ジュエルシード それは、願いを叶える不思議な宝石 ヨコアス外伝 とらいあんぐるリリカル ヨコなの! 第5話 悪魔降臨なの! 横島は目を覚ますなり、ブスっと顔を顰める。 自分達を覗く視線を感じたからだ。 覗くならともかく、覗かれるのは趣味じゃない。 いや、美女や美少女に色々と覗かれるのは、紳士的な意味でありかもしれんが…… そんな訳で傍らに侍っていた美由希に、「修行不足!」と軽くデコピンをかますと、起き上がって庭へと出る。 先ずはサイキックソーサーを使い、近くに居た見えぬ監視を叩き潰す。 続いてなのはを手招きして呼び寄せると、彼女を背中からギュっと抱きしめた。 縮んでしまった横島とは、ほぼ同じ背丈の少女。 横島は、なのはの首元に顔を埋めると、思わずクンカクンカと匂いを嗅ぎそうになる自分をグッと堪えた。「はにゃっ!? にゃにゃにゃにゃ……」 それでもなのはは両手をばたばた。顔は耳までまっかっか。「落ち着くんだ、なのはちゃん」「ひゃ、ひゃいっ!」 耳元で囁かれる大好きな人の声。 くすぐったい様な、それでいてとても心地が良い感触。「感じる?」「うん……」 感じる。彼の暖かさを。すっごくすっごく感じる。 自分のお腹にキュッと巻きつく横島の腕に手を重ね、なのははうっとりしながら返事をした。 そして次の瞬間、なのはを抱きしめている腕を通して、横島から力が流れ込んだ。「ひゃあっ!」 思わず声をあげてしまう。 それも、艶を含んだ色のある声を。 周囲の者、特にアリサやすずか等は顔赤らめてなのはと横島を見ている。 ただ、目つきが酷く厳しい物だが。「どうだ、見えてきただろ?」 なのはの中で世界が広がりをみせる。 身体中を横島の力が駆け巡り、優しく労わるようにではあったが、なのはの力を少しづつ拡張していく。 力の拡張と同時に、更になのはの力の方向すらもコントロールしながら。 それは50年以上の時間の中で身に着けた、横島なりの性魔術の奥義。 力の使い方を直接身体に叩き込む、ある種とても乱暴な修行法の一つだ。 事実なのはは始終、口をパクパク開け閉めしながら苦しげに息を吐く。 ビクビクッ、と細かく身体を痙攣させ、目は潤み、口から舌を突き出して切なく喘いだ。。 だが、確かになのはには見えていた。「あはぁ……ングッ……う、うん、見える。これ、ただおくんが……あんっ……みせてるの?」 横島の言う通りに何かが見えたなのはは、息を絶え絶えにしながらそう言った。 なのはは出来るだけ平坦な口調で言ったつもりだったが、それでも随分と色っぽく、少し離れた場所で見ていたアリサとすずかをヒートアップさせる。 2人にしてみれば、横島がなのはにエッチなイタズラをしている様にしか見えない。 それでも口や手を出さないでいるのは、一番に抗議するであろう美由希が何も言わず、ただ苦笑いしているからだ。 彼女が何も言わずにそうしているのなら、キチンとした理由があるはず。「おう! だがな、これは全部なのはちゃんの力だ。訓練を積めば、すぐに自分一人でこのぐらい出来るようになるさ」「あ……アレってサーチャー……んぅ、だよね? さっきの人達かなぁ……、やん」「多分な。さ、なのはちゃんがアレを破壊するんだ。レイジングハートを出して」「レイジングハート、お願い……」≪All right≫ 震える手で小さな宝石『レイジングハート』を掲げると杖の形へと変化する。 同時になのはの衣服が弾け、白い制服のようなバリアジャケットに身を包まれた。 相変わらず苦しそうななのはは、その杖の先を虚空に向ける。 震える手が止まらず、杖の先がブレまくる。 