楓に、アスナは両手を合わせて謝罪しながら、窓からネギの姿を追う。 ネギは数回杖を振って身体を慣らすと、魔力で身体能力をアップ、そのまま勢いよく走り去った。 「追いかけた方が良いでござるかな?」 心配げなアスナを微笑ましく思っているのだろう。 口元を笑みの形にほころばせ、糸目がちな目の片方を常になく大きく開けた。 そんな楓にアスナは、コクンと頷く。 「危なくなったら助けてやって……って、やっぱいいわ。見物してもいいけど、手出し無用ね」 だけど、すぐに慌てて首を振った。 「……いいのでござるか? 相手はエヴァ殿と茶々丸殿でござろう?」 ネギに勝ち目は無い。 楓は言外にそう言っている。 だがアスナは面白そうにニヤリと笑った。 見る人が見たらこう思うだろう。 彼女の師の一人、美神令子の笑い方そっくりだと。 「さあね。もしかしたら、もしかするかもよ?」 封印状態のエヴァとネギ。 正面から正々堂々と戦り合ったら、勝つのはネギだ。 学園結界により力が封印されているエヴァは、ただの10才の少女と同じ。 そんなエヴァでは、ネギと正面から戦ったら勝ち目は本当に薄いのだ。 そう、正面から戦えば……の話である。 エヴァには600年蓄積した戦闘経験がある。 前準備をしっかりとしておけば、まだ戦い方が幼いネギを軽く捻るのも容易いこと。 更には実力的に楓と同等に近い茶々丸までもが前衛としてついたなら、やはりネギに勝ち目は一切ないのだ。 だけども、アスナは確信していた。 エヴァは決して本気になんかならない。 自らを最強の悪の魔法使いと位置づけている彼女。 正々堂々かはともかく、真正面から挑み、土壇場になるまで茶々丸の介入は許さないだろう。 ならば……勝つのは、ネギだ。 茶々丸が出てきた瞬間に逆転される可能性が高いけど。 でも、それもまたいい経験である。 負けても、茶々丸がいれば酷いコトにはならないでしょうし。 自分で呼んどいてなんだが、だから楓は手を出さないほうが良いだろう、とアスナは思う。 だけどその楓にとって、ネギは好ましい存在だ。 危険があるのなら助けてあげたいと思うし、エヴァや茶々丸との手合わせは、良い修行になる。 楓は、3年になる前、図書館島での屈辱を忘れはしない。 目の前のアスナの好い人であろう、横島忠夫への対抗心である。 甲賀中忍である楓に悟らせずに現れ、そして消える…… 楓のお株を奪うその行為。忍者として自分がどれほど情けなく思ったか! あの日から楓は……いいや、楓だけでなく、一緒にその場にいた刹那や古菲も屈辱から修行に修行を重ね…… 確かに鍛えられた感覚と肉体。 試すのにはいい相手だ。 更にアスナやその後ろに居る横島忠夫への貸しにもなる。 一石二鳥どころか三鳥だが、アスナの含みを持たせた発言に、興味が沸いてきた。 「ふ、ふふふ……それは楽しみでござる」 弱者が強者に挑む姿を見るのは、いずれ横島に挑戦する気満々の楓にとって、言い方は悪いがそれはとても興味深い見せ物になるだろう。 楓は今し方ネギが出て行った玄関のドアノブに手をかけると、そのままガチャリと玄関のドアを開いた。 「エヴァンジェリンと茶々丸さんには見つかっちゃダメよ?」 「分かってるでござるよ。では……」 片手をシュバっと上げて了解の意志をアスナに伝えると、次の瞬間には楓の姿は消えていた。 「なかなか速いわね……こりゃ、私もうかうかしてらんないかなぁ」 言いながら、アスナの口角は嬉しそうに釣り上がる。 