注! 原作を知らない人への配慮はないです。 地上ではディバイン・クルセイダーズの総帥、ビアン・ゾルダークがダイテツ・ミナセ率いるハガネの部隊に討たれ。 宇宙ではコロニー統合軍総司令官、マイヤー・V・ブランシュタイン が、レフィーナ・エンフィールド率いるヒリュウ改の部隊に討たれた。 地球圏には一時の平穏が訪れ、だがしかし、それが嵐の前の静けさであるのだと、疑うものは誰もいない。 ビアンが示唆した異星人の侵略もある。 いや、それ以前に、ディバイン・クルセイダーズとコロニー統合軍の残党をまとめ上げた、アードラー・コッホとの戦いもある。 地球圏の未来を決める凄惨な戦いは、むしろこれからが本番になるのだろう。 だけど、確かに今この時は平和なのであった。 「行かれるのですか、少佐……」 事後の女の、気だるそうな中にも艶が入り混じった声だ。 声を掛けられた男は、ベッドからのそりと出て、「ああ……」と言葉少なに答えながら思うのだ。 行くも何も……アヤ、最近のお前は絶倫すぎるっ! そう言いたい。言って、やりたい……ッ!! 頬が削げてるんじゃないか?ってぐらい吸われまくった漢の、口には出来ない魂の叫び。 それを喉下でグッと堪えながら考える。 先日のヴァルシオンとの決戦時に見た光り。 リュウセイの超念動。 マサキのプラーナ。 真のサイコドライバーと出会ったからなのか、2つの超常の力の発露を目の当たりにして以来、常に感じる自分ではない自分。 そのせいだろう。 ペースが狂われっぱなしだ。 そうだ。俺はもっと、こう…… 「フッ、アヤ。俺にはまだしなければならないことがあるんでな」 ニヒルに口角を吊り上げる。 だが、その余裕もあっさりと崩れた。 「少佐、せっかくのお休みなんです。ですから、もっと、ね……?」 腰を掴まれ、再びベッドの中に引き込まれる。 思わず口から出そうになる悲鳴。 素早く唇をふさがれたイングラムは、これが人の欲望か……と心で泣いた。 数時間後。 重い足を引きずる様にして歩いていると、不意に来る脳を犯す囁き。 クッ、と呻くような声が喉から漏れた。 自分が自分でなくなっていく不快感から反吐が出そうだ。 タイムリミットが近づいて来たか…… 急がなければならならない。 自分が、自分でなくなってしまう前に。 そう思いながら腰をトントンと叩き、ハガネの艦内の通路を歩く。 正直なところ、どれだけシリアスぶってみても、第3者からみたら滑稽にしか見えない。 それもこれも、横島なんかに関わろうとしているせいだろう。 あの男は、無意識に人を、特にイケメンを道化に貶める。 その道化っぷりをイングラム本人が気づいてない辺り、涙を誘うが…… 「イングラム」 「……ヴィレッタか」 「例のターゲットの居場所、把握できたわ」 「────そうか」 その返事に、安堵の色が混じっているのに気づけるのはヴィレッタだけだろう。 なんせ彼女は、イングラム・プリスケンの影。 彼のクローンとしてこの世に生を受け、彼の最も近くで彼の為に生きてきたのだ。 「しばらくここを離れる。後は……頼んだぞ」 「分かったわ。でもね、イングラム?」 「……なんだ?」 「アヤの面倒まではみれないわよ?」 ふふん♪と実に楽しそうに笑いながら、クルリと背中を向けて去っていく。 ヴィレッタも、イングラムの枷が外れそうなのに安堵しているのだろう。 常になく上機嫌であった。 もっとも、それだけではないのだろうが…… まあ、ともかく、イングラムは急ぎこのハガネから離れる準備を始めた。 元々、この艦に長くいるつもりはなかったのだ。 もっとも、それは枷に嵌められたまま、だったのなら、ではあるが。 今は……そう、必ずここに戻ってくるつもりだ。 罪はある。 