もちろんこんな状態で狙いをつけれる筈など無く、横島はなのはの身体を抱きしめていた手を解くと、そのまま腕を下から支えてあげた。 彼に支えられている。なのはは嬉しさの余りに天に昇ってしまいそう。 意気が上がる。彼に支えられている今なら、何でも出来る! 何処までも行ける! 遥か彼方にあるだろう、サーチャーを打ち抜くなんて、とても簡単に感じてしまうのだから。「スターライトぉ……」 杖を握り締める力を強くする。 すると横島からの力の導きが更に強まった。 お腹が熱くなる。身体の中から何かを引き出される感じがする。 レイジングハートに任せたまま砲撃しようとしたなのはの力を、横島が更に収束しているのだ。「ブレイカーッ!!」≪starlight Breaker≫ バシュウゥゥゥッ!! 杖の先が光に溢れ、そして爆発する。 見えない筈の標的を目指し、なのはのスターライトブレイカーが放たれる。 いつものなのはの魔法に比べ、一段と収束されている桜色の砲撃は、成層圏を抜け目標を貫いた。 先程まで感じたコチラを伺う不快な視線が確かに途切れる。「お疲れさん、なのはちゃん。頑張ったな!」 一杯の笑みをなのはに向ける。 横島の笑みを見て、なのはは気が抜けてしまったのか、ガクリと膝から力が抜け落ちた。 腕を支えていた横島は、当然の様に少女を抱きしめるも、次の瞬間、「ひゃんっ!?」 嬌声をあげてしまうと同時に、プシャァァッと少女の太腿を湯気立つ水が流れていく。 なのはは、イってしまったのだ…… 止め処なく地面を流れ落ちる小水。 頭に手を当て「あっちゃー」と唸る美由希。 お漏らししてしまったショックで、ぐしゅぐしゅ泣き始めるなのは。 先程までとは違う意味でヒートアップしてくるアリサ、すずか、はやて。 3人の少女の殺気に中てられ顔を真っ青にする横島。 次の瞬間、アリサの身体が宙を舞った。 短いスカートから可愛い足が飛び出し、狙い違わず横島の顔面をとらえる。「ろばぁっ!?」 アリサの飛び蹴りをまともに受けた横島は、そのままゴロゴロと庭の端まで転がっていく。「何だか分かんないけど、アンタが悪いのよっ! この変態!!」 アリサの怒声は、高町家だけでなく近所中に響き渡った。 もっとも、また高町さんちの横島くんかぁ~、ですんでしまう話なのだけど。 プレシア・テスタロッサの目的。 それはジュエルシードに込められた膨大な魔力を無差別解放させることにより、人為的に次元震を発生させ、アルハザードへと旅立つ。 自分のたった一人の娘、アリシアを生き返らせる為に。 だが、それももう叶わない夢物語となりつつあった。 プレシアは、先の横島の反撃により、死に体となっていたからだ。「死ね……ないの……よ、アリシアを生き返らせるまでは……私は……ワタシハァッッ!!」 アリシアを死なせてしまって以来、全ての時間をその愛娘を蘇生させるためだけに生きてきた。 彼女の執念は計り知れない。彼女の想いの力は計り知れない。何より、彼女の絶望こそが計り知れない。 そんな彼女の最後の願い、それは…… アリシアの笑顔をもう一度見たい、たったそれだけだった。 それだけなのに、彼女の目の前にあるポッドの中のアリシアは微笑まない。微笑んでくれない。 何故なら、そのアリシアはただの肉の塊なのだから。 だから、微笑むはずが無い。「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」 血涙を流し、絶望と怨嗟に満ち満ちた絶叫を放つ。 聞く者をそれだけで狂わせんばかりの狂声。 そんな彼女の絶叫に応えたみたいに、ジュエルシードが一つ輝きだした。『……マ! やめて、もうじゅうぶんだからっ!!』 