ヨコアスR完結数十年後のお話。 ただのネタなんで、深く考えず、頭を空っぽにしてお楽しみ下さい。「いややーっ!? それだけは堪忍やぁーーーーっ!!」「お待ちなさいっ! ツベコベ言わずにさっさとコレにお着替えなさいっ!!」 10才前後の少年が、泣きながら18才前後の少女の魔の手から必死に逃げる。 少年の名は横島忠夫。 少女の名は雪広あやか。 少年……、いや、横島忠夫の中身は100歳を軽く越える。 そして雪広あやかはその使徒である。 使徒とは主である横島にとって、言い方は悪いが僕と言っても過言ではない。 その僕が、主である横島を追いかけるのには訳があった。 既に出会ってから幾年月。 夜の生活にマンネリが来たのである。 もちろん横島はそんな事は思っていない。 いつでも、どんなんでも、大切な女との情事をおろそかにする事など無いのだ。 だがあやかは違った。野望があったのだ。 彼女は元来、幼い少年が大好きな所謂ショタコンである。 そんな彼女にとって理想の少年といえば、幼き頃のネギ・スプリングフィールドと言えよう。 そして、ネギと言えばあやかにとって忘れられない脳内メモリーが一つ有る。 まだ使徒になったばかりの頃、学園祭で見たあの姿、通称キツネギ。 あれを見た瞬間、あやかは体中の色んな穴から色んな液体を噴き出してしまう程に興奮した事を、昨日の事の様に覚えている。 あやかはその時、こう思った。 まるで初恋の乙女の様に、恋焦がれてしまいそう。 だけど、私には愛する人が…… ならば、あの人を少年にしてしまえば良いのですわっ!! 彼女は後に錬金術師であるDr.カオスに師事し、そして遂に雪広あやか特製「スーパー若返り薬」の完成に到ってしまったのだ。 横島が必死の思いで隠し通した「年齢詐称薬」と違い、若返りオンリーで効果時間はあやかの胸先三寸。 横島は当然の事だが飲むのを嫌がった。 だが、愛する使徒の頼みだ、一度だけと約束し、それを飲んだ。 結果、彼は若返り、あやかと共に情熱的な夜を過ごしたのだ。 あやかの興奮振りはそれはもう凄まじく、3日3晩に渡り燃えに萌えた。 彼としても、そこまで悦んでくれるのならと、時々ならば小さくなろうと約束したのだが…… 調子にのったあやかは、子供用の巫女服とウィッグを何処からか入手し、「横島忠夫、男の娘計画」を発動してしまったのだ。 そして、冒頭にもどる。 「オカマになるんはイヤじゃーーーーーーーーッ! おがーーーーん、助けてぇーーーーーーーーーーっ!!」 泣きながら、もう何年も前にお亡くなりになった母親に助けを求める横島。 齢100過ぎても尚、母親に助けを求める男…… 千年の恋も冷める情けない姿。 だが、あやかは違った。 キタコレ萌え…… 両の鼻の穴から、ブーッと血を噴き出し、そのまま幸せそうに地面へと横たわる。 今しかない、逃げるのは今しかない! 横島は今の内にと逃げ出そうとするが、あやかとて只者では無い。 符術師でもある彼女は、前もって用意した「金剛不動縛符」の札を使い、横島を拘束済みだったのだ。 逃げようにも体がピクリとも動かない。 横島は必死に術から逃れようとするも、ズリ……ズリ……、と地面に突っ伏したまま、少しづつ此方に近づいて来るあやかが怖くて堪らない。「ヒィィーーーーーッ!!」 泣き叫び、力を暴走し始める横島。 少しづつ金縛りが解けて、文珠を使うだけの余裕が出来てくる。 横島は迷わず使う。(転/移)のハイパー文珠を! だが、暴走中の横島にキチンと力を制御する事は出来なかった。 普段の倍以上の負荷がかかり、そのまま次元を割って世界を移動してしまう。 もしかしたら自分に助けを求める息子を哀れんで、母親である百合子が助けたのかも知れない。 そのお陰なのだろうか? これより後、2度と彼に女装をさせようとする者が現れる事は無かった。 世界転移するほどまで彼を追い詰めてしまったあやかは、彼女と同じく彼を愛する者によって、3日間の正座を言いつけられる。 ただ彼女達は誰も彼の事を心配なんてしていない。 その内帰って来るだろう……と。 帰っては来た。だが、それは10年にも及ぶ長い時間が必要だったのだが。 その日、普段と変わらない平穏な一時を過ごしていた家族が在った。「おにーちゃん、おねーちゃん、朝ごはんの時間だよ~」「うむ、分かった。では、これが最後だ、美由希」「はいっ!」 庭にある道場で剣術の修業を勤しむ兄と妹。 朝食の時間だと、彼らを迎えに来た幼い少女。 その少女に少し待つようにと伝え、兄、高町恭也は手に持つ二刀を美由希に向け構える。 これに対し妹、高町美由希は恭也の出方を伺う。「も~! 