イングラムはエアロゲイターと呼ばれる異星起源知性体と思われる集団の一員。 当然、地球人類に対し不利益だろう事も行ってきた。 エアロゲイターの本拠地であるネビーイームに、様々な情報や『サンプル』を送っていたのだ。 到底許される所業ではないだろう。 例え枷をはめられ、そうせざるを得なかったのだとしても…… いや、進んでしてきたのだ。 その枷を外す為に。自分の為に。 だが、それでも…… イングラムは自嘲めいた重い溜息を吐き出すと、ヴィレッタに渡された資料に目を通す。 中国は山東地区にある遺跡、蚩尤塚。 そこで発掘作業のバイトをしているカップル。 男の名を、横島忠夫。 女の名を、水羽楠葉。 男の方はともかく、女の方……間違いない。 リュウセイの幼馴染の名と一致する。 「フッ……フハハ、アハハハハハハハハハハッ」 イングラムの偽悪めいた笑い声が、ハガネの艦内に響き渡り…… 「見つけましたよ、少佐!」 だが、すぐさま笑いを止めて逃げ出した。 ヨコアス外伝 スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション YOKOSHIMA OGYⅠ-4 『放たれた黒の愛』 ────私が欲しかったのは、当たり前の日常。 朝、起き抜けの寝惚け眼で朝食の準備を終えると、土蔵で鍛錬のしすぎで、クタクタになって眠る先輩の寝顔を堪能してから、そっと肩を揺さぶる。 『朝ですよ、先輩。起きてください』 『……ん? あ、ああ、おはよう桜』 朝一に先輩と挨拶できる幸福に頬がゆるむ。 一緒に朝食を食べ、一緒に学校に行き、一緒に…… でも、そんな私にとって宝石の様な日々は、あっさりと崩れ落ちた。 先輩が、遠坂先輩……姉と、デキたのだ。 先輩の腕の中で、甲高く喘ぎ声をあげ、背筋を弓なりに反らすあの人。 私の目の前で、私に気づかず、とても幸せそうに、幸せ、そうに。 私は兄さんに犯され、おじいさまに蟲でぐちゃぐちゃにされ、なのに、あの人は…… そう思ったら、もうダメでした。 心が、闇に堕ちたのだ。 でも、そんな私を、再び光ある場所に戻してくれた人がいた。 『彼』は私を、本当の意味で『元』に戻すと、何事もなかったかのように去って行く。 なのに私は、光には耐えられそうになかった。 元に戻っても、汚れたモノは変わらないから。 だから、衝動は、収まらない。 何より、先輩と姉さんが一緒にいるのが嫌だ。 そこは、私の場所です! そう言いたくなる醜い私は、きっと先輩には相応しくないのでしょう。 だからなのかも知れない。 目の前にあった、解り易いまでの堕ちた証。 黒き杯、この世全ての悪を取り込んでしまったのは。 結果的に、私はすぐさま『彼』に再び『元』に戻らされたが…… ううん、違う。 あの黒い杯は、欠片ではあったけど、確かに今も私の中に…… だからもう、違う。 私は、違う。違うのだ。 違う、違う、ちがう、ちが、う…… あの人『達』の仲睦まじい姿を見たくなくって、『彼』に乞うて使徒となり、逃げ出した私は、今も届かぬ夢に、そっと、手を伸ばす。 イングラムがハガネを離れて数週間後。 世界は再び戦乱の渦の真っ只中になった。 ディバイン・クルセイダーズとコロニー統合軍の残党が蜂起したのだ。 警戒待機中だったハガネの艦長、ダイテツ・ミナセは、途中ヒリュウ改と合流しつつ、新生ディバイン・クルセイダーズと死闘を繰り広げる。 イングラムがいなくなった事により、機動部隊の指揮を任されることになってしまったアヤ・コバヤシ大尉。 補佐にヴィレッタ・バディムが就いてるとは言え、個性的な面々が多い部隊を指揮するには経験が足りなすぎた。 その間隙をつかれたのだろう。 とある能力によりアードラー・コッホに身柄を狙われていた、シャイン・ハウゼン王女を浚われてしまう。 