彼女の耳に、亡くした娘の声が聞こえてくる。 ザー、ザー、と耳鳴りばかりで聞こえなくなってきたはずの耳に。 それなのに、あの子の声が聞こえる気がするのだ。 プレシアは残された力を振り絞り、床に這い蹲っていた身を半分起こした。 2つ目のジュエルシードが輝きだす。 ぼんやりとアリシアの泣きじゃくっている姿が見えてくる。 くしゃくしゃに顔を歪ませ、こんな自分を心配してくれる優しい娘の姿が。『ママ! もうダメだよ! これ以上それを使ったらダメだよ!! 死んじゃうよお、やめてぇーーーっ!!』 涙が溢れ出てくる。アリシアの顔を、もっと良く見たいのに、それなのに、涙の所為で良く見えない。「アリ……シア……ッ!! ああ、アリシア、アリシア、アリシア、アリシア、アリシア、アリシア、私の……たった一人の娘。 大丈夫よ、アリシア。すぐにアナタを生き返らせてあげるわ……。もうすぐ、アナタを、アナタを、あな……た……を………………」 3つ目のジュエルシードが輝きだす。 ドクン……、彼女の止まりかけの心臓が跳ねる。 4つ目のジュエルシードが輝きだす。 黒焦げになっていた彼女の肌が、鱗の様な物に覆われていく。 5つ目のジュエルシードが輝きだす。 彼女の黒く長い、だが一切の手入れを成されていない髪が、サァーっと風に吹かれ紫色に変化していく。 6つ目、7つ目のジュエルシードが同時に輝く。 彼女の力の質が変化していく。禍々しい何かへと…… その時、プレシアが倒れ伏す場所に騒音が近づいて来る。 バン! 勢い良く扉を開けて入って来る時空管理局の武装局員達。 彼らが見たのは、強い眼光で自分達を睨みつけるプレシア・テスタロッサ。 その彼女の頭上に、キラキラ輝く7つのジュエルシード。 そして、ジュエルシードが一つ、また一つと彼女の体の中に吸い込まれ……爆ぜた。 背中から、ザンッ! 皮膚を切り裂き黒い翼が飛び出す。 彼女の血が辺り一面に飛び散り、まるで血の雨が降っているみたい。 バサッ、バサッ、と何度か翼を羽ばたかせる。 羽ばたき巻き起こる風に黒い何かが纏わりつき、辺り一面の視界を真っ黒に染め上げた。「がぁぁあああああああああっ!?」 途端に苦しそうに首を押さえる武装局員達。 苦悶の表情を浮かべ、胸元を何度も掻き毟る。 バリアジャケットを展開していれば、BC兵器等も無効化できるはずなのに。 次元航行艦アースラ内のブリッジで、モニター越しにその様子を見ていたリンディ・ハラオウンとクロノ・ハラオウンは、戦慄に背筋を凍らせた。 その場に居る訳でもないのに解るのだ。 プレシア……、いいや、アノ存在が人知を超えたモノだと。 恐怖で鳥肌が立つ。 リンディはブルル、と軽く何度か身体を震わせた後、ハッと気づいたのか、徹底的に遅れた指示を漸く出した。「エイミィ、強制送還! 速く!!」「……は? あ、はいっ、艦長!」「続いて転送室を完全隔離! ドクターを呼んで!」 汗がこめかみを伝い、頬を流れ、顎からポタポタと落ちる。 今の彼女の内心は後悔で一杯。 戦力を出し惜しみしてしまった。 この次元航行艦アースラ最強戦力である自分と、その息子で執務官のクロノ・ハラオウンを最初から出しておけば良かったのだ。 そうすれば……「艦長、全員の死亡が確認されました……」 こんなにも被害を出さずにすんだのに……「はぁ……」 重い溜息を吐くリンディ。 そこらかしこに泣き声が聞こえてくる。 全てが自分のミスから出た被害。 ブチッ、と何か噛み切る音。 見ればクロノが唇の端から血を流している。 悔しそうに顔を歪め、今でも飛び出してしまいそう。「ダメよ、クロノ」「……解っています、艦長。