彼女の師は美神令子であり、その夫である西条輝彦であり、そして最もアスナに色濃く影響を与えた、バトルモンガーこと伊達雪之丞である。 当然、雪之丞のバトルジャンキー的な何かをしっかりと受け継いだアスナ。 アッチの世界にはレミや冥菜しか居なかった、同年代で同等以上の力を持つ相手。 しかもレミや冥菜と違って、楓は同じ前衛だ。 身体がウズウズしてくる。 「雪じいちゃんが忠夫やピートさんに持ってた感情って、こんなんだったのかもしんないわね……」 ライバルに成り得る存在。 恋敵なら山程いるが、コト戦闘方面では初めてだ。 ブルル、と身体が震えた。 「あのさあ、雪じいちゃん。私ね、勘九郎倒せるようになるの、思ったよりも早いかもよ……?」 抑え切れない闘気に震える身体を抱き締めて、視線は鋭く、いつまでも消えた楓の方を見つめるアスナだった。 一方その頃、ネギはと言うと…… 女子寮から見下ろせる桜並木。 寮から学校へと続くその道を、ネギは父から譲られた杖を手に、ゆっくりと歩く。 日は完全に落ち、空には大きな満月。 ネギの正面から来るやや強めの風が、ザザアァっと桜の花を散らしていた。 「フフ、待たせたか、ネギ・スプリングフィールド」 頭の上から聞こえてくる声。 目の前の電灯、その上で、黒いフードを被った少女が一人。 いいや、少女ではない。 その雰囲気、オゾマシイナニカ…… 僅かに、本当にほんの少しだけ身体が震えた。 緊張なのか、武者震いなのか、それともやっぱり恐怖なのか…… 後ろへ大きく跳んで距離をとりながら、でも、ネギの口元は笑っていた。 「まき絵さんを襲ったのは、アナタですか?」 「ああ、そうさ。私は、悪い魔法使いだからな!」 言いながら、黒いフードの少女は試験管とビーカーをネギに向って投げつける! 「フリーゲランス エクサルマテイオー!! (氷結武装解除)」 流暢に韻を踏んだ詠唱。 あまりに速く、あまりに美しい発音に、思わずネギは聞き惚れてしまう。 なにせ自分の理想の詠唱を聞いた。そんな気がしたから。 だから今のネギなら簡単にかわせる筈のその攻撃を、正面から受け止めてしまうことになってしまう。 試験管とビーカーから魔力が溢れ、爆発する寸前、ハッと我に返ったネギは、杖持つ左手とは逆の手、右手を突き出し魔法障壁を素早く張る。 ややタイミング外れのその防御は、ネギの衣服の袖口を凍らせ粉砕。 それを見た黒いフードの少女は、ナギの息子といえど、しょせんは10才のガキか……と鼻で笑った。 口角が傲慢な程に釣り上がり、嘲る視線でネギを見下ろす。 「これで、ようやく呪いを解ける……フフフ、ハハハハ……アハハハハ」 「何の、ことですか……?」 「さあな。キサマが勝ったら教えてやるよ」 そうですか、では教えて貰います! 声に出さず、ネギは黒いフードの少女にそう告げた。 嘲り見下ろされる。実際にされると、思っていた以上に頭にくる。 だけども、心ならずともこの状況に持ち込めたのは有利だと、ネギは勝利を確信した。 修行の成果。ここで見せなきゃ何処で見せる! ネギに、もう震えはなかった。 「その言葉、忘れないでくださいね?」 ネギは静かに言いながら、身体を夜の暗闇に躍らせる。 かざされた右手から縦横無尽に放たれる、魔法の矢の群れ。 たかが小僧と侮っていた彼女を驚かせるには充分な密度! 普段の修行の相手…… 例えば夏美かのどか辺りなら、瞬殺できる程の威力と圧力を持った魔法の矢。 それでも、夕映とあやか、そしてアスナにはまったく通用しないし、万が一全弾命中しても間違いなく軽症で済みそうだ。 