指揮官としての力不足を自覚したアヤは、以後、コロニー統合軍との戦いで、見事にヒリュウ改のPT部隊を指揮し勝利に導いたキョウスケ・ナンブ少尉に指揮権を譲る。 階級的に問題があったものの、キョウスケ・ナンブ少尉を中尉に戦時特進の推薦をすると、自らは実験部隊であるSRXチームに戻った。 キョウスケ・ナンブ中尉の指揮には問題が多々あったものの、戦時における勘と突貫力は凄まじく、連戦連勝を重ねる。 しかし、アードラー・コッホも只者ではない。 ディバイン・クルセイダーズとコロニー統合軍。 その双方が敗れ去った原因……特殊部隊による一点突破を用いた敵中枢部の撃破。 自分達がしてやられたその作戦を、攻守入れ替え実行したのだ。 アードラーは手元にある先行量産型であるヴァルシオン改4機の内、3機にマンマシン・インターフェイス ゲイムシステムを搭載させると、 1号機に、洗脳を施し完全にシステムの一部となったシャイン・ハウゼン王女。 2号機を、元・特殊戦技教導隊テンペスト・ホーカー。 3号機に、自らが見出したテンザン・ナカジマ。 最後のシステム未搭載の4号機を傭兵トーマス・プラット。 彼らにそれぞれ託すと一気呵成に攻め上った。 連邦軍は強襲に対処仕切れず、遂には地球連邦政府の中枢であるジュネーブまで軍を進められてしまう。 ハガネ、及びヒリュウ改の部隊は、急ぎ駆けつけようとするも、足止めに派遣されたテンペスト・ホーカーのヴァルシオン改に苦戦する。 ゲイムシステムに完全に組み込まれてしまったテンペスト・ホーカーの脅威は凄まじく、ようやっとの思いで撃墜した時には、ジュネーブは陥とされてしまっていた。 ここまでか…… そう思ったのも束の間、何故かディバイン・クルセイダーズの覇道の足歩みは止まったのだった。 そのアードラー・コッホが機上するディバイン・クルセイダーズが旗艦、グレイストークは混乱の坩堝である。 連邦軍の主力を撃破し、ルクセンブルクを陥落せしめ、地球の覇権をこの手にする寸前だったというのに……っ! アードラー・コッホは、年老いても尚ギラギラする野心が見透かせる傲慢な口調を、ピタリと止めた。 年齢に相応しく皺枯れた顔を、驚愕に染め、 「ば、馬鹿な……化け物……いや、まさか人間か……?」 茫然と呟きながら、モニターに映る凄惨な光景に見入っていた。 兵士達の機銃の一斉射を軽くかいくぐり、その間隙を縫って鮮血の肉片をまき散らす。 もちろん、その肉片は『彼女達』の物じゃない。兵士達の物だ。 人間には出来ない。出来るはずがない。 身体に機械を埋め込んだか? いや、あの筋肉の躍動は確かに生身だ。 なにより、あの影…… 妙に露出の大きなパイロットスーツに身を包んだ長身の女を従える、あの……化け物っ! 「ふふふ、はやく逃げないと、食べちゃいますよ?」 ────ひぃっ!? 誰の悲鳴か? いや、この場に居る……違う。この艦に乗る全ての命の悲鳴だ。 分かった。理解してしまった。 この日、この時、この場所で。 自分が食われ死ぬのだと…… 「ねぇ、ライダー? どの食材も、あまりイイものではないみたい」 「あまり贅沢をいうものではありませんよ、桜」 「ふふ、そうね。こぉんな外道じゃないと、横島さん、許してくれないもんね?」 「タダオは……いえ、何でもありません」 「そう? じゃあ、おなかくうくうするし、始めよっか」 ズルリ…… 彼女の影が大きく拡がる。 どこまでも、どこまでも。 この世界の全てが覆われんばかりに…… 誰も動かない。動けない。 恐怖で現実から逃避し、ブツブツ埒もないことばかり呟く。 すると、不意に耳に……違う。脳に直接響く声。 ────ねぇ、今もソコで私達を見てるヒト。