今行っても、彼らと同じで殺されるだけですからね」 ギリギリと歯軋りを鳴らしながら、モニターを睨みつける。 そこには、狂った様に嗤い続けているプレシア・テスタロッサ。 そのプレシアが、モニター越しからコチラを見てニヤリと嗤うと、パンッ! 爆発音が艦内のアチコチから聞こえてくる。「次元跳躍攻撃です! 機関部損傷、通常航行に支障はありません!」『今のは警告よ。これ以上の惨劇を見たくなければ、残り14個のジュエルシードを全て渡しなさい。でないと、あの第97管理外世界を無差別攻撃するわ』 それだけ言うと、プツンと映像が途切れる。 サーチャーを破壊し、こちらの影響下から完全に脱したのだろう。 リンディはプレシアの言葉を反芻する。 それは管理局への宣戦布告と言って良い。 普通に考えたら正気を疑う。 個人で次元世界を遍く大組織に喧嘩を売っているのだから。「エイミィ、ユーノ・スクライア君とアルフさんを呼んで!」「はい!」 ジュエルシード、そしてプレシアの情報をもう一度詳しく聞く為だ。 プレシアはともかくとして、ジュエルシードはユーノから聞いていたのと印象が違い過ぎる。 勿論自分達の方でも調べは済んでおり、次元干渉型エネルギー結晶体であると言う事は解っていた。 元々今回の出動は、そのジュエルシードにより次元震が発生する可能性があるとされた為だ。 そのジュエルシードをロストロギアと認定し、管理局で接収する、ただそれだけの任務だった筈なのに。 だが、今のプレシアを見る限り、その類の物だという印象は感じないし、その上、知らずの内に事態は最悪の方向へと進んでしまった。 本局に戻れば、自分はもとよりクロノまで何らかの責任を負わなければならないだろう。 こんなにも犠牲を出したのは、あの『闇の書』事件以来なのだから。 リンディは先程のプレシアの姿を思い浮かべる。 ゾクリ、と再び背筋が凍りつく。「アレは人の手では勝てない……」 思わず弱気な言葉が小さく零れた。 だが、その声は思っていた以上に大きく響き、不安そうにこちらを見るクルーの反応を見て、再び自らのミスに顔を顰める。 人知を超えた存在を目の当たりにし、歴戦の彼女も色々と混乱しているのかも知れない。「ですが僕達は勝たなくてはならない。死んだ皆の為にも。何より、次元世界の平和を守る為に!」 「クロノくん……」 クロノはリンディの失言を素早くカバーする。 ここで心を折られる訳にはいかない。「エイミィ、今までの戦闘データを本局へと転送してくれ」 個人の力であの存在に勝てずとも、組織の力でならなんとかなるだろう。 例えば、プレシアの居る『庭園』ごと、アルカンシェルで吹き飛ばす。 だが残念な事に、この次元航行艦アースラにはアルカンシェルは搭載されていなかった。 今から本局に戻り、改めてアルカンシェルを搭載する時間もなければ許可も下りまい。 でも、これまでと、そしてこれからの戦闘データが本局に渡れば、次に彼女と相対する時にはアルカンシェルで対応が出来るかも知れない。 もちろんクロノは『次』に期待するつもりはなく、一度でケリをつけてみせるつもりではあるのだけれど。 執務官として常に最悪のケースを想定する、ただそれだけの筈なのだけれど。 でも、心のどこかで解っているのかもしれない。 先程、彼の母親であるリンディが呟いた言葉が真実である事に。 重い沈黙の中、クロノはこれから取るべき対策を脳裏にツラツラ並べていると、ユーノがアルフを連れて艦橋に姿を見せた。 先程リンディが呼び寄せた為なのだが、これはクロノとしてもありがたい。 例え些細な情報でも欲していたからだ。「これを見て貰えるかしら?」 