2人とも~はーやーくー」 幼い少女、この兄弟の一番下であるなのはが2人を急かすと、恭也が美由希へと向って小太刀を突き出す。 美由希はこの攻撃を右の小太刀で受け止めようとするも、スルリと抜け、気づけば咽元に小太刀を突きつけられていた。「参り……ました。何だったの、今の? こう、防御をすり抜けて来たって言うか……」「さあな。お前もスグに出来るようになる。その様に鍛えてきたからな」 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ なのはは、ようやく道場から出てきた二人にタオルを渡すと、「もう、はやくしないと学校遅刻しちゃいます」 プンプン怒って2人を更に急かす。 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ「ごめんごめん、なのは」「ああ、悪かったな、なのは」 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ「ねぇ、おにいちゃん、おねえちゃん。さっきから聞こえるコレ、何なんでしょうか?」「さあ?」「なんだろうな?」 ァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアっ!! 段々と大きくなる謎の叫び。 3人は何となく声が聞こえてくる空を見上げた。 遥か上空に点が見える。 それが段々と自分達が居る方へと落ちてきており、それに従い叫び声も大きくなってくる。「えっ? まさか……、人が落ちてくるの?」 美由希の呆然とした声。 そこで恭也が、ハッと我に返る。「美由希、スグに此処を離れろっ!」 恭也は言うや否や、なのはを腋に抱え、一目散に家の外へと逃げ出した。 美由希もそれに続き、一瞬の間を置いて、ドッシィーーーーーーーーーーーン! と轟音を立てて庭に落ちた。 砂埃が上がる。周辺の家々から人が出てくる。 なのはは恐怖で硬直してしまい、恭也と美由希も呆然と何かが落ちてきた庭の方を見つめ続ける。 いや、落ちてきたのが何かは分かっていた。 人だ。それも、なのはと同じ位の小さな子。 なぜそんな小さな子が空から降ってきたのか分からない。 でも、ただ一つ分かる事がある。 それはその子が生きてはいないだろう、と言う事だ。 人の形すら残ってはいまい。 そう恭也と美由希は判断する。 確かめに行かなくては成らないのだろうか? 平和で平穏な日常を貪っていた2人は、今の庭の状況を想像するだけで吐き気がしてくる。 足が動かない、呼吸もままならない、情けない自分に腹が立つ。「早く助けに行かなきゃ! おにいちゃん、おねえちゃんっ!」 それは他愛もない子供の言葉。どれだけ急いでも意味の無いこと。 だがなのはは恭也の手をすり抜けると、兄と姉の制止の言葉も聞かずに庭へと走り行く。 やや呆然とした後、なのはの後を追う2人。 そして、庭に出て見た光景は……、人型の形に穴が開いている庭。 ありえねー! 恭也と美由希は心の内で突っ込みを入れた。 空高くから落ちてきて、人の形で穴が開く筈は無い。 固い地面に激突したならば、柔らかい人体など粉微塵に砕け散る。 もしや、降って来たのは人ではなく、人型の何かか? いやいや、それでもコレは無いだろう!! 2人がそんな感じで常識と戦っていると、頭が柔らかく不思議な世界と順応しやすいなのはが、穴の底に向って声を掛けた。「だいじょうぶですかー」 反応など、返る筈が無い。 2人は常識からそう思っていると、「たーすけてー、だーれかぁー」 穴の底から答えが返って来る。「ブゥーッ!!」 思わず吹き出してしまう2人。 そんな2人に苛立たしげになのはが命令口調で言った。「おにいちゃんもおねえちゃんも、さっさと動いて! じゃないと、あの子が死んじゃうよっ!?」 どうやら穴の底にいるのは子供の様だ。 現実逃避しつつ、恭也と美由希は思った。 が、なのはの視線が怖く、これ以上考えるのを止めると、穴の傍に行き、件の子供を助けに行く。 気づくと周辺の家々から出てきた人達も来ており、皆で穴の周辺を掘り進めた。 ある程度掘り進めると、うつ伏せで埋まっている少年の背中に手が届く。「だ、大丈夫か……?」 恐々と声を掛ける。 すると、ボコッっと土が盛り上がり、少年が顔を出した。「し、死ぬかと、思った……」 ホントに生きてたぁーーーーーーーーっ!? 大人達の心からの叫び。 そんな大人達など気にもせず、なのはは少年に語りかける。「だいじょうぶ?」「な、なんとか……」「わたし、高町なのは。あなたは?」「俺は横島忠夫。ところで此処どこ?」 ヨコアス外伝 とらいあんぐるリリカル ヨコなの! 第1話 それは不思議な出会いなの? 始まらないの。