アナタの存在は、私におじいさまを思い出させる。 あの、世界を思い出してしまう。姉さんと、先輩がいた世界を…… 不愉快なんです。 許せない。 だから、あなたは取り込んであげるわ────── 澱んだ虚無の闇が、全てを蔽い尽くす。 「ひ、ひひひ、夢じゃ、これは、夢……」 そう、目を覚ませば、優秀な頭脳を持つこのアードラー・コッホの下で、地球は一つとなるのだ。 迫りくる異星人など何するものぞ! 例え化け物が相手だろうて、このアードラー・コッホの手にかかれば、素晴らしい兵器に…… 「ひはははははははははははははははははははは」 天から伸びる紅い光。 呪層界・胎蔵曼荼羅────さあ、いっしょに溶けましょう 覇業の途上にあったはずの老人は、ゲブッと肉を磨り潰す音と共に時間を止めた。 ────安心して。みんな一緒だから 「どうでしたか、桜?」 「ええ、この世界、大体理解出来たわ。ライダーはどう?」 「私の方も、ハイパー文珠『接続』のおかげでしょう。少々手間取りましたが、この世界とアクセスできましたよ」 「英霊としての力も?」 「はい。騎乗の英霊としての力も、この身に流れ込んできています」 「じゃあ、アレ使える?」 そう言った彼女の視線は、青い巨大ロボットへと向けられた。 遠くから見た時から思っていたが、こうして近くで見ると、本当に凄い。 ドクター達が整備する逆転号を初めて見た時も思ったが、これはそれ以上だ。 「恐らくは……いえ、あれは私の物です!」 問われた方は、最初だけ神妙に答えて見せていたのだが、途中から興奮が冷め止まない様子。 彼女は騎乗の英雄。この手の乗り物には目がないのだろう。 「マン・マシン・インターフェイス、ゲイムシステムってのがついてて危険みたいだけど……ライダーなら大丈夫だもんね」 「はい、お任せを。それより、おまけに付いてた少女の方は……」 「異能者みたい。味見、しちゃおっか?」 妖艶に嗤いながら、視線を巨大ロボットから、中学生程度と思われる少女へと移した。 ────そうだ。力をつけなくては。 アスナさんにも、なのはさんにも、負けない力。 そうして責任を取ってもらわないと。 私をこんな風にした『彼』に。 先輩じゃないのに、私の正義の味方じゃないのに、私を救ってしまった、最も憎い『彼』に…… 「力、いっぱいつけなきゃね?」 「……はい、そうですね」 「ねぇ、ライダー」 「なんですか、桜」 「ライダーは、横島さん、好き?」 「ええ」 「愛してる?」 「はい」 「じゃあ、もっと、もっと、協力してね?」 「わかってますよ、桜」 「そうしたら、私のおこぼれ、たくさんあげるから」 ────私が欲しかったのは、当たり前の日常。 生温い日だまりなあの場所で、たくさんの仲間と彼に愛される日々。 それは私が欲しかった、当たり前の日常じゃ、決してない。 なのに、ああ、こんな日常も悪くない。 そう、思ってしまいそう。 だから、そう思ってしまう前に、アナタを私だけのモノに。 憧れていた、2人だけの世界を。 先輩とではないけれど、かわりに、アナタと…… 少女を裸に剥きながら、にこりと笑った桜の表情は、失くしてしまったあの頃のようにあどけない。 でも、それは見せかけだけだ。 桜は、どこまでも壊れてしまっている。 でも、きっと大丈夫。 私には。 私達には。 あのおバカがいますしね。 首筋に歯を立て魔力を吸い上げつつ、少女のうっすらとした茂みの奥に指を這わせた彼女の従者は、そう信じている。 『ハガネ』『ヒリュウ改』がグレイストークを包囲したのは、その数時間後。 彼らが見た物は、艦内に散逸する惨劇の跡。 どれも、『人』 だったと思われるナニカと、 「なにがあったのかわかりませんし、知りません」 にこやかにそう言ってのける、シャイン・ハウゼンだけだった。 