その 『程度』 の攻撃である。 吸血鬼なら死にはすまい…… 連弾・光の199矢。 エヴァンジェリンを中心とした半円空間全てを覆い尽くす、絶対不可避の情け容赦ない攻撃が…… あまりに想定外すぎてフードの奥で頬を引き攣らせた彼女に、ズガガガガガッッッ!!! 炸裂した! っと拳を強く握り締めるネギ。 気分が高揚してたのだろう、立ち上がって力強く語っていた。 だが、ここでシュンと落ち込みを見せる。 「どうした? って聞くまでもねーか」 「はい……この後、あっさりと逆転されました」 エヴァが相手なら仕方ない。 そう思う横島だったが…… 光の矢の着弾による爆発で、土埃が舞い、ネギの視界を遮る。 ネギは今まで感じた事のない手応えに、勝利を確信した。 もしも、この時横島が居ればこう言ったろう。 それは敗北フラグだ!っと…… 事実、舞い上がった土埃が晴れた時、衣服の半分がズタズタに切り裂かれ怒りに震えるエヴァが居たから。 怒りと屈辱で目が赤く充血し、その驚くほど白い肌が、切り裂かれた衣服の隙間から曝け出している。 「やってくれたな……死ぬか、小僧……ッ!!」 「ええっ!? き、君はウチのクラスのエヴァンジェリンさん!?」 初めて感じる本気の殺意。 エヴァが死を間近に感じた所為か、学園結界で封印されているはずの真祖の力が顔を出しているのだ。 最強種族の一角と詠われる真祖の怒りに、ネギは恐怖し息を呑んだ。 背筋がゾゾッと怖気、全身が総毛立つ。 心なしか呼吸までも苦しく、今すぐこの場から逃げ出してしまいたい。 その様子を遠くから見守っていた楓は、ネギを助けようと身を乗り出した。 が、恐怖に震えているはずのネギの顔を見た瞬間、気を落ち着かせる。 確かに恐怖に震え、身を小さくしているネギ。 だが目だけは爛々と輝き、むしろこの状況を楽しんでいるみたいだ。 「ふ、ふふふ……ネギ坊主もやるでござ、る……な……?」 だがしかし、楓の安堵と感嘆を込めた呟きが最後まで発せられる前、主のピンチとばかりに飛び出した茶々丸の猛攻で、あっさりと捕縛されてしまうネギ。 「茶々丸……空気、嫁……」 エヴァの呆れたようなツッコミ。 さあ、これから私の真の力を見せてやる!っといった所でコレだ。 呆然としても仕方ないかもしれない。 なにせエヴァ、まだネギに対して何の力も見せていないのだから。 エヴァは茶々丸に何か一言言ってやろうと思ったが、 まあいい。まずは、このバカげた呪いを解くのが先だ。 「茶々丸、そのガキを私の下へと連れて来い」 「はいマスター」 「ズルイですよー! ここからが本番なんじゃなかったんですかあー!」 ああ、私もそう思っていたよ…… ネギの言葉に思わず頷きそうになるエヴァ。 でもだ、でも…… 「申し訳ありません、ネギ先生。これもマスターの命令ですので」 これは私の本意では、ない! 「くっ! 流石は悪の魔法使いですね。ボクの認識もマダマダ甘かったようです」 ネギは右手をポケットの中に突っ込むと、何やら取り出し…… エヴァと茶々丸は、ネギのその行動に緊張し身構え、だけども次の瞬間、すぐに霧散した。 白いハンカチを、しっかと握った拳でヒラヒラさせながら、 「降参しま~す」 止まる時間。 だが次第にエヴァの身体がワナワナと震え……爆発した。 「お前はそれでもナギの息子かーーーッッ!!」 突如出てきた父の名前に、ピクリと眉を跳ねさせるネギ。 だけどもスグに素知らぬ振りして状況を伺う。 もちろん、ネギはこのまま血を吸われるつもりなんて無い。 