リンディの指示を受け、エイミィがモニターに先程のプレシアがジュエルシードを取り込む場面を映し出す。 眉を顰めるユーノ。そしてアルフ。「えっと……、これをボクにどうかしろ! とか言う話じゃ無いですよね!?」 顔を青ざめさせて叫ぶ。 確かにジュエルシードの発掘責任者ではあったが、こんな訳の分からない事態の責任を負わされる訳にはいかない。「そうじゃないわ。ジュエルシードについてもう少し詳しい話を聞きかせてもらえないかと。それと、残り12個のジュエルシードの引渡しについての協力要請よ」「ジュエルシードですか? レポートに纏めた以上の事はボクには解りません。 あと、残りのジュエルシードは返してって頼めばすぐに返ってきます。 アレを今現在持っているのは、多分なのはなんですけど、彼女はジュエルシードをさっさと処分してしまいたいと思ってますから。 交渉するんでしたらボクが高町家に行きましょうか? 随分とお世話になりましたし、キチンとお礼もしたかったんで丁度いいですしね」「お願いするわ、ユーノ君。本当は全てが終わってから返却交渉をしようと思っていたのだけど……」「あんな危険な物だと解ってしまった以上、悠長な事はしていられませんよ、艦長」「ええ、そうねクロノ。エイミィ、高町さん宅の映像を出せるかしら?」「無理です、艦長。先程、横島忠夫くんが目を覚まして以降は、全てのサーチャーを破壊されています。衛星軌道上の物を含めて、全てがです」「報告だと、この世界に魔法文明は無い筈だったんだが……」 クロノの苦々しい言葉に、やはり苦笑するユーノ。 魔法? そんなもんじゃねーよ! あの人達が非常識なのはよっ!! そう、声を大にして言ってやりたい。「この世界の魔法もそうだけど……」 エイミィが次々に映像を出していく。 それは先の海上での決戦の映像。 ジュエルシードの暴走体と、黒い魔法少女フェイト・テスタロッサを見知らぬ魔法形態で蹴散らす白い魔法少女、高町なのは。 ジュエルシードと2人の魔法少女を確保しようとしたクロノを、あっさりと蹴散らす高町美由希。 次元跳躍攻撃を、これまた見知らぬ魔法形態で防ぎ、尚且つ古代ベルカの融合機と思しき物の主(マスター)、横島忠夫。「クロノ君をあっさりと蹴倒した高町美由希さん。この人、リンカーコアが無いです。多分ですけど……」「はあ? そんな訳ないじゃないか」 クロノが馬鹿馬鹿しいと斬って捨てる。 だが、ユーノは知っている。彼女が正しいのだと言う事を。「魔法じゃなくって、『気』って力だそうです。あと、横島さんの力も魔法じゃなくって『霊力』ですよ」「……詳しく聞かせて貰える?」 この日、ユーノが話した内容は、後に管理局全体を揺るがした。 魔法文明が無い筈の世界の魔法。 リンカーコアと言う先天的な物がなくても、高ランク魔導師を打倒しうる力、『気』 魂と言う存在概念を初めて立証させた不可視の力、『霊力』 それに『HGS』 即戦力が欲しい地上本部だけでなく、本局、果ては聖王教会に至るまで、第97管理外世界に注目することになる。 その際、元管理局の提督であったギル・グレアムが、現地の警察組織に収監されているのが判明した事は余り関係ない話だ。 全ての話を聞き終わったアースラの面々は、呆然とユーノを見つめる。 信じられない。でも、実際に映像と言う形ではあるが、立証されて記録にまで残っている。 これ以上の否定は出来ない。 リンディは難しい顔で少し考え込む素振りを見せると、次の瞬間、顔に笑みを貼り付かせる。「現地協力者と言う形で、私達の作戦に協力して貰えないかしらね?」 ユーノは、「勘弁して……、一刻も早くお家に帰して……」アルフの手を強く握り締め、そんな事ばかり呟きだす。 