「うおっ!? な、なんかゾクってしたっ!」 「キサマのことだ。どこぞで手を出した女に恨まれでもしてるんだろう?」 フッ、と口角を吊り上げて邪悪に笑うイングラムは、見下したような視線を横島に向けたままそう言うと、横島の腕を掴んで離さない。 「失礼なこと言うなや! 俺は男に恨まれることはあっても、女に恨まれる覚えなんかねーよ! ってか手をはなしやがれっ、気持ち悪いわっ!!」 「……手をはなして欲しければ、アソコへ行こうとするのをやめればいいだけだ」 イングラムがクイッと顎で指し示す先はシャワー室。 現在、ここの責任者である妙齢の女性が使っている場所だったりする。 「クスハに頼まれてるんでな。キサマがアホなことしでかそうとしたら、しっかりと止める様にと」 そうして始まる力と力のぶつかり合い。 互いに互いを睨めつけ、2人から発せられる濃厚な殺気で、周囲の空間がキシリと歪んだ。 「ふざけんなっ! エリさんのお宝を拝むチャンスを逃してたまるかッ!!」 無駄に高まる霊力は、だがしかし、次の瞬間…… 「横島さん? な・に・をっ! してるんですか?」 背後から感じる凄まじいまでのプレッシャーに四散した。 横島の腕を掴むイングラムの手から力が抜ける。 逃げるなら、今だ! なのに、横島の身体は恐怖で動かない。 「イングラムさん、ありがとうございます」 「あ、ああ。気にするな。これも呪いを解いてくれた礼の一つだ」 まあ、呪いを解いてくれたのは横島だが……という言葉をしっかりと飲み込みつつ。 ついでに声が震えてしまったイングラムだが、これを情けないとは思わなかった。 それだけに、彼女が発するプレッシャーが凄まじいのだ。 「すんませんッしたーっ!」 だから横島が土下座して謝る姿を見ても、それが当然だと感じさえする。 イングラムは、背中をびっしょりと汗で濡らしながらも、それを決して悟らせはせず。 何でもない風を装い、クスハに手を上げて挨拶をすると、そのままその場から去った。 背中から聞こえてくる「アンギャーッ!?」悲鳴なんて気にしない。 「そろそろハガネに戻らなければ……」 決して彼らから逃げるためじゃない。 そう誰かに言い訳をするイングラムは、確かに枷から解き放たれて。 「しぬ、しぬ、しんでまう~~~っ!?」 「この程度でアナタが死ぬなら、こんなに苦労はしませんっ!」 「ぎゃ────ッ!!!」 耳をつんざくような爆音と、地面を激しく揺るがす振動に、イングラムは歩幅を大きく足早に逃げ出した。 その姿は、全てを取り戻した筈の『因果律の番人』としては、とても情けない姿に違いはなかった…… 窓の外から聞こえる喧騒に、彼女はクスリと笑みをこぼす。 学生の頃から研究三昧だった彼女にとって、彼、横島忠夫は不可思議な存在だ。 ────私みたいな面白みのない女にコナかけて、何が楽しいのかしらね? シャワーに濡れた髪を、やや乱暴にバスタオルでぬぐいながら彼女はそう思う。 それでも先程クスリと笑って見せたように、口元が笑みの形に固定されているのは、既に心の一部が彼に奪われている証拠なのかもしれない。 彼女はどこかしら楽しい雰囲気をまとったまま脱衣室を出ると、機嫌よさげに学生時代に聞いたと思われる何かのCMソングを口ずさむ。 今日の発掘作業は全て終了しており、作業員や、彼女と同じ研究員達とすれ違いがてらに挨拶しながら廊下を歩いた。 すれ違った者達は、横島に絆されつつある彼女を楽しく見ていたのにも、気づかずに。 そうして自分の部屋を目指して歩いていると、不意に談話室から光がこぼれているのに気づいた。 何の気なしにヒョイッと中を覗いて見る。 するとスポンサー筋から視察に来て、なぜかそのまま居ついた男、孫光龍。 