その為に戦闘中、常に自分の位置を確認しながら戦ってきたのだ。 まだ沢山言いたいコトがあるのか、エヴァは青筋立てながらブツブツ呟き、それでもまずはと、ネギの胸倉を掴む。 ネギの首筋を露出させ、少しでも恐怖を煽ってやろうと大きく口を開いて牙を剥き出しにする。 「悪いが、死ぬまで吸わせてもらうぞ……!」 月光に反射して、キラリと牙が光り、それを見せ付けながらネギに近づいたが、 「……う? ……っ……ンン? き、さま、なんだこの臭いはぁーーっ!?」 気持ち悪そうに鼻を押さえて後ろに後退した。 吸血鬼対策にと、首筋に塗りつけていたニンニクペーストの威力である。 エヴァは吐き気がするのか、徐々に顔色を悪くし、そんな彼女を心配した茶々丸がネギを解放して駆けつけようとした、その時! 自らを抑える力が減衰したと判断したネギは、そのまま茶々丸の手を振り払うと、ヒラヒラさせてた白いハンカチを放り捨てる。 そしてハンカチと握られた拳で隠していたテーブル用ガーリックパウダーの蓋を瞬時に外し、気持ち悪そうにしていたエヴァの口の中に瓶ごと放り込んだ! それは、ネギの想定を超えた結果をもたらすことになる。 咳き込み、苦しんでいたエヴァが、新鮮な空気を求めて大きく息を吸い込んだ瞬間だったのだ! 食道と気管、そして肺。その全てにニンニクの粉末が入り込み、 ブフォッ!! 口といわず、鼻からもニンニクで出来た粉末を噴出しながら、エヴァは倒れた。 勝った……! 喜ぶネギと、がほがほ咽ながら、それでいてピクピク死後硬直のような痙攣をするエヴァ。 白磁のような肌は青ざめ、筋肉が弛緩しお漏らししたのか、下着が盛大に濡れて大地を尿で潤す。 流石の茶々丸も、エヴァの尋常でない様子に焦っていたのだろう。 急いで主の下へと駆けつけた茶々丸は、勝ち誇るネギを無言で殴り飛ばし、エヴァを抱えて迷わず逃げた。 時を同じくして、離れた場所からその様子を見ていた楓も、頬をピクッピクッと数回引き攣らせたあと、疲れたように寮の自分の部屋に帰る。 残されたのは、策がなり、勝利した喜びが一瞬にして消え去ったネギだけ。 殴られ、痛む頬を呆然とさすりながら思うのだ。 なんだろう、勝ったはずなのにこの空しさ。 やっぱり、どんな争いごとでも暴力はいけないんだね…… 初めての実戦で勝利(?)したにも関わらず、ネギの表情は曇ったままだった。 そして、次の日のホームルーム。 昨日と同じ、空いた席が2つ。 でも、居ない人間は昨日とは違う。 今日はエヴァンジェリンと茶々丸の2人だ。 大丈夫かなぁ……と、エヴァにした仕打ちを後悔し始める。 午後になってから登校した茶々丸にエヴァのコトを聞くと、やはり昨日のニンニクパウダーがよほど効いたのか、今は寝込んでるとだけ。 次の日も、その次の日もエヴァは登校せず…… 受けたダメージから回復しきれず、そのまま風邪をひいてやっぱり寝込んでると茶々丸に聞いてしまったネギの罪悪感は最高潮に達した。 悪いコトをしたのは彼女だ。 でも、だからと言って、彼女を傷つけても良い訳ではなかった。 何より、自分は彼女の担任の教師だというのに…… 「どうしたらいいんでしょう……」 今にも泣き出しそうなネギを見ながら、何だろう? この複雑な気持ち。 真っ白く、足跡一つなかった雪原を、汚く泥まみれの足で踏み荒らした気分と言ってもいいのか…… ネギに美神流くさい戦い方を教えた奴は誰だ!