アルフもフェイトが気になる一方で、この頼りない二人目の主を少しでも元気付けようと、しっかりと手を握り返すのだった。「いっつ~っ!」 アリサに蹴られた痕をさすりながら布団に入る。 既に時間は夜の11時。 なのはとはやては夢の中。 恭也と美由希も明日に備え、いつもの稽古も早々に切り上げ、やはり夢の中。 そんな美由希と一緒に寝ているだろうフェイト。 何故だかお泊りモードのアリサとすずかも、それぞれなのはとはやての部屋で眠っているのだろう。 唯一、久遠だけが那美さんの所に帰ってしまった。 そして、さよちゃん。 彼女は再び竜の牙の中で眠りについた。 俺のピンチに感応して目覚めただけで、ピンチが遠のいた今、再び黄泉の眠りについたのだろう。 正直、明日の事を考えると、さよちゃんが居ないのは残念だ。 このままじゃ、俺は大した戦力にはならないだろうから。 霊力が完全に回復しきっていない。 だからと言って、美由希から性魔術で奪う訳にもいかない。 明日の主戦力である美由希から力を抜き取るなんて出来やしないし、何より彼女じゃ大した糧とはならないからだ。 一番良いのは、明日は不参加の久遠から魔力を貰う事だったんだが、今日に限って帰ってしまった。 ホント、今日の俺はろくでもない目にしかあってねーな…… ・美由希の毒料理で半死半生、霊力の一時的喪失。 ・強力な雷撃魔法で腕が黒焦げ、死の一歩手前まで追い詰められる。 ・寝ぼけてアスナとフェイトちゃんを間違えてお漏らしをさせてしまう。罰として、なのはとすずかのツープラトンアタック。 ・なのはをイカせてしまい、お漏らしをさせてしまう。罰として、アリサの真空蹴り。 ・魔力回復の為に久遠とイタそうとしたら帰られた。 多分、明日もろくな目には遭わないだろう。 俺の霊感がそう告げていやがる。 取り合えず明日は、恭也を前衛で突っ込ませ、なのはとフェイトちゃんが後衛で砲撃。 俺と美由希は遊撃で少し離れた所からついて行くのが一番だろう。 そこまで考えると、眠気が頂点に達し、うつらうつらと船を漕ぎ始める。 少しでも多くの霊力を回復させるためにも、もう寝るか…… そう思って布団を頭まで被った。 被ったら、扉の前に小さな気配。 コンコン。扉をノックする音。「どうしたアリサちゃん?」 俺は言いながら枕もとの電気スタンドに明かりを灯す。 ギィーっと軋む音を立てながら、アリサちゃんがおずおずと顔を出した。 小さな明かりに照らされる、パジャマ姿のアリサちゃん。 どうしてなのかは解らないが、なんだか唇を尖らして不機嫌さをアピールしている。 本当に解らない。解らないが、取り合えず謝っとこう。 俺は若い頃からの処世術で、アリサちゃんが何かをする前に頭を下げようと布団から出ようする。 すると、アリサちゃんはもじもじと、「や、やくそく、でしょ……?」 そう言いながら俺を押し留めると、そのまま布団の中に潜り込んできた。「エッチなこと、してもいいわよ……」 ヒョコッと顔の上半分だけだしてそう言った。 昼にも思ったが、アリサちゃんでは性魔術を使っても殆ど糧とはならない。 最後まですれば、ちょっとはマシな程度は霊力が回復するとは思うが……、流石に幼すぎた。 やっちまったらロリを越えたペドとなってしまう。 自分がロリである事には諦めがついてはいた。 だが、ペドは嫌だ! 今までその経験が無いとは言わん。 でも、これ以上はダメだ! 人として、何より横島忠夫として、それだけは認められんのだ! そう思い、適当にあしらおうと布団を押しのけアリサちゃんの上に圧し掛かり、そっと唇を合わせた。「んっ、んっ……」 唇と唇を触れさせるだけのつもりだった。 