明らかに西洋人の容貌であるというのに、中華系の名を持つ、どことなく胡散臭い男。 そんな彼が、彼女すら見たことのない不思議な石碑を写した写真を見ていた。 超古代文明を専門に調べる考古学者である、彼女にすら見た事のない遺跡物と思われた。 思わず孫光龍の背後から、覗き込むようにしてその写真を見ていると、 「あァ、気になりますかね、コレ?」 「え、ええ……」 気障に嗤う彼に、ちょっとした反感がもたげるも、それ以上に気になる。 見れば、彼女達のチームが発掘している遺跡に描かれている絵画や文字と、とても良く似た文明の物に見えた。 「これは一体……」 茫然と呟く彼女を見て、孫光龍は唄う。 「大破壊を創世神ズフィルードと共に生き延びた、神であって神でなく。人であって人でない存在。最古のサイコドライバーにして、この星を守る真の守護者」 そして最後に、彼女に聞こえない声でポツリと、その名を呟く。 「えっ、なに? なんて言ったの?」 「さァて? さっ、僕はもう部屋に帰って寝ますね?」 「ちょっ、ちょっと待って!」 彼女の呼び止める声に、孫光龍は答えず、背中を見せて手をヒラヒラと振った。 ────ガンエデンが目覚めるまで、あの方に仕えるのも悪くない。 この地に眠るアレを破壊したい衝動もあるが、あの方の命だ。しばらく静観するとしましょうかね…… そして視線の先にいた、表情の無い顔で自分を監視する男に、小さく頭を下げる。 するとその男は、溶けるように身体が崩れ落ちると黒豹へと姿が変化し、そのまま夜の帳が落ちはじめた世界へと姿を消した。 ────さァっ! この僕を使いこなしてみせろっ! バラルの僕にして、四霊、応龍の超機人、真・龍王機に選ばれた、この僕をッ!! と、その時、突然、孫光龍の横を疾風が駆け抜けた。 「ああっ! エっリすわぁ~ん、み~っけ!」 「よ、横島さん!? クスハさんにおしおきされてたのでは? あ、あの、今はそれどころじゃ……」 一つの言霊を、孫光龍の耳に残して…… ────よく分からんが、美人のねぇちゃんを巻き込むんじゃねーぞ? そう、やけに耳にこびりつく、殺気混じりの言霊を。 孫光龍は嗤う。 シルクハットで表情を隠しながら。 静かに、静かに。 ああ、面白い。 そう、静かに。 ユニットデータ(スパロボOGS風味) 黒桜&ライダー HP 2800 EN 500 運動性 250 装甲 600 地形 空 B 陸 S 海 ─ 宇 ─ 特殊能力 令呪 EN回復(大) 武器名 アレストチェーン 攻撃 3500 射程 1~4 命中+20 CT+30 EN 0 空S 陸S 海C 宇─ ブレイカーゴルゴーン 攻撃 3700 射程 1~5 命中+80 CT+10 EN 50 空A 陸S 海A 宇A 追加効果 石化 ヘブンスフォール(MAP) 攻撃 3900 射程 1~5 命中+10 CT+50 EN 200 空A 陸S 海B 宇─ ペルレフォーン 攻撃 4000 射程 1~2 命中+80 CT+80 EN 150 空S 陸S 海─ 宇─ アート・アンリマユ 攻撃 4300 射程 1 命中+20 CT+80 EN200 空B 陸S 海─ 宇─ 追加効果 吸収※1 属性 イベントユニット 間桐桜 Lv.50 性格 黒 成長 大器晩成 SP 180 精神 信頼 30 補給 60 応援 50 脱力 45 覚醒 70 愛 180 ツイン精神 戦慄 35 特殊技能 魔術 L7 SP回復 集中力 この世全ての悪 令呪(使用回数3)※2 属性 恐怖 ライダー Lv.EX 性格 普通 成長 もうしない SP 500 精神 加速 5 集中 10 不屈 10 気迫 40 信頼 30 愛 50 ツイン精神 魂 70 特殊技能 魔術 