って俺じゃん!? もしもアリカ辺りに知られたら、それだけで折檻されまくる気がしてならない横島は、ちょっとそれも好いかもなんて思いながら、ゴホンと軽く咳をして気を変えると、 「そうだな、悪いと思ってんなら見舞いに行って謝ればいい。んで、ついでに生徒を襲った訳でも聞いて来い。勝ったのはお前だし、聞きたいことも教えてくれるだろう」 横島らしからぬ、真面目な返答。 そんな横島を胡散臭そうに見る、アスナとあやか。 もしかして、コイツ偽者じゃない? いいえ、本物だと……信じたいですわ…… アスナとあやかは視線を交差させ、素早くアイコンタクト。 だけども、これまたスグに気を取り直して、 「でしたら私がお見舞いの品を用意しますわね」 「す、すみません。ですが、お世話になる訳には……」 「コイツんち金持ちだから、あんま気にしなくていいと思うわよ」 「アスナさんの言い方はどうかと思いますが、ネギ先生、本当にお気になさらずに……」 「……ありがとうございます、いいんちょさん」 そうして、今スグにでもエヴァンジェリンの下へと行こうするネギ。 だが、アスナが何かを思いついたように声をあげた。 「あっ!」 「どうしたんです、アスナさん」 「念の為にさ、誰かについてって貰いなさい。ああ、私は用事があるから無理よ?」 「すみません、ネギ先生。私もですわ……」 「でしたらよこし……」 「んー、出張で疲れたなー」 わざとらしく伸びして、疲れたふりする横島。 ネギはどうしようと困った様子を見せるが、と、その時、外で騒ぐ獣が一匹。 「俺っちにお任せくだせぇー!」 吊るされていたオコジョが、必死にそう訴える。 だから。 そう! だから!! 「横島の旦那ぁー! 兄貴は俺が守ってみせます! だからどうか俺っちをここに置いてくだせぇー!」 下着泥棒2千枚の罪で手配され、逃亡。 ここ麻帆良に来てからは、アスナ達の下着を盗み、そしてお風呂の覗き…… 次々に明かされるオコジョ妖精アルベール・カモミールの罪。 横島のいない間に麻帆良に来たカモだったが、これらの罪により横島宅を追い出され、何とかこれの撤回を望んでいるのだ。 「まずはネギの護衛とサポートをしっかりな。ここに住む件はその結果を見てからだ」 「へい! ネギの兄貴は俺っちがきっちりサポートしやす!」 不安だが、まあ一人ぼっちでエヴァのトコに行かせるよりはマシか。 ネギの目でのお願いもあり、横島はそう思うコトにしたものの、自分のように屋根から吊るされて蓑虫状態のオコジョに、しっかり釘を刺すのは忘れない。 だって、彼女達の下着をクンカクンカして良いのは俺だけだ! だから、 「下着ドロなんてウラヤマし……もとい犯罪行為。これから先は一切許さんぞ?」 「へい!」 「もしも破ったら……」 「や、破った、ら……?」 「ワンダーホーゲルどもの一週間ものの下着の山ん中に放り込んじゃるわ!」 いつの間にかアスナとあやかを両脇に引き寄せ、ネギに見つからぬように乳を揉む。 更には膝の上にぐったりしてる木乃香の頭をのせて、美少女3人囲ったハーレム野郎。 テメーに羨ましいなんざ言われたくネーよ!っと思ったものの、横島の発するあまりの鬼気に、冷や汗ダラダラ流しながら何度も頷くカモであった。 現在のネギ達の戦闘力順(-横島&アスナ) あやか≧夕映AF≧アキラ=ネギ>夏美≧のどかAF 後書き 霊能奇道美神横島流……なんて言葉が思い浮かんだw ネギパートは書くのが疲れる…… でも書かないと図書館島の時の様な未記載ミスが出てくるんでそれも難しく…… ちなみに、次もネギパートです。SPだけどな!