それにちょっとだけ身体を弄って、彼女を満足させたらそのまま添い寝だけですませるつもりだった。 だけど、もっと深く味わいたくなってしまい、舌を彼女の口の中に差し込んでしまった。「ちゅぱっ、ちゅっ、くちゅっ……じゅじゅっ、ンンンッ!」 舌を絡め合うディープキッス。 一所懸命、俺に応えようとするアリサちゃん。 そのいじましい姿に、ズグン、と下半身が熱を持った。 ちょっと味見をするぐらいならいっか! 俺はそう思いながら身を起こし、ズボンと一緒にパンツを脱ぐ。 ポロンと飛び出す我が相棒。 それを見て「ひっ……」と掠れた悲鳴をあげるアリサちゃん。 もしかしてこの子、この手の知識を持ってんのか? そう思った俺は、彼女の耳元に唇を寄せると、「この先ナニすんのかワカル?」 そう言って、レロッと耳朶に舌を這わせた。「んあっ……」 可愛い声で喘ぐアリサちゃん。 相棒の熱が上がり、段々と雄々しく太く大きくなっていく。 それを見て、ゴキュッ、と恐怖で咽を鳴らすと、「す、少しだけ知ってるわ。その、私のココに……」 言いながらパジャマのズボンとパンツを膝下まで脱ぐと、股間のワレメに目線を向けた。 顔を真っ赤にして、口でパジャマの裾を噛むと、小っちゃなサクランボみたいな乳首まで露にする。 思わず鼻血を吹き出しそうになった横島は、慌てて手で押さえると「むむむ……」と唸る。 幼女とは言え、ここまでされて黙っていては、男横島の名が廃る。 いやいや、ちょっと待て。逆だ逆。手を出した瞬間、男が廃る。 だが、いやいや、でも、うーん、ちょっとだけなら……、そうだ! 未来の美女に唾を付けとく位は許されるはず! 脳内会議でしっかりと結論を出した俺は、アリサちゃんに導かれる様に、彼女の幼いアソコに手を伸ばした。 しっとりと汗ばむアソコのワレメを、何度も上下になぞりながら未開発の性感を刺激する。「ンン……んぅ……んぁぁ……」 すると、すぐに少女の膣孔からトロっとした粘液が滲み出てきた。 この娘はエッチな才能が有る! 俺はそう仮説を付けると、スグにその仮説を立証するべく次の行動へと入った。 2本の指でビラビラを押さえると、少しづつ焦らすように、くぱぁ~っとアソコを広げていく。「あっ……、やぁん……」 糸を引きながら開かれるアリサちゃんの膣口。 鼻息を荒くしながら、相棒を彼女の開かれた膣口に押し付ける。 ぐちゅぅ……、と先っちょがアリサちゃんのヌレヌレのワレメにピトっと貼り付く。「あはぁっ!?」 小さい身体を弓なりに反らすアリサちゃん。 可愛い声を上げ、全身で俺に誘いをかけているみたいに見える。 動悸が激しくなる。少し、また少しと、少しづつ俺の腰が前進していった。 グッ……、グヌヌ……ヌチュゥ…… 雁口がアリサちゃんの膣口にはまり込む……直前、そこでピタリと身体が止まる。 恐怖でガタガタ身体が震える。 何故なら、扉の前に、美由希と言う名の悪魔が降臨していたのだから。「ねえ、ただくん。言い残す事はある?」 死刑宣告。 アリサちゃんも、やはり恐怖で震えている。 だが彼女は、布団の中に頭まですっぽりと隠すと、クークーとわざとらしい寝息を立てる。 これで逃げられるつもりなんか? 美由希の背後から現れたなのはとすずかがアリサちゃんを布団の中から引き摺りだすと、「いやぁーっ!」 叫ぶアリサちゃんをそのまま何処かへと連れて行った。「きゃああああああああっ!!」 遠くから少女の断末魔の叫びが聞こえる。 俺はそっと心の中で手を合わせると、すぐに俺も逝く。待っていてくれ……、と小さく呟いた。「じゃ、逝こうか?」 続きは80万HITなの! だといいの……