L9 インファイト L9 ヒット&アウェイ アタッカー リベンジ 見切り 属性 中ボス ※1 これ使って敵を撃破した場合、対象死亡・経験値UP ※2 横島による文珠『令/呪/補/充』で回復可能 参考 間桐桜 横島への想い 友11 親20 恋 0 愛20 色20 計71 『先輩』への想い 友20 親20 恋20 愛12 色18 計90 ライダー 友18 親20 恋15 愛20 色20 計93 後書き レビ・トーラー(ネビーイームルート) リリー・ユンカース(DCルート) 安西エリ(超機人ルート) ←ピッ! って訳で、だいぶ前にしたアンケートの結果から、超機人ルートへと進みます。 ちなみに作者は、この時レビ・トーラーが選ばれるだろうと思ってたんだけどね…… ああ、どれが選ばれても、最後はまったく変わんないからね、一応言っとくとw ただこの時点で孫光龍とビッ……もとい『彼』が出てくるのは、このルートだけだけど。 す~なのあ~らしに…… 『彼』の強さ設定は、アシュタロス≦ってことにしてます。 過大評価……じゃないよね? ああ、十けっ……はでないよ? あれら出したら、キャラが濃すぎて話がまとまらんw ちなみに、レビルートだと、当面の敵はイングラム。 リリールートだと、アードラー(強補正)でした。 もう2人とも、敵としては退場しましたねw これもHIT企画ならでは。話を急いだ結果ですww おまけで、エイプリルフール企画のアレの簡易プロットから抽出したQ&A ヒロインは誰? 破壊神カーディス。 小ニース(淫乱腹黒娘)にあらず。 つんでれカーディスという誰も書いてない新たなジャンルを開拓しようと思った。 ファリスの聖女はどうした? 日々バカッぽくなってくベルドの為、横島の人格汚染ぶりに対抗しようとしてファビョった。 以降、ヴァリスに帰って隠棲。歴史からその名を消した。 伝説の主人公は? 原作と同じ。カーラにはめられた。 コイツだけは素で横島の人格汚染に対抗できてた。 が、退場したため、ベルド達の悪乗りは凄まじい方向へ…… 魔神王はどうやって倒した? 文珠の大盤振る舞い。ガシガシダメージ与えれるようにして、皆でふるぼっこ。 弱った所で押し倒して性魔術に及ぼうとするも、大ニースに阻まれ横島ふるぼっこ。 唖然とする魔神王に、隙ありとばかりにソウルクラッシュ奪ってベルドがトドメをさした。 その後、横島を色んな意味で危険に思ったカーラが、魔神王を倒して気が抜けてる所を狙ってディメンションゲート。 英雄戦争は? ファーンとベルドのロードス全部を巻き込んだ最強決定戦。 これもやっぱりカーラに邪魔されて相討ち。 原作と違って、聖女が迎えにくるとかない。 ベルドはもちろん、ファーンも内心、ファリス?なにそれおいしいの?状態。 なにより、ファリスの聖女が聖女になれなかったw ついでに言えば、大ニースは信仰をかろうじて守ったせいか、聖女っぽい。 しかし処女ではないww 小ニース(淫乱腹黒娘)はどした? もっと黒く淫乱な黒桜辺りのおかげで、問題なく黒を曝け出せるGS世界で生きる。 ってか、GS世界ならカーディスとかナニールとか関係ねぇー。 とか思ってたら、カーディスこうりんw でも、平然と黒い自分を受け入れる。 白と黒をその日の気分で閨の感じを使い分けたりするに違いない。 作者はロードスを何だと思ってやがる!? カーラの名前を出せば、大抵はオッケーになる。 それがロードス島戦記(伝説)だと、作者は認識している。 さて、追加パックの用意があるがどうするかね? 内容……黒桜×シャイン 見たいならば、感想の最後に、ひっそりこっそり わっふる とだけ入れたまえ。条件をクリアした場合のみ、後悔……もとい、公開しよう。 以上だ。